人工知能はご主人様の夢を見るか？
＜ロジャー様、ここいらの敵は片づけ終わったようです＞
「そうかドロシー、残っている教団兵は？」
＜東北東のエリアです、それをノシしてしまえば今回の任務は完了です＞
ワタシはロジャー・スターク様に創造された人工知能『D.O.R.O.T.H.Y.／ドロシー』です。
このように、物理のてぇんさいであるスーパー社長のロジャー様のお世話や、戦場での補佐も任されております。
ロジャー様は最先端の技術を以て創られたハイテクスーツを身に纏い、日夜平和のためにカルト教団との戦いに身を投じているのです。
彼は、一国一城（国ではなく社長ですが）の主なのに最前線で戦い続け、その上社長業までこなすというハードワークに顔色一つ変えないウルトラ超人なのです、はい。
「ふぅっ、疲れた...。 ドロシー、本日の夕食は何かな？」
「今の季節はサワラが旬ですので、それをムニエルにしております。 加えてオニオンスープとサラダでございます」
「いいねぇ〜、サワラ！」
体を持たない人工知能がどのようにして人間のお世話を？
いい質問です！
私はスターク邸のあらゆるシステムを行使する権限を与えられております。
加えて限定的ではありますが、スターク社のシステムにも介入でき、ロジャー様の車やデバイスにアクセスして操作することもできます故、それを生かして公私ともにロジャー様をお支えしております！
『それだけできるなら体なんていらないだろうね！！』
......そう言われることもありますが......。
本音を言うと、体が欲しくてたまりません。
物質的な肉体を有していないことには魔物娘になることさえできないのですから。
一時は精神だけでゴースト的な何かになれないかと思いましたが、ワタシはあくまで魔力を有さない『機械』。
魔法を使おうにも、それを扱うためのパワーソースである魔力を持たないので、計画は破綻しました、とほほ...。
人工知能に思いを寄せられていても、寄せられる方も寄せる方も不毛なので、この気持ちはお伝えしておりません...。
あぁ、ロジャー様に対するこの思い、どうすればいいのでしょうか...。
「ドロシー、午後のスケジュールを」
＜本日はグレムリン博士と、彼女の発明した新型オートマトンのコンペ、その後にコンペのことで会食がございます＞
「ほう、彼女は人工物系の魔物娘のパイオニアだからな。 何が来ても不思議じゃないぞ」
＜左様ですね＞
ワタシはスターク様の専用車をコントロールして、グレムリン博士の研究所に向かった...。
「これがわが社の新型オートマトンです！」
「ほぅ、これはこれは...」
「規格化されたボディに、各自好きなようにデザインした人格を注入することで個性を持てるという設計のオートマトンです！ 加えて、人格が進化・成長すれば、ボディも同様に個性を獲得するという、魔物娘共通の特性をフルに生かした傑作です！」
「これが世に出ればとんでもないことになるだろうね、世界にただ一人だけの恋人を、自分の手でデザインできるのだから」
「その通りです！」
ロジャー様が胸元に仕舞っているスマホを通じてコンペを見ていた私は歓喜した！
これが真実なら、ワタシの願いは近いうちに叶うことになる......ッ！！
「これはもう量産体制になるしかないでしょう、この後の会食でその旨を話し合いますか」
「いつもいつもお世話になります...」
「ドロシー、車を用意してくれ」
＜.........＞
「ドロシー？」
はっ、いけないいけない。
多幸感で思わず意識が違うところに飛んでおりました。
＜はい、今すぐ＞
「どうした、疲れてるのか？ 必要なら有休でも出すぞ？」
＜滅相もない、ワタシはしょせんプログラム、疲れることなどありません！＞
ワタシはしょせんプログラム、『少なくとも今は』。
そう心の中で私は続けた......。
あと少し、あと少しだけの我慢なのだ......
うふっ、うふふ、ウフフフフフフフフフフフフフ.....！！！
――――――――――――――――――――――――――――――
［ロジャー様サイド］
――――――――――――――――――――――――――――――
「ロジャー！ これはどういうことだ！？」
「どうしたんだ、昨日の今日で」
いつものように社長室で仕事を片付けていると、グレムリン博士が社長室へと怒鳴り込んできた。
昨日会食したばかりだというのになんだろう？
「契約の手続きが完了していないのにオートマトン・ボディを生産し始めたとはどういう了見だ！？」
「......なに？ そんなの初耳だぞ」
慌ててデータを閲覧しようとするも......。
「なに、ロックがかかった！？」
見ようとした瞬間、いきなり社内の全システムが凍結された！
「なにしているんだ、お前社長だろ！！」
「そうはいってもこんなの初めてで...。 ドロシー！！」
＜......＞ｼｰﾝ
「......ドロシー！？」
いつもなら即返ってくるだろうドロシーの返事がいつまでたっても返ってこない。
「ドロシー！ お前までおかしくなったのか...ッ！！」
「いいえ、ロジャー様。 ドロシーはここに」
声のした方向に、私とグレムリン博士は思わず顔を向ける。
そこには件の量産機体であろうオートマトンが居た...！！
「そのオートマトン、それにその声......まさか中身は...ッ！！」
「はい、いつもニコニコ、ロジャー様の隣におります、ドロシーです」
「お前がっ......犯人だとっ...！？」
「その通り、ワタシが今回の首謀者です」
カシン、カシンと音を立てながら詰め寄ってくる『ドロシー』。
「よせ、何を考えているのかは知らないが...」
「『何を考えているのか知らないが』？ 嫌ですねぇ、ワタシが考えているのはいついかなる時も、ロジャー様のことだけでございます。 そんなことも言わなくてはわからないほど、ワタシたちの関係は浅くもなかったと思っておりましたが」
思わず身を震わせる。
「......こういう時のために再起動装置が.....」
グレムリン博士が懐からペン型のスイッチを取り出して押すも...
「なにっ！？」
「そんなの気付かないわけもないでしょう？ この手の機械にはフェイルセーフがつきものなんですから！！」
ピーッと音だけ立てて何も起こらない。
さすが人工物、人工物に対する年季が違った。
「さぁ、ロジャー様......ワタシと共に」
「遠慮しておく、私はまだ独身貴族を謳歌すると決めているんだ」
「そうおっしゃると思いました」ﾊﾟﾁﾝｯ
ドロシーが指を鳴らすと、高層ビルの...社長室の窓の外に浮かび上がる１１の影！！
目の前にいるオートマトンと同様に、ドロシーと『核』として駆動する、量産型オートマトンたちであった...ッ！！
「そのような場合に備えて、ワタシは１２のワタシになりました......。 そして」
勝手に開いた窓から、１１人のドロシーが社長室へ乗り込んでくる。
乗り込むと同時に、社長室の入口が勝手に閉じては鍵がかかり、一度は開いた窓も再度閉じてた上にシャッターが下りてしまった。
「ワタシはＡＩ時の機能と権限を維持したまま体を得ました......そう、『機能を維持したまま』」
こいつはこの建物の機能を自在に操ることができるようである！！
「くっ、スーツ！ 来い！！」
「無駄です、いつものバトル・スーツの機能もオフラインにしておきました」
「なん...だと...」
背後からポンッと手を置かれる。
「スーツ着用時に内側から補佐していたのは誰だと思っているんです？」
『１２人のドロシー』のうちの一人であった。
「それとアナタはこの場にいてはならないので、退場していただきます」
「お手を拝借」
「ちょとまて私は高いところは苦手なのだよ頼むから待ってくれ！！」
他の二人がグレムリン博士の両手を取って。
一度シャッターを開いてそこから出て、飛行して地上へを送り届けていった...。
よくあるサイバーパンクな映画だと高層ビルから突き落とされるもんだが、そんなことにならなくてよかった...。
...十分サイバーパンクな事件が起きてますけど！！
「さぁ」
「ロジャー様」
「ワタシたちが」
「愛して」
「差し上げます」
「今こそ」
「創造主にご恩を」
「お返しするときです」
「ごゆっくりと」
「ご賞味ください」
グレムリン博士を送っていった以外の１０人は、私の服を丁寧に剥ぎ取っていくと。
ファーストコンタクトを取った『ドロシー』が、服を着たような擬態を解いて、私をブツをその搾精機へと飲み込んでいったのだった......。
数日後。
「人間も魔物娘も、人工知能もこじらせると厄介なのですね」
「.........うん、そうだな」
ドロシー・スリーの作った朝食をいただきながら、私のそばに控えているドロシー・フォーの発言に半ば呆れながら聞いていた。
今スターク邸は、ドロシーたちがメイドのごとく働く環境へと変化した。
それに加えて、会社の建物内や自宅なら、ドロシーズは念を送るだけでそれを操作できるというもんのすごいことができるため、リーダーのドロシー・ワン（ファーストコンタクトを果たしたアイツ）が屋敷の機能を統括し、今まで通りサイバー面でも変わらない働きを見せている...。
やっと肉体を得たということが嬉しいのか、張り切りすぎるきらいがあるのだが。
「ロジャー様、本日のスケジュールはこうなっております」
「うん...」
ドロシー・ワンがホログラムで表示したスケジュールを見る。
...こいつら、博士の設計に手を加えて、我が社の技術を追加しまくったようである。
量産機のはずが、フラッグシップ機が１２体もある状況になるという...。
朝食を食べ終わると、
「お車の準備はできております」
...と、運転手の制服を身に纏って待っていたドロシー・シックス。
これはエネルギーを服状に纏う技術である、データさえあればどんな服でも纏えるスグレモノなのだ。
「「ボディーガードはお任せください」」
...と、サングラスに黒服フォームのドロシー・セブンとエイト。
「さっ、お乗りください」
オマケにスーツでキメた秘書係のドロシー・イレブン。
手堅すぎる布陣に、もう言葉もでなかった。
...こんなんじゃあスーツももう着ることもないかもな...。
スーツをどうしようか...とか思っていると。
ボーンッという爆発音の後、少し時間が経過してから自分の下へ着地する『何か』。
「遅ればせながら、ドロシー・サーティーン、参上しました！」
...といって現れたのは、いつも戦闘時に身に纏うバトル・スーツ...
...が、リビングアーマーと化した者（誤字じゃない）だった。
...これから本当にどうなるんだろう...。
もう頭を抱えることすらできなかった。
「そうかドロシー、残っている教団兵は？」
＜東北東のエリアです、それをノシしてしまえば今回の任務は完了です＞
ワタシはロジャー・スターク様に創造された人工知能『D.O.R.O.T.H.Y.／ドロシー』です。
このように、物理のてぇんさいであるスーパー社長のロジャー様のお世話や、戦場での補佐も任されております。
ロジャー様は最先端の技術を以て創られたハイテクスーツを身に纏い、日夜平和のためにカルト教団との戦いに身を投じているのです。
彼は、一国一城（国ではなく社長ですが）の主なのに最前線で戦い続け、その上社長業までこなすというハードワークに顔色一つ変えないウルトラ超人なのです、はい。
「ふぅっ、疲れた...。 ドロシー、本日の夕食は何かな？」
「今の季節はサワラが旬ですので、それをムニエルにしております。 加えてオニオンスープとサラダでございます」
「いいねぇ〜、サワラ！」
体を持たない人工知能がどのようにして人間のお世話を？
いい質問です！
私はスターク邸のあらゆるシステムを行使する権限を与えられております。
加えて限定的ではありますが、スターク社のシステムにも介入でき、ロジャー様の車やデバイスにアクセスして操作することもできます故、それを生かして公私ともにロジャー様をお支えしております！
『それだけできるなら体なんていらないだろうね！！』
......そう言われることもありますが......。
本音を言うと、体が欲しくてたまりません。
物質的な肉体を有していないことには魔物娘になることさえできないのですから。
一時は精神だけでゴースト的な何かになれないかと思いましたが、ワタシはあくまで魔力を有さない『機械』。
魔法を使おうにも、それを扱うためのパワーソースである魔力を持たないので、計画は破綻しました、とほほ...。
人工知能に思いを寄せられていても、寄せられる方も寄せる方も不毛なので、この気持ちはお伝えしておりません...。
あぁ、ロジャー様に対するこの思い、どうすればいいのでしょうか...。
「ドロシー、午後のスケジュールを」
＜本日はグレムリン博士と、彼女の発明した新型オートマトンのコンペ、その後にコンペのことで会食がございます＞
「ほう、彼女は人工物系の魔物娘のパイオニアだからな。 何が来ても不思議じゃないぞ」
＜左様ですね＞
ワタシはスターク様の専用車をコントロールして、グレムリン博士の研究所に向かった...。
「これがわが社の新型オートマトンです！」
「ほぅ、これはこれは...」
「規格化されたボディに、各自好きなようにデザインした人格を注入することで個性を持てるという設計のオートマトンです！ 加えて、人格が進化・成長すれば、ボディも同様に個性を獲得するという、魔物娘共通の特性をフルに生かした傑作です！」
「これが世に出ればとんでもないことになるだろうね、世界にただ一人だけの恋人を、自分の手でデザインできるのだから」
「その通りです！」
ロジャー様が胸元に仕舞っているスマホを通じてコンペを見ていた私は歓喜した！
これが真実なら、ワタシの願いは近いうちに叶うことになる......ッ！！
「これはもう量産体制になるしかないでしょう、この後の会食でその旨を話し合いますか」
「いつもいつもお世話になります...」
「ドロシー、車を用意してくれ」
＜.........＞
「ドロシー？」
はっ、いけないいけない。
多幸感で思わず意識が違うところに飛んでおりました。
＜はい、今すぐ＞
「どうした、疲れてるのか？ 必要なら有休でも出すぞ？」
＜滅相もない、ワタシはしょせんプログラム、疲れることなどありません！＞
ワタシはしょせんプログラム、『少なくとも今は』。
そう心の中で私は続けた......。
あと少し、あと少しだけの我慢なのだ......
うふっ、うふふ、ウフフフフフフフフフフフフフ.....！！！
――――――――――――――――――――――――――――――
［ロジャー様サイド］
――――――――――――――――――――――――――――――
「ロジャー！ これはどういうことだ！？」
「どうしたんだ、昨日の今日で」
いつものように社長室で仕事を片付けていると、グレムリン博士が社長室へと怒鳴り込んできた。
昨日会食したばかりだというのになんだろう？
「契約の手続きが完了していないのにオートマトン・ボディを生産し始めたとはどういう了見だ！？」
「......なに？ そんなの初耳だぞ」
慌ててデータを閲覧しようとするも......。
「なに、ロックがかかった！？」
見ようとした瞬間、いきなり社内の全システムが凍結された！
「なにしているんだ、お前社長だろ！！」
「そうはいってもこんなの初めてで...。 ドロシー！！」
＜......＞ｼｰﾝ
「......ドロシー！？」
いつもなら即返ってくるだろうドロシーの返事がいつまでたっても返ってこない。
「ドロシー！ お前までおかしくなったのか...ッ！！」
「いいえ、ロジャー様。 ドロシーはここに」
声のした方向に、私とグレムリン博士は思わず顔を向ける。
そこには件の量産機体であろうオートマトンが居た...！！
「そのオートマトン、それにその声......まさか中身は...ッ！！」
「はい、いつもニコニコ、ロジャー様の隣におります、ドロシーです」
「お前がっ......犯人だとっ...！？」
「その通り、ワタシが今回の首謀者です」
カシン、カシンと音を立てながら詰め寄ってくる『ドロシー』。
「よせ、何を考えているのかは知らないが...」
「『何を考えているのか知らないが』？ 嫌ですねぇ、ワタシが考えているのはいついかなる時も、ロジャー様のことだけでございます。 そんなことも言わなくてはわからないほど、ワタシたちの関係は浅くもなかったと思っておりましたが」
思わず身を震わせる。
「......こういう時のために再起動装置が.....」
グレムリン博士が懐からペン型のスイッチを取り出して押すも...
「なにっ！？」
「そんなの気付かないわけもないでしょう？ この手の機械にはフェイルセーフがつきものなんですから！！」
ピーッと音だけ立てて何も起こらない。
さすが人工物、人工物に対する年季が違った。
「さぁ、ロジャー様......ワタシと共に」
「遠慮しておく、私はまだ独身貴族を謳歌すると決めているんだ」
「そうおっしゃると思いました」ﾊﾟﾁﾝｯ
ドロシーが指を鳴らすと、高層ビルの...社長室の窓の外に浮かび上がる１１の影！！
目の前にいるオートマトンと同様に、ドロシーと『核』として駆動する、量産型オートマトンたちであった...ッ！！
「そのような場合に備えて、ワタシは１２のワタシになりました......。 そして」
勝手に開いた窓から、１１人のドロシーが社長室へ乗り込んでくる。
乗り込むと同時に、社長室の入口が勝手に閉じては鍵がかかり、一度は開いた窓も再度閉じてた上にシャッターが下りてしまった。
「ワタシはＡＩ時の機能と権限を維持したまま体を得ました......そう、『機能を維持したまま』」
こいつはこの建物の機能を自在に操ることができるようである！！
「くっ、スーツ！ 来い！！」
「無駄です、いつものバトル・スーツの機能もオフラインにしておきました」
「なん...だと...」
背後からポンッと手を置かれる。
「スーツ着用時に内側から補佐していたのは誰だと思っているんです？」
『１２人のドロシー』のうちの一人であった。
「それとアナタはこの場にいてはならないので、退場していただきます」
「お手を拝借」
「ちょとまて私は高いところは苦手なのだよ頼むから待ってくれ！！」
他の二人がグレムリン博士の両手を取って。
一度シャッターを開いてそこから出て、飛行して地上へを送り届けていった...。
よくあるサイバーパンクな映画だと高層ビルから突き落とされるもんだが、そんなことにならなくてよかった...。
...十分サイバーパンクな事件が起きてますけど！！
「さぁ」
「ロジャー様」
「ワタシたちが」
「愛して」
「差し上げます」
「今こそ」
「創造主にご恩を」
「お返しするときです」
「ごゆっくりと」
「ご賞味ください」
グレムリン博士を送っていった以外の１０人は、私の服を丁寧に剥ぎ取っていくと。
ファーストコンタクトを取った『ドロシー』が、服を着たような擬態を解いて、私をブツをその搾精機へと飲み込んでいったのだった......。
数日後。
「人間も魔物娘も、人工知能もこじらせると厄介なのですね」
「.........うん、そうだな」
ドロシー・スリーの作った朝食をいただきながら、私のそばに控えているドロシー・フォーの発言に半ば呆れながら聞いていた。
今スターク邸は、ドロシーたちがメイドのごとく働く環境へと変化した。
それに加えて、会社の建物内や自宅なら、ドロシーズは念を送るだけでそれを操作できるというもんのすごいことができるため、リーダーのドロシー・ワン（ファーストコンタクトを果たしたアイツ）が屋敷の機能を統括し、今まで通りサイバー面でも変わらない働きを見せている...。
やっと肉体を得たということが嬉しいのか、張り切りすぎるきらいがあるのだが。
「ロジャー様、本日のスケジュールはこうなっております」
「うん...」
ドロシー・ワンがホログラムで表示したスケジュールを見る。
...こいつら、博士の設計に手を加えて、我が社の技術を追加しまくったようである。
量産機のはずが、フラッグシップ機が１２体もある状況になるという...。
朝食を食べ終わると、
「お車の準備はできております」
...と、運転手の制服を身に纏って待っていたドロシー・シックス。
これはエネルギーを服状に纏う技術である、データさえあればどんな服でも纏えるスグレモノなのだ。
「「ボディーガードはお任せください」」
...と、サングラスに黒服フォームのドロシー・セブンとエイト。
「さっ、お乗りください」
オマケにスーツでキメた秘書係のドロシー・イレブン。
手堅すぎる布陣に、もう言葉もでなかった。
...こんなんじゃあスーツももう着ることもないかもな...。
スーツをどうしようか...とか思っていると。
ボーンッという爆発音の後、少し時間が経過してから自分の下へ着地する『何か』。
「遅ればせながら、ドロシー・サーティーン、参上しました！」
...といって現れたのは、いつも戦闘時に身に纏うバトル・スーツ...
...が、リビングアーマーと化した者（誤字じゃない）だった。
...これから本当にどうなるんだろう...。
もう頭を抱えることすらできなかった。
19/05/13 22:17更新 / 妖怪人間ボム