非道の行く末は
師に破門され、道士としての今後を断絶されたリュウの身にはこれ以上ないほどの怒りが満ちており、復讐という二文字が彼を突き動かしていた。そこには今まで師事してくれた恩人への感謝などはなく、それ故に破門された。
彼の身にないもので道士に必要なものとは、仁・義・礼・智・信の五徳。智に関しては、彼はよく座学をしていたために問題はないはずであったが、五徳においては道理を知っていることを意味する。そしてこれは他の五徳とも絡み合って形成されるものであり、一つだけ抜き出して主張できるものではない。
「クソッ、クソ……！ これで絶対、いけ好かないアイツの鼻っ柱を折ってやる……！」
そして……今や彼は、人道を外れた獣。麓の村から十八ほどの歳に見える女子を拐かし、絞殺。魔力の通り道である竜脈の上に寝転がせ、その横で彼は札を作っている。霧の大陸の道士のみが習得しているネクロマンシー、キョンシーの作成のための反魂の札だ。
地下室の中で、灯りは中央の燭台のみ。息も詰まるような閉塞感のなかで、目を血走らせながら札に何事かを書く道士が一人と、見るからに死んでいる道士服の女子一人。誰が見ても非道に堕ちた犯罪者のそれだ。
道士服を着せられた女子は、もう既に魔物化していてもおかしくない量の魔力をその身に内包している。それでもまだ動かないのは、魔物化を抑制する札を貼られているため。魔力をどんどんと吸い込ませ濃縮させることにより、より強力なキョンシーを使役する腹積もりだ。
……しかし、彼はまだ修行の身だった。知識としては知っていても、実践で全てうまくいくとは限らない。良い道士は教えを守った上で用意周到にキョンシーを起動させるもの。もちろんながら、リュウにそんな智慧はない。
「できた……！ ククッ、待ってろよ……」
一筆に入念に殺意を込めた反魂の札がついに完成し、それを満足そうな悪い笑みを浮かべながらひとしきり眺め、頷く。この反魂の札一つだけなら、確かに強力なキョンシーを使役できるだろうと思える完成度だった。
反魂の札を死体となった女子の額に貼り付け、一歩離れた場所でリュウは術式を唱え始める。一節を唱えるごとに空気の質が変わっていき、一節を唱えるごとに燭台の火が強く左右に揺れる。風が階段上から地下室へ流れ込み、キョンシーと成り変わり始めている女子へと吹き込んでいく。
唱えるごとにそれは増し、リュウの身体を冷たい何かが撫でていく。それでも彼は今起きていることを全て無視し、唱え続ける。
……やがて、リュウは口を噤む。全ての節を唱え終えて、作業工程は全て終了する。その目は不安げに揺れながらも、キョンシーとなるはずの死体に視線を注ぐ。当然ながら、彼にとってキョンシーを作るのはこれが初めてであった。十分に魔力は内蔵された、札も完璧にできた、式だって一言一句違わず唱えた。これで成功しなければおかしいほど。
そして事実、リュウの術は成功した。
「…………う」
「お！？ やったか！？」
ビクリ、と雷が走ったように女子の身体が跳ねる。成功例なんか見たこともなかったし、動いてるキョンシーしか知らないために、ここからどうなるかなどは皆目見当がついていない。ただ彼の心中にあるのは、強いキョンシーで自分をバカにした師をボコボコに打ち負かすことのみ。
だから、身体は同年齢と比較してもがっしりしているわけではない彼では彼女に対処することは出来なかった。
「う、ううう……」
「動いた！ よし、よし、よし！やったぞ……！」
キョンシーは目を開き、上体を起こす。魔力の影響によって土気色だった肌が若干青みがかり、元よりそれなりに良い肉付きだった身体にも更に女性らしい丸みが加わり、男であったら手を出さないほうが失礼だと言ってしまいそうな程の傾国の美貌を得ていた。竜脈の上で長時間の魔力吸収、強すぎる思いのこもった反魂の札、これだけに関しては非の打ち所がないと言える術。
そう、彼はやりすぎた。そして、魔力を込めれば込めるほどにキョンシーという存在は飢えることを知らなかった。
「う、あ……此処は」
「喋れるのか！？ 知能が高いのは知っていたが、起動してすぐとは！ やはり俺は天才なのかもしれんな……！」
「……乾く……疼く。奥が」
成功体験に酔いしれているリュウに、その呟きは届かない。
両手をついて、のろのろと立ち上がるキョンシーにも、リュウは注意を振るわない。当然だ、術"は"成功したのだから。キョンシーに対する制御のやり方も、それどころか危険性すら彼の頭の中には無かった。
「う、く……歩き、にくい」
「……何？どうした――」
ずりずりと両足を一本ずつ摺り足で動き、リュウに迫るキョンシー。彼女の呟きに反応して振り向くが、既に手遅れだった。
彼が振り向いたすぐ近くに、鼻と鼻が触れ合いそうになるほどの近くにまで、彼女は接近してきていた。どろりと濁った淫欲に塗れた相貌を、魔物特有の男を狩る瞳を、リュウの網膜に強く訴えかけてくる。
お前の精液をよこせ、と。
「う、わ――むぐッ！？」
「ん、ちゅ……れる」
ひ弱な道士見習いが上位のキョンシーにここまで接近されて勝てるわけもなく、無理矢理にキスされながら押し倒される。どさりと地下室の床に倒れこむ二人。
リュウには何がどうなっているのか、理解できなかった。目を見開き、本能的な恐怖からか、覆いかぶさってきたキョンシーを下から跳ね除けようと両手で彼女の身体を押す。
「んむる……ぐ、ぢゅるるぅ。ぐりゅ、んふぅー」
「んぐう？！ んん゛っ！ん゛ー！」
だが、その手はむしろキョンシーをヒートアップさせる。反抗しようとする彼を無理やり抑えつけるために、キョンシーは舌をリュウの口内に無理やり挿入。蹂躙を開始した。
舌を伸ばしリュウの舌に巻きつけ、摩擦面積を増やすためにぐるぐると蛇じみた動きで更に舌をねじ込んでいく。リュウは突然の反逆とキョンシーから与えられる口内レイプの快感に気が動転し、手足をバタつかせることしかできない。だがたっぷりと魔力を帯びたキョンシーはビクともせず、
「んむ、んむっ……ぢゅりゅ、ぢゅううぅ」
「ん゛ー！ ん゛ー！」
ますます激しくなる口内の攻勢に、リュウは抗うことを許されない。顎を閉じようとしても、唇を離そうとしても、身体が言うことを聞かない。
リュウの舌に十分に巻き付いたキョンシーの舌は、今度は牽引を開始する。リュウの舌を、キョンシーの口内へ力づくで引き入れようとしているのだ。双方の唾液が混ざり潤滑油となって、リュウの舌を引っ張る際につるつるとキョンシーの舌が滑っていくが、すぐにまた巻き直される。
当然、キョンシーの舌がリュウの舌に触れる度に彼の脳に快楽信号が送られ、どんどんとリュウの股間に熱が滾っていく。キョンシーの身体はとても女性的で柔らかく、死体の時にはなかった甘ったるい匂いさえ発せられている。
キョンシーはリュウに覆いかぶさっているために、その変化にも容易に気づくことが出来た。すぐに口を離し、準備にとりかかる。
「ぷはっ、お、おい！ 俺が主人だぞ！ 勝手なことを――」
「使役される者というのは、黙って使役されるわけではないわよ」
リュウの言葉を遮るように、感情の感じられない平坦な声で話すキョンシー。先ほどの口付けで舌が解れたのか、流暢な言葉遣いだ。そして、有無を言わせぬ迫力もあった。リュウは彼女の言葉にごくりと唾を飲み、なおも自らの身に襲い来る恐怖に対してなんとか心を落ち着かせようとしていた。
その様子を見て、キョンシーはぽつりと呟く。
「かわいい。おいしそう」
「……は？」
瞬間、リュウの身体にぞわりと何かが染みこんでくる。いや、身体ではない。精神へだ。それと同時に、キョンシーの瞳が妖しく淡い光を放ち始める。リュウの身体は再度、操作不能状態に陥った。
「う、ぐぐ……！ 神通力か……！」
「ご明察。でも悪いことしないから」
「何を……」
「セックス。魔物の主食は精液って覚えておきなさい」
彼女は非常に理性的な喋り方をしながら、凶暴な眼光によってリュウを射竦める。獲物を狙う狩猟者の目。リュウは手綱を作っておかなかった。対抗手段を用意しなかった。それが何よりの過ちだった。
彼の身体は神通力によって硬直させられていた。その間に、キョンシーはリュウの道士服の下を脱が――せようとして、両手両足ともが死後硬直によって満足に動かないことを思い出した。キョンシーはしぶしぶ、彼自身を動かして服を脱がせようかと考えたが……。
「……おもしろくない。揉みなさい」
「ぐうっ……う、お」
キョンシーは再度リュウの瞳を覗き込み、リュウの身体を操り始める。彼の意思に反してその腕は動き、キョンシーの肢体に指を這わせていく。
最初は、腕を。ぐっ、ぐっ、と握るようにキョンシーの腕を揉み、徐々に肩の方へと動かしていく。自分の意思で動かしていないのに、触覚は与えられていることに困惑する。キョンシーの腕を一揉みしても、さほど解れたようには思えない。それなのに、動かしているキョンシー自身はどんどん腕を肩の方へと動かしていく。
首を傾げて不思議な表情をしているリュウに対して、キョンシーは張り付いた無表情を崩さない。
「腕はもう十分。次は、おっぱいを解して」
「え？……は？」
本日何度目か、リュウは言われた意味を理解できずに問い返す。彼の困惑とは裏腹に、操られた両手はすぐにキョンシーの大きな胸を鷲掴みにする。道士服の上からでもわかる膨らみに指を沈み込ませられ、リュウは操られた自分がやっていることを今更ながらに理解する。
「んっ、あぁ……気持ちいい」
指がキョンシーの胸部を撫でたり揉んだりするごとに、キョンシーは初めて上ずった声を上げる。相変わらず感情というものを感じられないが、その肉体はしっかり女の悦びを知っている。
リュウは徐々に困惑から解放され、その代わりにキョンシーの胸の柔らかさに心が奪われていた。解す必要がないんじゃないかと思うほどにふにふにと柔らかく、手の中から零れ落ちそうなほどに大きく、手放してはいけないと思ってしまう重みがある。鼻息は少しずつ荒く、目も胸に奪われる。
リュウは童貞だ。幼い頃に道教に拾われ、学ぶべきことを学び、武術も学んできた。そこに女っ気はなく、せいぜいが力のある道士が使役するキョンシーのみ。それも、キョンシーを目にする時は畑荒らしの捜索や山狩り、魔物を追い払う時などといった、それどころではないことばかり。
リュウも年頃の男性だ。復讐に支配されていた心は、いつの間にか目の前の女体に興味を移していた。長らく働くことのなかった生殖本能が、今ようやくリュウの身体に表れてきた。
キョンシーもそれに気づかぬほど鈍感ではない。リュウはもう抵抗しないということを察したのか、神通力を止める。
「ん……好きに、揉んで。私の身体を解して」
「……はぁ、はぁ……」
身体の主導権がリュウに戻り、すぐさまリュウはキョンシーの胸を弄くり回す。捏ねて掴んで摘んで、初めて積み木を与えられた赤子が如く、くどいほどに。
「ん、ふぅ……服が、鬱陶しい」
「うわ……これ、は」
キョンシーがそう呟くと、キョンシーの体全体に薄い煙が纏わりつき始める。リュウが驚いて手を離そうとすると同時に、すぐに煙は霧散した。何が起こったのかと見てみれば、まずリュウの目に飛び込んできたのは丸出しの乳頭。薄く青い肌に似合わない、ぷっくりと充血して膨らんだ乳首がリュウの目を釘付けにする。
キョンシーが放った魔力によって、彼女の服が形状を変化させた。元の道士服の意匠や生地はそのままに、胸元はばっくりと見せつけるように大きな穴が空いている。背中側で生地が繋がっていて、前面の襟から下は「最低限乳首だけ隠せばいいか」なんて勢いの危うさ。
ズボンも変化させられており、股関節周りの布が消失して太ももを大きくさらけ出し、道士服の前掛けが扇情的なスリットになってしまっている。それも元の服のスリットよりも深くなっており、ヘソの辺りに紐の結び目がある。そこから下は布がひらひらとしているのみだ。
「もう……我慢できない。乾いてる」
「なっ、あ……」
「子宮が。あなたの精液を求めてる」
先ほどまではがっちり固まっていて動かなかったキョンシーの関節が、緩慢ではあるがしっかり動くようになっている。リュウのズボンを下方向へ引きずり下ろし、寝転がってされるがままのリュウの……バキバキに硬くなったちんぽが露出する。
「はやく、はやく入れなきゃ……♥」
リュウのちんぽを一目見た瞬間、キョンシーの頬が初めて緩む。……獰猛に、獲物を見つけたサメのように。それを見たリュウは、再度表層に恐怖が現れる。キョンシーは魔物だということを、再認識する。しかし同時に、メスだということも。
キョンシーは道士服の前掛けをめくり、よだれを垂らす女陰をリュウに見せつける。情けなくもリュウの目はそこに奪われ、リュウのちんぽは更に硬度を増した。つるつるで触り心地のよさそうな、蘇りたての上位キョンシーまんこ。男に喰らいついたら捉えて離さない、極上の生殖器。
今から、それが。キョンシーはリュウの上に跨がり、挿入口を亀頭に宛がう。ぬるぬると粘りつくキョンシーの愛液がリュウの剛直にべっとりと張り付き、これからする行為の補助役を始める。
「入れる、入れるよ……！」
キョンシーの昂ぶって揺れる声色にちんぽがびくんと反応したと同時に、
「う、おぉぉ……く、〜〜〜！」
「ふぅ、ん、ん〜〜〜〜〜♥♥」
亀頭がまんこに埋まり始めたかと思うと、キョンシーは一気に腰を沈ませて根本までちんぽを咥え込んだ。亀頭がきゅうきゅうと締まる肉穴を掻き分けてながら進む感触、そこから送られてくる熱のこもった痺れがリュウの脊髄を駆け抜ける。息が詰まり、声が出ない。そんなリュウを見下ろすキョンシーは熱っぽく息を吐きながら、リュウの長く逞しいペニスを堪能する。
リュウのこの反応を見るや、キョンシーは唇をペロリと舌で濡らし、リュウに問いかける。
「初めてだった？」
「う、ぅっ……ぉ、お前……」
「あー、これはリードしてあげる余裕ない。ん♥」
「うあっ！？」
まともな答えが返せず、快楽に身悶えるリュウの様子を見たキョンシーは身体をぞくぞくと震わせる。サキュバスの魔王の色が込められた魔力を大量に濃密にその身に宿したキョンシーがどうなってしまうかを、彼女はその身を持ってリュウに知らしめる。
キョンシーは腰を浮かせては沈ませ、乱暴なストロークを開始する。獲物を貪る肉食動物さながらの勢いであり、同時に彼女の揺れる瞳が見つめる対象はリュウの悶える表情のみ。この人の子を孕みたいという強い生殖欲求までもが、キョンシーのびょんびょんと跳ねる乱暴な腰使いに込められている。
「うぁっ、う゛ぅ、ぐす、んぐぅっ」
「あぁ〜〜〜……♥♥ この人が主人、この人が主人、この人が主人……♥♥」
キョンシーから与えられているリュウへの快楽は尋常ではなく、ましてやセックスによる快楽自体が初めての身にとって、ここまで射精を耐えられているのが奇跡だ。いや、あるいは彼女への最後の抵抗なのかもしれない。
絶えず収縮し、時には包み込むようにちんぽを撫で回し、時にはキツく締めて精液を促進させ、七色と呼ぶに相応しい様々な快楽をリュウのちんぽ一つに与えてくる。リュウも、頭では嫌がっていても肉体の反射は抑えきれるものではなく、キョンシーの腰の運動にタイミングを合わせて乱暴に突き込んでしまっている。
キョンシーができる全力のセックスが、リュウへぶつけられている。耐え、泣き、堪えて、何故そうしているかもわからずにひたすら射精すまいと頑張っているリュウ。キョンシーはそれを見て、動かないはずの表情を歪ませていく。
「ううぐ、くぅ、もぉ、やめっ、うあ！ あっ！ あぁぁ゛！」
――だが、魔物相手に先程まで童貞であった彼が勝てるはずもない。
股間の疼きが一段、また一段と強くなっていく。リュウはそれを察して懇願するが、キョンシーが聞く耳を持つはずがない。
むしろその"お願い"を聞いて、ピストンを加速させていく。ちんぽが内部で更に膨らみ、亀頭がパンパンに張り詰めていく。キョンシーの膣内をカリが抉り、キョンシーは悦ぶ。膣内で膨らむちんぽがどういう意味か、本能で理解している。
「はやくっ、はやくっ♥♥ 負けて、膣奥に射精してっ♥♥」
「あ゛っ！ だ、あああ゛っ！ あ゛ぁ゛！」
「かわいい♥ かわいい♥ ほらっ、ねえっ、情けなく、負けちゃいなさい♥ 射精しちゃいなさい♥♥」
腰をかくかくと小刻みに高速で動かし、搾精のために限界まで膣を緊縮させ。
リュウへの興奮とちんぽへの悦びによって全身が十分に解れたキョンシーは、自らの胸中に生まれたリュウへの保護欲求と生殖欲求を、愛と認識した。
彼女はリュウの両手に自らの手を絡ませ、トドメとして唇を重ね合わせた。
「んちゅぅ♥」
「んむ゛ぅっ！？ ん゛、〜〜〜〜〜〜！！！」
キスによってリュウの腰が跳ね、鈴口がキョンシーの子宮口に押し当てられ、尿道の途上まで上り詰めていた精液がストッパーを失い……弾けるかのように、激しい種付けを始める。
射精の鼓動で暴れ狂う剛直がキョンシーの膣奥で精液をぶちまけ続ける。尿道から特濃精液が撃ち出される度に、脳髄を駆け巡る極上の快楽がリュウの思考を塗りつぶす。
その間、キョンシーはリュウへひたすら腰を押し付け、唇を重ね続ける。
「ちゅ、んむぅ、じゅる、ぷちゅ、ちゅぅっ♥♥」
リュウに全身を押し付けているキョンシーは、射精の手助けをするために膣内を震わせている。余裕ぶっていた彼女すら、この射精には絶頂していた。子宮の内部に怒涛の勢いで精液を送り込まれて、アクメがキマらない魔物娘など居ない。
それを悟られないために、リュウの射精中は唇を重ね続ける。
確実に孕むために、リュウのちんぽに子宮を押し付け続ける。
「ちゅ、ちゅぅ、れろぉっ♥」
「〜〜〜〜〜っ、んむぅっ、んふぅー、ふぅーっ」
数十時間とも永遠とも感じられた射精も、ようやく収まってくる。とんでもない射精快楽と口内を蹂躙され、意識を半ば飛ばしながらも、鼻でどうにか呼吸をするリュウ。ぐったりと身体から力は抜け、キョンシーになすがままの状態。
そのキョンシーも射精が収まったことで絶頂からなんとか解放されたのか、ようやくリュウから顔を離す。
キョンシーは再度リュウの瞳を覗き込み、夢見心地の彼の様子に満足気に微笑み、言葉をかける。
「私は主人の命令に従う、忠実なキョンシーです♥ これから毎日、私のご飯をよろしくお願いしますね？ 主人♥♥」
「……は、い……」
リュウの声には、疲労とちょっぴりの期待が混じっていた。
☆
――それから。
「主人、夜盗が家を取り囲んでいたので全員軽くのしてきた。指示を」
「……あー、じゃあ、警邏につき出してきて。ちゃんと礼金も貰ってきて」
「あいわかった。では行って参ります」
「あぁ」
「…………ねぇ、あなたぁ。おなかすいてきたから、帰ったらねぇ……♥」
「……う、ん。わかってる」
「ありがとぉ〜〜♥ 大好きよあなた、食べちゃいたいくらいに……♥」
「……」
キョンシーの淡白さと魔物特有の旦那への溺愛。それらが比類なく強力なキョンシーの身に宿り、一人の世捨て人を旦那としたのは……人類にとって、幸か不幸か。
彼の身にないもので道士に必要なものとは、仁・義・礼・智・信の五徳。智に関しては、彼はよく座学をしていたために問題はないはずであったが、五徳においては道理を知っていることを意味する。そしてこれは他の五徳とも絡み合って形成されるものであり、一つだけ抜き出して主張できるものではない。
「クソッ、クソ……！ これで絶対、いけ好かないアイツの鼻っ柱を折ってやる……！」
そして……今や彼は、人道を外れた獣。麓の村から十八ほどの歳に見える女子を拐かし、絞殺。魔力の通り道である竜脈の上に寝転がせ、その横で彼は札を作っている。霧の大陸の道士のみが習得しているネクロマンシー、キョンシーの作成のための反魂の札だ。
地下室の中で、灯りは中央の燭台のみ。息も詰まるような閉塞感のなかで、目を血走らせながら札に何事かを書く道士が一人と、見るからに死んでいる道士服の女子一人。誰が見ても非道に堕ちた犯罪者のそれだ。
道士服を着せられた女子は、もう既に魔物化していてもおかしくない量の魔力をその身に内包している。それでもまだ動かないのは、魔物化を抑制する札を貼られているため。魔力をどんどんと吸い込ませ濃縮させることにより、より強力なキョンシーを使役する腹積もりだ。
……しかし、彼はまだ修行の身だった。知識としては知っていても、実践で全てうまくいくとは限らない。良い道士は教えを守った上で用意周到にキョンシーを起動させるもの。もちろんながら、リュウにそんな智慧はない。
「できた……！ ククッ、待ってろよ……」
一筆に入念に殺意を込めた反魂の札がついに完成し、それを満足そうな悪い笑みを浮かべながらひとしきり眺め、頷く。この反魂の札一つだけなら、確かに強力なキョンシーを使役できるだろうと思える完成度だった。
反魂の札を死体となった女子の額に貼り付け、一歩離れた場所でリュウは術式を唱え始める。一節を唱えるごとに空気の質が変わっていき、一節を唱えるごとに燭台の火が強く左右に揺れる。風が階段上から地下室へ流れ込み、キョンシーと成り変わり始めている女子へと吹き込んでいく。
唱えるごとにそれは増し、リュウの身体を冷たい何かが撫でていく。それでも彼は今起きていることを全て無視し、唱え続ける。
……やがて、リュウは口を噤む。全ての節を唱え終えて、作業工程は全て終了する。その目は不安げに揺れながらも、キョンシーとなるはずの死体に視線を注ぐ。当然ながら、彼にとってキョンシーを作るのはこれが初めてであった。十分に魔力は内蔵された、札も完璧にできた、式だって一言一句違わず唱えた。これで成功しなければおかしいほど。
そして事実、リュウの術は成功した。
「…………う」
「お！？ やったか！？」
ビクリ、と雷が走ったように女子の身体が跳ねる。成功例なんか見たこともなかったし、動いてるキョンシーしか知らないために、ここからどうなるかなどは皆目見当がついていない。ただ彼の心中にあるのは、強いキョンシーで自分をバカにした師をボコボコに打ち負かすことのみ。
だから、身体は同年齢と比較してもがっしりしているわけではない彼では彼女に対処することは出来なかった。
「う、ううう……」
「動いた！ よし、よし、よし！やったぞ……！」
キョンシーは目を開き、上体を起こす。魔力の影響によって土気色だった肌が若干青みがかり、元よりそれなりに良い肉付きだった身体にも更に女性らしい丸みが加わり、男であったら手を出さないほうが失礼だと言ってしまいそうな程の傾国の美貌を得ていた。竜脈の上で長時間の魔力吸収、強すぎる思いのこもった反魂の札、これだけに関しては非の打ち所がないと言える術。
そう、彼はやりすぎた。そして、魔力を込めれば込めるほどにキョンシーという存在は飢えることを知らなかった。
「う、あ……此処は」
「喋れるのか！？ 知能が高いのは知っていたが、起動してすぐとは！ やはり俺は天才なのかもしれんな……！」
「……乾く……疼く。奥が」
成功体験に酔いしれているリュウに、その呟きは届かない。
両手をついて、のろのろと立ち上がるキョンシーにも、リュウは注意を振るわない。当然だ、術"は"成功したのだから。キョンシーに対する制御のやり方も、それどころか危険性すら彼の頭の中には無かった。
「う、く……歩き、にくい」
「……何？どうした――」
ずりずりと両足を一本ずつ摺り足で動き、リュウに迫るキョンシー。彼女の呟きに反応して振り向くが、既に手遅れだった。
彼が振り向いたすぐ近くに、鼻と鼻が触れ合いそうになるほどの近くにまで、彼女は接近してきていた。どろりと濁った淫欲に塗れた相貌を、魔物特有の男を狩る瞳を、リュウの網膜に強く訴えかけてくる。
お前の精液をよこせ、と。
「う、わ――むぐッ！？」
「ん、ちゅ……れる」
ひ弱な道士見習いが上位のキョンシーにここまで接近されて勝てるわけもなく、無理矢理にキスされながら押し倒される。どさりと地下室の床に倒れこむ二人。
リュウには何がどうなっているのか、理解できなかった。目を見開き、本能的な恐怖からか、覆いかぶさってきたキョンシーを下から跳ね除けようと両手で彼女の身体を押す。
「んむる……ぐ、ぢゅるるぅ。ぐりゅ、んふぅー」
「んぐう？！ んん゛っ！ん゛ー！」
だが、その手はむしろキョンシーをヒートアップさせる。反抗しようとする彼を無理やり抑えつけるために、キョンシーは舌をリュウの口内に無理やり挿入。蹂躙を開始した。
舌を伸ばしリュウの舌に巻きつけ、摩擦面積を増やすためにぐるぐると蛇じみた動きで更に舌をねじ込んでいく。リュウは突然の反逆とキョンシーから与えられる口内レイプの快感に気が動転し、手足をバタつかせることしかできない。だがたっぷりと魔力を帯びたキョンシーはビクともせず、
「んむ、んむっ……ぢゅりゅ、ぢゅううぅ」
「ん゛ー！ ん゛ー！」
ますます激しくなる口内の攻勢に、リュウは抗うことを許されない。顎を閉じようとしても、唇を離そうとしても、身体が言うことを聞かない。
リュウの舌に十分に巻き付いたキョンシーの舌は、今度は牽引を開始する。リュウの舌を、キョンシーの口内へ力づくで引き入れようとしているのだ。双方の唾液が混ざり潤滑油となって、リュウの舌を引っ張る際につるつるとキョンシーの舌が滑っていくが、すぐにまた巻き直される。
当然、キョンシーの舌がリュウの舌に触れる度に彼の脳に快楽信号が送られ、どんどんとリュウの股間に熱が滾っていく。キョンシーの身体はとても女性的で柔らかく、死体の時にはなかった甘ったるい匂いさえ発せられている。
キョンシーはリュウに覆いかぶさっているために、その変化にも容易に気づくことが出来た。すぐに口を離し、準備にとりかかる。
「ぷはっ、お、おい！ 俺が主人だぞ！ 勝手なことを――」
「使役される者というのは、黙って使役されるわけではないわよ」
リュウの言葉を遮るように、感情の感じられない平坦な声で話すキョンシー。先ほどの口付けで舌が解れたのか、流暢な言葉遣いだ。そして、有無を言わせぬ迫力もあった。リュウは彼女の言葉にごくりと唾を飲み、なおも自らの身に襲い来る恐怖に対してなんとか心を落ち着かせようとしていた。
その様子を見て、キョンシーはぽつりと呟く。
「かわいい。おいしそう」
「……は？」
瞬間、リュウの身体にぞわりと何かが染みこんでくる。いや、身体ではない。精神へだ。それと同時に、キョンシーの瞳が妖しく淡い光を放ち始める。リュウの身体は再度、操作不能状態に陥った。
「う、ぐぐ……！ 神通力か……！」
「ご明察。でも悪いことしないから」
「何を……」
「セックス。魔物の主食は精液って覚えておきなさい」
彼女は非常に理性的な喋り方をしながら、凶暴な眼光によってリュウを射竦める。獲物を狙う狩猟者の目。リュウは手綱を作っておかなかった。対抗手段を用意しなかった。それが何よりの過ちだった。
彼の身体は神通力によって硬直させられていた。その間に、キョンシーはリュウの道士服の下を脱が――せようとして、両手両足ともが死後硬直によって満足に動かないことを思い出した。キョンシーはしぶしぶ、彼自身を動かして服を脱がせようかと考えたが……。
「……おもしろくない。揉みなさい」
「ぐうっ……う、お」
キョンシーは再度リュウの瞳を覗き込み、リュウの身体を操り始める。彼の意思に反してその腕は動き、キョンシーの肢体に指を這わせていく。
最初は、腕を。ぐっ、ぐっ、と握るようにキョンシーの腕を揉み、徐々に肩の方へと動かしていく。自分の意思で動かしていないのに、触覚は与えられていることに困惑する。キョンシーの腕を一揉みしても、さほど解れたようには思えない。それなのに、動かしているキョンシー自身はどんどん腕を肩の方へと動かしていく。
首を傾げて不思議な表情をしているリュウに対して、キョンシーは張り付いた無表情を崩さない。
「腕はもう十分。次は、おっぱいを解して」
「え？……は？」
本日何度目か、リュウは言われた意味を理解できずに問い返す。彼の困惑とは裏腹に、操られた両手はすぐにキョンシーの大きな胸を鷲掴みにする。道士服の上からでもわかる膨らみに指を沈み込ませられ、リュウは操られた自分がやっていることを今更ながらに理解する。
「んっ、あぁ……気持ちいい」
指がキョンシーの胸部を撫でたり揉んだりするごとに、キョンシーは初めて上ずった声を上げる。相変わらず感情というものを感じられないが、その肉体はしっかり女の悦びを知っている。
リュウは徐々に困惑から解放され、その代わりにキョンシーの胸の柔らかさに心が奪われていた。解す必要がないんじゃないかと思うほどにふにふにと柔らかく、手の中から零れ落ちそうなほどに大きく、手放してはいけないと思ってしまう重みがある。鼻息は少しずつ荒く、目も胸に奪われる。
リュウは童貞だ。幼い頃に道教に拾われ、学ぶべきことを学び、武術も学んできた。そこに女っ気はなく、せいぜいが力のある道士が使役するキョンシーのみ。それも、キョンシーを目にする時は畑荒らしの捜索や山狩り、魔物を追い払う時などといった、それどころではないことばかり。
リュウも年頃の男性だ。復讐に支配されていた心は、いつの間にか目の前の女体に興味を移していた。長らく働くことのなかった生殖本能が、今ようやくリュウの身体に表れてきた。
キョンシーもそれに気づかぬほど鈍感ではない。リュウはもう抵抗しないということを察したのか、神通力を止める。
「ん……好きに、揉んで。私の身体を解して」
「……はぁ、はぁ……」
身体の主導権がリュウに戻り、すぐさまリュウはキョンシーの胸を弄くり回す。捏ねて掴んで摘んで、初めて積み木を与えられた赤子が如く、くどいほどに。
「ん、ふぅ……服が、鬱陶しい」
「うわ……これ、は」
キョンシーがそう呟くと、キョンシーの体全体に薄い煙が纏わりつき始める。リュウが驚いて手を離そうとすると同時に、すぐに煙は霧散した。何が起こったのかと見てみれば、まずリュウの目に飛び込んできたのは丸出しの乳頭。薄く青い肌に似合わない、ぷっくりと充血して膨らんだ乳首がリュウの目を釘付けにする。
キョンシーが放った魔力によって、彼女の服が形状を変化させた。元の道士服の意匠や生地はそのままに、胸元はばっくりと見せつけるように大きな穴が空いている。背中側で生地が繋がっていて、前面の襟から下は「最低限乳首だけ隠せばいいか」なんて勢いの危うさ。
ズボンも変化させられており、股関節周りの布が消失して太ももを大きくさらけ出し、道士服の前掛けが扇情的なスリットになってしまっている。それも元の服のスリットよりも深くなっており、ヘソの辺りに紐の結び目がある。そこから下は布がひらひらとしているのみだ。
「もう……我慢できない。乾いてる」
「なっ、あ……」
「子宮が。あなたの精液を求めてる」
先ほどまではがっちり固まっていて動かなかったキョンシーの関節が、緩慢ではあるがしっかり動くようになっている。リュウのズボンを下方向へ引きずり下ろし、寝転がってされるがままのリュウの……バキバキに硬くなったちんぽが露出する。
「はやく、はやく入れなきゃ……♥」
リュウのちんぽを一目見た瞬間、キョンシーの頬が初めて緩む。……獰猛に、獲物を見つけたサメのように。それを見たリュウは、再度表層に恐怖が現れる。キョンシーは魔物だということを、再認識する。しかし同時に、メスだということも。
キョンシーは道士服の前掛けをめくり、よだれを垂らす女陰をリュウに見せつける。情けなくもリュウの目はそこに奪われ、リュウのちんぽは更に硬度を増した。つるつるで触り心地のよさそうな、蘇りたての上位キョンシーまんこ。男に喰らいついたら捉えて離さない、極上の生殖器。
今から、それが。キョンシーはリュウの上に跨がり、挿入口を亀頭に宛がう。ぬるぬると粘りつくキョンシーの愛液がリュウの剛直にべっとりと張り付き、これからする行為の補助役を始める。
「入れる、入れるよ……！」
キョンシーの昂ぶって揺れる声色にちんぽがびくんと反応したと同時に、
「う、おぉぉ……く、〜〜〜！」
「ふぅ、ん、ん〜〜〜〜〜♥♥」
亀頭がまんこに埋まり始めたかと思うと、キョンシーは一気に腰を沈ませて根本までちんぽを咥え込んだ。亀頭がきゅうきゅうと締まる肉穴を掻き分けてながら進む感触、そこから送られてくる熱のこもった痺れがリュウの脊髄を駆け抜ける。息が詰まり、声が出ない。そんなリュウを見下ろすキョンシーは熱っぽく息を吐きながら、リュウの長く逞しいペニスを堪能する。
リュウのこの反応を見るや、キョンシーは唇をペロリと舌で濡らし、リュウに問いかける。
「初めてだった？」
「う、ぅっ……ぉ、お前……」
「あー、これはリードしてあげる余裕ない。ん♥」
「うあっ！？」
まともな答えが返せず、快楽に身悶えるリュウの様子を見たキョンシーは身体をぞくぞくと震わせる。サキュバスの魔王の色が込められた魔力を大量に濃密にその身に宿したキョンシーがどうなってしまうかを、彼女はその身を持ってリュウに知らしめる。
キョンシーは腰を浮かせては沈ませ、乱暴なストロークを開始する。獲物を貪る肉食動物さながらの勢いであり、同時に彼女の揺れる瞳が見つめる対象はリュウの悶える表情のみ。この人の子を孕みたいという強い生殖欲求までもが、キョンシーのびょんびょんと跳ねる乱暴な腰使いに込められている。
「うぁっ、う゛ぅ、ぐす、んぐぅっ」
「あぁ〜〜〜……♥♥ この人が主人、この人が主人、この人が主人……♥♥」
キョンシーから与えられているリュウへの快楽は尋常ではなく、ましてやセックスによる快楽自体が初めての身にとって、ここまで射精を耐えられているのが奇跡だ。いや、あるいは彼女への最後の抵抗なのかもしれない。
絶えず収縮し、時には包み込むようにちんぽを撫で回し、時にはキツく締めて精液を促進させ、七色と呼ぶに相応しい様々な快楽をリュウのちんぽ一つに与えてくる。リュウも、頭では嫌がっていても肉体の反射は抑えきれるものではなく、キョンシーの腰の運動にタイミングを合わせて乱暴に突き込んでしまっている。
キョンシーができる全力のセックスが、リュウへぶつけられている。耐え、泣き、堪えて、何故そうしているかもわからずにひたすら射精すまいと頑張っているリュウ。キョンシーはそれを見て、動かないはずの表情を歪ませていく。
「ううぐ、くぅ、もぉ、やめっ、うあ！ あっ！ あぁぁ゛！」
――だが、魔物相手に先程まで童貞であった彼が勝てるはずもない。
股間の疼きが一段、また一段と強くなっていく。リュウはそれを察して懇願するが、キョンシーが聞く耳を持つはずがない。
むしろその"お願い"を聞いて、ピストンを加速させていく。ちんぽが内部で更に膨らみ、亀頭がパンパンに張り詰めていく。キョンシーの膣内をカリが抉り、キョンシーは悦ぶ。膣内で膨らむちんぽがどういう意味か、本能で理解している。
「はやくっ、はやくっ♥♥ 負けて、膣奥に射精してっ♥♥」
「あ゛っ！ だ、あああ゛っ！ あ゛ぁ゛！」
「かわいい♥ かわいい♥ ほらっ、ねえっ、情けなく、負けちゃいなさい♥ 射精しちゃいなさい♥♥」
腰をかくかくと小刻みに高速で動かし、搾精のために限界まで膣を緊縮させ。
リュウへの興奮とちんぽへの悦びによって全身が十分に解れたキョンシーは、自らの胸中に生まれたリュウへの保護欲求と生殖欲求を、愛と認識した。
彼女はリュウの両手に自らの手を絡ませ、トドメとして唇を重ね合わせた。
「んちゅぅ♥」
「んむ゛ぅっ！？ ん゛、〜〜〜〜〜〜！！！」
キスによってリュウの腰が跳ね、鈴口がキョンシーの子宮口に押し当てられ、尿道の途上まで上り詰めていた精液がストッパーを失い……弾けるかのように、激しい種付けを始める。
射精の鼓動で暴れ狂う剛直がキョンシーの膣奥で精液をぶちまけ続ける。尿道から特濃精液が撃ち出される度に、脳髄を駆け巡る極上の快楽がリュウの思考を塗りつぶす。
その間、キョンシーはリュウへひたすら腰を押し付け、唇を重ね続ける。
「ちゅ、んむぅ、じゅる、ぷちゅ、ちゅぅっ♥♥」
リュウに全身を押し付けているキョンシーは、射精の手助けをするために膣内を震わせている。余裕ぶっていた彼女すら、この射精には絶頂していた。子宮の内部に怒涛の勢いで精液を送り込まれて、アクメがキマらない魔物娘など居ない。
それを悟られないために、リュウの射精中は唇を重ね続ける。
確実に孕むために、リュウのちんぽに子宮を押し付け続ける。
「ちゅ、ちゅぅ、れろぉっ♥」
「〜〜〜〜〜っ、んむぅっ、んふぅー、ふぅーっ」
数十時間とも永遠とも感じられた射精も、ようやく収まってくる。とんでもない射精快楽と口内を蹂躙され、意識を半ば飛ばしながらも、鼻でどうにか呼吸をするリュウ。ぐったりと身体から力は抜け、キョンシーになすがままの状態。
そのキョンシーも射精が収まったことで絶頂からなんとか解放されたのか、ようやくリュウから顔を離す。
キョンシーは再度リュウの瞳を覗き込み、夢見心地の彼の様子に満足気に微笑み、言葉をかける。
「私は主人の命令に従う、忠実なキョンシーです♥ これから毎日、私のご飯をよろしくお願いしますね？ 主人♥♥」
「……は、い……」
リュウの声には、疲労とちょっぴりの期待が混じっていた。
☆
――それから。
「主人、夜盗が家を取り囲んでいたので全員軽くのしてきた。指示を」
「……あー、じゃあ、警邏につき出してきて。ちゃんと礼金も貰ってきて」
「あいわかった。では行って参ります」
「あぁ」
「…………ねぇ、あなたぁ。おなかすいてきたから、帰ったらねぇ……♥」
「……う、ん。わかってる」
「ありがとぉ〜〜♥ 大好きよあなた、食べちゃいたいくらいに……♥」
「……」
キョンシーの淡白さと魔物特有の旦那への溺愛。それらが比類なく強力なキョンシーの身に宿り、一人の世捨て人を旦那としたのは……人類にとって、幸か不幸か。
15/09/10 02:45更新 / 鍵山白煙