連載小説
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過去世界:幸福を願った少女の末路
翌日の朝

宵闇の道化師「……おはよう。」
バルス「おはようございます。」

外に異空間を創り、そこで眠った道化師達。

宵闇の道化師「さて、様子を見に行くか。」
バルス「大丈夫でしょうか?行き成り襲われるかもしれませんよ?」
宵闇の道化師「かも知れないが、虎穴にいらずんば虎児を得ずって奴だ。それに飛び込んで見て初めて解る“真実”があるかもしれん。」

そう告げて、彼は村に向う。

バルス「……勇気と無謀を履き違えるとも言うけれどね。」



真夜中で解らなかったが、建築物は殆ど木材で出来て居た。
そして、村の入り口には見張りが居る。

見張り「ようこそ!旅人さん方!」

元気良く挨拶をしてくれる見張り。
満面の笑顔で―――やつれた笑顔で挨拶をしてくれる。

宵闇の道化師「どうも。この辺りに村があるとは思わなかったな。」

さりげなく情報を引き出そうとしている。

見張り「そうでしょうそうでしょう。何せこの村はジパングから移動して来たんだから!」
宵闇の道化師「移動?旅では無く?」

気になるワードに聞き返す。

見張り「いやいや!それが違うんだって!この村に住む“座敷童”のお陰なのさ!」

座敷童―――その家に住むとその家の者達に大きな幸福をもたらすと言う。そして、持ち主達が幸せになった時その家から居なくなってしまう妖怪である。

宵闇の道化師「へぇ〜!そりゃ凄い!それで?その座敷童はどうしたんだい?」
見張り「今は奥の屋敷に祭られているのさ。あんたも会って来なよ。幸せになれるぜ?」

そう言った見張りは鼻歌を鳴らしながら見張りに戻った。




宵闇の道化師「ふむ……。」

彼は考えている。
目に見える違和感は把握しているのだが。

バルス「あっ。居た。」
宵闇の道化師「来たか。」
バルス「何か解りましたか?」
宵闇の道化師「目に見えてしか解らん。」

この村で視覚で解った事。

・村人全員がやつれている
・しかし、何時も笑顔だ。怒られている時も転んだ時も

宵闇の道化師「そして、一番おかしい事がある。」
バルス「………村人全員の“異常な身体能力”ですか?」

そう、村人達の身体能力がおかしいのだ。
子供が跳躍すると屋根まで跳んだり、腰の悪いと思われる老人が片手で野菜の入った籠を担いだり、鍛冶をしている人の小槌を叩く速度が残像が残る程速かったり等々……。

宵闇の道化師「それにだ。魔物娘の様子も変だ。」
バルス「目に光が無い事ですか?」
宵闇の道化師「ああ。」

ジパングから村事移動してきたらしいので、ジパングの魔物娘も住んでいるのはおかしくはない。
だが、何処か虚ろでふらふらしている。
操り人形の様に。
種族は大百足・クノイチ・刑部狸・狐憑き・狐火・白蛇・提灯おばけだ。
ただ、数は人間より少なく2.3人しか同じ種族がいない。

宵闇の道化師「他に何か情報が無いと動け無いな……。」
バルス「誰かまともな人か魔物娘は居ないのでしょうか?」

そう呟いた時。

ガタリッ

近くの家から音がした。

宵闇の道化師「ん?」

彼が音がした家を見る。
見た所空家の様だが……。

バルス「……何か居るんですかね?」
宵闇の道化師「行って見なければ解らないだろう?」

そして、その家の戸を開け中に入った。




中は空家の割には綺麗にされている。

宵闇の道化師「………誰か居るのか?」

返事は無い。

宵闇の道化師「ふっ。」

捻る動作をし、調べる。

宵闇の道化師「………なる程。」
バルス「何か解りましたか。」
宵闇の道化師「ああ。どうやら、正気の奴等が居る見たいだぞ?」

そう言って、彼は何も無い虚空に手を伸ばすと―――門を開ける様な仕草をして扉を開ける。

バルス「………万魔殿(パンデモニウム)!」

驚きの声を上げるバルスを無視し、中に入る。





中は黒色の宮殿の様だ。

宵闇の道化師「さて、持ち主は……。」

彼はこの空間に居るであろう存在を探す。
その時。

ビュンッ!

何処からか矢が飛んできた!

カキィンッ!

ナイフで切り落とした。

男「くそ!」
男2「どうする!?このままでは……!」
大百足「落ち着いて!」
稲荷「とりあえず隠れるんや!」

そんな会話が聞こえてきた。

宵闇の道化師「ちょっと待った!」

大声でそう叫ぶ。

バルス「何やってんですか……。」

背後で呆れた声を呟くバルス。

宵闇の道化師「いや、何か攻撃されたからとりあえず防いで話をしたかったんだが……。」
バルス「だからって大声で叫んだら余計に警戒されそうですけど?」

ジットリとした目が注がれる。

宵闇の道化師「俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇ!」
バルス「大事な事なので3回良いました。」

どやぁ










とりあえず、寒い空気になったのを見かねたのか隠れていた人達が出てきた。
そして、事情を説明する。

男「なる程、旅の方々だったのか。」
男2「しかし、良くこの空間を見つけられたな。」
大百足「ダークプリーストさんが用意してくれた空間ですもんね。」

どうやらダークプリーストが用意した空間らしい。

宵闇の道化師「はぁ……。それで?その人は?」
稲荷「ダンナさんと一緒に村の様子を見に行ったんや。もっとも、村の外に空間を開けてやけど。」
バルス「一体何があったんですか?」

少なくとも、まともなのはダークプリースト夫婦含め6人らしい。

男「………あれはまだ、私達が外に居た時の話だ。」



その日は雲一つ無い晴天だったのだが、行き成り暗雲立ち込める空に覆われたのだ。
そして、黒い塊の様な物が村に墜ちてきたかと思ったら行き成り早くなって奥の家に向ったのだ。
そして、奥の家から悲鳴が響き渡った。
私達は何事かと思い見に行こうとしたら、嫁さんが行かないでと言って引き止められたのだ。
どうやら、嫁さんは何かを感じたらしい。
他の家の嫁さん達も引き止めた様だが何人かは向った後だった。
その嫁さん達も追いかけてしまった。
残った私達は村を出て非難しようとしたのだが、突然村が黒い光に囲まれてしまったのだ。
光が弾け、収まった時には見慣れない土地に来ていたのだ。
そして、様子を見に行った村人達が戻ってきたのだが何処か様子がおかしかった。
手には何かが入った袋を持っていたんだ。
私達夫婦と男2の夫婦は何かやばいと思い村の外に逃げたんだ。
そして、しばらくすると一軒屋があったので戸を叩いた。
そこでダークプリーストの夫婦と出会い、事情を話したんだ。
とりあえず様子を見に行きたかったんだが、怖くて行きたくなかったのも事実。
そこで此処の空間を経由して様子を見る事にした。
幸いにも空家があったからそこから村の中の様子を見る事が出来た。

そこで目にしたのは、やつれた村人とふらふらと歩いている魔物娘達。
そして、ありえない身体能力。
何が起きたのか解らないが、これは異常だと言う事が解った。
かと言って、我々には何も出来なくてな。
とりあえずこの大陸の首都に相談する事になったんだ。
ダークプリーストの夫婦は村の様子を確認した後に空間を繋げてくれるらしい。

男「此処までが解っている事だが何か質問は?」
宵闇の道化師「……その奥の家に住んでいる住人はケサランパサランか?」
男2「この大陸ではそう言うみたいだな。」
バルス「ジバングではどういった呼び名で?」
稲荷「おはぎちゃん言うてました。」
宵闇の道化師「何故に?」
男「名前が解らなかったのと、“髪の色が黒かった”んだよ。」
バルス「元から?」
男2「ああ。浜で倒れている所を村の奴が見つけて保護したんだ。ただ、何時も無表情で誰も近づかなかったんだ……。」
宵闇の道化師「ふむ……。」

とりあえず、情報は揃ったが何か違和感がある。
思考の迷路は未だに抜けられそうに無い。








―――なんで、なんで誰も幸せにならないの?なんで幸せじゃないの?何で?なんで?なんで……私は誰も幸せにできないの?








ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ…






                   なんで
12/11/25 18:38更新 / 宵闇の道化師
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■作者メッセージ
次回で終われば良いなー。

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