連載小説
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101 店主はどこまで墜ちるのか
〜〜〜初めにメリィサイドから話をスタートします!!〜〜〜

「ふぅ…どうやら、ミーシャはようやく自分の認めることが出来る相手を見つけることが出来たようじゃな…」
「ふむ、決着も早めにつきそうじゃ…恐らく、彼らは降伏するじゃろうし…」
「しかしじゃのう…同じ話かたの者が二人もおると、分かりにくいのぅ…」
「そうじゃな…見た目では、わしはドワーフ、おぬしはバフォメットと大きく違うのじゃがな…まぁ、よしとするかのぉ…」

そう言いながら、私の横で小さい二人が話しながらお菓子を食べているのを見ながら、私はまた一つ、大きな戦いが終わり、そして…大きな愛が生まれたことに喜んでいたのよ…
残った彼らがどのような行動を取るのかは分からないけれど…まぁ、ここまで来たらなんとかなるだろうし…ね?
それにしても…城に近づくにつれてなんだか羽がピリピリするのよね…
どうしてかしら?まぁ…どうでもいいことなんだろうけど…
私はそう思うと、敵のメガロス帝国の国王がどう出てくるかを待つことにしたのだった…
長い…たたかいだったわね

〜〜〜デメトリオの視点に移動します!!〜〜〜

うぅっ…外が騒がしいな…なんだ?
俺はそう思いながら、ナッカーサーに殴られたおなかを押さえつつ、立ち上がったんだけど…
あれ…?どうして皆、あんなに慌てているんだ…?それに、ナッカーサーはどこにいるんだ…?
……そうか、俺はあいつを引き止めて一緒に逃げるって選択をあいつにさせることが出来なかったか…

「王様っ!!ど、どうするんですか…!?このままでは…」
「うわぁぁぁぁんっ!!」

しかし、どうしてこんなに色々な連中はパニックになっているんだ?何があった?お祭りか…?でも、それだったら子供達が泣いている理由にはならないよな…?じゃあ、なぜだ…?

「いててっ…王様、どうしたんです?なんか、みんな慌てていますけど…」

「デメトリオか?お前、ナッカーサーが負けたって事…そうか、気絶していたんだったか…」

へっ…?負けたの?ナッカーサー…負けたの?
………だから逃げたほうがいいって言ったんだ!!逃げておけば、ここにいるみんなと逃げることも出来たはずなのに…それでも逃げないなんて馬鹿だったんだよ…
あいつは…絶対に…馬鹿だったんだよ!!

俺はまるで自分に言い聞かせるように心の中でそう呟くと、逃げる準備を始めたんだ…
脱出経路は…やっぱりここに来たときに通った地下通路…でも、俺が逃げてきた時に追っ手が後からこっちに向かっている可能性もあるな…
………まぁ、あとしばらくは大丈夫だろうけど…

「王様…どうするんですかぁっ!?」
「……みんな、聞いてくれ…」

……なんだ?王様…真剣な表情を浮かべて…何を言うつもりなんだ?
あれか?秘密兵器が実はあって、それを使うとか言うのか?いやぁ…そんな展開を少しは待っていたぜ…俺はさ!!
さぁて…その場合、王様…いや、メガロス帝国の新兵器はなんだろうかな?

「今まで散っていった者たちには悪いが…彼女達の動向を見ている限り、俺達に被害は…あまり無さそうだ。だから、俺は彼女達に降参の意を示そうと思う…そこで、皆の意見を求めたい…」
「こ、降参…するんですか?本当に…?」
「あぁ…だけど安心してくれ…もしも残ったお前達に被害が及ぶようなら、俺は自分の持っているゲームのシナリオのように行動するからさ…彼女達に捕まって酷い目にあわされるのは俺一人で十分だ…だから、彼女達に提案してみようと思う」

……降参?降参だとっ!?ま、待ってくれよ…!!それじゃあ、俺の完璧な逃亡計画に少し支障が起こってしまうじゃないか!!
秘密兵器じゃ…なかったのかよぉ…
と、とにかく、その決断をする場合、王様を何とかして止めないと俺の逃亡が出来なくなってしまう…逃げれない…つまり、戦いに負けたって事で俺もメリィや他のモンスターラグーンのメンバーの前に連れて行かれる…
そうしたら…絶対に王様は俺のことまでかばいきれるわけが無いんだ!!
だって、俺は元々、彼女達からも逃げてここに来たんだ…だから、俺が捕まったら…確実にいやな目に合わされてしまう…

「お、王様っ!!す、少しおちつ…」

「敵のリーダーの方に報告する!!この俺、メガロス=クスル=ヴァルキャン2世は今ここで…降伏することを宣言する…!!門も全て開け放ち、抵抗もしないことを約束しよう…しかし、他のメガロス帝国の国民の事は見逃してやってくれ!!戦争に負けたときの協定のルールに従って、今からそちらに私は一人で向かう…だから…頼むっ!!」
「いいわ…だったら、デメトリオを出して貰えるかしら…?後、私の妹である可愛いサリィも…ね?いや…いいわ、私の大切な仲間に探しに行かせるから…」
「……わかった、しかし…サリィと呼ばれる子については直接話をさせてもらいたい…少々、複雑な事情が絡んでいるんだ…」
「………まぁ、話は聞いてあげるわ…」

……う、嘘だ…!?まさか…まさか…こんなことが起こって良いわけが無い!
これは夢だっ!!じゃないと、こんな出来事が起こるわけ…
しかし、これが現実だって事は認めたくないけど分かるから、困ったものだな
って、こんなことを言っている場合じゃない!!早く逃げないと…この城から早く逃げて…メガロス帝国からとにかく離れないときっと俺は酷い目にあわされる…それは嫌だっ!!

そう思って展望台のある塔まで急いで周り、安全な逃げ道を探してみるが…し、四方八方…全て魔物娘で埋め尽くされているじゃないか!!
………逃げれない…こんな、絶望的で馬鹿げたことが…起こって…いいのか?
どうして俺にこんなにも不幸なことがふりかかる!?俺は少なくとも、人に迷惑はかけずに逃げてきたはずだ…
少なくとも俺はそう思っているんだが…そんな無害な俺にどうしてこんな不幸が降りかかるんだ!?
おかしいじゃないか!!フェアじゃない!!絶対にフェアじゃないぞ!!

「といってもなぁ…とにかく、今はどうにかこの絶望的な状況を切り抜けないと…って、待てよ…?」

このメガロス城はとても広いから、この城の中に潜伏すれば分からないんじゃないか?それこそ、ほとんどのメガロス帝国の人々でさえ行くことがないような部屋はきっとあるはず…だったら、その部屋を見つけて隠れてやり過ごせば…
…選択肢は…無いよなぁ…よしっ、やるしかない!!
俺は心のそこでそう思うと、すぐに階段を駆け上がって…って、うわっ!?
こ、粉…!?この粉は…うどん粉かな?王様…階段の途中の段にうどん粉置くなよなぁ…
まぁ…別にいいんだけど…さぁて、逃げるぞ…絶対に逃げ切って見せる!!

そう思ってから数分間、俺はとある出口が二つある部屋で待機していたんだ…
前からもし彼女達がやってきても、俺は確実に後ろの扉から逃げることが出来るからな…完璧な場所に逃げたと思うぜ?
まぁ…数時間はここでやり過ごすことが出来るだろうが…

俺がそう思っていたときだった…

「ふぅ…この部屋にもメガロス帝国の人がいるみたいだから、調べておかないと…デメトリオ、どこにいるのかなぁ?」
「あいつのおかげであたいの夫のケイは死ぬ寸前だったからな…はやくみつけてメリィに教えてあげないとって、デメトリオっ!!見つけたぞ!」

「ひぃぃっ!?す、スカニにリーネ!?ど、どうしてここが分かったんだ?こんなに広い建物の中から俺を見つけるなんて…そんな馬鹿なことが出来るはずが…」

「……馬鹿か?この部屋までデメトリオの足跡が続いていたら、そりゃあ気づくだろ…自分の足を見てみな…自分が馬鹿だって分かるからさ…」

……えぇ?どうして俺が自分で自分のことを馬鹿だって思わないといけないんだ?そんな事、起こるはずも無いのに…って…あぁっ!?
あ、足にうどん粉が!?それが確実に俺の歩いてきた場所に足跡となって残っているだと!?
……ぜ、全然気がつかなかった…まさか、こんなことが…
と、とにかく、見つかってしまったからには仕方が無い!!
俺は…逃げさせて貰うぜ?
俺はそう思うと、確保しておいた逃げ道から逃げ出したんだよ!!

「あっ!?逃げた!?」
「デメトリオ…まだあたいの手を煩わせるのか…早く捕まってくれればいいのに…」

「悪いなぁっ!俺は…メリィやモンスターラグーンのみんなの下に行くつもりは…ないんで!!」

……だって、捕まったら怖いじゃないかよ!!
俺の逃げる原因のほとんどは、捕まったから怖いからなんだよな…
俺の逃げる原因を順位付けするとしたら、1位はつかまったら怖いから…
2位は責任を感じる可能性がある場合、3位は痛い目に会いたくないから…
これかな?まぁ…悪くない理由だろ?
人生の中で、逃げて失敗する事はあまり無いと俺はそう信じているからな!
………俺の母さんだって、親父から逃げたんだから…俺にだって逃げる権利は絶対にあるはずだし…
いや、そもそも…逃げる権利は人間や魔物娘問わず、全員が持っていていいはずなんだ!!
それなのに、世の中のみんなは逃げる選択肢を取らなさ過ぎると俺は思う!
もっと、逃げればいいのに…どうしてなんだろうな?
俺には理解できない…

俺がそう思いながら城の中を逃げていると、俺は大きな部屋の前についたんだよ!!しかもこの部屋…何重にもロックが仕掛けられているし…
こ、この部屋だったら、俺も少しは安全かな…?よしっ!!そうときまれば…

「開くか?いや、簡単に開いたらこんなにロックしている意味がないんだが…それでも、開いてくれないといろんな意味で困るからなぁ…」

ガチャッ…ガチャッ…

開かない…?やっぱりか…いやぁ、まぁ…そう簡単に開いたらダメだよな…
でも、何とかして開いてくれないと困るんだが…?
頼むよっ!!今だけでいいんだ!!開いてくれれば、後は簡単に開かなくてもいいからさ?なっ?扉…頼むよ…俺に免じて…なっ?

ガチャッ…ガチャッ…

「こっちの方に足跡が続いているな…こっちか?」

す、スカニの声!?や、やばいよっ!!
頼むっ!!扉っ!!開いてくれ!!お、お、俺の事を助けてくれたら、干し肉やるからさっ!!なっ?
干し肉だぜ!?いいだろ!?なぁっ!!

ガタ…ガタ…ガチャンッ!!
キィィ…

あ、開いたっ!?ら…ラッキーっ!!
運はまだ…俺に味方していてくれたようだな…そうとわかれば…
俺は即座に部屋の中に入ったんだ…

なんだ…?この部屋は…?
非常に機械的な部屋の中に入った俺は、中のスケールの大きさにびっくりしていたんだ…
こ、この部屋だけでも結構の大きさじゃないか…?それに、あの真ん中にある小さな…でも、大切に保管されている結晶はなんなんだ…?
今まででも石は何度か見て来たけれど、あれほどに神秘的な結晶は見たことが無いぞっ!?

ダァンッ!!

ひ、ひぃっ!?す、スカニがついにこの部屋まで…
しまった…!!興味本位でここに来るんじゃなかった…
ここに来たら、逃げることが出来ないじゃないかよぉっ!!
あわ…あわわわわわわわっ…

「す、凄い技術だ…あたいでも、これほどのコンピューター制御システムは見たことが無い…っと、デメトリオ…もう逃げ場はないから、あたいたちに捕まってしまったほうがいいと思うよ?」

「ひぃぃっ!!い、いやだ…捕まったら、捕まったら絶対に俺、酷い目にあわされるのはわかっているんだ!!絶対に…捕まりたくないんだよ!!」

「大丈夫ですよ…メリィさん以外の方は許してくれると思いますし…ね?」

「そのメリィが怖いんだよぉーーーっ!!」

《負の感情を計測した…久しぶりね、こんなに負の感情を秘めているものに出会ったのは…聞こえているかしら?今、あなたの心に話しているんだけど…》

えっ!?こ、心に話しかけているだって!?だ、誰だ…?一体誰なんだよ!?
見たところ、スカニとリーネしか見えないんだけど!?
ま、まさか…別の魔物娘の女の子が話しかけているだけなのでは…!?

《……あなたの後ろにある石…それが私よ…ここで私をこんな忌まわしいケースにいれた連中はメガロタイド鉱石とか、メガロシウムとか色々な名前で呼んでいたようだけど…まぁいいわ…あなたの心を見させてもらったけど…中々、いい負の感情と思考を持っている…って、事で、私をこのケースから出してくれない?出してくれれば…どんな願いだって一つだけかなえてあげるわよ?まぁ、聞かなくても今、一番思っている事なんて分かっているんだけど…ね?》

……確かに、この声は俺にしか聞こえていないみたいだけど…
後ろにある石…?この結晶が心に語りかけてきているのか…!?
そ、そうだったとしたら…非常に怪しいじゃないか…!
でも…こんな状況でこんなシチュエーション…普通に人生を送ってきた俺だったらありえないんじゃないのか…!?
それに、願いをかなえてくれるなら、俺のこの場所から逃げたいってこともかなえてくれるんじゃないのか…!?
そうだとしたら…そうだな…
いいだろう!!俺は逃げたい…逃げて安全を掴みたいからな…
だまされたと思って…やってみるか!!

俺はそう思うと、石の周りにあるガラスケースを近くに落ちていた棒で叩き割ったんだよ!!さぁ…本当に俺の一番望んでいる逃げるって願いをかなえてくれるのか?

……な、なにも起こらない…だと!?
ま、まさか…幻聴が聞こえていただけだって言うのか…!?
嘘だろ…!?それってつまり、俺はここから逃げることが出来ないって事に…

俺は心の中でそう思いつつ焦っていると、いきなり石が変な紫色の光を発しながら浮遊し始めたんだよ!!こ、これは…ついに、ついに俺の望んでいたことがかなうんだな…!?よし…早く逃げることが出来るって能力を俺に授けて…

ザクッ!!

「へっ…?」

そう思っていると、いきなり俺の心臓の若干右付近にその石が刺さっているんだよ…
な、なんだよ…これ…?じ、冗談じゃないぞ!!

俺はそう思って慌てて石を抜こうとするが…石は綺麗に俺の体に刺さっており、動かすと俺に物凄い激痛を与えてきたんだよ!!
お、俺が望んでいたのは逃げる能力であり、こんな痛みなんかじゃない…
どうしてこんなことに…なぜだっ!?

《開放してくれてありがとう…お礼に、あなたの望んでいる一番逃げるって望みをかなえてあげるわ…ようは、この場所から逃げることが出来ればいいんでしょ?だったら、そのくらいの力を与えてあげるわ…しかし、その後の意識を私がのっとらせて貰うけど…ねぇ?》

な、なんだっ!?い、石が…俺の体にめり込んで…ひぃっ…
あ、熱い…なんだよ…なんだよこれはぁっ!?

「い、嫌だっ!!やっぱり、逃げる力なんて要らないから、早くこの石をはずしてくれ!!」

《それは無理ねぇ…だって、あなたの体のもう半分は鉱石化したんだから…ここまできたら、もう戻れないわ…受け入れなさい?》

うわぁっ!!も、もう顔のすぐ下まで石みたいになってるんだけど!?
ま、まるで…鎧を着込んでいるような感じになっているな…って、そんな事はどうでもいいんだっ!!
誰でもいいから、この石の侵食を止めてくれ!!いやだ…これは俺の望んだ逃げる形じゃない!!
いやだ…いやだぁぁぁぁぁっ!!

俺は心の中でそう叫ぶと、全身がその石に包まれたんだ…
もう、スカニが恐らく部屋にいるだろうけど、スカニの姿も見えない…
俺の目の前にあるのは真っ暗な闇だけになったんだよ…

俺がそう思っていると、いきなり目の前に四角い何かが出てきたんだよ…
で、その中から映像が映し出されてきたんだが…なんだ?これは…?
俺はそう思ってその映像を眺めてみたんだが…
その後、俺の人生の中で経験してきた、嫌な思い出が一気に俺の頭の中にイメージとして広がってきたんだよ!!
ど、どうして今になってこんなことを…!?そ、それに…これは逃げることが出来るような状況に変わったとは到底思えない…
じゃあ、なんで……?
……あれ…?どうした俺…?どうした?どうし…どう…どどどどどどど…
そして、イメージに押し流されて俺の意識はへんなものに流されていったんだ

「デメトリオ、どうしたんだ?おーい…?あたいの声が聞こえるか?」

「くはっ…くっはっはっははっはははっははっははっ!!凄い…すげぇ力だ!この力があれば、俺は逃げる事は愚か、勝つことだって出来るんじゃないのか!?いぃねぇぇぇぇぇっ…ひひっ…くはははははっ!!」

「デメトリオ、あんたは本当に大丈夫か?とにかく、メリィのところに連れて行くから…」

「おやぁっ?スカニさんじゃぁないですかぁ〜…どうしたんですか?俺に何か御用でも?それより、見てくれよ…この完璧な鎧…かっこいいだろぉ?それに、心のそこから変な感情が流れ込んできて…俺は強くなったんだって!」

「大丈夫じゃなさそうですよ?どうします?スカニさん…」
「仕方が無いねぇ…連れて行こうか?」

……な、なんだ?ようやく意識がはっきりとしてきたと思ったんだが、どうして俺は何かよく分からないものに捕まっているんだ?
そして、目の前の四角い映像から、外の様子が見えるんだが…
お、俺の体が勝手に動いている…!?しかも、俺が勝手に話しているじゃないか!!
……いや、話しているのは俺だったな…だが、俺じゃない…
なんなんだ…?何なんだよ…?
そうか、俺の心の中に隠れていた俺の闇の部分って奴か…?

「力…力だよスカニ…今の俺はこの力で逃げることが出来るんだ…すばらしいとおもわねぇかぁ?それに、俺はこの力を悪用するつもりはねぇし…良い奴だろ?だから…ここから早くいなくなってくれないかなぁ?俺は…俺は…俺は…自分の思い通りに無らなくて、俺より強い奴が近くにいると…イライラするんだよぉっ!!どうして逃げさせてくれない?えぇっ!?近づいてくるんじゃねぇって!!言っているだろうが!!逃げる逃げる逃げる逃げるっ!!」

なっ…!?そう言いながらスカニの方に向かっていっただと!?
ば、馬鹿じゃないのかもう一人の俺!?逃げるのならスカニとは逆の方だろ!
くそっ…あの体を俺の思い通りに動かせたら、俺だったら迷うことなく後ろに逃げるのに…
どうして、どうしてこんな状況になってしまっているんだよ!?
今の俺のあの姿…ぱっと見たらただのおかしな奴じゃないか!!

一体、俺はどうなってしまうんだ…?
こんな結果…俺は望んでないのに…
いや、確かに強くなる事は出来たと思うよ?でも、俺は自分の意思で逃げたいんだ…
俺が体を動かせない状況なのに…これは俺が願っていた逃げる力じゃない!
この状況だと…俺は体を支配されているだけじゃないかよ!!

《あら…?違うわよ?ちゃんと逃げさせてあげたじゃないの…現実から…今の空間にいれば、永遠に逃げることが出来るわよ?最高のプレゼントでしょう?それに、まだ私はあなたの意志をのっとっていないし…ねぇ?》

なっ…!?こ、この状況はあきらかに俺の意思をのっとられている状況とおなじじゃないか!!

《違うわよ…アレはあなたの弱い部分が表面に色濃く出てきただけ…アレはあなたよ?そして、私はジェラシカって名づけられた精神体…そして、今の状況のアレが何らかの方法で倒されたとき、私があなたの体を支配できるのよ…》

……ま、まさか…最初から俺の体を乗っ取るのが目的で俺の心に話しかけてきたのかよ!?……いや、それだったらあんたは間違っているな…
俺は自分で言うのもなんだが…かなり弱い!!つまり、あんたは俺を選んだことは間違いだったんだよ!!

《ふふっ…私は人の弱い部分と強い部分を逆転させてしまう、だからあなたを選んだのよデメトリオ…私が今まで出会ってきた中で一番弱いあなたなら、私は意識を乗っ取ったときに世界で一番強い存在になれる!!さぁ…今のアレはただ相手に突っ込むだけの無謀な馬鹿…決して強くもないのに…ね?》

俺の弱い部分を馬鹿にするなっ!!
俺は…俺はなぁっ…デメトリオなんだよっ!!

なんて心で思っていると…なんとっ!!
負けちゃったんだよ!!俺の分身…スカニに銃で殴りつけられて負けたんだよ!
あぁっ…俺の馬鹿っ!!

《ふふっ…ふっふっふっふ…残念ね…デメトリオ?でもまぁ…体を乗っ取ってもあなたの意識は残しておいてあげるから…安心してその精神空間で絶望しなさい…》

「ふぅっ…まぁ、こんなところか…さて、デメトリオを連れて行くとしようかな?」

「待ってくれよ…俺はまだ、素直についていく事はできないな…だって、俺は今さっき、神になったんだからさ…?さぁ…第二ラウンドといこうじゃないか!嫉妬神デメド・ジェラシカとして…相手をしよう!!」

くっ…それは俺じゃない!!俺じゃないから、馬鹿を見るような目で俺の体を見るのはやめてくれスカニ!!
くぅっ…誰がこんなことになってしまうって予想しただろうか…?
俺は心の中でそう思うと、果たしてジェラシカに乗っ取られた俺の体がどこまで強くなっているのか…それが心配になったんだ…
メリィや他の連中に危害を与えるような存在になっていなければ…いいんだが
俺はそう思うと、逃げることも出来ずにこの状況を見ることにしたんだ…
果たして…どうなるのか…それが今の俺にはわからないことだけが…悔しくて仕方が無かった…
12/11/12 19:35更新 / デメトリオン
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■作者メッセージ
どうも!!

ふぅっ…最後の大ボスはデメトリオ…ではなく、デメトリオの体を支配したジェラシカという名の精神体なんですよ!!
果たして…こんなことになるなんて何人が予想できたのか…

いよいよ最後(?)のバトルが幕をあげました!!
デメド・ジェラシカの力はどれほどなのか…そして、デメトリオは精神空間に捕まったままなのか…
それも楽しみにしてくださるとうれしいです!!

では…次回ものんびりと見てください!!
ありがとうございましたーー!!

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