連載小説
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夢と幻と似た者同士


 私は、彼のことが好きだった。彼を幸せにしてあげたかった。
 ワタシも、彼のことが好きだった。彼を幸せにしてあげたかった。

 でも、私は彼には相応しくない。
 でも、ワタシも彼には相応しくない。

 だから私は、彼に夢を見せた。
 だからワタシは、彼に幻を見せた。

 でも私は、彼に正体を見られる事を恐れた。
 でもワタシも、彼に正体を見られる事を恐れた。

 だって、本当の私は、暗くて、地味で、ワガママだから。
 だって、本当のワタシは、嘘つきで、臆病で、空っぽだから。

 騙しているのがばれて、今の関係が壊れてしまうのが、怖かったから。
 そして、騙しているのがばれて、彼が傷ついてしまうのが怖かったから。

 本当の私は、ひとりぼっちだった。
 本当のワタシも、ひとりぼっちだった。

 そんな時、彼女に出会った。
 そんな時、彼女はやって来た。


 そして、二人は手を組んだ。

 
前編:夜に生まれた、奇妙な友情11/12/22 23:53
中編:月の無い夜の追跡劇11/12/22 23:54
後編:冷たい闇夜と、暖かなひかり11/12/22 23:54
完結編:そして夜が明ける時11/12/22 23:53
おまけ:ある家族の、幸せな朝11/12/31 18:39

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