読切小説
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惑星探索士の日記
調査1日目

まさかここまでかつての地球環境と酷似した惑星があるとは思わなかった
空気中の酸素の割合とか諸々を考えてほぼ第二の地球といっても過言ではない
地球に戻ってこのことを知らせることができたらいったいどれほどの人々を救うことができるのだろうか
……しかしいずれはこの惑星今の地球のように荒れ果ててしまうかもしれない
今は先のことを考えている場合ではないか、今の自分がすることはこの惑星を調査することだ
今日から着陸した地点を拠点とし調査を開始する




調査2日目

着陸地点から少し離れた場所に石畳でできた街道らしきものを発見した
ある程度の文明のようなものはあるのだろうか?人間か別の生物のものなのかは不明だが
その途中で看板のようなものを発見、これのおかげでここでの文字が多少わかった
驚いたことに地球の日本語の形を崩したような形、という表現が一番しっくりくる、本当に第二の地球といった感じだな
この看板によるとこのあたりは二つの街の間辺りで徒歩で2時間も歩けばどちらかの町にはつくようだ
もう少しこの惑星環境を調べたらいってみるとしよう




調査5日目

細々したこととこの場所での文字の解析をしっかりしていたら3日も経ってしまっていた
しかしやっかいなことが分かった
空気中に地球にはない成分が含まれたいたことだ
この成分は生物の身体に触れると吸収され吸収した者の性欲及び精力を増強させるといったものらしい
地球とほぼ同一なこの惑星でなぜこんなものがあるのかは不明である
とりあえずまだ害はないのだが、地球から飛び出してからずいぶんご無沙汰な自分には少々堪えるのかもしれない




調査6日目

例の街道にて現地民と接触した
中世の商人といった風貌の人間の男性で馬車に商品と思われる荷物を運んでいた
流石に言葉は通じなかったが例の文字だと通じたので筆談にて対話をした
それと機内にあったいくつかの物を彼の商品と交換してもらった
彼の行動や言語を機体カメラで撮ってあったのでしばらくは言語や立ち振る舞いと彼からもらった商品の調査を行うことにする





調査10日目

この惑星での言語の解析が終了し、機械への通訳を通すのと自身でも話せるように学習中
あの商人が何度か来てくれたおかげで映像と音声サンプルが大量に手に入ったので解析が早く終わった
言葉は英語を濁したような感じらしい、もはや動じない
しかし、彼から交換してもらった本に何冊か少し気になるものがあった
それらに載っている「魔術」という技術や「魔物」と呼ばれるものの存在
中世ぐらいの時代ならばまだ信じられていてもおかしくは無いのだが、まるで実際に使えるかのように、居るかのように記述されている
自分が小さいころだったならばもっと目を輝かせてそれらを調べていたのかもしれないが生憎自分はもう大人である
魔術に関してはもう少し調べ、魔物に関してはいつ現れてもおかしくないので注意しよう
あの商人から既にこの惑星での一般的な服装は購入してあるので、明日はどちらかの街には行ってみよう




調査11日目

今日は街道から西側の街に行ってきた
この惑星で言う旅人っぽい恰好をしていたので街の人々に自分の正体はばれなかった
少し彼らにとって違和感のある行動も多少はあったようだが、「まぁ旅人だし」といった感覚で特に怪しまれはしなかった
どうやらこの惑星では主神教と呼ばれる宗教が主体となっていてほとんどの人がこれを信仰しているようだ
地球の宗教とほとんど同じようだが、違う点があるとすれば魔物という存在と敵対しているような節があること
いや、地球の宗教でもそのようなところはあるのだが、形骸化しているところが多い、しかし実際に魔物が居るらしいこの惑星ではそうではないらしい
兵士のような人たちに言われたのだが、今日行かなかった方の街は少し前に魔物に占拠されてしまったらしい
本当は行くべきではないのだろうが、魔物についてもっと調査する必要はある





調査15日目

西側の街(今更だが名前はナフカというらしい)での調査はそれなりに終わった
調査初日以降は細々としたものをメインとして調べていたので詳細は調査書にまとめてある
個人的には魔術を実際に見れたことが一番の驚きか
年の割にはしゃいでしまい、少し恥ずかしい思いをしてしまった
年と言っても自分はまだ20代だからあまり言うべきことではないか
魔術を見せてくれた人曰く、自分も修練次第では魔術を使えるようになるらしい
………使ってみたいけどそんな時間無いからなぁ





調査16日目

今日は遂に東側の街に行ってきた
予想外だったのは人間である自分が街にすんなり入れたことと、魔物がすべて友好的で美人の女性だったということ
自分が持っている魔物に関する本は古いもので、現状の魔物とはかなり違うらしい
一言で言うなら「人間を食べる怖い生き物」→「人間が大好きなエロイ生き物」になったらしい
一応新しい魔物図鑑はもらったので勉強しておこう
ついでに言うと空気中の精力増強成分が魔力と呼ばれるものらしい
この街はまだまだ調査のし甲斐がある




調査17日目

東の街(ミンティと言うらしい)にて調査していたらサバトという組織に勧誘された
……声だけならば色々な魔物娘にかけられたが、組織への勧誘はこれのみだった
この惑星を調査していることがばれたらどうなるのかわからないので体験会だけ行ってきた
……別に魔術が使いたいからとかではなくサバトという組織についても調査する必要があるからだ
小さい女の子ばかりだったが、ほとんどが自分より年上というのは驚いた





調査18日目

やはりミンティは今まで見たことが無いような物が溢れていて調査と関係なく目移りしてしまう
逆に魔物娘たちはこちらばかり見てくるのだけど……
自分の正体がばれたわけではないから構わないが、少々不安にもなるな
……しかし地球の人々にこの光景を見せたら驚くだろうなぁ
自分が小さい頃はこれぐらい活気があったしな





調査19日目

今日は非常にまずいことになった
ミンティに入ろうとした途端衛兵に呼び止められ、領主の館まで連れていかれた
どうやら色々調査していたのを誰かに怪しがられていたようだ
まぁ色々していたから見られていたならば怪しがられるのも無理はないが
領主の前に連れていかれ、色々と問いただされた
どうやら西側の街からのスパイと思われていたようだ
他に白と証明する方法がなかったために自分の正体をばらしてしまった
というかあの白いサキュバス(リリムというらしい)の言葉に逆らえなかった
美人すぎてやばい
今日のところは自分の正体だけで勘弁してもらえたが、明日以降地球のことや、自分の船について聞かれるらしい
調査を手伝ってもらえるのは嬉しいが色々と大丈夫なのだろうか?
……領主の秘書のサキュバスが自分の好みだったのはここだけの秘密だ




調査20日目

いつものように準備をして出かけようとしたらいつぞやに見たミンティのサバトの長が船までやってきた
サバトの長であるバフォメット(レイノスという名前らしい)は領主と友人らしく、彼女の話を聞いて個人的に調査しに来たらしい
……正直調査中は現地民に不要に技術を与えることは避けるような規則もあったので、サバトという組織としてきたわけじゃなくて助かった
結局今日はレノイスと船の技術や、魔術関係の話で盛り上がってミンティには行かなかった
今日の報告とかは彼女がしてくれるようなので助かった




調査21日目

今日はミンティの領主のリリム(名前はアスセナだそうだ)と今後のことについて話し合った
お互いに話したらマズイ技術や情報もあるので、基本的には手伝うが、必要以上には突っ込まず、マズいことになりそうだったら注意したり止めさせるという結果で落ち着いた
思ったより早く会談が終わったので、調査とは関係なく街を散策した
雑貨屋でキョロキョロしているとアスセナの秘書のサキュバスに会った
彼女も早い目に仕事をあがれせてもらったらしいので日用品を買いに来ていたようだ
やはり好みの女性と有らばお近づきになりたいので食事に誘い、彼女オススメのレストランに行った
料理もおいしかったが、彼女(名前はリィナというらしい)との会話がもっと楽しかった
久々に充実したプライベートを過ごせた気がする





調査25日目

街の調査は一通り終わったのでレイノスに手伝ってもらいながら魔術に関する調査と習得を開始した
地球での技術による魔術の仕組みの解明と、個人的なものである
……地球を救う根本的なものは無理だろうが、希望は少しでも多い方がいいからだ
とりあえずアスセナの協力で予定より早く街の調査が終わったのは助かった
リィナとも仕事終わりに食事を誘っているが、好感触のようだ
……しかしいつかは彼女達と別れなければいけないと思うとなんだか心苦しいな





調査28日目

今日は久しぶりにナフカに行ってきた
やたら警備が厳重で、怪しまれそうなために細かい調査ができなかった
街の人に聞くとどうやら近々ミンティを魔物から奪還するために色々準備しているらしい
大丈夫だとは思うが明日にでもアスセナ達に報告しておこう




調査30日目

昨日アスセナにナフカのことを報告すると、当日のうちにナフカを占拠してしまった
やったことは単純で、未婚の魔物娘を引き連れてナフカに行って

 「そんな物騒なことはしないで、彼女達と仲良くしてあげてね」

その一言を放っただけで占拠してしまった
流石は魔王の娘というべきか
そんな人と対等に話せていた自分の無神経さに驚きだ




調査31日目

目が覚めると見慣れた調査船の天井とアスセナ、レイノス、リィナが俺を覗き込んでいた
レイノスが居るのでここに三人が居ることはおかしくはないけれど、何しに来たのかわからなかった
理由を聞こうと体を起こそうとしたら、体を押さえつけられて服を剥がされた
そのまま何もできないまま彼女達と性行為をすることになった





調査38日目

まさか1週間ぶっ続けで交わり続けるとは思わなかった
流石は魔物というべきか、自分もインキュバスとやらになってしまったようだ
唐突に彼女達と交わることになった理由は、ナフカの件で彼女達なりのお礼がしたかったらしい
……三人とも自分に気があるとは思わなかったが





調査39日目

惑星調査の件は終わってしまった
調査結果、移住には適しており、魔術次第では現在の地球環境をなんとかできるかもしれないといったところ
……少しでも可能性があるのならばそれに賭けたいし、報告の為にも地球に戻る必要がある
しかし、彼女達と別れるのは身が裂かれるような思いだ





調査40日目

今日は彼女達に今まで話していなかったこの惑星を調査しに来た理由、この惑星に自分の住んでいた惑星の現状、調査が完了し地球に帰られければならないこと、自分の船には自分以外の三人を乗せるだけの余裕がないことを伝えた
彼女達は段々と涙目になりながらもしっかりと話を聞いてくれた
心苦しいが、彼女達と別れねばならない
だがレイノスが自分たちも一緒に行くために宇宙船の問題を何とかするから1ヶ月待ってほしいと涙ながらに伝えてきた
地球環境を何とかするから自分も行くとアスセナが泣きながら抱きついてきた
リィナは二人の言葉を保障するから一ヶ月だけまってほしいと自分も泣いているのに二人を泣き止ましていた
そんな三人の様子に自分も我慢できずにもう1ヶ月だけ彼女達と過ごすことにした
………自分もまだまだ甘いなぁ





調査51日目

……正直魔物娘の技術と愛の力を甘く見ていたようだ
レイノスはたった一ヶ月で人間が百年単位をかけて磨き上げた技術の結晶である俺が乗ってきた宇宙船以上の船を完成させた
細かいスペックは除くが、俺の乗ってきた船を格納できる一種の宇宙戦艦のような船である
そして、アスセナは地球全土を一気に魔界化させるべく彼女の姉妹やその夫数組と地球に移住を希望する多数の魔物やその夫を連れてきた
流石はアスセナの秘書と言うべきかリィナはそれらに関する膨大な情報等を管理している
自分はこの1ヶ月で彼女達と別れる決意をしたというのにそれも無駄になってしまった
しかし、それ以上にこれからも彼女達と過ごせるのだ、悪いことは何もない
さあ帰ろう、愛しい魔物達と共に自分の故郷である地球へ
13/09/16 00:25更新 / 錆鐚鎌足

■作者メッセージ
日記系SS第五弾です
今回は図鑑世界が別の惑星だったら?というコンセプトで作りました

バフォ「この世界での地球は世紀末か何かになってそうじゃの」

世紀末というか、技術は発展した分地球環境がかなり悪くなってしまったというイメージですね

サキュ「あとは翻訳関係が機械と主人公が万能すぎる気がしますね」

機械に関しては技術の発展による結果で、主人公に関しては彼が優秀な人間だったということで解釈してほしいです……

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