読切小説
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とある魔帝と魔人の話



「現在、我が国では重大な問題が起きている」


国王が召喚された騎士にそう言い始めた。

「お主も知っておるであろう。我が国の北方に魔王が住む城が突如現れた。魔の瘴気が立ち込め、じわりじわりと魔界が広がりつつある。お前には、それの調査に行ってもらいたいのだ」

「・・・・・・」

「不明点が多いため軍として動かすことは出来ぬが、一個小隊くらいの兵は動かすことを許す。まだ出現してから間もない故、それほど困難ではなかろう。魔界、魔城を捜索し、できることなら、あの地から即刻立ち退かせるのじゃ!」

「・・・・・・」

「・・・おい?聞いておるか?」

国王が騎士がずっとだんまりなので不安になって声のトーンを落として聞いてみた。




「・・・・・・はっ!?いや、寝てない、寝てない。ちょっと頭の中で女の子と遊んでただけデスヨ?」




「跪きながら寝てよったコイツ!?というか、お前の言う『女の子と遊ぶ』は怖いんだよ!またいかがわしい事を強要してたのではあるまいな!?」

「失礼な!女の子と合意の上でにゃんにゃんしていただけだ!」

「にゃんにゃんで誤魔化したってことはやはりいかがわしいことをしていたのだな!?」

「ぶっちゃけると女の子の(ペロペロ)を(レロレロ)して(ハァハァ)で(チンチン)を(アッー)て(ヒャッハー)してイきかけたとこで起きた」

「おい?なんでお前騎士団の隊長やれてるんだ?モラルとか常識とか体面とか色々不適切だと思うんだが?」

「ひとえに『正義に対する忠誠心』です!」
(あと、女の子にモテるから)

「なぁんか変な心の声が聞こえた気がするんだが・・・?」

「とりあえず、魔界に行って魔王ぶちのめせばいいんですね?わっかりました。さっさとケリつけてきます」

「あ、一応聞いてたのね・・・?」

ラピラス国家、 聖騎士団隊長、『グリーダ・テクノ』はマントを翻して王の間を出て行った。


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「つーことで、うちの聖騎士団員50名を連れて、魔界の中心の魔王城についたわけだが・・・」

つぶやいたグリーダくるっと後ろを向くと、グリーダについて来ていたのは4人だった

「・・・リッグス」

「はい、隊長」

「他46人はどこ行った?」

リッグスと呼ばれた聖騎士団員の剣士がポリポリと頭を掻く。

「隊長が一切振り返らずにズンズン独りで前向いて進んでる間に、まずサキュバス軍団に10名襲われ、アラクネ軍団のトラップに12名ひっかかり、ハーピー軍団に8名攫われ、そのあとのオーク軍団に関しては打ちのめしたせいでオークたちが奴隷になって後方のはるか彼方で16名が未だにヤりまくってます」

「あぁ、そうか。何回か襲撃受けたっけか?」

「隊長は襲いかかる魔物たちをバッサバッサ倒してましたもんね・・・独りで」

「一応生かして帰したぞ?てか、攫われたとか、みんな平和ボケで弱くなったか?」

「アラクネ6体をひとりで泣かして帰すのは隊長しか無理だと思うんですが・・・なんでアラクネのトラップに引っかかったのを自力で脱出できるんですか・・・」

リッグスが引き気味に言う。周りの3人の部下たちもうんうんと納得して頷く。

「さ、ムダなおしゃべりする前に城ん中入るぞ」

「・・・え!?この戦力で入るんですか!?無理ですって!!」

「バカ言うな。とある勇者は魔王に4人で戦って勝ったらしいぞ。やれるやれる。ほれ、いくぞ」

「・・・はぁぁぁ・・・」

リッグスがため息を吐く後ろで、部下たちは青ざめていた。


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「よくここまで来たな・・・しかし、貴様らはここで力尽きてもらう・・・我が名は『ディリオ』!誇り高きヴァンパイア一族の」


「うっさい邪魔」


城に入った瞬間の名乗りを終わるのを待たず、グリーダは真水の入った2Lビンを投げ、さらに魔法でディリオの頭上で爆発させた。もちろん真水はディリオに降りかかる。

「ひゃあぁぁぁっ♥み、水を使うとは、卑怯なぁぁ・・・♥」

「・・・ごくっ」

盛大に真水を浴び、身体中快楽に埋め尽くされたディリオがへなへなと座り込む。服が濡れてぴっちりと肌に張り付き、大きな胸やスラッとしたスレンダーな体型のシルエットが露わになる。
それを見た部下のひとりが、生唾を飲み込んだ。

「おい。もしかしたら真水の効果が解けるかもしれん。お前、足止めしとけ。主に(いやーん♥)することで」

「えっ!!?し、しかし、魔物との性交は主神様の教えに反しま」



「ここ、魔界!主神様の目、届かない!問題ない!!OK!?」

「了解しました!全力を尽くします!」



グリーダの強引すぎる丸め込み方と、部下の態度の急変っぷりにリッグスと部下ふたりがずっこけた。


「わ、悪く思うなよ?隊長の命令だからな・・・ぐへへ・・・」

「や、やめろぉ・・・き、気持ち悪いお前のモノなんか、受け入れたくないぃ・・・♥」

「こ、これで僕もっ、チェリーボーイ卒業だっ!ヒャッハー!我慢できねぇ!強姦だーーーっ!

「いやぁぁっ♥こ、高位な魔族である私がっ♥こんな男にぃっ♥あぁぁぁん♥」


「・・・な、なんか、あのヴァンパイア、変に楽しんでません?」

「あの女はマゾだな。俺より下っ端のあいつに犯される屈辱感がいいんだろ。Mだって一目見てわかったぜ」

「・・・女を見る目はあるんですね」

「まぁな(キリッ」


紳士発言に3人がドン引きしながら、ヴァンパイアと部下の嬌声をBGMに、グリーダ含めた4人は階段を登って行ったのだった。


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所変わって、魔王城最上階。
リリムが玉座に座り、欠伸をしていた。

「くぁぁ・・・暇ねぇ。勇者の襲撃とかないのかしら」

「現に今、最下層におるディリオが侵入者にやられたぞ」

ポツリと言ったリリムの下に、三体の魔物が現れた。

「あら、そうなの?えーと・・・・・・四天王B」

「私の名前は『ドーラ』だ!ドラゴンのドーラ!いい加減覚えてくれ主様!!」

「なんか覚えにくいのよね・・・ポチとかに改名していい?可愛いし」

「頼むからやめてくれ」

ドーラが土下座して懇願したところで、他のふたりが口を開いた。

「ですが、ディリオは我らの中でも一番下っ端・・・弱点を突いて撃退したようですし、我らが見事撃退してみせましょう」

「魔王様は、座ってるだけで十分じゃ」

「そう、頑張ってね・・・・・・四天王余り」

「余り!?私たちまとめて余りって!?私はデュラハンの『ラハン』です!」

「エキドナの『エキナ』じゃよ・・・元世話役の儂の名まで忘れるか・・・?」

「あー。えーと。うん、覚えた覚えた。頑張ってね」

手をひらひらと揺らして欠伸するリリムを見て、四天王の三人は大きくため息を吐いた。



「・・・ところで、今貴女たちがここにいて、下階の守備は大丈夫なの?」



『・・・・・・あ』(四天王s)



その瞬間、部屋の大きな扉がバキィッという音を鳴らしたあと、ゆっくりと内向きに倒れた。


「うぉいーっす。聖騎士団のグリーダっつうもんだけどー、ここまで雑魚しかいなかったんであっさりここまで来させていただきましたー。さっさと立ち退いてくれー。さもないと斬るぞー?」


扉の上に乗って部屋に入ってきたのはグリーダだった。うしろからリッグスと部下がひとり。ちなみに部屋の向こうでたくさんの魔物娘たちの喘ぎが聞こえてる。どうやら部下ひとりが逆レイプ受けてる模様。南無三。

「くっ!?まさかこんな早くに登ってくるとは・・・!?」(ドーラ)

「だって雑魚しかいないんだもん」(グリーダ)

「しかし!魔王様には指一本触れさせん!」(ラハン)

「た、隊長、奴ら、どうやら今までのとは違うようです!」(リッグス)

「我らが貴様を地面に這い蹲らせてやろうぞ!」(エキナ)

「・・・竜娘・・・女騎士・・・蛇ババァ・・・ハァハァ・・・」(部下)


さぁ、戦いだ!!!


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『ドラゴンがあらわれた!
デュラハンがあらわれた!
エキドナがあらわれた!』

『魔王軍ステータス』
ドラゴン(Lv 60)普通
デュラハン(Lv 70)普通
エキドナ(Lv 80)普通


『聖騎士団ステータス』
部下(Lv 30)魅了
リッグス(Lv 45)困惑

グリーダ(Lv 500)普通

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『ちょ!?』(魔物娘たち)


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グリーダの攻撃!
『一文字斬り』!

ドラゴンに97624のダメージ!
ドラゴンはちからつきた!
デュラハンに84295のダメージ!
デュラハンはちからつきた!
エキドナにたぶん7万くらいのダメージ!
エキドナはちからつきた!


『戦いに勝利した!』


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「な、なんだ、その強さは・・・」(ガクッ)

「でぃ、ディス◯イアじゃないんですから・・・」(バタッ)

「儂の扱い・・・テキトーでないか・・・?」(どさっ)


「勝利のVサイン。にやり」(グリーダ)


無茶苦茶すぎる強さに、魔王リリムはポカーンとし、リッグスは申し訳なさそうな顔をする。ちなみに部下は気絶した四天王に近寄り、なんかハァハァしてる。キモい。

「えーと、お前が魔王か?さっさと立ち退いてもらいたいんだが」

「くっ・・・予想外すぎるわ・・・でも、部下と妹のためもある。私が頑張らないで、誰がここを守るのよ!!」

「お?かかってくるか?」

「私の本気!受けてみよ!!!」


さぁ、戦いだ!!!


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『魔王リリムがあらわれた!』

『魔王軍ステータス』
魔王リリム(Lv 100)覚醒

『聖騎士団ステータス』
グリーダ(Lv 500)普通
リッグス(Lv 45)普通
部下(Lv 30)魅了


魔王リリムは色仕掛けをしかけた!

「貴方たちはなにを求めるの?富?名声?それとも・・・女?」

魔王リリムの魔力が三人を襲う!


「ぶぅふぁ!!」
部下は鼻血を噴いて気絶した!

「うっ、うぅっ・・・」
リッグスは魔力に当てられ魅了状態になった!



「年増はいらん!!!」
グリーダは暴言を吐いた!!!



『ガーーーーーーン!?』
魔王リリムは999999の精神ダメージを負った!!!
魔王リリムは戦意を喪失した!


『戦いに勝利・・・した?』


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「としっ・・・年増?私、年増?ま、まだ三十路前なのに・・・年増?」

魔王リリムはへたり込み、頭を垂れてぶつぶつ呟いている。相当ショックだったらしい。

「さ、立ち退いてもらうぜ。負けたんだからよ、年増」

「年増・・・年増じゃないもん・・・ふぇぇぇぇ・・・」

グリーダが追い討ちをかけると、魔王リリムは顔をくしゃくしゃにして泣き始めた。

「あーもー!いい年の女が泣くなよ!うぜぇな!!」

「・・・隊長、あの、あまりにも可哀想では・・・」


その時。



「だれだーっ!姉ちゃんを泣かせたのはーーーっ!」



たぶん精いっぱいの大声を出したのだろうが、全く威厳のない魔物が現れた。

「・・・お?」

「お前か!あたちがぶちのめしてやるぅーっ!」

「っ!?『テリア』!やめなさい!!」


さぁ、戦いだ!


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『ロリリムが現れた!』


『魔王軍ステータス』
ロリリム(Lv 10)幼女


『聖騎士団ステータス』
グリーダ(Lv 500)普通


グリーダは不意を突かれた!


「くらえーっ!『ふぁいやぼーっ』!」
ロリリムのファイヤーボール!
しかしグリーダにダメージが通らない!


グリーダはじっとしている!?


「まだまだーっ!くらえーっ!」
ロリリムの攻撃!
しかしグリーダにダメージが通らない!


グリーダは動かない!?


「うぅ・・・お前なんか倒してやるんだからなーっ!」
ロリリムは涙目で暴言を吐いた!
ついでにロリリムの微量な魔力がグリーダを襲う!



「ぐばぁっ!!!」
グリーダに1億の萌えダメージを与えた!
グリーダは鼻血を垂らして卒倒した!


『戦いに負けてしまった!』


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『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?』(魔王リリム・リッグス)


「ふぇ?勝った?・・・わーい♪えへへー、弱い弱い♪」
(グリーダの頬をつんつんしながら)

「ふふふふ・・・も、もう死んでもいいや・・・」


「え、ちょ・・・ご、ごめんなさい?これはどういう・・・」

魔王リリムがリッグスに説明を求めるとリッグスは大きくため息を吐いた。

「・・・隊長は極度のロリコンなんです・・・一定年齢以上の女性には何をされても勃たないレベルの。」

「・・・そう・・・」
(私の魔力に対抗できる時点ですごいわよね・・・)



「決めたぁ!おにーさんは私の部下になれぇ!」

「喜んで!!!」
(土下座するグリーダ)



こうして。


聖騎士団は魔王軍の軍門に下ることとなった。

12/03/10 08:56更新 / ganota_Mk2

■作者メッセージ


『それから数ヶ月後』


「グリーダお兄さまーっ!行け行けーっ!」

「ふははは!全てはテリアちゃんのためにーっ!」

テリアを肩車しながら、生まれ育ち、世話になりまくった国家を意気揚々と攻めるグリーダの姿が戦場にあった。


聖騎士団が音信不通になってから一ヶ月後、国家は魔界を攻めることを決断。国家全軍を戦闘配備にし、魔王城制圧を目的として軍を進め始めた。

それを察知した魔王リリムは魔物たちだけでなんとかしようと試みたが、いつのまにかインキュバスになっていたグリーダがインキュバスになった聖騎士団、現在『魔界騎士団』を率いて戦線に参加、瞬く間に形勢を傾け、すでに本国は目の前というところまで行っていた。

「全く・・・テリアもグリーダも先走り過ぎね・・・」

「それを踏まえた作戦を練ってますから」

魔王リリムの横にはなぜかインキュバス化したリッグスがいた。

「よし!隊長に続くぞ!」

「任せろ『主殿』!」
「私が守ります『旦那様』!」
「儂に頼るが良いぞ『お前』!」

あの最後までいた部下はなぜか元四天王余りたちを嫁にしていた。

ちなみにディリオは三人目の産休を取ってここにはいない。


「いけいけゴーゴーッ!」

「がはははははーっ!」




いずれ、テリアがサバトによりロリのまま一生を過ごし、『幼魔帝テリア』を名乗ることになり、それとセットで『露利魂魔人グリーダ』も語られることになるのだが・・・

それはまた、別のお話。



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久しぶりにただのギャグが沸いた。
勢い任せのギャグ。少しでも笑ってもらえれば幸いです。

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