第二十一話〜やきもち〜
〜冒険者ギルド ロビー〜
今日はちょっとした報告がある。
ある程度生活が安定してきたため、コーヒーに砂糖を少し入れられるようになったのだ。
あぁ、砂糖のまろやかな味が舌に優しい……。
「〜♪」
アニスちゃんは俺の膝の上でお絵かきをしている。
可愛い〜、とか言ってはいけない、なぜなら……
「アニスちゃん……絵が凄くうまいね……」
個展が開けそうなほど上手いのだ。
使っているのはクレヨンだけにも関わらず、その色彩は到底クレヨンで引き出せるレベルではなかった。
「うん♪おえかきだいすき〜」
大好きの域を超えていますよあなた。
「アニ〜、次のポスターの依頼が来ているわよ〜。」
ミリアさんがカウンターの奥から彼女を呼ぶ。
「は〜い。」
アニスちゃんが書きかけの絵を持ってトテトテとカウンターの奥へ引っ込んでいく。
話によれば彼女専用のアトリエがあるらしい。
「あの子、あれでいて結構稼いでいるのよね。」
入れ違いにミリアさんがテーブルの向かいに座る。
包みの中のクッキーを取り出して齧る……ってそれ俺のなんだがなぁ……。
「そんなに?」
「少なくとも貴方より稼いでるわよ♪」
マジでか。
「ハイスペック幼女すげぇ……いや、ロリ姉さんなんだっけ。」
たまに忘れてしまいそうだ。
あぁ、今日は漫才無いのかって?ニータもエルファもいないとこんなもんだ。
ちなみに、幼女が二人に増えると俺の精神力がガリガリと削られ、3人になるとその場が混沌と化す。
〜クエスト開始〜
〜槍の素材を探して〜
『ある程度依頼を受けて資金が貯まったから依頼させてもらうね?
今使っている槍をもっと強度の高いものに変えようと思うんだけど、その素材探しを手伝って欲しいの。白糸の谷って所で見つかるらしい『リヴァイアスの牙』っていう鉱石がなかなか良い材料になるんだけど、それを探すのを手伝って欲しいの。
冒険者ギルド モイライ支部所属 チャルニ』
「こいつはチャルニからの個人依頼か?」
「はい、アルテアさんを指名です。彼女、まだ頼れる人が少ないですし、断ったら可哀想ですよ?」
背後から視線を感じる。もしかしなくてもチャルニの視線だろう。
「これさ、断ったらその場で後ろから刺されそうなんだが。主に毒針で。」
「断るんですか?」
ジト目でこっちを見るな。
「まさか、協力させてもらうさ。今回は旅の館は使えるのか?」
「いえ、予算の関係上使えないそうです。さほど離れている場所ではないので、徒歩か乗合馬車を使ってください。」
受付嬢が、クエスト受理の印を押した途端。
「受けてくれたんだ〜♪ありがとね!」
後ろから回される腕と押し付けられる二つの柔らかい重圧。
これは分かってて当てているんだろうなぁ……。
「どの道断ることなんて出来ないだろ?俺はまだ刺されたくない。毒針的な意味で。」
毒に夢中になって腑抜けになりました〜なぞ洒落にならない。
「そうと決まったら早速レッツゴー!」
彼女は俺の腕を引っ張り、ギルドの外へと連れ出して行った。
目的地は白糸の谷近くの村、シルクだ。
「馬車の旅ってじれったいね〜……飛べばすぐなのに。」
そりゃお前はそうだろうよ。
「たまにはいいじゃないか、こうしたのんびりとした旅も。」
俺達は乗合の馬車に揺られながら、シルクを目指していた。
乗合と行っても俺達二人しか乗っていなかったのだが……
空高く雲が漂い、気持ちのいい風が吹いてくる。
街道脇の草原ではホルスタウロスやワーシープが日向ぼっこをしながら昼寝をしている。
「でも平和すぎてつまらないよ。もっとこうさ、ドキドキするような刺激があってもいいじゃない。」
「刺激って例えばどんなだ?」
その時俺は忘れていたんだ。ホーネットがどういう種族だったか。
「そうだね〜。どんなのかな〜。」
彼女が俺の股間をまさぐり始める。
「……」
そう言えばホーネットって自分の毒で四六時中ムラムラしているんだったか……。
「たとえば……バレないようにエッチな事してみたりとかさ。」
耳元で聞こえないように囁いてくる。
「まぁ、ゆっくりするのもいいじゃないか。俺もここのところ連続ででかい山に当たっちまってのんびり昼寝する時間も取れなかったし。」
反撃として彼女の股間に手を伸ばす。
<くちゅ>
既に濡れていた。
「まぁそういう事なら止めはしないかな。ゆっくりと昼寝でもしているといいんじゃない?」
そう言いつつもチャックを開いて中に侵入。息子を撫で回す。
「なんだ?かまって欲しくて今度は引いてみるのか?」
ビキニパンツの間から指を侵入させ、いじくり回す。
蜜で溢れかえりそうになっている膣口から指を侵入させると、既にぐちょぐちょになっており、嬉しそうに指に絡みついてくる。
「っ別に?アタシだって無理っ……させるつもりはないし?あんたが大変なことに巻き込まれた事も……っ知っているから休ませてあげたいとは思ってるよ?」
我慢汁が漏れ始めた。その汁を満遍なく亀頭にまぶして親指で押しつぶしてくる。
「っ……それはっ……ありがたいな。しかしっ……それなら何故……っ俺に依頼を持ってきたんだ……?」
少し指を進めると柔らかい抵抗に行き当たる。そういやこいつ、現実世界では処女だったっけ。
「あんたしか……頼れそうな奴がっ……いなかったからに決まってるじゃない?♪」
声に甘さが混じり始めた。
「(もう少し平然としてろよ……)」
「(この指を止めてくれたらいつでも……?)」
外に聞こえないように乳繰り合っていると、
「あんちゃん達、シルクへは何しに行くんだい?」
御者台のおやじさんが世間話を振ってきた。
「あぁ、こいつが槍の材料を取りに行くらしくてね……っ!?俺はその付き添いだ。」
途中つっかえたのは彼女が強くしごいたからだ。
「へぇ、随分仲よさそうに見えたから恋人同士に見えたんだがね。」
「別に付き合っているってわけじゃ……っ♪ないよ。ライバルだって多いし……っ」
仕返しに喋ってる途中にクリトリスを押し潰してやる。
「そうかそうか。でもこれから行く先は二人きりなんだろ?そのまま付き合っちまうなんて事もあるかもしれねぇなぁ!ガッハッハッハ!」
「口がうまい……っね、親父さん。」
双方余裕が無くなってくる。当然口数も少なくなる訳で、怪しまれないようにするため頭を働かせていると……。
『世間話をしたいのであれば私が相手になりますが?』
ラプラスが助け舟を出してくれた。
「ん?二人だけじゃなかったのかい?」
「いや、こいつだ。この中に魂だけ入っていてね。よければ話し相手になってやってくれ。そうすりゃこいつも色々成長してくれて俺としても助かる。」
嘘は言っていないぞ?
「へぇ、意思を持つ武器か。珍しいもんだね。」
俺は御者台に鵺を置く。
そうすると御者のおやじさんは嬉々としてラプラスと話し始めた。
「(さっきはよくもやってくれたなこいつ……!)」
御者台の方に意識を集中しなくても良くなったので、彼女の胸にも手を伸ばす。
「(それはお互い様でしょ?散々人の体をいじくりまわしてさ。)」
俺の耳が咥えられ、甘噛みをされる。
反撃に乳首を抓り上げ、クリトリスを挟んで扱きあげる。
御者台からは死角になっていて見えないが、少しでも声を出すと気付かれそうだ。
「(この……ぉ!♪)」
尿道口を指でグリグリと刺激される。これはキツい。
咥えられていた耳を引き剥がし、キスで口の中を舐めまわしてやる。
「(んむぅ!?……ん♪)」
最初は驚いたようだが、すぐに舌を絡めてくる。
そろそろ限界が近づいてきたその時……。
「おいあんちゃん達、お客さんだぜ。」
声を掛けられた。
「へ?客?」
いい所を中断された彼女は不満そうだ。
御者台に付いている窓から外を覗くと、
「ありゃ……子供?」
『図鑑データ検索…ヒット。鬼亜人型ゴブリン種。ゴブリンです。体躯は小さいですが、その腕力は馬鹿にできるものではありません。』
ゴブリンの集団が道を塞いでいた。
「やい!そこの馬車!とまれー!」
短い腕を目一杯広げて立ち塞がっているその様は子供のお遊びの様に見えるのだが……。
「こりゃ突破はできないな。突破しようとすれば馬車が壊される。」
おやじさんが馬車の速度を落として停止させる。
「おいそこの!命が惜しかったら身ぐるみと男をおいていけ!」
「おいてけー」
「けー」
真ん中のはともかく後の二人はおつむが足りていないようだ。
というか命を助けて欲しかったら男を置いて行けって矛盾していないか?おっさんも男だぞ。
「おまえさん達冒険者だろ?なんとか追い払えないか?」
「別にいいけど……なんか調子狂うな。」
俺は御者台に置いてあった鵺を受け取り、チャルニと共に馬車を降りる。チャルニは顔を伏せて終始無言だ。
「あ〜お前ら、一応警告しておいてやる。別に殺すつもりはないが、命が惜しかったらさっさと逃げろ。」
「抵抗する気かー!?こてんぱんにするぞー!」
「するぞー」
「ぞー」
逃げるつもりはないらしい。
「えーとだな、俺は本気でお前らの命の心配をしているんだ。だからさっさと逃げろ。」
それでも敢えて俺は説得する。目の前の3人の命を救うため。
「そんな脅しはきくかー!お前たち、やっつけ……」
「あんたら……」
そこでようやくチャルニが声を発する。ヤバい、臨界寸前だ。
「人が折角楽しんでいるって所に邪魔……?普段なかなか二人きりになる機会がないからチャンスだって思ってたのに……。しかもよりによって邪魔しに来たのがロリっ子……?」
ゆらりと槍を構えるチャルニ。
「お前ら、警告はしたからな。後は知らんぞ。」
「へ?」
猛然とチャルニが突撃。槍を振り抜く。
「うわぁ!?あぶn」
「生きて帰れると思ってる?」
振り抜いた力を殺さず、円運動を描いて足払い、唐竹割り、ローキックと連撃を放つ。
「うわ!わわ!わわわわわ!?」
なんとか棍棒で受け止めるものの、防戦一方のゴブリン。ちなみに他の二人は足払いで頭を打って既に気絶していた。
「わ〜〜〜〜〜〜〜」
と、何かがとろとろと走ってくる。
同じゴブリンのようだが……。
「わ〜〜〜〜〜〜〜」
走るたびに何かがたゆんたゆんと揺れている。
そいつは俺に狙いを定めたのか、こちらへ棍棒を振り上げながら走ってくる。(時速4km/s)
と、俺のすぐ近くにある石につまづいた。
「あわ〜〜〜〜」
思わず抱きとめる。
<ぐにゅぅ>
腕で何かを押し潰したような感触がする。
<ドスン>
足が何かに押し潰されるような感触がする。
「〜〜〜〜〜〜〜!?!?!?!?!?」
腕には、やたらでかい胸が押し付けられていた。
足では、やたらでかい棍棒が小指を潰していた。
しかし手を離すわけにもいかず、かといって棍棒は地面にめり込み続け、棍棒をどかそうにも片手じゃ足りず、そうしている間に俺の足の薬指ぐらいまで埋まっていく。
「チャルニ!早くそっち片付けてこっちに来てくれ!ヤバい!主に俺の足の指が!」
すると、彼女の槍捌きが3倍程度の速さになった。心なしか服が赤く見える。
「にゃ〜〜〜〜〜!?」
相手をしているゴブリンが妙な鳴き声を上げる。それでもきちんと防御をしている辺り腕はそれなりにあるのだろう。
「ん〜〜……♪」
こちらのゴブリン?はなぜか甘えるように俺の下腹あたりに額を押し付けてる。
「ちょっといいか?もし特に何もすることがないのならその棍棒をどけてくれると助かるんだが……。」
「ん〜……?ん〜……♪」
すりすり。
「ん〜じゃなくて、この、棍棒を、どけやがれって、言ってんだ!」
「ん〜……♪はぐ〜……♪」
すりすりすりすり。
「聞いちゃいねぇ……」
あぁ……足の小指の感覚がなくなってきた……。
「アル!だいじょう……何やってんの?」
彼女は抱きついているゴブリンと真っ青になっている俺の顔を見比べて意味が分からないといった表情で顔をしかめている。
「あし……あし……」
俺は片手で足の中指ぐらいまで埋まりかけた棍棒を指差す。
今度は彼女が真っ青になる番だった。
「ちょ、これマズいって!ホブゴブリンの武器で押しつぶされたら足の指砕けるよ!?」
彼女は慌てて棍棒を引き抜こうとするが、持ち上がらない。
「ん〜……♪」
のんきに俺に頬ずりするゴブリン(?)
「これ……重すぎ……」
懸命に棍棒を引き抜こうとするチャルニ。
「きゅ〜……」
気絶しているゴブリン3人。
「こいつぁ……どうしたもんかな。」
頭を掻いている御者のおっさん。
ここを通りがかりの人が見たらどう思うだろうか?なかなかカオスな光景だ。
「こいつ……抜けない!そいつに抜かせられないの!?」
「無理……トリップしちまってる。」
俺にしがみついているゴブリンはすりすりごろごろとご満悦だ。
『棍棒自体を破壊しましょう。歩兵携行化単分子カッター展開。』
ウィンドウに鵺の全体図が表示され、グリップの隣に下向きに矢印が表示される。
グリップを引くと金属音と共に抜けて中からナイフが出てきた。
『足を切らないように注意してください。』
「あいよ。外側だけ削ってりゃ大丈夫だろ。」
トリガーを引くと、高出力モーターが刃を高速回転させ、独特の高音が辺りに響き渡る。
「チェーンソー工芸家に弟子入りしときゃ良かったかもな。ついでに芸術作品でもできそうだ。」
カッターを棍棒に押し当てる。鳴り響く騒音はチェーンソーで木材を切る時と遜色ない。
その騒音は昼寝をしているホルスタウロスとワーシープを叩き起し、木立に止まっていた鳥達を飛び立たせ、気絶していたゴブリン3人を強制的に気絶から叩き起こすと、ようやく止まった。
『対象質量の軽減確認。除去作業を行って下さい。』
しがみついているゴブリンはそのままに俺は両手で棍棒を押し倒してなんとか足を引き抜いた。
靴を脱いで確認すると、幸い骨は折れていないようだ。
「いってぇ……指がまだ痺れてやがる……。」
地面に突き刺さっていた棍棒はその体積をほぼ半分にまで減らしていた。
それを見たゴブリン3人は唖然。
「おやぶんの棍棒が真っ二つになってる……」
こいつが親玉なのかよ。俺はそいつを引き剥がすと、首に腕を回してホールド体勢を取り、カッターを首に押し当てる。無論スイッチは切ってあるが。
「とりあえずだ、お前らの親玉の命は預かった。この棍棒みたいにされたくなければおとなしく……」
すりすりすりすり。
首に掛けていた手に頬ずりをされている。
「……大人しくさっさと逃げろ。一応脅しだけど、従ってくれると俺としても嬉しい。」
思わず下手に出てしまった。
「お、おやぶんが手懐けられている!?」
「おやびん〜」
「びん〜」
変な方向に話が進んでしまっている。
「そう……やっぱり小さいほうがいいの。あたしなんか眼中に無いんだ……。」
「全然そんな事言ってないぞ!?べつにロリ意外興味ないって訳じゃないからね!?」
はむはむはむはむ。
腕に甘噛みされた。
「にへ〜……♪」
本当に……本当にロリコンじゃないんだからぁ!(泣)
「……。」
「……。」
すりすりすりすり。
「ねぇ。」
「何だよ。」
再び動き出した馬車内。
「何でこいつらまで乗ってるの?」
「知らん。」
馬車の中には俺とチャルニ、さらにゴブリン3人とホブゴブリン(先程ラプラスに調べてもらった)が一人。
「なんで懐かれてるの?」
「知らん。」
空にはトンビが飛んで甲高い鳴き声を上げている。
「なんであんたって異常にロリにモテるの?」
「知らん。」
ゴブリン三人娘は先程まで騒いでいたが、飽きてしまったのか今はグースカ眠っている。
「あんたってアタシのことはどうでもいいわけ?」
「んなわけねぇだろ。」
辺りに沈黙が立ち込める。
「よかった。知らんなんて言ったら毒針で刺して馬車から放り出そうかと思ってたよ。」
危ねぇ。
「前から言っているだろ?俺はロリコンじゃねぇって。」
とりあえずじゃれついてくる小動物は無視する。
「でもさ、あんたの周りってやたらちっちゃい子ばっかり集まってくるしさ。こないだもエルファと探検に行ったって言ってたし。アニスちゃんはあんたにべったりだし。ニータはあんたによくちょっかいと色目使ってるし。」
「……否定できないのが辛いところだ。」
全部俺の不用意な行動が悪いのだが。
「ミリアさんは人妻だから避けるのはわかるとしてもさ。フィーさんを話に混ぜないようにしたりさ。アタシも最近あんたと話してないし。」
「フィーは絡むと碌な事がないから話させないようにしているだけだ。第一お前は俺がギルドにいるときは殆どいなかったじゃないか。」
「そりゃそうだけど……。」
そう言うと、頭をコテンと俺の肩に預けてくる。甘い、いい匂いがした。
「やっぱり寂しいじゃない。仲間なのに接点が少ないのはさ。」
ここで謝るのは、良くないよな。
「そうだな、うん。仲間だもんな。」
「……馬鹿。」
何故だ。
〜織物職人の街 シルク〜
「それじゃ、俺はこれで行くよ。嬢ちゃん達を大事にしてやれよ。」
そういうと御者のおっちゃんは次の客を乗せて元来た道を引き返していった。
「で、お前らはどこまで着いて来るつもりだ?」
ゴブリン3人娘+ホブゴブリンは未だに俺たちの隣にいる。
ちなみにホブゴブリンの少女は未だ俺に抱きついたままだ。
「あたいらはここじゃ顔が割れてるからね。アニキ達が街を出るまでは近くに隠れさせてもらうよ」
「もらうよ〜」
「よ〜」
そう言うと、町の外へ駆けていく。ホブゴブリンは残したまま。
「ってちょっと待て。コイツも連れていけ。」
俺はしがみついているホブゴブリンを引き剥がすと、ゴブリン3人娘の方へ投げた。
「む〜……はぐ〜……」
不満そうだ。
「わっかりやした〜!ほらおやぶん、行きますよ!」
「ますよ〜」
「よ〜」
そう言うと彼女達はホブゴブリンを引きずりながら連れて行った。
〜道具屋『糸巻き屋』〜
「ありゃ、ツルハシもハンマーも無いのか。」
「えぇ、基本的にこの街じゃ鉱山をカンカン掘り進める連中はいませんからね。」
そりゃ織物が特産の街じゃそうそうツルハシなんて握る機会はないだろう。
「武器屋に行けばそれなりにツルハシの代わりになりそうな物は置いてあるでしょうが……あまり期待しないほうがいいと思いますよ?」
「だろうな。第一ツルハシより武器のほうが割高だ。」
だとすると何か別の方法で採掘を考えたほうがいいだろう。
「何も買わないで帰るのは失礼だよな……何か買うか。」
そう言うと、チャルニは無言で何かの瓶を持ってきた。ラベルには……
『精力絶倫摩訶摩訶瓶』
「……戻してきなさい。」
ロープとバンテージをいくつか買うと、俺は店を後にした。
バンテージが安かったのは織物の街だからだろうか。
〜宿屋『安眠亭』〜
俺達は予めチェックインしておいた宿屋の部屋へ戻ってきた。
辺りはもう日が暮れかけており、殆どの人はロウソク代を節約するために眠りに付く時間だ。
ちなみに、相部屋なのはただ安かったからだ。
『スリープモードに入ります。復帰の際はリブートコマンドを実行して下さい。尚、明朝7時に自動復帰します。』
「あ?作戦会議はしないのか?」
それきりラプラスは黙ってしまう。仕方なくチャルニと二人で話すことに。
「明日はあのゴブリン達に働いてもらうか……。棍棒で岩を割ればツルハシの代わりぐらいは……んむ!?」
明日の予定を話そうとしたら、チャルニに唇を奪われ、ベッドに押し倒された。
彼女は無言で俺の服を剥ぎ取っていく。
「……。」
「お、おい……。」
「我慢……してたんだから。」
そういえば馬車の中のあれ以来放置しっぱなしだったな。
「そうか……わかった。」
俺は彼女の服を脱がせていく。脱がせ合って、二人は生まれたままの姿になった。
彼女の頬や体は上気してほんのり赤く染まっている。
沈みかけの夕日が二人を照らし、闇の中に裸体を浮かび上がらせる。
「綺麗だな。」
「今更?気付くの遅すぎ……。」
均整の取れた体つきに、破壊的な重量感のバスト。腹筋は引き締まって無駄な肉は付いていない。
彼女は褒められてもそっけなかったが、まんざらでも無かったようだ。
彼女が覆いかぶさってきて、俺の口周りを貪り始める。
互いの体をまさぐり合い、撫で回す。
「んふ……やっぱりちょっとくすぐったいね。」
「でも気持ちいいだろ?」
良い雰囲気なのに、やはりふざけ合うようなやりとりになってしまう。
自然と笑い合う。
「あ〜やっぱ無理。ロマンチックとか無縁だわ。」
「ムードとか情緒とか俺らには合わないだろ。ふざけ合いの延長ぐらいが丁度いい。」
グニグニと胸を押しつぶすように揉み込む。
「そうだねぇ……。その方が気は楽だし。」
陰茎を撫で回しながら体が震えている。快感によるものではなく、笑いをこらえてのものだろう。
「宜しければ、私目がエスコートを。」
わざと恭しく言う。
「何それぇ。全然似合わない。」
「ですよねー。」
また笑いが起こる。互いを激しく求め合うのではなく、互いに楽しむように。
彼女のアソコに手を伸ばすと、ぐっしょりと濡れていた。
「ふざけ合ってはいても、ここは期待しているみたいだな。」
「そっちだってこんなに固くしてるじゃない?」
いきり立っているモノを軽く扱いてくる。
準備は双方ともに整ったということだ。彼女は、俺の上に跨り、俺の太ももあたりに座った。
「改めて見ると結構大きいよね……入るのかな?」
「入るようには出来ているからな。怖気付いたか?」
こういう手合いには軽く挑発してやると積極的になる傾向がある。
「まさか……と言いたいけれどやっぱりちょっと怖いかな。」
それでも、モノを支えて狙いを定める。
「挿れる時……手を握っていてくれる?」
「あぁ、痛かったら爪を立てても構わない。」
左手同士を絡ませあうと、彼女は深呼吸した。
「それじゃ……入れるよ。」
ゆっくりと腰を落としてくる。あぁ、前にもこんな事があったな。
「ほれ。」
開いている右手で軽く足を払ってやる。バランスを崩した彼女はまたしても一気に根元まで飲み込んでしまった。
「っ〜〜〜〜〜!!!!」
左手に爪が食い込んでくる。まぁ、このぐらいは仕方がない。
「あんた……またぁ……♪」
それでもこの馬鹿みたいな空気がおかしいのだろう。
痛みに堪えながらも笑っている。
「あれ……アタシ初めてのはずなのにまたって……?」
思い出そうとするが、当然思い出せるはずもなく……。
「どうかしたか?」
「……ううん、気のせい気のせい。しばらくは動かないでいい?」
それでもやはり痛いのだろう。
「そのままの体勢だと疲れるだろ?体預けてもいいから倒れてこい。」
引き寄せて抱きしめてやる。
「……ホント、なんだろうねこの気持ちは。」
「何が?」
思い出せそうなのに思い出せない。
そんなもどかしげな表情で首を傾げる彼女。
「前に夢でさ、こんな事あった気がするのよ。」
「へぇ、デジャヴって奴かな。」
俺は何も語ってやらない。
あんな心の闇に囚われていた記憶なんて、思い出さなくていい。
「その夢の中のあんたってさ、変な奴なんだよ。優しい言葉を掛けてくるんだけど意地悪でさ。……って現実のあんたもそうだったね。」
「なんなら目一杯優しくしてやろうか?」
答えは解っているが、敢えて訊く。
「やめてよ。むず痒くて仕方がないし。」
「だろうな。それじゃ、とことん意地悪してやるか。」
そう言うと、突き上げながら首筋を甘噛みしてやる。
「こらぁ……♪それくすぐった……っ!♪」
押し付けられた胸も横から揉んでやると、どんどん声が蕩けていく。
「ほんっ……とにっ……!意地悪してぇ……♪」
反撃したいようだが、体に力が入らないらしく、ただ自由な右腕を首に回してくるだけに留まってしまう。
「その割には……っ嬉しそうじゃないか……?」
結合部からは血液以上に愛液が流れ落ち、シーツに大きな染みを作っている。……後で怒られないよな?
「そりゃ……ねっ……♪楽しいし、嬉しいから……っ♪」
日が暮れて月明かりが差し込む中、俺達は笑い合う。
「っ……そろそろ、出そうかもしれん……」
「早く……ない?♪そんなに気持ち……いい?」
「締め付けが……キツいんだよ。すぐに……搾り取られちまう。」
彼女の中は、キツいくせにざわざわと蠢いて容赦無しに俺を攻め立ててくる。
人間の女性の味は知らないが、もしこれより気持よくないとしたら二度と人間では満足できそうにない。
「そっか……っ。それじゃあ、無くなるまで搾り取ってあげよ……っか?♪」
「それは勘弁してくれ……一応明日も動くんだから。」
足腰が立たなくなって1日動けませんでしたでは洒落にならない。
実はサンライズハーバーの一件の翌日、腰痛でろくに立ち上がれなくて夕方まで起きることができなかったという一例がある。
「それも……そうだね。ぅん……じゃあ一回で我慢してあげる……♪」
そう言うと、彼女の動きが激しくなる。
「ハァ……ハァ……アタシもそろそろイきそう……♪」
体が熱い。彼女の体温も伝わってきて、それが混じりあい体が融け合うような錯覚を覚える。
「アル……一緒に……一緒に……!」
「チャルっ……チャル……!」
頭の中が白熱し、理性が薄れていく。
「っ!アルゥゥゥゥウウウゥゥウウウ!」
「っく、うああぁぁぁぁあああ!」
我慢が限界に達して、俺は彼女の中に滾りを撃ち放っていた。
「はぁ……出てるぅ……アルの熱いのが……♪」
「っ……はぁ……はぁ……」
共に脱力。絶頂の後の心地良い気だるさに身を任せる。
「んっ……ちゅ……」
どちらともなく、口づけを交わす。
心地良い微睡みの中で、俺達は夢の中へと旅立っていった。
今日はちょっとした報告がある。
ある程度生活が安定してきたため、コーヒーに砂糖を少し入れられるようになったのだ。
あぁ、砂糖のまろやかな味が舌に優しい……。
「〜♪」
アニスちゃんは俺の膝の上でお絵かきをしている。
可愛い〜、とか言ってはいけない、なぜなら……
「アニスちゃん……絵が凄くうまいね……」
個展が開けそうなほど上手いのだ。
使っているのはクレヨンだけにも関わらず、その色彩は到底クレヨンで引き出せるレベルではなかった。
「うん♪おえかきだいすき〜」
大好きの域を超えていますよあなた。
「アニ〜、次のポスターの依頼が来ているわよ〜。」
ミリアさんがカウンターの奥から彼女を呼ぶ。
「は〜い。」
アニスちゃんが書きかけの絵を持ってトテトテとカウンターの奥へ引っ込んでいく。
話によれば彼女専用のアトリエがあるらしい。
「あの子、あれでいて結構稼いでいるのよね。」
入れ違いにミリアさんがテーブルの向かいに座る。
包みの中のクッキーを取り出して齧る……ってそれ俺のなんだがなぁ……。
「そんなに?」
「少なくとも貴方より稼いでるわよ♪」
マジでか。
「ハイスペック幼女すげぇ……いや、ロリ姉さんなんだっけ。」
たまに忘れてしまいそうだ。
あぁ、今日は漫才無いのかって?ニータもエルファもいないとこんなもんだ。
ちなみに、幼女が二人に増えると俺の精神力がガリガリと削られ、3人になるとその場が混沌と化す。
〜クエスト開始〜
〜槍の素材を探して〜
『ある程度依頼を受けて資金が貯まったから依頼させてもらうね?
今使っている槍をもっと強度の高いものに変えようと思うんだけど、その素材探しを手伝って欲しいの。白糸の谷って所で見つかるらしい『リヴァイアスの牙』っていう鉱石がなかなか良い材料になるんだけど、それを探すのを手伝って欲しいの。
冒険者ギルド モイライ支部所属 チャルニ』
「こいつはチャルニからの個人依頼か?」
「はい、アルテアさんを指名です。彼女、まだ頼れる人が少ないですし、断ったら可哀想ですよ?」
背後から視線を感じる。もしかしなくてもチャルニの視線だろう。
「これさ、断ったらその場で後ろから刺されそうなんだが。主に毒針で。」
「断るんですか?」
ジト目でこっちを見るな。
「まさか、協力させてもらうさ。今回は旅の館は使えるのか?」
「いえ、予算の関係上使えないそうです。さほど離れている場所ではないので、徒歩か乗合馬車を使ってください。」
受付嬢が、クエスト受理の印を押した途端。
「受けてくれたんだ〜♪ありがとね!」
後ろから回される腕と押し付けられる二つの柔らかい重圧。
これは分かってて当てているんだろうなぁ……。
「どの道断ることなんて出来ないだろ?俺はまだ刺されたくない。毒針的な意味で。」
毒に夢中になって腑抜けになりました〜なぞ洒落にならない。
「そうと決まったら早速レッツゴー!」
彼女は俺の腕を引っ張り、ギルドの外へと連れ出して行った。
目的地は白糸の谷近くの村、シルクだ。
「馬車の旅ってじれったいね〜……飛べばすぐなのに。」
そりゃお前はそうだろうよ。
「たまにはいいじゃないか、こうしたのんびりとした旅も。」
俺達は乗合の馬車に揺られながら、シルクを目指していた。
乗合と行っても俺達二人しか乗っていなかったのだが……
空高く雲が漂い、気持ちのいい風が吹いてくる。
街道脇の草原ではホルスタウロスやワーシープが日向ぼっこをしながら昼寝をしている。
「でも平和すぎてつまらないよ。もっとこうさ、ドキドキするような刺激があってもいいじゃない。」
「刺激って例えばどんなだ?」
その時俺は忘れていたんだ。ホーネットがどういう種族だったか。
「そうだね〜。どんなのかな〜。」
彼女が俺の股間をまさぐり始める。
「……」
そう言えばホーネットって自分の毒で四六時中ムラムラしているんだったか……。
「たとえば……バレないようにエッチな事してみたりとかさ。」
耳元で聞こえないように囁いてくる。
「まぁ、ゆっくりするのもいいじゃないか。俺もここのところ連続ででかい山に当たっちまってのんびり昼寝する時間も取れなかったし。」
反撃として彼女の股間に手を伸ばす。
<くちゅ>
既に濡れていた。
「まぁそういう事なら止めはしないかな。ゆっくりと昼寝でもしているといいんじゃない?」
そう言いつつもチャックを開いて中に侵入。息子を撫で回す。
「なんだ?かまって欲しくて今度は引いてみるのか?」
ビキニパンツの間から指を侵入させ、いじくり回す。
蜜で溢れかえりそうになっている膣口から指を侵入させると、既にぐちょぐちょになっており、嬉しそうに指に絡みついてくる。
「っ別に?アタシだって無理っ……させるつもりはないし?あんたが大変なことに巻き込まれた事も……っ知っているから休ませてあげたいとは思ってるよ?」
我慢汁が漏れ始めた。その汁を満遍なく亀頭にまぶして親指で押しつぶしてくる。
「っ……それはっ……ありがたいな。しかしっ……それなら何故……っ俺に依頼を持ってきたんだ……?」
少し指を進めると柔らかい抵抗に行き当たる。そういやこいつ、現実世界では処女だったっけ。
「あんたしか……頼れそうな奴がっ……いなかったからに決まってるじゃない?♪」
声に甘さが混じり始めた。
「(もう少し平然としてろよ……)」
「(この指を止めてくれたらいつでも……?)」
外に聞こえないように乳繰り合っていると、
「あんちゃん達、シルクへは何しに行くんだい?」
御者台のおやじさんが世間話を振ってきた。
「あぁ、こいつが槍の材料を取りに行くらしくてね……っ!?俺はその付き添いだ。」
途中つっかえたのは彼女が強くしごいたからだ。
「へぇ、随分仲よさそうに見えたから恋人同士に見えたんだがね。」
「別に付き合っているってわけじゃ……っ♪ないよ。ライバルだって多いし……っ」
仕返しに喋ってる途中にクリトリスを押し潰してやる。
「そうかそうか。でもこれから行く先は二人きりなんだろ?そのまま付き合っちまうなんて事もあるかもしれねぇなぁ!ガッハッハッハ!」
「口がうまい……っね、親父さん。」
双方余裕が無くなってくる。当然口数も少なくなる訳で、怪しまれないようにするため頭を働かせていると……。
『世間話をしたいのであれば私が相手になりますが?』
ラプラスが助け舟を出してくれた。
「ん?二人だけじゃなかったのかい?」
「いや、こいつだ。この中に魂だけ入っていてね。よければ話し相手になってやってくれ。そうすりゃこいつも色々成長してくれて俺としても助かる。」
嘘は言っていないぞ?
「へぇ、意思を持つ武器か。珍しいもんだね。」
俺は御者台に鵺を置く。
そうすると御者のおやじさんは嬉々としてラプラスと話し始めた。
「(さっきはよくもやってくれたなこいつ……!)」
御者台の方に意識を集中しなくても良くなったので、彼女の胸にも手を伸ばす。
「(それはお互い様でしょ?散々人の体をいじくりまわしてさ。)」
俺の耳が咥えられ、甘噛みをされる。
反撃に乳首を抓り上げ、クリトリスを挟んで扱きあげる。
御者台からは死角になっていて見えないが、少しでも声を出すと気付かれそうだ。
「(この……ぉ!♪)」
尿道口を指でグリグリと刺激される。これはキツい。
咥えられていた耳を引き剥がし、キスで口の中を舐めまわしてやる。
「(んむぅ!?……ん♪)」
最初は驚いたようだが、すぐに舌を絡めてくる。
そろそろ限界が近づいてきたその時……。
「おいあんちゃん達、お客さんだぜ。」
声を掛けられた。
「へ?客?」
いい所を中断された彼女は不満そうだ。
御者台に付いている窓から外を覗くと、
「ありゃ……子供?」
『図鑑データ検索…ヒット。鬼亜人型ゴブリン種。ゴブリンです。体躯は小さいですが、その腕力は馬鹿にできるものではありません。』
ゴブリンの集団が道を塞いでいた。
「やい!そこの馬車!とまれー!」
短い腕を目一杯広げて立ち塞がっているその様は子供のお遊びの様に見えるのだが……。
「こりゃ突破はできないな。突破しようとすれば馬車が壊される。」
おやじさんが馬車の速度を落として停止させる。
「おいそこの!命が惜しかったら身ぐるみと男をおいていけ!」
「おいてけー」
「けー」
真ん中のはともかく後の二人はおつむが足りていないようだ。
というか命を助けて欲しかったら男を置いて行けって矛盾していないか?おっさんも男だぞ。
「おまえさん達冒険者だろ?なんとか追い払えないか?」
「別にいいけど……なんか調子狂うな。」
俺は御者台に置いてあった鵺を受け取り、チャルニと共に馬車を降りる。チャルニは顔を伏せて終始無言だ。
「あ〜お前ら、一応警告しておいてやる。別に殺すつもりはないが、命が惜しかったらさっさと逃げろ。」
「抵抗する気かー!?こてんぱんにするぞー!」
「するぞー」
「ぞー」
逃げるつもりはないらしい。
「えーとだな、俺は本気でお前らの命の心配をしているんだ。だからさっさと逃げろ。」
それでも敢えて俺は説得する。目の前の3人の命を救うため。
「そんな脅しはきくかー!お前たち、やっつけ……」
「あんたら……」
そこでようやくチャルニが声を発する。ヤバい、臨界寸前だ。
「人が折角楽しんでいるって所に邪魔……?普段なかなか二人きりになる機会がないからチャンスだって思ってたのに……。しかもよりによって邪魔しに来たのがロリっ子……?」
ゆらりと槍を構えるチャルニ。
「お前ら、警告はしたからな。後は知らんぞ。」
「へ?」
猛然とチャルニが突撃。槍を振り抜く。
「うわぁ!?あぶn」
「生きて帰れると思ってる?」
振り抜いた力を殺さず、円運動を描いて足払い、唐竹割り、ローキックと連撃を放つ。
「うわ!わわ!わわわわわ!?」
なんとか棍棒で受け止めるものの、防戦一方のゴブリン。ちなみに他の二人は足払いで頭を打って既に気絶していた。
「わ〜〜〜〜〜〜〜」
と、何かがとろとろと走ってくる。
同じゴブリンのようだが……。
「わ〜〜〜〜〜〜〜」
走るたびに何かがたゆんたゆんと揺れている。
そいつは俺に狙いを定めたのか、こちらへ棍棒を振り上げながら走ってくる。(時速4km/s)
と、俺のすぐ近くにある石につまづいた。
「あわ〜〜〜〜」
思わず抱きとめる。
<ぐにゅぅ>
腕で何かを押し潰したような感触がする。
<ドスン>
足が何かに押し潰されるような感触がする。
「〜〜〜〜〜〜〜!?!?!?!?!?」
腕には、やたらでかい胸が押し付けられていた。
足では、やたらでかい棍棒が小指を潰していた。
しかし手を離すわけにもいかず、かといって棍棒は地面にめり込み続け、棍棒をどかそうにも片手じゃ足りず、そうしている間に俺の足の薬指ぐらいまで埋まっていく。
「チャルニ!早くそっち片付けてこっちに来てくれ!ヤバい!主に俺の足の指が!」
すると、彼女の槍捌きが3倍程度の速さになった。心なしか服が赤く見える。
「にゃ〜〜〜〜〜!?」
相手をしているゴブリンが妙な鳴き声を上げる。それでもきちんと防御をしている辺り腕はそれなりにあるのだろう。
「ん〜〜……♪」
こちらのゴブリン?はなぜか甘えるように俺の下腹あたりに額を押し付けてる。
「ちょっといいか?もし特に何もすることがないのならその棍棒をどけてくれると助かるんだが……。」
「ん〜……?ん〜……♪」
すりすり。
「ん〜じゃなくて、この、棍棒を、どけやがれって、言ってんだ!」
「ん〜……♪はぐ〜……♪」
すりすりすりすり。
「聞いちゃいねぇ……」
あぁ……足の小指の感覚がなくなってきた……。
「アル!だいじょう……何やってんの?」
彼女は抱きついているゴブリンと真っ青になっている俺の顔を見比べて意味が分からないといった表情で顔をしかめている。
「あし……あし……」
俺は片手で足の中指ぐらいまで埋まりかけた棍棒を指差す。
今度は彼女が真っ青になる番だった。
「ちょ、これマズいって!ホブゴブリンの武器で押しつぶされたら足の指砕けるよ!?」
彼女は慌てて棍棒を引き抜こうとするが、持ち上がらない。
「ん〜……♪」
のんきに俺に頬ずりするゴブリン(?)
「これ……重すぎ……」
懸命に棍棒を引き抜こうとするチャルニ。
「きゅ〜……」
気絶しているゴブリン3人。
「こいつぁ……どうしたもんかな。」
頭を掻いている御者のおっさん。
ここを通りがかりの人が見たらどう思うだろうか?なかなかカオスな光景だ。
「こいつ……抜けない!そいつに抜かせられないの!?」
「無理……トリップしちまってる。」
俺にしがみついているゴブリンはすりすりごろごろとご満悦だ。
『棍棒自体を破壊しましょう。歩兵携行化単分子カッター展開。』
ウィンドウに鵺の全体図が表示され、グリップの隣に下向きに矢印が表示される。
グリップを引くと金属音と共に抜けて中からナイフが出てきた。
『足を切らないように注意してください。』
「あいよ。外側だけ削ってりゃ大丈夫だろ。」
トリガーを引くと、高出力モーターが刃を高速回転させ、独特の高音が辺りに響き渡る。
「チェーンソー工芸家に弟子入りしときゃ良かったかもな。ついでに芸術作品でもできそうだ。」
カッターを棍棒に押し当てる。鳴り響く騒音はチェーンソーで木材を切る時と遜色ない。
その騒音は昼寝をしているホルスタウロスとワーシープを叩き起し、木立に止まっていた鳥達を飛び立たせ、気絶していたゴブリン3人を強制的に気絶から叩き起こすと、ようやく止まった。
『対象質量の軽減確認。除去作業を行って下さい。』
しがみついているゴブリンはそのままに俺は両手で棍棒を押し倒してなんとか足を引き抜いた。
靴を脱いで確認すると、幸い骨は折れていないようだ。
「いってぇ……指がまだ痺れてやがる……。」
地面に突き刺さっていた棍棒はその体積をほぼ半分にまで減らしていた。
それを見たゴブリン3人は唖然。
「おやぶんの棍棒が真っ二つになってる……」
こいつが親玉なのかよ。俺はそいつを引き剥がすと、首に腕を回してホールド体勢を取り、カッターを首に押し当てる。無論スイッチは切ってあるが。
「とりあえずだ、お前らの親玉の命は預かった。この棍棒みたいにされたくなければおとなしく……」
すりすりすりすり。
首に掛けていた手に頬ずりをされている。
「……大人しくさっさと逃げろ。一応脅しだけど、従ってくれると俺としても嬉しい。」
思わず下手に出てしまった。
「お、おやぶんが手懐けられている!?」
「おやびん〜」
「びん〜」
変な方向に話が進んでしまっている。
「そう……やっぱり小さいほうがいいの。あたしなんか眼中に無いんだ……。」
「全然そんな事言ってないぞ!?べつにロリ意外興味ないって訳じゃないからね!?」
はむはむはむはむ。
腕に甘噛みされた。
「にへ〜……♪」
本当に……本当にロリコンじゃないんだからぁ!(泣)
「……。」
「……。」
すりすりすりすり。
「ねぇ。」
「何だよ。」
再び動き出した馬車内。
「何でこいつらまで乗ってるの?」
「知らん。」
馬車の中には俺とチャルニ、さらにゴブリン3人とホブゴブリン(先程ラプラスに調べてもらった)が一人。
「なんで懐かれてるの?」
「知らん。」
空にはトンビが飛んで甲高い鳴き声を上げている。
「なんであんたって異常にロリにモテるの?」
「知らん。」
ゴブリン三人娘は先程まで騒いでいたが、飽きてしまったのか今はグースカ眠っている。
「あんたってアタシのことはどうでもいいわけ?」
「んなわけねぇだろ。」
辺りに沈黙が立ち込める。
「よかった。知らんなんて言ったら毒針で刺して馬車から放り出そうかと思ってたよ。」
危ねぇ。
「前から言っているだろ?俺はロリコンじゃねぇって。」
とりあえずじゃれついてくる小動物は無視する。
「でもさ、あんたの周りってやたらちっちゃい子ばっかり集まってくるしさ。こないだもエルファと探検に行ったって言ってたし。アニスちゃんはあんたにべったりだし。ニータはあんたによくちょっかいと色目使ってるし。」
「……否定できないのが辛いところだ。」
全部俺の不用意な行動が悪いのだが。
「ミリアさんは人妻だから避けるのはわかるとしてもさ。フィーさんを話に混ぜないようにしたりさ。アタシも最近あんたと話してないし。」
「フィーは絡むと碌な事がないから話させないようにしているだけだ。第一お前は俺がギルドにいるときは殆どいなかったじゃないか。」
「そりゃそうだけど……。」
そう言うと、頭をコテンと俺の肩に預けてくる。甘い、いい匂いがした。
「やっぱり寂しいじゃない。仲間なのに接点が少ないのはさ。」
ここで謝るのは、良くないよな。
「そうだな、うん。仲間だもんな。」
「……馬鹿。」
何故だ。
〜織物職人の街 シルク〜
「それじゃ、俺はこれで行くよ。嬢ちゃん達を大事にしてやれよ。」
そういうと御者のおっちゃんは次の客を乗せて元来た道を引き返していった。
「で、お前らはどこまで着いて来るつもりだ?」
ゴブリン3人娘+ホブゴブリンは未だに俺たちの隣にいる。
ちなみにホブゴブリンの少女は未だ俺に抱きついたままだ。
「あたいらはここじゃ顔が割れてるからね。アニキ達が街を出るまでは近くに隠れさせてもらうよ」
「もらうよ〜」
「よ〜」
そう言うと、町の外へ駆けていく。ホブゴブリンは残したまま。
「ってちょっと待て。コイツも連れていけ。」
俺はしがみついているホブゴブリンを引き剥がすと、ゴブリン3人娘の方へ投げた。
「む〜……はぐ〜……」
不満そうだ。
「わっかりやした〜!ほらおやぶん、行きますよ!」
「ますよ〜」
「よ〜」
そう言うと彼女達はホブゴブリンを引きずりながら連れて行った。
〜道具屋『糸巻き屋』〜
「ありゃ、ツルハシもハンマーも無いのか。」
「えぇ、基本的にこの街じゃ鉱山をカンカン掘り進める連中はいませんからね。」
そりゃ織物が特産の街じゃそうそうツルハシなんて握る機会はないだろう。
「武器屋に行けばそれなりにツルハシの代わりになりそうな物は置いてあるでしょうが……あまり期待しないほうがいいと思いますよ?」
「だろうな。第一ツルハシより武器のほうが割高だ。」
だとすると何か別の方法で採掘を考えたほうがいいだろう。
「何も買わないで帰るのは失礼だよな……何か買うか。」
そう言うと、チャルニは無言で何かの瓶を持ってきた。ラベルには……
『精力絶倫摩訶摩訶瓶』
「……戻してきなさい。」
ロープとバンテージをいくつか買うと、俺は店を後にした。
バンテージが安かったのは織物の街だからだろうか。
〜宿屋『安眠亭』〜
俺達は予めチェックインしておいた宿屋の部屋へ戻ってきた。
辺りはもう日が暮れかけており、殆どの人はロウソク代を節約するために眠りに付く時間だ。
ちなみに、相部屋なのはただ安かったからだ。
『スリープモードに入ります。復帰の際はリブートコマンドを実行して下さい。尚、明朝7時に自動復帰します。』
「あ?作戦会議はしないのか?」
それきりラプラスは黙ってしまう。仕方なくチャルニと二人で話すことに。
「明日はあのゴブリン達に働いてもらうか……。棍棒で岩を割ればツルハシの代わりぐらいは……んむ!?」
明日の予定を話そうとしたら、チャルニに唇を奪われ、ベッドに押し倒された。
彼女は無言で俺の服を剥ぎ取っていく。
「……。」
「お、おい……。」
「我慢……してたんだから。」
そういえば馬車の中のあれ以来放置しっぱなしだったな。
「そうか……わかった。」
俺は彼女の服を脱がせていく。脱がせ合って、二人は生まれたままの姿になった。
彼女の頬や体は上気してほんのり赤く染まっている。
沈みかけの夕日が二人を照らし、闇の中に裸体を浮かび上がらせる。
「綺麗だな。」
「今更?気付くの遅すぎ……。」
均整の取れた体つきに、破壊的な重量感のバスト。腹筋は引き締まって無駄な肉は付いていない。
彼女は褒められてもそっけなかったが、まんざらでも無かったようだ。
彼女が覆いかぶさってきて、俺の口周りを貪り始める。
互いの体をまさぐり合い、撫で回す。
「んふ……やっぱりちょっとくすぐったいね。」
「でも気持ちいいだろ?」
良い雰囲気なのに、やはりふざけ合うようなやりとりになってしまう。
自然と笑い合う。
「あ〜やっぱ無理。ロマンチックとか無縁だわ。」
「ムードとか情緒とか俺らには合わないだろ。ふざけ合いの延長ぐらいが丁度いい。」
グニグニと胸を押しつぶすように揉み込む。
「そうだねぇ……。その方が気は楽だし。」
陰茎を撫で回しながら体が震えている。快感によるものではなく、笑いをこらえてのものだろう。
「宜しければ、私目がエスコートを。」
わざと恭しく言う。
「何それぇ。全然似合わない。」
「ですよねー。」
また笑いが起こる。互いを激しく求め合うのではなく、互いに楽しむように。
彼女のアソコに手を伸ばすと、ぐっしょりと濡れていた。
「ふざけ合ってはいても、ここは期待しているみたいだな。」
「そっちだってこんなに固くしてるじゃない?」
いきり立っているモノを軽く扱いてくる。
準備は双方ともに整ったということだ。彼女は、俺の上に跨り、俺の太ももあたりに座った。
「改めて見ると結構大きいよね……入るのかな?」
「入るようには出来ているからな。怖気付いたか?」
こういう手合いには軽く挑発してやると積極的になる傾向がある。
「まさか……と言いたいけれどやっぱりちょっと怖いかな。」
それでも、モノを支えて狙いを定める。
「挿れる時……手を握っていてくれる?」
「あぁ、痛かったら爪を立てても構わない。」
左手同士を絡ませあうと、彼女は深呼吸した。
「それじゃ……入れるよ。」
ゆっくりと腰を落としてくる。あぁ、前にもこんな事があったな。
「ほれ。」
開いている右手で軽く足を払ってやる。バランスを崩した彼女はまたしても一気に根元まで飲み込んでしまった。
「っ〜〜〜〜〜!!!!」
左手に爪が食い込んでくる。まぁ、このぐらいは仕方がない。
「あんた……またぁ……♪」
それでもこの馬鹿みたいな空気がおかしいのだろう。
痛みに堪えながらも笑っている。
「あれ……アタシ初めてのはずなのにまたって……?」
思い出そうとするが、当然思い出せるはずもなく……。
「どうかしたか?」
「……ううん、気のせい気のせい。しばらくは動かないでいい?」
それでもやはり痛いのだろう。
「そのままの体勢だと疲れるだろ?体預けてもいいから倒れてこい。」
引き寄せて抱きしめてやる。
「……ホント、なんだろうねこの気持ちは。」
「何が?」
思い出せそうなのに思い出せない。
そんなもどかしげな表情で首を傾げる彼女。
「前に夢でさ、こんな事あった気がするのよ。」
「へぇ、デジャヴって奴かな。」
俺は何も語ってやらない。
あんな心の闇に囚われていた記憶なんて、思い出さなくていい。
「その夢の中のあんたってさ、変な奴なんだよ。優しい言葉を掛けてくるんだけど意地悪でさ。……って現実のあんたもそうだったね。」
「なんなら目一杯優しくしてやろうか?」
答えは解っているが、敢えて訊く。
「やめてよ。むず痒くて仕方がないし。」
「だろうな。それじゃ、とことん意地悪してやるか。」
そう言うと、突き上げながら首筋を甘噛みしてやる。
「こらぁ……♪それくすぐった……っ!♪」
押し付けられた胸も横から揉んでやると、どんどん声が蕩けていく。
「ほんっ……とにっ……!意地悪してぇ……♪」
反撃したいようだが、体に力が入らないらしく、ただ自由な右腕を首に回してくるだけに留まってしまう。
「その割には……っ嬉しそうじゃないか……?」
結合部からは血液以上に愛液が流れ落ち、シーツに大きな染みを作っている。……後で怒られないよな?
「そりゃ……ねっ……♪楽しいし、嬉しいから……っ♪」
日が暮れて月明かりが差し込む中、俺達は笑い合う。
「っ……そろそろ、出そうかもしれん……」
「早く……ない?♪そんなに気持ち……いい?」
「締め付けが……キツいんだよ。すぐに……搾り取られちまう。」
彼女の中は、キツいくせにざわざわと蠢いて容赦無しに俺を攻め立ててくる。
人間の女性の味は知らないが、もしこれより気持よくないとしたら二度と人間では満足できそうにない。
「そっか……っ。それじゃあ、無くなるまで搾り取ってあげよ……っか?♪」
「それは勘弁してくれ……一応明日も動くんだから。」
足腰が立たなくなって1日動けませんでしたでは洒落にならない。
実はサンライズハーバーの一件の翌日、腰痛でろくに立ち上がれなくて夕方まで起きることができなかったという一例がある。
「それも……そうだね。ぅん……じゃあ一回で我慢してあげる……♪」
そう言うと、彼女の動きが激しくなる。
「ハァ……ハァ……アタシもそろそろイきそう……♪」
体が熱い。彼女の体温も伝わってきて、それが混じりあい体が融け合うような錯覚を覚える。
「アル……一緒に……一緒に……!」
「チャルっ……チャル……!」
頭の中が白熱し、理性が薄れていく。
「っ!アルゥゥゥゥウウウゥゥウウウ!」
「っく、うああぁぁぁぁあああ!」
我慢が限界に達して、俺は彼女の中に滾りを撃ち放っていた。
「はぁ……出てるぅ……アルの熱いのが……♪」
「っ……はぁ……はぁ……」
共に脱力。絶頂の後の心地良い気だるさに身を任せる。
「んっ……ちゅ……」
どちらともなく、口づけを交わす。
心地良い微睡みの中で、俺達は夢の中へと旅立っていった。
11/05/21 10:00更新 / テラー
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