反逆
「父上、シーカーでございます。」
「うむ。入れ。」
その頃、領主は自分の息子であるシーカーを呼んでいた。
シーザーも今この時期に自分が呼ばれるとなると普通の話ではない。
そう思ってか、正装で現れた。
「お主を呼んだのは他でもない。恐らくはわかっているだろう?」
「はい。存じております。この国の後の話でありましょう。」
「うむ、その通りであるが、最後に1つ聞きたい。お主は、この国のために尽くす気持ちはあるか?」
「はい。この国のためならば命も投げ出す覚悟。」
「それならばお主もこの国を守るため新しい領主のため尽くして欲しい。」
シーザーは頭の中が疑問でいっぱいになった。
新しい領主のため?
俺が領主ではないのか?
領主の息子である俺ではない?
「父上、そう申されますと、継ぐのは私ではないのですか?」
「はっきり言っておく。領主はお主にではなく、将軍のグリーに任せることにした。」
それを聞いたシーカーは怒りのために顔を真っ赤にさせた。
「なぜ!なぜ私ではないのですか!なぜにあの農民風情の男を領主に!?」
「お主は王としての器が足りない。だからだ。」
「そんな・・・!私は父上の子息なのですよ?それならば私が後を継ぐのが・・・」
「それに固執しててはいずれ国は滅びる!それを分からぬお主ではあるまい?話は以上だ。かえって休め。」
領主は振り返り、ベッドのある部屋に行こうとした。
ドスッ
領主は、倒れた。
その後ろでは、ナイフを持ったシーカーが嫌な笑みを浮かべて立っていた。
明日の戦後処理のこともあり、早く休もうとした矢先、グリーのテントに訪れた人がいた。
確かこの男はご子息シーカー様のの側近の男ではなかったか?
考えるのも程々に側近の男は構わず口を開いた。
「グリー将軍、今からすぐにシーカー様のおわすテントに来てはいただけないでしょうか?」
突然の話に疑問が浮かんだが、側近の男に続いて兵士が3人入ってきてグリーの周りを囲んだ。
物々しい雰囲気に只事ではないことを悟ったグリーは黙って側近の男に続いて歩いた。
テントを出ようとしたグリーの視線の端にゴドーがいた。
ゴドーもただ事ではないことを感じ取ったのか、手には刃の長いナイフが握られていた。
冷静な判断ができるゴドーにしては珍しい。
そんなことを考える余裕があったのかと内心苦笑いした。
そして、兵士に気がつかれない程度に首を振った。
『手を出すな。』
そのジェスチャーに気がついたのか、ゴドーは黙って首を縦に振った。
シーカーのテントに入ると、正面の机にシーカーが座っていた。
「この物々しい雰囲気、一体どうされたのですか?」
とりあえず、探りを入れるという意味で沈黙を破った。
少し考える素振りを見せながらも嫌な笑みを浮かべ、言い放った。
「あなたには我が父上を殺害した罪、及び反逆罪で処刑いたします。」
様々な考えが浮かんだが、またもやグリーでは読みきれないことを言い放った。
この言い方から、もう領主様はこの世にはいない。
そして、何者かによって・・・いや、この男が殺したその罪をグリーにかぶせようとしているのだ。
しかし、まさか領主を殺したと思っていなかったグリーは反応が遅れてしまい、腰にさしてあった剣に手をかけようとしたが、間に合わなかった。
ガン
何者かに殴られ、そのまま意識を失った。
馬に揺られる感覚。
その感覚に目を覚ましたグリーは森の中を走っているのに気がついた。
そして、自分の手首には自由を奪うため縄が結ばれている。
「降りろ!」
乱暴に手首を縄につながれた紐を引かれ、馬から落ちてしまった。
「跪け。」
素直に従うグリー。
剣を抜き、グリーの首にそれを当てる。
自分は処刑される。
無実の罪を着せられ、殺されるのだ。
ここで終わりか。
普通ならそう考えるだろう。
しかし、グリーは内心で苦笑い。
変に頭が切れることに自分で嫌気がさしたのだ。
しかし、今回はその嫌気も感謝しなければならない。
今自分を囲む人間は三人、シーカーについていた兵士なのは覚えている。
すぐ横にいる兵士の人間は、腕を組んで立っているが、気がついていないのか、腰に指している剣が鍔から霜が見える。
恐らく凍えて剣が抜けないはず。
問題は、残り二人だが、自分を処刑しようとしている兵士以外の者はあくびをしている。
完全に油断している。
その事から結論はひとつ。
このまま殺されるわけにはいかない。
「ハァァァア!」
兵士が剣を振り上げたタイミングを見計らってグリーは立ち上がり、兵士の懐に入った。
腰に差してあったナイフを引き抜き、兵士の首をさし抜いた。
刺された兵士はそのまま膝を落とし、剣を落とした。
その剣を広い、もう一人へ。
もう一人は、油断しすぎていたのか剣に手をかけるのが遅くなる。
そこを斬り上げ、止めを差す。
そして3人目は言わずもがな、剣が凍りついて抜けなかった。
グリーはそれを遠慮なしに兜割り。
最後の兵士を倒した。
「はぁはぁ・・・。」
息をつく暇もなく、すぐに兵士の乗っていた馬に跨りすぐに駆け出した。
実は、先ほどの他に、もう1つ予感があったのだ。
本当に嫌な予感。
その嫌な予感を確かめに馬をひたすら走らした。
昼夜問わず、寝る間も惜しんで走り続けた。
嫌な予感を防ぐために。
しかし、とうとう馬にも限界が来たのか、その場を動かずに止まってしまった。
目的地まであと少しだ。
馬から降りて、ここまで無茶をさせた馬に、ありがとう、とお礼を言い、グリーは走り出した。
やっと故郷の村の通り道。
左右には草原が広がり、花が咲き誇っていた。
ここまでは変わらなかったが、途中から景色が変わった。
周りは焼け野原になり、何かが燃える嫌な臭が立ち込めていた。
「・・・・そんな・・・。」
グリーの嫌な予感は的中した。
そして、現実のものとなってしまった。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
声にならない声を上げて、膝を折ってその光景を見ていた。
目の前には、見たことがあるであろう、いや、見たことがある人物が焼かれて吊るされている地獄のような、そんな光景を。
「と・・・と・・・父さん、母さん・・・!!!」
間に合わなかった。
グリーは目の前が真っ暗になる感覚を感じながら、その場に倒れた。
「うむ。入れ。」
その頃、領主は自分の息子であるシーカーを呼んでいた。
シーザーも今この時期に自分が呼ばれるとなると普通の話ではない。
そう思ってか、正装で現れた。
「お主を呼んだのは他でもない。恐らくはわかっているだろう?」
「はい。存じております。この国の後の話でありましょう。」
「うむ、その通りであるが、最後に1つ聞きたい。お主は、この国のために尽くす気持ちはあるか?」
「はい。この国のためならば命も投げ出す覚悟。」
「それならばお主もこの国を守るため新しい領主のため尽くして欲しい。」
シーザーは頭の中が疑問でいっぱいになった。
新しい領主のため?
俺が領主ではないのか?
領主の息子である俺ではない?
「父上、そう申されますと、継ぐのは私ではないのですか?」
「はっきり言っておく。領主はお主にではなく、将軍のグリーに任せることにした。」
それを聞いたシーカーは怒りのために顔を真っ赤にさせた。
「なぜ!なぜ私ではないのですか!なぜにあの農民風情の男を領主に!?」
「お主は王としての器が足りない。だからだ。」
「そんな・・・!私は父上の子息なのですよ?それならば私が後を継ぐのが・・・」
「それに固執しててはいずれ国は滅びる!それを分からぬお主ではあるまい?話は以上だ。かえって休め。」
領主は振り返り、ベッドのある部屋に行こうとした。
ドスッ
領主は、倒れた。
その後ろでは、ナイフを持ったシーカーが嫌な笑みを浮かべて立っていた。
明日の戦後処理のこともあり、早く休もうとした矢先、グリーのテントに訪れた人がいた。
確かこの男はご子息シーカー様のの側近の男ではなかったか?
考えるのも程々に側近の男は構わず口を開いた。
「グリー将軍、今からすぐにシーカー様のおわすテントに来てはいただけないでしょうか?」
突然の話に疑問が浮かんだが、側近の男に続いて兵士が3人入ってきてグリーの周りを囲んだ。
物々しい雰囲気に只事ではないことを悟ったグリーは黙って側近の男に続いて歩いた。
テントを出ようとしたグリーの視線の端にゴドーがいた。
ゴドーもただ事ではないことを感じ取ったのか、手には刃の長いナイフが握られていた。
冷静な判断ができるゴドーにしては珍しい。
そんなことを考える余裕があったのかと内心苦笑いした。
そして、兵士に気がつかれない程度に首を振った。
『手を出すな。』
そのジェスチャーに気がついたのか、ゴドーは黙って首を縦に振った。
シーカーのテントに入ると、正面の机にシーカーが座っていた。
「この物々しい雰囲気、一体どうされたのですか?」
とりあえず、探りを入れるという意味で沈黙を破った。
少し考える素振りを見せながらも嫌な笑みを浮かべ、言い放った。
「あなたには我が父上を殺害した罪、及び反逆罪で処刑いたします。」
様々な考えが浮かんだが、またもやグリーでは読みきれないことを言い放った。
この言い方から、もう領主様はこの世にはいない。
そして、何者かによって・・・いや、この男が殺したその罪をグリーにかぶせようとしているのだ。
しかし、まさか領主を殺したと思っていなかったグリーは反応が遅れてしまい、腰にさしてあった剣に手をかけようとしたが、間に合わなかった。
ガン
何者かに殴られ、そのまま意識を失った。
馬に揺られる感覚。
その感覚に目を覚ましたグリーは森の中を走っているのに気がついた。
そして、自分の手首には自由を奪うため縄が結ばれている。
「降りろ!」
乱暴に手首を縄につながれた紐を引かれ、馬から落ちてしまった。
「跪け。」
素直に従うグリー。
剣を抜き、グリーの首にそれを当てる。
自分は処刑される。
無実の罪を着せられ、殺されるのだ。
ここで終わりか。
普通ならそう考えるだろう。
しかし、グリーは内心で苦笑い。
変に頭が切れることに自分で嫌気がさしたのだ。
しかし、今回はその嫌気も感謝しなければならない。
今自分を囲む人間は三人、シーカーについていた兵士なのは覚えている。
すぐ横にいる兵士の人間は、腕を組んで立っているが、気がついていないのか、腰に指している剣が鍔から霜が見える。
恐らく凍えて剣が抜けないはず。
問題は、残り二人だが、自分を処刑しようとしている兵士以外の者はあくびをしている。
完全に油断している。
その事から結論はひとつ。
このまま殺されるわけにはいかない。
「ハァァァア!」
兵士が剣を振り上げたタイミングを見計らってグリーは立ち上がり、兵士の懐に入った。
腰に差してあったナイフを引き抜き、兵士の首をさし抜いた。
刺された兵士はそのまま膝を落とし、剣を落とした。
その剣を広い、もう一人へ。
もう一人は、油断しすぎていたのか剣に手をかけるのが遅くなる。
そこを斬り上げ、止めを差す。
そして3人目は言わずもがな、剣が凍りついて抜けなかった。
グリーはそれを遠慮なしに兜割り。
最後の兵士を倒した。
「はぁはぁ・・・。」
息をつく暇もなく、すぐに兵士の乗っていた馬に跨りすぐに駆け出した。
実は、先ほどの他に、もう1つ予感があったのだ。
本当に嫌な予感。
その嫌な予感を確かめに馬をひたすら走らした。
昼夜問わず、寝る間も惜しんで走り続けた。
嫌な予感を防ぐために。
しかし、とうとう馬にも限界が来たのか、その場を動かずに止まってしまった。
目的地まであと少しだ。
馬から降りて、ここまで無茶をさせた馬に、ありがとう、とお礼を言い、グリーは走り出した。
やっと故郷の村の通り道。
左右には草原が広がり、花が咲き誇っていた。
ここまでは変わらなかったが、途中から景色が変わった。
周りは焼け野原になり、何かが燃える嫌な臭が立ち込めていた。
「・・・・そんな・・・。」
グリーの嫌な予感は的中した。
そして、現実のものとなってしまった。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
声にならない声を上げて、膝を折ってその光景を見ていた。
目の前には、見たことがあるであろう、いや、見たことがある人物が焼かれて吊るされている地獄のような、そんな光景を。
「と・・・と・・・父さん、母さん・・・!!!」
間に合わなかった。
グリーは目の前が真っ暗になる感覚を感じながら、その場に倒れた。
13/10/18 23:38更新 / 心結
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