連載小説
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神使
「それでは、儀礼装へと着替えましょうか」
ソフィアは未だに僕の手を握ったまま嬉しそうに微笑んだ。
「御手洗は大丈夫でしょうか?朝食は……」
顔が近い。ソフィアの長いまつ毛が僕の睫毛とぶつかりそうなくらいに。ソフィアがぱちっと瞬きをする度に目を細めなければいけない。さらにソフィアの息がふわっとアゴや首筋への流れ込んできてくすぐったかった。
「いや、ソフィアさん近いって」
「あっ、すいません。どうしても体格が違うと……すいません」
もじもじとはにかむ。とてもかわいい。それ以外に言葉が出なくなる。
「か、かわいいなんてそんな……」
「え!?いや、その……」
それでも口には出さなかったはずだ。絶対に。だけどもソフィアさんは顔を真っ赤にして顔を手で覆う。キレイな指先には桜貝のようなかわいい桃色をした爪が並ぶ。それだけでも、この世の存在ではないのだと分かるくらいには美しい。(さらにかわいい)
「もしかして心読めるんですか……?」
訊ねると顔を真っ赤にしたままコクンと小さく頷いた。
「すいません、人間の方からしたら気持ち悪いですよね……」
ソフィアさんいわく、心の声は深い繋がりを持つ人物のものしか聞こえないものであるが、神命により定められた勇者の声はその守護天使であるヴァルキリーには初対面であっても聞こえてしまうのだという。
特に、距離が近ければ近いほど意識しなくても聞こえてしまうらしく、手を握ったり、触れて居る時には些細な感情の機微や、疲労度合いに加えて、直近の出来事や近い過去の記憶さえも分かる、と説明してくれた。
「えっと、その……なんか、すいません。僕、勇者になるんでしたっけ…………」
気まずい。非常に。
直近の過去、と言えば思い出すのはコロワとハンテの事。
あの2人とした行為についてだった。
そして、ソフィアさんは、というと
「…………っっ!!……//////」
僕が思い出してしまった昨日の淫らな光景を心の声として読み取り、さらに顔を真っ赤にして縮こまってしまった。
「す、すいません!僕向こうで着替えてきますね!」
「いえ、私もっ!て、手伝います!」
雰囲気を変えるためにうわずった声を上げて逃げようとした。そしたら何故かソフィアさんもついてきた。心のの声聞こえるんじゃなかったんですか?
「いえ、私はっ!勇者様を導くために勇者様と向き合わなければっ!いけないんですっ!!!」
フンス!と鼻息を荒げ、顔を真っ赤にしてプルプル震える指先でギュッと背中から抱きとめられる。正面から抱き合い胸元でむにゅっと潰れている柔らかい双丘の感触に気付くと、僕を抱き留める、もとい締め上げる腕にさらに力が入った。
「イテテテテテっ!」
「すっ、すいません!いま!いま!脱ぐのを手伝いますから!逃げないでくださいっ!」
ソフィアさんは、僕の履くズボンを掴み、一気に下にずり下げた。……そして。
べちん、とソフィアさんの顔にナニかがぶつかる。一瞬のことではあるが、それに驚いたソフィアさんは、声にならない悲鳴を上げ、僕を突き飛ばすと同時にソフィアさん自身も後ろへ倒れ、置時計を宙にとばし、さらにテーブルを破壊した。
「ソフィア様ッッッ!!!!」
轟音。それと、部屋の外から聞こえたソフィアさんを呼ぶ女性の声。ベッドの天蓋を支える支柱も折れ、部屋はめちゃくちゃになっている。
先程の轟音を聞いた誰かがドアの外を駆ける足音が聞こえてくる。そして、僕はと言うとソフィアさんがズボンをパンツごと下ろし、さらに突き飛ばされて破れ、機能を果たさなくなったパンツから朝勃ちの上向き射撃姿勢の砲身を持つアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲をはみ出させていた。
これはやばい。まるでこの状態では僕が勇者である立場を利用してソフィアさんに乱暴をしようとしたみたいに捉えられてしまう。

そう思った時だった。

視界が真っ白になり、柔らかな何かに視界が包まれていく。
なんだ、これ?
そう思うと同時に、この部屋のドアが勢いよく開く音がした。
22/05/05 23:06更新 / (処女廚)
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