第3章 目覚めよと呼ぶ声がして



太陽と月の間、橙色の空を3人の魔物が飛んでいる。美しい女性の姿だが、頭からは大きく捻れた角が、腰の付け根からは黒くてしなやかな尻尾が生え、背中の蝙蝠の様な大きな羽を羽ばたかせ、音もなく風を切っていた。

『サラ隊長〜なんでこんな時に斥候なんですかね〜』

1人の隊員が不満タラタラに頬を膨らませて剥れている。

『しょうがないのよ！国境線沿いでドンパチやってるんだから。不可侵条約を結んでいるけどこっちに来ないとは限らないでしょ？文句を言わない！ダラダラ飛ばない！キビキビ働く！』

『うへ〜〜』

『...なんで飽きもせずに戦争を続けるのでしょう？』

もう1人がそう呟いた。

『私たちとは考えが違うんだよ...悲しいけどしょうがないさ...そろそろポイントに近づく。高度を下げるよ！』

『『了解(〜)』』

斥候のサラ隊長が号令をかけると静かに高度を下げ、見つからないように気をつけて進む。


しばらく飛ぶと、彼女達は戦場跡を目にした


『…...』

『なんだ...これ.....』

『うぷっ........』バシャ...ビチャビチャ

『おい！大丈夫か⁉しっかりしろ‼』

彼女達が目にしたのは、凄まじい光景だった。充満した血と鉄の灼ける匂い。野に積まれた夥しい数の死体、死体、死体。地面は血糊とモノや人が焦げた跡でさながら赤い絨毯のようになっていた。

1人が激しく嘔吐している

『…人間同士や人間が相手の戦争では稀にこういう事が起こるんだよ。お前達はまだ100年そこそこしか生きていないから、ショッキングだと思うが...これは私から見ても酷いな...』

『こんな事って...‼』

嘔吐している仲間を支えながら、目の当たりにした惨状に対しての怒りを訴えている。

『お前がそう言いたいのも、納得がいかないのも解る。でも、私も聞いた事しか無いが、今の魔王様が代替わりする前の旧時代は私たち魔物も人間と同じ様に魔物同士や人間と戦争してたんだ。強くは言えないんだよ...』

サラ隊長は彼女をなだめると、2人に向かって話し始めた。

『お前達と私の仕事は、コレを私たちの国で起こさない様に、二度と繰り返され無い様に全力を尽くし、与えられた任務を遂行することにある。飛べるか？ 』

2人は小さくうなずくと、立ち上がった。

『よし、周辺の様子を確認して少しでも多くの情報を集めよう。通信魔法を使用。魔力周波数は8.0とする。夜間はカメラが使えない。作戦行動は完全に日が沈むまでが勝負だ。』


『『了解‼』』


3人は飛びたった。


通信魔法で思考を伝達し、カメラで戦場跡の様子や打ち捨てられた兵器や道具などを記録していった。

地平線に日が沈む頃、記録が終わり、引き上げようとしたその時


ターン.....



『！？』

(銃声を確認！近くです。)

(私も確認しました。隊長は？)

(確認した。ポイントαに集合。まだ近くに兵士がいるかもしれない。気をつけろ。集合したら地上に降りる。)

((了解....))

彼女達はポイントに集まると周囲を警戒しながら銃声のした方角へと進んでいく。クラーヴェ帝国が陣を敷いていた、辺りを見渡せる開けた場所だ。



(銃声がしたのはこの辺りのはず...隊長！誰か倒れてる！)

(待て！戦闘の可能性がある。索敵魔法使えるか？)

(やってみます！)

目を閉じ、集中すると詠唱を短く唱える。

(...終わりました。念のために熱感知も掛けましたが、周囲に動態反応は無いようです。)

(確かか？)

(はい。ラミア種程の熱感知制度はないですが、確かに。)

(...解った。もし生存者なら救助を最優先！)

3人は倒れている兵士に近づく。

(…まだ子供じゃないか...胸を撃ち抜かれているぞ！)

少年兵の首から識別証のメダルが光る

...？ヨハン・エーデルバ

(隊長、準備出来ました！メディカルセット起動。魔力波スキャンを開始。…隊長！この子まだ生きてます！)

(本当か！？よし、応急処置開始！)

(弾が心臓を逸れてます。貫通してるみたいです。止血開始します！)

彼女は少年兵の胸の傷に手を当てると呪文を唱えた。緑の優しい光が少年兵を包む。

(止血完了しました。ですが血が足りないです。対象は未だに意識不明。出血が多かったのか体温も低い...)

(...現在を持って作戦終了。大急ぎでその子を連れて本部に帰るぞ！)

((了解))

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『ー 以上が報告になります。』

大きな建物の一室で、斥候の隊長が報告をしている。彼女の前には、報告を聞く軍の上官と一緒に、各機関の責任者がずらっと並んでいる。

肝心の彼女は

(何で、こんな偵察任務の報告にこんな偉いさん方がきてるのよ!?)

とか思っていた。

するとラミア種の大臣が口を開いた

『サラ・クラレンス少尉。保護した少年兵の事だけど、少し問題が…』

『識別証の事ですか？』

こんどはサキュバス種の長官が答える

『ええ、そうよ。戦場の悪魔、暗黒大隊長、ヨハン・エーデルバッハ中佐...あの戦場で防衛戦を指揮したクラーヴェ帝国の指揮官よ。識別証記載の血液型とも一致したわ』

(しかも今年で30歳って...合法ショタ！)

『だとしたら、』

『ゲフンゲフン....そうね。あの子があの戦場でコレをやったた事になるわね。そして恐らく、彼を保護した場所と状況から推察するに彼は仲間に撃たれた事になる。あらゆる意味で扱いには注意が必要ってことよ』

『そうですか...』

話はわかったわ...

どこからか声が議会室に響くすると、空間が歪んで捻じ曲がり、その中から真っ白な悪魔が出てきた。

カルミナ様！！

するとカルミナと呼ばれたその白い悪魔は、優しく微笑むとそこにいる者全員が心を奪われる感覚を覚えた。

『ハッ、...カルミナ様！国母様がなぜこの様な所に？しかもまた派手な格好で...』

いち早く我に戻った大臣がカルミナと呼ばれた白い悪魔に問いかける。カルミナは銀の髪をオールバックに纒め、背中がパックリと割れたタイトな白いドレスを着ている。ひとつひとつの動きが優雅で艶かしく、見る者の心を掴む。

『う〜ん...単純に、そのヨハンくんに興味があるから...かな？それに...私との話が終わったら、ミラ少尉が軍法通りに捕虜である彼の処遇を決めればいいわ。たしか...貴方の部下ちゃん2人共まだ旦那様いないんでしょ？彼は自分の国に戻れないし』

『は..い...じゃなくて、了解しました！』

『よろしい。いまはこのリリムである私に任せておきなさい。お母様の名にかけて悪いようにはしないわ。じゃ、後のことは任せたから！』

そう言うとカルミナは消えてしまった。
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1週間後。ヨハンが寝ている病室では、反魔国家や主神教国では考えられないような最新の医療技術が使われていた。魔法や錬金術、最新の機械技術が混ざりあっていた。

その警備の厳重な病室に通された真っ白な夢魔、リリムは珍しいものを見る子供のような笑顔でヨハンの寝顔を見ている。今は彼をビックリさせないように角と羽と尻尾をしまっている。

『だいぶ回復したわね。』

すると彼女は彼の胸に手を置き

『目覚めよ...』

と一声掛けた。すると、彼女の声に答えるようにヨハンの目が薄っすらと開いていく。彼の目がカルミナを見る。

『...天使..さま...?』

カルミナはキュンと心臓が高鳴るのを感じた。自分の事を天使と呼ぶ天使にときめいていた。思わずにやけそうになる頬を気合いで押さえて少年に問いかける

『気がついた？気分はどうかな？』

ヨハンの頬に手を添えて語りかける。

『...生きてる？ここは天国か地獄じゃ？僕は...死んだ筈じゃ...』

『安心なさい。生きているわ。』

ヨハンの顔がどんどん青ざめていく。

『何で...

『？』

『何で生きてるの！？...僕は...』

ギギギ...と軋む音が聞こえる。ヨハンは無理やり体を動かそうとしている。負の感情に作用されてか、魔力も漏れている。

『ちょと…あなた！まだ動ける身体じゃ..

バリン！ 漏れ出す魔力によりフラスコが弾け飛んだ。

『あぁ！もう！』

〜清かなる闇よ彼の者の心を鎮め理を表せ〜

短く呪文を詠唱するとヨハンの額にキスをした。すると漏れ出していた魔力が収まり、彼の体から力が抜けて目がトロンとして焦点が合わなくなっていた。

『...!?...なに..を..したの？』

カルミナはヨハンをベッドに押しつつ答える

『大人しくなって、素直になる お・ま・じ・な・い♬』

いつの間にか、カルミナは本来の姿に戻っていた。

『...まも..の..？』

『ええそうよ。私はカルミナ。魔王の娘。』

『どうして..僕を..助けたの？』

『魔物だから。...さっきの言葉だけど、『何で生きてるの？』ってどう言うこと...？』

穏やかだが、そこには静かな哀しみが含まれている。

『僕は..死ななきゃ...いけない…あの時..あの夕焼けで。あれは..絶対に..逃れられない..抗えない...死だったんだ...なのに...。...あの戦争で..僕がなにをしたか...

『えぇ、知っているわ。クラーヴェ帝国陸軍第1師団3番大隊長、ヨハン・エーデルバッハ中佐くん。』

『はは...知ってて..僕を助けたの？』

『そうよ。』

『僕は戦場の悪魔だよ？勝つ為に...敵も..味方も...たくさん..たくさん...殺した..。あの時、大尉さんが...僕を...撃ってくれたんだ..』

『どうして、太尉さんはそんなことを？』

ヨハンはカルミナの瞳を見つめ、ゆっくりと口を開いた

『僕が..6歳の時...戦争で家族が死んだんだ...。僕は..隣町の教会にいて無事だったんだ。...帰ったら、村は真っ黒の瓦礫の山で...家があった場所で両親と小さな妹が焼けていたんだ…』

『うん...』

ヨハンは心の中を少しずつ紐解いていった。

『それから...隣町の教会の孤児院に入ることになったんだ...。太尉さんとは長い付き合いで、孤児院の3つ年上のお兄さんだったんだ。そして、僕が12歳の時に、太尉さんは士官学校に入ることになった。』

自分でも今まで話さなかった心の奥を、抱えていた痛みを吐き出して。

『僕もみんなを守る兵隊さんになりたくて、士官学校に入った…。卒業して、戦争が始まって士官として戦争に行ったんだ。』

カルミナは静かに聴いてる。ヨハンの透き通るような金色の瞳からは涙が滲んでいる。

『何年も続いた戦争だったんだ…敵も味方もバタバタ倒れていった…上官の命令する無鉄砲な作戦でみんな死んでいった。ある時その上官は自分の副官を気に食わないから撃ち殺したんだ...それで、僕はその上官を撃った。それから、僕は作戦を考えてみんなを指揮して、どうにか生き残ることができたんだ。』

『うん...』

『指揮官になって...戦った。もう、失うのはいやだったんだ。みんな守る為に…手段を選ばなかっんだ...いや、手段を選ばないことを選んだんだ。勝つ為に何でもやった。汚い事も平然と...それでだんだんおかしくなったんだ...人を殺しても何とも思わなくなっていったんだ…』

彼のその小さな声はもはや悲鳴にも似通っていた。

『いつだったか...戦争が終わった時に、太尉さんにお願いしたんだ…僕が壊れたら...僕がバケモノになる前に、僕を殺してって...』


カルミナはヨハンを抱きしめた。


『キミは今まで1人で頑張ったんだね…辛かったんだね…』

力の無いヨハンの身体が一瞬強張ったが、すぐに抵抗が無くなると、まるで堰き止められたダムの様にポロポロと涙が落ちた。


『カルミナお姉さん...優しいんだね…でもね...僕...もうとっくに壊れてるんだ。わかるんだ…僕はいつかね...人の心を失くしたバケモノになってしまう…あの戦争の、あの有様をまたきっと作ってしまう。村を焼いて、街を焼いて、いつか国１つを焼いてしまう。だから...だから今度こそ僕を殺し

『私はあなたを死なせないし、バケモノにもさせない...でもね、それは死んで楽にもさせないし、逃がさないってこと。』

カルミナはヨハンの言葉を遮ってそう言うと、聖女のような微笑みを浮かべてヨハンを見つめる。すると空中に黒い霧が生まれて、それは急速に集まり黒い球体を形作ると、ヨハンの影に入っていった。

『あなたには、今まであなたの為に死んでいった仲間や、あなたが殺した人の分まで幸せになってもらうわ…あなたが望まなくても。それが償いよ』

ヨハンの影からゾルゾルと蠢めく、闇を形にした様な触手が伸びてきた。

『...残酷だね』

ヨハンは光を失くした目でカルミナを見る

『魔物はみんなやさしくて、残酷なの...』

唇を奪うカルミナ...ヨハンは力なく抵抗もせずに受け入れる。

『ん…ちゅ…はっ…♪』

『あっ...や...ぁ.....』

舌、歯茎、口の中のありとあらゆる場所を蹂躙される。その間に身体中を蛇の様に這い回る触手により、まるで闇に溶けるように着ていた服が無くなって、あっと言う間に丸裸にされてしまった。彼の子供のままの小さい身体は自らの影からのびる触手により空中に磔にされてしまった。

『ふふ…かーわい〜...女の子みたい』

『そん…な......あぁっ…！』

触手により、無理やり足をこじ開けられる。カルミナの美しい白魚の様な手が彼の男根に触れる。ただ触れただけなのに耐えがたいほどの快楽が走る。クチャ、クチャとカルミナの手から水が漏れるおとが聞こえてくる。

『濡れてる..❤』

カルミナの手にあわせて、ヨハンが鳩の鳴く様な声を上げる。

『ああ...んっ...ああああぁぁぁ』

『きゃ...！』

ヨハンの瞳がチカチカと虚空を見つめ、身体を痙攣させた。カルミナは手中で弾けたヨハンの精子まみれの男根に唇を近づけると

『あらら...もったいない...んちゅ...❤』

『はぁー...はぁー.…ああぁぁ』

まだ痙攣が続く敏感なヨハンの性器を口の中に放り込んで、まるで飴玉を転がすようにチロチロと弄び始めた。耐え難い、苦痛にも似た暴力的な快楽に抵抗も出来ず、ただただ磔にされた身体を震わせるしかない。

『ぁあ..早く...や..ひぐ…コロし…て…いぁ…』

ちゅぽん…

『...まだそんなこと...聞き訳のない子には...お・し・お・き ♪ しちゃおっかな ❤』

リリムの銀灰色の瞳が妖しく光ると、ヨハンを磔にしていた闇色の触手のうち、何本かが集まり、にじりより、まとまって1本の太い触手になった。それはまるで...

『どう？おちんちんみたいでしょ...?』

彼女が何を考えているか、容易に想像出来る。ヨハンは拘束されている手足を必死に動かそうともがくが、それは徒労に終わる。

『...そんなの...や...だ...』

『ふふふ...大丈夫...ちゃんと気持ち良くして あ・げ・る ❤』

カルミナはその凶悪な触手を撫でると、触手の先からドロリとした黒い液体を出し、触手全体にまんべんなく塗りつけた。触手は巨大な蛇の様にスルスルと滑らかにヨハンのあし
を這い上がり、彼のアヌスを探り当てた。

『...ゆる..して...』

『だぁめ ♪』


ズッ...ズズズズズズ...ずるん！！


『あああああぁぁぁぁぁ...！！！！』


ヨハンの中に触手が容赦なく入り込んだ。ずるんと入った触手を見て、カルミナはすこし不思議そうな顔をしている。

『...ん〜...もうちょっときついと思ったんだけど...』

カルミナは不意に人差し指を曲げた。するとそれに応えるように触手がヨハンの中で曲がり、這いずり回った。

『ああぁぁ！いぁぁ...はひっ…！！』

『やっぱりね〜あなた...経験あるんだぁ♪...軍隊だもんね❤...ヨハンくんは女の子みたいで、かわいいからモテたんじゃない？』

『やっ...あっ...感じたく…な..あぁぁ！！?』

黒いドロドロを潤滑油にして触手が弱いところを執拗に探している。そして、すぐに探り当てて執拗に責め立て始めた。ヨハンは悲鳴とも嬌声ともいえない声を上げていた。

『ねぇ...落ちちゃいましょう？...だってこんなに気持ち良さそうだもん...私と一緒に幸せになろ❤』

腸内のコリコリとした部分...俗に言う前立腺の部分を何度も何度も執拗に輸送を繰り返された結果、ヨハンの男性器からは透明な液体が止めどなく滴り落ちている。

『ふふふ♪...んぁ...んちゅ❤』

カルミナはヨハンの男性器を再びぱくっ...と咥え込んだ

『ーーーーーーーーーーーーっ…！！！！』

声にならない悲鳴を上げて、身体を痙攣させながら精を放つ。その間もグチャグチャと艶かしい音を立てて触手が彼の中を貪っている。出しては黒い触手の出すドロドロのせいか、すぐさま回復しては出しての繰り返しになっている。

『ぷっは...ご馳走さま❤...そろそろかな？』

『ひぃ...あ...ぁ...ぁぁ』

カルミナはヨハンの耳元で囁くように

『あなたのお尻、触手ちゃんも気持ちいいって♪あなたの中でだしたいって…』

『なに…？出すって…？』

『さっきの黒くてドロドロしたやつ♪あれは、私が作り出した高エネルギーの魔力の塊なの。1発でインキュバスになっちゃうんだから♪今までとは比べものにならないくらい気持ちいいわよ♪』

『い…やだ…やだ…』

触手がいっそう激しく動き、ヨハンは快楽にただ反応する事しかできない。すると触手全体が膨らみ始めた。

『ふふふ…諦めて幸せになっちゃいなさい❤堕ちなさい❤堕ちゃえ！堕ちゃえ！堕ちろ！堕ちろ！堕ちろ！！』

『いや…あっ.あっ.あっあっあぁぁぁぁ！！』



ビュルルルルルルルル！！！



『んああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ❤❤❤』


ヨハンの小さな身体の中に、触手からでる闇色の粘液が容赦なく注ぎ込まれた。それに合わせて応えるようにヨハンの男性器からドロリと精液が弾け、カルミナの顔をよごす。


『ぁぁ…はぁ…んぁ……❤』


息も絶え絶えに澄んだアルトの声で快楽の余韻に浸るヨハンを他所に、カルミナは顔に付いた精液を指で掬って舐め、咀嚼をする。

『ちゅぱっ♪…美味しいわぁ…あなた❤』

ヨハンの顔を上げるカルミナ。彼の顔は快楽にとろけきっていた。ヨハンの目はカルミナの魔力を受けて、本来なら白い筈の白目の部分が、闇色に染まった白黒目になっていた。カルミナは彼のインキュバスへの変化を確信した。


『さぁ…もっともっと楽しみましょう❤だ・ん・な・さ・ま❤』


『はぁ…ん…に...ぃ..さ...ん....』


突然、ドクンと心臓が鳴る音が聞こえ、ヨハンの身体が宙に浮き、腰から蝙蝠の翼のような骨がメキメキと生えてきた。尾骶骨の付け根から骨が皮膚を突き破って尻尾を形作る。部屋には彼の艶かしい嬌声が響いていた。

『あぁー！！いぃ…ぁぁ…ああ...ぁは❤』

『...何!?どういう...まさか、アルプ化！？』

すると、ヨハンの身体を拘束していた触手と犯していた触手が溶けて彼の身体を丸く包んでしまった。まるで…

『たまご...？』

宙に浮く黒いたまごの中から肉や骨が軋む音と艶かしい嬌声が聞こえている。その音が鳴り止むと、一瞬の静寂の後にたまごが溶けだして、その中の人影に入っていった。

『まさか...私の魔力を吸収したの！？』

部屋の影からペタペタと赤ん坊の様な四つん這いでヨハンが出てきた。

その頭には黒く大きく捻じ曲がった角が、腰からは星の無い夜のような色をした大きな蝙蝠の翼が、お尻からは太くて立派な長い尻尾が生えていた。顔は殆ど変わっていないが少女の特徴を備え、輪郭が柔らかくなり、控えめな胸が出来、身体のラインは全体に丸くなって少年と少女の中間のような、なんとも言えない妖しく危うい美しさを持っていた。

ヨハンの朦朧とした意識が徐々に覚醒してきたのか、ペタンと座り込んで自身の身体を確かめている。

『これが...僕...なの…？』

羽を動かしたり、尻尾をにじらしたり、ほっぺたや肩、出来たばかりの胸や角に触れてみたり。そして…

『あれ...?...な..い？』

彼の...いや、彼女の股間から男性器が消えていて、代わりにそこには桜色の蕾と、一本のスリットが引かれていた。

くちゅ...

『あ.....❤』

ヨハンは初めて感じる女性の快楽に目をパチクリさせた。

『あなたを旦那様に出来ないのは残念だけど、これはこれでいいわね♪』

『...？...カルミナお姉さん？僕は...』

カルミナは自身の変化に怯えるヨハンの顔を優しく両手で引き寄せる。闇色の白黒目に浮かぶ金色の瞳はまるで闇夜に浮かぶ月のような印象を与える。

『怖くないわ...本当のあなたになっただけよ。...ずっと昔から好きな男性がいたんじゃない？』

『ずっと昔から？…僕、男の子なのに？』

『そうよ。別におかしなことじゃないわ。好きな人...愛する人がいる事は素晴らしいことよ？それが異性でも同性でも………あなたの想い人ってもしかして


大尉さん？？』



『ーーーーーーーーーーーーっ…❤❤❤』

大尉と聞いた瞬間、ヨハンは心臓を高鳴らせ、身体をビクつかせて達してしまった。

(この子…素質あるわね)

『そんなに好きなんだぁ♪ふふふ、そうよね。好きでも無い人に殺してなんて、頼めないわよねぇ❤』

『たいいぃー...はぁはぁ…❤』

ヨハンは目にハートマークを浮かべている。

『こらこら、ちゃんと名前で呼んであげなきゃダメよ？ヨハンちゃんの好きな人はだぁれ？』

熱っぽく頬を薄紅色に染め、息と身体を震わせながら、ヨハンは愛しい人の名前をつぶやいた。

『フレデ..リック...フレデリックにぃさん❤』

快楽に震える身体を抑えるように顔の両側に手を当てて、恍惚とした笑みを浮かべている。その淫らな笑顔には、妖しい美しさと危険な香りを孕んでいた。

(おぉ、ヤンデレスマイル♪♪大尉さん…お気の毒に…もう逃げられないわね、これ…)

『あなたは、私達と同じ魔物娘になった。もう殺すことも、あんな凄惨な光景を作ることも出来ない。私達は人間を愛する為に生きてるの。それが私達の幸せ。平和を願った魔王であるお母様と平和を作ろうと闘った最強の勇者であったお父様の願い。だから、もう1人で抱え込まなくていいの。幸せになっていいのよ。あなたは十分過ぎるほど頑張ったわ。もう自分を押し殺して我慢して、辛い思いもしなくていいの。ただ、愛する人の為に...大好きなんでしょう？その大尉さんのこと。』

ヨハンは首を縦に振った。

『ふふふ…それでこそ魔物娘よ♪せっかく女の子になったんだし、女の子らしい名前にしちゃいましょう♪

...ハンナ。

ハンナ・エーデルバッハ


あなたの新しい名前よハンナ』


『ハンナ...僕はハンナ...ハンナ・エーデルバッハ』

ヨハン...ハンナは親鳥から餌を与えられる雛のように、なんども味わうように新しい名前を覚えた。

『ふふ❤ボクはハンナ...ありがとうございます。カルミナお姉様❤』


『よしよし♪立派なアルプになりなさい♪…さて、これからどうする？もうあなたは自由よ？』

『ボク、フレデリックお兄さんを虜にしたい。良いこと思いついたんだぁ〜。お姉様たちにもとっっ...てもいい計画かも❤』


『ふふふ...♪』

『きゃははは...★』



部屋には顔を合わせて笑い合う、2人の夢魔の囁き声が静かに響いていた。

■作者メッセージ
こんにちは〜fransoisです。

かなりニッチな感じになってしまいました。性癖垂れ流しですみません。ヤンデレスマイルはやらせたかっただけです。はい。

さて、アルプになっちゃったヨハン改めハンナちゃん。これからどうするのでしょうか？

ここでキャラクター紹介です。

ロード・カルミナ


?歳 女性 リリム 178cm 魔界クリフォト出身

銀灰色の瞳、真っ白な翼と尻尾を持つ。銀の髪をオールバックに纏めた傾国クラスも霞んで消し飛ぶ麗人。この時代には少々奇抜なドレスを着ている。

少々保守的ながら人心掌握術に長け、厳しくも優しく、面倒見が良く人望もある。家臣の相次ぐ結婚に、長らく続くお一人様状態に最近焦りを感じる御局様。SMリバーシブルでショタからダンディミドル、幼女から熟女までイケる守備範囲バリ広の病んだバイセクシャル。

近隣で戦争が起こる度に、万が一の時に備え斥候部隊を飛ばして情報収集をしているようだ。昨今、人間兵器の近代化に伴い、愛すべき人間を殺さない魔界銀での近代兵器開発、生産を促す。サバト魔法技術開発局、人魔錬金科学研究所など様々な組織から協力を得ている。

その正体は、強大な魔力と権力を持つ魔王の娘達、リリムの1人。自身の名前の国、カルミナの国母。本来、苗字は無いが建国した時のよりロードを名乗る。周辺の反魔国家、中立国と不可侵条約を結んでいるが、親魔物国家及び魔界にしようと目論む野心家でもある。主神教国家と絶賛敵対中。民主主義的な思想を持つが、彼女の理想を忠実に再現させた世界は民主共産主義社会。本人曰く、素晴らしさ至上主義者。ある意味1番過激で危ない方。彼女と戦争した国の国民は男はもれなくインキュバスになり、魔物娘の伴侶に。女は魔物娘になると言う。暗黒魔界絶賛量産中…

前述の研究や開発のスポンサーは魔王国本部。国家レベルの親のすねかじり...あらゆる意味でスケールの大きな方。