読切小説
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ちょいウザかまってちゃんな天使が全力でアタックしてくるだけのお話
 

「ん? 目覚まし、じゃないな。玄関のチャイムが鳴ったのかな。はーい、今出ま――」

「――あなた、愛は要りませんか?」

「えっ」

「愛です! 要りませんか!? 要りますよね!?」

「………………」

「主の御使いが、あなたに愛を施しに参りました!」

「すみません。そういうの間に合ってますので」

「……そうですかそうですか〜」

「あっ、こら、やめてください、なに普通に家に入ってこようとしてるんですか」

「愛……入りませんか? 愛ですよ?」

「入りませんし、要りません。ウチは怪しい勧誘とか訪問販売は全部断りなんです。ほら出てください、ほらっ」

「あっ、やだっ、少しだけ! す、少しだけお話を聞いていただけるだけでも構いませんから!」

「イヤですよ、どうせこういうパターンって話だけじゃ終わらなくて…………」

「フフッ、我が主の愛に対する説法を少しだけ……5、いや4時間だけでも!」

「長っ! 話だけでも予想外に長いな!!」

「それだけで今日のとこは勘弁してあげますから!」

「しかももう次回の存在が確定してるんですか!? これはヤバい、ヤバいやつだ……と、とにかく出ていってください、塩撒きますよ!」

「あっ……やだっ♥ そんな強くっ、ズンズンって押さないでぇ♥ 男の人の腕って、おっきくて太いぃ♥」

「なんでこのタイミングでそんな悩ましい声を!? ひとんちの玄関でそれはやめろっ、ご近所さんに聞かれたらどう弁解するんだ! 出、て、け!」

「ん、んぎぎっ…………い、いやー、ですっ! 愛に飢えて乾いた砂漠のようなあなたを慈悲の雨で包みこむまで、わたしっ、帰りませんっ!」

「余計なお世話だ! あっこいつ背中に生えてる羽ねじ込んできた! 玄関の中に!」

「ほら、今ドアを閉めたらわたくしの清らかで美しい翼が痛ましく挟まってしまいますよ!? いいんですか、あなたはそんなにも悪逆非道なのですか!? 慈愛の心はないんですかっ!?」

「………………」

「……フ、フフン、動きが止まりましたね。ああ、よき心がけです、じつに愛ですね! そうでしょうそうでしょうあなたもようやく理解できたようですね、こんなに愛らしい天使を邪険に扱うなど鬼畜の所業で」

「………………せいっ」

「あ、あァァーーっ!! い、イタタッイタタタ! 天使の羽が挟まれていったーーいッ!!」

「……そしてもう一度開けて、羽を外に出して、と。じゃ、僕はこれで。気をつけて帰ってくださいね」

「うぅ、ふぇぇ、羽がぁ……っ!」

「あ、もちろんもうここには立ち寄っちゃダメですからね。次はポリスメンを呼びますからね」

「ふぇぇんっ……! い、いぎぃぃ…………」

「いや、そこで倒れられてもすごく迷惑なんですが」

「ひぎぃ……おほぉ……も、もうらめぇ…………っ」

「そ、そんなに強く閉めてないですよね? というかその苦しがりかた、なんかウソくさいような――」

「――っと見せかけて隙アリーっ! わーいっ、おっじゃまっしまーーすっ!!」

「あっ、こら! ちくしょう弾丸のように飛んで部屋に入っていった! 全然元気だったよやっぱり!」

「いやー、中は意外と片付いてるご様子でー!」

「靴まで脱ぎ捨てて、完全に居座る気ですね?」

「ああ、そしてなんという清涼感! 主の恵みはこのような男やもめの部屋にも及んでいたのですねっ!」

「クーラーだそれは! しかも失礼!!」

「さあさあ、主の愛について語り合いましょう! ねっとりじっくりと! ――と、その前に……ベッドの下からチラ見えする雑誌、なにやら気になります!」

「やっ、やめろーー!」

「ウェヘヘへ、いいじゃんよぉ、照れるなよぉ〜!」

「なんだその気安さ! なんで男子高校生の腐れ縁友達みたいなノリで家探しを!? あっ、ちょ」

「コミック『RO』8月号……? なになに、『夏の大特集! 無知な清純系ロリを自分色に染め上げる!』……って、キャーー! キャーー!!」

「もういっそのこと一思いに殺してください」

「やっ、やだ、まさかあなた、わたしのことをそんな欲望に満ちた目で!? こうしてるだけでも辛抱たまらんって!? はわ、はわわっ……!」

「いや、さすがにそれはないです。初対面だし」

「だってほら、わたし以上に清らかなロリなんていませんよ!?」

「清らかな人は他人の家に押し入ってエロ本読まないと思うんだよなぁ…………ロリではあるけど」

「あ、でもわたし、ロリはロリでもおっぱいあるほうのロリですからね! そこを勘違いしちゃあいけませんよ?」

「勘違いも何も、今のところ胸の話全く出てませんでしたよね? ……もういいや、このままではラチがあかないのでとりあえずそこに座ってください」

「そこって、このイスですか?」

「はい。……では最初の質問から始めましょう」

「え、なんです一体、机越しに向かい合って!?」

「話が進まないまま部屋で好き勝手されるよりは、こっちから会話をリードした方が有利になると判断しました。まず、そちらのお名前とご所属を」

「途端になにかの面接のように!」

「そちらのお名前とご所属を」

「い、いいでしょう、答えましょう! わたしはナーザーファリン、愛の女神エロスが奉仕者の1人! 慈悲の尖兵たるフーリー、天使にして美心と愛欲の伝道者! 気軽にナズたん♥とお呼びくださいませ!」

「はい。では次の質問です」

「なんて薄いリアクション!!」

「ナズさんの、ここへの志望動機を教えてください」

「えっ!? ……ええっと、愛を知らぬ者に主の愛を伝えるため…………とか?」

「なるほど。なら僕の所ではなく他の家でも良かった、ということですね。ではお疲れさまでした、あちらが出口になります」

「終わるの早くないですか!? 完全に不採用のパターンですよねコレ!! あなた、話の流れでとっととわたしを追い出す気ですね!?」

「そんなことないワケないじゃないですか」

「させません、させませんよ! ほら、まだ訊けること訊きたいことがたくさんあるでしょうに! 天使ですよ、褐色肌の愛の天使! 珍しいでしょう! 麗しいでしょう! 尊いでしょう!」

「……それなら、年齢とか」

「あ、それはタブーです」

「………………………」

「じゃあ、花も恥じらう乙女なお年頃です!」

「じゃあって付いた時点で相当胡散臭いうえにだいぶそのフレーズ古いですよね? ええっと、なにか資格や経験は?」

「経験はありません! 永遠の新妻ですから!」

「ちょっと意味がわかりませんね。ナズさんの特技は?」

「ウフ、特技は長いモノをこのおっぱいとお口で優しく包んであげることですっ♥ ほら、れろぉ…………くぽっ、んちゅっ♥ って、たくさん練習したんですよっ!」

「実演はやめてください。というかそれって特技なんですかね」

「もちろんです! 殿方に愛をお伝えするための様々な手練手管、わたし完ペキです♥」

「…………………………ビッチ?」

「あーーーーそれわたし達への最大の悪口だって一番言われてますから!! 訂正っ、訂正を要求します! それか確認してみてくださいっ!」

「躊躇なく下着を脱ごうとしないでください。というか着てたスカートは既に床に落ちてるんですけど、いつの間に脱いでたんですか?」

「ぷりーず、ちぇっくみーーっ!!」

「ノーセンキューです。まあ、確かに言い過ぎた感はあるのでそこは謝ります」

「いえーす! 分かっていただけたのであれば構いませんよ! 天使は慈悲深く寛大ですからね!」

「ならスカートも履き直してくれませんかね」

「で、次のご質問は? ほら、お見合いならもっといろんな質問があるでしょう! 好きな体位とか、憧れの体位とか!」

「執拗なまでに体位について尋ねてくる相手とのお見合いなんてしたくないなぁ……」

「ほら、かもーん!」

「…………はぁ、もう聞くしかないですかね。結局、そちらは本日どんな用でここに来たんですか?」

「あ、聞いちゃいます? それ聞いちゃいますか!?」

「やっぱりやめます結構です」

「ウフフーわたしはですねぇ! 本日付けであなたの担当として下界に赴く許可が得られたのでっ! 今日からあなたとともに女神エロスへ愛による信仰を捧げるべく参りましたのですよーっ!」

「うわぁすごく嬉しそうに話し始めちゃった」

「我々天使フーリーにとって愛を紡ぐことは義務であり権利であり最大の喜び! そしてきっとあなたもすぐに『あ〜ナズたん♥もう手放せないんじゃあ〜』とあっへあへになるくらいご満足いただけるはず! 一家に一人! 一家に一人ナズたんですよ!!」

「家電かな?」

「今ならもう一人……はちょっとわたしが独り占めできなくなるのでナシで、フフフ、わたしが頑張って大サービスして七十二人分くらいの存在感を出していく所存ですっ!」

「もう既にこちらがお腹いっぱいになるくらい存在感は出てると思います」

「えへへぇ…………」

「残念ながら褒め言葉じゃないですからね? ……とりあえず、もう結構ですよ。充分伝わりました」

「分かっていただけましたかっ!?」

「はい。分かりました」

「やったーー主よ照覧あれーーーーっ! わたし、大勝利ですよーーーーっ!!」

「ではナズさん、後日に採用通知をお送りするので少しお待ちください。本日はお疲れさまでした」

「おっつかれさまっしたぁーー!!」

「あ、スカートと靴は忘れずに履いてってください」












「すんませーん、宅急便ですー」

「…………あ、はーい」

「お届けものでーす」

「はいはーい、ハンコいりますかー?」

「お願いしやーす」

「Amaz◯nからかな……? よっと、どーも――」

「――まんまと騙されましたね! わたしですよ!」

「………………」

「ささ、とりあえず玄関で立ち話もなんですから中に入れてくださいな。いやはやお外は暑くてたまりませんねぇ」

「…………まさか、佐◯の制服着てダンボールまで抱えて来るとは」

「ドアスコープですら騙し通す天使の変装術です!」

「すんごい自慢げな顔された……。ハンコまで持ってきたこっちがものすんごいバカみたいだ……」

「なに言ってるんですかハンコはもちろん使うからお願いしたんじゃないですか! こ・こ・に! サインお願いしやーす!!」

「ダンボールの上に貼ってある紙、よく見たら婚姻届だった! なにそれ怖い!!」

「あ、ボールペンありますけど使います?」

「書きませんよ? 名前なんて絶対書きませんよ?」

「えぇ……それだとお荷物お渡しできないじゃないですか……」

「え、まだ宅配の人だと僕が信じてると思ってんですか? さすがにそこまで間抜けじゃないですよ?」

「まあ、中身はわたしの着替えその他諸々なんですけどね!」

「なるほど。では受け取り拒否で返送お願いします」

「させません! させませんよー!! ここで今ドアを閉めたら、わたしは外で『……っかー、再配達ってあったのにマジかぁー……。あ、お隣さんスか? いやぁ、ここの家の人なんスけどぉ、なんか留守みたいでぇ』ってやりますからね!」

「宅配の演技こなれすぎだろ! しかもなんでちょっとチャラい運ちゃんみたいな役なんだよ!」

「で、 アパートのお隣の部屋に預けられます。このダンボールが。中身はわたしのロリエロきわどい衣装です」

「最悪だ!!」

「というのはイヤですよね? じゃあ、おっじゃまっしまーす! いやっふーー! すっずしー!!」

「あああ、入っていってしまった……。一目散に扇風機の前に走っていって涼んでる……うん、まあ重そうなダンボール持ってたもんな……」

「あ゛あ゛ぁ〜〜効きますねぇ〜〜〜〜」

「おっさんかな?」

「服、脱いでいいです?」

「完全に自宅感覚になってますね。絶対ダメです」

「と言いつつ、差し出された麦茶にわたし感動しています! ああ、素晴らしきは愛ですね!!」

「汗だくになった翼生えてる人が床に横たわってたら、そりゃまあ水くらいなら出しますよ」

「あぁ……少し頭のぼんやりが取れてきました」

「完全に熱中症一歩手前じゃないですか、演技に全力すぎやしませんかね」

「ごくっ、ごくごくっ…………ぷぇぇ」

「力尽きる寸前で泉の水を飲んだメロスってこんな感じだったんだろうな……」

「力尽きる寸前って、あなたがそうさせたんじゃないですかー! もー! んもーー!!」

「もう元気に立ち上がった! 回復力高いな!!」

「この前送るって言ってた連絡、ずっと来ませんでしたし! そもそもあなた、わたしの住所すら聞いてませんし! あなたウソをつきましたねー!!」

「いや、まあ、はい。だって送ったらまた押しかけてくるでしょう、強引に」

「そりゃあ来ますよ! 天使ですもの!」

「ナズさんが言うと謎の説得力がありますね」

「じゃあ、ハンコ! サイン! お受け取りを!」

「しませんから」

「な゛ん゛でですかぁ〜〜!!」

「あっつ!! 羽で包みこまれるの蒸しあっつ!!」

「天使の抱擁ですっ! …………あっつい!!」

「拷問だコレ! しかも自分もダメージ受けてる!」

「あ、でもこの距離、あなたの汗のかぐわしい匂いがっ……すんすん、これが殿方の汗臭なんですねぇっへっへっ……」

「変態か!!」

「――むっ!! いや、むしろこれ、あなたの汗が蒸散して気体になってそして今わたしの汗と混ざって一つになっているのでは!? この一体感、もはや性交と言っても過言ではないのでは!? ふぁぁ、なんか興奮してきましたわたしっ!!」

「想像を絶する変態だった! ちょ、こら、離せ!」

「ああんっ♥ ごちそうさまですぅ♥」

「く、麦茶の仏心をアダで返された感じだ……」

「ウフフ、 しかし見たところペアグラス諸々はないみたいですねー、わたし安心しましたよー」

「しかもプライベートな情報も抜き取られてる……」

「では、今日の説法と参りましょうか!」

「汗だくで佐◯の制服着た褐色肌の天使に説法されるって、かなりレアな経験かもしれないと思いました。嬉しいかどうかは別として」

「そうでしょうそうでしょう!」

「嬉しいかどうかは別として!!」

「さて本日は女神エロスの教え、ぜひ最初の章だけでも覚えて帰ってくださいね!」

「帰るもなにもここ、我が家です」

「まず女神エロスは我々に向かってこう言いました……………………ちょっと、その前に服脱いでいいです? おーけー?」

「服が汗びっちゃりで気持ち悪いのは分かりますが、この場で脱ごうとするのはノーセンキューです」

「おーまいがっ……! 今さらながら、殿方の前でこんなお見苦しい姿を晒してしまっていることが、わりとマジメに恥ずかしくなってきたナズさんですよっ……!」

「…………シャワーなら、ありますけど」

「よ、よろしいのですかぁーー!?」

「積極的には勧めたくなかったんですが、まあどうせしばらく居座られるのであれば仕方ないかな、と」

「じゃあすみませんが、お借りしまぁーす!」

「どうぞどうぞ」

「……あっ、わたしシャワー先に入るからっ、少しガマンして待っててね? あ・な・た♥」

「唐突に雰囲気出そうとしてもムダですよ、なぜならここは我が家で、ナズさんが着てるのは佐◯の制服だからです」

「ちぇー、つれませんなぁ! ……あっ、でもっ、着替えとかっ…………その、今わたし持ってなくてっ! あなたのワイシャツだけでも、貸してもらえたらとかっ……!」

「そこに転がってるダンボールの中身の出番ですね」

「そうでしたー、てへーーっ!!」

「はいはい、どうぞ入ってきてください。もちろん覗いたりしないので、そういうリアクションも要りませんからね」

「手強いっすなぁー! じゃ、失礼をば!!」

「……………………」

「……………………」

「…………やっと静かになっ――」

「――――ふふふーん! ふーん♪」

「ってなかった! 鼻歌かコレ!?」

「……ふぇーん♪ ふーふーん、ふぇーん♪」

「風呂入って大声で鼻歌始める人なんて本当にいたのか、都市伝説レベルだと思ってた……」

「……ふーふふー♪ ふふん、ふふなー、わー♪」

「でも意外と歌が上手いぞ、声も結構キレイだし。天使だから? 歌詞は雑にもほどがあるけど、何かの賛美歌とかなのかな」

「……べん、べん……どぅん……どぅどぅん」

「って、アカペラのベースまで始まったんだけど」

「ぶっつっぱっつっ、どぅつつどぅつかつつぱっ」

「今度はボイスパーカッションだコレ!」

「……どぅーー、わーーーー♪」

「コーラスまで含めて一人で歌いきってるし……。あの人やたらと器用だな! というかめちゃくちゃ風呂を満喫してるなぁ、他人の家の風呂を……」

「――あ、すみませーん! タオルー、タオルお願いできますかー?」

「あー、風呂出てすぐ右の棚ですー」

「……覗かないんですかー?」

「覗きませんよー」

「………………」

「………………」

「…………………………ふぅ。どうもでしたー」

「いえ、お構いなく。なんか羽って、そんなにほっこほっこ湯気立てるもんなんですね」

「お手入れ大変なんですー……ややっ、これはっ!?」

「アイスですね」

「まさかまさか、わたしにですかっ!?」

「まあ、そう捉えていただいて構いません。あ、ドライヤーはそっちです」

「なんと、感謝します! ひゃぁーーアイスキャンデーが冷たーーい!」

「ちなみに、なにか下心があるとかではないと先手を打っておきますからね」

「…………以心伝心ですねっ!」

「残念ながら、これは受けた被害に対する学習能力の発揮なんだと思います」

「んちゅぅ……♥ ちゅる、ぢゅるるっ……♥ ず、ずぞぞっ♥ んぼっ♥ ずぞっ、ずちゅるるぅっ♥」

「ほらまたそういうこと始める!」

「想像しました? 想像しちゃいました!?」

「悔しいことに想像しました。そしてナズさんはやっぱり想像通りの存在でした」

「清純でありながらしかし淫靡、そんな双極併せ持った存在! 愛の天使フーリー、ナーザーファリンですっ!!」

「今のところ清純な要素はフェムトグラム程も出てませんけどね。天秤傾きっぱなしです」

「清純派はヨゴレキャラですって!?」

「言ってませんよそんなこと!!」

「ええ、そうですね、わたしには汚れている部分など一切ありませんからね! 排泄物ですらおシリからしゅわぁっと無臭でピンクの霧になって出ますからね! イッツ清らか!!」

「……………………さっきまでの汗は?」

「あ、あれも清らかなんですぅー!! きっと我らが主が、信徒達の汗フェチ需要を満たすためとかそんな感じで付けたもうた機能なんですぅー!!」

「人間、業が深いものですね」

「いえーす! しかしそれを無限の愛で包みこむことこそが、天使の役目っ!!」

「さっき包みこまれたのは僕のような気がしますし、汗フェチっぽかったのはナズさんな気もしますけどね」

「人は欲深い者である! しかし、我が主や天使達はそれを決して見捨てることはありません! 今日はそのことを理解していただけたのであれば、わたしがこうして出向いた甲斐があったというものですね!」

「ムリヤリ良い話っぽくまとめてるような」

「ではまた! 良きもてなしに主も感謝していることでしょう! 次の説法にご期待ください!!」

「あ、帰ってった! ……結局何しに来たんだ!?」

「………………っとと、佐◯の制服は置いていきますけど、くんかくんかしちゃメッ、ですよっ! あでぃおーすっ!!」

「するか! というかわざわざ戻ってきたなら回収していけ!!」










「外、あっついなー……。コンビニ行って帰る距離ですら、もうダルくて仕方ないな……」

「わん、わんっ!」

「ん? あ、犬だ。リード付いてるけど、飼い主から離れちゃったのかな」

「わふ!」

「人懐っこい! うわー、かわいいなぁ。かなり人に慣れてるんだろうなぁ、この子犬」

「わふ、わふっ!」

「よしよし、毛をわしゃわしゃしてあげよう」

「――――あのー、すみませーん!」

「あ、誰か走ってくる。多分この子の飼い主さんだな。急いで来てくれたぞー、よかったなーおまえー」

「わふん!」

「――――はぁ、はぁ、あ、ありがとうございます! なんかその子、いきなり走り出しちゃって……」

「いえいえ。この子の飼い主さんですよね? 散歩ですか? すごく人懐っこい子ですねぇ」

「はい、わたしがその子の飼い主――――――と見せかけて、ドーモ! ナーザーファリンです!!」

「……………………え、えぇぇぇ……」

「『アニマル足止め作戦』大成功ですねっ!! これにはユーもさすがに驚いたでしょう!!」

「さすがに、目の前でビリっと変装マスクを剥がされた経験なんてこれまでありませんでしたよ」

「ははぁん…………初体験ですね?」

「そこだけ抜き出すのは意訳な気もしますが、まあ間違っていないかと」

「ぐーっど! やりましたねー、クーちゃん!」

「ナズさん、イヌ飼ってたんですか?」

「いえ、今日のために借りてきました! 姉から! 予習とリハーサル、ゲネプロまでばっちりです!」

「気持ち悪いくらい綿密な作戦だったんですね」

「この子はクー・シー(予定)のクーちゃんです!」

「作戦に反してなんて安直な名前なんだ」

「……あの、そろそろ背中の羽出してもいいです? 隠しておくの、少し疲れるんですよねぇ」

「いや、そもそも僕に許可取る必要もありませんが」

「えぇーーっ!? 遂にお泊まりの許可がーー!?」

「そっちは必ず僕に許可を取ってください」

「ダメです?」

「ダメです」

「まあ分かってましたけどね! へっ!!」

「天使がそんなやさぐれかたして良いんですか?」

「あなたが家に入れてくれれば、わたしはクーちゃんまで動員してこんなことしなくても良かったんですよ!」

「あ、こんなことって自覚あったんですね」

「とりあえず…………ほら! こっちの自販機横のベンチに座ってください! あなたにはいろいろと言わなければならないことがありますから!」

「そういえば、こちらからもあったんでした。言いたいことがいくつか」

「えっ………………♥」

「多分その反応の期待には沿えないと思います」

「ぷー! では、なんです?」

「いや、あの。この前、アパートの大家さんに苦情を入れられてしまいまして」

「………………」

「………………」

「…………電気のムダ使い、とか?」

「騒音、ですね」

「………………」

「………………」

「…………夜中に映画を大音量で」

「観てません。というより、あのアパート結構防音しっかりしてるので、普通に窓閉めてたら外にあまり音漏れしないはずなんですよ」

「………………」

「…………心当たり、ありますね?」

「……その、あの」

「はい」

「もしかして、この前のわたしの訪問とか……?」

「そうですね」

「その後日、竿竹屋と焼き芋屋のフリをしてあなたを呼びたてたコトとか……?」

「それもありますね」

「お隣さんを装って晩のおかずが余っちゃったからと訪ねたり、ガス・電気の点検の業者さんの変装をして訪ねたり、酔っぱらって家を間違えた美人OLのフリをしたり男装して長年の友人のフリをしたり田舎から心配のあまり様子を見にきたロリママのフリをしたりお兄ちゃんの所に家出してきた反抗期盛りの義理の妹のフリをしたり蔓延る悪を退治しにきた正義の味方のフリをしたり喜捨を求める托鉢僧や寄付を募るシスターのフリをしたり、とか…………?」

「もはや後半の設定はもうなんでもアリになってましたね。あ、炭酸系とお茶どっちが良いですか?」

「レッド◯ルでお願いします」

「即答! なぜそのチョイス…………まあ、何が言いたいかというとですね、そろそろああいった訪問、やめてもらえないかな、と。ほら、ご近所迷惑になりますし」

「………………」

「…………ナズさん?」

「そのぅ、すみませんでしたぁ……」

「あ、いや、別にそこまでこう、反省しろ! とかそういうワケじゃなくてですね」

「ごめんなさい、おにーちゃん……」

「微妙に過去のキャラ引きずってません?」

「最初は適当にあしらわれたことに意地になってたんですけど……そのうち、なんだか楽しくなってきちゃって…………」

「あー、こっちもちょっと次のネタが楽しみになってたフシはありました。少しだけ、ほんの少しだけですけどね」

「……冷たくあしらわれるたびに、キュンッ♥ってお腹の下のほうがシビれるような感覚があって……」

「おっといきなり共感できなくなってきたぞ?」

「おにーちゃん……わたしね、実はおにーちゃんの家から追い出されて帰った後、おにーちゃんの下着で」

「完全にドロボウだそれは! 返せ!!」

「今もね、なんだかすっごくドキドキして……」

「八割がたレッド◯ルの効果だと思います」

「というわけで、もうわたしを素直にあなたの家にあげちゃえば解決だと思うんですよね? 主は仰りました、人はみな総じて素直であるべきと!!」

「いきなり説法が始まった……」

「ちなみに、この素直というのは欲望に忠実という意味で解釈されることが多いんです!」

「なるほど、スカートに手をやってもぞもぞしている人が言うと説得力がありますね」

「ひゃっ!? み、みみっ、見ま…………す?」

「ナズさんの照れるポイントが分からない」

「うわぁーやっぱりお外ではちょっとムリです! おうち、おうち行きましょ! そちらでなら、まぁ、どうにか!!」

「まぁ、どうにもなりませんけどね?」

「ささっ、早く! かもーん!」

「いやちょっと待ってください、ナズさん! もうすでに僕は、出所不明のお隣さんや謎の工事人が頻繁に訪ねてきて、やけに知り合いが多くて多種多様な宗教に理解のある、正義のヒロインの好敵手っていう扱いをアパートの人達から受けてるんですよ!!」

「にぎやかですねっ!」

「全部あんただよこのやろう! この前なんてポストになんかの入信案内がはち切れんばかりに詰め込まれてましたし、最近やけに部屋のベランダの手すりが羽だらけになってますし!」

「ま、全く身に覚えがございませんなぁ……」

「一昨日なんて、遂にご近所のネコ(?)にすら心配されました! 『難儀そうだね、今度吾輩が相談に乗ろうか?』って!!」

「ネコちゃんがそんな発言を!?」

「過去の事を一つ一つ細かく追求するつもりはありません――が、もうそろそろ家に押しかけるのはやめて欲しいんです!!」

「………………」

「ナズさん、お願いします。この通りです」

「……わたし、あなたの迷惑になっていたのですね」

「迷惑、とまでは言いたくありませんが。まあ、そろそろ厳しいかと。主に周りの目が」

「愛を授けるだなんだと豪語しておきながら、この体たらく。……すみませんでした、本当に。今後強引な訪問は控えるようにいたしますね」

「お願い、できますか?」

「はい。わたしはあなたの助けになりたいのであって、決して障害になりたかったワケではないのです。そこだけは、どうかご理解をば……」

「分かりました。僕も諸手を挙げて全てを許容するとまではまだ言えませんが、そのお気持ちだけでも汲もうと思います」

「感謝いたします。わたし達、最初のお互いの距離感を見誤っていたのかもしれないですね……これでは、天使失格と言われても否定できませんね、フフッ……」

「ナズさん………………」

「――あ、でも今日はお宅に寄らせてください。ほら、クーちゃん今いないでしょ、実はあの子にはもう既にあなたの家の玄関の前で待機してもらっているのです。『迷子のアニマル回収のついでに家にお招きされよう』作戦ですね」

「ナズさん!?」

「さーてっ、それならお宅訪問以外の次の手を考えないとですねー! 次は逆に、あなたがお外に出た時には必ず後ろにわたしが潜んでいる、『あれ……? なんだかBGMがずっと不穏なまま変わらないぞ……?』作戦なんてどうでしょ!?」

「怖すぎるのでやめてください」










「っあ゛ー、ノドが痛いし、頭も……。ゴホッ。まずいぞ、完全にカゼ引いちゃったよ。夏なのになぁ……」

《Prrrrrrr…………》

「……いつつ…………あっ、はい、もしもし? ああ、はい、体調を崩してしまいまして……はい。申し訳ありません…………ゆっくり休め? はは、そうすることにします…………はい、では」

「うわぁ、上司に心配されてしまった……。――ックシ! 早く、早く治さないと。でも、夏カゼって……治りにくかったような……」

「とりあえず水? いや、スポーツドリンク? あとは……なんだっけ? お粥とか? ストック、切らしてたかな……。身体も拭かないと…………」

《Prrrrrrrrr…………》

「また? なんだろう……はい、もしもし」

《もしもーし! 今日もおっはようございまぁーすっ! あなたのナズさん、あ・な・た・のナズさんですよー!!》

「あ……どうも。おはようございます」

《元気ないですねー! 突撃訪問の代わりにこうしてモーニングコールに変えろとおっしゃったのはあなたじゃないですかー! まっ、まさかっ、これもお気に召しませんでっ?》

「いえ、そんなことは決して……」

《ありゃ、本当に元気のないご様子で。どうしたんです、あ、分かりましたよわたし! マジ天使なナズたんの突撃訪問が今さらながらに恋しくなったけれども、邪険に扱った手前ホンネを言い出せない、そんなナーバスな男心…………とか!?》

「いや、それも……違うかと」

《……なんかヘンですね? 声、枯れてるような?》

「……大丈夫です。なんかちょっとだけ元気出てきました。それじゃこれから……出社なので、早めに失礼しますね」

《あっ、ちょっと……!》

「……うん、あの元気さには見習うべきところがあるかもしれないな。まずは、これ以上しんどくなる前にコンビニ行って――」

「――ご、ゴホッ、ゴホッ!!」

「え、えっ…………? まずいっ、立っ……立てない。なんだコレ、ふらふらするのが止まらないぞ、まったく」

「どうしよう……かな、コレ。頭、あっついなぁ……床、冷たいな……すっごく…………」




















「……あ、起きました? えっへへー、来ちゃいましたよー! ナズさんが来ちゃったんですよー!!」

「んもー、カゼならカゼって言っていただければ、すぐさま駆けつけましたのに! ま、わたしにかかればあなたのことなんてぜーんぶお見通しなんですけどねっ!!」

「ああほら、起き上がろうとしなくていいですから! わたしがココに来た時、あなた、ベッドから床に向かってペターンって倒れてたんですからねー? ペターンって!」

「それで近寄ってそっと抱き上げてみれば、『すまない、ナズ……愛しい君を巻き込みたくなかったんだ……!』なーんて!! …………え、そんなこと言ってない? いやいやー、はっはっはー!」

「ウフフフ、にやーり……! ようやく気付きましたね? 実はあなたにさっき、天使の謎パワーで"沈黙"の魔法を掛けさせていただきました! ほら、口がパクパクするだけで言葉が出ないでしょうそうでしょう!」

「つまり今あなたはカゼで無抵抗かつ、"沈黙"で周りに助けも呼べない状態っ……! フフ、フフフッ…………! さあさあ、ここからはわたしの独壇場ですからねーっ! わたし、おんすてーじっ!!」

「――――ということで、少しだけ起きて頭を上げてくださいな。はい、氷まくらを替えますからねー。で、コレが頭に貼る冷たいヤツです」

「頭の後ろが痛かったりはしませんか? ……なーるほど、おっけーですねっ。おノドは渇いてませんか? これ、ハニージンジャーに少しばかりライムを絞ってみたものですが。はい、ゆっくり飲んでくださいねー」

「ありゃ、咳が……。ああいえ、大丈夫、大丈夫ですからねー。こぼれたのもすぐにタオルで拭いちゃいますよ! 今度はスプーンで少しずつ掬うようにしましょうかねぇ」

「ではでは、あーん、ですよ! あーん! はい、どうですお味のほどは? 甘い? 酸っぱい? ああよかった、ちょうど良いさじ加減だったみたいですなー! スプーンで掬っただけにーっ!」

「……ええ、分かりますよ、その睨み顔の意味するところは充分伝わってますよっ! いやーでもこれ、なんか楽しくなってきちゃってますよわたし! いつになくしおらしい様子のあなたに、こうしてひと匙ずつ手作りの品を食してもらえている事実がなんだかお胸にキュンキュンきてます!」

「………………ふむ? どうされましたか?」

「『どうしてこんなコトを』、ですって? ……いやまあ、なんといいますか、別にそう大した話じゃあないですよ? ただ、今日はいろいろとお休みにしようかなー、と。いわゆる停戦ですね!」

「わたしの布教活動も、あなたと愛を紡ぐ作業……の方もまだ未遂で未達成ですが、とりあえずぜーんぶ今は置いておきましょうよ、ね? なによりあなたが元気になるのが先決、ナズさんはそう思った次第です」

「はいもう一口、あーん、と。わたし達フーリーはですねぇ、生まれて物心ついた時から、下界を覗くのが日課というか、最大の楽しみってなもんでして。……あれ、これ話してませんでしたっけ?」

「ええっと、それで、だいたい一人のフーリーは一人の殿方だけを見るようになって、その人の近くに行きたいなーとかなんとか、下界に降りたらたっくさん話してみたいなーとか! まあ、そうなるワケですよ! あなたは最初の時、初対面だーなんておっしゃってましたけどね!」

「なるほどなるほどー、その驚きようは初耳って顔ですね間違いなく! ま、わたしもまだ言うつもりなかったんですけどね! ちょっと恥ずかしいですし! こんな機会でもないと、きっとこういうこと話せませんからねっ」

「……つ、つまり、いろいろ余計なこと言っちゃいましたけど、結局何が言いたかったかというとですね!」

「誰でもないこのわたしが、あなたには付いていますっ!! もう赤の他人というワケじゃあないんですから、何かあったら頼ってくれていいんですよ! むしろ、あなたの天使を全力で頼るべきそうするべき!」

「――といった具合で、まあ、あなたがカゼの時もわたしなら天使なので感染ることもないし、構わず押しかけて来ちゃうぞ、と! そういう宣戦布告……ですかね? あれ、停戦なのに宣戦布告……?」

「ま、細かいことは気にしないでおきましょう! 惜しむらくはこんな普通の私服ではなく、今回はナース服で家に押しかけるべきだったってことですね! まさに白衣の天使っ、みたいなっ!」

「…………だから、その。衣装などなども念入りな準備が必要なので…………次はあんな風に急に切らないでほしいです、電話とか。その、心配します」

「あ、いや、主が心配します。ええ、きっとそうなんです。急いで駆けつけたんです……ってこれは主には関係ない話でした……あ、そうではなくそうではなく」

「う、ウェヘヘへ…………なんですその顔、すっごくヘンな顔になってますよ! 病気すると心細くなるとは聞きますけど…………そんな顔してる人は寝込みを天使にギューっとされちゃいますよっ! 翼ごとガバーッてな感じで、こんな風にーっ!」

「恥ずかしがらないでくださいよぉ、実はさっきなんてあなた、汗だくになってた寝間着も替えられてしまったんです! 何を隠そう、このわたしに! 全身、余すところなく!」

「……なーんて、ご心配は要りませんよ。誓ってお着替え以外の余計なことはしておりません。せいぜいがお身体を軽く拭いたくらいです」

「――というワケで、今はゆっくりお休みくださいな。ご心配なく、天使は病める者を襲うことはありませんから。翼、少しひんやりしてるでしょ? ちょっとだけまた魔法を使ってみました」

「魔法に頼るのは良くないので普段は自制してますが、まあこんな時くらいは大盤振る舞いも許されるでしょう」

「それではゆっくりおやすみなさい、良き夢を。天使が保証します、きっと良い夢になりますよ」























「ふーっ…………あ、まぶたがピクリと。なんと可愛らしいのでしょう…………あら?」

「……んへへ、お目覚めですね? 顔色もだいぶ良くなったものとお見受けします。今は夕方、時刻にして午後の5時。時報もこなす万能天使なナズさんですよっ」

「顔が近いって、そりゃあそうに決まってます。なにせわたし、お毛布の中でずぅっと寄り添って翼で包んで差し上げてましたからねぇ」

「わたしですか? いやー、不覚にも寝てしまっておりました。至らなくて申し訳ない限り……と述べたいところですが、あなたにも責任があるのです。そんな穏やかな寝顔、見ていたらこっちまで眠くもなるってもんですよ」

「それでわたしが起きたのが少し前なのです。母性ってこんな感じなんですかねー、ウフフ。ずっと見てましたよ、あなたの寝顔。こんな距離で見る機会はありませんでしたからね。で、思わずナズさん顔を寄せてちゅーっと、なーんて……」

「ありゃ、ジョークへの反応がないですね? 寝起きだから? ちなみにまだ"沈黙"は効果があるんですねこれが。あなたは今も、声も出せないままひたすら大人しくノドを休め続ける刑に処されているのですよー、神罰ですねっ」

「ということで、起きられたのであれば実にぐっどたいみーんぐ、お薬の時間と参りましょうか! こちらがコップのぬるま湯と、こっちがお薬で準備は万端……なのです、が!」

「まだ足りませんねこれでは、ええ、タチのわるーいカゼを治すにはまだ少し不充分だと、わたしはそう思う次第です。つまり、つまりつまり、お薬も神聖な天使の口を経由なんかすれば効き目が上がって治りやすくなるんじゃないかなー、と」

「いやいやいやー、何を今さら照れてらっしゃるのやら! どうせ先程までもう何度もわたしの方からしていたところ、それがもう一回分増えるだけのことですよ! ……そうですそうです、抵抗はご自身のためになりませんよー。というワケで、ちょっと失礼をば……」

「ん、んん……ちゅ…………♥」

「ちゅっ♥ んくっ♥ んちゅっ、んちゅっ、ちゅぅっ…………♥ えれぇ…………ろっ♥ ぷはっ」

「――はい、そのままごっくん、ですよ! そしていいこいいこーっ、とナデナデしちゃったりしてっ♥ うふへへ、どうでしたか? わたしの初めてのキスのお味のほどは? 甘い? 酸っぱい? はたまたお薬で苦かったり? …………おや、なんですその表情?」

「やだなぁ、初めてに決まってるじゃあないですか! うまいこと引っかかりましたねー、しちゃいましたねー、ファーストキスっ! 故意でしたねー、これはまごうことなき故意ですねー!!」

「照れてるところをもう一回、ちゅっ……♥ っと。そういえば、下界のジンクスにありましたよね、“カゼは他人にうつせば治る”なーんてお話が。んちゅ…………♥ わたしに渡しちゃってくださいな。どうせ天使に病魔など毛ほども効きやしませんし、あなたのカゼならうつされてみるのも一興です……ってね! ん……♥ れるっ……ほっぺは汗で少ししょっぱいですねっ♥」

「んちゅ♥ ん〜〜♥ ……おっとと、コホン、そろそろお着替えの時間ですかね? あまり汗はかかれてないようですが、こういうのは小マメに行うべきでしょう」

「あ、良いこと思いつきましたよわたし♥ お着替え、口でずぅっと繋がったままするんです。服は替えられる、カゼはバッチリわたしに感染る、なんとも合理的! これは採用待ったなし!」

「ではでは、お毛布をどけて、と。お身体を起こしましょうね、腕を上げてくださいな。それから口を軽く開けてくださいね、舌を使ってしっかりお互いのトロトロを絡めませんと……♥ ちゅ、んむっ…………れぇ、ろっ♥ ふっ、ふぅっ♥ んん……んふっ♥ …………ん? ――おや?」

「あ、あらら…………。手で隠す必要はありませんよ、天使なわたしはもうバッチリお察しです。ま、まあ、そういうこともきっとありますよね!」

「朝頃にお着替えした時も……疲れていたりすると? そうなることがあるん……ですよね? その時にもう見てしまいましたから、わたし!」

「それで……ええと、それで、それで。な、なんでしたっけ? うわ、でも、本当にすごい……先程よりも、なんか、下のお洋服がぴーんと張って……」

「あの、つかぬ事をお聞きしますが……。もしかして、だいぶお辛かったり? あっ、こちらを見てくださいよ、お顔を逸らさないでくださいな。少し寂しいです」

「恥ずかしいというならですね、実はですね、わたしもそうなんですよ。…………分かりませんか? お身体を起こした時からしばし、こうしてあなたに胸元をくっ付けておりまして……その、ずぅっとちゅーしてたせいだと思いますが」

「あ、あはは、分かりました? あっ、いきなり身じろぎされると、シャツ越しに擦れて、ちょっと……んっ♥ び、敏感な方なのかもしれません、わたし。これだけでも、その、あの。すごく…………ぴりぴりって♥」

「んぅっ♥ 先っぽ、だいぶ大きくなっちゃってっ♥ ご、ごめんなさい、わたしばかりっ、でもこれ、すっごくっ♥ んっ、くっ♥ わたしっ、あなたの見てる前で、お胸の先っぽをスリスリしちゃってますっ」

「あ、あなた、あなたは辛くないですかっ? わたしばかりこんなっ、よくないですよねっ♥ ほらぁ、あなたのも、触ると服の下でぴくってしちゃってるくらいなんですからっ♥」

「んっ♥ お身体の中の熱を出すのはですね、体調を早く治すためにも……って、もっともな言い訳を考えてみましたっ! これも治療でっ……治療でっ…………治療行為、で…………」

「――――ああもう、ごめんなさいっ♥ そんなご様子のあなたに言い訳とかもうムリです、シましょ、早くシましょっ? 好きです大好きですっ、ずっと好きでした想ってました、わたしずぅっとガマンしてましたっ♥」

「はーっ…………ふ、ふぅーっ♥ わたし、こんなの限界ですっ、耐えられるわけないですっ。 ん、んちゅっ…………んちゅ、んーっ、んーーーっ♥」

「ぷはぁっ♥ か、覚悟してくださいよ、イヤって言ってももう離しませんからねっ♥ これからナズさんっ、あなたのことをっ、お、襲っちゃうんですからっ♥」




















「――おっと、あなたは寝たまま安静にどうぞっ! 最初の時に言った気がしますからね、今日はリクエストにお応えしましてっ♥ ほーら、このわたしのおっぱいで挟んじゃいますからねっ♥」

「あはぁ、下からあなたのギラギラした視線を胸元にすっごく感じますよっ! ピンって張っちゃった先っぽまでじっくりと見られて、わたしドキドキしちゃってますっ♥ 褐色のお肌にピンク色の乳首、お気に召していただけたようでなによりですっ♥」

「それじゃ、おズボンを脱ぎ脱ぎしちゃいましょうねー♥ ……あああ、やっぱり! 朝のお着替えの時よりも、もーっともっと大きくなっちゃってましたね♥ ふーっ……えへ、ピクって跳ねました♥」

「これはもう一刻も早く、わたしのお胸でお包みしてあげなければっ! よいしょ、っと…………あ、あら? ちょっとばかり位置が悪いようで……」

「あ、こうしておっぱいごとあなたの太ももの上に載せるようにすれば解決ですねっ! どうです? 上からちょっと押しつける態勢になりました、気持ちいいですかっ♥」

「ウフフ……跳ねましたねー、おちんちん♥ また……ピクンッ、って♥ そして見上げれば、あなたの気持ち良さそうなお顔が♥ いい子ですね、実に正直でいい子ですよー♥ 思わずわたしのおっぱいまで、おちんちんのせいでフルフルってちょっと揺れちゃいました♥」

「もちろんこれで終わりじゃないですよー、むしろこれからが本番です! ではでは、胸を両側からおちんちんに押しつけてっ♥ すーり、すーりっ♥」

「ゆっくり、ゆっーくり、気持ちよくなってくださいねぇ♥ すーり、すーりっ♥ うえー…………したー…………うえー…………したー♥」

「おちんちん、おっぱいの間から先っぽが出たり入ったりしてますねっ♥ あ、また跳ねましたっ、可愛いっ♥ すーり、すーり……♥ あなたの腰におっぱいが当たるたび、たぽっ♥ って音がするのがなんだかいやらしいです♥」

「いやらしいと言うなら、わたしの今の態勢、あなたから見えますか? 見えませんよねー、翼で隠れてますし……」

「あなたが少し足を開いて寝ているおかげでっ、覆いかぶさるこちらはすっごいガニ股になっちゃってるんですよぉ、もう……♥ 困っちゃいますよね、もし後ろから見たら…………わたし、お股を恥ずかしーく広げて、前のめりになってあなたのおちんちんに口を寄せてるんですからね♥」

「ウフ、見たいですか? ダメですよぉ♥ 今のわたしは、このおちんちんを気持ちよくするという大事な大事なお仕事がありますのでっ♥」

「おっと……先の方からプクーッとお汁があふれてっ♥ これ、先走りって言うんですよね♥ なんだか、顔を近づけたくなる匂いで…………ん、ちゅるっ♥ んーっ……あぁ、とってもお下品で胸がドキドキするお味ですっ♥」

「んん、じゅっ、ずず…………♥ おちんちんからどんどんお汁が出てきますよ♥ たらーって垂れて、わたしのお胸でにちゃにちゃっ♥ って湿った音が、すごくえっちですねぇ♥」

「さっきまではスリスリ、ってしてたのが、もうグチュッ♥ グチュッ♥ なんて具合で♥ あなたと行為に及んでるって感じがすごいです、これっ♥ わたしっ、幸せですっ、もっとシてあげたいですっ、これっ♥」

「もっとおちんちんを舐めて舐めて、たっくさんズリズリしてあげますねっ♥ ん、ぐぶっ♥ じゅぶっじゅぶっ♥ じゅ、じゅぞぞっ…………くちゅぅっ♥」

「ごぷっ♥ え、れろぉ……っ♥ お胸の谷間、わたしのヨダレとおちんちんのお汁でビチャビチャになっちゃいました♥ 見てください、小麦色のお肌にドロドロが広がって、ぬらぬらてらてら、光っちゃってるくらいなんですよっ」

「おっぱいの谷間なんてもう、ぷくぷくって小さい泡になってますね♥ じゅ、じゅるぅっ……♥ こぼしたくないので、おちんちんと一緒にじゅぅって吸ってあげちゃいます♥」

「おちんちんの先っぽ、なんだかぐぐっと力が入って来ましたっ♥ もしかして、そろそろ出るんですかっ♥ お子種、ですよねっ♥ お子種、出そうなんですねっ♥」

「出してくださいっ♥ 出して出してっ♥ わたしのお胸の中で出してくださいっ♥ 欲しいですっ♥ あなたのお子種、欲しいんですっ♥」

「ほら、ずりずりっ♥ ずりずりっ♥ んちゅっ、ちゅるぅっ♥ はぷっ、ん、ぐぼっ、ぐぼっ♥ ……はひゃく、はひゃくうっ♥」

「――――ん、んんんんんんっ♥ でまひたっ♥」

「んぶっ、んくっ、じゅぞぞぞっ♥ ぷっ、はっ…………ま、まだ出るんですかっ♥ まだ出てますっ♥ イッてるんですねっ♥」

「すごい、すごいぃっ♥ お胸にもっ、顔にも、びちびちってっ、容赦なくお子種がかかってっ……♥」

「あっ、ああぁ…………♥ あ、はぁ……♥ と、止まりましたか………………♥」

「……み、見てください、コレ♥ お胸の谷間の上、白く池みたいになってます♥ あ、わたしの髪からも、とろぉって糸が引いて……♥」

「ん……こくっ、こくっ……♥ はぷっ、ちゅっ♥ ちゅっ♥ おちんちんもキレイにしなければっ……いけませんからねっ……♥」

「あなたからいただいたお子種です、ぜーんぶわたしのモノですからっ……♥ わたしがいただいたモノなんですからっ♥ 他の誰にも、何にも、ぜったいぜーったいあげませんからっ♥」

「…………あぁぁ、幸せ……♥ 素敵でした……♥」

「………………あ、あの、あのですね、そのぅ、少しだけ……ぎゅっとしていいですか? ほんのちょっとでも気持ちよかったと思っていただけたのであれば、それのお礼に……とかって、お願いしたいなー、とか――――」

「――わぷっ!? …………んふ、えへへ、えへへへ……♥ 感謝いたします♥」

「…………あぁ、あなたのシャツ越しに、トクン、トクンって音がはっきり聞こえてきますね……♥ 触れあったお腹のところの温かみ、あなたのお顔もこうするとすごく近くて……」

「わたし、今あなたのいっちばん近い距離にいるんですね……それがなんだか、とっても嬉しくて……。あ、フフッ、どうぞどうぞ、翼も触って構いませんよ?」

「背中の付け根から、羽の先に向かって手を沿わせていただけると幸せな気分になれると思いますよ。あなたも、もちろんわたしもです。んっ……♥ ああ、お気になさらず、少しそこは敏感だったので……」

「んふ……翼、とても気持ちいいです……。こうしてあなたと、穏やかにひと時を過ごすのもたいへん悪くない――――の、で・す・が♥」

「先程からわたしのお腹の下を、ぐっぐっ♥ って押してる感触、これは一体どうしたでしょうか♥」

「ウフ、ごめんなさい。今のはイジワルでしたね♥ でも、あなたもきっともうご存知ですよね? あなたの上でだらしなく腹ばいになって無防備な姿の天使が、さっきからお股をスリスリって押し付けちゃってること♥」

「じゃあ、次のわたしのセリフも分かりますよね♥」

「分からないなんて言わせませんよ? こーんなお股が濡れて、とろぉってあなたの腰にまでお汁をこぼしちゃって……♥ お腹の下に当たってるおちんちんのことを意識するだけで、入り口のところ、ひくひくっ♥ ってしちゃってぇ……♥ こんな状態のまま放置されたら、わたしおかしくなっちゃいますよ?」

「くださいな、お情け。はしたないお願いですが、ナズさんもう欲しくて欲しくて、たまらないんです」

「ね、奪っていただけませんか? わたしの純潔です、あなたのおちんちんでぐちょぐちょに犯してもらうためだけに、ずぅっと待っていたんです♥ 天使の処女を奪ってめちゃくちゃにしてください、お願いしますっ♥」

「あっ、あぁぁ♥ …………はい、はいっ♥ そんなおシリをぐいって力強く掴まなくても、んっ、ナズさんは逃げませんよっ♥ ん、んんっ…………♥ ほら、ここ、わたしの太ももの付け根の……っ♥ あぅ、そこです、おちんちんがちゅっ♥ って当たってるところですっ」

「んひっ♥ 上じゃなくてもう少し下ですっ、そっちは、おシリの穴でっ……♥ んへへ、そちらはまた……今度にしましょ?」

「……はい、そこです♥ ヌルヌル、分かりますかっ? よい、しょ……♥ 腰を浮かして、と……おちんちんの位置、合わせてあげます……♥」

「――では……っ、腰を落としていきましょうっ……♥ 天使のお花、散らしちゃいますね……♥ ゆっくり、ゆっくり……♥」

「あふっ……ぅく…………ん、あ…………あぁぁ♥」

「どう、ですか……っ? ずぶ、ずぶ、ってぇ、入ってく、わたしのおまんこの感触は……♥」

「あ、あはっ……お、お互いっ、もう少しだけ力を抜いてみましょうか……♥ まだ、ガマンですよ、ガマン……♥」

「でも、分かりますよっ……♥ ナズさんはですね……お腹の下が、ズンっ♥ と重たくなって、ムリヤリ広がっちゃったような……♥ 頭、チカチカしてます……足も、力抜かないと、ピンって伸びちゃいそうで……♥」

「こんなの、動いたら、腰を、動かしちゃったらぁ…………♥ で、でも、あなたに気持ちよーくお子種を出してっ、いただきたいですからっ♥」

「あのっ、手、繋ぎましょ? ほら、パーの手を……はい、合わせて、組んで……♥」

「じゃあ、う、動き……ますねっ? ナズさんが動きますからね? よい、しょ…………ぉ♥ よい、しょ……………ぉ♥ あ……あぁぁ……♥」

「こ、この体勢、おちんちんがっ、おまんこの中ですっごく擦れてっ……♥ ずりゅぅ、ずりゅう、ってぇ…………♥ いや、ぁ、まだわたしのナカ、全然慣れてないのにぃ……♥ 乱暴なおちんちん、容赦なくおまんこに刺さってきますよぉっ♥」

「手、手繋いでてくださいねっ? 離しちゃ……ヤですよっ? おまんこでおちんちん、ここからもっともっとシコシコしてあげるんですからねっ♥ どうか、見ていてくださいなっ♥」

「ほら、ぱん……ぱん……って♥ おちんちんの根本にわたしのお股が当たると、すっごくえっちな音がっ♥ いきますよっ、ぱん……ぱん……っ♥ ぱん……ぱん……っ♥」

「は、恥ずかしいっ、ぷぴゅぅって音も鳴っちゃいましたっ♥ 違うんですっ、違うんですっ、これ、おまんこにあなたのモノがぐぷぐぷ入るたびに、お汁がかき混ざったからでっ♥」

「それに、それに……っ♥ こうしてわたしが上だと、おっぱいがっ…………♥ お乳が下向きになって、ピンク色の先っぽがぁ、あなたのお腹でコスれてっ♥」

「ん、んんっ……んんぅっ♥ もうダメ、気持ちいいっ♥ 気持ちいいんですっ♥ わたしばっかり気持ちよくなってごめんなさいっ♥ 初めてなのにこんなにスケベに腰をぱんぱんしちゃってごめんなさいっ♥ 気持ちいいんですっ、あなたのことたくさん感じちゃってるんですっ♥」

「もっと、もっともっと感じたいですっ……あなたことっ……♥ えいっ、えいっ……えいっ♥ ん、んんんんっ♥」

「お胸で包んで差し上げた時も……すごかったけどっ、こんなの、反則ですっ♥ おまんこの中っ、おちんちんでいっぱいになってっ♥ 繋がってるところから、はしたなくお汁が泡立ってっ♥」

「あぅ、あ、あああっ♥ あなたの腰が今、カクカクッ♥ ってなったの、わたし分かっちゃいましたよっ♥ ナズさん、あなたのことなら……なんでも、お見通しなんですからっ♥」

「でも、わたしも今の、でっ♥ お腹の下、きゅぅってなっちゃいましたっ…………♥ んっ♥ おちんちんの先が、おまんこの奥に……コツン、コツンってぶつかってるの、ハッキリ感じられますっ♥」

「多分、これっ♥ わたしの一番大事なトコロの、準備が整ったってこと……ですよねっ? おまんこの、奥の……っ、赤ちゃんのお部屋……っ♥」

「あなたもおちんちんも……また、ギューって力が入ってきてますね……っ♥ で、出そう、ですかっ? 射精、ですかっ♥ そろそろまた、お子種っ、どろどろ白い、お種の汁、出そうですかっ? んっ……ああっ♥」

「……あっ、あのっ、良いですよねっ? くださいっ、わたしにお情けをくださいっ♥ ぜひ、わたしのお腹の奥にっ、あなたのどろどろを流し込んでくださいっ♥ おっ、お願いですっ♥ し、仕込んでっ、わたしにお子種を仕込んでくださいなっ♥」

「は、はぁっ♥ あぁ、はぁぁっ♥ あぁっ♥ いいですよっ、何も気にせず……ドピュドピュしちゃってくださいっ♥ ほんの少し前まで処女だった天使にっ、膣内出しですよっ♥」

「最後ですからっ、ガンバってっ♥ 一番気持ちいい時に、とろとろーって射精しちゃいましょっ♥ ほら、いちっ、にっ♥ いちっ、にっ♥」

「ぱっ……ぱん、ぱんっ……ぱん、ぱんっ♥ 早くっ、早くぅっ♥ もう、おまんこの奥に出してくださいっ、早くっ♥ 膣内出しっ、膣内出し以外はダメですからねっ、抜いたりしたら、後で泣いちゃいますからねっ」

「腰、下ろしますよっ♥ 一番深くっ♥ いきますよっ、いきますからねっ……♥ んっ、くぅぅぅぅっ♥」

「――あ、ああぁぁぁぁぁぁ♥ 出てるぅっ♥」

「あっ、あくぅぅっ♥ い、いぃっ♥ いいれすっ♥ す、すっごくいいのぉっ♥」

「ちゅ、ちゅーしてっ……♥ ちゅーしてくださいっ♥ カラダぜーんぶっ、くっ付いてっ♥」

「ん、んむぅっ♥ んむぅーっ♥ んちゅ、れるっ、じゅっ、じゅぅぅぅっ♥ んーーーっ♥」

「………………ぷ、ぷはぁっ♥ ま、まだ……射精してるんですねっ♥ おまんこの中、ビチビチ跳ねててっ、お股のところ、なんだかフワフワして……あぁ…………っ♥」

「ずっと、ずっとくっ付いてますからねー、わたし……♥ んっ……ふっ、んぁっ♥ 気持ちいい射精がぜーんぶ終わるまで、こうしていましょうね……♥」

「ん……っ♥ んふ、おちんちん、またピュッてお子種を出しましたね……♥ おまんこをキュッて締められるの、そんなに良かったんです……?」

「お顔もこんなに緩んじゃって……可愛いっ……すごく可愛いですっ……♥ もっともっとあなたを愛おしく思えて、しかたなくなっちゃいますよぉ……♥」

「……終わり……ましたね♥ お子種をたくさんたーっくさん、感謝の極みですよっ♥ ナーザーファリン、ありとあらゆる万物に感謝を捧げたいような気持ちでございますっ」

「…………あっ♥ また、ぎゅってしてくださるのですね♥」

「分かりましたっ、お片づけは後にして……今はこのまま、二人でお休みしましょうね♥ 身体の全部が繋がったまま、抱きあったままで……♥」




















「…………んふっ♥」

「………………」

「…………んふ、んふふふっ♥」

「………………」

「ねえほら、なにか言ってくださいよぉ〜♥」

「………………」

「"沈黙"の効果は切れてるはずですよねっ。おカゼももうかなり治ってますしっ。ほら、ほらほら、えいえいえーいっ♥」

「……頬を、引っ張らないでください」

「じゃ、ちゅーなら良いですか? 良いですよね? ふへへー許可は要りませんよわたしが勝手にしちゃいますからねっ、んーっ♥」

「ん、んぐっ……!?」

「んー、ちゅっ♥ ああ……素晴らしいですねっ! わたし、お口でするの大好きかもしれませんっ!」

「く、口で…………」

「もちろん他のえっちなことも好きです、というか今日大好きになりましたっ! 愛ですね、あれはまさに愛の行為でしたね間違いなく!」

「愛の、行為ですか」

「いえーす! 見てくださいよこれ、ほら、お股を開くとっ……! ほら、スジになったところの間から白いモノがっ…………んっ♥」

「う、うわー! ティッシュティッシュ!!」

「指で掬って、ぱくっ……っと♥ もう遅いですよー、これはもうわたしのモノですからねー!」

「口に入れた!!」

「そりゃあそうですよっ! これからあなたの子種はぜーんぶわたしのモノだってこれもうばっちり確定事項ですからー! 今後よその女どもにはモチロン、一人で慰めた末にティッシュに包む……なんてのも絶対禁止ですからね!」

「う、うおぉぉ……」

「あ、もちろんこのナーザーファリンはあなたのものなので、ムラムラって来た時にはすぐ呼んでください。パッコパコしましょー!」

「なんかもう、完全に開けっぴろげになりましたね」

「それはもう! よーやっと想い人に初めてを捧げられたんですから!」

「ナズさん、ええと…………責任は、取ります。これからその、よろしくお願いします」

「はい……はいっ!! ああ、わたし今この上なく幸せです、これが天国ですかね!? …………まあちなみに、また次にえっちする時もわたしはヴァージンなんですけどねっ」

「えっ」

「あれ? 知りません? フーリーは永遠の新妻、いくらおちんちんをぶち込んでも明くる日には処女に戻るんですよ?」

「いやそんな、常識でしょ? みたいな顔されても。なんですかその謎の生態」

「ということで、今回あなたはナズさんのファースト初めてを無残に散らしたと、そういうワケですなぁ! こりゃあセカンド初めてが奪われるのもすぐですね!」

「なんて頭の悪いネーミングだ!」

「のんのんっ! しっかりあなたにはまた初めてを押し付けちゃいますからねっ! やりましたね、すぐにでも処女の百人斬り、千人斬りを達成できますよ! 斬られるのはわたしオンリーで! 目指せミリオンヴァージンっ!!」

「いろいろと酷いですねソレ!」

「さーあ、共に女神エロスに全力の愛を捧げていきましょうや! とりあえず明日の予定ですが、3時間の説法か、もしくは3回えっちして全て膣内射精、どっちが良いですかねやっぱり後者が良いですよね!?」

「ちょ、ちょっと待ってくださっ」

「待ちませんよーっ!! 今後もわたし、ナーザーファリンをよろしくお願いしますねっ、あ・な・た♥」

「………………」

「あ・な・た♥」

「オー……マイ、ガッ…………!!」

「いえーすっ! ゆあーごっーど!!」

















「あ、そうだっ、合いカギ! この部屋の合いカギくださいな! またご近所から苦情が出るのもおイヤでしょ?」

「まあ、そうですね。これからはいきなり押しかけてくるのとか、手紙とか、ベランダから監視するのとかは控えめにお願いしますね」

「……おや? この前も言ってましたけどソレ、わたしは手紙なんて送ってませんよ?」

「…………………あれ?」

「…………………ふぇ? ――あ、玄関のチャイムが」

「おっと、ちょっと出てきますね」

「その間にわたしは、この愛の巣のお片づけでもしましょうかねー!」

「また恥ずかしいセリフを……。はーい、どちら様で――」

「――子羊よ、貴方の救済に来ましたわっ!」

「えっ」

「救済! 救済ですわっ! 救済に参りましたわっ!」

「………………」

「貴方の事はわたくし、ずっとずっと見ておりましたの! 他の邪教に屈せぬその態度、とてもとても素晴らしいものでしたわ! さあ、共に我が神、堕落神の膝下たる万魔殿への道を歩みましょう! わたくしと共にっ!!」

「……いや、すみません。そういうのもう間に合ってまして。本当に間に合ってまして」

「ご遠慮なさらず! わたくしは堕天使ルルディエルと申しますわ! 今後ともよしなに!」

「せいっ」

「ああっ、子羊よ、なぜドアを閉めるのです!? 開けてくださいませ!」

「………………」

「開けてー! 開けてくださいー!」

「……………………どうしよ」


 
17/08/12 22:48更新 / しっぽ屋

■作者メッセージ
 
宗 教 戦 争 勃 発


"ちょいウザかまってちゃんな天使たちが全力でアタックしてくるだけのお話 2nd GIG"も8月中にあげ……られるといいなぁ、などと思っております。

 === For Whom the Bell Sounds ===

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