連載小説
[TOP][目次]
Standard daytime.
これが、家の裏庭で採れたハーブを使って淹れたハーブティーだ。
飲んでみてくれ、気持ちが落ち着くと思う。
焼け野原同然だったここに家を建ててもう何年になるかな?
最初の頃は雑草一つ生えなかったんだ、草も、木も、家も、人も、みんな燃え尽きてしまって何一つ残っていなかった。
願わくば、私がいた頃のような活気があって笑顔の絶えない村を取り戻したいというのは、欲張りかな。
まずは、どこから話そうか。
やっぱり順を追って話すのが一番わかりやすいかな。
当然、私にだって子供の頃があったさ。こんな大きい姿のまま生まれてくる訳がないだろう?
今よりもっとずっと小さくて可愛げのある・・・おい、何を想像している?
人間の子供がそんなフェアリーみたいな大きさの訳がないだろう。
言い忘れていたな、私は人間だったんだ。今でも、どちらかと言うと人間に近いかもしれない。
リリィ姐さんにもしょっちゅう言われるんだ「あなた人間みたいね。」って、その後には良い旦那さんを見つけて幸せになりなさいなんて言われるけれど、向こうも未だに独身だからお互い様だろう?

少し話がそれてしまったな、私はこの村で生まれた。
正確には、この場所にあった村だ。
今から〜年前の地図を見ればこの場所に村があったことが分かるはずだ。
どうして時期をごまかすかって?私の年齢がばれてしまうだろう。
母が言っていたんだ「女は三十路を過ぎると魅力が抜け出て、最後に残るのは骨と皮だけの女だったものになる」って、あれ?魔物は関係ないのか。
まだ私にもチャンスが残ってる、よし!
私が住んでいた村は良い村だった。
教団領であるにもかかわらず人と魔が共に手を取り合い、笑い、泣き、そして怒り、何より皆活きていた。
魔王の理想とする世界とは少し違うが、私の理想に近いのはこちらの方だろうな。
村の中で剣術を教え、自警団をまとめていたセレスティア・アージェンタイトさんと私は最も仲が良かった。
ひょっとすると親と一緒にいる時間より彼女と一緒にいる時間の方が長かったかもしれない。
彼女と一緒にいた時間の全てを剣の修練に当てていた私はその頃になると彼女とその夫を除いて村で三番目に強かった。
彼女はデュラハンだった、剣士だった夫と結ばれた彼女はその腕を少しも惜しむことなく村のために振るってくれた。
まさに騎士と呼ぶにふさわしい立派な人だった。
そんな私のささやかだけど幸せな日常が崩れたのは、ちょうど十回目の誕生日を迎えた日だった。
11/11/14 21:55更新 / おいちゃん
戻る 次へ

■作者メッセージ
色々カオスなことになってる本編の5000ビュー到達記念作品。
メインヒロインのビフォーストーリーに焦点を合わせてお送りします。
連載3つも抱えて大丈夫なのか?
「大丈夫な訳がないだろう。」

あらすじの英文はリハビリがてらに書いたので所々間違っているやもしれません。あしからず。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33