読切小説
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完全無欠のスケジュール
 午前七時:全員起床

「あんっ❤ あんっ❤ わふうん❤」
「ああッ、メレフ! メレフ!」
「あん、やっ……おい、ジーノ! いい加減起きる時間――くうぅん❤」
「ご、ごめんメレフ。だけどいきなり、メレフが俺のベッドの中に入ってくるから……ッ!」
「そ、それは、いくら揺らしてもお前が起きないから、仕方なく密着……あん❤ や、やめろぉっ❤ こし、おちんぽ、腰を打ち付けるなぁぁっ❤」
「くっ、うっ――メレフが、メレフがいけないんだからな! そんなエロい体して、無防備に近づいてくるからっ! 犬みたいにペロペロ舐めてくるから! 俺、抑えが効かなくなって……くあっ!」
「あ、ああっ! 出す、のか? 精液っ、朝から、私の中に、出す、のかぁぁっ?」
「う、うん、うん! もう俺、我慢出来ないッ! 許してくれッ!」
「――ああ、許す❤ 許すうぅぅぅん❤ 許可ッ❤ アヌビス様の中に、中出し許可ぁぁぁん❤」
「うっ、出る――があっ!」
「きゃ、でて、はいっ――わふうううぅぅぅぅん❤」




 午前七時〜七時四十分:朝の体操、朝食の準備、身だしなみを整える
 午前七時四十分〜午前八時三十分:朝食
 午前八時三十分〜十一時:墓所の掃除と衣類の洗濯(途中三十分休憩)

「ああ……メレフの中、あったかい……」
「お、おい、ジーノいい加減にしろ、仕事……あん❤」
「う、うん。わかってる。でもその前に、一回だけ……!」
「い、いっかいだけとか、くうん❤ 言っといて、お前はいつも、このまま昼食時までぶっ通し、あん❤ じゃないかあぁっ❤」
「だって、俺、メレフの事が好きだから……! 好きだから、メレフの事見てたら、つい我慢出来なくて……!」
「す、好きって、そんな……ッ!」
「本当だ! 俺は、くっ、メレフが好きなんだ! 嫁のお前が大好きなんだ!」
「――あ、ああぁぁぁあん❤ やめろぉ❤ 挿れてる最中にそんな事、いうなああぁぁぁぁ❤」
「あ、うあぁっ! 奥、締め付けてきて……ッ!」
「だ、出すのかッ? 子宮口に、お前の白いの、出すのかッ❤」
「ああッ! 出すッ! 出したいッ! メレフを汚したいッ!」
「そ、、そうか、そうかっ❤ じゃあ、わふん❤ 出してくれ、出してくれッ❤ 中出しぃ❤ 中出し許可あぁぁぁぁん❤」




 午前十一時〜午後一時三十分:昼食とお昼休み
 午後一時三十分〜五時:墓所の整備、及び拡張工事の計画策定

「ちゅ、ぴちゅ、ちゅ、あむ……」
「ん、くちゅ、ちゅ、ぴちゃ、ちゅ……」
「くちゅ、ちゅ……ぷはぁっ……まさか、メレフの方からキスしてくるなんてな。スケジュールはいいのか?」
「スケジュールの事は言わないでくれ……そ、その、お前を見ていたら、体が熱くなってきて……スケジュールどころでは無くなって、それで……」
「……なんだ、そうなんだ。なんだかんだでメレフもスケベじゃないか♪」
「そ、それは違う! これは朝っぱらからお前が犯してくるからっ……お前が節操無しに襲ってくるから! そのせいで私も我慢出来なくなってしまったんだぞ!」
「俺のせいだって言うのか?」
「……ああ、そうだ。全部、全部お前のせいだ――!」
「うおっ……おい! いきなり人のズボン脱がすな!」
「す、すまん。でも、でももう、我慢出来ないんだ……❤ お前のおちんぽ、私の中で味わいたくって仕方がないんだ❤」
「……やれやれ、我が儘なアヌビス様だ」
「な、なんとでも言え。なんとでも言って良いから❤ 早くっ❤ 早く私にこれ、食べさせてくれぇっ❤」
「……ああ、いいぞ。許可する」
「本当か!?」
「もちろん。好きなだけ味わっても――うあっ!」
「じゅるっ、ずちゅっ、ずぞぞぞっ、じゅるるっ、ぷはぁ……ああ、おちんぽ❤ おちんぽ❤ ジーノのおちんぽ❤」
「まったく、こらえ性の無いアヌビスだな。そんなだと部下に示しがつかないだろ?」
「じゅるっ、くちゅっ……わふん❤ ぴちゃぴちゃ、じゅるる……わふううぅぅん❤」
「だめだ、もう全然聞こえてない」




 午後五時〜午後六時:夕食の準備
 午後六時〜午後八時:夕食と入浴
 午後八時〜十時:一日のまとめと明日に向けての会議

「……」
「ん? どうしたメレフ? もうみんな集まってるぞ?」
「……っ」
「だから、なんだよ。袖掴んだままじゃ全然わかんないだろ」
「……さい」
「え?」
「……ください」
「くださいって、なにを?」
「……せいえき、ください❤ 私を、私を抱いて、ください……っ❤」
「……もう限界なのか?」
「――はいっ、はいぃぃぃっ❤ わたし、もう、もう無理なんですぅぅぅっ❤ もう限界っ❤ 理性保てないっ❤ 欲しい、ほしい、おちんぽ欲しい❤ あなたがほしいのおおぉぉぉぉぉっ❤」
「……仕方が無い子だな」
「ほしい❤ ほしい❤ ほしい❤ ……ふえっ?」
「……おいで」
「――わ、わふううぅぅぅぅぅん❤」




「今日から一週間、セックスは厳禁とする」

 翌日、その墓所を取り仕切っているアヌビスのメレフは朝食の席で厳然とそう告げた。彼女と同じテーブルを囲んで朝食を摂っていた『元トレジャーハンター』にして『メレフの夫』のジーノと、墓所の『門番』をしている『スフィンクス』のティティは、その宣言を耳にして揃って目を点にした。

「……それ、本気で言っているのか?」
「無論だ」

 困惑した声を上げる夫に対して鋭く怜悧な視線を向けながらメレフが断言する。

「私は絶対に誘惑には屈しない。絶対に一日を計画通りに進めて、日々を安寧に過ごしてみせる。私は本気だぞ」

 その威圧感たっぷりな表情を前にジーノが言葉を詰まらせていると、それまで魚の燻製を頬張っていたティティが彼に代わってメレフに尋ねた。

「うっそだー。メレフにそんなこと出来るわけないにゃ。無理に決まってるにゃ」
「無理では無い! 私が本気を出せば、己の性欲に打ち勝つ事など造作も無いことだ! 現に今日の朝、私は性欲に流されること無くジーノを起こす事に成功したぞ!」
「あれはお前、部下のマミーを遣いにやって起こしただけじゃねえか」

 茶を飲んで一息ついていたジーノの入れた横槍によって、それまで自信満々だったメレフの表情が若干引きつる。そして表情を固定したまま目尻をぴくぴく痙攣させ始めたメレフに向けて、更にジーノが攻撃を続けた。

「だいたい、朝は俺一人でも起きれるって。お前は朝からやることが多いんだから、俺を放っておいて先に行ってても――」
「お、夫を起こすのは妻の役目なんだぞ! 妻にとって大事な仕事の一つなんだぞ! それを無碍に出来ると思っているのか!」
「でもその夫の寝顔見てるうちに誘惑に負けて、その毛布の中に潜り込んだら世話ないにゃ。ジーノに襲われても文句は言えないにゃ」

 顔を真っ赤にして必死に弁明するメレフに対し、ティティがさらりと反論する。それを受けてメレフは暫くの間ぐうの音も出せずに顔を俯かせていたが、すぐに顔を上げて眉間に皺を寄せながら力任せに叫んだ。

「と、とにかく! 今日から一週間、私の決めた時間以外の時にセックスをするのは禁止だ! 厳禁だ! いくら伴侶のお前といえど、例外では無いからな!」
「いや、だからって、いくらなんでも」
「わかったな!」

 テーブルに両手をつき、身を乗り出してメレフがジーノに顔を近づける。その物理的な圧迫感も相まって、ジーノは完全に反論出来なかった。

「お、おう」
「よろしい」

 ジーノが反射的にこぼした言葉を受け、メレフが柔らかな笑みを浮かべて頷く。

「では、先に述べた通り、今からセックスは無しだからな。マミー達にも言っておくから、お前達も徹底するように。わかったな?」
「はーい……」
「わかったにゃ……」

 そしてそれから、メレフの提唱した『セックス禁止週間』幕を開けたのだった。




 三時間後。

「ああんっ❤ ああんっ❤ きゃううぅぅん❤」
「はあ、はあ、メレフ! ああ、メレフ!」
「ジーノ、ジーノっ❤ もっとだ、もっと突いてくれ❤ 奥まで激しく、子宮口の奥まで突いてくれぇぇっ❤」
「ぐうぅっ! メ、メレフ、奥で締め上げるの、止めてくれっ! 我慢、できなく――っ!」
「あん❤ うやん❤ きゅうん❤ ……うふふっ❤ 別に、我慢しなくても、良いんだぞっ? 遠慮しないで私の中に、あなたの精液、いっぱいぶちまけても、いいんだからなっ?」
「メ、メレフっ!」
「ほらほら、いい加減に観念しろっ❤ お前のおちんぽ、もっとぎゅーって締め上げてやるっ❤ おまんこでぎゅーっとしてやる❤」
「……あ、あああっ! やめ、やめろ! ヒダヒダが絡みついて、気持ち良すぎ……っ!」
「うふふふっ❤ 素敵だぞジーノ❤ 今のあなたの顔、とっても素敵❤ ほらほら、ぎゅーっ❤ ぎゅーっ❤」
「し、締まるっ! で、出る! あああっ!」
「ああん❤ きゅうん❤ ……幸せっ❤ わらひ、しあわせええぇぇぇぇぇぇん❤」




「死にたい」

 その日の午後八時。ティティとジーノ、そして部下のマミー全員を集めての一日の総括の席で、メレフは開口一番にそう告げた。この時の彼女はテーブルの上に胸から上を力なく投げ出し、まるで世界の終わりが来たかのように陰鬱な表情を浮かべていた。

「自分で言っておいて、自分から禁を破ってしまった。最低だ。もう何もしたくない……」
「ま、まあまあ。落ち着くにゃあ」

 ティティが慌てた調子でフォローに回るが、メレフはテーブルに突っ伏したままピクリともしない。しかしそれでもめげること無く、ティティは言葉を続けた。

「別に好きになった人とまぐわう事は全然不思議な事じゃないにゃ。むしろ夫婦として自然な事だにゃ。メレフもジーノの事が好きだからまぐわう訳だし、夫婦になろうと決めたんにゃよね?」
「それは、そうだが……」

 ティティの言葉を聞きながら、メレフはその脳裏にジーノとの馴れ初めを思い出していた。
 自分の管理するこの墓所に当時トレジャーハンターだったジーノがやって来た事。数多くの罠をくぐり抜けて最深部に辿り着くも、最後の最後で詰めを誤ってメレフ自身の手によって捕まってしまった事。そこであろう事か互いに一目惚れをしてしまい、そのまま夫婦の契りを交わしてしまったこと。

「ジーノとメレフはラブラブにゃんだから、一日中まぐわっててもおかしくはないのにゃ。だから変に規則とか作ってそれに縛られて、無理する必要はないのにゃよ」
「そ、そうなのだろうか……」

 ティティの言葉にメレフが渋い表情を浮かべる。テーブルの周りに座っていた他のマミー達も、口々に「らぶらぶ、らぶらぶ」と一斉に声を上げる。そしてそんなマミー達の声が落ち着いた頃を見計らって、再びティティが上機嫌そうに口を開いた。

「そうにゃ、そうにゃ。問題はないにゃ。だから別にジーノのオナニーしてる所みてムラムラして襲いかかってしまったとしても何もおかしくは」
「わーっ! わーっ!」

 ティティの言葉を遮るように、顔を茹で蛸のように真っ赤にしてメレフが叫ぶ。ジーノもジーノで顔を赤くして所在なげに身を縮こませ、彼を気遣うようにその周囲に集まったマミー達にも気づかない様子であった。

「お、おい! ジーノ!」

 そんなジーノに向けて、叫んだ時と同じテンションのままメレフが大声で呼びかけた。突然の事にビクリと肩を震わせ、飛び跳ねるようにして顔を上げてメレフの顔を見つめる。そのジーノに対し、不意に捨てられた子犬のように弱々しい表情を作ってメレフが尋ねた。

「ジーノ、その、私は……」
「お、おう」
「……私は、おかしくはないか? 変に欲情したり自分でセックスはするなと言っておいてこちらから襲いかかったりする私の事を、嫌いになったりはしないか?」

 簡単に折れてしまいそうな程にか細いメレフの声。それは今まで聞いた事が無いくらい弱り切った恋人の声だった。
 そんな頼りない声を受けて、ジーノは彼女に向けて柔らかい笑みを浮かべた。

「俺は別に、変だとは思わないけどな」
「ほ、本当か!?」

 メレフが身を乗り出し、縋るような目でジーノを見つめる。その顔を真っ直ぐ見つめ返しながらジーノが頷く。

「ああ、俺は別に変だとは思わないぞ。メレフのことは全部好きだし、嫌いになった事は一度も無いからな」
「そ、そうか、そうなのか……」
「それに、おかしいって思った事も無いな。寧ろもっと来て欲しいし、俺からもしたい」
「……え?」

 ジーノの言葉にメレフの体が固まる。ティティはニヤニヤ笑みを浮かべ、マミー達は一様に顔を赤くする。
 その中で自分も顔を赤くしながら、ジーノがメレフに言った。

「お、俺だって、それなりに我慢してるんだぞ。お前のスケジュールに合わせようって思って、結構我慢してるんだからな」
「……ああ」

 その言葉を聞いた瞬間、メレフは自分の体が軽くなったような感覚を覚えた。今まで自分は何を悩んでいたのだろうかという考えが唐突に頭の中に浮かび、そしてなぜ自分は夫の身を案じてやれなかったのだろうと己の不明を恥じた。

「そうか……私は知らず知らずのうちに、あなたにも負担を強いてしまっていたのか……」

 メレフが声のトーンを落として呟く。そして声を掛けようとしたジーノよりも先に、メレフがそれまでよりも幾分か明るい声を出して言った。

「なら、明日から新しいスケジュールを組み立てなければならんな」
「え?」
「なに、安心しろ。明日からの日程は、ちゃんとあなたの事も考えて作る。期待して待っててくれ」

 自信に満ちたメレフの声。それを聞くだけで、ジーノの中にあった不安も一気に消し飛んでいった。

「わかった。期待して待ってる」
「うむ。そうしてくれ」

 ジーノが微笑み、メレフもそれに微笑み返す。マミー達が両手を叩き、「らぶらぶだー。らぶらぶだー」と一斉に囃し立てる。

「あ、メレフ。もしそうにゃら、ちょっと提案があるんにゃけど」

 その時、不意にティティが声を上げた。そして自分の方を向いたメレフに対し、ティティが口を開く。

「もしスケジュールを改訂するんにゃら、ちょっとアタシの勤務時間も減らしてくれると助かるんにゃけど」
「それは無いな」
「ない。ない」
「ないー。ないー」
「ひ、ひどい!?」

 メレフに合わせてジーノとマミーが一斉に声を上げる。ティティは一気に悲しげな表情を浮かべたが、結局取り上げられる事は無かった。




 翌日。午前七時。

「おい、ジーノ。朝だぞ。起きないか」

 いつも通りにジーノよりも早く起きて着替えを済ませたメレフは、まだ寝息を立てているジーノの傍へと近づきその顔の傍に腰を下ろした。そしてその耳元に口を寄せ、再度言葉を放つ。

「ジーノ、おい、起きないか。朝だぞ」

 ジーノはぴくりともしない。それを見たメレフは観念したように立ち上がり、一度ため息を吐いてから独り言を漏らした。

「やれやれ、仕方の無い奴め。口で言っても起きないか」

 あからさまに落胆したような口調だったが、メレフ本人はその事に何の不満も持っていなかった。彼女の作った新しいスケジュール――これ自体はまだ自分以外の誰にも見せていない――の中には、『夫を言葉で起こす』とはどこにも書かれていなかったからだ。

「なら、こちらも相応の手を使わせてもらおうか。覚悟するんだな……❤」

 目を細めて頬を赤らめ、目の前の獲物に狙いを定めて舌なめずりをする。そして身につけている物を全て脱ぎ去り、一糸まとわぬ姿になってその場に立ち尽くす。

「さて、ジーノよ。行くぞ……?」

 顔だけで無く全身を火照らせ、熱に浮かされたようにメレフが呟く。そして一歩下がって体を縮こませ、口から垂れる涎を拭う事もせずに膝を曲げ――。

「――わふうぅぅぅぅん❤」
「ぐおっ!?」

 ――ジーノに向けて盛大なルパンダイブをかました。




「まったく、このっ、この犬っころめっ!」
「わんっ❤ わんっ❤ わうぅんっ❤」
「そんなに俺のモノが欲しいのか!? そうなのか!?」
「は、はいぃぃぃっ❤ あなたの、あなたのおちんぽ、おちんぽほしいですうぅぅぅっ❤」
「まったく、いきなり人の体に飛び込んで! いけない子だ! そんないけない子には、お仕置きしないとな!」
「お、おしおきっ❤ おしおきっ❤ おしおきしてくださいいぃぃぃっ❤」

 午前七時:全員起床(ジーノはメレフが直々に起こす。にゃんにゃんしてもいいのでとにかく起こす)。
13/04/21 20:18更新 / 蒲焼

■作者メッセージ
「やっぱり、ちんぽには勝てなかったよ(キリッ」

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