レディのたしなみ




『ご機嫌だね、ミシェル？』

『うん♪』

優しいテノールの声はミシェルのパパ。わたしはミシェル！ミシェルは主聖祭の休暇を久しぶりに大好きなパパと一緒。旅行でツェーリ中立国に来ているの。

普段パパは朝から晩までいそがしそうに働いていてるから、パパと一緒は久しぶりでとっても嬉しい。

家はビンボー貴族？だから大変なんだってー

でも、このお休みはミシェルが大好きなパパとパパが大好きなミシェルで世界一幸せに過ごすの！

それに今日はお人形を買ってくれるって！パパと約束したの！いつも寂しい想いをしてるからって……

『こらこら、あんまりはしゃぐと転んでしまうよ？』

『はーい♪』

パパ……ミシェルはママがいなくてもへーきだよ……

そうして、石とレンガの綺麗な街をパパと歩いて行く。裏通りの不思議な場所に素敵なお人形屋さんがあった。


"ハリー・シュミットのドールショップ"


カランカラン♪


『わぁ☆素敵……』

パパに手を引かれてドアをくぐると、そこはまるでお人形さん達のおもちゃの王国だった。綺麗なお人形さん達はみんな本当に生きてるみたいで、今にも動き出してお喋りをはじめそう……

『……いらっしゃい……』

わっ！びっくりした！

振り向くとパパと同じ歳くらいのおじ様がいた。ミシンがカタカタしてる。お店の人かなぁ？……もしかして、おじ様がこのお店のマエストロ？

す、すごーい！！

沢山のお人形……

どの娘も凄く綺麗……

椅子に腰掛けているおねーちゃん？

わ！これも、お人形さんだー！

『パパ！……ミシェルはこの娘が好き！』

『ごめんよ……それは売り物じゃないんだ……』

マエストロのおじ様が不器用そうに呟いた。

知っている。男の人がこういう目をしている時は何を言ってもダメなんだ……。パパも時々そういう目をするから……。残念……。

でも、何でだろう。いつもはワガママを言いたくなるけど、今回は仕方ないって思った。それに何んだかこの娘もおじ様の言葉を聞いてすごく嬉しそう。

椅子に腰掛けて、どこを見てるんだろう？ミシェルより少しおねーちゃんっぽいお人形さん。白いドレスがきれい……麻色の髪はサラサラでエメラルドのような瞳……まるでおもちゃの王国の女王さまみたい。

ここにあるお人形さんはみんな特別だけど、この娘はとびきり。きっと、パパがミシェルを愛してくれるように、マエストロのおじ様もこの娘を愛してるんだと思う。

他のお人形さんで、ミシェルのお友達になってくれる娘いないかなー

緑の帽子の娘……お澄まし顔だー

青いシフォンの娘は……おっとりさんみたい

赤いドレスの娘は……ちょっとごーまんそー

うーん……あっ！

『パパ！……この娘がいい！』

ほかにお人形さんは豪華な娘もいたけど、ミシェルはリボンひとつ飾ったこの娘がいい！薄いピンクのドレスが金色の髪と青い瞳に似合っていてとってもきれい。ちょっとおしゃまさんだけど、とっても優しいお顔。

『では、これをください。』

パパがそうおじ様に声をかけると、おじ様はお人形さんをひょいって抱えて、綺麗に包んでケースに入れてくれた。

『大きいから気をつけて……』

大きなケースをミシェルに渡してくれた。

『ねぇ、おじ様？この娘の名前はなぁに？』

『……まだ無いんだ……その子ためにキミがつけてあげるといい。それがキミがお友達に送る最初のプレゼントだよ……』

あぁ、このマエストロのおじ様は不器用だけど、とってもとっても優しいんだ。このオジ様のこと、ミシェルはパパの次くらいに好き。

『あの娘には名前ある？』

ミシェルがそう聞くとおじ様は少し悲しい目をした。

『あぁ、エミリアと言うんだ。』

『その子、おじ様の大切なお友達なの？』

『そうだよ。』

そっか……何かあったんだ。ミシェルにはわからないけど、たぶん悲しいこと。

『じゃあ、たまに会いに来ていい？』

『あぁ……きっとエミリアも喜ぶよ。……その子を大切にするんだよ？』

『うん！』

最後におじ様はやっと笑ってくれた。



カランカラン♪♪


ミシェルとパパはお人形屋さんを出た。

お人形のケースは大きくて重くて歩くのも大変だけど、とっても嬉しい！

パパ大好き！えへへ〜♪

それから、パパと一緒に湖や森や古い教会を見て回った。スチームカーに乗ったり、列車に乗って、湖でボートにも乗った。そうして、あっという間に1週間の幸せな休暇が終わって、オランジュ中立国に帰って来た。

ミシェルは学校でパパはお仕事……


あーぁ……またパパと離れ離れ。


そんな時、部屋の机に置いてある大きなケースが目に入った。

あ！お人形さん！

ガチャ……ギィ……

ケースを開くと薔薇のいいにおい。お人形さんはケースの中で横たわるように眠っているみたい。

クシに……香油に……クロスに……お着替えに……

パラっ……お手入れについて？

なるほど……こうするのね。香油は髪に……グランベル産？ふーん……球体関節にはグリス……ビスクはクロスで拭くのね？……

"最後に……どうか、この娘を大切にして下さい。 ハリー・シュミット"

お手入れの仕方を書いた紙の最後に不器用な文字に不器用な言葉が書いてあった。

『ふふっ……』

うん、大切に……大切にします。

あのマエストロのおじ様に、この娘のお名前をプレゼントしてあげてって言われたけど……

『ねぇ？あなたはどんな名前がいい？』

優しいお顔……ちょっとおしゃまさん……

う〜〜〜ん………………！！

『モニカ……うん！決まり！あなたはこれからモニカなの！よろしくねモニカ♪』

不思議と、モニカが笑ってくれた気がする。


それからミシェルとモニカはいつも一緒！

お茶会も、ご飯の時もモニカは必ずミシェルの隣に座るの。

抱きしめると薔薇のいい香りがするの。お伽話を一緒に読んだり……夢や秘密打ち明けたり……乙女の秘密のお話し。それからミシェルはモニカを抱きしめて眠るの。

『……ピーター王とロゼットは……離宮の中庭に……むにゃ……咲き続けています。永遠に……美しく……これからも……ずっと……。ふぁあ……モニカ……おやすみ〜……すぅ……すぅ……』

『………………』

モニカが優しく微笑んだ気がする。

最近、毎晩不思議な夢を見るの。

夢の中のミシェルはしらない女の子でどこだか知らない、だけれども懐かしい森の中で小さな男の子と遊ぶ夢を見るの。

その男の子は誰だか知らない。でもその知らない女の子の大切な人だと思う。顔は霞みがかって良く見えないの。

そこで、夢の場面は変わってミシェルはベッドで寝ていて、ミシェルの手を握った男の子が泣いていて、ミシェルはその男の子に向かって





『ごめんね……』





と小さく呟くの


何故だかわからないけど、きっときっと、それは、とてもとても、悲しいお別れで、夢は何時もそこで終わってしまうの。


夢から覚めた後、ミシェルはパパに抱きしめ欲しくてたまらなくなるの。よしよしって……大丈夫だからねって……頭を撫でて欲しい。

パパはもちろんそうしてくれた。

寂しくて、悲しくて……でも暖かい気持ち……夢を見るたびにそんな不思議な気持ちになって、夢を見るたびに、大好きなパパに甘えて、パパが抱きしめて頭をナデナデしてくれるたびに、ミシェルはミシェルのパパをどんどん好きになっていくの。

たぶん……

パパのこと……パパとしても大好きだけど……

男の人としても大好き……

好きで……好きで……大好きで……

『ねぇ……モニカ……ミシェルはね？……パパの事が……とっても、とっても好きなの。もう7歳になるのにね。……でも、パパが好き。パパの事を考えると胸が苦しくなるの。親子なのに……おかしいでしょ？』

『…………』

『あぁ……モニカがおしゃべり出来たらもっともっと楽しいのに……聞いてくれてありがとう。』

『……どういたしまして♪』

…………え？

あれ？喋った？……？

『えっと、モニカ？』

『はい、ミシェルさん。』

！？

『……喋った！……あれ？夢？』

『ではございませんことよ？ミシェルさん？』

ミシェルは自分のほっぺをつねってみた。

『！いひゃい！……夢じゃない！モニカが喋った、モニカが喋った！！』

『あらあら、ほっぺが赤くなっていますわよ？』

モニカが微笑んで、そっとミシェルの頬に手を当ててくれた。

『ご機嫌よう。わたくしはモニカ。ミシェルさんのお人形。ミシェルさんが大事にしてくれたおかげで、わたくしは自由な身体を手に入れる事が出来ました。』

『ほんとうにほんとうなの？でもどうして？』

『ええ♪ほんとうですわよ。ココロだけだったわたくしをミシェルさんは本当に大事にしてくれました。ミシェルさんの愛でわたくしは魔物娘……リビング・ドールになる事が出来ましたの。』

そう言ってモニカはミシェルの手に手を重ねた。温かくて……柔らかい。

『そーなんだ……ほんとうにほんとうなんだ……』

『……わたくしが……その……怖いのですか？』

『ううん、ぜんぜん！すっごく嬉しい！』

『あらあら、そんなにはしゃいで……こほん、はしたなくてよ？ミシェルさん。レディはもっと上品に、お淑やかに、エレガンテを大切になさいな。』

モニカはお澄まし顔でミシェルにお説教。

『ふふふ♪思ったとおり、モニカっておしゃまさん。』

モニカは少しむっとして、でもかわいい。

『お返事は？』

『うん！』

『レディはきちんと"はい"とお返事なさい！』

『はーい。』

『ちょっとぎこちないですが、よろしいですわ。』

『ですわー♪』

『まぁ！……クスクスクスクス♪』
『クスクスクスクスクスクス♪』

ミシェルはほんとうに幸せ。大好きなモニカに……大好きなパパに……大好きな……パパ…………

『……ミシェルさん？』

『ううん……何でもない。』

『わたくしはあなたのお人形……何でも打ち明けてくださいまし？』

『……ミシェルはね。パパが好きなの。大好きなの。……でも今は子供でも、いつかミシェルは大人になる……そしたらミシェルはパパを離れなきゃいけないの。でもそれは、ミシェルのワガママだって……ミシェルの気持ちは変なの。いけない事なの！』

『変ではなくてよ？ミシェルさん。』

『いけない事なの！！……ミシェルはパパのこと……男の人としても大好きなの！……でもパパはミシェルのパパだから……だから、パパとはけっこん出来ないのっ！！ぅぅえ〜〜ん……』

モニカはミシェルをぎゅっと抱きしめて、涙を小さな手で拭いてくれた。

『あらあら……泣かないでくださいまし。リートベルク伯のこと……ミシェルさんはほんとうに愛していらっしゃるのですわね。』

『うん……ぐすっ……あいしてる……』

その時、モニカの雰囲気？が変わったの。

『もし、ずっとずっとリートベルク伯と一緒になれたらミシェルさんは嬉しい？』

『うん……』

『もし、リートベルク伯とほんとうの意味で愛し合える身体が手に入るとしたら……ミシェルさんは欲しい？』

『うん……』

『後戻りは出来なくてよ？それでもよろしいのですの？』

『うん……欲しい……パパと離れたくない。』

『決まりですわね♪』

ん！

ん……ちゅ……れろ……れる……はちゅ……

キスして？……舌が？……きもち……い……い……

ポス……

モニカに……押したおされて……

ちゅ……くちゃ……れろ……くちゅ……ちゃっ……

『ぷはっ……ミシェルさん、レディらしい素敵なお顔をしていましてよ♪』

キスってこんなに……きもちいいんだ……

『はぁ……はぁ……はぁ……ん……』

『わたくしの魔力をミシェルさんに差し上げます……もともとは、ミシェルさんから頂いた魔力ですので馴染むのは早いと思いますわ♪』

モニカの青い目から不思議な光り……あれ？カラダが……あつい……あついよぉ……

『大丈夫……大丈夫ですわ。……さぁ、身を委ねて……秘密の遊びを始めましょ？』

プチプチ……スル……

スル……スル……

いつの間にかハダカになって……モニカもハダカになって……

『まぁ……とっても綺麗ですわよ？ミシェルさん♪白い肌……胸の先……桃色でとても可愛らしい……』

ヒタ……

『ひう！……あっ……』

モニカの手……きもちいい……

ヒタ……ヒタ……ツーー……

お腹をなぞるの……だめっ！

ビクンビクン！

『ぁぁ……いっ……❤』

『さぁ、ミシェルさんも触って下さいまし？』

そういうとモニカはミシェルの手を取ってモニカの胸に

ぺた……

柔らかい……すべすべ……

もにもに……

『あっ……いゃ……ん……くっ……ふふふ♪ミシェルさん、お上手ですわ❤』

するとモニカは魔法？ポルターガイスト？で香油の入ったボトルを手に取った。

キュポン！

トロトロトロトロ……

『あら？この香油……少しですが魔力を感じますわ。……それにしても良い香りですわね♪』

モニカは薔薇の香りの香油をカラダに塗りだした。月明かりに光ってとてもキレイ……

『こうして……くっつくと……ふふ♪とても心地よいのでしてよ？』

ぎゅっ……ヌルヌルヌルヌル……

くっついて……変なの……でもすごく……きもちいい……

『はぁー❤はぁー❤』

『ん❤……ふふ❤やぁ❤』

ちゅ……れろれろ……ちゅちゅ……

くちゃぁ。

へ？

あっ❤やぁ❤

なにこれぇ？

モニカの手がおまたに……

『ふふふ♪レディのひみつの場所ですわ❤もうこんなにヌルヌル……ほら、わたくしのも……』

『モニカのひみつのばしょ？』

……くちゃっ。

『やん❤』

ヌルヌルだぁ……モニカかわいい❤

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『や❤あっ❤あっ❤あ❤あ❤あ❤お上手……ですわ❤❤さぁ、触り合いっこしましょ？』

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ

ゆびが……あっ❤

『ここ、きもちいいトコロですわ❤』

ひゃい！？

電気がビリビリしたみたい……なにこれぇ？

『クリトリスですわ。レディのひみつの場所のひみつの蕾ですの。さぁ、わたくしのも❤』

『ここ？』

ちょっと、コリコリしてるおマメさんみたい……つまんじゃえ☆

きゅっ。

ビクンビクン

『はぁん❤もぅ❤やさしくしてくださいまし❤』

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『もにかぁあ❤へん❤これっ❤へんなのぉ！』

『そのまま❤あん❤がまんしないでぇ❤いって❤あ❤』

なにこれぇ？なにかくる！くるくるくるくるくるくる！！！！

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ


『『ーーーーーーーーーー❤❤❤❤❤❤』』

ぷしゃぁぁぁぁぁあ……

お漏らし？

でも、いいや❤

カラダがふわふわ……ふわふわ……

『はぁ❤はぁ❤ん……』

メキメキ……

あれ？

なんの音？

頭が……

『まぁ♪愛らしい角……』

モニカの声……

ギチギチギチギチ……バサっ

『ふふふ♪ステキなコウモリ羽。』

ズルズルズルズル……

『キレイな尻尾♪ようこそミシェルさん♪こちら側へ❤』

角？……羽？……尻尾？

あれ？

『モニカ？ミシェルはどうしたの？……や！ミシェル裸ん坊さんだ！あっ！モニカも！』

ちょっと恥ずかしくてミシェルはシーツを掴んでモニカと一緒にくるまったの。

『？ミシェルさん？』

『どうしたの？あれ？なんか角生えてる！！尻尾だ！羽だー！パタパタだー♪』

『その……気持ち良かったですわね？』

『ん？どうしたの？？』

『その……覚えていないのですの？』

モニカは不思議そうな顔をしてる。なんでだろ？ミシェルも不思議な顔になっちゃう。

『うん？ミシェルがパパのことモニカに相談したら、角と尻尾と羽がパタパタなの！モニカがミシェルの為にくれたんでしょ？』

『え、ええ……』

『ありがと！モニカ！これでミシェルはパパとモニカとずっと一緒！』

『ええ……そうですわ❤(……おやおや、珍しいことですわね。ミシェルさんはただのサキュバスにではなくて、どうやらアリスへと変わったようですわ。なんて素敵なんでしょう♪純粋さを忘れない永遠の乙女……ずっとずっと変わる事の無い至高の少女に♪)』

『パパも喜んでくれるかなぁ？』

『ええ♪きっとですわ！』

『ですわーー♪』

まぁ！とモニカはおしゃまに笑うと、レディのたしなみを教える必要がありますわね！ってミシェルに言った。

モニカのお話しだと、パパもこちら側？に来る必要があるみたい。インキュバス？にしなきゃなんだって♪

待っててね♪パパ❤



つづく……

■作者メッセージ
お読み頂きありがとうございます。それからリクエストして下さったロボット4頭身様ありがとうございます。

ロリ2人のオイルプレイはやりたかっただけでごぜーます！

長くなりそうですので上下編を予定しております。次回、お父さまたじたじの巻！

ではまた！