連載小説
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関係は進展しました

「〜〜〜〜♪」 プラプラパタパタ…

「足をばたつかせるな、すねに当たる」

「それはすまなかったのじゃ」

「あぁ」

「〜〜♪」

 この頃はこいつに書いた魔導書を渡して読ませるだけで覚えていくため、平和な日々が続いている。今もフォーメルは俺の膝の上で与えられた本を熱心に読み耽っている。俺は偶の質問に答えるだけでいいため楽なことこの上ない。
 しかし、こちらが楽になった分というわけではないのだが、別のものが忙しくなって来た。ジャガイモの件で出した損害の弁償分、バーメットからの雑用をこなさなければいけなくなったのだ。金で払うと言っているのにあいつは……だが、そういう問題ではないのだろう、こちらに非があるため、言われた事を粛々と行うのみである。今ではこいつの教育時間が休憩時間と言っても過言ではない。

「〜〜♪」

「………」

 眠くなってきた。膝の上に温かいのが乗っかっているため余計にだ。

「ふぁ…」

「なんじゃ、眠そうにあくびしおって…
教育係がそんな怠慢では困るのじゃ」

「すまない」

「……ま、しかし、おぬしが最近仕事が忙しいことは儂もわかっておる。
聞きたい事が出来たら起こすから、それまで寝てていいのじゃ」

「それじゃ、お言葉に甘えさせてもらうか…」

「あ、ホットミルクでも飲まんかの?」

「気が利くな、頼む」

「ぬふふ…別に構わないのじゃ」

 膝の上からぴょんと飛び降りて、短い手足を振りながら厨房に向かって行った。しばらくすると湯気の立ったカップを持ってフォーメルが戻ってきた。

「さぁどうぞ、冷める前にググッと飲むのじゃ」

「あぁ、ありが………」

 カップの中を覗くと、イチゴ牛乳も真っ青な真っピンクの液体がコポコポと煮だっている。

「ついでに、アロマも持ってきたのじゃアイマスクも、
それに儂がマッサージ付きで子守唄も歌ってあげるのじゃ」

「おい」

「ベッドはあちらじゃよ?」

 いつの間にか書庫の隅に天蓋付きのベッドが置いてある。

「もしかしておぬし、抱き枕がないと眠れないタイプじゃな?
それならちょうどここに良い抱き枕があるのじゃ♥」クネクネ

「じゃ、遠慮なく」ヒョイッ

「あ♥ いつになく大胆なのじゃ…
やっと儂の魅力に気づいたのじゃな…♥…ついにゴールインでめでたく完け…

……って、あだだだだだっ!! 鯖折り!! 鯖折りは洒落にならんのじゃ!!」

「なかなか掛け心地がいいな」ギリギリ

「掛け心地ってなんじゃ!! おぬしは武闘家かっ!!
タップ!! タァァァァァァップ!!」ペシペシ







「痛たた…体がちょっと後ろに反れた気がするのじゃ……」

「大げさな奴だな」

「まったく……ちょっとだけちびったちゃったのじゃ…」

「……何?」

 自分の胸辺りに触って見ると服が湿っている……

「舐めたり嗅いだりしてもいいんじゃよ?」

「仮に俺がそういう趣味だったとしたら、お前的にはどうなんだ?」

「儂のことを愛してさえくれれば、多少変態チックでも余裕なのじゃ」

「緊縛」

「全然OK!!」

「触手」

「バッチコイ!!」

「アナル」

「ノープロブレム!!」

「尿道」

「保証内!!」

「スカトロ」

「た…多分!!」

「リョナ」

「……は…腹パンならギリギリ……」

「ダルマ」

「ジ……ジナンが…ずっと傍にいてくれるなら……」プルプル…

「ここまで聞いといてなんだが、
どれもするつもりもないし、お前を愛することもないから安心してくれていい」

「酷っ!!」

「というより、お前の許容範囲が広すぎてもう……」

「憐れんだ目で見られると本気で腹が立つからやめるのじゃ

それにここまでアピールしてるのに一体、儂と結婚するのに何が不満じゃと言うんじゃ?」

「不満と言うか…番にならない理由なら挙げれば切りがないな」

「大きい所だけ挙げてほしいのじゃ」

「大きなのを挙げるとだな…まず一番目に年齢だな。
7歳児に言われても、本気にする奴はいないだろ」

「こういう時だけ子供扱いするのは狡いんじゃないかのう?」

「実際に子供だろ、もっと生きてから恋愛を語るんだな」

「恋愛に年齢は関係ないのじゃ!!
そもそもおぬしも20才そこらじゃろ、
儂ら魔物からみれば7才も20才も同じようなものなのじゃ!!」

「二番目がそれについてだ
……こう見えて俺はお前の母親よりも二回りほど年上だ」

「…!?…何を適当な…証拠はあるのかのぅ?」

「こうやってバフォメット相手に魔法を教えてやってるのが一番の証拠じゃないか?
それか、バーメットかアーレトに聞いてくればいい」

「うむむ……そう断言されると信じるしかないのじゃ…
でも、それが結婚できない理由と何の関係が?
それにどうやって寿命を延ばしたのじゃ?」

「寿命を延ばす方法なんていくらでもある。
人魚の血を飲むのは一番最初にやったな、それに胡散臭い薬もたくさん飲んだ。
強大な魔物を倒せばその肉を食べてみたりもした。魔物側に付いてからは延命やら体力強化の術式なんかもやりまくったしな」

「魔物の肉を食べる!?」

「あぁかなり食べたぞ。『旧魔王時代』にな、流石に今の魔物を食ったりはしないさ。
そもそも殺す気もない相手を殺すのは矜持に沿わないし」

危うく『お前らバフォメットの肉だって食べた』と口に出すところだった。
そういえば兄貴は「不死身になるから!!」なんて言ってドラゴンの血を浴びたこともあったな、俺は臭くてやめておいたが。

「思ったよりもおぬしの人生が殺伐としていてビックリじゃ…」

「こう見えて元勇者だからな、多少は血なまぐさい事もしている」

「ただの魔法オタクじゃと思っておったのじゃ…」

「それならちょうど良いじゃないか、考え直したらどうだ? 結婚」

「別に魔法オタクでも元勇者でもジナンだったらいいのじゃ」

「………意固地な奴だ。

でだ、そういうわけで俺は普通の人間とは言いがたい。
そんな奴が魔物と番になっても、正常なインキュバスになるか不安と言うわけだ。
インキュバスになって不老延命の術式が解けたり、旧魔王時代に取り込んだ魔物の魔力が拒絶反応を起こすかもしれん」

 こうは言ったがおそらく、術式が解けたり、魔力が拒絶反応を起こす可能性はほとんどないだろう。現に魔物の魔力が漂っているこの国で暮らしていて、これといった不調もない。しかし、それは漂っている魔力が微量で、定着せずに排出されているからかもしれないし、魔物娘と交わり急激に取り込んだ場合に起きるかもしれない。
 新魔王の時代になってたかだか数十年、未だにわからない事も多い。出来る限り不用意なことはしたくない。

「意外に臆病じゃな」

「 慎重 と言ってほしいな」

「じゃが、それくらいの方が安心して付いて行けるのじゃ」

「付いて来なくていい」

「もう少しすれば、付いて来てください!! とジナンから頼むようになるのじゃ
で、もう儂と結婚しない理由は挙げ尽くしたかのぅ?」

「いやまだだ。三番、お前の幼児体系に性的な魅力を感じない。
実の所これが一番の要因で「つまり儂がもっと歳を重ねて、ジナンがインキュバスになっても平気じゃと言う事を証明できれば良いわけじゃな?」

「さっき言った三番がまるまる抜けているぞ、その結論」

「インキュバスについての研究結果なんてどんどん出て来ておるし、そう遠くない未来にはそういう心配も杞憂じゃったと思うことになるじゃろうな「おい、三番」おぬしも儂の年齢を気にしておったなんて律儀な奴じゃのう…魔物娘はそんな事気にも止めんというのに「 三 番 !!」父上も母上もジナンの事を知っておるし、言うなれば親公認なのじゃ。なんじゃ、そういうことは儂らってほとんど許婚みたいなものじゃな「さぁぁぁぁぁぁんばぁぁぁぁぁん!!」

「はぁ・・・はぁ・・・
お前と恋愛も肉体関係も絶対に無理!!」

「フフン、時間はたっぷりあるのじゃ、今はそう言ってても
儂の魅力でとことん魅了して骨抜きにして、儂しか目に映らぬようにしてみせるのじゃ!!



そうやって不敵に笑うフォーメル見ていると、
俺は勝ち目のない勝負を挑んでしまったようだと思えてならなかった。













終わり」





「おい、無理やり脈有りにしようとするな」





終わり
13/02/18 04:42更新 / ヤルダケヤル
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■作者メッセージ

「ちょっとは二人に進展あったみたいですね♪
だけどそれにしたって、甘酸っぱいさが皆無ですね…」


だんだんとジナンの形勢が悪化している今日この頃です。
フォーメルちゃんが寄り切るか、ジナンが鯖折りで下すか…

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