連載小説
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嫉妬×怒り×愛情=?
はじめに彼女との関係について説明する。


 一言でいうと当時大学生だったリーシャが家庭教師のバイトで受け持ったのが俺だったのだ。美人の家庭教師。マンガのような展開に中学生の俺は心が躍ったが、成績が悲惨だったためその喜びは一瞬だった。彼女の教え方はうまく、指導を受け始めてから勉強は面白いようにはかどり苦手科目は克服、偏差値は上昇。結果、志望校に合格。あまりの嬉しさと感謝の気持ちから当時の俺はリーシャに何かお礼がしたいと申し出た。彼女から帰ってきた答えはヴァンパイアらしく俺の血がほしいだった。その時初めて、彼女がヴァンパイアであることを知った。そして血を吸われたあと一言。「気に入った、私の使用人になれ」と事実上のプロポーズ。さすがに断る俺。納得いかない彼女。当然口論に発展。騒ぎに気付いた両親が俺の部屋に来る。そこで俺の両親に俺を使用人として迎えたいと申し出たリーシャ。当時の彼女は今のような性格ではなく魔物図鑑に書いてあるヴァンパイアそのもの。その高圧的な言動で大切に育てた息子を見下し、使用人にしたいという彼女に両親は大激怒。さすがにリーシャも気圧されまずいと感じたのかこの申し出はヴァンパイア流の夫の迎え方であること、いずれインキュバスになれば俺のことを大切に扱うと本来相手がインキュバスになるまで言わないことまで丁寧に説明して説得しようとした。しかしヴァンパイアの人間の遠まわしな恋愛観が理解できない母は「あんたは恋愛のなんたるかが分かっていない」と言い。古今東西の恋愛ドラマを借り彼女に見せた。そこで人間同士の恋愛を知った結果、リーシャはドラマに影響され口調こそ変わらないものの普通の恋愛を志向するようになった。俺の母に対してリーシャは今でも頭が上がらない
 俺自身は今まで恋愛経験は皆無。好きという気持ちがどういうことなのか分からなかったのだが。リーシャが俺のことが好きだということを知ると俺も急に彼女のことが愛おしくなってしまった。(自分のことが好きになってくれた人が好きになってしまう性格らしい)
現在、俺とリーシャの関係は定期的な吸血、手をつなぐ、キス、抱擁までで、一夜を共にということはヴァンパイアとしての最後のプライドか(インキュバスにならないと襲わない)、まだ若い俺への配慮なのかわからないがまだない。(ちなみに魔物娘と付き合っていれば一夜どころの騒ぎではないのはみなの周知の通り)



結論から言うと彼女の機嫌は完全には良くなっていなかった。態度はいつもよりツンツンしているのだ。

リーシャの一存でデートは予定変更、買い物と彼女の家での食事となった。彼女の車で俺の家に帰り着替えた後、ショッピングモールで夕食の買い出し(デート)して彼女の住む家に行った。今日は金曜日。彼女の家で夕食ということはもしかしてお泊りなるかもしれないと淡い期待で着替えを持ってきていた。(機嫌が直っていない以上泊っていきたいとは言えない)
 そんな俺の気持ちに気付いていたのかどうかわからないがリーシャは夕食の後、風呂が沸いたので入れといった。お泊りに一歩近づいたと本来は喜ぶべきなのだが同時にあるモノも渡され俺は困惑した。


そして現在、風呂上がりの俺はリビングのソファーに座っている。目の前のテーブルには彼女から渡された精力剤が置いてある。

「今夜は長いぞ、飲んでおけ」
彼女の家に泊まることは純粋に嬉しいのだが。精力剤を渡した理由が分からない。彼女のうちに行ったことは何度もあるがこんな応対は初めてだ。誘っていることはわかる。だが俺はまだインキュバスではないし、彼女の機嫌は直っていない。リーシャの真意がわからず正直不安だ。当人はというと俺と入れ違いで風呂に入っている。

「はぁ」
精力剤を手に取りながめる。
「覚悟を決めるしかないのか、死ぬことはない……よな?」
精力剤を飲み干す。
それからしばらくして
「カイト、待たせたな」
どうやら、風呂から出たリーシャが戻ってきたようだ。声がした方を振り向いて……俺は固まった。

リーシャは黒のボンデージを着て立っていた。腕にエナメルグローブ、足にガターストッキングとハイヒール。右手に鞭、左手に拘束具。


ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ。これは・・・死んでしまう。

さっきの覚悟はどこへやら パニックなり言いたいことがあるのに言葉がでてこない。

「精力剤は・・・飲んだようだな」
「・・・・・・」
「どうした?もしかして私の姿に見とれてしまったか?」
もしかしなくても見蕩れていた。今の彼女の姿は危険だとわかっていても見てしまう中毒性があった。その姿はまさに女王様。人を見下し、僕のように扱うヴァンパイアにふさわしい姿。その危険ないでたちは同時に魅力的でもあった。体のラインがはっきりとわかるボンデージ以下、身につけた衣装たちのせいで彼女の体、豊満な胸、程よいくびれ、すらっとのびる足…はこれ以上ないくらいエロティックに映った。逃げなければならないのに彼女に強く惹きつけられている。今の彼女はいろいろな意味で本当に危険だ。「今夜は長いぞ」の意味を痛感する。

「さて今日の件で私はお前の意識の低さに失望した。お前には再教育、いや調教が必要だ。体と心にお前が私の恋人(もの)だということしっかり教え込む。今からお前は私の奴隷だ。ご主人様と呼べ。歯向かうことは許さん。」
はっきり調教宣言。死刑判決も同然だった。
リーシャがこちらに歩いてくる。一瞬遅れて逃げだす。
「落ち着けリーシャ、確かに俺が悪かったがそれは・・・」
「私は落ち着いているぞ、落ち着くべきはお前の方ではないか」
不敵笑う彼女。実に余裕綽々 対して絶体絶命の俺
「その姿で俺に何をする気だ?」
「だから調教と言っただろう」
「痛いのはダメだ、マジでやめてくれ」
「それはお前の態度次第だな。ふふん」
彼女にとって俺を追いつめることは遊びでしかないようで、楽しそうに笑いながらこちらに向かってくる。
「あんまり逃げるともいじゃうぞー」
いたずらっぽく笑う。その笑顔がとてつもなく怖い
もぐって何を?何を?何をもぐの?怖い怖い怖い、考ええない、考えない、考えたくない。
リーシャと目が合う。彼女と目が合った瞬間

  動くな

突然、体が固まって動かなくなる。彼女の真っ赤な眼に拘束されてしまう。目をそらそうとしても動けず、彼女と目を合わせつづける。その間にリーシャは俺に近づく。両手で俺の顔を固定し自分の顔を俺にめいっぱい近づける。すぐ目の前に彼女の顔がある。ランランと目が輝き、まるで獲物捕まえ喜ぶ獣のよう
「捕まえた」
言って抱きしめる。彼女の目を見なくなったことで拘束が解ける。我に返りじたばた暴れるが強く抱きしめられ抜け出せない。
「離せー」
「往生際が悪いぞ」
そう言われても精一杯暴れる。
「まったく・・・」
彼女の拘束力が増し首筋に一瞬痛みがあり次の瞬間

「――――――――――――――――――――――――――――っ!」

今までにない強烈な快感が体中に回る。頭から抵抗の2文字が吹っ飛び真っ白になる。意識がとばないのが不思議なくらいだ。いつもより強く激しく貪欲な吸血だった。そのことに気付いた頃には全身の力が抜け動けなくなっていた。時間にして1分ほどだったと思うが俺にはかなり長い時間に感じた。







快感で骨抜きにされ抵抗する意志を失った俺はリーシャにお姫抱っこされ寝室に運ばれる。
「まったく手を煩わせて」
床に正座させられた。俺の前に仁王立ちのリーシャ。よく見れば彼女の足元には大量の調教道具が置かれている。見なかったことにしたい。

「あの・・・リーシャ?」
まだ状況が理解できず尋ねる。リーシャ表情が夕方の不機嫌丸出しのそれに変わる、同時に彼女は片足を上げ、足先を俺の目の高さまで上げるとハイヒールの先を顔に近づけてきた。おでこに彼女のつま先がつく。そこで動きは止まらず後ろへ足で押し倒される。されるがまま後ろに上体を倒され、後頭部に床が付く。正座のままで上体を後ろに倒すこの姿勢はきつい。そしてこの姿勢でリーシャにおでこを踏まれている。情けないことこの上ない。ただまったく重さを感ず、どちらかと言えばちょんと触れている感じだ。

「ご主人様と呼べ、聞こえていなかったのか」
呆気に取られ何も言えない俺 奴隷は質問できないようだ
「返事はどうした」
はっと我に返り
「はい、……ご主人様」
言い終わるとリーシャは足をおでこから離す。
「立て」
立とうにもこの姿勢から上体を起こし立ち上がることは難しい。必死に立ち上がろうともがく俺を見てリーシャは
「何をしているんだ、まったく」
と面倒くさそうな顔でリーシャは手をさしのばしてきた。
「ありがとうございます、ご主人様」
彼女の手を借りなんとか立ち上がる。
「奴隷は服を着てはいけない、脱げ」
言われて服を脱ぐ。リーシャが床から何かを拾い俺に差し出す。
「奴隷の証しだ、つけろ」
手渡されたのは首輪だった。
「首輪…ですか」
「そうだ」
言い返したいところだが怖いので装着する。ドMのヤツなら喜んで装着したのだろうが、俺にそんな性癖はない。美しいヴァンパイアにエロい事をされるのはうれしいのだが。
「こっちに来い」
リーシャが姿見の前にくるよう呼ぶ。
うつむきながら姿見の前に立つ。
リーシャは俺の背後に立ち両肩をつかみ耳元で言う
「鏡を見ろ」
「無理です」
全裸に首輪というだけで恥ずかしいのにそんなことできるわけがない。
「見ろ」
さっきより強い口調
「…はい」
ゆっくりと顔を上げ鏡を見る。
鏡に映っているのは予想通り全裸で首輪をつけ顔を真っ赤にしさらに精力剤のせいで勃起した俺だった。情けないことこの上ない
「首輪なかなかに似合っているぞ。」
リーシャは満足げに言う。そして
「自慰をしろ」
「はっ?」
とんでもない事を言った。
「いやでも、自慰って…」
「オナニーのことだ」
それはわかる。そうではなくて
「今ここで…ですか?」
「そうだ、やれ」
本日2度目の死刑判決。
下を向きペニスを扱き始める。
「鏡を見ろ」
「!」
恥ずかしくてできるわけがない。
「大丈夫だ。私がちゃんと見ていてやる」
何が大丈夫なのか分からない。鏡の前で全裸でオナニーをする。しかもそれを彼女に見られる。死にそうなくらい恥ずかしい。
「・・・わかりました」
顔をあげ、手を動かす。当然、オナニーをする自分を見るのは初めて。
「お前はいつもそうやってしているのか。ずいぶん強く握るのだな」
「言わないでくださいっ」
リーシャ耳元で囁く
「姿見の前でこんなことして、誰にも見せられないな」
こんなことをさせているのはお前だとはいえない
「顔がもっと赤くなったな」
「だから言わないでください」
リーシャは俺の背中に抱きつき肩、胸、腹、脇腹を撫でまわしてきた。興奮が高まり射精が近づいてくる。
「息が荒くなってきたぞ、もうイクのか?」
「だから……イきそうです」
「そのままイけ」
射精に導くため強く扱く。
「動きが激しくなったな」
ただ射精したいと言う思いでいっぱいで、もはや彼女の言葉は耳に入らなかった
「っあ」
思わず目をつぶる。
どぷどぷっと精子が放たれる。
射精が終わり目を開ける。
「自分のみっともない姿に興奮して射精とは、やはりお前は変態奴隷の素質があるな。鍛え甲斐がある」
嗜虐的な笑みを浮かべ言う。後ろから姿見の付着した精子を指差し
「お前の精子で姿見が汚れてしまったぞ」
と自分のしたことをこれでもかと意識させる。そして俺の背中から離れ、精子の一部を指ですくい取りいやらしく舐める。
「私が直々にきれいにする。ありがたく思え」
「…はい」
今度はひざまずき直接姿見に口をつけ舌でいやらしく精子を舐め取っていく。わざと音を立てて咀嚼したり、こちらを見て様子を伺ったりして俺を挑発してきた。これでもかと見せつけるように。それを俺は股間を大きくさせ黙って見ているしかなかった。
リーシャはすべて舐め終えるとベッドの上でM字開脚するよう命令した。
ベッドのすぐ横でイスに座り彼女が問いかける。
「お前は誰のお陰で欲情できているのだ」
「ご主人様のお陰です。」
「そうだ」
リーシャは足をのばす。足がカイトのペニス真上にくる。そのまま足を下ろす。ハイヒールの底にペニスに触れる。踏みつけずただ触れるだけ。彼女が再び問いかける
「ちょっ、ごしゅ」
「お前のペニスに触れているものはなんだ」
俺の発言を遮りリーシャが尋ねる。
「…ご主人様の足です」
「その通り、答えを当てた褒美だ、受け取れ」
実に嬉しそうな彼女。意地悪な顔だけど。一度触れていたペニスから足を離しハイヒールを脱ぐと。ベッドに移り片足の甲にローションを垂らした。そして座るとローションまみれに足で俺のペニスを刺激する。初めに足裏全体でペニスを軽く踏み上下に動かす。そのあと親指と人差し指の間にペニスを挟み扱く。
「気持よさそうな顔をしているぞ」
「はい、気持ちいいです」
屈辱的だが気持ちよかった。精力剤のせいかテクニックがすごいのかあっという間に射精が近づいてくる。
「あっ、うっ、イきそうです」
「そうだろう、さっきお前がオナニーをしていた時どこを重点的に扱いていたか観察していたからな」
「なっ」
と、足の動きが止まる。リーシャの顔見る。
「お前は誰のお陰で気持ち良くなっているのだ」
「ご主人さまのお陰です」
「その通り、褒美だ。受け取れ」
足コキ再開。
「あっ、あああ――――っ」
2回の射精。精子がリーシャの足に絡みつく。
足でしごかれている屈辱感、羞恥心はなくなっていた。ただリーシャに気持ち良くされたい一心だった。
「足でイった気分はどうだ?」
「・・・気持よかったです」
「そうか、なら次は両足だ」
ぺニスに直接ローションをかけると両足で器用に扱き始めた。両足の裏で挟み、すり合わせるのうに刺激する。美しいヴァンパイアの足で責められイかされるシチュエーションに今更ながら興奮してしまう。足コキはダークエルフの専売特許だと思っていたが・・・。
「今、他の女のことを考えていていたな」
「!」
「図星か、まったくお前というやつは。」
刺激が強くなる。歯を食いしばり、シーツを握り耐える。
「くっ、あっ」
「何を耐えている、お前はただ私によってイかされればいいのだ」
すぐに我慢の限界に達し、こみ上げてくるものを放つ
「――――――――っ」
もはや言葉にならない。
3回目だと言うのに大量の精子がリーシャの足につく。
はあ、はあ、はあ
さすがに肩で息をする俺。相変わらず勃起し続けるペニス。だが少し休みたい。
「まだ終わっていないぞ」
足コキが再開する。
「はっ?」
素っ頓狂な声を上げてしまう。
「もういいです。休ませてくださいご主人様」
「主人の褒美をいらぬというのか、生意気め、もっと啼け」
「ああああ―――――」








結局俺は6回足コキでイかされ、手コキで・・・覚えていない。最後の方は褒美というより罰に近かった。
性欲と精子を搾り取られ全身に疲労感を感じる。何もしたくない。ぐったりした様子に満足げのリーシャはベッドの端に座り、精子とローションまみれの体を拭いている。
「あれだけ射精するとは、なかなかやるな」
「そりゃどうも」
投げやりに答える
「精力剤を褒めているんだ」
「・・・・・・。」
「ところで」
言うと、仰向けの俺の胸に跨り自身の秘所を見せつけるよう足を開く。
「私のここを何度も見ていたな?」
目が釘付けになる。先ほどまで萎えていたペニスが勃つ。
「私ここにいれたいか?」
「いれたいです」
素直に答える。もともと入れることを期待していたのでできるならそうしたい。そうしたいが・・・
「では聞くが、奴隷は主人とセックスすることができるのか」
黙る俺。答えはわかっている。
「……できないです」
「そうだ」
彼女の発言は今、この場面(つまり主人と奴隷という設定)のことだけではなく人間とヴァンパイアの関係、つまりリアルな俺とリーシャの関係のことも言っている。

彼女の調教とはカイトを快楽浸けにしつつ自身の体に触れさせず魅力を教えさらに本番行為をさせないことだった。しかしながら彼女の魅力を体感させればそれ餌に彼の本番行為に対する期待を膨らませることができる。彼女に魅了されにんじんを目の前にぶら下げた馬状態の彼は早くインキュバスになるべく積極的に吸血されようと頻繁に会おうとする。これこそ彼女の狙いだった。

「どうすれば私とHができるか?もういわなくてもわかるな」
「はい」
「では最後の質問だ。お前は誰の恋人(もの)だ。」
「……ご主人様(リーシャ)の……恋人(もの)です。」
俺の答えにリーシャは満足そうに
「正解だ」

彼女の唇が俺の唇に触れる。舌が入って口腔内を舐めまわされる。時々唾液をすすったり流し込まされるが、されるがままの俺。それが良かった。ただリーシャに快感を与えられることがたまらなく心地よかった。





その後ことはよく覚えていない。


14/03/08 01:04更新 / 明後日の女神
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■作者メッセージ
エロ描写って難しいですね。さてリーシャは罰と自分の魅力を同時に伝えるのためにこんなことをしたわけです。彼女自身もこれは辛いんです。ただでさえ淫魔の影響で襲いたい衝動に駆られるのに、精の味や肉体的魅力を知ってしまっては今まで以上につらくなるんですね。

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