反撃・・・・・・・・・・
{正直者は馬鹿を見る・・直訳すると目を背けている者を指す言葉だ・・・}
ザバサの推察・・・・・・・・
時刻は4時01分・・・・
「いやああああぁぁぁぁぁぁ..................」
館内にヴァンパイアの悲鳴が響き渡る
その悲鳴はとても女々しい物であった・・・・・・
「だから油断するなと…」
そう言いながら私は床に膝をついて息を荒くしているヴァンパイアに
向かって、2つの手榴弾を投げ込んで、食堂から急いで出た
私は先程ヴァンパイアが剣を振りかざした直後にポケットの中に残ってい
た、数欠片のにんにくを投げつけていた
運よく1つの欠片がヴァンパイアの口の中に入った、そのおかげで、
ヴァンパイアは悲鳴をあげながら地面に膝をついてしまった
・・・・・・と言うのが今の現状の訳である
「チュドォォォォォォォォンンンンンン..................」
手榴弾の爆発音が響く
(さて…若干だが、空が明るくなってきたな)
割られた窓から私の目に見える空は漆黒の黒ではなく鉄紺色になっていた
その僅かな空の色の変化は私にとって希望となった
(この感じだと…高さから考えて、あと30分強で日が昇る)
私はそう思いながらもう一方の食堂に続く廊下の方へ走っていた
こちらの世界でも方角は存在し、元居た世界と同じく太陽は西から昇っている
そうなると日が昇った時にはヴァンパイアが西に居なくてはならない
しかし、この屋敷の西側一帯すべて、食堂になっている
(・・・にんにくを当ててもヴァンパイアは動けるのか…かと言って真水は
もうないしな)
そう思いながら私は割れた窓の列を見た
私がまだ真水をヴァンパイアに掛ける前には窓や扉に攻撃を反発させる
魔法が掛っていた、しかしヴァンパイアに真水を掛けた後には
魔力が感じられ無くなっていた、実際そのおかげで、私は窓を割る
と言う作戦を思い付き、決行出来たわけであるが……
(・・・となると、真水は魔力を封じるのか? そうなるとにんにくは…)
そう私が改めて考えていると嫌な考えが脳裏によぎってきた
(まてよ…にんにくを撃ち込んだ後のあの反応……マズッたか?)
そう考えながらながらも、私はもう一方の食堂に続く廊下に差し掛かっていた
(今頃気が付いても遅いが・・私の認識票にアボリジニの銀製の戦いの
モチーフのアクセサリーが付いていたな・・・・・・)
私は元居た世界の職業柄・・常に認識票を首から下げていた・・・・・・
私は認識票自体は気にはいっていたが、個性が無いからとか言って、
アボリジニの銀製のネックアクセサリーを付けていた・・・・・・・
(まあ・・ただ・・・向こうに行った時に気に入って買っただけだけど・・)
そう私は思いながら食堂の方へ静かに走っていく・・・・・
(たぶんヴァンパイアは私の後を追いかけているはず・・・・
・・なのでこちらは後ろから奇襲・・・・・・・・)
そう思いながら私は背負っていたP90を構えながら、食堂への扉のある廊下に
出た・・・・
(食堂には・・居ないよな?・・・・・・・・)
私はそう願いながら食堂の扉付近の床にブラックライトを当てる・・・・
(・・あった・・・ヴァンパイアはあっちの方へ行っているな・・・・・・)
ヴァンパイアは最初に私が逃げた方向に行ったらしい・・
ほこりが舞う絨毯の足跡がそう物語っていた・・・・・・・
(良し・・プランβ・・・かな?・・・・・・・・)
そう思いながら私は食堂の前を全力疾走し・・自分が初めに逃げた廊下に出た
そして、その出た先には廊下を歩くヴァンパイアの後ろ姿が私の目に映った
「対象確認!・・」
その声と同時にP90が火を噴いた・・・・
「タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ................」
小刻みに50発の弾丸がヴァンパイアの頭部に命中していく・・・・・
P90は反動が少ない為、フルオートで撃ってもたいしてブレる事が無く、
命中率に影響が少ない・・・・・
(全弾命中・・即時撤t.........
私がP90を撃ち尽くして、食堂に逃げ込もうと思った時だった・・・・・・
「ガキッ・・・・」
私の頭の直ぐ横に剣が刺さった・・・・
(え!?・・まさか・・・・・・・)
しかし・・そう思う私の目の前にはヴァンパイアはまだ初めに確認した位置
から動いていない・・・・・
(な・・投げたのか?・・・・・・)
しかし・・私に驚いている暇は無かった・・・・・・・・
私に剣を投げてきたヴァンパイアがこちらを振り向いた・・・・・・
その顔は物凄く赤くなっていた・・・・
(やあべ・・・・)
私はすぐさま回避行動をとった為・・・・・・
「バッガン.........」
振り向いた直後に私の居た後ろの壁を撃ちぬくヴァンパイアの鉄拳を
かろうじて避けることに成功した・・・・
しかし・・とっさの回避行動だった為・・・床に倒れこむような形の着地と
なってしまった・・・・・・
「ハアッ・・ハアッ・・・・・・・・」
ヴァンパイアは息を荒くしながら床に倒れている私に近づいてきた・・・・
(マズイ・・・)
私はホルスターからM500ESを取り出しヴァンパイアに発砲した・・・・
「ターン・・ターン・・ターン............」
残り三発の弾がヴァンパイアに直撃する
(良し!・・今だ!・・・・・・・)
私は一瞬ヴァンパイアの足が止まった瞬間を見計らって食堂に飛び込んだ・・
「な・・何だ・・・あいつの逝ってしまっている目は!?・・・・・・」
床に倒れている私を襲って来た時のヴァンパイアの目は少しもぶれずに
私だけを見ており・・その瞳の瞳孔が開きかけていたのを確認していた・・・
(怒りがふっきれて、頭が逝ったのか?・・・・・)
しかし・・私がそう考えている間にヴァンパイアが食堂に入ってきた
手持ちの弾薬は切れてしまっていた、あるのは日本刀のみであった・・・・・
しかもヴァンパイアは・・・・・・
「う・・うああ・・・・・・」
何だか唸り声をあげている・・・・・・
(こりゃプランγか?・・・・・)
しかし・・そう思っても良い作戦が思い浮かばない・・・・・・
(こりゃ・・本格的に特攻しかないか?・・・・・・)
そう思いながら私は窓の外を見る・・・・・
破れたカーテンの隙間からうっすらと新橋色の空が見えた
(来た!・・これならいける!・・・・・・)
そう思うと私は日本刀を抜きヴァンパイアに向かって走り出した・・・・
(突・・刹那・・・・・・・)
私はヴァンパイアの首を正面に捉えて、日本刀を突き刺した・・・・・・・
(どうだ?・・・)
しかし・・貫通したのは良い物の・・・血など一切噴出しては来なく・・・・
そのままヴァンパイアに首根っこをつかまれた・・・・
「がはっ・・・・・」
私は身動きが取れなくなった・・・・
「き・・貴様・・・我に・・我に何を・・・・・・・・・・」
ヴァンパイアは顔を真っ赤にして、その様な事を言っているが、
息はとても荒く、口からヨダレが垂れている・・・・・
若干であるが、目が少しうるんでいる様だ・・・・・・・・・
(こ・・こいつ・・・発情しているのか?・・・・・・・・・・・)
私は信じたくは無いが、今のヴァンパイアの状態を見て、そう考えるしかなか
った、先程考えていたにんにくの効果が当たってしまったのである・・・・・
「あ・・ああ・・・かっ・・体が・・・・・・・・・・」
そう言いながらヴァンパイアは私を手放して、膝をついてしまった・・・・・
(・・・まずい・・のかな?・・・・・・・・)
そう思い私はヴァンパイアから離れようとした・・・・・・
すると・・ヴァンパイアは立ち上がりのどに刺さっている日本刀を抜いた・・
「も・・もう・・・ガマンできない・・・・・・・・・」
そう一言言うと私に襲いかかってきた・・・・
しかし・・ヴァンパイアは猪突猛進と言う感じで、ただ闇雲に突っ込んできた
「危ない・・・・」
私は難なくかわせた・・あの目にも見えない早さでは無かったからである
しかし、見える分恐ろしさは倍増した・・・
「ふ・・ふふふふ・・・・・はははは・・・・・・・・・」
ヴァンパイアは避けた私に再度襲いかかってきた・・・・・・
(くっ・・掴まれたら終わりだ・・・・・・・)
そう思いながら私は掴みかかってきたヴァンパイアの手首をつかみ
床に投げ飛ばした・・・・・
(この程度なら・・・・)
私は護身術を駆使しながらヴァンパイアの力を利用した・・・・
今までのヴァンパイアには無理であったが、今の様にめちゃくちゃに攻撃を
してくるヴァンパイアには十分対抗できていた・・・・・
(しかし・・にんにくの効果って・・・・・)
そう考えながら・・私は窓の外を見た・・・・・・・・・・・
(終わりか・・・)
そう思うと床に投げ飛ばしたヴァンパイアに言った・・・・・
「おい・・太陽が昇ってきたぞ?・・・・・・」
そう言えば多少は怯むと私は思っていた・・・・・
「は・・ははは・・・太陽が何だ・・・我は平気だぞ・・・・・・・・」
意外にもそう言ってきたヴァンパイアだが、次の瞬間には先程までの真っ赤な
顔や狂っていた状態は消えており・・我に返っていた・・・・・・・
「なっ・・無い!?・・マントが・・・・・・・・・・・」
ヴァンパイアは今自分の服が手榴弾でボロボロになっていることに気が付いた
様だ・・・・・
「だから油断するな・・と言っておいたはずだが・・・・・・・・」
そう言いながら私はヴァンパイアに抜かれて、床に投げ捨てられている
日本刀を拾い上げた・・・・・
「くっ・・・・・」
ヴァンパイアは急いで食堂から逃げだそうとした・・・・
しかし・・それよりも陽の光の方が早かった・・・・・・・・
「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ....................」
ヴァンパイアは陽の光を浴びて、その場に倒れこんだ・・・・・・・・
私は最初から考えていた・・たぶん皮膚に直接当てなければ効果は無いだろう
と・・・なので、私はヴァンパイアが陽の光をさえぎる為の衣類を手榴弾で、
ボロボロにした・・・・・
ただ無闇やたらに効果がない手榴弾を投合していたわけではない・・・・・
(しかし・・本当に陽の光に弱いんだな・・・・・・・)
そう思いながら窓の外を見ていた私はヴァンパイアが倒れている方を見た
「何!?・・居ない?・・・・・」
私は急いで食堂から出た・・・するとそこにはヨタヨタと逃げるヴァンパイア
の姿があった・・・・・・
(逃がすか・・情けは掛ける所を間違えてはいけない・・・・・・・)
そう思いながら私は逃げるヴァンパイアの後ろからとび蹴りを一発・・・・・
「かはっ...........」
ヴァンパイアはいとも簡単に床に崩れ落ちた・・・・・
先程までの力が疑いたくなるほどだ・・・・・・
「き・・貴様・・・・・・・・」
そう言いながら立ちあがるヴァンパイアの足は震えている
(力は・・そこらの可弱い少女と同じくらいかな・・・・・・・・)
その時私は若干の背徳感は覚えたが・・・・
立ちあがったヴァンパイアに締めのタックルをかました・・・・・・・・
「いやっ・・・・・・」
そう言いながらヴァンパイアは前方に吹き飛ばされて、そのまま起き上がらな
かった・・・・・
(ふう・・やっと終わりか・・・・・・・・)
そう思いながら私は床に倒れているヴァンパイアに近づいて、
しゃがみながら様子を見た・・・・・・
「ハアッ・・ハアッ・・・死んではいないだろうな?・・・・・・・・」
そう息を切らしながら私は手袋をはずして、ヴァンパイアの首筋に手を当てる
(脈はあるか・・・)
そう私が思っているとヴァンパイアの体が少し動いた・・・・・
(!・・・)
私が驚いて、体の方に目をやった時だった・・・・・
「ガッ!・・・・・」
ヴァンパイアはまだ気絶しておらず私の手に噛みついてきた・・・・・
「コラッ!・・離れろ!・・・・・・・」
私は手を振って離そうとしたが、ヴァンパイアはがっちりと噛んで、なかなか
離れない・・・そうしている間にも私の体から血が吸われて行く・・・・・・
「フンッ・・・・・」
私は勢いを付けて手を振り・・ようやくヴァンパイアの噛みつきから解放され
た・・・・・・
「くっ・・少し吸われ過ぎたか・・・・・・・・」
私は陽の光が当たった手に疼きが起き始めていた・・・・・・・
「ふ・・ふふふ・・・はははは・・・・・・・・・・・」
ヴァンパイアは床の上で笑っている・・・・
「・・ま・・まあ良い・・・・私は常に完全防備だし・・・
・・元々陽の光を避けて、生活してきたしな・・・・・」
そう一言言うと私は入り口の方に歩いて行った・・・・・
(まあ・・吹雪も止んでいたし・・・途中で窓から撤退できたな・・・・・)
そう思いながら私が歩いていると後ろから床をするような音が聞こえてきた
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ヴァンパイアだ・・まだ私のことを追いかけてきている・・・・・・・
(・・物凄い執念・・・いやプライドと言うべきか・・・・・・・・)
私はそう思いながら立ち止まって、ただ黙ってその様子を見た・・・・・
「い・・いか・・・な・・いで・・・・・・・・・・・」
擦れた声で、そんな声が聞こえた・・・・・・・
(・・何だ?・・・・・・)
私は恐る恐るヴァンパイアに少しずつ近づいていく・・・・・
「わ・・わたしを・・ひとりに・・・・・しないで・・・・・・・・・・」
はっきりとそう聞こえた・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
私はしゃがんで、もう一度ヴァンパイアの顔を覗きこんだ・・・・
(気絶している・・無意識のうちにあんなことを・・・・・・)
そう思うと私は考えた・・・・・
無意識のうちに口に出てくる事とは・・思いが強い場合やトラウマなどか・・
そう考えていると私はほっとくことが出来ない性分であった為
「・・・まあ・・情けの掛けどころかな・・・・・・・・・・・・・・」
そう考え、私はヴァンパイアをとりあえず陽の光に当たらない場所に
連れていくことにした・・・・・・
「・・ふう・・・私だってダメージがヤバいんだぞ・・・・・・・・・・」
そう自分に言い聞かせながらも私はヴァンパイアに日差しよけの為に
自分のタックギアー製のコートをはおらせて、おぶった・・・・・
「まて・・これだと万が一の場合知らないうちに首を噛まれる・・・・・・」
そう考えると私はヴァンパイアの事を背負った・・・・・
「いやまて・・これも知らないうちに腕を噛まれる・・・・・・・・」
またそう考えると私はヴァンパイアを前で抱えた・・・・・
「だめだな・・これじゃおぶるのと一緒だ・・・・・・・・」
そんな感じで無駄な試行錯誤の末・・・・・
「最終形態がこれか・・・・・」
私はヴァンパイアの事をお姫様だっこの状態で、運んでいた・・・・・・
ヴァンパイアが常に見えて、なお且つ体から顔が離れている最適な持ち方を
考えた末の結果だった・・・・・・・
(意外と軽いな・・・・)
そう思いながらとりあえず私は一番初めにヴァンパイアが居た部屋に行くこと
にした・・・・
(あそこなら窓もないし・・ベッドもある・・・・・・・)
そう考えながら私は割られた窓が連なる廊下を歩いている・・・・・
(しかし・・こいつに噛まれたが・・・私はどうなるんだろうか・・・・・)
そう心配しながらも私はヴァンパイアを初めに居た部屋に運び入れた・・・
「ふう・・まあ・・・とりあえずコレで良いか・・・・・・・・・・・」
私はとりあえずヴァンパイアをベッドに置き、毛布をかけておいた・・・・
「んん・・ああ・・・・・・」
悪夢でも見ているのであろうか・・ヴァンパイアは酷くうなされている・・・
(・・ふむ・・・良く見るとうなされている顔とボロボロに服が似合うな・・
・・・コイツは・・・・・・・・・・)
そう変態思考を考えつつも私は現実的になっていた・・・・
「さて・・これからどうする・・・弾薬は無い、逃げると言っても一度情けを掛けたコイツをこのまま放っておくのもあれだしな・・・・・・」
そう言いながらも私は部屋の中を見わたした・・・・
「・・散らかっているな・・・まあこの部屋だけが例外ではないが・・・・」
そう言いながらさらに部屋を見わたす・・・・
「つーか・・あのベッドの寝具・・もはや雑巾だな・・・・・・・・」
私は灰色に変色しているシーツや毛布を見ながらそう思った・・・・
(・・ダメだ・・・こうも散らかっていると掃除したくなる・・・・・・・)
そう私は思った・・・
私は見た目があれでも大の綺麗好きであった
まあ・・規律が良いのが1つの取り柄でもあった・・・・
そんでもって・・散らかっていると無性に片づけをしたくなる性分であった
「・・まあ・・・こいつは早々起きることもないだろう・・・・・・・」
そう言いながらベッドの上のヴァンパイアを見た・・・・
まだ酷くうなされているようだ・・・・
「少しばかり掃除と行きますか・・これだけこの屋敷をめちゃくちゃにしたわけだし・・ベッド位掃除させていただくとするか・・・・・・」
そう私は考え、とりあえずヴァンパイアの寝ているベッドのシーツがあまりに
も無残な為、落としてしまっている武器の回収がてら替えのシーツを探すこと
にした・・・・・
(さて・・新品とは行かなくとも綺麗なシーツ位はあってくれよ・・・・・)
そう願いながら私はヴァンパイアににんにく入りの弾を喰らわせた部屋に
向かって行った・・・
(まあ・・たぶん構造からしてあそこは客間だからな・・・近くに替えの
シーツ類を保管している部屋があるはずだ・・・・・)
そう考え私は吹きっさらしの廊下を歩いていく・・・・・
(うっ・・雪が・・・体に効く・・・・・・・・・)
私は首元に吹雪いてきた極少量の雪に体が反応してしまった
寒さの問題では無い・・・・
たぶん、ヴァンパイアに噛まれた影響であろう・・真水に体が過度に反応する
ようになっていた・・・・
(ふう・・あいつからコートを脱がして着てくれば良かった・・・・・・)
そう私は出がけに思った物の・・ヴァンパイアの服は私が手榴弾等で、
ズタボロにしてしまっていたため、まあ・・簡単にいえば破廉恥な格好になっ
てしまって居た・・しかも丁度良い具合に服が破けていた・・・・・
(あの状態はまずいよな・・全裸よりも着衣の方が好きな私が言うからには
間違いない・・・・・)
そう私はまたもや変態思考を張り巡らし、雪で疼く体を酷使しながらも
お目当ての部屋に到着した・・・・・・
「ありゃ・・あの時は逃げるのに必死だったからな・・・・・・・」
そう言う私の目の前には手榴弾で粉々になった家具類が散乱する
見るも無残な部屋が広がっていた・・・・・
しかもヴァンパイアが入ってきたときにはバリケードを粉砕するほどの
蹴りを入れてきたため、入り口一帯は大きな穴となっていた・・・・・・・
「まっ良いか・・それよりもどこにあるか・・・・・・・・・・・」
私はどうにもならない事は仕方がないの精神で、粉々になった家具の残骸を
どかしながら探し物をした・・・・
「あった・・FMG-9だ・・・・・・・」
私は逃げる際に落としてしまったFMG-9を見つけた・・・
しかし、あの衝撃のせいだろうかプラスチック製のボディがズタズタに
なっている・・・・
「あ〜あ・・これでは使い物にならないか・・・・・・・・・」
そう言うと私はそのままFMG-9に敬礼をして床に投げ捨てた
「さて・・早速だがシーツを探しに行くか・・・・・・・・・」
私は目的のシーツを探すためボロボロの部屋を後にした
あの部屋に綺麗な状態の物があるとは思えない・・・・・・・
「まあ・・順番に部屋を回れば良いか・・・・・・・」
そう考え私は片っ端から部屋を回ることにした
「ついでにあいつの衣類も見つかると良いのだが・・・・・」
・・で・・・片っ端から部屋を回り一時間位が経過・・・・・・・・・・・・
「・・・・・まあ、あのシーツよりはマシか・・・・・・・・」
そう言いながら私はとある客室らしき一室に居た・・・・
そこにあった来客用のベッドからほこりをかぶっているがまだ白く綺麗な
シーツと毛布を調達した・・・
「さて・・あとは服か何かは・・・・・・・・・」
そう言いながら私は客室の中を見わたす
しかし・・さすがに来客用と言うだけあって、ベッドと小さなテーブル以外は
何もない・・・・
「まあ・・仕方がないか・・・あのコートはしばらく貸しておいてやろう」
そう考えながら私は調達したシーツと毛布を手に持ち、ヴァンパイアの居る
部屋へと戻って行った・・・・
・・で・・・ヴァンパイアの居る部屋に戻って・・・・・・・・・・・・・・
「・・まあ・・・これで良いか・・・・・・・・・・・・」
私は新しいシーツをボロボロになっていたシーツと取り替えを終えていた
しかし・・ヴァンパイアはそんなことを他所にまだうなされている・・・・・
(どんな夢を見ているんだ・・・・・・)
そう思いながらも私自身のも眠気が来ていることに気が付いた・・・・・
「ふあ・・そう言えばほとんど貫徹だったうえにあの戦闘だものな・・
・・・眠くなるはずだわ・・・・・・・・」
そう私は考えたが、今ここで寝るわけにはいかない・・・仮にヴァンパイアが
目を覚まして、寝ている最中に襲われたら・・・と考えるでけで恐ろしくなる
いくら陽の光を当てて倒したとはいえ・・相手はヴァンパイア・・・・・・
少し寝れば直ぐに元通りの力を取り戻すであろう
そうなれば弾薬が無い私には勝ち目が無かった・・・・
(まあ・・起きていれば最悪逃げることも可能だ・・・・・・)
そう思いながら私はバックパックを下ろして、中身を見た
実は昨日の夕方から私はライ麦パンしか食べていない為腹が空いていた・・・
「・・あるのはビタミンEと戦闘糧食か・・・・・・・・」
戦闘糧食はクラッカータイプの物とやきとりタイプの二種類が入っていた
しかし・・クラッカータイプの方は良かったが、やきとりタイプの方はこの
寒さのおかげで、凍ってしまっていた・・・・・・
(・・加熱剤はあるが・・水が無いから使えないな・・・かと言って、クラッカーだけと言うのも味気ない・・・・・・)
そう思うと私はヴァンパイアがまだ起きる様子もなかった為、水を作る為、
鍋類があると思われる食堂方面へと行くことにした・・・・
「う〜・・寒い!・・・・」
私は食堂方面に向かって吹きっさらしの廊下を歩いている・・・・
いくらヴァンパイアを倒すためとはいえ、これはやり過ぎでは?と
やった自分が思うくらいの風景が広がっていた・・・・
しかし・・そう考えている内にも西側の食堂付近に着いた・・・・・
「さてと・・食堂付近の部屋を回りますか・・・・・・・・」
とりあえず私は近くの一室に入った・・・・
「おっ!・・ここは・・・・・・・」
するとそこは調理室の様な場所であった
大きな壇炉があり・・周りには包丁類が散らばっている・・・・
無論、私の探し求めていた鍋もあった
「よし・・これで温かい飯が食える・・・・・」
そう私は喜びながら元居た部屋に戻って行った・・・・・・・
時刻は約7時43分・・・・・・
すでに空の色は綺麗な空色をしており、太陽が完全に昇っていた・・・・・・
{間違った場所で、情けを掛けると言うことは情けを掛けた自分も
情けを掛けられた相手にも甘えが生じてしまう・・・・・}
ザバサの迷言・・・・
ザバサの推察・・・・・・・・
時刻は4時01分・・・・
「いやああああぁぁぁぁぁぁ..................」
館内にヴァンパイアの悲鳴が響き渡る
その悲鳴はとても女々しい物であった・・・・・・
「だから油断するなと…」
そう言いながら私は床に膝をついて息を荒くしているヴァンパイアに
向かって、2つの手榴弾を投げ込んで、食堂から急いで出た
私は先程ヴァンパイアが剣を振りかざした直後にポケットの中に残ってい
た、数欠片のにんにくを投げつけていた
運よく1つの欠片がヴァンパイアの口の中に入った、そのおかげで、
ヴァンパイアは悲鳴をあげながら地面に膝をついてしまった
・・・・・・と言うのが今の現状の訳である
「チュドォォォォォォォォンンンンンン..................」
手榴弾の爆発音が響く
(さて…若干だが、空が明るくなってきたな)
割られた窓から私の目に見える空は漆黒の黒ではなく鉄紺色になっていた
その僅かな空の色の変化は私にとって希望となった
(この感じだと…高さから考えて、あと30分強で日が昇る)
私はそう思いながらもう一方の食堂に続く廊下の方へ走っていた
こちらの世界でも方角は存在し、元居た世界と同じく太陽は西から昇っている
そうなると日が昇った時にはヴァンパイアが西に居なくてはならない
しかし、この屋敷の西側一帯すべて、食堂になっている
(・・・にんにくを当ててもヴァンパイアは動けるのか…かと言って真水は
もうないしな)
そう思いながら私は割れた窓の列を見た
私がまだ真水をヴァンパイアに掛ける前には窓や扉に攻撃を反発させる
魔法が掛っていた、しかしヴァンパイアに真水を掛けた後には
魔力が感じられ無くなっていた、実際そのおかげで、私は窓を割る
と言う作戦を思い付き、決行出来たわけであるが……
(・・・となると、真水は魔力を封じるのか? そうなるとにんにくは…)
そう私が改めて考えていると嫌な考えが脳裏によぎってきた
(まてよ…にんにくを撃ち込んだ後のあの反応……マズッたか?)
そう考えながらながらも、私はもう一方の食堂に続く廊下に差し掛かっていた
(今頃気が付いても遅いが・・私の認識票にアボリジニの銀製の戦いの
モチーフのアクセサリーが付いていたな・・・・・・)
私は元居た世界の職業柄・・常に認識票を首から下げていた・・・・・・
私は認識票自体は気にはいっていたが、個性が無いからとか言って、
アボリジニの銀製のネックアクセサリーを付けていた・・・・・・・
(まあ・・ただ・・・向こうに行った時に気に入って買っただけだけど・・)
そう私は思いながら食堂の方へ静かに走っていく・・・・・
(たぶんヴァンパイアは私の後を追いかけているはず・・・・
・・なのでこちらは後ろから奇襲・・・・・・・・)
そう思いながら私は背負っていたP90を構えながら、食堂への扉のある廊下に
出た・・・・
(食堂には・・居ないよな?・・・・・・・・)
私はそう願いながら食堂の扉付近の床にブラックライトを当てる・・・・
(・・あった・・・ヴァンパイアはあっちの方へ行っているな・・・・・・)
ヴァンパイアは最初に私が逃げた方向に行ったらしい・・
ほこりが舞う絨毯の足跡がそう物語っていた・・・・・・・
(良し・・プランβ・・・かな?・・・・・・・・)
そう思いながら私は食堂の前を全力疾走し・・自分が初めに逃げた廊下に出た
そして、その出た先には廊下を歩くヴァンパイアの後ろ姿が私の目に映った
「対象確認!・・」
その声と同時にP90が火を噴いた・・・・
「タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ................」
小刻みに50発の弾丸がヴァンパイアの頭部に命中していく・・・・・
P90は反動が少ない為、フルオートで撃ってもたいしてブレる事が無く、
命中率に影響が少ない・・・・・
(全弾命中・・即時撤t.........
私がP90を撃ち尽くして、食堂に逃げ込もうと思った時だった・・・・・・
「ガキッ・・・・」
私の頭の直ぐ横に剣が刺さった・・・・
(え!?・・まさか・・・・・・・)
しかし・・そう思う私の目の前にはヴァンパイアはまだ初めに確認した位置
から動いていない・・・・・
(な・・投げたのか?・・・・・・)
しかし・・私に驚いている暇は無かった・・・・・・・・
私に剣を投げてきたヴァンパイアがこちらを振り向いた・・・・・・
その顔は物凄く赤くなっていた・・・・
(やあべ・・・・)
私はすぐさま回避行動をとった為・・・・・・
「バッガン.........」
振り向いた直後に私の居た後ろの壁を撃ちぬくヴァンパイアの鉄拳を
かろうじて避けることに成功した・・・・
しかし・・とっさの回避行動だった為・・・床に倒れこむような形の着地と
なってしまった・・・・・・
「ハアッ・・ハアッ・・・・・・・・」
ヴァンパイアは息を荒くしながら床に倒れている私に近づいてきた・・・・
(マズイ・・・)
私はホルスターからM500ESを取り出しヴァンパイアに発砲した・・・・
「ターン・・ターン・・ターン............」
残り三発の弾がヴァンパイアに直撃する
(良し!・・今だ!・・・・・・・)
私は一瞬ヴァンパイアの足が止まった瞬間を見計らって食堂に飛び込んだ・・
「な・・何だ・・・あいつの逝ってしまっている目は!?・・・・・・」
床に倒れている私を襲って来た時のヴァンパイアの目は少しもぶれずに
私だけを見ており・・その瞳の瞳孔が開きかけていたのを確認していた・・・
(怒りがふっきれて、頭が逝ったのか?・・・・・)
しかし・・私がそう考えている間にヴァンパイアが食堂に入ってきた
手持ちの弾薬は切れてしまっていた、あるのは日本刀のみであった・・・・・
しかもヴァンパイアは・・・・・・
「う・・うああ・・・・・・」
何だか唸り声をあげている・・・・・・
(こりゃプランγか?・・・・・)
しかし・・そう思っても良い作戦が思い浮かばない・・・・・・
(こりゃ・・本格的に特攻しかないか?・・・・・・)
そう思いながら私は窓の外を見る・・・・・
破れたカーテンの隙間からうっすらと新橋色の空が見えた
(来た!・・これならいける!・・・・・・)
そう思うと私は日本刀を抜きヴァンパイアに向かって走り出した・・・・
(突・・刹那・・・・・・・)
私はヴァンパイアの首を正面に捉えて、日本刀を突き刺した・・・・・・・
(どうだ?・・・)
しかし・・貫通したのは良い物の・・・血など一切噴出しては来なく・・・・
そのままヴァンパイアに首根っこをつかまれた・・・・
「がはっ・・・・・」
私は身動きが取れなくなった・・・・
「き・・貴様・・・我に・・我に何を・・・・・・・・・・」
ヴァンパイアは顔を真っ赤にして、その様な事を言っているが、
息はとても荒く、口からヨダレが垂れている・・・・・
若干であるが、目が少しうるんでいる様だ・・・・・・・・・
(こ・・こいつ・・・発情しているのか?・・・・・・・・・・・)
私は信じたくは無いが、今のヴァンパイアの状態を見て、そう考えるしかなか
った、先程考えていたにんにくの効果が当たってしまったのである・・・・・
「あ・・ああ・・・かっ・・体が・・・・・・・・・・」
そう言いながらヴァンパイアは私を手放して、膝をついてしまった・・・・・
(・・・まずい・・のかな?・・・・・・・・)
そう思い私はヴァンパイアから離れようとした・・・・・・
すると・・ヴァンパイアは立ち上がりのどに刺さっている日本刀を抜いた・・
「も・・もう・・・ガマンできない・・・・・・・・・」
そう一言言うと私に襲いかかってきた・・・・
しかし・・ヴァンパイアは猪突猛進と言う感じで、ただ闇雲に突っ込んできた
「危ない・・・・」
私は難なくかわせた・・あの目にも見えない早さでは無かったからである
しかし、見える分恐ろしさは倍増した・・・
「ふ・・ふふふふ・・・・・はははは・・・・・・・・・」
ヴァンパイアは避けた私に再度襲いかかってきた・・・・・・
(くっ・・掴まれたら終わりだ・・・・・・・)
そう思いながら私は掴みかかってきたヴァンパイアの手首をつかみ
床に投げ飛ばした・・・・・
(この程度なら・・・・)
私は護身術を駆使しながらヴァンパイアの力を利用した・・・・
今までのヴァンパイアには無理であったが、今の様にめちゃくちゃに攻撃を
してくるヴァンパイアには十分対抗できていた・・・・・
(しかし・・にんにくの効果って・・・・・)
そう考えながら・・私は窓の外を見た・・・・・・・・・・・
(終わりか・・・)
そう思うと床に投げ飛ばしたヴァンパイアに言った・・・・・
「おい・・太陽が昇ってきたぞ?・・・・・・」
そう言えば多少は怯むと私は思っていた・・・・・
「は・・ははは・・・太陽が何だ・・・我は平気だぞ・・・・・・・・」
意外にもそう言ってきたヴァンパイアだが、次の瞬間には先程までの真っ赤な
顔や狂っていた状態は消えており・・我に返っていた・・・・・・・
「なっ・・無い!?・・マントが・・・・・・・・・・・」
ヴァンパイアは今自分の服が手榴弾でボロボロになっていることに気が付いた
様だ・・・・・
「だから油断するな・・と言っておいたはずだが・・・・・・・・」
そう言いながら私はヴァンパイアに抜かれて、床に投げ捨てられている
日本刀を拾い上げた・・・・・
「くっ・・・・・」
ヴァンパイアは急いで食堂から逃げだそうとした・・・・
しかし・・それよりも陽の光の方が早かった・・・・・・・・
「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ....................」
ヴァンパイアは陽の光を浴びて、その場に倒れこんだ・・・・・・・・
私は最初から考えていた・・たぶん皮膚に直接当てなければ効果は無いだろう
と・・・なので、私はヴァンパイアが陽の光をさえぎる為の衣類を手榴弾で、
ボロボロにした・・・・・
ただ無闇やたらに効果がない手榴弾を投合していたわけではない・・・・・
(しかし・・本当に陽の光に弱いんだな・・・・・・・)
そう思いながら窓の外を見ていた私はヴァンパイアが倒れている方を見た
「何!?・・居ない?・・・・・」
私は急いで食堂から出た・・・するとそこにはヨタヨタと逃げるヴァンパイア
の姿があった・・・・・・
(逃がすか・・情けは掛ける所を間違えてはいけない・・・・・・・)
そう思いながら私は逃げるヴァンパイアの後ろからとび蹴りを一発・・・・・
「かはっ...........」
ヴァンパイアはいとも簡単に床に崩れ落ちた・・・・・
先程までの力が疑いたくなるほどだ・・・・・・
「き・・貴様・・・・・・・・」
そう言いながら立ちあがるヴァンパイアの足は震えている
(力は・・そこらの可弱い少女と同じくらいかな・・・・・・・・)
その時私は若干の背徳感は覚えたが・・・・
立ちあがったヴァンパイアに締めのタックルをかました・・・・・・・・
「いやっ・・・・・・」
そう言いながらヴァンパイアは前方に吹き飛ばされて、そのまま起き上がらな
かった・・・・・
(ふう・・やっと終わりか・・・・・・・・)
そう思いながら私は床に倒れているヴァンパイアに近づいて、
しゃがみながら様子を見た・・・・・・
「ハアッ・・ハアッ・・・死んではいないだろうな?・・・・・・・・」
そう息を切らしながら私は手袋をはずして、ヴァンパイアの首筋に手を当てる
(脈はあるか・・・)
そう私が思っているとヴァンパイアの体が少し動いた・・・・・
(!・・・)
私が驚いて、体の方に目をやった時だった・・・・・
「ガッ!・・・・・」
ヴァンパイアはまだ気絶しておらず私の手に噛みついてきた・・・・・
「コラッ!・・離れろ!・・・・・・・」
私は手を振って離そうとしたが、ヴァンパイアはがっちりと噛んで、なかなか
離れない・・・そうしている間にも私の体から血が吸われて行く・・・・・・
「フンッ・・・・・」
私は勢いを付けて手を振り・・ようやくヴァンパイアの噛みつきから解放され
た・・・・・・
「くっ・・少し吸われ過ぎたか・・・・・・・・」
私は陽の光が当たった手に疼きが起き始めていた・・・・・・・
「ふ・・ふふふ・・・はははは・・・・・・・・・・・」
ヴァンパイアは床の上で笑っている・・・・
「・・ま・・まあ良い・・・・私は常に完全防備だし・・・
・・元々陽の光を避けて、生活してきたしな・・・・・」
そう一言言うと私は入り口の方に歩いて行った・・・・・
(まあ・・吹雪も止んでいたし・・・途中で窓から撤退できたな・・・・・)
そう思いながら私が歩いていると後ろから床をするような音が聞こえてきた
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ヴァンパイアだ・・まだ私のことを追いかけてきている・・・・・・・
(・・物凄い執念・・・いやプライドと言うべきか・・・・・・・・)
私はそう思いながら立ち止まって、ただ黙ってその様子を見た・・・・・
「い・・いか・・・な・・いで・・・・・・・・・・・」
擦れた声で、そんな声が聞こえた・・・・・・・
(・・何だ?・・・・・・)
私は恐る恐るヴァンパイアに少しずつ近づいていく・・・・・
「わ・・わたしを・・ひとりに・・・・・しないで・・・・・・・・・・」
はっきりとそう聞こえた・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
私はしゃがんで、もう一度ヴァンパイアの顔を覗きこんだ・・・・
(気絶している・・無意識のうちにあんなことを・・・・・・)
そう思うと私は考えた・・・・・
無意識のうちに口に出てくる事とは・・思いが強い場合やトラウマなどか・・
そう考えていると私はほっとくことが出来ない性分であった為
「・・・まあ・・情けの掛けどころかな・・・・・・・・・・・・・・」
そう考え、私はヴァンパイアをとりあえず陽の光に当たらない場所に
連れていくことにした・・・・・・
「・・ふう・・・私だってダメージがヤバいんだぞ・・・・・・・・・・」
そう自分に言い聞かせながらも私はヴァンパイアに日差しよけの為に
自分のタックギアー製のコートをはおらせて、おぶった・・・・・
「まて・・これだと万が一の場合知らないうちに首を噛まれる・・・・・・」
そう考えると私はヴァンパイアの事を背負った・・・・・
「いやまて・・これも知らないうちに腕を噛まれる・・・・・・・・」
またそう考えると私はヴァンパイアを前で抱えた・・・・・
「だめだな・・これじゃおぶるのと一緒だ・・・・・・・・」
そんな感じで無駄な試行錯誤の末・・・・・
「最終形態がこれか・・・・・」
私はヴァンパイアの事をお姫様だっこの状態で、運んでいた・・・・・・
ヴァンパイアが常に見えて、なお且つ体から顔が離れている最適な持ち方を
考えた末の結果だった・・・・・・・
(意外と軽いな・・・・)
そう思いながらとりあえず私は一番初めにヴァンパイアが居た部屋に行くこと
にした・・・・
(あそこなら窓もないし・・ベッドもある・・・・・・・)
そう考えながら私は割られた窓が連なる廊下を歩いている・・・・・
(しかし・・こいつに噛まれたが・・・私はどうなるんだろうか・・・・・)
そう心配しながらも私はヴァンパイアを初めに居た部屋に運び入れた・・・
「ふう・・まあ・・・とりあえずコレで良いか・・・・・・・・・・・」
私はとりあえずヴァンパイアをベッドに置き、毛布をかけておいた・・・・
「んん・・ああ・・・・・・」
悪夢でも見ているのであろうか・・ヴァンパイアは酷くうなされている・・・
(・・ふむ・・・良く見るとうなされている顔とボロボロに服が似合うな・・
・・・コイツは・・・・・・・・・・)
そう変態思考を考えつつも私は現実的になっていた・・・・
「さて・・これからどうする・・・弾薬は無い、逃げると言っても一度情けを掛けたコイツをこのまま放っておくのもあれだしな・・・・・・」
そう言いながらも私は部屋の中を見わたした・・・・
「・・散らかっているな・・・まあこの部屋だけが例外ではないが・・・・」
そう言いながらさらに部屋を見わたす・・・・
「つーか・・あのベッドの寝具・・もはや雑巾だな・・・・・・・・」
私は灰色に変色しているシーツや毛布を見ながらそう思った・・・・
(・・ダメだ・・・こうも散らかっていると掃除したくなる・・・・・・・)
そう私は思った・・・
私は見た目があれでも大の綺麗好きであった
まあ・・規律が良いのが1つの取り柄でもあった・・・・
そんでもって・・散らかっていると無性に片づけをしたくなる性分であった
「・・まあ・・・こいつは早々起きることもないだろう・・・・・・・」
そう言いながらベッドの上のヴァンパイアを見た・・・・
まだ酷くうなされているようだ・・・・
「少しばかり掃除と行きますか・・これだけこの屋敷をめちゃくちゃにしたわけだし・・ベッド位掃除させていただくとするか・・・・・・」
そう私は考え、とりあえずヴァンパイアの寝ているベッドのシーツがあまりに
も無残な為、落としてしまっている武器の回収がてら替えのシーツを探すこと
にした・・・・・
(さて・・新品とは行かなくとも綺麗なシーツ位はあってくれよ・・・・・)
そう願いながら私はヴァンパイアににんにく入りの弾を喰らわせた部屋に
向かって行った・・・
(まあ・・たぶん構造からしてあそこは客間だからな・・・近くに替えの
シーツ類を保管している部屋があるはずだ・・・・・)
そう考え私は吹きっさらしの廊下を歩いていく・・・・・
(うっ・・雪が・・・体に効く・・・・・・・・・)
私は首元に吹雪いてきた極少量の雪に体が反応してしまった
寒さの問題では無い・・・・
たぶん、ヴァンパイアに噛まれた影響であろう・・真水に体が過度に反応する
ようになっていた・・・・
(ふう・・あいつからコートを脱がして着てくれば良かった・・・・・・)
そう私は出がけに思った物の・・ヴァンパイアの服は私が手榴弾等で、
ズタボロにしてしまっていたため、まあ・・簡単にいえば破廉恥な格好になっ
てしまって居た・・しかも丁度良い具合に服が破けていた・・・・・
(あの状態はまずいよな・・全裸よりも着衣の方が好きな私が言うからには
間違いない・・・・・)
そう私はまたもや変態思考を張り巡らし、雪で疼く体を酷使しながらも
お目当ての部屋に到着した・・・・・・
「ありゃ・・あの時は逃げるのに必死だったからな・・・・・・・」
そう言う私の目の前には手榴弾で粉々になった家具類が散乱する
見るも無残な部屋が広がっていた・・・・・
しかもヴァンパイアが入ってきたときにはバリケードを粉砕するほどの
蹴りを入れてきたため、入り口一帯は大きな穴となっていた・・・・・・・
「まっ良いか・・それよりもどこにあるか・・・・・・・・・・・」
私はどうにもならない事は仕方がないの精神で、粉々になった家具の残骸を
どかしながら探し物をした・・・・
「あった・・FMG-9だ・・・・・・・」
私は逃げる際に落としてしまったFMG-9を見つけた・・・
しかし、あの衝撃のせいだろうかプラスチック製のボディがズタズタに
なっている・・・・
「あ〜あ・・これでは使い物にならないか・・・・・・・・・」
そう言うと私はそのままFMG-9に敬礼をして床に投げ捨てた
「さて・・早速だがシーツを探しに行くか・・・・・・・・・」
私は目的のシーツを探すためボロボロの部屋を後にした
あの部屋に綺麗な状態の物があるとは思えない・・・・・・・
「まあ・・順番に部屋を回れば良いか・・・・・・・」
そう考え私は片っ端から部屋を回ることにした
「ついでにあいつの衣類も見つかると良いのだが・・・・・」
・・で・・・片っ端から部屋を回り一時間位が経過・・・・・・・・・・・・
「・・・・・まあ、あのシーツよりはマシか・・・・・・・・」
そう言いながら私はとある客室らしき一室に居た・・・・
そこにあった来客用のベッドからほこりをかぶっているがまだ白く綺麗な
シーツと毛布を調達した・・・
「さて・・あとは服か何かは・・・・・・・・・」
そう言いながら私は客室の中を見わたす
しかし・・さすがに来客用と言うだけあって、ベッドと小さなテーブル以外は
何もない・・・・
「まあ・・仕方がないか・・・あのコートはしばらく貸しておいてやろう」
そう考えながら私は調達したシーツと毛布を手に持ち、ヴァンパイアの居る
部屋へと戻って行った・・・・
・・で・・・ヴァンパイアの居る部屋に戻って・・・・・・・・・・・・・・
「・・まあ・・・これで良いか・・・・・・・・・・・・」
私は新しいシーツをボロボロになっていたシーツと取り替えを終えていた
しかし・・ヴァンパイアはそんなことを他所にまだうなされている・・・・・
(どんな夢を見ているんだ・・・・・・)
そう思いながらも私自身のも眠気が来ていることに気が付いた・・・・・
「ふあ・・そう言えばほとんど貫徹だったうえにあの戦闘だものな・・
・・・眠くなるはずだわ・・・・・・・・」
そう私は考えたが、今ここで寝るわけにはいかない・・・仮にヴァンパイアが
目を覚まして、寝ている最中に襲われたら・・・と考えるでけで恐ろしくなる
いくら陽の光を当てて倒したとはいえ・・相手はヴァンパイア・・・・・・
少し寝れば直ぐに元通りの力を取り戻すであろう
そうなれば弾薬が無い私には勝ち目が無かった・・・・
(まあ・・起きていれば最悪逃げることも可能だ・・・・・・)
そう思いながら私はバックパックを下ろして、中身を見た
実は昨日の夕方から私はライ麦パンしか食べていない為腹が空いていた・・・
「・・あるのはビタミンEと戦闘糧食か・・・・・・・・」
戦闘糧食はクラッカータイプの物とやきとりタイプの二種類が入っていた
しかし・・クラッカータイプの方は良かったが、やきとりタイプの方はこの
寒さのおかげで、凍ってしまっていた・・・・・・
(・・加熱剤はあるが・・水が無いから使えないな・・・かと言って、クラッカーだけと言うのも味気ない・・・・・・)
そう思うと私はヴァンパイアがまだ起きる様子もなかった為、水を作る為、
鍋類があると思われる食堂方面へと行くことにした・・・・
「う〜・・寒い!・・・・」
私は食堂方面に向かって吹きっさらしの廊下を歩いている・・・・
いくらヴァンパイアを倒すためとはいえ、これはやり過ぎでは?と
やった自分が思うくらいの風景が広がっていた・・・・
しかし・・そう考えている内にも西側の食堂付近に着いた・・・・・
「さてと・・食堂付近の部屋を回りますか・・・・・・・・」
とりあえず私は近くの一室に入った・・・・
「おっ!・・ここは・・・・・・・」
するとそこは調理室の様な場所であった
大きな壇炉があり・・周りには包丁類が散らばっている・・・・
無論、私の探し求めていた鍋もあった
「よし・・これで温かい飯が食える・・・・・」
そう私は喜びながら元居た部屋に戻って行った・・・・・・・
時刻は約7時43分・・・・・・
すでに空の色は綺麗な空色をしており、太陽が完全に昇っていた・・・・・・
{間違った場所で、情けを掛けると言うことは情けを掛けた自分も
情けを掛けられた相手にも甘えが生じてしまう・・・・・}
ザバサの迷言・・・・
10/09/26 16:51更新 / クロニカル
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