連載小説
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夏の日の思い出
ーー夏本番!
今年の夏は猛暑で気温は連日35℃オーバー!
当然我が家も真夏の太陽の輝きに晒され、家の中は暴力的な熱気に包まれていた。

あぢぃ……溶けそう……

ベッドに寝そべりながらぼやく俺にリリィちゃんが相槌を打つ。

「ホントだねぇ……こっちの世界の『夏』ってこんなに暑いんだ……」

俺の顔のすぐそばに寝転ぶ彼女もこの暑さに参っているのだろう。
ぐでーっとうつ伏せになってへばっていた。
気のせいか背中の羽根もしなびてる様に見える。
窓全開にして扇風機の風を「強風」にしているが、焼け石に水だ。
……仕方ない、エアコンつけるか。
俺1人なら電気代ケチって我慢するんだけど、リリィちゃんが熱中症にでもなっちゃったら大変だ。
という訳でエアコン始動!
リモコンの電源ボタンを押すと、ブオォォンと低い音を鳴らしてエアコンから冷風が出始める。
窓を閉めてしばらくすると、部屋の中が冷気に包まれる。
おお……素晴らしきかな、エアコン!
リリィちゃんもムクリと起き上がり、両手を上げて喜ぶ。

「おー、すごく涼しい! これデンキの力なんだよね?」

リリィちゃんの居た妖精の国にも、電気ってあったの?

「ううん、無かった。アキノのおじいちゃんから教えてもらったの」

アキノのおじいちゃん? えっと……誰かな?

「おじいちゃんはこっちの世界から来た人間さん。
わたしにこっちの世界の事、いっぱい教えてくれたの!」

話を聞く限り……アキノさんって人はこの世界から妖精の国に転移したって事か。
リリィちゃんがこちらの世界に来ているって事は、双方向に行き来する手段が有るって事だ。いや、驚きだわ。異世界転移なんてラノベやアニメだけの出来事だと思ってたんだけどなぁ。

そのアキノさんって人はどうやって妖精の国に行ったの?

「多分わたしの仲間達に連れて来てもらったんだと思う。
そう言えばわたしも聞いた事無かったなぁ」

なるほど、リリィちゃんには帰る手段があるんだな。
なら行くあてが無くても全く慌ててなかったのも納得だ。

その時、俺の腹の虫がグウ〜ッと鳴った。あー、そういや朝から何も食ってねぇや俺。休みだからって10時過ぎまで寝ちまったからなぁ。昨日の夜はリリィちゃんとエッチしまくってて明け方まで起きてたしな。面倒だけど、飯作るか。

さぁて昼飯何にするかな? とは言っても正直ガッツリ食うって気分じゃないんだよね、最近。暑くて食欲湧かねーし、凝った物作るのも面倒だし。……またそうめんで良いかな? 昨日もそうめんだったけど、リリィちゃんも結構気に入ってたし。

リリィちゃん、今日もそうめんで良い? 昨日とおんなじで悪いんだけど……

「うん、そーめん好き! チュルンとしてて美味しいし、食べてて楽しい♪」

うんうん、今日もリリィちゃんは元気で可愛い。彼女を見てるとこっちまで楽しい気分になって来る。きっとそれはリリィちゃんが何事も全力で楽しんでるからだ。俺も見習わなきゃな。

俺はキッチンに立つとまず鍋に水張ってコンロにかける。湯が沸くまでの間、棚からそうめんを取り出して準備する。量は……2束で良いか。俺自身そんなに食う方じゃないし、リリィちゃんも少食だ。後はボールとザル用意してっと……冷水張って完了。何となく後ろの様子を見ると、リリィちゃんが忙しなく飛び回って食事の準備を整えてくれている。食器の準備をしたり、冷蔵庫からお茶やめんつゆを出したり……彼女は意外に力持ちで冷蔵庫を開け閉めしたりドアノブを回したりもできるし、ある程度重い物でも持ち運び出来る。

リリィちゃん、ありがとね。準備してくれて助かるよ。

俺が声掛けると、彼女はニコッと笑って

「ううん、これくらい当然だよ。わたしキミのコイビトだもん♥」

なんて言ってくれる……!
ああー、リリィちゃん可愛い! 可愛すぎる! その上健気!
今すぐペロペロしたい衝動に駆られるが、ここは我慢だ。
まずは飯作ろう。ペロペロは後でじっくりすれば良い。
俺は沸き立っている鍋の中にそうめんを投入する。
何つーかそうめんに限らず、麺茹でるのって楽しいよね。
パスタでも蕎麦でもうどんでもさ、この工程好きなんだよなぁ俺。
火加減を適当に調節しながら、菜箸でゆっくりかき混ぜて茹でる。
……良し、そろそろかな?
ザルに麺をあげて冷水にさらす。粗熱取って適当にほぐして……っと完成。
やっぱラクだわそうめん。それでいて結構美味しいし、良い料理だよホント。

お待たせー、出来たよ。

俺がザルに上げたそうめんを持って来ると、食卓の準備は完了していた。
1人暮らしの時は考えられなかった事だ。大切な誰かと一緒に暮らすって良いモンだな……その幸せを噛み締める。

「エヘヘッ、待ってたよー♪ 準備出来てるから早く食べよ? 私お腹ペコペコだよー」

テーブルの縁に腰掛けて待っていたリリィちゃんは、そこから飛び立つと俺の顔のすぐそばに浮かぶ。
俺は衝動的にリリィちゃんのほっぺにチューしてしまう。

「んっ……♥ エヘヘッ、ちゅっ♥」

お返しとばかりに俺のほっぺにチューして来るリリィちゃん。
あー、幸せ過ぎる! 
恋人との甘いやりとりに俺の脳内はたちまち「幸せ」の2文字で埋め尽くされてしまう。おっとイカンイカン、まずは飯食わないと。俺はだらしない表情を浮かべながらザルをテーブルの上に置き、席に着く。

さてと……じゃあいただきます。

「いただきます!」

2人で手を合わせて食前の挨拶。

そう言えばリリィちゃん、この挨拶最初から知ってたよね?
ひょっとしてさっき話に出たアキノさんって人に教わったの?

「うん、そうだよ。お料理を作ってくれた人や神さまに感謝してこう言うんだよね? 立派な考えだなぁって。女王様も感心して私の国ではみんなこのあいさつをする様になったの」

へぇ……異文化交流ってヤツか。なんか良いモンだなぁ、そう言うの。
おっとまた話が逸れた。今は飯だ飯。俺は早速そうめんをめんつゆに漬けて食べる。
チュルルと音を立てて飲み込む。うむ、美味い。やっぱりそうめんの醍醐味と言えば、この食べやすさと清涼感だよな。食欲があんまり無くてもそうめんならいくらでも食べれるぜ。ちなみに薬味は入れない。リリィちゃんがショウガとかワサビみたいな辛いのを好まないからだ。

「美味しそう! ねぇねぇ、わたしにもちょうだい? あーん♪」

口を開けて顔を突き出して来るリリィちゃん。ひな鳥みたいで可愛い。
俺はそうめんを一筋だけ箸で摘むと、リリィちゃんの口元に差し出す。

「はむっ、チュルルルッ」

リリィちゃんは勢いよくそうめんを啜って飲み込む。

「う〜ん、美味しい♪ ねぇもっとちょうだい!」

うんうん、どんどん食べてねー。

誰かと一緒に食事する。ただそれだけの事がこんなに楽しい。
……ホントリリィちゃんに出逢えて良かったな。
そう、強く感じた。

食べ終わって洗い物を済ませると、リリィちゃんが俺の肩の上に乗って来る。

「ねえ、外に遊びに行かない? わたし外に出てみたい!」

俺は窓から外の様子を見てみる。……かなりの炎天下だ。
外に出るならそれなりの対策をした方が良さそうだな、こりゃ。

……でも、外かなり暑いよ?
俺リリィちゃんが熱中症にならないか心配でさ……

「アハハッ、心配性だなぁ。大丈夫、このくらいの暑さ平気だよ」

……リリィちゃんの体には謎な部分が多い。というかほぼ全てが謎だ。
正直な所、色々と心配事が多い。
俺が一番危惧しているのは、彼女が病気になったりケガしたりするケースだ。
当たり前だけど彼女を看れる医者は居ない。人間用の薬も使えないだろう。
……この問題は放置する訳にはいかない。もし彼女に何かあったらと思うと、不安で仕方がない。何か解決策は無いものか……

「どうしたの難しい顔して? 何か考え事?」

いや、何でもないよ。それよりも出かけるなら、夕方になってからにしない?
やっぱり昼間は暑すぎるよ。せめて日が沈んでからじゃダメかな?

「う〜ん、分かったよ。
キミと一緒に外で遊びたかったけど、夕方まで我慢だね」

少しだけ残念そうな顔をするリリィちゃん。
だが次の瞬間には明るい笑顔になって、話しかけてくる。

「あっ、そうそうキミにね? 見せたいものがあるんだ!
ちょっと待っててね?」

リリィちゃんはそう言うと小物入れの引き出しから何かを取り出す。
そのまま小物入れの後ろに姿を隠す。
……どうしたんだろう?
気になった俺は小物入れに近づこうとするが、

「来ちゃダメ! そこで待ってて」

と言われてしまう。
仕方なく待つこと数分、小物入れの後ろから彼女が姿を表す。
その姿を見た俺は思わず、驚きの声をあげてしまう。

ええっ⁉︎ リリィちゃん、その服は……!

そう、リリィちゃんは着替えていた。
純白の生地に花柄のレース、上衣と下衣が一体になったワンピース。
いわゆるサマードレスと言うやつだろうか?
露出した腕と肩が眩しい。
清楚さの中に感じる色気がたまらない。
俺はリリィちゃんを褒め称える。

似合ってる! 可愛くてエロくて、清楚で爽やかで、最高! いつものドレスも素敵だけど、夏の装いも眩しい! リリィちゃんは俺の女神様だよ!

「エヘヘッ、いつもながら褒めすぎだって……でも嬉しい♪ 似合ってるって言ってくれてありがとう♥」

頬を染めて穏やかな笑みを浮かべるリリィちゃん。
あー、たまに見せてくれるこの笑顔に弱いんだよ俺。
いつも元気いっぱいな彼女がふとした時に見せる大人っぽい一面にさぁ、ますますメロメロになっちゃう訳よ。
分かってくれるかな? 分かってくれ。

でも……その服どうしたの? ひょっとして自分で作ったの?

「ううん、カミラさんに編んでもらったの」

カミラさん? えっと……誰かな?

何か午前中もほぼ同じセリフを言った気がするけど……まあ良いか。

「アラクネのカミラさん。上の階に住んでるんだよ」

……ゴメン、何言ってるのか良く分からない。アラクネって何?

「ああ、そっか! キミは魔物さんの事知らないんだね?
う〜ん、何て説明すれば良いのかなぁ……」

悩み始めるリリィちゃん。とりあえずネットで検索してみる。
スマホを取り出し検索エンジンに「アラクネ」と入力すると……ふむ、どうもギリシア神話に登場する女性の名前みたいだ。画像検索してみると、上半身が女性で下半身が蜘蛛の怪物がたくさん出て来る。その内の一枚をリリィちゃんに見せてみる。

ねぇリリィちゃん、そのアラクネのカミラさんってこんな感じ?

「えっ……そうそう、こんな感じだよ! なぁ〜んだ、やっぱりこっちの世界にも魔物さんはいるんだね。なら説明は要らないよね?」

マジか。マジでこんな生物が存在するのか。
いや、妖精が居るんだ。下半身が蜘蛛の生物が居てもおかしくない、か?
……さっき魔物って言ってたな、リリィちゃん。
危険は無いのだろうか? もしも人間を食べたりする生物だったら?
……不安だな。

リリィちゃん、そのカミラさんとはどんな関係なの? 友達とか?

「うん、そうだよ。私がカミラさんの巣に引っかかって知り合ったの」

ええっ⁉︎ 大丈夫だったの? その……食べられそうになったりしたの?

「アハハッ、まっさか〜。魔物さんは私達を食べたりしないよ。
人間さんはエッチな意味で食べちゃうけど」

……何ですと?

「魔物さんは皆メスばっかりだから、人間さんのオスをエッチな意味で食べちゃうの。
そしてコイビトにしちゃう。こっちの世界の魔物さんは違うの?」

オイオイ、何だよそのエロ魔物。
ぶっ飛んだ話だが、リリィちゃんが嘘をつくとは思えない。
今はリスクを冒してでも前に出るべき、だな。

ねぇリリィちゃん、そのカミラさんに会えないかな?
服編んでくれたんだよね? お礼言いたいんだ。

「うん、大丈夫だと思うよ。ちょっと待っててね?」

リリィちゃんは窓を開けると、外に飛び出し上方に向かって飛び去ってしまった。
……しばらく待つと、リリィちゃんが帰って来る。

「オッケーだよ。部屋に来て欲しいって」

おお……とんとん拍子に話が決まってしまった。
ともあれこれは情報入手のチャンスだ。今はとにかく情報が欲しい。
彼女達フェアリーの事、さっき聞いた魔物の事、妖精の国の事……
分からない事だらけだからこそ、色々な人(?)から話を聞きたい。
知識は武器だ。いざって時に知識が無いと、何も出来ずに後悔する事になりかねない。もちろん知識だけじゃどうにもならない事もあるけど、それでも知らないよりマシだ。
……とにかくそのカミラさんに会って話をしてみよう。全てはそこからだ。

俺はリリィちゃんと一緒にアパートの2階に向かう。
目指すは我が家の真上にある部屋だ。
確かそこに住んでるのは鴨田さんって男性だった。
歳は20代前半だった筈だ。仕事は……何してるのか知らない。
何せ殆ど面識が無いのだ。1年くらい前、彼が引っ越して来た時にウチに挨拶に来たのは覚えているが……正直全く印象に残ってない。
何処となく陰気な感じのする青年、その程度の認識だった。

部屋の前に立つと、リリィちゃんが胸ポケットから飛び出してインターホンを鳴らす。
先方はすぐに受話器を取った様で、「……はい、どなたですか?」という返事が返って来た。

「こんにちは、カモダさん! リリィです」

ガチャガチャ……という音がしたと思うとドアが開き、中から1人の青年が姿を見せる。

「……どうぞ」

ボソッとそれだけを言って俺たちを中に招いてくれる。
俺は彼にオジギして挨拶する。

どうも久しぶりです。今日はその……すみません。

「……っす」

俺に合わせて彼もオジギする。
……何か気まずいな。俺もそんな人付き合い得意じゃないけど、彼は俺に輪をかけて人付き合いが苦手に見える。
そんな俺たちを後目にリリィちゃんは真っ直ぐに部屋の奥に向かって飛んでいく。
部屋の奥を見ると、其処には大きな影がいた。
その影を見た瞬間、俺は息を呑む。
女性、だ。
髪型はロングのポニーテール、豊満な身体を惜しげもなく晒したセクシーな衣装……
だが何よりも目を引くのはその下半身。
それは巨大な蜘蛛そのものだった。
……あらかじめ覚悟していたとはいえ、中々のインパクトだ。
そんな彼女の胸元にリリィちゃんが飛び込む。

「エヘヘ〜ッ、ふかふかおっぱい〜♪」

「あらあら……そんなに私のおっぱい気に入ったの?
フフッ……まるで誰かさんみたい……♥」

彼女は流し目で鴨田さんを見る。その視線には何というか……ねっとりとした熱を感じる。
一方、鴨田さんは「あっ……ううっ……!」と呟いて目を伏せる。その顔は真っ赤だった。
あー、やっぱりそうだよね……
絶対デキてると思ってた、この2人。
リリィちゃんから魔物について聞いてたってのもあるけどさ。
それだけじゃないんだよね、理由。
1ヶ月くらい前からかな?
夜中になると上の階からギシギシ物音が響いてくるんだ。
嫌でも分かるだろ、そんなの?
……まあその音のお陰で俺とリリィちゃんの夜も盛り上がるんだけどね。
サンキュー、お二人さん!

おっと、とりあえず彼女に自己紹介しないと。
俺は彼女に名乗って自己紹介する。
あと服のお礼も言っておく。

「ご丁寧にどうも。私の名前はカミラ。
この部屋に住まわせてもらっている居候よ」

カミラさんは自身の胸の谷間に体を埋めるリリィちゃんを指先でつまみ上げる。

「ゴメンなさいね、リリィちゃん。私のおっぱいはユウイチのモノ。
さっきから彼がアナタの事、とぉっても羨ましそうに見てるの……♥
ココはユウイチの特等席だから、譲ってあげてね?」

「エヘヘッ、こっちこそごめんねカミラさん? カミラさんのおっぱい見てたら、私の国の女王様の事思い出してついふかふかしちゃった♪」

2人はそう言って微笑み合う。……仲良いんだな。何か安心した。
後、鴨田さんの下の名前、ユウイチって言うんだな。
初めて知った。

「さてと……まずは彼を慰めてあげないと、ね♥
さあ、いらっしゃい?
リリィちゃんみたいに、ふか♥ ふか♥ してあげる♪」

カミラさんは鴨田さんに向かって手招きする。
手のひらを上に向けてまるで挑発するかの様な手招き。
鴨田さんがカミラさんに向かってフラフラと歩き出す。
……何か様子が変だな。
ロボットみたいにぎこちなく歩く彼の表情には、焦りが見える。

「ううっ、こんなのやめてって言ってるのに……」

「あら? やめてって言ってる割にはオチンポ大きくなってるわよ♥
うふふ、リリィちゃんと彼氏くんの前なのに勃起しちゃうなんてイケナイ子♪
おっぱいで慰めた後はたっぷりオ・シ・オ・キ、してあげるわね♥」

妖艶に笑って舌舐めずりするカミラさん。
その時、カミラさんと鴨田さんの間で何かが光った気がした。なんだろうと思って目を凝らして見てみると……その正体が判明した。
糸、だ。
カミラさんの指先と鴨田さんの手足を細い糸が繋いでいるのだ。さっき見た光はこの糸が部屋の照明に反射して放った光だったのだろう。
カミラさんの指先の動きに合わせて鴨田さんの手足が動く。
まるで操り人形みたいに。

「ほぉ〜ら、捕まえた♥ うふふ……♪」

「わっ、うむぅぅぅっ……!」

思いっきり抱きしめられる鴨田さん。カミラさんの爆乳の谷間に顔を埋める形になった彼はジタバタと暴れていたが、しばらくしたら諦めたのか動きを止めた。

「さあ……ユウイチ専用のおっぱい、堪能してね♥
ふか♥ ふか♥」

カミラさんが自らの胸を両手で寄せて、鴨田さんの顔をムギュムギュと挟み込む。

「ふあぁぁぁっ……!」

「あらあら♪ あっと言う間にトロ顔になっちゃって……そんなに私のおっぱい好き?」

「しゅきぃっ……だいしゅきぃぃっ……」

鴨田さんは恍惚とした表情を浮かべてカミラさんにされるがままになっている。
というか俺たちの事忘れてませんかね、お二人さん?

「わわっ……! カミラさん、スゴい大胆!」

「ふふっ、リリィちゃんもしっかり彼氏くんを捕まえて無いとダメよ?
こんな風に……♥」

カミラさんは両手でしっかりと鴨田さんを抱きしめる。
鴨田さんは虚ろな目でカミラさんに見惚れている。
ひょっとしたら俺がリリィちゃんをペロペロしてる時もあんな顔してるのかも……
そう考えると何だか鴨田さんに親近感感じるわぁ。

「しっかり捕まえる……! こんな感じかな!」

ふごっ⁉︎

リリィちゃんが俺の顔にしがみついて来る。
顔全体で感じるリリィちゃんの感触と匂いにクラクラする。
……イカン! 人前だと言うのに俺のペロペロ欲が鎌首をもたげ始めた!
触覚と嗅覚でリリィちゃんを感じてしまったら、次は味覚で愛する女性を感じてしまいたくなる。それが俺という人間なのだ。

「あらあら、リリィちゃんったら元気いっぱいね♪
ふふっ、彼氏くんもリリィちゃんにメロメロみたい。
とっても嬉しそうな顔、してるわよ?」

「ホント? ねぇキミはわたしに抱きつかれて嬉しい?」

もちろんですとも!
俺はそれを証明する為にリリィちゃんの顔をペロリと舐める。

「ひゃっ♥ エヘヘッ、ペロッてされちゃった♥
私もペロペロしてあげるね♥」

リリィちゃんは俺の舌を掴むといつもみたいに舌先をペロペロと舐めて来る。
ああー、駄目だぁ……そんな事されたらスイッチ入っちゃうよ、俺。
もう人前とか関係ない!
俺はリリィちゃんをガシッと両手で掴むと、容赦なくペロペロする!

ペロペロ! リリィちゃんペロペロ!
まずはいつもみたいにお顔からペロペロしてあげるね!
ほっぺペロペロ、おでこペロペロ、お耳ペロペロ、お口ペロペロ!
あー、リリィちゃんリリィちゃんリリィちゃん!
好き好き好き大好き!

夏の装い可愛すぎる! 露出してる首筋と肩、セクシー過ぎ!
分かってる、誘ってるんだよね俺を!
たっぷりペロペロしてあげるよ、ペロペロペロペロペロペロ!

「ひゃあぁぁん♥ くすぐったいよぉ♥」

次はうなじをペロるね?
ペロペロ、うなじペロペロ!
あー、後ろ姿も可愛くてエロいよぉリリィちゃん!
リリィちゃんの汗、大好き!
いくらでも舐めてられるよ!
ペロペロ!ペロペロペロペロ!

「やぁん♥ 汗味わわないでぇ♥ 恥ずかしいよぉ♥」

ああ……ゴメンよリリィちゃん、ついペロり過ぎてリリィちゃんの首から上、俺のヨダレでベトベトになっちゃった。
そのヨダレ、俺が吸ってあげるね?
チュッチュッチュッチュッ!
リリィちゃんチュッチュッチュッチュッ!

「うう〜っ、そんなに吸わないでぇ♥ キスマークいっぱい付いちゃうよぉ♥」

首筋チュッチュッ! 肩チュッチュッ! うなじチュッチュッ!
いっぱい付けてあげるね、キスマーク!
リリィちゃんは俺の恋人! 恋人にキスマーク付けるのは当たり前だよね?
チュッチュッ! チュッチュッチュッチュッ!

そんな俺達を見ていたカミラさんは、頬を染めて興奮していた。

「素敵……! 恋人をペロペロするのも悪くないわね……♥
決めたわ! 今日はユウイチをペロペロしながら犯してあげる……♥
覚悟しなさい、ユウイチ♥ 今日はアナタを味わい尽くしてあげるわ……♥」

「へっ……? ええっ⁉︎」

カミラさんはそのまま部屋にあるベッドに鴨田さんを放り投げる。
部屋の割にデカいベッドだ。
恐らくカミラさんに合わせたサイズなのだろう。
ベッドに放り投げられた鴨田さんは、そのままベッドに着地する……かと思ったのだが何と空中で停止した。
何事かと思い、よく見ると……ああ、なるほど。
鴨田さんは「蜘蛛の巣」に引っかかっていた。
この部屋の中空に彼女の蜘蛛の巣が張り巡らされていたのだ。

カミラさんはそんな鴨田さんをギラギラした目で見つめながら俺とリリィちゃんに声を掛ける。

「ゴメンなさいね、リリィちゃんと彼氏くん。
これから私とユウイチはとっても『忙しく』なるから、今日の所はお引き取り願えないかしら?」

リリィちゃんをペロペロしていた俺は一旦ペロペロを止める。
あー……まぁそうなるよね。しかし参ったな。情報収集に来たのに全然話聞けなかった。……次の約束くらい取り付けておくか。

あー、カミラさん。オッ始める前に一つだけ良いっすかね?

「何? 手短にお願い」

俺の方を振り返りもせず無機質に答えるカミラさん。
怖っ! いや邪魔するつもりなんて毛頭ないからね、俺!

いや実は色々お話聞きたくて。魔物とか、フェアリーの事とか……
時間空いた時で良いんで話、聞かせて貰って良いっすか?

「ああ……そう言う事。それなら私に聞くより、ココの大家さんの奥さんに聞いた方が良いわね」

へっ……? それってつまり……

「ええ、彼女も『魔物娘』……私よりもずっと物知りで頼りになる娘よ。
……さあ、もう良いかしら?
私、もう我慢の限界なの……♥」

……うっす、今日はありがとうございました。

それだけ言うとすっかり出来上がったリリィちゃんを胸ポケットに入れて、足早に部屋を出た。
部屋を出た瞬間、鴨田さんの悲鳴が聞こえた気がしたけど……
俺は何も聞かなかったって事で!

階段を降りながら、俺はぼんやりと考える。
大家さんの奥さんね……
大家さんとは偶に話すけど、奥さんは見たことないな。
その奥さんも魔物……いや、魔物娘って言ってたかなカミラさん。
何つーか、ここの所そんなファンタジーの住人と関わる事多いな、俺。
何かの兆しだったりするのかね、コレ?
考え事をしてると、リリィちゃんが俺の胸ポケットから飛び出して顔中にキスして来る。

「エヘヘッ♥ ねぇ早く部屋に帰って続き、シよ?
カミラさんとカモダさんみたいなラブラブエッチ……♥」

俺は考え事を中断して、今目の前にいる小さな恋人に意識を集中する。
細かい事は後だ、後!
今は……とにかくペロペロだ!
その後、ラブラブエッチだ!
それこそが俺の人生の目的なのだ!
21/07/31 19:14更新 / H.H
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