彼氏の気持ち
「すまん!リナ、待ったか?」
「んーん、待ってない。時間通りだから気にしないで。」
俺は、東郷信五。
大学の講義も終わり、彼女と待ち合わせ。
しかし、教授のしょうもない話のせいで、えらい時間を食ってしまった。
急いで待ち合わせの場所まで向かうと、俺の恋人、リナはもう先についていた。
俺は、申し訳なさでいっぱいになり、リナに平謝りだ。
「でも、待っただろう?」
「だから時間通り。早くいこう。」
まぁ、この会話を見て分かる通りだが、俺の彼女は、とてもクールだ。
資産家の一人娘であり、才色兼備という言葉は彼女のためにあるといってもいいほど頭が良く、美人だ。
そして、何を隠そう、俺の彼女はヴァンパイアでもある。
こんな高スペックの彼女が出来たのは、本当に奇跡に近いものがあるだろう。
なにしろ、大学生とはいえ、こちらは一般人、向こうは資産家なわけだからな。
彼女の趣味でもある本や映画の好みが自分の好みと合わなかったら話すことさえなかっただろう。
怒ってるかどうか分からないまま、映画館へ向かう俺達。
今日は彼女の楽しみにしていた映画の日。
心なしか、そわそわしているように思う。
「そんなに映画が楽しみだったのか?」
「・・・・・・うん。///」ソワソワ
・・・彼氏の贔屓目なしに可愛いなよなぁ。
なんて思って上映の時間まで飲み物を飲みながら待っていると、後ろから聞こえた。
「ねぇ、前の子、すっごくかわいいね。」
「ホントだ!魔物娘にしても本当に可愛いよね。」
まぁ、魔物娘の子達は可愛い子が多いが、やっぱり自分の彼女の方が可愛い!
これは譲れないな!フンス
「でも、となりの男の人、彼氏かな?釣り合ってなくない?」
「確かにそうよね。冴えないというか、なんというか。」
わかっとるわい!
こっちだって未だにリナと付き合えているのは夢なんじゃないかと思う事あるわ!
自分で言ってて悲しくなるわ!
ギュッ
ん?
不意に手を握られる感覚。
となりを見ると、リナが正面を見たまま、俺の手を握ってきた。
いわゆる恋人つなぎ。
「リナ?」
声をかけても無反応。
しかし、表情を見ると、少しむくれているような気がする。
クールな彼女がこんな反応するのは本当に珍しい。
後ろに悪口に怒ってくれていると考えると、少し気が晴れた。
そのまま恋人つなぎをしながら映画を鑑賞した。
映画が終わって、外へ。
相変わらず、無表情ではあるが、頬が赤くなっているところを見ると、映画の内容には満足頂けたのだろう。
さて、映画は見終わったわけだが、明日は休みだ。
どこか食事にでも行って・・・とプランを考えていると、また話し声が聞こえる。
今度は若い男性の話し声。
「おぉ、あの子めっちゃ美人じゃん。声かけてみようか?」
「それもいいが、隣にいるのは彼氏か?全く釣り合ってねぇじゃん。
貢がされてるんじゃね?」
はぁ、またか。
まぁ、俺の彼女は美人だからな。
そんな好奇な目も日常茶飯事だ。
ギャハハと耳障りな笑い声を聞き流していると、一瞬ゾッとする感覚に襲われる。
明確な敵意。
となりを見ると、完全に目が座っているリナが男二人組を睨みつけている。
異常な空気を感じ取ったのか、男たちは、そそくさと退散する。
付き合いだしてから結構経ってはいるが、これだけ怒っているリナを見るのは初めてに思う。
そんなことを考えていると、俺の左腕に柔らかい感覚。
リナが、俺の左腕に抱きついてきた。
「・・・早く出よ。」
有無も言わさず、腕を引っ張られる。
これだけ怒ってくれると、自分のことを大事に思ってくれてるみたいで、彼氏冥利に尽きるなぁなんて思うが・・・
釣り合ってねぇじゃん
どうしても、さっきの言葉が耳から離れない。
分かってはいる。
分かってはいるんだが、やっぱり何度も言われると不安に思ってしまうわけで。
なんて、超ネガティブな考え事をしていると、気がつけば、ある部屋の一室。
見た感じ、ホテルだと思うのだが、どこに入ったのか分からないほど考え込んでいたらしい。
「リナ、ここはどk、んぅ!」
ここはどこなのかを聞こうとした瞬間、振り返ってきたリナにキスされる。
触れるだけのキスから、徐々に深いキスへ。
舌が触れるたびに、心地良い快感が走るのを感じながら長い間キスをしていた。
「急にどうしたんだ?」
「魔物娘にそんなこと聞くのは野暮じゃない?」
まぁ、確かに。
と納得してから、そこはもうお互い止まらない。
ベッドに移動してから、座って彼女を抱きしめてキスをしながら服を脱がす。
「あまり見ないで。恥ずかしい。」
もともと色素が薄いせいか、火照ってくると、赤くなっているのがよくわかる。
プロポーションも抜群で、胸は大きいのに綺麗なクビレもあるから、余計に胸が大きく見える。
「大丈夫だって。お前は誰が見ても、可愛・・・」
全然釣り合ってねぇじゃん
彼女の整った顔を見ると、またあの言葉が思い出される。
人間は一回、不安になると、とことんダメになるみたいで、俺も例外ではないみたいだ。
だからだろうか。
ポロっと自分の本音が出てしまった。
「あぁ、リナはかわいいよ・・・俺なんかとは全然釣り合わないくらい・・・。」
俯きながら言ったあとで、しまったと思い、彼女の顔を見ると、大きな目を見開きながら、俺の顔を見つめている。
数瞬してから、彼女はキッと眉をひそめて俺を押し倒してきた。
そんなに強い力ではないのに、抗えない。
リナは俺に馬乗りになりながら、いつもとは違う、感情に富んだ声音で話した。
目に少し涙を浮かべながら。
「ほんと、信五のバカ。
私は信五の彼女なんだから、信五が可愛いって思ってくれればそれでいい。
他人の目なんか関係ない。
もし、それでも何か言ってくることがあれば、私が叩きのめしてやるんだから。」
そう言って、俺の首筋に口を寄せてすぐ、刺すような痛みが走った。
ヴァンパイアの吸血行動。
しかし、今の俺にとっては、その痛みは、いろんな意味で目が覚めるのに十分だった。
「こういうことするの、信五だけなんだから。
今日だって、もっと自分から手をつないだりとか、して欲しかったんだからね。」
「その・・・ごめん。それと、ありがとう。」
そう言うと、リナは俺の顔を見つめたあと、クールな彼女から想像できないような、本当に綺麗な笑顔が見れた。
まぁ、そこからノンストップで、彼女の体を堪能しまくって、朝を迎えたのはまた別の話。
「んーん、待ってない。時間通りだから気にしないで。」
俺は、東郷信五。
大学の講義も終わり、彼女と待ち合わせ。
しかし、教授のしょうもない話のせいで、えらい時間を食ってしまった。
急いで待ち合わせの場所まで向かうと、俺の恋人、リナはもう先についていた。
俺は、申し訳なさでいっぱいになり、リナに平謝りだ。
「でも、待っただろう?」
「だから時間通り。早くいこう。」
まぁ、この会話を見て分かる通りだが、俺の彼女は、とてもクールだ。
資産家の一人娘であり、才色兼備という言葉は彼女のためにあるといってもいいほど頭が良く、美人だ。
そして、何を隠そう、俺の彼女はヴァンパイアでもある。
こんな高スペックの彼女が出来たのは、本当に奇跡に近いものがあるだろう。
なにしろ、大学生とはいえ、こちらは一般人、向こうは資産家なわけだからな。
彼女の趣味でもある本や映画の好みが自分の好みと合わなかったら話すことさえなかっただろう。
怒ってるかどうか分からないまま、映画館へ向かう俺達。
今日は彼女の楽しみにしていた映画の日。
心なしか、そわそわしているように思う。
「そんなに映画が楽しみだったのか?」
「・・・・・・うん。///」ソワソワ
・・・彼氏の贔屓目なしに可愛いなよなぁ。
なんて思って上映の時間まで飲み物を飲みながら待っていると、後ろから聞こえた。
「ねぇ、前の子、すっごくかわいいね。」
「ホントだ!魔物娘にしても本当に可愛いよね。」
まぁ、魔物娘の子達は可愛い子が多いが、やっぱり自分の彼女の方が可愛い!
これは譲れないな!フンス
「でも、となりの男の人、彼氏かな?釣り合ってなくない?」
「確かにそうよね。冴えないというか、なんというか。」
わかっとるわい!
こっちだって未だにリナと付き合えているのは夢なんじゃないかと思う事あるわ!
自分で言ってて悲しくなるわ!
ギュッ
ん?
不意に手を握られる感覚。
となりを見ると、リナが正面を見たまま、俺の手を握ってきた。
いわゆる恋人つなぎ。
「リナ?」
声をかけても無反応。
しかし、表情を見ると、少しむくれているような気がする。
クールな彼女がこんな反応するのは本当に珍しい。
後ろに悪口に怒ってくれていると考えると、少し気が晴れた。
そのまま恋人つなぎをしながら映画を鑑賞した。
映画が終わって、外へ。
相変わらず、無表情ではあるが、頬が赤くなっているところを見ると、映画の内容には満足頂けたのだろう。
さて、映画は見終わったわけだが、明日は休みだ。
どこか食事にでも行って・・・とプランを考えていると、また話し声が聞こえる。
今度は若い男性の話し声。
「おぉ、あの子めっちゃ美人じゃん。声かけてみようか?」
「それもいいが、隣にいるのは彼氏か?全く釣り合ってねぇじゃん。
貢がされてるんじゃね?」
はぁ、またか。
まぁ、俺の彼女は美人だからな。
そんな好奇な目も日常茶飯事だ。
ギャハハと耳障りな笑い声を聞き流していると、一瞬ゾッとする感覚に襲われる。
明確な敵意。
となりを見ると、完全に目が座っているリナが男二人組を睨みつけている。
異常な空気を感じ取ったのか、男たちは、そそくさと退散する。
付き合いだしてから結構経ってはいるが、これだけ怒っているリナを見るのは初めてに思う。
そんなことを考えていると、俺の左腕に柔らかい感覚。
リナが、俺の左腕に抱きついてきた。
「・・・早く出よ。」
有無も言わさず、腕を引っ張られる。
これだけ怒ってくれると、自分のことを大事に思ってくれてるみたいで、彼氏冥利に尽きるなぁなんて思うが・・・
釣り合ってねぇじゃん
どうしても、さっきの言葉が耳から離れない。
分かってはいる。
分かってはいるんだが、やっぱり何度も言われると不安に思ってしまうわけで。
なんて、超ネガティブな考え事をしていると、気がつけば、ある部屋の一室。
見た感じ、ホテルだと思うのだが、どこに入ったのか分からないほど考え込んでいたらしい。
「リナ、ここはどk、んぅ!」
ここはどこなのかを聞こうとした瞬間、振り返ってきたリナにキスされる。
触れるだけのキスから、徐々に深いキスへ。
舌が触れるたびに、心地良い快感が走るのを感じながら長い間キスをしていた。
「急にどうしたんだ?」
「魔物娘にそんなこと聞くのは野暮じゃない?」
まぁ、確かに。
と納得してから、そこはもうお互い止まらない。
ベッドに移動してから、座って彼女を抱きしめてキスをしながら服を脱がす。
「あまり見ないで。恥ずかしい。」
もともと色素が薄いせいか、火照ってくると、赤くなっているのがよくわかる。
プロポーションも抜群で、胸は大きいのに綺麗なクビレもあるから、余計に胸が大きく見える。
「大丈夫だって。お前は誰が見ても、可愛・・・」
全然釣り合ってねぇじゃん
彼女の整った顔を見ると、またあの言葉が思い出される。
人間は一回、不安になると、とことんダメになるみたいで、俺も例外ではないみたいだ。
だからだろうか。
ポロっと自分の本音が出てしまった。
「あぁ、リナはかわいいよ・・・俺なんかとは全然釣り合わないくらい・・・。」
俯きながら言ったあとで、しまったと思い、彼女の顔を見ると、大きな目を見開きながら、俺の顔を見つめている。
数瞬してから、彼女はキッと眉をひそめて俺を押し倒してきた。
そんなに強い力ではないのに、抗えない。
リナは俺に馬乗りになりながら、いつもとは違う、感情に富んだ声音で話した。
目に少し涙を浮かべながら。
「ほんと、信五のバカ。
私は信五の彼女なんだから、信五が可愛いって思ってくれればそれでいい。
他人の目なんか関係ない。
もし、それでも何か言ってくることがあれば、私が叩きのめしてやるんだから。」
そう言って、俺の首筋に口を寄せてすぐ、刺すような痛みが走った。
ヴァンパイアの吸血行動。
しかし、今の俺にとっては、その痛みは、いろんな意味で目が覚めるのに十分だった。
「こういうことするの、信五だけなんだから。
今日だって、もっと自分から手をつないだりとか、して欲しかったんだからね。」
「その・・・ごめん。それと、ありがとう。」
そう言うと、リナは俺の顔を見つめたあと、クールな彼女から想像できないような、本当に綺麗な笑顔が見れた。
まぁ、そこからノンストップで、彼女の体を堪能しまくって、朝を迎えたのはまた別の話。
15/10/15 01:30更新 / 心結
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