連載小説
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彼らの節分
雅史の件が片付いて数日すると、今日は節分だ

和也「節分、だな」

楓『ですね』

和也「何かしたいわけではないが、な」

雫『わかりますそれ』

和也「…」

特に仕事もなく、ゆったりとした時間が過ぎていく

瑠璃『豆まきする?』

和也「夜にでもやろうか」

なんて過ごしていると昼食時だ

和也「何か作るか…」

そのまま常備菜の油抜きをした油揚げを砂糖、醤油、味醂で煮ていく

楓『何を作るつもりですか?』

和也「もうじきわかるさ」

そのまま蕎麦を隣で茹でる

雫『きつねうどんなら知ってますがこれは…』

和也「きつねそばだな」

瑠璃『まあ、蕎麦でも美味しいとは思うけど…』

そうしてきつねそばが出来上がる

和也「では、いただきます」

そのまま食べ進む

楓『そういえば』

和也「?」

楓『そういえば和也さんとお師匠さんの出会い、聞かせてほしいです』

和也「あー、そういえば言ってなかったな」

俺には師と尊敬した人が居た、既に病で故人だが

雫『気になります』

和也「とりあえず食ってしまおう、話はそれからだ」

瑠璃『うん』

そして…

和也「一応言うが楽しい話ではないぞ?」

楓『…覚悟の上です』

和也「なら」

まずはそもそも自分もいじめの被害者であったことを話す

雫『…』

和也「で、そんな俺にも行きたくない学校に行っていたのはひとつだけ楽しみがあったからだ」

瑠璃『楽しみ?』

和也「帰り道にある空き地で子犬を育ててたんだよ」

楓『…』

和也「その日も行ったが、加害者がついてきていた」

雫『…』

で、そいつらは俺をまた袋叩きにしようとしたがその子犬は俺を助けるためにそいつらの一人に噛みついた

瑠璃『まさか…』

和也「そう、俺を逃がそうとしたんだが、サッカーボールのように蹴られ続けた」

楓『酷いことしますね…』

和也「その時、俺の頭のなかに直接声が聞こえた。このまま大切なものをみんな奪われるのか?今の君に何が見える?とな」

雫『…』

和也「今までの俺と同じだ。そう感じた」

瑠璃『和也の心の声?』

和也「それはわからない。だがそのあとに君は知っているはずだ、大切なものの守り方も、そして敵の叩き潰し方も…とさらに聞こえてきた」

楓『…』

和也「ちょうどお誂え向きにビール瓶が近くにあった。うち一人はナイフを持ってたこともわかっていたからな、そのままただ吼えながら好き勝手にさせない、みんな叩き潰してやる…とまずはナイフを持ってた奴の後頭部をビール瓶で叩いた上で股間を蹴りあげた」

雫『反撃開始ですか…』

和也「で、残った二人はまず一人がナイフを拾っている隙にもう一人を叩こうとしたらコンクリートにぶつけて鈍器から刃物になったのを利用して破片を投げつけた」

瑠璃『…』

和也「で、もう一人がナイフを拾って切りつけようとしてきたところをそいつの腕めがけて刃物になったビール瓶を突き刺した」

楓『うわぁ…』

和也「そのまま起き上がってきた最初の奴の顔めがけて突き刺そうとしたが、頬は切り裂いたけども外れた」

雫『この頃から怒らせると危険なタイプだったんですね…』

和也「いや、あれまでの怒りは本当の怒りではなかったんだと思う」

瑠璃『で、どうなったんですか?』

和也「子犬は助かった、主犯の三人は最初のやつはそれで精神を患って精神病院行き、もう一人は突き刺された腕が使い物にならなくなって、逃げたやつはこの件が原因で引っ越したあとに事故死した」

楓『なるほど…』

和也「その子犬は、俺の知り合いの家で天寿を全うして魔物になった。と言うより俺が仲人したし」

雫『なるほど…』

和也「って病院に運ぶまでの事は師匠がそう言ってた。俺の記憶そこが曖昧なんだよ。暴れる前のところから子犬を病院に連れていったところまで記憶が飛んでる」

瑠璃『仕方ないですね』

和也「で、そこから師匠との思い出に繋がっていくわけだ」

楓『なんというか、その三人が居たからあなたの心にある無慈悲な鬼が目を覚ましたのかも』

和也「節分だけに、か」

雫『だから雅史さんの時の話も否定側だったわけですね』

和也「思った通り反省もなにもしてなかったから重石着けて沈めてやるかとも思った」

瑠璃『なるほど…』

和也「ある意味、あの一件で俺の人格は変化したとも言えるかもしれない」

楓『だから迷わずにあの元勇者も殺そうと…』

和也「ああ、何かあってからでは遅い」

雫『なるほど…』

そうしていると夕方になっていた

和也「豆まきの準備するか」

中庭に煎っていない大豆を用意して向かう

和也「では」

瑠璃『鬼は外ー!』

楓『福は内ー!』

そのまま豆を撒いていくが…

雫『鬼は外って言わないんですか?』

和也「悪鬼は外だが話の通じない鬼ばかりではないだろうってな」

瑠璃『確かに』

和也「なら、飯にしようか」

楓『はい♪』

今度は三人が作ってくれるらしい

和也「…」

待っていると、完成したらしい

和也「お、手巻き寿司か」

楓『今年は西南西らしいですよ』

和也「なら…」

できていた巻き寿司を向いて食べていく

和也「…おわり」

雫『…終わりです』

瑠璃『…おわりっと』

楓『…終わりましたね』

和也「さて、そろそろ風呂かな」

楓『ふふ…💕』

雫『…♥️』

瑠璃『…❤️』

和也「?」

楓『次はこっちに豆まきです💕』

和也「あ、はい」

どうやらまだ終わっていなかったようだ

彼らの節分 おわり
20/01/30 23:35更新 / サボテン
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■作者メッセージ
どうも、サボテンです

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