第16章:水上要塞カナウス 前編 BACK NEXT

エルたちがアタラクシアの戦いで勝利した頃、
マティルダ率いる十字軍本隊もまた、目的地に歩みを進めていた。


「マティルダ。」
「ユニース様、どうかしましたか?」
「さっきシキからの報告で、敵の偵察部隊に私達の姿が発見されたみたい。」
「そうですか…少し急がなくてはなりませんね。」


チェンバレンから南に3週間ほど進軍し、カンパネルラ地方からカナウス地方に入る。
そこでまず邪魔になるのは…親魔物領サンメルテ。
人と魔物が仲良く暮らす平和な都市に、十字軍の魔の手が迫っていた。










「で、どうするんだフラン?覚悟はできたのかい?」
「ええ…決めたわ。私は逃げない。どんな相手だろうと立ち向かって見せるわ。」
「バカを言え。逃げる覚悟だよ。今回は相手が悪かったと思って諦めな。」
「いやよ。一戦も交えずに逃げるなんて弱気なこと。」

サンメルテの府庁執務室で二人の女性が言い合っている。

一方は軽鎧を装備した赤髪ポニーテールの女性。
フランと呼ばれた彼女の本名はフランツィスカといい、
サンメルテの市長を務める若い女性である。
元々彼女の母は帝国の軍人だったが、その昔軍の上司といざこざを起こした末軍を脱走。
フランと共にと共にこの地に移ってきたという経歴を持つ。
その母親は5年前病気でこの世を去り、母親から市長の座を受け継いだ

もう一方は…二本のハルベルトを背負ったオーガ、ベルカ。
レーメイア攻防戦以降各地を回った末、この都市に傭兵として雇われていた。
今では元レーメイアの領主だったアリアとフェオルもベルカ傭兵団と共にこの都市にいる。


「気持ちはよく分かる…だが、あいつらはあの自由都市アネットやカンパネルラすら
攻略した奴らだ。強敵とかそういう問題じゃない、戦ったら確実に私らの命はないぞ。」
「それでもかまわない。私は……」
「分かった。そこまで決意が固いなら私も協力しよう。
ただ、一般市民はあらかじめカナウス要塞に避難させておくようにな。」
「そうね…、この街も最後まで持つか分からないわ。」


ベルカは焦っていた。
なにしろ相手は万単位の大規模軍勢なのに対して、この街の正規兵はわずか3800人。
はっきりいってどんなに強い将がいて、なおかつ劇的な策があったとしても
勝つことは不可能に等しい。このままでは自分はともかくフランの身が危うい。
彼女としてはイル・カナウスのカナウス要塞に依り、籠城するしかないと考えているが
雇用主がこの態度なので、それに従うほかない。


「それにフラン。勝算はあるのか?」
「私はやっぱり奇襲しかないと思うの。」
「奇襲か…。具体的には?」
「それがね…」


「あら?お二人とも、まだ結論は出ないのですか?」


と、そこに神官風の衣装を着た女性が部屋に入ってきた。
耳のあたりにヒレのような部位があり、一目見て人間でないことが分かるが
人化術を使っているからか、きちんと両足が生えそろい、二足歩行をしている。


「ユーグ。一般市民の避難準備は整ったの?」
「何しろ急なことでしたので少々手間取りましたが、なんとか船を集められました。」

彼女はシー・ビショップのユーグリッド。
フランの弟と結婚しているので、フランとは義姉妹にあたる。


「ですが…少し良くない事態が起きています。」
「よくない事態?」
「夫の偵察によりますと、件の十字軍はすでにここから7日の距離まで迫っています。
遅くとも3日以内にはこの街から避難しなければ追いつかれてしまいます。」
「げっ!?そんなに速いの!?」
「ったく相変わらず容赦のない速度だな。こりゃ奇襲とかしてる暇ないかもな。」
「戦う気だったのですか?義姉様、悪いことはいいません。ここはカナウス要塞に向かうべきです。
ここで私たちが負けて死んでしまったら、この先どうにもなりません。
今は生き残る努力をすべきではないかと思います。」
「だから言ったろ。時には逃げる勇気も必要だって。
ま、逃げまくってる臆病者の私が言うのもなんだけどさ。」
「…仕方ないわ。思った以上に事態が切迫しているようね。」


ユーグリッドの説得により、抗戦を諦めたフラン。
今は一刻も早く一般市民を逃がさなければならない。

自分のプライドにこだわっていては一般市民を逃がし遅れるかもしれない。
それだけは何としても避けなければ。


「ユーグ、あなたはラウルと一緒に民衆の避難準備を急いで!」
「はい。早速住民たちに急いで荷物をまとめるよう指示いたします。」
「ベルカは傭兵団の戦闘準備をお願い。」
「りょーかい。すぐに終わらせる。」
「私は私で…撤収準備をしなければ!」


サンメルテの街はにわかに慌ただしくなる。
町の全人口より多い軍隊がすでに後一週間の距離まで近づいているのだ。
この街では守りきれないと判断した彼女たちは、
ここから南に下った地にある、難攻不落の要塞・カナウスに逃げ込むつもりだ。

カナウス要塞を拠点とする海賊の国、イル・カナウスもまた親魔物国。
ユーグリッドが事前に了承を取り付けてくれたおかげで、
受け入れは問題なく行えるはず。



そして準備開始から3日後、用意が出来た家庭から順にサンメルテの東門から脱出していく。
彼らはここから船が用意されている海岸に向かい、そこから船でカナウスに逃げ込む。
陸路で逃げるよりも船で逃げる方が早い。
しかし…乗船している時に襲われたら一巻の終わり。

兵士と違って長距離行軍に慣れていない一般市民…
しかも、体力がない女子供を連れていたのでは移動にかなりの時間がかかってしまう。
特に魔物がいる家庭は子供が大勢いる傾向があるので、かなり大変だ。
貴重品と持てるだけの食糧を持って、ぞろぞろと進んでゆく。

夕方までには全ての民衆がサンメルテから脱出。
最後まで残っていた正規兵たちも、急いでここから立ち去らなければ。


「悔しいけど、今は我慢しなきゃ。私は…かならずここにもどってくる。」

そう言い残すと、フランは長年住み慣れたサンメルテの街を後にした。
予想では十字軍到達まであと4日。もはや猶予はない。














マティルダ率いる十字軍がサンメルテに到達したのは、
サンメルテの住人たちが脱出した3日後だった。


「シモン。城内の様子はどうだった?」
「はっ。それが猫一匹…いやネコくらいはいるのかな?
とにかく城内はもぬけの殻でした。どうやら奴らは脱出したようです。」
「あらら、一歩遅かったわね。」
「まあ城攻めをやるよりは幾分か楽ですが。」


シモンの報告を聞くマティルダとユニースは
表情一つ変えず、その場で次に行うべきことを思案し始める。


「この際ですから追撃すべきでは?」
シモンの提案に
「追撃したいのは山々なんだけど、今どの辺にいるか分からないし…」
「四方八方に偵察部隊を放っても発見してからじゃ遅い気がするわ。」
「確かに、それは言えてますな。」
「とりあえず、先に部隊を城内に入れて……」


「失礼します副軍団長。」
「あ、ノクロス。」
「見ての通りサンメルテ守備隊は城を放棄していますが、
このままカナウス要塞の部隊と合流されれば少々やっかいなのでは?」
「……分かってるわよそれくらい。」
「それは失礼しました。」

ノクロスまでシモンと同じことを言ってきた。

「では追撃なさらないので?」
「だ・か・ら!居場所が分からなきゃどっちに向かったらいいか分からないじゃない!」
「まあまあマティルダ落ち着いて。こうなった以上は手分けして捜索するしかないわ。」
「いえ、サンメルテ守備隊はおそらく東に向かったかと。」
『え!?』

なんと、ノクロスは特定できていない敵の位置が分かるというのだ。


「どうしてそう思うのかしら?」
「東門が開いていました。」
「東門が?」
「見たところ西南北門は閉ざされていましたが、唯一東門のみ開いています。」
「なるほど…それで。」
「敵の陽動と言う可能性は?」
「ほぼ無いでしょう。恐らくサンメルテ守備隊は非戦闘員を多数抱えています。
イル・カナウスまで陸路を使うとなれば到着まで2週間近くかかるでしょう。
そのような長距離移動が危険だとすれば、残りの可能性は……」
「なるほど、船を使うってわけか……。さすが、行軍のプロは伊達じゃないわね。」
「だったら話は早いわ。今すぐ追撃軍の編成に移りましょう。」


マティルダとユニースは早速追撃軍の編成をする。

とにかく機動力のある部隊を選びぬき、早めに敵に追いつきたい。
選ばれたのはノクロスの軽騎兵部隊、シキの弓騎兵部隊、シモンの飛竜兵部隊の三部隊。
計1800人が追撃に向かうことになった。
事前の報告だと、サンメルテ守備隊の兵力は4000人以下。
なので、その半分の兵力がいれば十分である。


「それと……エリーゼさん。」
「は、はいっ!」
「それほど硬くならなくていいわ。あなたには私と一緒に付いてきてほしいんだけど。」
「付いていく…だけですか?」
「ううん、ただ付いてくるだけではなく、追撃軍の兵士たちを
疲労回復魔法で癒しながら行軍するの。少し疲れるかもしれないけど頑張ってね。」
「わかりました!私でよければ、いくらでもお役にたちます!」

第四軍団所属のエンジェル…エリーゼは、その場でビシッと挙手をする。
彼女にとって初めての任務なのでやはり緊張してしまうが、
やる気は十分あるみたいだ。


「ではユニース様、今すぐ行ってまいります。」
「気をつけてねマティルダ。くれぐれも敵を追いすぎて痛手を被らないようにね。」
「わかってます。」

こうして、マティルダ自身もトルバドール(騎乗した衛生兵)隊を率いて
ノクロス、シキらと共に一路東へと駆けて行った。



機動力の高い部隊のみで編成した十字軍の追撃速度は凄まじく、
何の障害物もない平野を、エリーゼの疲労回復魔法を駆使して昼夜問わず駆け抜けた。



その結果……






「見えた…!ギリギリ追いつけた!」

海岸へ向かう丘陵地帯において、
シモンが東に向かっている長い人の列を発見する。
間違いない。彼らは海の方に避難する民衆の群れだ。
ノクロスの指摘は見事に的中したのである。


「師団長、攻撃を開始しますか?」
「まあまて、我々だけでは心もとない。マティルダ副軍団長に事の次第を報告せよ。」
「はっ!」
「その間我々はこの直下にある丘の稜線に身を隠し、襲撃の機会をうかがうとしよう。」


サンメルテの住民らが5日かけて一生懸命行軍した道を、
追撃部隊はわずか1日で踏破し、あっという間に追いついてしまった。
元々長距離の行軍に慣れておらず、なおかつ荷物が多い一般市民たちの歩みは非常に遅く、
一日に約15q程度しか進めなかったのに対して、
全員が騎乗し、なおかつ非常に軽装備な騎兵部隊と地形の影響を受けない飛竜部隊は
一日で80qもの距離を進むことができたのだ。
サンメルテの人々が強行軍していれば逃げきれていたかもしれないが、
フランは民衆たちの苦労が分かるがゆえ、急がすことをしなかった。




「みんな!海が見えたぞ、あと少しだ!」

追撃軍がすぐ背後にいることに気づいていないフランは、
ようやく船を待機させてある海岸まで市民たちを連れてくることが出来、安堵している。

「ようやくここまでこれましたね。」
「おう、早いとこ船にのっちまおう。」

シー・ビショップのユーグリッドは台車に乗っかった風呂桶に張られた水に入っている。
彼女の人化術は負担が少ないといえども5日間歩き通すことは困難なので、
彼女の夫のラウルに運んでもらっている。


「さ、ここからはもう自分で歩けます。ありがとう、あなた。」
「なーに、ユーグを運ぶくらいわけないさ。
それよりも5日もずっと風呂桶の中につからせて悪かったな…。」
「あーん♪あなたってばやっぱり世界一優しいのですね!
嬉しいですー!んー、チュッチュ♪」
「ちょっ!?ユーグ!こんな人が大勢いるところで…は、恥ずかしい!」
「んー、あなた〜、ちゅきちゅき〜♪」
「んくっ…ふあっ!?って聞けよ!少しはTPOわきまえてくれー!」

いきなりキス魔と化したユーグリッドに襲われるラウル。
緊迫した状況の中、このようなバカップルのイチャイチャぶりをみて兵士たちは…


「うほっ!今日もあの夫婦は熱いわねぇ!」
「こんな状況でようやるわ…」
「もう見てるだけでお腹いっぱいだわ。」

いつものことなので軽く流している。
はっきりいって親魔物領ではこのような光景は朝飯前だったりする。
いつか出生率の高さで反魔物国人口を上回る可能性が高いか?











「マティルダ副軍団長!シモン師団長が親魔物領の一団を発見したようです!」
「そう!やったわ…なんとか追いついたわね。」
「はっ、奴らはあと数時間後には船に乗り込み始めます。お急ぎください。」
「わかったわ。シモンにはもう少し待つように言いなさい。」
「了解。」

報告に来た竜騎兵は再びシモンの元に戻り、
マティルダ達は急いでシモンたちが待つ丘陵地帯に進む。

「エリーゼさん、まだ頑張れる?」
「はい、まだ余裕です!」
「頼もしいわ、後もう少し頑張ってね。」


そこそこ強行軍だったが、エリーゼが支援していたおかげで
追撃軍はわずかな疲労すら感じず戦闘に入ることができそうだった。


「シモン。」
「副軍団長!ご覧ください、海に向かう長蛇の列が!」
「ほんと、ここから見ると蛇が進んでいくみたいに見えるわ。」
「我々はさながら蛇を狙う鷲といったところでしょうか。」
「上手いわねそのたとえ。…っとそんなことより、
まずはシモン、あなたはこの丘から勢いに任せてそのまま襲いかかりなさい。
とにかく敵に恐怖心を与えて混乱させるように、攪乱してやりなさい!」
「了解!」
「次にシキは、なるべく離れたところから矢をうちこんで敵を民衆の列からはがし、
その後は一撃離脱の要領で守備隊を引きつけるように。
少し難しいかもしれないけど、がんばってね!」
「あいさ!」
「そしてノクロスは散開している敵兵を片っ端から片付けて行くこと。
もし、敵が意外にも頑強に抵抗してきたら、突破しようとせずに
相手を少しずつ削ることに専念して。まあノクロスはいつもの戦い方で。」
「承知いたしました。」
「私もエリーゼを連れて後方を攻め立てます。
もし負傷兵が多数出たなら、私の衛生兵のところまで戻るように。
そして最後に、今回の作戦の狙いは護衛兵のみです。
なるべく一般市民たちには手を出さないよう注意しましょう。」
『ははっ!』
「それじゃ、戦闘開始!」



時刻は四の刻(午前8時くらい)
必死に逃走するサンメルテの人々に、ついに十字軍が牙をむいた。

少し前までは…押し寄せる魔物が逃げまどう人間を襲っていた時代もあった。

しかし…何の因果か、今この時この瞬間。魔物と人間の立位置は

見事に逆転していた。









「ねえ…あれは何かしら?」
「なんだろう、こっちに向かってとんでくるよ。」


最後尾にいた護衛兵の二人が、こちらに向かってくる「何か」に気付いた。
そして、それが「敵」だということに気づくのにそう時間はかからなかった。


「て、敵だーーー!!」
「敵が来たわ!みんな逃げて――」

ヒュン!  ザクッ!


「くはっ!?」


飛竜兵の放った手槍が護衛兵を貫く。



「おーし!派手なパフォーマンスで敵を驚かせてやれ!」
『ヤヴォール!!』

シモン率いる飛竜兵たちは勢いよく敵のまっただ中へ突っ込むと



ギュウウウゥゥン!!

「うわあっ!?」
「ひいっ…」


猛スピードで頭すれすれを低空飛行したり


グゥワアアァァッ!!

「いやあぁっ!」
「なあっ!?」

横から翼を掠めるように威圧したりする。


船が見えて安心していたサンメルテの人々は、
一瞬で恐怖のどん底に突き落とされる。
列を乱して逃げまどう者、驚きすくみあがってしまう者、
子供を庇うために必死になる者などで大混乱を起こし、
あっという間に収拾がつかないことになってしまった。


「くっ…追いつかれた!?みんな、敵よ!急いで!」
「フラン!ここは私達傭兵団に任せてくれ!
君は一般人たちを急いで船に乗せて、被害が及ばないようにしてほしい!」
「ありがとうベルカ…無理しないようにね。」

フランは混乱する人々を必死になって落ち着かせ、
とにかく海岸まで導こうとする。
先頭集団はすでに海岸まで到達しており、後は船に乗り込むだけだ。


「早く!急いで!船に乗ればひとまずは安心よ!」
「おーい姉貴!」
「ラウル、あなたも急いで…」
「悪い、ユーグを頼んだ!俺はあいつらを追い払う!」
「ラウル!?そんな…」

ラウルは、愛する妻のユーグリッドをフランに預けると、
その場で馬に跨り、槍を手に取る。

「あなた…お願い、一緒に逃げましょう。」
「すまないユーグ…君を守るためにも俺は戦わなきゃならない…」
「ラウル!あなたは船に乗りなさい!ユーグを悲しませないように!」
「義姉さま…」
「何言ってんだ。俺は妻を持ってるから戦わなくていい…それはだめだ!
守備兵の中にも夫や妻を持つ奴らがいるんだ。俺だけ特別扱いするのは間違っている!」
「そう…分かったわ。必ず生きて戻ってきてね。」
「おう!子供の顔を見ずに死ねるかってんだ!」
「…!!あなた!」


「よし!守備隊300人は俺の後に続け!」
「ははっ!」


愛する者を守るため、夫は戦いを決意する。






さて、シモンがサンメルテ軍に突入して数分後、
今度はシキとノクロスの出番が回ってきた。

「ではシキさん。よろしくお願いします。」
「はっはっはー、任せてくれって。ちょっくらおちょくってくる。」


シキと共に、直属の弓騎兵たちが一気に丘を下って、群れの左から攻撃を仕掛ける。

「俺たちの狙いはあくまでも兵士だけだ!なるべく民衆には手を出すな!」
『ヤヴォール!』
「そして合図があったら徐々に敵を引き寄せる。いいな。」


ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!


弓騎兵隊が放つ矢の雨がサンメルテ守備隊にバラバラと降り注ぐ。
距離はぎりぎりなので威力は低いが、
あと一歩で民衆まで届く恐怖が彼らを駆り立てる。

「くそっ、あんなところにも…。アリア、フェオル。」
「何?」
「おう、どうした!?」
「私はあの弓騎兵どもをなんとかする。
その間二人で避難する民衆を守ってやってくれ。」
「ええ、分かったわ。」
「まかせろ。民衆たちには指一本触れさせん。」


ワーワー


ベルカは、元レーメイア出身の二人を一般人の列の護衛に当て、
自身は遠くから矢を放ってくるシキの部隊を殲滅すべく、攻撃を開始した。

ベルカ率いる傭兵部隊がこちらに向かってくるのを見たシキは

「おっ、釣れた釣れた。さすがにオーガやアマゾネスどもを
真正面から相手するのは分が悪いね。よし、小隊単位で散開!」


部隊をわざとばらばらにし、集団で向かってくるベルカ達を
四方八方から遠巻きにして攻撃し始めた。
いくら武勇に優れる魔物と言っても、
徒歩では全力疾走しなければ馬に追いつくことなど出来ない。
それに、バラバラになった敵部隊を追いかけていると自然に
追いかける方も陣形が散開してしまうのだ。


「あーもー、うざってえな!」
「ですが隊長!相手はこちらから遠ざかっていきます!
ならばそこまで追いかける必要はないのでは?」
「まー、それもそうだな。」


ベルカ達の目的は敵の全滅ではなく民衆の守護なのだ。
ならば、わざわざ追いかけなくても敵を遠ざけるだけで十分だ。

ベルカ傭兵団は追撃を途中であきらめ、民衆の列の守備に戻ると…


「甘いわ!もう一回矢を撃ちこんでやろう!」


ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!


シキ達は再び一つにまとまり、またしても弓矢を放ってきた。
この攻撃に、ベルカは大いにいらだつ。

「うぜえ!本格的にうぜえ!もう一度追っ払ってやる!」

そして再度ベルカ達の突撃。
だが、これも先ほどと同じ要領で遠巻きに攻撃されるのみ。
徐々に積る弓矢のダメージも彼女たちの戦力を確実にそいでいる。


これは訓練された弓騎兵のみが行える『パルティアン戦術』というもので、
馬の機動力と弓の遠距離攻撃を最大限に生かした遊撃戦術である。
もっとも、かなりうざったい、かつ卑怯な戦術なので
普通正規軍は使わない物なのだが…

だが、この戦術が功をなし、オーガやアマゾネスと言った強力な魔物がいる
ベルカ傭兵団を殆ど損害なしで攻撃することが出来る。
この隙をノクロスが逃さなかった。



「どうやら、残っているのは大半が人間のようですね。実に好都合です。
では、僕たちもそろそろ攻撃に参加しましょう。」


ノクロス率いる軽騎兵部隊は、船に避難する住民を護衛している兵士たちめがけて
丘の上から一直線に突入していく。


「突撃!!」
『ヤヴォール!!』

ワーワー


「ラウルさん!敵が!」
「こっちにもいたのかよ!来るぞ!守りきれ!」

ワーワー


ノクロスはそのまま強引に突っ込み、乱戦に持ち込む。
剣歩兵が主力のサンメルテ守備隊は馬に蹴られることを恐れて迂闊に攻撃できず、
逆にノクロス隊は騎乗の優位を生かして戦闘を優位に進める。

しかし、追い詰めすぎるとかえってあぶないので
攻撃して一段落したら際編成し、再び乱戦に持ち込むことを繰り返し、
なるべく守備隊のみに被害を与えられるよう攻撃していく。


なぜ十字軍は民衆を巻き込まないよう攻撃するのか。
大義名分のためか?はたまた軍紀違反を避けるためか?

それとも……






「マティルダさん…」
「どうしましたかマリエルさん。」
「民衆をなるべく攻撃しないようにと言ったのは、
やはり無辜の民を殺してしまうと正義に反するからなのでしょうか?」
「へ!?あ、うん。まあ…表向きはそんな理由かな?」
「お、表向きって!?」

純粋無垢な表情でそんなことを尋ねてくるマリエルに、
マティルダは少々困惑した表情に苦笑いを浮かべる。

「あのですね、サンメルテの住民たちはこれから
カナウス要塞ってところに行くわけですが、
サンメルテの守備部隊がカナウス要塞の軍と合流してしまうと
攻略がより面倒になってしまいます。」
「は、はあ…確かに籠城する兵力が増えてしまいますから…」
「ですが、戦力にもならない一般人が要塞に入っても
私達の邪魔になるどころか、かえってカナウス要塞の軍の負担になります。
ですから、一般市民だけは無傷で逃がして、守備隊はなるべく倒しておく。
そうすれば、カナウス要塞攻略が多少は楽になるはずです。」
「なるほど……打算でしたか。」
「そうなのです…。ごめんなさいね、私達は軍人ですから。」


まさに血も涙もない酷い理由だった。



「ではマリエルさん。私はちょっと懐かしい顔を発見しましたので、
この場で衛生兵と共に待っていてくださいね。」
「へ?」


何を思ったか、マティルダは配下の精鋭部隊100人を連れて
群れの最後尾に突入していった。


「ま、マティルダさーん!」
「すぐ戻ってきますからー!」


仮にも総大将であるマティルダが嬉々として突っ込んで行った先には…




「フェオル、あっちからも敵が!」
「迎え撃つか……」


「あっはっはっはっは!久しぶりねフェオルさん!」
「げっ!?お前は!!」
「……フェオル。あの敵の女性とは知り合い?」
「し、知り合いには知り合いだが…」
「で!どんな関係なんだ!」
「か、勘違いするな!レーメイアの奇襲の時にあいつに負けたんだ!」
「あら?ってことはあの全身真っ赤の人はロンドネルの……」


偶然にも、この場においてレーメイア攻防戦で戦った二人が再び相まみえたのだ。
あのときアリアは別方面を攻撃していたのでマティルダとは合わなかったが、
直接戦ったフェオルは今でもマティルダのことを覚えていたようだ。


「今度こそあなたにとどめを!」
「ふん!させるか!」


ガキン!

槍と槍がぶつかり合う。


「一度勝ったからって甘く見るなよ。この2年間で…俺はさらに腕を磨いたのだからな!」
「それに今度は私もいるわ!無策に突っ込んできたこと、後悔させてあげるわ!」


キィン!キィン!キィン!ガキューン!


アリアの長剣とフェオルの長槍が左右からマティルダを狙う。
二人の連携は以前にも増してキレが上がっており、
二対一を強いられるマティルダはさぞ苦しいかと思いきや。


「思いあがってるのは…あなたたちの方よ!せえぃやあぁっ!!」


ギン!カーン!  バキィッ!!


「かはっ!?」
「アリア!!」

マティルダの槍がアリアの腹部に強力な打撃を与え、思い切り吹っ飛ばす。
普通の槍なら衝撃に耐えられず折れてしまうような強引な攻撃…


「2年間で強くなったのはあなただけじゃないってことで。」
「おのれ…」
「ふ…フェオル……っ!いたた…」
「アリア!無理するな!今傷薬を…!」
「させないわ!今度こそ止めを!」


マティルダがフェオルに追いすがって槍を突き刺そうとしたところで…
思わぬ事態が発生した。


「マティルダ副軍団長!緊急事態です!」
「なによシモン!いまいいところだったのに!」

何やら慌てた様子でマティルダの元へ飛んできたシモン。
ここまでかなり順調かつ一方的な攻撃だったというのに
一体何が起きたというのだろう?


「増援です!敵軍勢の援軍がきました!」
「なんですって!?いったいどこから?」
「それが……あちらをご覧ください。」
「…あれは………」


マティルダが海の方向を見ると、民衆が脱出する船とは別の方向から
海を進んでくる兵船の集団だった。
その数は一目見るだけでも20隻以上にのぼる。

兵船の旗には蒼いマーメイドが描かれていた。


「シモン!シキとノクロスに伝令!全軍今すぐ攻撃を中止するように!」
「分かりました!」

「イル・カナウス海軍……ここまで来るとは、誤算だったわ。」









その頃、ノクロスの部隊は果敢に突撃を繰り返し、
サンメルテ守備隊の兵力をどんどん削っている。
軽騎兵部隊の損害もほとんどなく、このまま攻め続ければ
ほどなくしてサンメルテ守備隊は一人残らず壊滅してしまうだろう。


「そこの者、敵将とお見受けしました。」
「…やるというのか!仕方ない!」

ラウルは槍を構えてノクロスの攻撃を受け止める。
かなり若く見えるラウルであるが、シー・ビショップを妻に持ち
人魚の血を摂取した彼はノクロスより年上で、基礎体力も勝っている。
しかし、かなりの期間実戦から遠のいていたラウルに対して、
ここ半年間常に前線で活躍していたノクロスとは、
腕の差が大分開いてしまっている。

(攻撃が鋭い…!これは、気を抜いたらやられてしまう!)

キンッ!ガキン!

すでに避けられなかった傷が何箇所か目立つようになり、
あっという間に体力を消耗してしまう。

「はあっ…はあっ…!」
「残念ながら、少々力不足の模様ですね。はあっ!!」

カッキーン!!

「ああっ!?槍が!」

持っていた鋼の槍を弾き飛ばされるラウル。
このままでは……


「やめて!!」
「あっ…」
「おどきなさい。無抵抗の者を手にかけるのはしのびないですから。」
「これ以上…夫を傷つけさせません。」

なんと、ユーグリッドがノクロスとラウルの間に立ち、ラウルを庇っている。

「ユーグ…何で逃げなかったんだ……」
「あたりまえです!夫を見捨てて逃げるなんて…私にはできません!」
「…これはこれは。」

逆に戸惑ったのはノクロスだった。
このまま二人もろとも討ち取るのはたやすいが……

(この際、後味が悪いなどとは言っていられませんね)


「夫を庇う心は見上げたものです。ですが、
戦場に出た以上命を落とす覚悟はできているようですね。」

自分でも言い訳がましいなと思いながらも、
ノクロスは手に持つダマスカスソードを振り上げ、
二人もろとも討ち取ろうとしたそのとき時!!



「おいこら!!やめねえか!!」
「!?」


ノクロスは声に反応した直後、何かが飛んでくる気配を感じ
騎乗している馬からジャンプした。


ドカッ


瞬間、今までのっていた馬に猛烈な勢いで手斧(投擲可能な斧)が直撃し、
ノクロスの愛馬は悲鳴を上げる間もなく絶命した。
あと少し反応が遅れたら、手斧はノクロスに直撃していただろう。
実に危ないところであった。


「ノクロス様!ご無事ですか!」
「ええ…幸い。ですがあの手斧を投げたのは一体……」

「ったく、弱い者いじめなんてみっともねぇ。
こいよ。俺が相手してやるからさ。」


そこにいたのは、
自由都市アネットの市長だったフェデリカに匹敵するほどの大男だった。
白いバンダナで髪の毛を覆い、前を開け広げた豪快な衣服……
見た目からして漁師かあるいは…海賊といった雰囲気だった。
その上、武器として身の丈以上もある巨大な斧を肩に担いでいる。


「失礼ですが…何者でしょうか?自分は十字軍第二軍団第二師団長ノクロスと申します。」
「おう、名前か。俺はアロンっていうんだ。見ての通り、海賊さ。」
「アロン……」

ノクロスは、アロンの名を聞いた瞬間顔をしかめた。
そう、彼こそがイル・カナウスの頭なのだ。
その強さは陸上でも無類の勇を誇り、海上ではほぼ無敵だと言われ、
手に持つ巨大な斧を片手で軽々と扱う人間離れした怪力も備えている。
まさに、荒くれ者たちの頂に立つにふさわしい男と言える。


「おーい!ノクロース!!無事か?」
「シモン殿。自分は無事です。」
「マティルダ副軍団長が撤退するように言っている!ここは一旦退却だ!」
「そうですね。見ての通り、敵の増援が来たようです。」

「おっ、素直に逃げるようだな。まあ、今回は見逃してやるよ。」

「…何者だよ、あのでかいやつは?」
「シモン殿急ぎましょう。彼はイル・カナウスの海賊頭…アロンです。」
「なにっ!?」


馬を失ったノクロスを慌てて回収し、急いで引き上げるシモン。
ノクロスの軽騎兵部隊もまた攻撃を中止して退却していった。
十字軍としても、ここで兵を失ってまで抗戦する意味はないので、
この辺りが潮時と言ったところだろう。


「やったー!敵が引き揚げて行くよ!」
「さすがはアロンの兄貴!!頼りになるぅ!!」


イル・カナウスの援軍によってギリギリ全滅を免れたサンメルテ守備部隊。
彼らは危地を救ってくれた援軍に惜しみない感謝を送った。



「アロンさん!!」
「おうラウルの坊主!久しぶりだな!」
「ええ…まったく危ないところでした。」
「ユーグリッドも無事だったようだな。急いできてよかったぜ。
だが、ここまでくればもう大丈夫だろう。お前の姉さんにもあいさつしなきゃな。」


アロンは十字軍かこの地方に迫っていると聞いて、サンメルテの人々を救出すべく
こうして急いでこの海岸まで駆けつけてきたのだ。
海賊国家と呼ばれるイル・カナウスは親魔物国に対しては優しい。
彼らが狙うのは魔物との共存を受け入れず、ひたすら魔物を殺す
無慈悲な反魔物国家だけなのだ。





イル・カナウス軍の接近を知ったマティルダが即座に撤収命令を出したことで、
あと一歩のところでサンメルテ守備隊は全滅を免れた。
しかし、その被害は戦死者が2000人にも及び、重傷軽症も多数。
元気な者は殆どいないという有様だった。

もし、彼らが民衆を見捨てて逃げていればここまで被害は大きくならなかったが、
心優しいフランにはそのようなことが出来るわけがない。
それに、そのようなことをすれば彼女は信頼を失うだろう。

民衆を連れて逃亡するのはとても難しい。
この戦ではそれが顕著に表れていたと言っても過言ではない。











マティルダは追撃軍を纏めるとそのままサンメルテへと帰還していく。

「マリエルさん、よく頑張りましたね。」
「い、いえ!私は特に何もできなかったと思いますが…」
「ううん…そんなことはないわ。だって、一歩間違えれば無辜の民を虐殺しかねなかった
今回の戦いを、目をそらさず最後まで見届けることが出来たのですから。
本当なら心優しき天使のみなさんはいざ戦いに出ると、
ショックで倒れてしまうことが多いそうです。」
「覚悟…していますから。どんな戦いであっても、私は皆様のお役に立ちたいんです!
いつかユリア様のような立派なエンジェルになるためにも…!」
「ユリア様のように……か。大変だと思うけど、頑張ってくださいね。」


ユリアがエルと共に闘う以前の時代でも、従軍天使は存在した。

しかし…彼女たちは根が純粋であるがゆえに、戦う前はやる気十分でも
いざ戦闘になると、あまりにも凄惨な現実を突きつけられ、心を打ち砕かれてしまう。
そうでなくとも……たまに従軍天使と称して
教会騎士団や兵士たちがエンジェルを陣中で慰み者にすることもあるという。

とにかく、過去の従軍天使たちは無事に戻ってくることなどまずあり得なかった。
戦いの中で真実を知り、親魔物国に寝返ったものや
ダークエンジェルとなった者も少なからずいたのだ。


…なので、ユリアは優秀であるという以前に意外と神経が図太いのかもしれない。


「でもね、マリエルさん。ユリア様のようになりたいのでしたら……
恋をした方がいいかもしれませんね。」
「ええっ!?こ…こい……ですか?」
「マリエルさんにとって…自分の命を投げ捨ててでも守りたいと思える人が出来れば、
たぶんマリエルさんは今以上に強くなれるはず。」
「ですが、私はエンジェル……神に仕えるものとして、恋は……」
「大丈夫よ。本当に恋する時は、そんなことどうでもよく思えてきてしまいますから♪」
「ですがそれだと不真面目ですし……」
「なるほど。ユリア様は不真面目っと……」
「あわわわわ!?い、今のは聞かなかったことにしてください!」


果たして、マリエルが恋する日は来るのだろうか?











「マティルダ、ただ今戻りました。」
「おかえりマティルダ。報告は聞いてるわ。」

マティルダがサンメルテに戻ると、
ユニースのほかにファーリルとカーターも既に到着していた。

「よく頑張ってくれたね。上出来だったよ。」
「あ、ありがとうございますファーリル先輩!」
「俺はまだまだだと思う。もう少し早く増援に気づくべきだったろうに。」
「も、申し訳ありませんカーター軍団長!」

ほめて伸ばすファーリルとしばいて伸ばすカーターの性格の差が
顕著に表れた瞬間だった。


「でも、これでサンメルテ守備隊が障害になることはないわ。
後はここを後方基地として、明日からカナウス要塞に向けて進軍出来るわね。」
「エル様は?」
「さすがにもう1週間くらいかかるみたい。
なにしろハルモニアの国王に挨拶しなきゃいけないみたいだから。」
「ま、エルが戻ってくるまでにはカナウス要塞攻略の前線基地を作り終えたいよね。」
「ユリアさんが戻ってくるのは当分先だな。
それまではあの三人のエンジェルをこき使うしかないな。」
「カーター、そんなこと言ってるとクレイベルさんに怒られるよ。」
「あの婆さんって怒れるのか?」


その後十字軍120000人は、休む間もなくサンメルテから出陣し、
カナウス地方の平野部を徐々に南下してゆく。
潮の匂いが香る大平原を踏みしめ、浸食で出来た丘陵地帯を進み

そして……







「やあ、ようやく見えたね。いやー、やっぱり本で知ってるのと見るのでは全然違うね。」
「本当ね……。はっきりいって半年で落とせる気がしないわ。」



軍の先頭に立ち、丘の上から半島の南端を見下ろすファーリルとユニース。


そこから見えたのは……
砂浜から少し離れた海上に浮かぶ、巨大な要塞だった。



「水上要塞カナウス……。イル・カナウスの本拠にして難攻不落の水上都市。
未だかつてこの城を攻め落とした国はないとか。」
「一応、陸とは細い立て橋(砂浜が細く盛り上がって出来た道)でつながってるけど…
どう考えても正攻法では無理よね。やっぱり海軍の到着を待つしかないのかな?」



ファーリルとユニースは、そのあまりの存在感に
しばらくその場から動けないでいた。


十字軍に立ちはだかった二つ目の壁は…
一つ目に比べてはるかに高く見えたという。


水上要塞カナウス攻略 概要



11/10/26 22:50 up
登場人物評


フランツィスカ(フラン) セイバー15Lv
武器:レイピア
カナウス地方の親魔物都市サンメルテの市長。若いながら優れた突剣の使い手。
魔物と共に育ち、魔物と共に生きてきたため、反魔物国の思想が理解できないとか。

ユーグリッド(ユーグ) シー・ビショップ11Lv
武器:海冠の石板(海中結婚のときに使うアレ)
かなりマイペースなシー・ビショップ。フランの弟と結婚しており、義姉妹となる。
魔物からも『キス魔』と言われるほど夫とのキスが好きでTPOをあまりわきまえない。

ラウル  ハザーエ17Lv
武器:鋼の槍
フランの弟。サンメルテ守備隊の中で唯一の騎兵として、先頭に立って戦う。
ユーグリッドとは双方一目ぼれし、その日のうちに結婚したらしい。


アロン  ベルセレク35Lv
武器:ドランボルレグ(斧)
海賊国家イル・カナウスの首領を務める大男。見た目は20代後半、実年齢は50以上。
屈強なベルセレク(狂戦士)で、その手に持つ巨大な斧を軽々扱う怪力を誇る。
趣味は釣りだが素潜りも得意。普通に素手で50匹以上の魚を捕まえたことがあるらしい。


ユニース「ごきげんようみなさん!明星のユニース、ただいま参上!
さてさて、いつの間にか今回からカナウス編突入となりました。
今度の相手は水上要塞……。今までの戦術は一切通用しませんね。
エルは一体どのような作戦で攻め落とす気なんだろう?う〜ん…
やっぱりカギを握るのは海軍なのかな?
今後の展開に是非ご期待下さい!


それと…なのですが。私と作者から読者の方々にお願いがございます。



気が向いたらで結構ですので、たまには感想をもらえると嬉しいです。

ええっとですね…実は作者は前々からよほどのことがない限りコメントを返していませんが、
それはただ単に『物書きの素人の自分が読者様に返答するなどおこがましい』という
なんともしょうもない理由でした。
ですが、最近の動向を見ますと…むしろ返答がない方が失礼なのではと思っております。
考えてみれば、確かにせっかく感想をもらったのに貰いっぱなしでは
逆に読者様に申し訳ありませんね。心からお詫び申し上げます。
これからは感想をもらえれば、気がきいたことは言えませんが
丁寧に感謝の意を述べたいと存じます。

また、感想をもらえれば、ここが良かったとかここが悪かったとかが第三者視点で分かるので
英雄の羽の、今後の発展に影響を与えるかもしれません。
もちろん、厳しい意見も覚悟しております。書くのをやめろと言う方もいるかもしれません。
それらを含めて、読者様方の意見をお聞きしたいと存じます。

いえ、無理にとは申しません。思うところがなければそれはそれで結構です。
感想は義務ではありませんので、楽しんでいただけたら私としても十分です。
これからも皆様のご愛顧をよろしくお願いします!

以上、ユニースでした!
最後に、健康クロス様!SS投稿所再起動お疲れさまでした!

バーソロミュ
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