連載小説
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第五話 朝までスパート
「頼まれてた留め金? ああ完成してるぞ。ちょっと待ってろ……ほら。」
金属を加工する金槌の音、製錬前の鉄鉱石を鉱山から運んでくるトロッコの音、あとは溶鉱炉の中で鉄が精錬されているのがわかる何とも言いづらい重低音。
そう、ここはクルツの金属加工場だ。
金属加工場と言っても部門が三つに分けられていて、鉱山に直接潜って内部から鉱石を掘り出してくる採掘部門、接客部門がとってきた注文をもとに、金属を精錬しそれを製品に加工する加工部門、そして完成品の引き渡し、注文の受付などを行う接客部門がある。
服屋と違って、結構厳密に専門的に分野が分けられている、人数が多いこともその理由に挙げられるだろう。
そしてその中で加工部門一の腕利きとして名高いのがホブゴブリンのプラムだが、母親を探すための小旅行からクルツに帰ってきたのは昨日の夜のことで、しかも旦那を連れてきた。
金属加工場のアイドルだったプラムを誰も知らないところでいきなり射止めたそいつも加工場の採掘部門で働くことになっているせいで、しばらくは周囲の羨望と嫉妬の目を受けるであろうことは想像に難くない。
「ありがとう、これでようやくレティの首輪を完成させられる。」
「おう、お前も頑張れよ。」
「言われなくても。」
金属加工場を出て、牛の牧場を大回りに迂回して道沿いに移動していく。
金属加工場と農場は水源こそかなり厳重な方法で別にしてあるとはいえ、同様にクルツの東側、生産地区と呼ばれる地域に作られている。
金属の音やら家畜の鳴き声やら、そんな音ばかりが響くのどかないつもの生産地区だ。
あの事件以降、ルミネさんに逆らっても絶対に勝てないと確信したのか造反分子があらかた消されてしまったのかまでは不明だしクロードさん達も教えてはくれないが、クルツは平和なものだ。
この土地らしい穏やかでちょっと間の抜けた空気が帰ってきたと言えばいいんだろうか。
落ち着いて俺もレティからまた毛を採取して、じっくりと完成までプランを練り直し更にいいデザインに仕上げることができた。
幸か不幸か、俺が初めてなめした革も使えるように仕上がってたから店長に無理を言ってそれを使わせてもらった。金属部分を除けば皮革も紡績も裁縫も俺の手で行ったレティのためだけのアクセサリーになる。
「いかんいかん落ち着け、ここで興奮するんじゃない。」
非常に妙なことに俺はどうやら思い人に自分の手がけた衣服やアクセサリーを身に着けてもらうことに興奮する性癖があるらしい、最近とみに実感するようになった。
ともかく、これをすでに出来上がってる他の部分に取り付ければレティの首輪は完成する。
出来上がるまでにずいぶん時間がかかった気はするけれど、それだけの価値がある時間だったと思うし、だからこそ出来上がったこれは大事にしていきたい。
牧場の牛たちがやけにうるさい、今は餌の時間でもないはずなのになんだかそわそわしている、そう思って、俺が首をそっちに向けた瞬間だった。
何か、俺のいる方向に向かって信じがたい勢いで突っ込んでくる。
目を凝らして確認してようやく分かった。牛牧場をその巨体に見合わない機敏な動きで突っ切ってくるのは、レティの愛馬であるヴェガニアだった。
背中には、しっかりレティも乗っている。
高さ二メートルほどもある牧場の柵を当たり前のように大跳躍で飛び越し、レティを乗せたヴェガニアは俺の目の前に着地する。そして次の瞬間にはレティの腕が伸びてきて、信じられない力で俺を抱えあげる。
しかもそのまま(幸いにも牛の間をすり抜けることにはならなかった)ヴェガニアはもう一度道なりに疾走を開始する。
「ちょっ!? おまっ!? うぎゃぁあああああああああああああ!!!」
体の支えと言えば引っ掴まれた胴体のみ、危うい、落下したら痛いどころじゃすまないしサイズが暴れ馬の馬鹿力で有名なポルカに続いてクルツで二番目にでかいヴェガニアに踏まれようものなら人間として並の頑丈さしかない俺は確実に死ぬ。
そして流石、成熟に従ってとうとう走行速度がライアを抜きクルツ最速に躍り出たヴェガニア、かなり速い。あっという間に街中を半分以上も過ぎ、服屋まで到着する。
レティが俺を抱えたまま飛び降り、ヴェガニアは人の邪魔にならないようにか道路のわきに詰める。
「うぉお しぬぅ……」
一方の俺はと言えば揺れるわ意味わからんわで最悪、ゲロ吐きそうな気分だ。
しかしレティはそれも気にした様子はなく俺を道に降ろすと顔を覗き込む。そして尻尾を振り振り期待に満ちた表情で
「首輪、完成? 完成した? つけて、早く。」
とおねだりしてきた、理性が飛んだ目をしている。そりゃそうだ普段理性を保つことをアクセサリのまじないに頼っているクルツの魔物の多くは自分の意思だけで理性を保ち続けることに慣れてない。
俺が服屋で押し倒されたあの日以降完成まで全く襲われずに済んでたことが異常だ。
今日首輪が完成すると知って、我慢できずにここまで暴走してしまったんだろう。
「ちょっと待ってろ、店の裁縫道具使って仕上げるから、それまで待て。いいな?」
「わふっ♥」
俺の言葉に従ってレティはそのまま棒立ちで店の前に待機を始める。
俺も店に戻り、周囲の好奇の視線にさらされながらも仕事の台につくと首輪の胴体部分に留め金を合わせる作業を始める、留め金部分が外れてしまわないようにしっかり縫い合わせ、外れないようにきちんと固定されたことを確認して
「よし、できた。」
これで完成、あとはレティに着けてやれば、完璧。
「おー、初めてにしては上出来なんじゃない? 見たところちょうどいいサイズと形にまじないの模様も仕込んであるみたいだし、その上で肌に優しい布地を肌に接する部分に仕込んでごわごわした感触を防ぐとかあんたらしいわ。」
いつの間にか俺の背後に立っていた店長がそんな評価を口にする。
ビックリして飛び上がりそうになった俺に向かって店長はさらに続けて
「今日は仕事休んで家か何処かでゆっくりしてなさいな、レティと一緒にね。」
「無粋なことを仰いますね、怪我人が変な方にヒートアップしていいんです?」
医者先生やハルトなら傷もすぐ治せそうなもんだが、なぜか店長は怪我を治してもらっていない、実は堂々とサボる口実が欲しいだけじゃないだろうな。
「いいのよ、娘が生まれたらうちの店をひいきにさせるから、あんたの無駄にきれいな金髪とレティの容姿を受け継いだ娘なら猶更ありがたいわよ。」
「あーそう言うことですか、自分が働けるうちに俺の生まれてくるであろう娘に可愛い服作ってやりたいからさっさと子作りに励めと、そんなとこですか。」
呆れながらもそう返すと店長はかなりいい笑顔で首を縦に振り、そのまま指を鳴らす。
作業していた他の皆が一斉にまるで操られたかのように席を立ち、俺のところまで接近してくるとそのまま俺を抱えてレティの待つ店の外まで連行した。
「わふっ♥ はっはっはっ♪」
発情しきってゆるんだ顔のレティが、そこに待っていた。


野外でのセックスはクルツで禁止されている、見せびらかされて他の魔物や人間が欲情して収拾のつかない事態になることを避けるためだ、なので俺たちは洋服屋から近かったレティの自宅に移動し、そこでことに及ぶことにした。
「じゃ、つけるぞ。」
そのまま指に噛みつかれないかと警戒しながらも、俺はレティの首に首輪をしっかりつけて、留め金で止めてやる。
「……リードは? 鎖は?」
「お前は何を期待してるんだよ……ないよそんなもん。」
「くぅーん……」
「そんな目してもないもんはない。」
首輪の時点でもう満足するだろうと思っていたら予想以上に変態的な要求が来てむしろ俺が戸惑っている。悲しそうな目で見つめてくる姿はまるで子犬だが要求がアダルトかつアブノーマルすぎてあんまり可愛くない。
卑猥だ。
「と、いうかだ。お前はそう言う束縛嫌じゃないのか? その……元、奴隷なんだし。」
クルツの住民たちの中にはレティを含めて何人か、誰かの手によって奴隷商人や奴隷を買い取った貴族の手から解放された者がいる。
奴隷商人たちが奴隷を捕える手口は残忍かつ非道で、そのことで心に傷を負っている者も少なからずいるのだから俺の心配は間違ってないだろう。
俺だって、かつて暮らしていた村は焼かれ略奪にあい、俺も殺されるところだったのをクロードさんに救ってもらった人間だ、あの日のことは今も夢に見る。
「嫌いなやつに勝手に自分のモノ扱いされたら誰だっていや。でも好きな人に、ヘルマンになら束縛されてもいい、繋がってる分私も束縛できるから。」
「……なるほど。」
そんな考え方があったのか、と感心した一方でそれだけ俺のことを思ってくれているんだとも感じられて嬉しい。だから頭を軽く撫でてやったんだが、
「ぐぅー」
不満そうなふくれっ面でこちらを軽く睨んでくる。
「なんだ?」
「……がうっ!」
いきなり吼えたかと思うと、レティは俺を突き飛ばしてその上に馬乗りになってきた。
「はふぅ……♥ んちゅ ちゅくちゅくちゅ…ちゅっちゅ」
一瞬のうちに、俺が何されてるのか理解するよりもずっと早くレティは俺の唇を奪いながら、まだ勃起してもいない俺の愚息を服越しに愛撫するように腰をこすりつけてくる。
我慢できなかったか、というか、いつの間に脱いだのだろう布のひらひらしたスカートからのぞく中身は裸のままで、要するに俺は既に湿っている陰部を腰に擦りつけられている。
それに気づいてやっと、俺の愚息も気合を入れてきた。
「んくっ、少しは我慢しろよ、節操のない。」
そう言いながら、キスは止めずにするすると服を脱ぎ、レティの服も同じように脱がせる。
そして後ろに手を回すとつけてやったばかりの首輪を後ろに向けて引っ張り、そのまま彼女に覆いかぶさるようにして彼女を横たわらせる。
前戯として愛撫してやろうとして、すぐにその手が引っ込んだ、必要ないくらい、しっとりなんて生温い表現で言い表せないほどグズグズに濡れていたからだ。
「お前これは……これは……まぁ…」
言葉を失った、最初はどこまで興奮してんだよと呆れたがすぐに思い直した。いくらなんでも我慢させ過ぎたことを考えてなかった。
「じゃ、行くぞ。」
しっかり腰を抑え込んで、照準を合わせる。
ぐっと力を入れ、ずぶずぶと押し込んでいき、最奥にゴツンと当たった瞬間、
「きゃぅううううううううううううん!!」
悲鳴に近い嬌声を上げ、体を大きくのけぞらせながら、たった一突きでいとも簡単にレティが絶頂を迎えた。
「レティ、レティ!!」
俺も今までずっと我慢して来て、発情しきった彼女の顔を間近で見続けていたせいでもう限界だった、ガツンガツンと剛直を彼女の奥にぶつけるように腰を激しく振り、ケダモノのように彼女の小さな胸に吸い付く。
「ひぐっ! はひゅ…♪ へ、へりゅまんー♥」
一突きするごとに暴れるように腰が跳ね、甘い声を漏らしながら、蕩けただらしない声と顔で俺に向けて「もっともっと」とねだってくる。
彼女の足が持ち上がったと思うと、俺の腰に絡み付いて奥まで突っ込ませるように密着させる。俺も負けじと、彼女の首輪の余分なスペースに指をひっかけると少し乱暴にそのまま引き寄せて唇を奪う。
「んぶ、ちゅぶ……はふ♥ んくっ」
しかしレティはキスしている上の口よりも俺の肉棒にしっかりむしゃぶりついている下の口の方に夢中なようで、一突きするごとに体をぴくぴくと震わせて絶頂を繰り返している。
きゅう とレティの子宮口が俺の肉棒の先に吸い付いてきた瞬間、
どくっどくどくどくどくっ!
我慢の限界を迎えた俺の肉棒が彼女の体内に精液を遠慮なく流し込む。
「ひぐっ♥ んヲ、オォ―――――――――――――ン♥」
更に連続で子宮口を叩くように射精しながら何度も何度もピストンを繰り返すと、さすがに耐えられないのかレティは遠吠えをするような声で喘ぐ。
ごぽごぽと音がするたび、精液が彼女の奥まで押し込まれていくのがわかる。
射精が止まらない、本当にいくらでも出そうなほど、どぱどぱ出続ける。
ごりごりと奥に押し付けながら、一分ほどの射精を終える。
体力と気力を全部出しつくしたように、体から力が抜けていく、荒い息を吐きながら、俺に腰を抱え込まれてぴくぴくと痙攣するレティを見下ろす。
だらしなく半開きの口からは涎を垂らし、焦点の合っていない眼はどこか虚空を、
見ていると思った瞬間に俺の目を見た。
そこからは本当に一瞬。
肩を掴まれ、押し倒され、俺の上にレティが乗っている。
「まだ、する。足りない……もっとぉ♥」
色に狂った野獣の目が復活している、疲労困憊というか気力まで出しつくしたと実感している俺にそれに抵抗する気力がまさかある筈もなく。
「止めろ……さすがにもう出ない……」
「出ないなら、搾りだす、ほらこうやって、ほらほら。」
決死の懇願は聞き入れられるどころかさらに残酷な答えに変わり、魔物の本能の成す技なのかそれとも他の誰かにテクニックとして仕込まれてたのか、睾丸を揉みほぐすように両手の肉球で柔らかにマッサージしてくる。
その刺激と、魔物の魔力を無意識か意識して行っているかはわからないが流し込んできていたのだろうい、人割と睾丸が熱を持ちながら新しい精液を生産し、愚息も気合が入る。
「ほら、まだまだ元気。」
強制的に元気にしたんだろうが。
そんな言葉を俺が言い返すよりも早く、レティの腰が上下する。理性のない、ただ俺に快楽を与えながら自分も快楽を得て、そして俺から精液を搾り取らんとするだけの動き。
しかしそれゆえの激しさと遠慮のなさにむしろ快感は強すぎるほどで、頭がショートし始める。それでもレティはむしろさっきより気持ちよさそうなほどだ。
「ちょっ♥ やめっ をぁっあっあっ!」
どくどくどくどくどぷっ!
必死の懇願のそのさなか、許容できる快感の限度を迎えて頭が真っ白になると同時に、彼女の体内に精液を放ってしまう。
「ん、出てる♥ でももっと、もぉっと……」
ぱちんぱちんと、肌がぶつかり合う音を響かせてレティは腰を振り続ける。
頭がショートするほどの快楽をひたすらに体に刻み込まれ、それでもまだ満足しなかった俺の体は無意識にカクカクと自分から腰を振り、そのうち意識が薄れて行って、そのあとのことはよく覚えてない。


目が覚めたら隣に今まで見たことのない笑顔のレティが座っていて、
「妊娠した、と思う。本能でわかる。」
と言い切った、実際あれだけ出したのだからもし排卵が起きていればそれこそ受精しない可能性の方が圧倒的に低いくらいだっただろう。
つい数日前にずっと惚れていた女にいきなり押し倒されたかと思ったら、事件に巻き込まれて職場の店長が怪我をして、レティと恋人になって、子供まで出来て。
あの日、焼き尽くされていく村からクロードさんに助け出された日に味わったのと同じ感覚だった。あの日一変した世界がもう一度変わっていく、それもあり得ないほど急速に。
やがて家族も増えるし、いつの日かその家族にも恋人ができるだろう。
だけれども、これからは彼女が一緒に。
そこだけは変わらない、それがこれからの俺の世界。


14/05/05 17:13更新 / なるつき
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■作者メッセージ
随分完結まで時間をかけてしまいました
だいたいマイクラとバイトとPCの不調の所為です

ごめんなさい私の怠慢です
最後のレティ妊娠についてはさせるかどうかとか後の話との整合性とかいろいろ考えたのですが妊娠してもらうことにしました。
おっきなお腹でエッチは……ごめんなさいまた今度にしてください
いつかきっと、書きますから      きっと

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