連載小説
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103 青年の最も勇気のいる選択
〜〜〜ジェラシカの目線からスタートします!〜〜〜

私の目の前にいる彼女を目の前にして、私は物凄くうれしい気分になっていたの…
恐らく、その理由は簡単なもののはずですけれど…
まず一つ目は、私をあの忌々しいガラスケースに閉じ込めた帝国の…しかも私を閉じ込めた当の本人に復讐をすることが出来るって事…
おかげで4年間、誰に絶望を与えることも出来ない退屈な時間を過ごしたわ…
二つ目は…デメトリオがさっき…セムっていう彼女を攻撃すると物凄く絶望したから…おかげで、私の能力値は数倍に跳ね上がった…
デメトリオに交渉を持ちかけたのは正解だったわ…彼が部屋に入ってきたとたん、あの変な作りのガラスケース越しにでもわかったくらいだから…
彼は負の感情を心に沢山持っているってことに…ね?

そして…彼は面白いくらいに絶望してくれますから…今まで出会った中で最高の寄生対象ですわ…
さぁ…彼にもっと絶望を味わって貰いましょうか…そして、私の強さをもっとあげて貰いますわよ!

私はそう思うと、即座に両手に剣を持ったのですよ…
さぁ…嫉妬神の力を…見せてあげましょう!!

〜〜〜メリィの視点に変更します!!〜〜〜

目の前に立っているのがデメトリオじゃない…
それを聞いた時に、私は物凄く安心した…
私がメガロス帝国の王様と直に会話して、サリィの今置かれている状況や、デメトリオの話をするとメガロス帝国にいる彼らは私が思っているほど悪い人たちではないって知って、そして…デメトリオの話をした時、私は彼に理想を求めすぎているって言われたのよ
自分ではそうは思わなかったけど、他人に言われて初めて気がついたのよ…
確かに、私はデメトリオに昔の私の夫の姿を重ねて…昔の夫と同じ事を強要していた
つまり、私は昔の夫のようにデメトリオが成長してくれれば、サリィを安心して結婚させてあげることが出来るって…そう思っていた…
でも、それはサリィが好きなデメトリオの個性を否定していることになるって言われたのよ…

もし、もしも目の前にいる人物が…私達と少なくとも一緒に旅をしてきたデメトリオと同じ人物だったら…私はサリィが後でどれだけ悲しんだとしても、ここでどうにかするつもりだったのよ…
そう…私だって馬鹿じゃないから、セムちゃんがデメトリオに対して、どんな思いかは分かっている…
まぁ、サリィとセムちゃん…両方私は応援するわ…その話はまた別の話になるのだから…

あのデメトリオの体を借りている何かがセムちゃんを切った時、私はデメトリオがそこまで酷い男になってしまったのかと正直、自分の目を疑ったのよ
デメトリオは…ヘタレだけど、人の命を奪うなんて人道に離れた事は嫌っている男だから…
後になって考えたら、デメトリオは心のそこまでは腐っていないって事に気がついたし…だからこそ、私はデメトリオが私達のところから逃げたことを許してあげることにしたのよ…

でも、肝心のデメトリオは今…別の者になっている…
ケイ…だったかしら?彼の言うことによれば、どうにかしてデメトリオを元の状態に戻せるようにするらしいけど…
問題は、それにかかる時間ね…さっき、確実に攻撃が当たった時…なんとも無かったところを見ると…無敵か、はたまた防御力が以上に高いのか…とにかく厄介だって事は分かったのよ

「さぁ、どうします?容赦なく攻撃をしてきてもいいんですわよ?」

そう言いながら、彼女の方が私に剣を突きつけてくる…
まぁ、剣の側面を踏みつけて攻撃をかわすことは安易に出来るけど…

カッ…ドコォッ!!

「だから…効かないんですよ!!私にはっ!!」

「くっ…羽にかすったわね…」

彼女の突き出してきた剣をギリギリの所でかわすと、私は空中でまた体勢を整えたのよ…
やっぱり、彼女にダメージを与えることが出来たとは思えないわね…
それに、彼女が攻撃を受けてもひるむことなく攻撃を続行してきたところから、彼女は攻撃を受けることを前提に戦い方を組んでいる…
彼女に確実にダメージを与えることが出来ていなければ、私がいくら時間を稼いでもあまり…意味はないのよね…
どうにかして…彼女の体にダメージを与えないと…

「リーダー!!手伝いますよ!!」
「私達だって…モンスターラグーンの一員です!!」

「あなた達…やめなさい!!とてもかなう相手では無いわよ!?」

「かかってくるなら大勢の方がいいんじゃないですか?もしかしたら、私に致命的ダメージを与えることが出来るかも知れませんよ?」

彼女はそう言ってくるけど…自分が本当に危機にさらされる場合、絶対に相手に有利になりえる発言はしないものよ?
つまり、彼女は自分が不利になるって状況をわざと私たちに言って、煽っているのよ…
それに、彼女に私でも攻撃を全く与えることが出来ないって事は…他のモンスターラグーンのメンバーが集まって攻撃を仕掛けても…それは無理よね…

「リーダー…そんな事を言っている場合ではありませんよ!かなわなくても…デメトリオを元に戻すためには必要なことです!!私達でも…時間くらいは稼げます!!」

「時間を稼ぐ…それだけの為にあなた達を危険にさらすわけには…」

「話し合いはあまり…長くしないでいただけます…?じゃないと私が退屈じゃないですか…ねぇ?だから、話しているところ悪いんですが、こんなプレゼントはどうです?【ボム&ボム】」

なっ…!?あの明らかにこれは爆弾ですよ〜って見た目の物は…
爆弾じゃないの!?くっ…いきなり、嫌なプレゼントね…
私はそう思うと、即座に爆弾を空中で掴み、信管に衝撃が与えられないように持つと高く飛び上がったのよ…
……あそこなら、被害は無さそうね…てぇいっ!!

ドゴォーーンッ!!

……ふぅ、のんびりとしている時間も…あまり無さそうね…
仕方が無いわ…彼女達を危険にさらすわけにはいかないけど…仕方がない…か

「分かったわ…でも、危険な時、自分の身は自分で守りなさい?」

「分かりましたリーダーっ!!」
「じゃあ、私達もリーダーが戦闘を行っているときに、出来るだけサポートしますね!!」

……さぁ、時間を稼いでデメトリオを元に戻すために…命をかけるとしましょうか…
私はそう思うと、彼女の攻撃をかわしながら攻撃を行う、ヒット&アウェイの戦法を取り始めたのよ…

「ケイ?デメトリオを元に戻す発明品はあとどのくらいで出来そう?」

「わかりませんっ!!なんとなく、構想は頭の中にあるのですが…」
「まぁ…今はとにかく、必死に思考錯誤を繰り返すのじゃ…そうすれば、おのずと答えも出てくるはずじゃ!!」
「それもそうですが…とにかく、なるべく急ぎますから!!」

……まさか、私がつい先ほどまで敵だったメガロス帝国の人と協力することになるなんてね…それくらいメガロス帝国のリーダーでもあった王様は信頼できる男だったってことか

「考え事をするのもいいですけど…遠距離攻撃に注意されたほうがよろしいですよ?」

ドドドドッ…ドゴォーッ!!

「なっ!?ちょっと…いきなりは…卑怯でしょっと…ねぇっ!?」

私は遠距離攻撃を近くに大量に落ちてあった瓦礫を使って防ぐと、彼女の腹にお礼に攻撃を数発叩き込むと、距離をとったんだけど…
全然通用しないのよね…どうしてなのかしら…?

〜〜〜デメトリオの視点に変更します!!〜〜〜

ぐほぉっ…!?さ、さっきから連続的に痛みが俺の体を…
正直、普段の俺だったらメリィの首折を受けた地点で気絶していたのは間違い無いはずだけど、今の俺は普段の俺じゃないからな…
精神世界にいるから…気絶できないみたいなんだよ…
おかげで、痛みからも絶対に逃げることが出来ず、俺は中々収まってくれない痛みを常に感じながら、自分の限界の計容量の痛みを受けても…その痛みに堪えないといけないんだよ…
一生…このまま…なのかな…?正直、普通の宿屋店主にしては波乱万丈に満ちた人生だったとは思うよ?
でも…あまりにも無情すぎるぜ…だって、俺は波乱万丈な人生じゃなくて、厄介ごとに巻き込まれることも無く、普通に宿屋を訪れるお客様に嫉妬する…そんな人生を望んでいたんだ…
これが…今まで逃げてきた報いって奴なのかな…?
もしそうだとしたら…仕方がないって気もするか…
最終論、俺が逃げなければ丸く収まってた話なんだから…そりゃあそうだよなぁ…

反省はしているよ…いや、むしろいくら反省しても足りないくらいだとも思っている…
でも、矛盾と思われるかもしれないけど…こんな状況を作っておきながら、それでも逃げるって選択肢にあこがれる俺もいる…
やっぱり、俺は今までの行き方を真っ向から変える事も…出来ないんだろうなぁ…
まぁ、人間らしく…いつかは同じ過ちを繰り返す気がするよ…

うげぇっ!?おえぇぇぇ…
ごきぃっ!?うぐっ…

痛い…痛いよっ…やっぱり痛い…
さっきからメリィは連激を加えればジェラシカにダメージを与えることが出来るって思っているんだろうか…?
いや…きっとそう思っているに違いない…もしくは、どうやってダメージを与えればいいのか…まだ分かっていないのかな…
いや、まぁ…わかったら逆におかしいけどね?
……ダメージはジェラシカじゃなくて俺が全部受けているって言えたらどれだけいいだろうか…?
まぁ、言えないんだけどさぁ…

〜〜〜メリィの視点に戻ります!!〜〜〜

あれだけ攻撃を叩きこんでも意味がない…!?
何よ…本当に、彼女は無敵だっていうの…!?
くぅっ…落ち着きなさいメリィ…あなたはモンスターラグーンのリーダーであるために、傲慢で焦りを見せないようにしなければいけないのよ…

私は心でそう言って自分を奮い立たせようとしたけど…やっぱり無理だったのよ…
今までの中で一番厄介な相手って事は…間違いないみたいだし…攻撃も効いた様子を見せない…
少しでもいいから、ダメージが効いているってそぶりを見せてくれないと…

私は心の中で強くそう思い…そして焦っていた…
そして、その焦りが微妙に動きにも入ってきたのよ…
焦りは戦いでは禁物…でも、攻撃も通用しない敵が相手なのよ…?
私だって…リーダーだけど…一人のハーピーなんだから…焦りだってするわよ…

「あら…?攻撃が…雑になってきていません?」

「う、うるさいわよっ!!」

でも…彼女の言うとおり、私の攻撃は確かにいま…雑になっているとは思うわ
くっ…どうすれば…どうすれば…

「メリィさんっ!!出来ました…この短剣なら、彼女を封じ込めれます!」
「えっ…!?で、出来たの!?」
「はいっ!!僕はメガロス帝国の中で最高の発明者ですよ?それに…」
「わしもついておったのじゃ…出来ないはずがなかろうて…ぶっつけ本番じゃが…やるしかないのじゃ!!」

「出来たって…何が出来たんですかねぇ?でもまぁ…どんな武器でも私を傷つける事は…」

「そう…これは精神体である君を封印する武器だ…傷つける必要は無い…一発でも当てればいいんだからさ…」

「その紋章っ!?きぃぃっ!!また私を封じる気ですかっ!!そんな事…させませんっ!!」

彼女はそういうと、いきなり私の方に鎖鎌を投げてきたのよ!!
こ、この攻撃まで予測していなかったっ!?

ガキィンッ!!

彼女の投げてきた鎖鎌は私のケイから短剣を受け取った手から、短剣を弾き飛ばしたのよ!!
ま、まずいっ!!

「うふっ…あははははははっ!!コレさえ砕いてしまえば…あと2年は私の天下よっ!!でしょう?この私を封印するために構成されている鉱石の魔力蓄積には2年かかるんだからっ!!」

「くっ…だ、だれでもいいっ!!彼女に…彼女に短剣を取らせるなっ!」

「遅いわっ!!これで…私が真の神になる完璧な時代のさきがけがっ!!」

「やらせは…しませんっ!!」

せ、セムちゃんが…傷だらけの体を無理させて彼女よりも先に短剣をとった!?
せ、セムちゃん…ジュンコの治療がさっき終わったばかりだというのに…
お礼はいいたいけど…体は、大丈夫なのかしら…!?


「デメさんを…デ…メさんをぉっ…返して…返してくださいいぃぃぃぃっ!」

ヒュッ…

「し、しまっ…きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!?体が…私の力が分散していくっ!?まだ…野望が始まって数時間も経っていないのよっ!!封印なんて…封印なんてぇぇぇぇぇぇっーーー!!」

ビシッ…バキィッ…

彼女の体がだんだん石になっていく…?
なるほど、これが…ケイが言っていた封印って奴なのね…
って事は…ふぅっ…一時はどうなることかと思ったけど…終わったのね…

「私が…この私がただで封印なんてされてたまるものですかっ!!私は…神の…神のはずなのよっ!!」
「ただの精神体が神になれるはずがないでしょう?」
「……わた…くしは…わた…わ……」

ガシャッ…

完全に封印された…か…
出来れば、次からはあまり封印を解除してきて欲しくないわね…
さて…デメトリオはどうしたのかしら?

〜〜〜デメトリオの視点に移ります!!〜〜〜

な、何だっ…!?い、いきなり目の前が真っ暗になっただと…!?
ま、まさか…俺、死んじゃったのか?…マジで?
……はぁっ、これで俺の人生も終わりかぁ…

俺はそう思いながら、目の前に広がる光景を見ていたんだ…
あたり一面真っ暗な闇…さっきまで見えていた外の風景も今は全く見えない…
目をつぶっているわけじゃないんだぜ?自分でも…錯覚しそうだけど…

思ったより、死んだ後の世界って何もなかったんだな…
それに、痛くもなかった…でも、寂しいな…
いや、まぁ…どうせ死んでしまったんだからいつかはなれるんだろうけど…
しかしまぁ、こう何も無いと気が狂いそうだ…死んでいるから狂うことも出来ないんだけど…
……もう少し、生きていたかったなぁ…

死んでしまってから、自分が今まで逃げてきた人生を思い浮かべてみると…自分でも笑えるくらいに逃げてばっかりだな
まぁ、それが俺らしさって奴だけど

〜〜〜メリィサイドに移動します!!〜〜〜

彼女を封印した石に亀裂が走り始めているんだけど…本当に大丈夫なの?
私はそう思いながら石を見ていたんだけど…次の瞬間、石が物凄い音を立ててはじけとんだのよ…
そして、中から目から光が消えたデメトリオが出てきたのよ

「おーい?デメトリオ…大丈夫?」

「………」

…どうして黙っているのかしら?もしかして、痛い目にあわされたから私を無視するつもりかしら…?
…少し話もしたいから勘弁してもらうわ

私はそう思うと、デメトリオの背中を強く叩いたのよ…
まったく…

〜〜〜デメトリオ視点に変更します!!〜〜〜

なっ…なんだぁっ!?いきなり何かに引っ張られて…うわぁぁぁぁぁぁっ!!

………

「あぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

「きゃっ!?…いきなり大きな声を上げないでもらえるかしら?」

……あれ?どうしてメリィが俺の目の前に立っているんだ…?
それに、俺の周りにはモンスターラグーンのメンバーや他の勢力…メガロス帝国の兵士達までいたんだよ!
………みんな死んだ…なんてありえないよなぁ?
だったら…俺は死んでいなかったのか?
……は、はははっ…やったぞっ!!俺は生きてた…生きていたんだ!!

なんだろう…この感情は?
確かに生きていたことに関しては凄くうれしいが…他のみんなに多大な迷惑をかけたことを考えると…素直に喜ぶことが出来ないんだよなぁ…
……それに、俺はスカニやセムちゃんをジェラシカに体を支配されていたとしても…傷つけてしまった…
そのことを考えると…なんだかなぁ…

そしてその後、色々な考えが頭の中をよぎったが…結局、俺が取った行動は一つだった…
俺はここにいる全員に謝ったんだ…モンスターラグーンのメンバーを裏切ったことも、セムちゃんを切ってしまった事も…そして、数日間かくまってくれたメガロス帝国のみんなを見捨てて逃げようとしたことも…とにかく、全員に向けて心のそこから謝ったんだ…

「みんな…今まで、色々なことをしてしまって…本当にごめん…」

「……まぁ、私にも非があったから…それでデメトリオ、大事な話をしてもいいかしら?あなたの将来に関わる話よ?」

どうしたんだろうか?唐突だなぁ…でも、話を聞いた方が…いいよな?
俺は頭の仲でそう判断すると、メリィの話を真面目に聞ける体勢になったんだ…
さぁ…どんな話が飛び出してくるんだ!?

「デメトリオは、サリィとの結婚話を私が持ちかけたとして…自分ではどう思うの?急に聞くけど…正直迷惑かしら?」

…えっ!?そ、その話題!?
サリィ…かぁ…
正直、サリィとは今まで普通の子供時代からの友人のような仲だと思っていた
子供の頃、俺が6歳の時にフェルス興国に行き、偶然親の手伝いをしているであろう所を手伝ってから仲良くなった…そう思っていたんだけど…
結婚…?

その二文字が俺のこころに突き刺さる…
結婚…結婚かぁ…
宿屋にいて集会をしていた時…俺は本気で一生一人で生きていくんじゃないかと思っていた…
自分でも臆病者でヘタレだってのは分かっていたから、だからこそ、俺が新聞で唯一の未結婚者って報告があったとき…心の端っこの方で少しはやっぱりって思ったんだよ…

そんな俺が結婚について話を持ちかけられるかぁ…
俺は…相手の意見をまずは尊重したいんだけど…俺と結婚することによってサリィが幸せだと思えるなら俺は別にいいよ?
でも…いやいや結婚するのはやめて欲しい…もし、メリィが結婚を強制とかしているのなら…俺は丁重に断りたいね…
綺麗事だけど、俺も結婚はその後の人生を決める大事な出来事だから…

「サリィは…どう思っているんだ?俺はサリィが本心で思っていないなら…強制してはいけないと…」
「サリィの既望よ…嘘じゃないわ」

……そうか…本人の希望か…
俺だって…結婚がしたくなかったわけじゃないし、サリィのことが気にならなかったなんて言ったら嘘になる…
むしろ、これから先の人生で結婚できそうにない俺からすれば、願ったりかなったりだ…
もう、俺の答えは決まっているも同然…だよな?

「俺で…本当にいいんだろうか?サリィは可愛いんだからもっと他にいい人が…」
「私もそう思うんだけど…残念ながら本人の既望なのよね」
「さっき、言葉の中に酷い言葉を交えなかったか?まぁ…いいんだけどさ…じゃあ、こんな俺でよかったら…」

「ま…って…待って…下さいっ!!」

ん…セムちゃんか?俺が切ってしまって酷い怪我なのに…無理して立ったらいけないじゃないかっ!

「セムちゃん、まだ怪我させてしまったところが治ってないから安静に…」
「デメ…さん…私も…その…好きですっ!!」

…えっ?えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?
な、なんだっ!?このラブコメみたいな展開は!?
待て待て待て…待ってくれっ!!せ、セムちゃんまで…!?
なんだっ…!?今さっき…数人の嫉妬を感じた気がするんだが!?

「デメさんが…好きですっ!!」

に、二度も言った!?
本気…かぁ…
でも、セムちゃんの願いは聞き届けることが出来ないかな…
俺は一人の女性を最後まで愛したい…その家族を最後まで愛したいんだ
セムちゃんの願いを聞き入れることが無理なのは順番がサリィの方が早かったからとか…そんなものじゃない…
セムちゃんは…まだ子供で若い…コレから先も多くの人と出会っていくだろう
だから、だからこそセムちゃんの将来の結婚相手は…まだ決めるべきじゃないんだ…
セムちゃんには…俺以外の男性を選んだほうが幸せになることが出来るって思うんだ…
どうか、家のお金を目当てに言い寄ってくる奴じゃなくて、本気でセムちゃんを愛してくれる人と幸せになってほしいね
だからこそ…俺は本心を隠して無理だって告げなくてはならないんだな…

「ごめん…セムちゃんとは…好きといわれても結婚できない…」
「ど、どうして…ですか?お金なら家に沢山ありますし…私はデメさんを…」
「お金のことで話をしているんじゃないんだ…でも、セムちゃんの将来のためだって思って欲しいんだ…だから…」
「……っ…うっ…そ…んなぁっ…ひくっ…」

……非常に今、俺の心境は罪悪感でいっぱいだ…
でも、コレがセムちゃんに一番…セムちゃんのことを考えた答えだと思う
俺はあまり頭がよくないから、もしかしたら別の答えを用意することも出来たのかも知れない…でも、俺はその答えに…たどりつけなかったんだな…
俺のような奴の事は忘れて…もう少し大人になって甘い恋を経験してくれよ?
俺がこころの中で言えるのは…コレだけかな?

「そうだ…ねぇ?メガロス帝国の王様…一回だけサリィに合わせてくれないかしら?」
「えっ…あぁ、いいよ?じゃあ、ナッカーサーにでも頼むかな案内…」

王様がそう言ってナッカーサーを呼ぼうとしたときだった…

「王様ぁぁぁっ!!大変ですっ!!ゴルガーが無断で研究施設に侵入しました!そして、中にある研究結果とサリィさんの入っているカプセルに破壊工作を仕掛けたと研究員から報告が…」
「なっ…!?ゴルガーがっ!?姿を見ないと思ったら…まさかこの混乱に乗じて…」
「更に、研究員を8名殺したって報告があった後…通信が途絶えました!いずれも殺傷能力のある爆弾で爆殺したらしいです!!」
「なっ…!?ゴルガー…許せないっ!!」

えっ…ご、ゴルガーが何かをしでかした…?
これは…何か大変なことになりそうな予感がするな…
俺はとっさにそう思ったんだ…
12/11/21 21:11更新 / デメトリオン
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■作者メッセージ
どうもっ!!

一難さってまた一難…
勘のいい人は気づいていましたが、遂にゴルガーが動きました!!
しかも…ゴルガーは教会思想の持ち主です…
彼は独自の方法で研究施設の場所を突き止めましたが…果たしてサリィは無事なのか…
そして、なぜこのタイミングでゴルガーは行動を起こしたのか…
それも楽しみにしていただけるとうれしいです!!

ありがとうございましたーー!!

追伸…ジェラシカのバトルシーンがあっけないとか言ったらいけませんよ?
作者も書いている途中で思いましたが、スルーしてくださると…ね?

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