少年と虜の果実
少年と虜の果実
むかしむかしのお話しです。遠く離れた砂漠の国、ファラオが治めるジプシャ王国には正直な農夫の少年が住んでいました。
少年の名前はアズールと言い、褐色の肌と黒い髪に黒い真珠のような綺麗な瞳を持ちます。母親が魔物娘になり、父と共に睦合うのに忙しく、そういう訳でしっかり者のアズールは1人両親と離れて農夫をしています。太陽と共に起き、月と共に眠り、広大なイルナ川の恩恵を受けて慎ましく暮らしていました。
『太陽の神さま、実りに感謝します。』
この国は魔物娘が治める国で、偉大なるネフェルタリ4世陛下は歴代のファラオの中で最も美しいと噂されていました。アズールは何年か前のお祭りの時に、ネフェルタリ陛下を一目見た事があります。祭壇の上で手を振り微笑むネフェルタリ陛下にアズールは心を奪われてしまいました。
『僕もいつかネフェルタリ様に会いたいなぁ……』
アズールは毎日、太陽が西の国に旅立つ時、一番星に願いをしました。
さて、ある年の秋の終わりのある日の事でした。次の季節に向けて畑の手入れをしていると、虜の実の木に黄金に輝く果実が熟れていました。今は刈り入れも終わっていて収穫の時期ではありません。
『わぁ……これは美しい。それに良い匂いだ……嬉しいな。この季節に虜の実を食べれるとは思わなかった。……ちょっと待てよ?奇跡の実だ。この実をネフェルタリ陛下に献上しよう。』
そうして、アズールは黄金に輝く季節外れの虜の果実を家にある1番上等な布に大事に包んで、家にある1番上等な捧げ物用の盆に乗せると陛下の御座す王宮へと向かいました。
王宮へは誰でも行く事が出来て、ネフェルタリ陛下には誰でもお会いする事が出来ます。しかし、用が無いと行ってはならず、そして陛下のご機嫌を損ねないように貢物を持って行くのが礼儀とされていました。
ジプシャが王たるファラオが全ての決定権を優先的に持っているからです。
例えば、良く陛下の下には商人が謁見しに行きます。新しい船の許可や、交易品を取り扱う権利の相談や、世界で見聞きした事を話しに行くのです。
『そこの者、何用で来た?』
『陛下に貢物を持って来ました。』
『若いのに関心だ。よし、通りなさい。』
門番を任されていたマミーの夫婦に通されてアズールは謁見の間に歩きました。
宮殿は外も中も美しく、荘厳な雰囲気でした。
『そこの者、暫し待たれよ。陛下がお話し中である。』
おどおどしながら、謁見の間に近づくと中から話し声が聞こえて来ます。
『……では、この国で扱うジパングの交易品は其方にまかせよう。』
『身に余る幸せでございます。』
『よいよい。アラビの貿易商には其方の高祖父のサウルより世話になっておる。今後とも頼む。……そうだ、アラビ王国に寄港した際はアブドゥル・マジード王とシェヘラザード妃にネフェルタリ4世がよしなにと伝えよ。』
『畏まりました。失礼します陛下。』
『うむ。……次の者、入って参れ。』
異国の商人との話が終わるとアズールに声がかかりました。
褐色の肌と金の髪飾りが美しい切り揃えられた黒髪。美しい顔には燃えるルビーのような目。豊かな胸に、美しさを彩る宝飾品。陛下が座る階段の上の玉座の横には紅い大きな蛇が陛下に撫でられていて、アズールが来るとその大きな蛇は静かに傅きました。
アズールはその美しい姿に見惚れて我を忘れてしまいました。
『?……其の方、どうかしたか?』
『あっ……はい……貢物を…………。』
『うむ……何を言っておるか聞こえぬ。其の方、近う寄り話すがよい。』
アズールは失礼の無いように、恐る恐る玉座の近くへと進み出ました。
『偉大るファラオであらせられるネフェルタリ4世陛下にはご機嫌麗しく。』
『楽にせよ。して、其方の望みはなんだ?』
『ありません、ネフェルタリ陛下。』
『では何用で参った?』
『貢物をお持ちしました。こちらを……』
アズールは玉座の手前で跪くと、包みの布を解き、盆をネフェルタリ陛下に差し出すように高く掲げました。
『おぉ、これは素晴らしい。……虜の実の果実か?しかし、今は春ではない。秋の収穫を終えた時期であろう。如何にして手に入れた?』
『はい。今日の朝、果物畑の手入れをしていたところ、木になっているのを見つけました。この奇跡の果実はきっと、陛下に味わって頂く為に生まれて来たと思うのです。』
『其の方の殊勝な心がけに感謝しよう。……では早速、食してみようではないか。』
ネフェルタリ陛下は黄金に輝く虜の果実を手にとり食べ始めました。その姿は美しくも官能的です。アズールは陛下を見てぼーっとしてしまいました。
じゅるっ……じゅっ……こくん。
陛下はファラオである事を忘れて艶めかしく果汁を啜りました。
『……これは!まことに美味である。今まで食べたどの様な物よりも美味であった。大義である。其の方、名は何と言う?』
『はっ、はい。僕はアズールと申します。』
『アズールよ其の方の名、覚えておこう。行政大臣!』
『はい。陛下。』
玉座の下に立っていた男に声をかけました。
『このような素晴らしい果実を私欲なく妾の下に持って参ったこの心の広い少年アズールに褒美を取らす。金貨と魔界銀貨をそれぞれ10枚ずつ与えよ。』
『はい。陛下。』(果実ひとつに金貨と魔界銀貨を10枚ずつだと?陛下のお戯れにも困ったものだ。)
アズールは行政大臣から金貨と銀貨を10枚ずつ入った袋を貰いました。
『陛下、まことに有難いのですが、使い道がございません。』
『それはまことか……。アズール、其の方は無欲な者だな。では、こうしてはどうだ?与えた褒美で農具をより良いものに変え、それを使い、妾の国の為により良い作物を育てよ。』
『畏まりました。陛下。』
『……また実が出来たら持って参れ。下がって良いぞ。』
アズールは家に帰る途中、城下町で陛下に言われた通りに新しい農具を買って帰りました。アズールは褒美よりもネフェルタリ陛下に会えた事を喜びました。
それから3日後……
『また実がなってる!陛下に差し上げに行こう!』
アズールはまた実ってくれた黄金に輝く季節外れの虜の果実を家にある1番上等な布に大事に包んで、家にある1番上等な捧げ物用の盆に乗せると陛下の御座す王宮へと向かいました。
『アズールとやら、もう実ができたのか?』
『ネフェルタリ陛下。今朝また奇跡の果実が実りましたので、お受け取りください。』
アズールは玉座の手前で跪くと、包みの布を解き、盆をネフェルタリ陛下に差し出すように高く掲げました。
それを受け取った陛下は黄金に輝く虜の果実を手にとり食べ始めました。
美しい陛下はますます美しくなっていきます。
『じゅるっ……。んーー。まことに美味じゃ。妾の身体と魔力が喜んでおる。これは本当に素晴らしい虜の果実である。行政大臣!』
『はい。陛下。』
『農夫の少年アズールに黄金の盃2つと水晶の水差し、それから白金の盆を与えよ。』
『はい。陛下。』(虜の果実ひとつに黄金の盃2つと水晶の水差しと白金の盆だと!?)
行政大臣は面白くありません。
『陛下、まことに嬉しいのですが、使い道がございません。』
『ではアズールよ、こうしてはどうだ?……其方に愛する者が出来たら其方と其方に愛される幸運な娘と一緒に使うが良い。』
『わかりました。陛下のお心遣いに感謝し、僕の宝とします。』
アズールは褒美を大事に持って謁見の間を後にしました。
『農夫の少年よ、待たれよ!』
すると、行政大臣がアズールに声をかけました。
『行政大臣様、どうかされましたか?』
『このままでは、次に貢物を持って来た時に銀の鞭打ち100回に処されるぞ!!』
(ふふふ……この愚か者を罠にはめて墓穴を掘らせてやる。)
『えぇ!!それはどう言う事ですか?』
銀の鞭打ちとは、魔界銀の鞭打ちで打たれる処罰の事です。それはそれは凄まじい暴力的な快楽で、人間の男であれば全身の力を奪われて処罰の後、執行官(独身お局魔物娘)の慰みものに。女であれば、即魔物娘に変わり、魔物娘であれば殆ど全ての魔力を奪われる。いずれにせよ絶頂を極めた姿をさらしてしまう恥ずかしくてつらーい罰の事です。
それはさて置いて、行政大臣の話が続きます。
『お前の目線がイヤラシイと陛下が御立腹である。』
『では、どうすれば良いのでしょうか?』
アズールは困ってしまいました。
『ベールでも付ければよろしい。それで大丈夫だ。』
『はい。どうもご親切にありがとうございます!』
『礼には及ばない。』(上手くいったぞ!これでこの茶番を終わらせる事が出来る!)
行政大臣の心の内を知らないアズールは彼に頭を下げて家に帰りました。家に帰ると陛下に言われた通りにするべく、褒美の品々を大切にしまいました。
『愛する者かぁ……。無理だろうけど陛下と使いたいなぁ……。』
アズールは太陽が西の国に旅立つ時、一番星にもう一度ネフェルタリ陛下に会えるように淡い願いをしました。
それから3日後……
『また実がなってる!陛下に差し上げに行こう!』
アズールはまた実ってくれた黄金に輝く虜の果実を家にある1番上等な布に大事に包んで、家にある1番上等な捧げ物用の盆に乗せると陛下の御座す王宮へと向かいました。
『おっと、ベールをつけないと。』
今度は王宮へ入る前に行政大臣に言われた通り、ベールを頭から被って謁見の間に入りました。
『ネフェルタリ陛下、また実が出来ました。王の果実です。お受け取り下さい。』
アズールはベールから僅かに見える景色を頼りに進み出て玉座の手前で跪くと、包みの布を解き、盆をネフェルタリ陛下に差し出すように高く掲げました。
陛下は黄金色の虜の果実を艶めかしく食べました。
『ちゃぷっ……。んーー。まことに美味じゃ。香りといい、この蕩けるような甘さと良い、これは本当に素晴らしい虜の果実である。アズールよ盆を置き、手の平をこちらに。』
アズールは伏したまま、陛下に手の平を出しました。
『其方の広い心と妾への忠誠に褒美を取らす。』
すると、アズールの手の平になにやら小さい玉のようなものが乗りました。星粒のように輝いています。
『陛下、これは何でしょうか?』
『先程まで妾が耳につけていた真珠の大粒だ。世の王子が妾の前に幾ら財宝の山を積もうと、幾ら口説こうと手に入れられぬ。大切にせよ。』
『ありがとうございます。僕はこれでいつでも陛下を想う事が出来ます。』
アズールにとって今までで1番の褒美でした。
(ただの果実ひとつに国1番の名誉……しかもあの真珠の大粒は国一つ買える程の宝ではないか!ええい、腹立たしい!!ことごとく上手く行かないとは!!)
行政大臣はいよいよ面白くありません。
アズールは陛下から貰った真珠の耳飾りを大切に手の中で握りしめ家に帰りました。
『ところで行政大臣。アズールは何故ベールを被っていたのだ?』
『申し訳ありません。それを陛下に申し上げれば、私が処罰されてしまいます。』
『その逆だ。正直に言わぬと其方を処罰する事となろう。』
『陛下、どうかお赦しください!』
行政大臣はネフェルタリ陛下に地面に伏して大袈裟に赦しを乞いました。
『良いから聞かせよ。』
『畏まりました……。実は……あの見下げ果てた小僧が言うに……陛下のお身体が……その……だらし無く見るに堪えないと……。』
(傲慢な陛下の事だ。怒り狂うのが目に見えるようだ。)
『なっ!……うむ、並の若者では無いな。肝が座っておる。次に来たら褒美を取らすとしよう。』
(くぅう!!これも上手く行かないか!!!)
そうしてまた3日後……
アズールは虜の果実を貢ぎにやって来ました。今回も行政大臣に言われた通り、頭からベールを被っています。
『陛下、王の果実をお届けに上がりました。どうぞお受け取りください。』
陛下は黄金色の虜の果実をしどけなく食べました。
『ちゃぷっ……。んーー!心地よい甘さだ。よく熟れておる。これは本当に素晴らしい虜の果実である。……しかし、其方はこの果実を自身で食そうとは思わないのか?』
『その黄金に輝く虜の果実はネフェルタリ陛下のものでございます。僕のものではありません。』
『其の方の忠誠心に妾は大いに感心した。……誰ぞ、ペンとインク、それにパピルス(大昔の紙)と王印を持て。』
陛下がパン!……と手を叩くとケプリの侍従がやってきてペンとインクとパピルスと王様の印鑑を持って来ました。
サラサラ、サラサラ……サラサラサラ……
『アズールよ、褒美を取らす。書簡を持ち宝物殿へ行き、そこでこの書簡を宝物殿を守るアヌビスの神官に渡すがよい。』
『陛下、ありがとうございます。』
(くっ!これ以上好きにさせてなるものか!そうだ、褒美を横取りしてくれよう。)
アズールは宝物殿へ続く長く綺麗な中庭を歩いていると行政大臣に声をかけられました。
『農夫の少年アズールよ、待たれよ!』
『これは行政大臣様、いかがしましたか?』
『陛下がお前に取らす褒美とは、銀貨の入った袋3つである。宝物殿へ行くのは時間の無駄だ。』
行政大臣は銀貨が入った袋をアズールの足元に投げました。
『行政大臣様、ですが陛下はこの書簡を宝物殿の神官様へと仰せです。それに金貨を頂いたところで使い道はありません……』
『何を言う!其方にはネフェルタリ陛下の為に王の果実を育てる役目があるだろう?それに陛下はその金貨で牝牛を30頭買い、陛下の為、またジプシャの民の為にお前がより良い作物を育てる事をお望みだ!』
『わかりました行政大臣様!そういたします。ご親切にどうもありがとうございます。』
『うむ、書簡は私が渡しておこう。』(しめしめ、これで大金持ちだ!!)
アズールは行政大臣に感謝して、城下町で牝牛を30頭買い連れて家に向かいました。
『これは神官殿、ご苦労である。陛下からの書簡をお持ちした。』
『行政大臣様、それは恐れながら拝見いたします。』
アヌビスの神官は書簡を受け取り、そして読みました。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
宝物殿の神官に告ぐ
この書簡を持って来た者を
封印の柩 30年の刑に処せ。
ネフェルタリ4世
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
『これは……!!』
『どうかしたか神官殿?』(やや、これは余程の褒美に違いないぞ?)
『陛下からのご命令、しかとお受け取り致した。行政大臣様、どうぞ宝物殿へ。』
(さてさて、どんなお宝があるのやら……)
『行政大臣様……お覚悟を!!』
『ん!?これはどういう事だ!!!……うわぁぁあああああ!!!!!!!』
それから3日後……
『はぁ……あの農夫の少年には暫く会えんのだな。……それも致し方ない。』
ネフェルタリ陛下がため息を吐いていると、謁見の間に誰かが来たようです。
『ネフェルタリ陛下、虜の果実をお持ちしました。陛下の為に生まれた黄金に輝く王の果実をどうかお納めください。』
跪くアズールを見てネフェルタリ陛下は驚いています。
『こ、これはどういう事だ?……行政大臣はおるか?……これ、行政大臣!』
辺りはしんとしています。
『そういえばこの所、行政大臣を見ておらぬ。……誰ぞ神官をここに呼ばれよ。』
すると暫くして神官のアヌビスが入って来ました。
『偉大なるファラオ、ネフェルタリ陛下にはご機嫌麗しく……』
『挨拶は良い。それより、其方は命令に反したようであるが、何故そのような事をした?』
『??陛下、わたくしはご命令通りに致しました。』
アヌビスの神官は小さく呪文を唱えると、杖の先から光が出て、壁に絵を映しました。大きな柩が映っていて、ぐちゃぐちゃと音を鳴らし、時々ガタガタと震えています。
『これは……』
『ご命令通り、行政大臣を中に封印致しました。信ずる証はここに。』
アヌビスの神官は行政大臣が身につけていた着物と杖を取り出しました。
『うむ……。どういう事か、誰ぞ説明致せ。』
『では僕が説明します。』
『ではわたくしも。』
アズールと神官は自分に起こった事を説明しました。
『なるほど、すると卑劣な行政大臣が妾とアズールを欺いたか。あの者は当然の報いを受けた訳だ。』
『陛下、行政大臣はどうなったのでしょうか?』
『封印の柩の刑は、罪人に弱体化(ショタ化)の呪いとマミーの呪いに永続術式を施し、触手の入った柩に封印する罰だ。行政大臣はアシュマール人の移民で確か未婚で人間のままだ。人間であれば3日と持たずにインキュバスになるであろう。今頃は柩の中で魔物娘テンタクルとなった触手と仲良くしてよう。安心せよ。其方が気に病むことはない。』
話し終えるとネフェルタリ陛下は腕を組み考え事をしました。
『うむ……。しかしあの者が忠誠心に欠け、妾を良く思っていない事は知っておったが……優秀だったのでな?行政大臣として重用したのだが……さて困った。行政大臣が居ないと不便じゃ。…………そうだ、アズールよ。其方は読み書き計算はできるか?』
『はい。父上がユタ人でしたので、読み書きは一通り、計算は複式簿記まで教わりました。』
『よろしい。では、アズールよ。其方を行政大臣に任命する。……これ、何をしておる?その果実は其の方が食すのか?』
『いえ、そんな!これはネフェルタリ陛下の果実です。』
アズールは跪いて虜の果実を陛下に捧げました。陛下はクスクスと悪戯に笑うと黄金に輝く虜の果実を食べました。
『んーー!本当にこれは……じゅるっ……しゃくしゃく……美味なる果実である。甘さといい、香りも絶品。行政大臣よ大義である。』
『ありがとうございます。』
こうして正直者のアズールは行政大臣となり、ネフェルタリ陛下を助けて共にジプシャ王国を良く治めました。
めでたしめでたし……。
『む〜〜……そこまでは幾度と聞いておる。母上、妾はその後が知りたいのじゃ!』
『おやおや、ハトシェプストよ。其方にはまだ早いであろうに。』
『母上と父上が夜毎にしておる事、妾にもわかっておるのじゃ。アラビのサロメ姫とも毎晩会って話しておる。アブドゥル王とシェヘラザード妃は父上と母上とも勝てずとも負けず劣らずに中睦まじいと聞く。それでどうなったのじゃ?母上、母上!教えてたもれ!!』
『うむ……サロメ姫と毎晩か。空間魔法か?時間魔法か?どちらにせよ特一等高等魔法術式の無駄遣いも良いところだ。アラビの名君アブドゥル王も娘に苦労しておると見える。』
『ネフェルタリ様、良いではありませんか。僕たちの娘、ハトシェプストももうそろそろ知っても良い頃です。』
『父上〜♪』
『アズール。其方は娘に甘いな。ふぅ……我が娘ながら悪いところばかり妾に良く似ておる。仕方ない。まぁ……少し恥ずかしいが話してやろう。』
さて……どこまで話したか。
『父上が行政大臣になって母上に召し抱えられたところまでじゃ!』
おぉ、そうであったな。
コホン……そうして行政大臣になったアズールはネフェルタリ陛下に王宮に住むように命じられたので、そのようにしました。
アズールは行政大臣となった後も王宮の裏庭で畑仕事をしました。そこにも虜の果実の木があるのですが、不思議な事に実のなる季節ではないのに3日にひとつ黄金に輝く虜の果実をつけました。
ネフェルタリ陛下は奇跡の果実を食べてますますその美貌に磨きをかけました。
『行政大臣はおるか?』
『はい。陛下。』
『其方は妾とジプシャの為に良く働いておる。前任者よりも優秀であるぞ?』
『ありがとうございます。ですが、もっとお役に立てればと思います。』
『うむ。其方は謙虚であるな。……誰ぞペンとインク、それにパピルスと王印を持て。』
サラサラ……サラサラ……サラサラ……
『これは其方への命令書である。』
『謹んでお受けします。陛下。』
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
アズール行政大臣に告ぐ
日が沈んだら
身を清め
妾の寝室に来い。
ネフェルタリ4世
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
命令書を読んだアズールは顔を真っ赤にしてしまいました。
『行政大臣よ、如何したか?』
『いいいいいえ陛下!なんでもありません!』
『ふふふ……では確かに命じたぞ?』
そしてその日の夜、アズールは身を清めてネフェルタリ陛下の寝室に行きました。
『ネフェルタリ陛下、アズールです。』
『待ち侘びたぞ。入って参れ。』
『失礼します。』
アズールが入るとゆったりとした上等なリネンのシース(布一枚をワンピースドレスにしたもの)を身に付けたネフェルタリ陛下が華美な刺繍の入った敷き布の上で優雅に座り、アズールを誘うように手招きをしました。
アズールは陛下の美貌にすっかり当てられて、松明の灯りに誘われる羽虫のようにふらふらと歩みよりました。
『ん?妾と同じ麝香の香りか……其方は気が効く。さて……アズールよ、お前の働きと忠誠心とに褒美を取らす……』
ネフェルタリ陛下は鷲の羽根を象ったシースの留め金を外しました。
纏っていた取り払われ、アズールの前に現れたのはこの世のものとは思えない"美"そのものでした。
紅をさして熱を帯びる絹のような肌
豊穣の女神のような豊かな胸
なだらかな曲線を描く腰
イルナ川の恵みを思わせるまろい尻
思わず頬を擦りよせたくなる脚
体臭と混ざり合った麝香の香り
ルビーの瞳
ぽってりとした柔らかい唇
その全てがアズールを誘っていました。
『褒美は妾だ……高貴なる王族に其方の血を混ぜるその栄光に震えるが良い。"ネフェルタリの名において命ず、跪き妾の脚を舐めよ"』
『お、仰せの……ま……ま……に…………』
ファラオの命令にアズールは跪き、陛下の脚を舐めました。脚の裏、指の一本一本、指の間、内股、余すところ無く愛おしむように丁寧に丁寧に舐めていきます。その度にネフェルタリ陛下は鳩の鳴くような声を上げました。
『んっ……んんっ……❤良いぞ❤アズール❤良い気持ち❤んんんっ❤❤』
そうしてネフェルタリ陛下はアズールの舌の味をひとしきり楽しんだ後、アズールを抱き寄せ頭を撫でました。
『ふふふ♪……本当に其方は愛い。愛いぞ。』
アズールは頭がポワポワしています。ただただ幸せでした。
『"ネフェルタリの名において命ずアズール……妾を欲せ……妾を愛せよ……妾に永遠の愛を誓えよ……さぁ……妾に睦事を囁いておくれ……"』
ネフェルタリ陛下はアズールの耳元で王の言葉を囁きました。眼は暗く淫らに歪んでいます。陛下は"王の言葉"をでいたずらに人心を操る事を嫌っていますが、アズールを愛おしく想うあまり、想いを抑えきれない状態になり、手段を選んではいらないのです。
『……は……い……僕は……陛下……ネフェルタリ……陛下……の……!!!いや!……だ!……こんなの……いやだっ!!!』
なんと!アズールは王の言葉に抗いました。
『なぜ……"王の言葉"が効かぬ!?アズールよ!なぜ……なぜ妾を拒む!?』
『ネフェルタリ陛下……ネフェルタリ陛下、どうか僕の話を聞いて下さい。』
アズールは息も絶え絶えに話します。
『嫌じゃ!聞きとう無い!!……アズール、もう良い、去れ!……其方が妾のものにならぬのなら、妾は……妾は……っ!!』
ネフェルタリ陛下は見た事も無い程、悲しみ、取り乱しています。
『ネフェルタリ陛下……ご無礼をお赦し下さい……』
アズールはネフェルタリ陛下の唇を奪いました。
舌を絡ませ合うとても情熱的な口付です。ネフェルタリ陛下の心が蕩けていくようです。
『陛下……僕は、陛下をお慕いしてます。一目見たその時から……好きです!大好きです!!愛しています!!!』
少し落ち着きを取り戻したネフェルタリ陛下にアズールは真剣な眼差しで言いました。
『う、嘘……では何故、妾の王の言葉に従わなかったのだ!?』
『……僕自身が僕自身の意思で陛下に伝えなくてはいけない事だからです。これだけは絶対に……。陛下の王の言葉に頼り、従うのは簡単です。実際、従いそうになりました。でも、それでは陛下は納得しません。僕の心を操ったとずっと後悔してしまいます。違いますか?』
『それでも……それでも、妾は其方が欲しいのだ。幾百年、国を母君から継ぎ受け、妾は一人であった。孤独を友とした……。だが妾は突然現れた其方の事を何としてでも手に入れたくなった。如何な事をしても……どうしても……』
ネフェルタリ陛下はアズールの少年らしい小さな胸の中で少女のように泣いています。
『我が儘を言ってすみません。ですがやはり、愛するお方に後悔をして欲しくは無いのです。王の言葉など使わずとも、僕はネフェルタリ陛下のものです!』
『あぁ……アズール……アズール……!!』
瞳の闇は無く、陛下は宝石のような涙を流しまさした。
『ネフェルタリ陛下!!』
アズールはネフェルタリ陛下を優しく押し倒すと再び唇を奪いました。
舌を絡ませて、くちゃくちゃといやらしい音が聞こえてきます。
口付けの中でネフェルタリ陛下は心地よい味を感じました。あの季節外れに実った黄金に輝く虜の果実の味でした。どうやらあの虜の果実の正体はアズールの魔力……もといアズールの好意の結晶だったようです。虜の果実の木がアズールの陛下への想いに応えてくれた特別な果実。ですからアズールが王宮に来てからも木は虜の果実を生み続けていたのです。
『アズール……どうやら其方は本当に最初から妾の事を……』
『はい……。』
暫しの沈黙が2人を包みました。
すると陛下の腰にアズールの情熱の象徴が当たっていました。
『アズールよ……其方は妾が欲しいか?』
『はい!!……欲しいです。』
アズールは顔を真っ赤にして答えます。
『妾も其方が欲しい。……きておくれ。』
ファラオの強大な魔力に晒され続けたアズールの分身はガチガチになっていました。
アズールはネフェルタリ陛下の秘部に腰を沈めました。
『『あぁぁ…………』』
アズールは純潔を陛下に捧げ、陛下は処女を散らしました。
2人の口から震えるような息が漏れ出しました。すでに2人の結合部は愛液でぐちゃぐちゃになっています。理性の糸が同時に切れると、発情し切った目を互いに向け合い、動物的な交わりが始まりました。
『ぁあ"っ❤ひっ❤いい"っ❤』
『へいかぁ!へいかぁっ!!』
結合部から湿った音と腰を打ち合う乾いた音が部屋中に響きました。すると間も無くアズールの息が荒くなり、小刻みに体が震えています。名器の中の名器に先程まで純潔だった少年がそう長く持つはずもありません。
それはネフェルタリ陛下も同じで、快楽に翻弄されて小刻みにびくんびくんと体を震わせていました。細かな絶頂がずっと続いています。
『へいかぁ!!でちゃう!でちゃうよぉ!!』
『お"っ❤お"❤お"❤お"❤❤……めいれいであるぅ!!……わらわっを"っ❤❤孕ませ"よ"っ!!』
鼓動が早くなるように、打ち付ける腰も比例しています。アズールはネフェルタリ陛下の腰を持ち上げ、ネフェルタリ陛下はアズールの腰に脚を回して締め上げました。
びゅぅっびゅぅっびゅどぴゅぅどぴゅぅびちゃびちゃびちゃっっ!!!
『『ぁぁぁあああああああああ❤❤❤❤❤』』
2人は絶頂を極めました。
精子がネフェルタリ陛下の子宮に勢いよく流し込まれました。ネフェルタリ陛下の秘部は一滴も逃すまいとポンプのように蠢き、陛下の脚はアズールね腰をしっかりと押さえ付けています。
アズールはネフェルタリ陛下より身長が低いので、交わりの中で愛しの陛下に口付けする事が出来ません。その豊かな胸に顔を埋めてしまいます。強過ぎる快楽から逃れるように、アズールは陛下の乳首を甘く噛み締めました。結果としてネフェルタリ陛下は膣を甘く締め上げてアズールに更なる快楽を与え絶頂が引き延ばされます。
陛下は絶頂の中で甘えるように縋り付くアズールの頭を愛おしく撫でました。
こうして2人は永遠に結ばれ、ハトシェプストという何にも代え難い宝に恵まれ、よく国を治め、いつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
『ほほぅ♪……母上、やりおるのぉ♪』
『やっぱり恥ずかしいですね陛下。』
『……顔から火が出そうだ。ハトシェプストよ満足か?』
『はい母上♪……ところで、父上が少年の姿のまま歳をとらないのは母上の趣味かえ?』
『ほれ、もう休むがよいっ!!』
………………
『ふぅ……ようやくハトシェプストは夢の中に旅立ったようだ。』
『えぇ、愛らしい寝顔……』
『そうだな。……しかしまさか、あの時褒美にやった金の盃と水晶の水差しと白金の盆を毎日自身で使おうとは思わなんだ。』
『ふふふ……陛下。僕は幸せです。愛しています。』
『妾も幸せだ。……さぁ乾杯といこう。そして今夜もまた妾を愛しておくれ。』
カラン…………
おしまい。
むかしむかしのお話しです。遠く離れた砂漠の国、ファラオが治めるジプシャ王国には正直な農夫の少年が住んでいました。
少年の名前はアズールと言い、褐色の肌と黒い髪に黒い真珠のような綺麗な瞳を持ちます。母親が魔物娘になり、父と共に睦合うのに忙しく、そういう訳でしっかり者のアズールは1人両親と離れて農夫をしています。太陽と共に起き、月と共に眠り、広大なイルナ川の恩恵を受けて慎ましく暮らしていました。
『太陽の神さま、実りに感謝します。』
この国は魔物娘が治める国で、偉大なるネフェルタリ4世陛下は歴代のファラオの中で最も美しいと噂されていました。アズールは何年か前のお祭りの時に、ネフェルタリ陛下を一目見た事があります。祭壇の上で手を振り微笑むネフェルタリ陛下にアズールは心を奪われてしまいました。
『僕もいつかネフェルタリ様に会いたいなぁ……』
アズールは毎日、太陽が西の国に旅立つ時、一番星に願いをしました。
さて、ある年の秋の終わりのある日の事でした。次の季節に向けて畑の手入れをしていると、虜の実の木に黄金に輝く果実が熟れていました。今は刈り入れも終わっていて収穫の時期ではありません。
『わぁ……これは美しい。それに良い匂いだ……嬉しいな。この季節に虜の実を食べれるとは思わなかった。……ちょっと待てよ?奇跡の実だ。この実をネフェルタリ陛下に献上しよう。』
そうして、アズールは黄金に輝く季節外れの虜の果実を家にある1番上等な布に大事に包んで、家にある1番上等な捧げ物用の盆に乗せると陛下の御座す王宮へと向かいました。
王宮へは誰でも行く事が出来て、ネフェルタリ陛下には誰でもお会いする事が出来ます。しかし、用が無いと行ってはならず、そして陛下のご機嫌を損ねないように貢物を持って行くのが礼儀とされていました。
ジプシャが王たるファラオが全ての決定権を優先的に持っているからです。
例えば、良く陛下の下には商人が謁見しに行きます。新しい船の許可や、交易品を取り扱う権利の相談や、世界で見聞きした事を話しに行くのです。
『そこの者、何用で来た?』
『陛下に貢物を持って来ました。』
『若いのに関心だ。よし、通りなさい。』
門番を任されていたマミーの夫婦に通されてアズールは謁見の間に歩きました。
宮殿は外も中も美しく、荘厳な雰囲気でした。
『そこの者、暫し待たれよ。陛下がお話し中である。』
おどおどしながら、謁見の間に近づくと中から話し声が聞こえて来ます。
『……では、この国で扱うジパングの交易品は其方にまかせよう。』
『身に余る幸せでございます。』
『よいよい。アラビの貿易商には其方の高祖父のサウルより世話になっておる。今後とも頼む。……そうだ、アラビ王国に寄港した際はアブドゥル・マジード王とシェヘラザード妃にネフェルタリ4世がよしなにと伝えよ。』
『畏まりました。失礼します陛下。』
『うむ。……次の者、入って参れ。』
異国の商人との話が終わるとアズールに声がかかりました。
褐色の肌と金の髪飾りが美しい切り揃えられた黒髪。美しい顔には燃えるルビーのような目。豊かな胸に、美しさを彩る宝飾品。陛下が座る階段の上の玉座の横には紅い大きな蛇が陛下に撫でられていて、アズールが来るとその大きな蛇は静かに傅きました。
アズールはその美しい姿に見惚れて我を忘れてしまいました。
『?……其の方、どうかしたか?』
『あっ……はい……貢物を…………。』
『うむ……何を言っておるか聞こえぬ。其の方、近う寄り話すがよい。』
アズールは失礼の無いように、恐る恐る玉座の近くへと進み出ました。
『偉大るファラオであらせられるネフェルタリ4世陛下にはご機嫌麗しく。』
『楽にせよ。して、其方の望みはなんだ?』
『ありません、ネフェルタリ陛下。』
『では何用で参った?』
『貢物をお持ちしました。こちらを……』
アズールは玉座の手前で跪くと、包みの布を解き、盆をネフェルタリ陛下に差し出すように高く掲げました。
『おぉ、これは素晴らしい。……虜の実の果実か?しかし、今は春ではない。秋の収穫を終えた時期であろう。如何にして手に入れた?』
『はい。今日の朝、果物畑の手入れをしていたところ、木になっているのを見つけました。この奇跡の果実はきっと、陛下に味わって頂く為に生まれて来たと思うのです。』
『其の方の殊勝な心がけに感謝しよう。……では早速、食してみようではないか。』
ネフェルタリ陛下は黄金に輝く虜の果実を手にとり食べ始めました。その姿は美しくも官能的です。アズールは陛下を見てぼーっとしてしまいました。
じゅるっ……じゅっ……こくん。
陛下はファラオである事を忘れて艶めかしく果汁を啜りました。
『……これは!まことに美味である。今まで食べたどの様な物よりも美味であった。大義である。其の方、名は何と言う?』
『はっ、はい。僕はアズールと申します。』
『アズールよ其の方の名、覚えておこう。行政大臣!』
『はい。陛下。』
玉座の下に立っていた男に声をかけました。
『このような素晴らしい果実を私欲なく妾の下に持って参ったこの心の広い少年アズールに褒美を取らす。金貨と魔界銀貨をそれぞれ10枚ずつ与えよ。』
『はい。陛下。』(果実ひとつに金貨と魔界銀貨を10枚ずつだと?陛下のお戯れにも困ったものだ。)
アズールは行政大臣から金貨と銀貨を10枚ずつ入った袋を貰いました。
『陛下、まことに有難いのですが、使い道がございません。』
『それはまことか……。アズール、其の方は無欲な者だな。では、こうしてはどうだ?与えた褒美で農具をより良いものに変え、それを使い、妾の国の為により良い作物を育てよ。』
『畏まりました。陛下。』
『……また実が出来たら持って参れ。下がって良いぞ。』
アズールは家に帰る途中、城下町で陛下に言われた通りに新しい農具を買って帰りました。アズールは褒美よりもネフェルタリ陛下に会えた事を喜びました。
それから3日後……
『また実がなってる!陛下に差し上げに行こう!』
アズールはまた実ってくれた黄金に輝く季節外れの虜の果実を家にある1番上等な布に大事に包んで、家にある1番上等な捧げ物用の盆に乗せると陛下の御座す王宮へと向かいました。
『アズールとやら、もう実ができたのか?』
『ネフェルタリ陛下。今朝また奇跡の果実が実りましたので、お受け取りください。』
アズールは玉座の手前で跪くと、包みの布を解き、盆をネフェルタリ陛下に差し出すように高く掲げました。
それを受け取った陛下は黄金に輝く虜の果実を手にとり食べ始めました。
美しい陛下はますます美しくなっていきます。
『じゅるっ……。んーー。まことに美味じゃ。妾の身体と魔力が喜んでおる。これは本当に素晴らしい虜の果実である。行政大臣!』
『はい。陛下。』
『農夫の少年アズールに黄金の盃2つと水晶の水差し、それから白金の盆を与えよ。』
『はい。陛下。』(虜の果実ひとつに黄金の盃2つと水晶の水差しと白金の盆だと!?)
行政大臣は面白くありません。
『陛下、まことに嬉しいのですが、使い道がございません。』
『ではアズールよ、こうしてはどうだ?……其方に愛する者が出来たら其方と其方に愛される幸運な娘と一緒に使うが良い。』
『わかりました。陛下のお心遣いに感謝し、僕の宝とします。』
アズールは褒美を大事に持って謁見の間を後にしました。
『農夫の少年よ、待たれよ!』
すると、行政大臣がアズールに声をかけました。
『行政大臣様、どうかされましたか?』
『このままでは、次に貢物を持って来た時に銀の鞭打ち100回に処されるぞ!!』
(ふふふ……この愚か者を罠にはめて墓穴を掘らせてやる。)
『えぇ!!それはどう言う事ですか?』
銀の鞭打ちとは、魔界銀の鞭打ちで打たれる処罰の事です。それはそれは凄まじい暴力的な快楽で、人間の男であれば全身の力を奪われて処罰の後、執行官(独身お局魔物娘)の慰みものに。女であれば、即魔物娘に変わり、魔物娘であれば殆ど全ての魔力を奪われる。いずれにせよ絶頂を極めた姿をさらしてしまう恥ずかしくてつらーい罰の事です。
それはさて置いて、行政大臣の話が続きます。
『お前の目線がイヤラシイと陛下が御立腹である。』
『では、どうすれば良いのでしょうか?』
アズールは困ってしまいました。
『ベールでも付ければよろしい。それで大丈夫だ。』
『はい。どうもご親切にありがとうございます!』
『礼には及ばない。』(上手くいったぞ!これでこの茶番を終わらせる事が出来る!)
行政大臣の心の内を知らないアズールは彼に頭を下げて家に帰りました。家に帰ると陛下に言われた通りにするべく、褒美の品々を大切にしまいました。
『愛する者かぁ……。無理だろうけど陛下と使いたいなぁ……。』
アズールは太陽が西の国に旅立つ時、一番星にもう一度ネフェルタリ陛下に会えるように淡い願いをしました。
それから3日後……
『また実がなってる!陛下に差し上げに行こう!』
アズールはまた実ってくれた黄金に輝く虜の果実を家にある1番上等な布に大事に包んで、家にある1番上等な捧げ物用の盆に乗せると陛下の御座す王宮へと向かいました。
『おっと、ベールをつけないと。』
今度は王宮へ入る前に行政大臣に言われた通り、ベールを頭から被って謁見の間に入りました。
『ネフェルタリ陛下、また実が出来ました。王の果実です。お受け取り下さい。』
アズールはベールから僅かに見える景色を頼りに進み出て玉座の手前で跪くと、包みの布を解き、盆をネフェルタリ陛下に差し出すように高く掲げました。
陛下は黄金色の虜の果実を艶めかしく食べました。
『ちゃぷっ……。んーー。まことに美味じゃ。香りといい、この蕩けるような甘さと良い、これは本当に素晴らしい虜の果実である。アズールよ盆を置き、手の平をこちらに。』
アズールは伏したまま、陛下に手の平を出しました。
『其方の広い心と妾への忠誠に褒美を取らす。』
すると、アズールの手の平になにやら小さい玉のようなものが乗りました。星粒のように輝いています。
『陛下、これは何でしょうか?』
『先程まで妾が耳につけていた真珠の大粒だ。世の王子が妾の前に幾ら財宝の山を積もうと、幾ら口説こうと手に入れられぬ。大切にせよ。』
『ありがとうございます。僕はこれでいつでも陛下を想う事が出来ます。』
アズールにとって今までで1番の褒美でした。
(ただの果実ひとつに国1番の名誉……しかもあの真珠の大粒は国一つ買える程の宝ではないか!ええい、腹立たしい!!ことごとく上手く行かないとは!!)
行政大臣はいよいよ面白くありません。
アズールは陛下から貰った真珠の耳飾りを大切に手の中で握りしめ家に帰りました。
『ところで行政大臣。アズールは何故ベールを被っていたのだ?』
『申し訳ありません。それを陛下に申し上げれば、私が処罰されてしまいます。』
『その逆だ。正直に言わぬと其方を処罰する事となろう。』
『陛下、どうかお赦しください!』
行政大臣はネフェルタリ陛下に地面に伏して大袈裟に赦しを乞いました。
『良いから聞かせよ。』
『畏まりました……。実は……あの見下げ果てた小僧が言うに……陛下のお身体が……その……だらし無く見るに堪えないと……。』
(傲慢な陛下の事だ。怒り狂うのが目に見えるようだ。)
『なっ!……うむ、並の若者では無いな。肝が座っておる。次に来たら褒美を取らすとしよう。』
(くぅう!!これも上手く行かないか!!!)
そうしてまた3日後……
アズールは虜の果実を貢ぎにやって来ました。今回も行政大臣に言われた通り、頭からベールを被っています。
『陛下、王の果実をお届けに上がりました。どうぞお受け取りください。』
陛下は黄金色の虜の果実をしどけなく食べました。
『ちゃぷっ……。んーー!心地よい甘さだ。よく熟れておる。これは本当に素晴らしい虜の果実である。……しかし、其方はこの果実を自身で食そうとは思わないのか?』
『その黄金に輝く虜の果実はネフェルタリ陛下のものでございます。僕のものではありません。』
『其の方の忠誠心に妾は大いに感心した。……誰ぞ、ペンとインク、それにパピルス(大昔の紙)と王印を持て。』
陛下がパン!……と手を叩くとケプリの侍従がやってきてペンとインクとパピルスと王様の印鑑を持って来ました。
サラサラ、サラサラ……サラサラサラ……
『アズールよ、褒美を取らす。書簡を持ち宝物殿へ行き、そこでこの書簡を宝物殿を守るアヌビスの神官に渡すがよい。』
『陛下、ありがとうございます。』
(くっ!これ以上好きにさせてなるものか!そうだ、褒美を横取りしてくれよう。)
アズールは宝物殿へ続く長く綺麗な中庭を歩いていると行政大臣に声をかけられました。
『農夫の少年アズールよ、待たれよ!』
『これは行政大臣様、いかがしましたか?』
『陛下がお前に取らす褒美とは、銀貨の入った袋3つである。宝物殿へ行くのは時間の無駄だ。』
行政大臣は銀貨が入った袋をアズールの足元に投げました。
『行政大臣様、ですが陛下はこの書簡を宝物殿の神官様へと仰せです。それに金貨を頂いたところで使い道はありません……』
『何を言う!其方にはネフェルタリ陛下の為に王の果実を育てる役目があるだろう?それに陛下はその金貨で牝牛を30頭買い、陛下の為、またジプシャの民の為にお前がより良い作物を育てる事をお望みだ!』
『わかりました行政大臣様!そういたします。ご親切にどうもありがとうございます。』
『うむ、書簡は私が渡しておこう。』(しめしめ、これで大金持ちだ!!)
アズールは行政大臣に感謝して、城下町で牝牛を30頭買い連れて家に向かいました。
『これは神官殿、ご苦労である。陛下からの書簡をお持ちした。』
『行政大臣様、それは恐れながら拝見いたします。』
アヌビスの神官は書簡を受け取り、そして読みました。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
宝物殿の神官に告ぐ
この書簡を持って来た者を
封印の柩 30年の刑に処せ。
ネフェルタリ4世
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
『これは……!!』
『どうかしたか神官殿?』(やや、これは余程の褒美に違いないぞ?)
『陛下からのご命令、しかとお受け取り致した。行政大臣様、どうぞ宝物殿へ。』
(さてさて、どんなお宝があるのやら……)
『行政大臣様……お覚悟を!!』
『ん!?これはどういう事だ!!!……うわぁぁあああああ!!!!!!!』
それから3日後……
『はぁ……あの農夫の少年には暫く会えんのだな。……それも致し方ない。』
ネフェルタリ陛下がため息を吐いていると、謁見の間に誰かが来たようです。
『ネフェルタリ陛下、虜の果実をお持ちしました。陛下の為に生まれた黄金に輝く王の果実をどうかお納めください。』
跪くアズールを見てネフェルタリ陛下は驚いています。
『こ、これはどういう事だ?……行政大臣はおるか?……これ、行政大臣!』
辺りはしんとしています。
『そういえばこの所、行政大臣を見ておらぬ。……誰ぞ神官をここに呼ばれよ。』
すると暫くして神官のアヌビスが入って来ました。
『偉大なるファラオ、ネフェルタリ陛下にはご機嫌麗しく……』
『挨拶は良い。それより、其方は命令に反したようであるが、何故そのような事をした?』
『??陛下、わたくしはご命令通りに致しました。』
アヌビスの神官は小さく呪文を唱えると、杖の先から光が出て、壁に絵を映しました。大きな柩が映っていて、ぐちゃぐちゃと音を鳴らし、時々ガタガタと震えています。
『これは……』
『ご命令通り、行政大臣を中に封印致しました。信ずる証はここに。』
アヌビスの神官は行政大臣が身につけていた着物と杖を取り出しました。
『うむ……。どういう事か、誰ぞ説明致せ。』
『では僕が説明します。』
『ではわたくしも。』
アズールと神官は自分に起こった事を説明しました。
『なるほど、すると卑劣な行政大臣が妾とアズールを欺いたか。あの者は当然の報いを受けた訳だ。』
『陛下、行政大臣はどうなったのでしょうか?』
『封印の柩の刑は、罪人に弱体化(ショタ化)の呪いとマミーの呪いに永続術式を施し、触手の入った柩に封印する罰だ。行政大臣はアシュマール人の移民で確か未婚で人間のままだ。人間であれば3日と持たずにインキュバスになるであろう。今頃は柩の中で魔物娘テンタクルとなった触手と仲良くしてよう。安心せよ。其方が気に病むことはない。』
話し終えるとネフェルタリ陛下は腕を組み考え事をしました。
『うむ……。しかしあの者が忠誠心に欠け、妾を良く思っていない事は知っておったが……優秀だったのでな?行政大臣として重用したのだが……さて困った。行政大臣が居ないと不便じゃ。…………そうだ、アズールよ。其方は読み書き計算はできるか?』
『はい。父上がユタ人でしたので、読み書きは一通り、計算は複式簿記まで教わりました。』
『よろしい。では、アズールよ。其方を行政大臣に任命する。……これ、何をしておる?その果実は其の方が食すのか?』
『いえ、そんな!これはネフェルタリ陛下の果実です。』
アズールは跪いて虜の果実を陛下に捧げました。陛下はクスクスと悪戯に笑うと黄金に輝く虜の果実を食べました。
『んーー!本当にこれは……じゅるっ……しゃくしゃく……美味なる果実である。甘さといい、香りも絶品。行政大臣よ大義である。』
『ありがとうございます。』
こうして正直者のアズールは行政大臣となり、ネフェルタリ陛下を助けて共にジプシャ王国を良く治めました。
めでたしめでたし……。
『む〜〜……そこまでは幾度と聞いておる。母上、妾はその後が知りたいのじゃ!』
『おやおや、ハトシェプストよ。其方にはまだ早いであろうに。』
『母上と父上が夜毎にしておる事、妾にもわかっておるのじゃ。アラビのサロメ姫とも毎晩会って話しておる。アブドゥル王とシェヘラザード妃は父上と母上とも勝てずとも負けず劣らずに中睦まじいと聞く。それでどうなったのじゃ?母上、母上!教えてたもれ!!』
『うむ……サロメ姫と毎晩か。空間魔法か?時間魔法か?どちらにせよ特一等高等魔法術式の無駄遣いも良いところだ。アラビの名君アブドゥル王も娘に苦労しておると見える。』
『ネフェルタリ様、良いではありませんか。僕たちの娘、ハトシェプストももうそろそろ知っても良い頃です。』
『父上〜♪』
『アズール。其方は娘に甘いな。ふぅ……我が娘ながら悪いところばかり妾に良く似ておる。仕方ない。まぁ……少し恥ずかしいが話してやろう。』
さて……どこまで話したか。
『父上が行政大臣になって母上に召し抱えられたところまでじゃ!』
おぉ、そうであったな。
コホン……そうして行政大臣になったアズールはネフェルタリ陛下に王宮に住むように命じられたので、そのようにしました。
アズールは行政大臣となった後も王宮の裏庭で畑仕事をしました。そこにも虜の果実の木があるのですが、不思議な事に実のなる季節ではないのに3日にひとつ黄金に輝く虜の果実をつけました。
ネフェルタリ陛下は奇跡の果実を食べてますますその美貌に磨きをかけました。
『行政大臣はおるか?』
『はい。陛下。』
『其方は妾とジプシャの為に良く働いておる。前任者よりも優秀であるぞ?』
『ありがとうございます。ですが、もっとお役に立てればと思います。』
『うむ。其方は謙虚であるな。……誰ぞペンとインク、それにパピルスと王印を持て。』
サラサラ……サラサラ……サラサラ……
『これは其方への命令書である。』
『謹んでお受けします。陛下。』
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
アズール行政大臣に告ぐ
日が沈んだら
身を清め
妾の寝室に来い。
ネフェルタリ4世
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
命令書を読んだアズールは顔を真っ赤にしてしまいました。
『行政大臣よ、如何したか?』
『いいいいいえ陛下!なんでもありません!』
『ふふふ……では確かに命じたぞ?』
そしてその日の夜、アズールは身を清めてネフェルタリ陛下の寝室に行きました。
『ネフェルタリ陛下、アズールです。』
『待ち侘びたぞ。入って参れ。』
『失礼します。』
アズールが入るとゆったりとした上等なリネンのシース(布一枚をワンピースドレスにしたもの)を身に付けたネフェルタリ陛下が華美な刺繍の入った敷き布の上で優雅に座り、アズールを誘うように手招きをしました。
アズールは陛下の美貌にすっかり当てられて、松明の灯りに誘われる羽虫のようにふらふらと歩みよりました。
『ん?妾と同じ麝香の香りか……其方は気が効く。さて……アズールよ、お前の働きと忠誠心とに褒美を取らす……』
ネフェルタリ陛下は鷲の羽根を象ったシースの留め金を外しました。
纏っていた取り払われ、アズールの前に現れたのはこの世のものとは思えない"美"そのものでした。
紅をさして熱を帯びる絹のような肌
豊穣の女神のような豊かな胸
なだらかな曲線を描く腰
イルナ川の恵みを思わせるまろい尻
思わず頬を擦りよせたくなる脚
体臭と混ざり合った麝香の香り
ルビーの瞳
ぽってりとした柔らかい唇
その全てがアズールを誘っていました。
『褒美は妾だ……高貴なる王族に其方の血を混ぜるその栄光に震えるが良い。"ネフェルタリの名において命ず、跪き妾の脚を舐めよ"』
『お、仰せの……ま……ま……に…………』
ファラオの命令にアズールは跪き、陛下の脚を舐めました。脚の裏、指の一本一本、指の間、内股、余すところ無く愛おしむように丁寧に丁寧に舐めていきます。その度にネフェルタリ陛下は鳩の鳴くような声を上げました。
『んっ……んんっ……❤良いぞ❤アズール❤良い気持ち❤んんんっ❤❤』
そうしてネフェルタリ陛下はアズールの舌の味をひとしきり楽しんだ後、アズールを抱き寄せ頭を撫でました。
『ふふふ♪……本当に其方は愛い。愛いぞ。』
アズールは頭がポワポワしています。ただただ幸せでした。
『"ネフェルタリの名において命ずアズール……妾を欲せ……妾を愛せよ……妾に永遠の愛を誓えよ……さぁ……妾に睦事を囁いておくれ……"』
ネフェルタリ陛下はアズールの耳元で王の言葉を囁きました。眼は暗く淫らに歪んでいます。陛下は"王の言葉"をでいたずらに人心を操る事を嫌っていますが、アズールを愛おしく想うあまり、想いを抑えきれない状態になり、手段を選んではいらないのです。
『……は……い……僕は……陛下……ネフェルタリ……陛下……の……!!!いや!……だ!……こんなの……いやだっ!!!』
なんと!アズールは王の言葉に抗いました。
『なぜ……"王の言葉"が効かぬ!?アズールよ!なぜ……なぜ妾を拒む!?』
『ネフェルタリ陛下……ネフェルタリ陛下、どうか僕の話を聞いて下さい。』
アズールは息も絶え絶えに話します。
『嫌じゃ!聞きとう無い!!……アズール、もう良い、去れ!……其方が妾のものにならぬのなら、妾は……妾は……っ!!』
ネフェルタリ陛下は見た事も無い程、悲しみ、取り乱しています。
『ネフェルタリ陛下……ご無礼をお赦し下さい……』
アズールはネフェルタリ陛下の唇を奪いました。
舌を絡ませ合うとても情熱的な口付です。ネフェルタリ陛下の心が蕩けていくようです。
『陛下……僕は、陛下をお慕いしてます。一目見たその時から……好きです!大好きです!!愛しています!!!』
少し落ち着きを取り戻したネフェルタリ陛下にアズールは真剣な眼差しで言いました。
『う、嘘……では何故、妾の王の言葉に従わなかったのだ!?』
『……僕自身が僕自身の意思で陛下に伝えなくてはいけない事だからです。これだけは絶対に……。陛下の王の言葉に頼り、従うのは簡単です。実際、従いそうになりました。でも、それでは陛下は納得しません。僕の心を操ったとずっと後悔してしまいます。違いますか?』
『それでも……それでも、妾は其方が欲しいのだ。幾百年、国を母君から継ぎ受け、妾は一人であった。孤独を友とした……。だが妾は突然現れた其方の事を何としてでも手に入れたくなった。如何な事をしても……どうしても……』
ネフェルタリ陛下はアズールの少年らしい小さな胸の中で少女のように泣いています。
『我が儘を言ってすみません。ですがやはり、愛するお方に後悔をして欲しくは無いのです。王の言葉など使わずとも、僕はネフェルタリ陛下のものです!』
『あぁ……アズール……アズール……!!』
瞳の闇は無く、陛下は宝石のような涙を流しまさした。
『ネフェルタリ陛下!!』
アズールはネフェルタリ陛下を優しく押し倒すと再び唇を奪いました。
舌を絡ませて、くちゃくちゃといやらしい音が聞こえてきます。
口付けの中でネフェルタリ陛下は心地よい味を感じました。あの季節外れに実った黄金に輝く虜の果実の味でした。どうやらあの虜の果実の正体はアズールの魔力……もといアズールの好意の結晶だったようです。虜の果実の木がアズールの陛下への想いに応えてくれた特別な果実。ですからアズールが王宮に来てからも木は虜の果実を生み続けていたのです。
『アズール……どうやら其方は本当に最初から妾の事を……』
『はい……。』
暫しの沈黙が2人を包みました。
すると陛下の腰にアズールの情熱の象徴が当たっていました。
『アズールよ……其方は妾が欲しいか?』
『はい!!……欲しいです。』
アズールは顔を真っ赤にして答えます。
『妾も其方が欲しい。……きておくれ。』
ファラオの強大な魔力に晒され続けたアズールの分身はガチガチになっていました。
アズールはネフェルタリ陛下の秘部に腰を沈めました。
『『あぁぁ…………』』
アズールは純潔を陛下に捧げ、陛下は処女を散らしました。
2人の口から震えるような息が漏れ出しました。すでに2人の結合部は愛液でぐちゃぐちゃになっています。理性の糸が同時に切れると、発情し切った目を互いに向け合い、動物的な交わりが始まりました。
『ぁあ"っ❤ひっ❤いい"っ❤』
『へいかぁ!へいかぁっ!!』
結合部から湿った音と腰を打ち合う乾いた音が部屋中に響きました。すると間も無くアズールの息が荒くなり、小刻みに体が震えています。名器の中の名器に先程まで純潔だった少年がそう長く持つはずもありません。
それはネフェルタリ陛下も同じで、快楽に翻弄されて小刻みにびくんびくんと体を震わせていました。細かな絶頂がずっと続いています。
『へいかぁ!!でちゃう!でちゃうよぉ!!』
『お"っ❤お"❤お"❤お"❤❤……めいれいであるぅ!!……わらわっを"っ❤❤孕ませ"よ"っ!!』
鼓動が早くなるように、打ち付ける腰も比例しています。アズールはネフェルタリ陛下の腰を持ち上げ、ネフェルタリ陛下はアズールの腰に脚を回して締め上げました。
びゅぅっびゅぅっびゅどぴゅぅどぴゅぅびちゃびちゃびちゃっっ!!!
『『ぁぁぁあああああああああ❤❤❤❤❤』』
2人は絶頂を極めました。
精子がネフェルタリ陛下の子宮に勢いよく流し込まれました。ネフェルタリ陛下の秘部は一滴も逃すまいとポンプのように蠢き、陛下の脚はアズールね腰をしっかりと押さえ付けています。
アズールはネフェルタリ陛下より身長が低いので、交わりの中で愛しの陛下に口付けする事が出来ません。その豊かな胸に顔を埋めてしまいます。強過ぎる快楽から逃れるように、アズールは陛下の乳首を甘く噛み締めました。結果としてネフェルタリ陛下は膣を甘く締め上げてアズールに更なる快楽を与え絶頂が引き延ばされます。
陛下は絶頂の中で甘えるように縋り付くアズールの頭を愛おしく撫でました。
こうして2人は永遠に結ばれ、ハトシェプストという何にも代え難い宝に恵まれ、よく国を治め、いつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
『ほほぅ♪……母上、やりおるのぉ♪』
『やっぱり恥ずかしいですね陛下。』
『……顔から火が出そうだ。ハトシェプストよ満足か?』
『はい母上♪……ところで、父上が少年の姿のまま歳をとらないのは母上の趣味かえ?』
『ほれ、もう休むがよいっ!!』
………………
『ふぅ……ようやくハトシェプストは夢の中に旅立ったようだ。』
『えぇ、愛らしい寝顔……』
『そうだな。……しかしまさか、あの時褒美にやった金の盃と水晶の水差しと白金の盆を毎日自身で使おうとは思わなんだ。』
『ふふふ……陛下。僕は幸せです。愛しています。』
『妾も幸せだ。……さぁ乾杯といこう。そして今夜もまた妾を愛しておくれ。』
カラン…………
おしまい。
19/05/31 11:26更新 / francois