連載小説
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一日目 誕生
私はゴーレムのカザリ。今日、主によって生み出された。これは、今日、この誕生した日から私が書いた日記。

主は言った。「今日からこれを君に授けよう。君の記憶能力のバックアップだから、丁寧に扱うんだよ?」
そう言って貰ったのは、今書いているこの書物だった。私は、その時からこの書類を自分の宝物にしようと思った。しかし、そんな感情は要らない。きっとこれを書き終わった頃には私はそんな感情は捨てているだろう。

生まれて初めて外の日に当たった。どうやら私は主に朝早くから生み出されたらしい。日がまだ昇り始めて少ししか経っていない様に思えた。

私は主に許可を得て辺りを散歩する事になった。最初は歩行練習も兼ねてゆっくりと歩いてみた。どうやら私は足腰には不安があるらしい。体の一部の岩がギシギシと音を立てていた。

暫く散歩をしていると、私の目の前を誰かが通り過ぎて行った。それはアルラウネの少女だと、主に後で聞かされた。その子は後から一緒になった父親と母親を「おとぉさん」「おかぁさん」と呼んでいた。分からない。私にその「おとぉさん」や「おかぁさん」は理解できない。どうやら私は主の趣向に沿った形でしか機能しないらしい。この幼い体にもそう言った感情はあるのだろうか。私は直ぐに興味を無くした。

主が足に怪我をして私の下に駆けよって来た。話によると、昼食を買いに行っている途中で足を滑らせてしまったらしい。

私は主の足を撫でていた。暫くこうすれば元に戻ると思っていたからだ。しかし主は元気だった。段々と私に足を撫でられるのが快感になって来たのか表情が綻んでいた。

窓を見るとあっという間に空が赤くなっていた。これはなんだろう。そう思う私は、外に出て見る事にした。外には、色々な形をした白い何かが浮かんでいる。そんな中で、一つだけ大きな赤い光を放つ球が私を見ていた。その視線は、周りも同じ色に染めていた。そこで私は主に呼び戻されて門を閉じた。

もう私の体には、色々な文字が刻まれている。お陰で今の様に字が書ける程度には知能が発達してくれた。それもこれも主のお陰だ。最後に主にお礼を告げて、私は今日の日記の執筆を止めたいと思う
「ありがとう、主」
10/10/19 11:30更新 / 兎と兎
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■作者メッセージ
短いですね。しかし、最初から体にルーンを刻まない研究者も不思議ですよね。しかもカザリは幼児体型。それが一生変わらないんだから、この研究者はロリコンなんでしょうね。それでは、次回もお楽しみに!

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