連載小説
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魔物アプリ……ゾンビ編
 同じゲームを通じ、仲間同士で盛り上がる。別に珍しい事ではない。寧ろ、よくある事だと言える。しかし、自分の好みのゲームは如何せん妙なのか、同じアプリゲームを有する友人にこんな事を言われてしまった。

「お前、どうしてそのゲームを選んだんだ?」
「どうしてって……楽しそうだから?」

 友人の質問に対し、疑問形で返してしまった俺。かく言う自分もどうしてこのゲームを選んだのかは覚えていない。只、何となくゲーム内容を見て『良いな』と感じたから……としか言い様がなかった。

 今、巷で話題となっている魔物アプリに手を出したのは数日前。友人から無料で遊べると聞いて、何となくダウンロードしたけど、正直言うと俺……ノギ・マサトはゲームというものに然程詳しくはなかった。

 俺は根っからのスポーツマンであり、特に2m近い身長を持っていたおかげで瞬く間にバレー部のエースとなり、時々バスケ部の応援要員として駆り出される程の運動神経を持ち合わせていた。

 まぁ、俺の自己紹介はさて置いて、そういった一種のスポーツ馬鹿であった為にゲームに触れ合う機会は殆ど無いに等しかった。しかし、だからと言ってゲームに関連するもの全てに興味が無いという訳ではない。
 二十歳になって念願のスマートフォンを手に入れた際、最初に考えたのがアプリゲームという物をダウンロードしようという事だった。俺だって人並みの好奇心はあるし、こういうゲームがあるのならばやってみたいと思う気持ちだってある。

 しかし、詳しくないが故にどんなゲームがあり、どんな風にして楽しめば良いのかという点については全くの無知であった。ましてや、最近のアプリは詐欺やら情報が盗まれるだのと物騒な話が多い。

 そこでゲームに滅法詳しい友人に、素人の自分でも簡単に出来て且つ楽しいアプリゲームはあるかと尋ねた結果、その答えとして教えてくれたのが魔物アプリだった。
 友人曰く『色々と噂や都市伝説の絶えないアレなゲーム』との事らしいが、同時に『何ら問題は無い、寧ろ男ならばやる価値有り』との事らしい。まぁ、ゲーム好きの友人が大丈夫だと太鼓判を押しているので、それを信じる事にしよう。

 何よりも種類も豊富で無課金、更に長く遊べるというのが決定打となり、俺は早速それをダウンロードした。そして実際に見ると、確かに種類は充実している。パズルやらクイズやら、格闘ゲームやらタイミングゲームやら育成ゲームやら……数え出したらきりが無いぐらいの豊富さだ。
 
 しかし、余りの種類の豊富さに、逆に何で遊ぼうかで迷ってしまう。そもそもゲームなんて滅多にやった事が無いので、どのゲームが自分に合っているのかだって分からない。

 レーシングゲームか? 格闘ゲームか? パズルゲームか?

 画面に指を当てながら、何気なく自分に合うゲームを探していると……不意に変わった名前のゲームが目に飛び込んだ。

 その名も『ゾンビマンション』―――名前だけ見るとホラーゲームのように見えるが、その字体はポップ調の可愛げのあるものだ。それだけで『このゲームは間違ってもホラーではありません』と教えてくれているようなものだ。
 少しだけ興味をそそられたのでゲーム内容を見てみると、蒼白い肌をした黒いマントを羽織った少女と、以下の様な説明文がスマートフォンの画面に映し出された。

『ゾンビマンションにようこそ。貴方はゾンビマンションのオーナーであり、私は貴方を補佐するリッチです』

『このマンションには文字通りゾンビしか住めません。そのゾンビ……と言いますか、ゾンビの元となる死体はマンション近くにある墓地から手に入れて下さい。手に入れたら、私の所へ死体を持って来て下さい。その死体に魔法を掛けてゾンビとして復活させます』

『そしてゾンビをマンションの一室に住まわせ、貴方はゾンビ達に指示を出し、働かせて下さい。そして彼女達が稼いだ給料でマンションを大きくして下さい。マンションが大きくなるにつれて墓地も広くなり、ゾンビの数を増やしていけます』

 成る程、要するにゾンビ達と暮らして、ゾンビ達の力を借りて自分のマンションを大きくさせていくという一風変わったゲームのようだ。そう納得していると、今度はこのゲームに纏わる注意事項の説明が画面上に表れた。

『しかし、全てのゾンビを働かせ、お金を稼げば良いというものではありません。ゾンビの中には仕事に向いている者と、向いていない者がいます。不向きの者が働き続けると、途中で仕事を放棄し、人間を襲うようになります。そうなるとゾンビマンションに対する不信感ゲージが高まりますので注意して下さい』

『不信感ゲージが高まるとゾンビマンションには金品を盗みに来る泥棒や、ゾンビを目の敵にしている反魔物教団などが襲撃してくる回数が増大します。その為、マンションを防衛するのに必要最低限のゾンビを残しておく必要があります』

『しかし、ゾンビのレベルが低過ぎると返り討ちに遭い、マンションの中にある金品を強奪されてしまいます。全てを盗まれても、働けるゾンビが居ればゲームは続行可能ですが、その分マンションの増築には時間が掛かってしまいます』

『働かせるゾンビと、マンションを防衛する為のゾンビ。この二つのバランスを巧みに取りながら、マンションを守りつつ大きくしていく。それがゲームクリアの鍵となるでしょう』

『マンションは最大で10階まで増築出来ます。そこまで辿り着いたらこのゲームはクリアとなります。またクリア特典として、その後も10階から階数を増やしていく事が出来ます。そこまで進むかどうかは貴方次第です』

 成る程……要するにゾンビだけでなく、周辺の一般人の皆様とも仲良くやりなさいって事だな。そして泥棒や敵が来たら追い払えと。色々と設定が面倒くさそうだけど、やってみる価値はあるかもしれない。

 良し、このゲームにしよう。そう心の中で決めた俺は『ゾンビマンション』と書かれた題名に指を当てた。



 ゾンビマンションをゲームし始めてから一ヶ月が経過した。最初はゲームに慣れていないのが原因で手間取ったりする部分もあったが、今では大体ゲームの流れを把握し、コツも掴めた。

 またプレイしていく中で、ゾンビにも様々な種類がある事を知った。先ずは初期からポンポンと作れるゾンビは出稼ぎと防衛の両方を任せられるので、扱い易さという点では群を抜いてトップだ。

スケルトンは出稼ぎも可能だが体力が低いのが難点。その分、体力が復活する速度も劇的に速いので、短時間労働をこまめに繰り返すのが良いかもしれない。また防衛戦では復活の速さを利用して敵を只管食い止める、所謂『壁』の役目を果たしてくれる。

 マミーは体力が高くて出稼ぎに向いており、高い攻撃力を有しているグールは防衛に向いている。またマンションを増築させて、5階に達した頃から出て来たデュラハンもグールよりも高い攻撃力と体力を有し、防衛戦では大活躍だ。但し、マミーと違って出稼ぎは全然駄目のようだが。

 ゴーストは身体が透けているという事もあって出稼ぎも防衛も全く出来ないが、その代わり出稼ぎに出るゾンビ達に好条件の仕事を斡旋してくれる。所謂、情報屋的な存在だ。

 そして俺がゲームを開始した時に色々と解説してくれたリッチは、マンションに居るゾンビ達の状態異常……疲労・怪我・病気を治してくれるという、とてつもなく便利なキャラなのだ。

 これだけでも大勢のキャラが出て来たと思うのだが、まだ出ていていないキャラがあと数人居るようだ。ゲーム内にあるゾンビ図鑑の方では黒く塗り潰されており、どんな姿なのかは確認出来ない。しかし、他のゾンビ達が可愛らしい女の子風に描かれているのだから、きっとこの最後のゾンビも可愛いんだろうな。

「よし、そろそろバイトへ行くか」

 そこでチラリと時計を見れば、早くもバイトへ向かう時間になっていた。そしてスマートフォンも一緒に持って行こうとしたが、ふと画面の端に映し出されたバッテリーの残量を見ると残り僅かを示してた。

「ありゃ、充電し忘れてたな。仕方ない、今日は持っていくのは止めとくか」

 本当なら休み時間の時にでも遊びたかったけど、途中で電池が切れたりしてデータが吹っ飛ぶのは嫌だしな。仕方が無い、今日はスマートフォンを充電させておくか。
 そうして俺はスマートフォンを充電器に差し込むと、身支度を整え、部屋を後にし、バイトへ向かうのであった。

 この時、アパートを出てすぐにある階段を下りる途中で黒いセーターに紺のジーパンと黒尽くめの男が俺の隣を通り過ぎる。
 見覚えは無いが、このアパートの住人かなと思って気にも留めず、テンポよく階段を下りて行く。だが、男は下の階へ降りて行く俺の背中を見てニヤリと微笑んだ。無論、そんな視線と笑みに俺は全く気付く由も無かった。




「……何かあったのか?」

 6時間以上のバイトも終わり、漸く自宅のあるアパートへ帰ってみると、何故かアパートの前には大勢の人が集まっていた。厳密に言えば、複数の警察官と、それを見に来た野次馬達だ。野次馬は兎も角、警官までもが来ているという事は穏やかではない出来事が起こったに違いない。
 
 事件か? それとも事故か? 少なくとも消防車が来ていないから、火事ではないようだが……―――等々と様々な憶測を立てつつも、野次馬達を掻き分けてアパートの出入り口に辿り着く。すると、丁度出入り口の向こうから警官二人に挟まれた男が現れた。

 その挟まれた男を見て、俺は『あっ』と呟いてしまった。何故なら、その男は俺がアルバイトへ出掛けた直後に階段で擦れ違った黒尽くめの男だったからだ。手錠を掛けられているのだろうか、男の両手は白い布で覆い隠されており、周囲の視線から逃げるように成るべく顔を下に俯けている。

 そしてアパートの前の野次馬達を通り抜け、その先に停めてあったパトカーの中へ男と警官が乗り込むや何処かへと走り去ってしまった。何処かへ……と言っても、行き着く先は一つしかないだろうが。
 そんな感じに走り去っていくパトカーをぼんやりと目で追い掛けていると、不意に背後から俺の事を愛称で呼ぶ声がやって来た。

「マサちゃん! 良かった〜、今何処に居るのかって心配したのよ!」
「大家さん、何かあったの?」

 声に気付いて振り返ると、俺が住んでいるアパートの大家さんがこちらへ駆け寄ってきた。そして漸く見付けたと言わんばかりに俺の肩をバシバシ叩きながら、事の顛末を聞かされた。

 どうやら俺がバイトに出掛けている間に泥棒が入ったようだ。言うまでもないが、今さっき警官に連れられた黒尽くめの男の事だ。しかも、警察官の話を耳にした所、この周辺で起こっていた連続窃盗事件の犯人でもあり、所謂手練れだったとのこと。

「しかし、よく捕まりましたね。誰かが発見したんですか?」
「何言ってるのよ! マサちゃんの彼女のおかげでしょ!!」

 ………ん、今何と言った? “俺”の彼女だと? そんな馬鹿な。だって―――

「……俺、彼女なんて居ませんよ?」
「またまた恍けちゃって! 私はちゃんと見たのよ! このアパートに忍び込んだ泥棒が、マサちゃんの彼女にコテンパンにやられちゃう所を!」

 そこでまたバシンと背中を叩かれ、一瞬だけ身体が大きく前後に揺らぐが、大家さんは相変わらずおばちゃんらしい笑顔を浮かべながら“俺”の彼女の活躍を熱弁してくれた。
 大家さんが見た話によると、俺がバイトで出て行ってから程なくして、上の階から激しい物音が聞こえてきたので、何事かと思い階段を上っていくと、アパートの細い通路で短い黒髪をしたセーラー服姿の少女が黒尽くめの男を取り押さえていた。

 一体何がどうなっているのかと理解出来ないでいる大家さんに対し、男を取り押さえている少女は冷静にこう告げた。

『この人、泥棒ですから警察呼んで下さい』

 そうして大家さんは警察を呼び、男は御用。当然、迅速に犯人が捕まったおかげでアパートにも被害は無く、めでたしめでたし……で幕を閉じたそうだ。

「もう本当に清楚で可愛いらしい子だったわよ〜。今時のチャラチャラした女の子と違って、御淑やかで礼儀正しかったし。そして泥棒を捕まえた時なんて、とってもクールで格好良かったわ〜! それにしてもマサちゃんも良い子を見付けたわね〜」
「いや、ですから俺に彼女は……」
「良いのよ、そんなに必死になって隠さなくったって! ああ、そうそう。今度会ったらお礼を言っといてね!」

 大家さんはこちらの話しに一切聞く耳を持たず、自分の言いたい事だけ全部言い切ると家族と共に何処かへ行ってしまう。少し会話を耳に挟むと、このゴタゴタで疲れたから今夜は外食しに行くようだ。

 まぁ、こんな事件があったのだから分からないでもない。しかし、俺の彼女とは一体どういう事なんだ? 俺は彼女を作った覚えはないし、ましてやセーラー服を来た御淑やかな女の子なんて全く身に覚えが無い。親戚は男性が多く、女の子はほぼ皆無に近かった気がする。

 そこまで考えたところで、俺はふと気付いた。

「……何で、その女の子を俺の彼女だと思ったんだ?」

 大家さんの話を振り返ってみたが、彼女が俺の彼女だと自己紹介したという話は出て来ていない。聞いたのは泥棒を捕まえて御手柄だったこと、素直であり、見た目も美しいクールな少女であったことだけだ。

「分からねぇな……」

 その少女が居れば答えを聞けたかもしれないだろうが、今では何処へ行ってしまったのか分からない。答えが得られないと分かると、俺はその謎を胸に仕舞い込んだまま、自宅に戻り、充電していたスマートフォンに手を伸ばすのであった。




 結局、俺の彼女と言われた女の子の正体は分からず仕舞いのまま、3カ月が経過しようとしていた。また未だに姿を現していなかったゾンビ……ファラオ・ヴァンパイア・ワイトも出現させる事にも成功した。
 因みに三人の能力は似たり寄ったりだ。ファラオはゾンビ達が稼ぐ給料を倍に増やし、ヴァンパイアは攻撃力を1・5倍に引き上げ、ワイトは体力を1・5倍に増やす。所謂、ステータス強化系だ。彼女達がこのゲームにおけるチートキャラである事は言わずもがなであり、故に彼女達が出てくるのは本当に終盤直前であった。

 既にスマートフォン内のゾンビマンションの完全クリアを意味する10階までの増築を完了させており、今はクリア後の特典に挑んでいる。

 その特典とはズバリ、結婚だ。ゾンビマンションをある階数以上建てると、今まで集めたゾンビ達……ゾンビ・グール・スケルトン・ゴースト・デュラハン・リッチ・ワイト・ヴァンパイア・ファラオから結婚を申し込まれ、その内の一人からの結婚申し込みを受諾すると、彼女達と末長く幸せに暮らせるらしい。らしいと言うのは、未だに俺がその結婚の申し込みを受諾していないからだ。

 とりあえず現在49階まで建てたが、現時点で結婚の申し込みをしてきたのはゾンビ〜デュラハンまで五人だ。結婚の条件をクリアするや、画面上に結婚衣装を身に纏った彼女達が現れ、『結婚して下さい』とプレイヤーにお願いして来る。
 勿論、全員が全員可愛らしいお願いとは限らない。グールは『結婚しないと喰ってやる』と強引に、デュラハンに至っては『わ、私が貴様と結婚してやるのだ!』とツンデレ全開だ。

 しかし、今の所それら全てを保留にしている。別に誰でも構わないのだが、やはり頭の何処かで泥棒を捕まえた謎の少女が気になってしまうのだ。

「結局、誰なんだろうなー……」

 そんな事をぼやいていると、スマートフォンからピロリンと耳触りの良い音が流れた。そして画面上に『ゾンビマンション50階達成おめでとうございます!』という文字が現れる。ああ、もうそんなにも来たのか。このまま100階行けそうかな〜……なんて考えていると、今度は画面に色取り取りの花で満たされる。

「お、結婚イベントか」

 画面が花で満たされるという事は、結婚イベントのお知らせ……つまり、新しいキャラが結婚イベントに参加すると言う事だ。この調子で進むと、今度はリッチか。そう頭に浮かべていた予想は見事に的中した。


彼女が身に付けていた結婚衣装はものの見事に予想外であったが――――


「ん?……!?」

 今までの彼女達が来ていた結婚衣装はウェディングドレスであったり、和風の着物であったりと様々であったが、リッチが身に付けていたのはその両方ではなく、女子高生ならばこれだと言わんばかりのセーラー服であった。

 髪の毛が短く、大人しそうで、清楚で、セーラー服の少女―――大家さんから聞かされた情報が尽く一致する謎の少女が、今目の前に居た。

 いや、まさか、有り得ない。だって、泥棒を捕まえてくれたのは現実世界の謎の少女であり、ゲームの中に居る彼女ではない。

 呆然としていると画面上に彼女からのメッセージが映し出される。

『こんにちは、今更自己紹介は不要かもしれませんが、色々と助言したり、ゾンビを作ったりとゲームで大活躍したリッチです』

 自分で大活躍って言うかなぁ、普通……。いや、確かにゾンビを作ったり、序盤から助言してくれたりと大助かりなのは事実だ。

『貴方は、私の姿に違和感を覚えたでしょう。何せ、他の皆はウェディングドレスとか、派手な衣装とかでしたからね。でも、貴方に訴えるにはコレが一番だと思ったからです』

 俺に訴える? 一体何を――――

『貴方も大家さんから聞いたでしょう? セーラー服を来た少女が泥棒を退治してくれたと』

 その一言に俺は心臓を鷲掴みにされた。どうして彼女が知っている? いや、そもそもこれはゲームではないのか? ゲームのキャラクターが現実世界で泥棒を退治したとでも言うのか?
 様々な疑問がぐちゃぐちゃになり、最終的にはパニックを通り越して頭の中が真っ白になってしまいそうだ。

『こんな事を言うのは卑怯かもしれませんが、貴方は私の事を知りたいのではないのでしょうか?』

 ああ、正しく彼女の言う通りだ。一体何がどうなっているのか知りたくて仕方が無い。そして彼女が次に何を言ってくるのか、何となく予想が付いていた。

『もし宜しければ、私に直接お伺いしませんか? 勿論、タダとは言いません。私の人生を、貴方に授けます。それで如何でしょうか?』

 成る程、これは卑怯だ。人が抱いている疑問や好奇心を巧みに突いて来ている。しかも、その見返りもまた興味深い。まぁ、ゲームの中だから言えるのかもしれないが……いや、現実世界にも関与しているのだから、この場合はどうなんだ?

 等々、色々と頭に疑問が思い浮かぶが、一番手っ取り早く且つ確実な方法は彼女の申し出を受ける事だ。そして俺が彼女の申し出を受ける『はい』のボタンを押すと、最終確認事項の文章が現れる。

『此処でYESかNOかを選ぶのは貴方次第ですが、YESを選んだ場合には貴方は自由を奪われます。貴方の人生を棒に振る覚悟はありますか?』

 何だこれ、今までと雰囲気が大きく異なる警告文だな。この先にはアダルト要素が含まれています……とはまた違う感じの警告文だ。だが、どちらにしよ、この疑問を解決するには先へ進まなければならない。

 そして俺は迷う事無く、『YES』のボタンを押した。すると、突然ブツンと音を立て、今まで明るかった画面には何も映らない暗夜みたいな暗闇が広がっていた。

「お、おいおい! ここに来てバッテリー切れかよ!? 勘弁してくれよ……!」

 セーブデータ取っていないのに、マジかよ。自分の不運を呪いながら、充電器に手を伸ばそうとしたが、一旦テーブルに置いたスマートフォンが勝手にカタカタと震え始めた。

「な、何だ?」

 バッテリー切れではなく、スマートフォンそのものが壊れたのか? 今まで築き上げたセーブデータが吹っ飛ぶのではという恐怖が一瞬頭に過ったが、程無くして、故障でもないと知る事となる。

 カタカタと震えていたスマートフォンの震えが収まったと思いきや、次の瞬間にボンッという音と共に画面から黒い煤が凝縮された煙が舞い上がる。

「爆発した!?」

 何せ爆発に近い音と、黒い煙みたいな物が上がったのだ。爆発したのだと思い込んでも無理はない。が、暫くしても、煙は四散せずに空中に留まり続けている。そんな異様な煙を凝視していると、煙は自分で意思を持っているかのように形を変え始めた。

 やがて煙は手・足・身体と形作り、最後に顔の輪郭が出来上がった瞬間、ポンッと再度爆発した。しかし、今度のは音からしても分かるように軽度の、それでいて可愛らしい爆発音だった。

 そして可愛らしい爆発と共に生じた白い煙の向こうから現れたのは……あの大家さんが言っていた女子高生であった。

 短い髪に大人しそうな雰囲気は画面の中に居た、あのリッチそっくりだが、実際に会ってみると彼女の可愛さや色気がより際立っている。しかも、日本の女子高生をイメージしてか、ゲーム内に登場する灰色の髪に死人のような蒼白い肌ではなく、真黒い髪に生きた人間と同じ血の気の通った肌色だ。勿論、身に付けている物も女子高生のセーラー服だ。

 そして宙に浮いていた彼女はフワリと音も立てずに着地すると、俺に向かってペコリと頭を下げた。

「こんにちは、マサト様」
「こ、こんにちは……!」

 大人しいと言うか、少し根暗な印象があったのだが、俺に挨拶をする際にふんわりと微笑んだ顔を見て、そんな印象など一瞬にして吹き飛んでしまった。

 可憐だ……。目の前のリッチに抱いた感情は、正にその一言に尽きよう。しかし、俺は彼女に聞きたい事があるのだと我に帰り、自分からその話題に触れた。

「あ、あのさ……それでさっきの話しなんだけど……」
「そうですね。お教えしないといけませんね。では、先ずは私達が何者なのかお教えしましょう」

 俺から切り出した話題に対し、リッチはまるで己の使命であるかのよう、俺に様々な事実を教えくれた。

 先ず彼女達の正体は遥か昔に人間と共存していた魔物だ。伝承や御伽噺では恐ろしい怪物や化け物として描かれており、それも一部は事実なのだが、ある日を境に人間と仲睦まじく共存出来る存在に変わったようだ。
 今では人間の劇的な進歩に耐えられず、魔界や秘境に隠れ住んでいるとのこと。中にはこっそりと人間と暮らしている魔物もいるらしい。正体を隠したり、親しい人間にのみ姿を明かしたりと様々な方法で。

 それでも堂々と人間達と一緒に仲良く暮らしたい……そんな魔物達の声が魔界で高まったのを機に、魔界で随一の頭脳と魔法科学の知識を持つと言われる“バフォメット”の力によって、人間達が作ったあるゲームのソフトに自分達を閉じ込める事に成功した。

 それが魔物アプリである。そしてゲームを通じて、プレイヤー……人間ならば誰もが持つ愛情や好意を、自分達にのみ向けるように仕向ける。言うなれば、この魔物アプリはやればやる程、ゲームに登場するキャラに恋をしてしまう恋の麻薬なのだ。

「え、ちょっと待って。じゃあ、俺もそのゲームに恋愛感情を支配されていたってわけ?」
「ええ、そうです。実際にマサト様は“セーラー服の少女”という言葉に縛られてたじゃありませんか」

 うっ、そこを突かれると何とも言えなくなる。成る程、確かに謎のセーラー服の少女を気にもせず、記憶から消さずとも、頭の片隅へ追い込むぐらいは出来る筈だ。なのに、それさえもせずにずっと気に掛けていたのは、俺の持つ恋心がアプリを通じて操られ、意識させられていたからか。

「でも、どうして今までゲームに隠れていたんだ? 泥棒を退治した時に出て来れたって言うのなら、こんなまどろっこしい真似をしなくても良いじゃないか。俺の恋愛感情を操作するって事も、恐らく成功していたんだろうしさ」
「それは魔物アプリの製作者であるバフォメット様が定めたルールに反します」
「ルール?」
「はい、緊急事態を除いて現実世界へ出て来てはならない。プレイヤーが私達を選ぶまでは正体をバラしてはいけない、もしくはバレてはいけない。強引に人間と交わってはいけない。この三つが基本ルールです。万が一に破った場合、もう二度と魔物アプリに参加する事は出来ません」
「そうだったのか……」

 そうか、だから今まで姿を明かさなかったんだ。緊急事態と言うのも、あの日、泥棒が俺の部屋に忍び込み、スマートフォンや金目の物を盗もうとした事を指すのだろう。だが、彼女の大捕物のおかげで、それは未然に防がれた。同時に大家さんからは公認のカップルだと誤解されてしまったみたいだが。

「まぁ、何だか嵌められたような気もしないでもないけど……君のおかげで俺の家も守られたし、終わり良ければ全て良しって事で万事OKだな」
「いいえ、まだ終わりではありません」
「へ? まだ何かあったっけ?」

 知りたい事も知れて、俺的には満足なのだが……彼女にはまだ何かやる事があっただろうか? 

 そう思っていると、彼女は頬を薄ら朱色に染め、俺の体に抱き付いて来た。

 その瞬間、死んだゾンビの仲間とは思えない、爽やかで甘い乙女の匂いが鼻孔に入り、俺の心臓が早鐘を打つ。今まで異性と付き合った事は数度あるが、こんなにも興奮した事は生まれて初めてだ。
 しかも、俺の身長が190センチ強もあるのに対し、彼女は165センチ程度。つまり、抱き付いた状態で俺の顔を見る時、必然と彼女の可愛らしい上目遣いの瞳を直視してしまうという事だ! これを眼福と言わずして、何と言うべきか。

 だが、それ以上に衝撃の台詞が彼女の口から飛び出した。

「先程も言ったでしょう? 私の人生を貴方に捧げますって」
「え!? それって……ゲームの中の演出じゃ――――」

 てっきり先程の台詞は嘘や冗談の類かと思っていたのだが、それは彼女自身の行動で否定された。ソッと両手を俺の頬に伸ばして優しく挟み込むと、若干俺の顔を引き寄せる。そして彼女の唇と、俺の唇が優しく触れ合った。

「んっ」
「!」

 柔らかく、そして甘い。濃厚ではなく、唇と唇が触れ合う程度のキスではあったが、そんな軽いキスでさえ俺の頭の中は幸福に満たされたかのような桃色一色に覆われる。

 数秒間続いたキスから解放されるのと同時に、一瞬気を抜いたせいか、難無く押し倒された。幸い倒れた背後に安いパイプベッドが置かれてあった為に苦痛は皆無であったが、それを良い事にリッチは俺の体に跨った。しかも、女子高生の姿を保ったままだ。そこはかとなく犯罪臭が漂う様な、イケないお店でコスプレさせているような。兎に角、その姿に興奮するのは確かだ。

 そしてリッチは可愛げのあるジト目で俺を見下ろしながら、くすりと微笑んでこう呟いた。

「私の人生を捧げる代わりに、貴方の全てを下さい。旦那様」

 反則と思えてしまうような可愛い微笑みと共に投下された発言に、俺は抗う術を持ち合わせてはいなかった。



「あぁっ❤ そこぉ……❤」

 そこからは無我夢中だった。いや、まるで彼女に操られているかのように身体が勝手に動いたと言うべきか。彼女が身に付けていた服を破り捨て、露わになった豊満な胸にしゃぶり付く。流石に元は死体だったという事もあり、リッチの身体は若干ヒンヤリとしており、火照った俺の身体には心地良いと思えた。

「マコト、様……❤ そろそろ私も舐めたいです……❤」
「えっ!? 舐める!?」

 リッチの舐めたいという要望に対し、俺は素っ頓狂な声を上げて花瓶に反応してしまう。一体何処を舐めるのかと言われれば、間違いなく俺の下半身にあるムスコだ。そんな俺の反応にリッチはムッと顔を顰める。

「……何か御不満でもあるのですか?」
「あっ、いや……別に……」

 『自分は好き放題しているのに、私は駄目なんですか』と表情で訴える彼女を直視する事が出来ず、思わず視線を横へ流してしまう。だが、それをチャンスと見たらしく、彼女は俺が気付くよりも早くズボンのチャックに手を伸ばしていた。

「あっ、ちょっと待っ―――!!」

 それに気付いて止めようとした俺の言葉に対し、彼女は待った無しでチャックを下ろした。

 瞬間―――社会の窓から俺のムスコがビックリ箱を開けた時と同じ勢いで飛び出し、目の前に居たリッチの顔に激突する。

「!!」

 今さっきまで不機嫌な顔を浮かべていたリッチもコレには思わず目を丸くし、俺のムスコをマジマジと見詰める

「……」
「あー……ごめん、びっくりした?」

 顔にペニスが激突した事も当然だが、何よりも彼女が驚いているのはその大きさだろう。全長30センチ近く、直径4センチもあるマイペニスは凶暴そのものだった。

 こんな大きいのは論外だと拒絶気味に叫んだのは、以前付き合っていた女性だ。

 ゲームに興味が無いばかりではなく、こういったペニスの大きさにさえ興味を持っていなかったその結果、普通の女性とSEXする直前まで自分のペニスの大きさが異常だとは思わなかった。確かに同級生にはデカイデカイと言われていたが、身長も大きいから、これぐらいのペニスの大きさも当たり前だろう程度にしか考えていなかった。

 この一件で俺は初めてお付き合いした女性に振られ、今後も誰かと付き合ってもSEXの直前で拒絶されるんじゃないかという不安が付き纏うようになった。そして今回も―――

「素敵です……❤」
「えっ?」

 今回も振られるのではと頭に過ったが、そんな気持ちを吹き飛ばすような言葉が耳に入る。何かの間違いかと思い視線を彼女の方へ向けると、そこにはうっとりとした恍惚の表情で、俺のペニスを食い入るように見詰めるリッチの顔があった。

「あ、あの……」
「はい?」
「嫌じゃないの? こんなにデカイと、ほら……入れる時とかさ……」
「ふふっ、何を仰っているんですか。ペニスの大小なんて気にしません。只、私は貴方を愛しているのです。それだけで十分ではありませんか」

 人は外見ではなく中身だと言わんばかりの彼女の台詞に、俺は心が救われる想いになった。そして女性とのお付き合いに対して、自信を失い掛けていた俺に勇気を与えてくれた。

いや、違う。俺の事をここまで愛してくれるのは、このリッチしか居ない。そう確信した。

 その確信を得たのと同時に、彼女はギンギンに勃起した俺のペニスを何の躊躇も無く、口に咥え込んだ。皮が剥け、パンパンに膨れ上がった亀頭を咥え込むだけで彼女の小さい口は一杯一杯だ。
 それでも尚、彼女は竿まで咥えようと強引にペニスを喉奥まで飲み込む。流石に彼女の喉は狭く、また中途半端に飲み込んでいるせいか、喉の襞が亀頭をキュウキュウに締め付けてくる。勿論亀頭だけではない。前歯が竿に擦れる仄かな痛み、ナメクジのような舌がペニスの前半部に絡み付く感触も何とも言えない。

 生まれて初めてのフェラチオ、しかもこんな濃厚なフェラチオを体験して良いのかと自分自身に言いたくなる。でも、恋人関係を通り越し、結婚まで行き着いたのだから良いのだと叫ぶ己も居る。

「き、気持ち良い……」
「ふふっ、もっと気持ち良くなってくだふぁいね❤ あむっ❤」
「おうっ!!」

 上目遣いで欲情的な台詞を吐いた後、リッチは頭を前後に動かし、口内から喉奥までを使ってペニスを扱き始める。ジュボジュボと激しく音を立てながらペニスを口内で可愛がり、次いで口を窄めて亀頭の先を執拗に苛めたり、そしてまた喉奥まで咥え込んだり…の繰り返しだ。

 確かにフェラチオは気持ち良い。が、俺の肉欲は既に次の段階へと向かっていた。

「な、なぁ……そろそろ良いかな?」
「んっ、ぷぁ。私の中に入れたいんです? 良いですよ、既に準備は整っております❤」

 俺の呼び掛けに反応したリッチはフェラチオを止め、四つん這いになって俺の方に可愛らしいヒップを向ける。柔らかみと丸みの帯びたラインは女性特有の、そして木目細かい肌に宿る張りと艶は若さの証しだ。
 触るとやはりゾンビらしい冷たさがあるが、その中心にあるヴァギナは生前と変わらず、愛液を垂らしながらヒクヒクと卑猥に蠢いている。

 蠢くヴァギナが何を欲しているのかは、言わずもがなだ。だが、俺は敢えて彼女が求めるソレを入れず、手始めに人差し指と中指の2本をヴァギナにゆっくりと挿れた。

「あっ……! ❤」
「凄い……グネグネしてる」

 指が入った途端、まるで待ち望んでいたかのように膣壁がギュウギュウと指を強く締め付けてくる。まるで指を食い千切りそうな勢いだが、チラリと彼女の顔を見遣ると物足りないのか少し欲求不満の顔が窺えた。

「マコ…ト様……! ❤ お願いです……❤ 挿れてぇ……! ❤」
「ん? 何を挿れれば良いのかな?」

 ヴァギナに刺さったままの指を動かしただけで、彼女の秘部から溢れ出ている愛液と絡み合う音が聞こえてくる。その音だけで俺は興奮し、リッチは恥ずかしげに顔を赤くする。それが余計に俺の嗜虐心を煽り立て、意地悪く指を何度も出し入れすると、遂にリッチは我慢出来ずに叫んだ。

「マンコ!! 私のオマンコにマコト様のペニスを下さいぃぃっ!!」

 おいおい、そんな大声で叫んだら隣の部屋にまで聞こえてしまうじゃないか。なんて内心で呟きながらも、常に冷静な素振りを崩さなかった彼女の乱れ切った姿を見れた事に、俺の心は満足感で満たされていた。

 そしてヴァギナから指を引き抜き、今度こそ彼女の期待していたペニスを突き入れた。

「あっ!! おおおおおっ!! ❤」
「ッ……! やっぱりキツイな……!」

 俺の巨大ペニスを挿入しても避けないだろうかという不安はあったものの、散々焦らしたおかげでヴァギナは愛液塗れになっており、スムーズに俺のペニスを受け入れてくれた。それでも俺と彼女の体格差は如何ともし難く、ペニスの約7割強が彼女の中に入った時点で動きを止めた。

「……大丈夫?」

 彼女の状態を確認しようと耳元でボソッと話し掛ける。この小さな体で俺のペニスを受け入れるのは厳しかったのか、リッチは顔を薄ら赤く染め、呼吸も僅かだが上がっている。抜いた方が良いのでは……そんな考えも頭に過ったが、程無くしてリッチから返事が返って来た。

「……て、下さ…い…」
「え?」
「動いて……下さい……」
「良いの?」
「ハ、イ……。寧ろ、動いてくれた方が―――」


 気持ち良いですから―――


 最後の言葉に俺の中にあった遠慮と言う名の枷が外れた。彼女の腰を掴み、動物の交尾のように乱雑に腰を振り動かす。膣で暴れ狂うムスコを宥めるように、リッチの膣がギュッギュと締め付けてくる。

「ああっ!! そこっ!! そこぉ!! ああん!! 」

 彼女も野生のような交尾が気持ち良いのか、冷静なキャラをかなぐり捨てて、雌の雄叫びを上げている。彼女の知らない一面を見れた様な気分になり、上機嫌になった俺は益々SEXにのめり込む。

 今みたいに四つん這いの格好になった彼女を只管バックで責めたり、互いの体を抱き合ってキスを交わしながらの交尾もした。ベットで仰向けになった彼女に覆い被さり、正常位で交尾しながら好きだと互いに言葉を交わした。

 生まれて初めてのSEX、生まれて初めて俺を受け入れてくれた愛しい女性。何時間にも及ぶSEXは甘く、充実し、俺の心を満たしてくれた。

 やがて、どれだけ繋がっていたかも忘れそうなぐらいになった頃、俺はそろそろ絶頂を来たそうとしてた。勿論、出すべき場所はリッチの中だ。そして腰を振る速度を速めようとした時、彼女から『待って下さい』と声が掛かった。

「な、何?」
「あの……一つだけお願いがあるんです」
「お願い?」
「その……挿れて欲しいんです」

 その言葉に俺は首を傾げてしまった。挿れて欲しいと言うのは、他ならぬ俺のペニスの事だろう。しかし、既に俺のペニスは彼女のヴァギナと繋がっている状態だ。彼女のお願いに理解出来ずにいると、遂に彼女の方から口を開いた。

「マコト様のペニスを……全部挿れて欲しいんです」
「えっ!? で、でも……今のままでも結構キツいんじゃ……」
「大丈夫です。私の体はゾンビと同じですから。それに―――愛した人の全部を受け入れたいんです」
「!!」

 ああ、もう! どうして、そうクールな横顔を浮かべたまま可愛い台詞を言うのかな〜!! もうこのギャップで御兄さんメロメロだよ! 今時メロメロなんて死語かもしれないけど、気にしないよ!!

 ――と頭の中で何を言っているのか自分でも分からないぐらいに軽くパニックになるが、とりあえず彼女の期待には応えたい自分が居るのは確かだ。

「じゃあ、行くよ……」
「はい……っ、んああああ!!」

 彼女から了承の掛け声が返って来たのを合図に、俺はヴァギナに突き刺さったままのペニスを更に奥へと捩じ込む。狭くてキツイ膣を掻き分けるように強引に捻じ込むと、意外と奥へと入ったが、それでも残り1割が後少しという所で入り切らない。やはり此処が限界かなと思い彼女を窺うと、目尻に涙を溜めながら彼女と目が合った。

「もっと……もっとぉ! ❤」
「で、でも……これ以上は入りそうにないよ?」
「だ、大丈夫です。まだそこは子宮の入り口ですから……❤」

 『ね?』と可愛らしく懇願する彼女の姿に、俺は口に溜まった唾液を喉奥へゴクリと流し込む。今の台詞から察するに、彼女はその入り口を逞しいペニスで突破して欲しいと懇願しているに他ならない。
 彼女の期待に応えたいという気持ち三割、彼女が壊れないかと言う不安が三割、彼女の奥へ行きたい&俺の全てを挿れたいという肉欲的願望が四割。

 そして彼女の腰を掴み、下半身にグッと力を入れる。子宮の入り口は鉄壁のように分厚く、固かった。そこをドンドンと荒々しくノックする度に、リッチの口から喘ぎ声が漏れる。

「そこぉ! ❤ もっと……もっと突いてぇ! ❤」
「くっ、おおお!!」

 何としてでも奥に入りたい。そして奥で射精して、彼女の子宮を俺の精液で満たしたい。それだけが頭の中で一杯になり、俺は只管に子宮の扉をノックし続けた。

 すると、何度もノックをしたせいで子宮口が麻痺したのか、固く閉ざされていた扉が緩み始めた。後少しだ、そう思いながら出し入れを繰り返していたペニスを一気に奥へと突いた瞬間―――ズンッ!と強い衝撃と共に、絶対防御の壁を突破した。

「「ッ!!!! ❤❤❤❤」」

 入っちまった。極太の亀頭が子宮の内部へ辿り着き、ペニスも根元までズッポリと入ってしまった。何と言う充足感、何と言う幸福感。
 彼女も恐らく同じなのだろうが、突然子宮内部に入って来たペニスの圧迫感でパクパクと口を只管に動かすばかりだ。しかし、その表情は今までにないぐらいに幸せに満ち満ちていた。

 そしてヴァギナからは絶頂を意味する潮が噴き出しており、俺の太股を伝って下のシーツへ吸い込まれていく。言葉に言い表せないぐらいに……卑猥だ。

 しかし、今の俺にそれらを十分に観測する余裕など無かった。寧ろ、いよいよ我慢の限界だった。

「……ごめんっ」
「えっ? どうし――――ひぅ!!? ❤❤❤」

 リッチに謝罪したのと同時に、俺は絶頂に達し、彼女の子宮内に直接大量の精液を吐き出してしまった。最奥で吐き出されたドロドロした熱に、リッチは言葉を発する事さえままならず、発情期を迎えた雌犬のように呼吸を荒々しく発するばかりだ。

 やがて全てを吐き出し終えてペニスを引き抜くと、彼女のヴァギナはポッカリと見事な穴が開いていた。しかし、個人的に大量に出したつもりだったのだが、殆どの精液は彼女の子宮で出し尽くされたからか、ヴァギナから流れ出てくる精液は想像以上に少なかった。

「……ごめん」

 もう一度だけ謝罪して、絶頂して疲弊し切った彼女の額に優しくキスを落とす。すると、彼女は文句を言いたげに頬を膨らませ―――俺の唇にキスをした。

「そんな申し訳なさそうな顔をしないで下さい、マコト様」

 優しげに囁くリッチの表情を見て、俺は微笑んだ。ああ、本当にこの子が好きだな―――と。

 そして彼女を抱き締めながら、今後の未来に胸を弾ませた。色々と大変な事もあるだろうが、これだけは言える。


 何があっても、この子を絶対に手放さないと――――。





「ところで、あのゲームは最大で100階まで建てられるそうだけど……そこまで建てたらどうなるの?」
「ハーレムエンドが可能となります。つまり、全てのゾンビと酒池肉林が可能です」
「ハーレムエンド……」(酒池肉林と言うよりも、死血肉林になりそうな気がする)
「………最後まで挑戦しますか?」
「いいえ、結構です」

 その日以降、俺はゾンビマンションをやっていない。
14/06/07 18:19更新 / ババ
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■作者メッセージ
ゾンビマンションの元ネタはメゾン・ド・魔王です。動画でチラホラ見た事ある方も居られるかもしれませんが面白いゲームですw 但し結婚はゲーム内に登場するキャラ同士しか出来ませんが(滅)

こういうアプリはどうかというご意見がございましたら、どしどしお送り下さいませ。それが全部反映出来るかは分かりませんが(汗)

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