連載小説
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きゅうっ!:やみのたいようっ!(笑)
どうも、ずいぶん久しぶりの黒天です。
へ? あれから主神どうなったって?

……えっとね、それが……

うん、私の隣でシーフードヌードル食べ終わって、今食後のデザートにオレンジソーダ味の飴なめてる。
ネームレスさん、プレゼントありがとね。

じゃなくて……天界迎えに来いよ!?




未だに満面の笑みで飴舐めている主神(ロリ)を見ながら、私は大きなため息をついた。
なんか知らんが我が家に主神が襲来してから一週間。
本人曰くそのうち迎えがくるじゃろ? との事だったが……
一向にそれらしき存在がこないんだが?

……どうなってんのこれ。

「うぐうぐ、別に気にしなくてもいいと思うよ。迎えに来ないなら来ないでそれはそれで楽ー」

あぁ、主神は主神で威厳もへったくれもなくしてしまうし。
いや、ただ単に飴舐めてる最中ってだけなんだけどね?
ただ、最早割り切ったのか別に本性見られて恥ずかしがるとかはもう無いみたい。

……チッ、恥ずかしがるロリィタこそが萌えるというのに、堂々とされちゃ萌えも半減だい。

「つか主神、あんた魔物の傍にいていいの? 下手に魔力浴びて堕落神の仲間入りとか激しくワロエナイ」
「んぐ……あぁ、問題ないぞ? 主神たるもの自身に影響を及ぼす魔力を取り除けずして何が主神か。伊達に世界はつくっとらんわい」

あ、飴舐め終えたから口調戻った。

「それに、ぶっちゃけ堕落できるならいっそ楽かのぅ? とか思い始めてきたり。堕落神が楽しそうでかなわん」
「うわーい、教会の奴らにこの言葉を聞かせてやりたいね」

あ、でもあいつら頭ミスリルより固いから「こいつは偽者だ!」とか言って襲い掛かってきそうだけど。
というかあんた、堕落神とも連絡とってたんかい。

「まぁ、あいつも昔は同じ天界を治めてた奴じゃしのう。最近監視の目が厳しくなったからやってないが、昔は文通仲間じゃった」
「文通って……」

堕落神ェ……

「今度ぱんでもにゅうむ? とやらに遊びに行くかのう。どうせワシは魔物にならんし」
「下界来たとたんほんっとに自由になったな主神、よもや魔物の総本山の一つに突撃をかけようとするとはさすがの私も予想GUY。そのうち魔王城に行くとか言いかねないというある種の恐怖が私を襲ったわよ。ちなみにパンデモニュウムじゃなくてパンデモニウムだからね? ニ・ウ・ム。堕落神の眷属としてそこは訂正させていただく」
「むぅ、横文字はむずかしいのう」

さすがにフリーダム過ぎるだろ!?
フリーダムってついた物に乗っていろいろ介入する某パイロットじゃないんだから!!
……ん? そういや、彼が元からフリーダムだったからあれの名前もフリーダムになったんだろうか?
それともフリーダムに乗ったから彼もフリーダムに?

……うん、鶏が先か卵が先かを議論するより不毛だね!

うん、私ってやっぱ疲れてるのよ、憑かれてるじゃなくて。
人間も魔物も疲れてるときって無駄な考えが頭をよぎりやすいのよね。

「あぁ、それは極度の疲労のせいで一種のトランス状態になってるせいじゃな。そういう奴には干渉しやすいんじゃよ。魔物相手の場合は堕落神やポセイドンが干渉しておる」
「案外神様って全員暇なのか!? つーか心読むなって!」
「ぶっちゃけ天界の神は無い胸張ってるだけだしのう。基本暇じゃ」

今すげぇこと聞いたよ、皆さん。
天界の神様はみな貧乳ですってよ!
私も、確かに今まであったことのある神様全員胸ないなぁとか思ってたけど、さすがに大きいの一柱ぐらいいると思ってたのに。
よもや全員がナイチチだったとは!

「ケケケ、普段ワシをないがしろにしている仕返しじゃ。今なら『公開したくないっ! 天界のマル秘情報』を黒天に洗いざらい教えてやろう」
「マジで!? すっごい気になるんだけどそれ!」

それから暫く、私は天界の恥(と書いて天界の真実と読む。逆でも可)を主神から聞かされたのだった。




「いやぁ、実に有意義な話だった。まさか神様もバストアップ体操するとはね〜」
「うむ。しかもあやつ、それを数千年続けてるのじゃが一ミリたりとも効果が現れておらんようじゃ。もう諦めたほうがいいだろうに。見ていて痛ましいぞ」

確かにそこまで来ると悲惨としか言いようが無いけどな!

あ、ちなみに今私と主神はちょっとした買い物をしに外に出てる。
お天道様の下で何話してやがると思った人もいるかもしれないけど、ぶっちゃけこの程度の話題、むしろぬるいほうだからそこんところ注意ね。
その証拠にほら、向こうに見えるサキュバスの人たち、今朝何回旦那とセックスしたとか、どんな体位でやったかとか平然と話してるし。

「あと一番驚いたのは、エンジェルがちっぱいなのが多いのが神様のせいだって言う話。あれはさすがに腹たったわ!」
「おお、それか。『自分より胸がでかいとか許せん』とかでちっぱいが多いぞ。おまえさんの直属の上司もその類じゃろうて」
「ぐぬぬ、そのせいで私はこんなペタ胸なのか……ゆるせん!!」

ま、でも魔物になってから天使とは体の構造変わったのか、ちょっとずつ成長してきてるけど。

「まぁ、中には『自分よりでかい胸を見て、そこから湧き上がる嫉妬心を楽しむ』と言う奇特な奴もおるがな」
「そ れ は ひ ど い」

もう天界のほうが救いが無いよ、マジで。

等と雑談をしつつお菓子や夕飯の食材をチョイス。
なんだかんだで主神は私の家で居候してるからいつもより若干食費は高くなるけど、まぁナリがロリィタの極みだし、それほど高くなるって訳じゃない。
それに、何出してもおいしいおいしい言って満面の笑みで食べてくれるからこっちも作り甲斐があるのなんのって。
あの笑顔の破壊力は半端ないわ。

さて買い物も終えたし家に帰るかーと思ったのだが、妙に周りが騒がしい。
見ると、周りの人々がみな空を指差しては何かを話している。
私達もつられて空を見上げる。

……黒い太陽が浮かんでいた。

「ちょ、あれってダークマターじゃない!?」
「ほぉ、あれがだぁくまたぁとかいう奴か。実際に見るのは初めてじゃ」

そら、数千年天界でヒッキーしてたら実際に見てるはず無いでしょうに。
こちらに何かを言いたげな視線をよこしてくるロリィタは放っておいて、私は空に浮かんでいるそれを見上げる。

件のダークマターはそのままゆっくりと地上に向かって降りてきて……

「……きゅう」

地面まで残り数センチと言うところで乗っかってる黒い球体から幼女の部分が落下した。

「…………」

それを見ていた私を含めた全員が、見ちゃいけない物をみちゃったなぁと言う表情でその地面に全裸で倒れ付している幼女を見やる。
と言うか、そんな状態でも倒れるときはお尻を突き出した状態……四つんばいの腕が崩れた状態って言ったほうが分かりやすいか、で倒れているあたり、やはり魔物だなぁと感じる私だった。
というか微妙にお尻揺らしてる!? 魔物の本能スゲェ!

「こやつ、倒れるときでも誘っておる。魔物の鑑じゃな」

あーあ、主神にまで言われちゃってる。
というか大丈夫なの? この幼女の部分。
さっきからピクリとも動かないわよ?
なんか黒い球体部分が慌てたように触手っぽいのうねうねさせてるけど、これ生きてるのよね?

……ん? なんか球体からのびてる触手っぽい何かの先端が私を向いてる?
しかも一本じゃなく何本も。
オイコラ、私が何だってんだ、こっちみんな。

「「「「(゚д゚)」」」」
「いやだからこっちみんな。何が言いたいかはっきり言えというに」
「「「「(´・ω・`)」」」」
「うん、何が言いたいか全然わかんないって。頼むから私に理解可能な言語で話してくれ」

たぶん、触手の先端がたれたからしょんぼりしてるんだろうなぁとは思うけど、結局何が言いたいのかは不明だったりするのよね。
いくら万能な主神でもこればかりはさすがにお手上げ。
さぁどうするかなぁとか思ったとき、球体の中から新たに触手が一本出てきて、私のほうへとやってきた。

「……なによ?」
「いや、ぶっちゃけお腹すいちゃって。なにか食べ物ください」

なーんだ、お腹すいてたの?
だったら私達もこれから軽く料理しようと思ってたし、ついてきなさいよ、そこで倒れてる幼女つれてさ。

「な!? い、今この触手しゃべったぞ!?」
「は? 何言っての主神。ダークマターの触手がしゃべるわけ無いじゃん、ねー?」

私がそう言いながら首を傾けたのと同時に、触手が同意するように同じく触手の先端を傾ける。
ほら言わんこっちゃ無い。
ダークマターでしゃべるのはそこでお尻振りながら突っ伏してる幼女のほうであって、触手がしゃべるわけ無いじゃない。

「いや、でも確かに今もっ! ……あ、あれぇ?」
「まぁまぁ落ち着いてください」

ほら、主神落ち着けって言われてる。

「ちょとまてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!! 今しゃべった! 絶対しゃべった!! 落ち着けってしゃべったぞ!?」
「主神、あんた憑かれて……じゃない、疲れてるのよ。触手、あんたしゃべれる?」

私の問いに、無理ですといわんばかりに先端を横に振る触手。
ほら、しゃべれないじゃない。

「ぐぬぬ……おかしい、確かにしゃべったのだぞ……? だが黒天がワシをからかっているという様子も無いし……あれ? どういうことじゃ……」

いいから早く帰るわよー。
あ、触手君はそこで気を失いながらもまだ見ぬ誰かを誘ってる幼女運んでね。




「んぐっ! んぐっ! ……ぷはぁ! ご馳走様でした!!」
「はいお粗末さまでした」
「ぬぐぐ、おかしい、確かにしゃべった……しゃべったのに……」

主神、まだ納得言ってないのね。
もはや涙目になりながら球体からのびてる触手を睨みつけている。
いい加減睨むのやめてあげなさい、球体から黒い冷や汗流れてるから。

「で、一息ついたところ悪いんだけど、何であんなところで気絶したのよ。お尻振りながらも」
「はいー、実は私、つい最近生まれたばかりのダークマターなんですけど、住んでた魔界になにやら妙に光を反射する固そうな服を着た人々がやってきまして。それで元から住んでた方々が逃げてたので私も逃げたんですが……お腹すいちゃって、なんとかこの町にたどり着けた途端に気が緩んじゃって」

妙に光を反射する固そうな服……?
その言葉を聞き、私の脳内にはスパンコールドレスを着た人々の姿が浮かんだ。
ちなみにスパンコールあるの!? と思った方。
あるんです。手芸用のものがちゃんとね。
でも、スパンコールドレス着た人々から逃げるって……なにやらかしたその集団。

「ふむぅ、その人間たちは何か旗を持ってはいなかったか?」
「はた?」

主神が何か思いついたのか、ダークマターにそう問いかける。
しかし、生まれたばかりが原因なのか、旗がなんなのかが分からないようだ。

「大きな布じゃ。そうじゃのう……こんな形の模様がある大きな布じゃ」

ダークマターの返答に、一回唸った後、主神はどこぞから取り出した画用紙に一つの絵を描き始める。
やがて絵が完成したのか、それをダークマターに見せた。

「……あ、はい! こんな模様がついた大きな布がいっぱいありました!」
「どれどれどんな模様……って、これ教団のマークじゃない」

ダークマターの脇から画用紙を見ると、そこに描かれていたのは教団のマーク。
ダークマターからようやく望んだ返答が帰ってきたことに、主神はうんうんと頷く。

「恐らく光を反射する固そうな服とは鎧の事じゃろう。教団の鎧は祝福された銀を使っておって妙に光を反射しおるしの。旗を知らなかったこやつは鎧も知らんかった。だから『妙に光を反射する固そうな服』と称したのじゃろうて」
「つまりあれってこと? この子が住んでた魔界は教団の魔界狩りにあったってことよね?」
「おおかた、そうであろうよ」

あちゃぁ、教団も最近ますます強硬路線入っちゃって。

「今回も大義名分はこうじゃろうよ。『主神の御心のままに』とな」
「あー、仕方ないとは言え、無知って怖いねぇ」

その主神はこうしてDエンを初めとした魔物と仲良く食事とってるってのに。

「ちょっとまって、この子が住んでた魔界って、この子がここに来れたってことはそれほど遠くないのよね? だったらそのうちこの街にも来るんじゃないの?」

この町、まぁ私が住んでいることから分かるように親魔物派のとこだし。
しかし、主神は私の問いに余裕を持ってこう答えた。

「ん? それはありえんじゃろうよ」
「なんで言い切れるのよ?」
「いや、その魔界はだーくまたーが生まれるほど魔力が漂っておるのじゃろう? だーくまたーは魔力が極端に多いところで生まれる。そんなところに人間が入ったらどうなるか知らぬ訳ではないだろう?」
「……あ」

そっか、そんな場所に入ったらあっという間に魔物化だ。
仮に祝福銀を使ってたとしても、正直焼け石に水程度しか効果はない。
つまり……

「ま、そのうち新たな住人が増えるじゃろうよ……そうじゃな、大体教団兵一個中隊程度の人数のな」
「あーりゃりゃ」

まぁ、こっちとしてはむしろ喜ばしいけど、まぁほんの一欠けらの憐憫の情はくれてやりますかね。

「なら安心ね。いやぁ、どうなる事かと一瞬ひやひやしたわ」
「これで安心ですー」

件のダークマターもほっと胸をなでおろす。
その様子は、見た目幼女だとしてもだいぶ幼い感じだ。

「しかし、あの『闇の太陽』とまで言われ、旧世代では神族さえも恐れさせただーくまたーが、今ではこのような幼女とはのう……時代は変わったものじゃ」
「確かに、この幼女じゃ昔ほどの恐怖は無いわよね。お腹すいて気絶しちゃうくらいだし」

これじゃ闇の太陽って言うより闇の太陽(笑)がふさわしいわ。
そんな失礼な事を考えられているとは分からないのか、件の幼女は小首をかしげている。

「……しっかし、ほんと威厳とか無いわねぇ、これじゃ」
「であろう? 闇の太陽と言うからにはもうちょっとこう、な?」

まるで他人事のようにそういってのける主神。
でもね主神。

さっきの私の言葉、件の闇の太陽(笑)の隣でうんうん唸ってるあなたにも向けた言葉なのよ?
12/08/08 15:48更新 / 日鞠朔莉
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■作者メッセージ
ピロリン♪

居候幼女が一人増えました。

黒「ちょ、何今のアナウンス!?」


というわけで久しぶりの俗天っ! いかがだったでしょうか?
今回の話はあまりネタが詰め込めませんでした。
久しぶりだというのにこのていたらくで申し訳ない。
しかし、相変わらずの突っ走った感は健在だと思います。
もう自分自身でもこの話は何処までいっちゃうのかは分かりません。

それはそうと、昨日ツイッターをではじめてみたんですけど、これ何すればいいのか分かりませんね。
私にゃ向いてないんでしょうか。

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