姉芋エピローグ
夕日をバックに佇む女性がいた。
腰まで届きそうな銀髪がまだ冬の名残を残す冷たい風に揺られて大きくたなびいている。
白いブラウスの上にギンガムチェックのカーディガン、を羽織り、ダークグレーのロングスカートを履いている。
そこまでなら普通の女性がいる、というだけで済まされるかもしれない。
でも、カーディガンの裾の部分からはコウモリのような形をした白い翼が覗いているし、ロングスカートの裾からは尻尾のようなものがちらちらと見え隠れしている。
そして、頭からは捩れた黒い角が銀髪の間から生えていた。
彼女はこちらの気配に気がつくと僕の方を向いた。
一瞬だけ、酷く驚いたような表情をしたけど、すぐに優しげな微笑みを浮かべて近づいてきた。
「この学校の生徒さんかな？もう学校は終わりの時間だけど……こんな時間まで何をしているのかな？」
まるで初めて会ったかのような対応。
彼女は僕の顔を覗きこんでニコニコと微笑んだままだ。
「あ、私は次の年度から研修生として赴任する先生なんだ。もし学校で会ったら……よろしくね」
握手を求めるように手を差し出してくる。
僕はそれをじっと見つめたまま動かない。
「あ〜……ちょっと、なれなれしかったかな？ごめんね？」
気まずそうに手を引っ込める彼女。所在なげにその手を宙でフラフラさせていてどこか滑稽だ。
なんだかもう……不安になってやきもきした挙句にこれではあちこちで迷惑かけた僕が馬鹿みたいじゃないか。どっと疲れてしまった。
「出来ればその、嫌いにならないで欲しいかな〜……なんて」
僕はこんな茶番をしに来た訳じゃない。だから、もう一度ここから始めるんだ。
「どうでもいいけどそろそろ帰ろうよ。寒くなってきたし」
「……え？」
あの時と全く同じセリフ。僕と彼女の時間は……間違いなくここから始まったのだ。
「大体さ、姉ちゃんが教師って務まるの？教員免許持ってる？そもそも高校の勉強は大丈夫？」
「えっと……あれ？おかしいな……よう君、なんで私のこと覚えてるの？」
人の気持も知らずにきょとんとしている姉ちゃんを見ていたらだんだんむかっ腹が立ってきた。
「というか、勝手に人の記憶消して次会った時は改めて友だちから始めましょうとか少女漫画じゃないんだから。第一ホイホイ記憶書き換えたりして後遺症残ったらどうすんの？記憶消した衝撃で記憶力悪くなりました仕事の手順も覚えられません〜とか人生完全に終わっちゃうじゃん。何、姉ちゃん僕を路頭に迷わせたかったの？だったら私が養ってあげる〜的な展開期待していたわけふざけんな」
立板に水が流れていくようにすらすらと口から文句が飛び出してくる。
本当に言いたいことはこんな事じゃないのに。
「あれ……なんで？だって……記憶消したはずなのに……」
ボロボロと姉ちゃんの目から涙が溢れてくる。全くこの人は……。
「勝手にいなくならないでよ……馬鹿姉ちゃん」
「うぇ……ひぐ……ようぐぅん……」
その後は二人して涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら日が暮れるまで抱き合っていた。
キスまではしなかった。そんな事をしたら多分、止まれなくなりそうだから。
家に帰ると母さんがニコニコして玄関で待っていた。
「見つかったみたいね、陽介のなくし物」
「母さん……一体どこまで知っているの？」
あの言動にしても、助言としても、母さんは多分姉ちゃんが一体何なのかを既に知っていると思われる。
「え〜と、ごめんね？よう君」
「なんなのさ？」
姉ちゃんが申し訳なさそうに顔の前で手を合わせる。一体何をやらかしたのだろうか。
「実は……私がこっちに来た日にサポート役が必要って事もあって……」
姉ちゃんが視線を母さんの方へと向ける。すると母さんは茶目っ気たっぷりにウィンクをして……
「母さん、人間やめちゃいました☆」
衝撃のカミングアウト。あまりの事態に思考が追いつかない。
「ダンピールっていう半ヴァンパイアの魔物娘にして私がこっちで活動するために協力してもらっていたの」
「いいわよ〜この体。スキンケアしなくてもお肌ツヤツヤだし、モデルの仕事も急に増えたし♪」
駄目だ、頭が痛くなってきた。
いつの間にか身内がDI◯状態になっているなんて。
「しかも夜の方もあの人すごい喜んでくれるし〜。ホントいいこと尽くしなんだから」
「やめて！自分の親の夜の生活のことなんて聞きたくない！」
これではちょっとした拷問である。
というか、これでいくつか疑問が解けたような気がする。
「最近やたらと父さんと仲がいいなと思っていたのはこの為か……」
「もしかしたら妹ができるかもしれないわよ？」
「あ、魔物娘になると極端に出生率が悪くなるよ」
「え、なにそれ聞いてない」
どうやら一緒に暮らしているうちに妹誕生なんて話にはならないようだ。一安心。
「ね、よう君」
「何さ、姉ちゃん」
様々な疑問や不安から解かれ、ホッとしている所で姉ちゃんが僕の手を握って身を寄せてきた。
その表情は花が咲いたような笑顔で満たされている。
「これからはず〜〜っと、いっしょだよ」
「……うん、もう離したりするもんか」
改めて、姉ちゃんの手を強く握り返す。
もう、その手を離さないように。
〜おまけ（本編）〜
※ダダ甘、ガチエロ、砂糖の嘔吐注意
あの後、姉ちゃんの部屋は再び戻され、一緒に住むことになった。
父さんに事情を話すと、
「うちの愚息をよろしくお願いします」
と逆に深々と頭を下げられてしまった。父さんの記憶は面倒だから戻さないらしい。
まぁ確かに今のほうが角は立たないけど。
それで、その夜。
「……」
「……」
何故か姉ちゃんと僕は僕の部屋で一緒のベッドに並んで座っていた。
向かい合っている訳ではなく、何もない場所を二人して眺めているという奇妙な状態だ。
なんだろう、やたらと気まずい。
きゅ、と。やわらかな手が僕の手を上から包み込む。
横を見ると姉ちゃんが真っ赤になって俯いていた。
「あの、さ」
「うん？」
ぽつり、と姉ちゃんがつぶやく。
「改めてするってなると……なんか恥ずかしいね」
「あれだけ散々いろんな事してきたのに？」
「だってあれは……その場の勢いというかなんというか……」
僕だって恥ずかしい。多分姉ちゃんから見ると僕の顔も赤らんでいるはずだ。
なんというか、これから致すと言うことを考えるだけで頭がぐるぐるする。
「えと、まずはどうしようか？」
「キス、でしょ？多分」
あぁ、何？これ。どうしてここまでぎこちなくなるの？
そもそもキス以上の事なんてもうとっくの昔に済ませているし、いまさら恥ずかしがる理由なんて無いはずなのだけれど。
「えへへ……」
「何、急に」
「ん、恋人になってから初めてのキスだな〜って」
……そうだ。このぎこちなさは少なからずとも『恋人である』という付加要素によるものに違いない。
意識した途端バクバクと心臓が跳ねまわって呼吸が苦しくなる……。
よくライトノベルでは好き合っている者同士で仲良くしている場面があるけど……
実際にそんな場面になったら緊張し過ぎて何をしたらいいかなんて全然わからないよ。
「よう君顔真っ赤だ〜」
「姉ちゃんは……平気そうだね」
「ん〜ん、すっごくドキドキしてるよ。ほら……」
そっと僕の手を取ると自分の胸元に押し付けてくる。手のひらに伝わってくるのは平常時より若干高めの体温と、とくりとくりと脈動を繰り返す姉ちゃんの心臓の動き。
「ずっと、ず〜っと夢だったんだ……。大好きな人とこんな風に一緒の時間を過ごすの。ぎゅーって抱きしめて、いっぱいキスして……」
今度は姉ちゃんの腕が僕の背後に回されて抱きしめられる。
密着した部分が柔らかすぎて……嬉しいような恥ずかしいような落ち着かない気分になる。
「エッチしたらそのまま抱き合ってごろごろしてるの。あ、好きって言い合うのもいいな〜」
「流石にそれはちょっと恥ずかしいかな……」
あまりの桃色妄想に乾いた笑いしか出てこない。
思考回路がまるっきり恋する乙女な中学生だ。
「え〜……言ってよ〜」
「やだ」
「うぅ……よう君はお姉ちゃんの事キライなんだ……」
「いや、そういう訳じゃないけどさ」
「じゃあ言ってよ〜。一回！一回だけでいいから！」
何なのさその「先っちょだけ！」みたいな言い方。
「あ〜……う〜……」
しかしいくらなんでも面と向かって好き、というのはいささかハードルが高い。
でもこの様子だと僕が好きと言うまでは開放してくれそうもない。
羞恥と自尊心との板挟みになって僕が起こした行動というものは……
「す、……スキ、だよ……？」
なるべく目を合わせないようにしてそっぽを向きながら言うことだった。
目は合わせていないものの、姉ちゃんがきょとんとした様子なのは何となく分かる。
しばらく硬直して……急に動いたかと思ったら抱きついていた手を離して側にあった僕の枕に顔を押し付けてバタバタと足をばたつかせ始めた。
「ね、姉ちゃん？」
「待って、今話しかけないで」
どうやら姉ちゃんも死ぬほど恥ずかしかったらしい。
そんなにやられるぐらいなら催促しなけりゃいいのに……。
そして、十数秒経った途端、パタリと姉ちゃんの動きが止まった。
「どうしたの？」
「─────」
ちらり、とこちらを覗きこむようにな姉ちゃんの目線とかちあう。
「頭のなかがよう君のにおいでいっぱい過ぎて辛い……」
「そりゃ僕の枕ですし」
そんなことされたら僕まで恥ずかしくなってくるじゃないか。
なんだか居た堪れなくなって枕を取り上げようとしたけど……
「やーだー」
「やーだーじゃなくてさ、離してよなんか恥ずかしいから。ていうか若干精神年齢退行してない！？」
下手に引っ張ると枕が破けて大惨事になりそう……でも枕は取り返したい。
何か妥協案を、と考えてすぐに出来る解決法を思いついた。
「枕の代わりに抱きついていいから枕を離してくれないかなー？」
「うー……」
何度か逡巡するように枕と僕の間に視線を彷徨わせ、枕を手放して僕を引き寄せて人形を抱き込むように包み込まれた。
後頭部に顔を押し付けられる……ってこれ枕に顔を押し付けられるより恥ずかしい。
しかも背中には2つの柔らかくて丸いものが押し付けられ、足には姉ちゃんの細さと肉付きのバランスが絶妙な太ももが絡みついてくる。
ほぼ無意識なのか、胸のあたりをなぞってくる姉ちゃんの細い指がくすぐったい。
当然こんな事をされればきかん坊が大きくなってしまうのも無理は無い訳で……
「ぁ……大きくなってる♪」
「うぅ……」
そんな状態を姉ちゃんが見逃すわけもない。
するすると伸びてきた綺麗な手がズボンに侵入してきて下着越しに愛撫を始める。
しかし、ほんの２，３回動いた程度でその手がピタリと止まってしまった。
「あ、そっか……別に手だけで我慢しなくてもいいんだよ、ね？」
そう呟くと、離さないとばかりに抱きついていた体を離し、僕の上へと覆いかぶさってくる。
いつの間に肌蹴たのか、ブラウスのボタンが外れた所から深い胸の谷間が覗く。
さらりと流れ落ちた銀髪が頬を撫でてくすぐったい。
さらにその髪からは花のような甘くさわやかな香りが漂ってきて……先程からドギマギしっぱなしだ。
「じゃあ……よう君の事、食べちゃうよ？いいよね？」
姉ちゃん、若干目が血走ってます。怖いです。
あとはぁはぁ息荒げないでください。いや、臭いわけじゃないですけど。
あぁあぁ……手まで震えちゃって……。
「って痛い痛い！ベルト無理やり引き千切ろうとしないで！」
「あわわ……ごめん……」
でも裏を返せばこれは僕が待たせ過ぎたという事でもあるんだよね……。
そっと姉ちゃんの手を取り、ベルトにかかったままの手を退けてあげる。
ベルトのバックルを外してズボンをずり下げられるように腰を浮かして……
「これ、立場逆じゃない？」
「だって……もう待ちきれないし……」
思春期真っ盛りの中学生じゃあるまいし、もう少し落ち着いてほしい。
というか、姉ちゃんが慌てすぎるせいで僕が一周して落ち着いちゃったじゃないか。
「姉ちゃんが上でいいの？」
「うん、上がいい……♥」
あぁ、なんて幸せそうな表情で見下ろしてくるのさ、姉ちゃん。
ブラウスの前を自分で開いて胸の谷間が露出される。捕食される側の動物の気持ちが少しわかった気がする。
「んっ……ふ……」
するりするりと衣擦れの音を立てながら姉ちゃんのショーツがずり降ろされていく。
ふわっと漂ってくる甘酸っぱい香り……。今までも何度か嗅いだことがあるけれど、その度に頭がぼーっとする。
極度の興奮のためか、姉ちゃんの秘部は既にキラキラと光を照らし返すくらいに濡れていた。
僕もズボンを脱いでモノを外へと出す。妙に落ち着いている精神状態とは裏腹にそれは痛いくらいに固くそそり立っていた。
姉ちゃんが腰を下ろして秘部とモノの裏がぴたりとくっつく。
「くっつけちゃった……あっつぅい……♥」
にちゃり、ねちょりと粘ついた水音を立てながら擦り付けられる秘部と剛直。
これだけでも達してしまいそうなほどに気持ちいいけれど、今日はこれで留まる理由がない。
再度腰が持ち上げられ、手を添えた先端が膣口へとあてがわれる。
「いく、よ」
「…………」
無言で、頷く。
ゆっくりと、先端が姉ちゃんの膣内へと沈んでいく。
ブツリ、ブツリと何かが切れるような感触を伴いながらぬかるんだ感触がモノを包み込んでいく。
やがて全てが飲み込まれると、姉ちゃんは深く息をついた。
「はいっ、たぁ……」
目尻には涙が浮かび、秘部からは痛々しげに血が滲んでいる。
「大丈夫？少し休む？」
「大丈夫、だけど……ちょっと休みたいかな」
ゆったりと倒れこんできた上半身を優しく抱き留めてしばし息を整える。
「本当は、ね。魔物娘って初めての時は痛みを感じないんだって」
「……え？」
それは初耳だ。でも、姉ちゃんを見るとやけに痛そうに顔をしかめている。
もっとも、幸せそうに微笑んでもいるのだけれど。
「でも、そんなの嫌だから。よう君がくれるものはなんだってお姉ちゃんの物だもん」
「嬉しいのも、楽しいのも。悲しいことや辛いことだって……気持ちいいのも痛いのも、よう君がくれるものならなんだって欲しいの。だから……」
頬が、姉ちゃんの両手で包み込まれる。真正面から姉ちゃんの紅い色をした瞳が覗きこまれ、目が逸らせなくなる。逸らせられる訳がない。
「よう君の全部、お姉ちゃんにちょうだい……その代わり、お姉ちゃんの全部をよう君にあげる……♥」
これじゃあ、完全にプロポーズじゃないか。
そしてそれを僕は断ることができない。もう、手放すことができないぐらいに彼女に惹かれている以上NOという言葉を出すことができない。……いや、と言うより。
「……！……………！」
「あ、顔真っ赤にしてる〜♪恥ずかしかったかな？」
気持ちが良すぎて耐えるのが精一杯なのですよ。しかも身動きできないことを良い事に抱きついて胸まで押し付けてくる始末。頭が溶けそうなほど甘ったるい匂い……これは、汗？
このまま我慢し続けたら絶対に頭の血管が切れる。色々と危機を感じて、全身の緊張を緩める。
「ぁ…………ぎぃ……！？」
脳の奥がパチパチとスパークしたように弾け、腰がガクガクと震える。
いっそ痛みとも取れるような激感が尿道を通って外へと迸っていく。
あまりに腰が震えすぎて中からすっぽ抜けて白濁を僕と姉ちゃんの間に撒き散らし、ぬめりと熱さを付与していった。
どれだけ出たのだろう……青臭いような妙な甘さを持った臭気が漂ってくる。
「あ〜……抜けちゃったぁ。もったいないなぁ」
姉ちゃんの白く細い指が肌に付着した精液をなぞり、指の上へと集めていく。
それを徐ろに口の中へと含み、ねっとりと舐め回す。何度か見ている仕草なのだけれど、今はいつも以上に劣情をそそる。
そして、先ほどの姉ちゃんの問に答えていないことに気づいた。
一応息も整い始めた所だ。
「姉ちゃん……」
「なぁに？」
一度深呼吸をする。さて、一体何を言ったものだろう。
これといって特に言うことを考えていたわけでもないし、言いたい事もまとまっているわけじゃない。それでも、答えたい。
「僕は、姉ちゃんの全部が欲しいわけじゃない。言いなりになって欲しくない。僕は自分に都合のいい姉ちゃんなんか欲しくない」
そっと、姉ちゃんの顔に手を伸ばす。伸ばしかけて、『はて、この手をどうしたものか』と一瞬考える。手を添えるだけというには気障がすぎる気がするし、頭に手を置くというのも違う気がする。少し迷って……
「ひぎゅ！？」
ほっぺたをつねった。素っ頓狂な声を上げてびっくりする姉ちゃんを見て、多少溜飲が下がった。
「でも、一つだけ約束。身勝手な理由で側からいなくならない事。それだけ守ってくれればいくら僕をいじり倒そうが押し倒そうが拒否しないから」
暫くの間、姉ちゃんに反応は無かった。もしかしたら言葉の意味をじっくり反芻しているのかもしれない。
そして、理解が追いついた途端ぼろぼろと涙が溢れて落ちてきた。
涙声であうあう言い出し（かろうじてごめんなさいと聞き取れる）、宥めるのに十分ぐらいを要した。あぁ、もうこの人は……。
「ようくんに嫌われてなかった……よかった……」
どうやら勝手に目の前から居なくなったことで僕に嫌われたと思っていたらしい。
半ば強引でも行為に及ぼうとしたり、自分自身を僕の物とさせようとしたのも僕を繋ぎ止めようとしてのことだったみたい。
正直記憶を消されて勝手に何処かへ行ったのは腹が立ったけど、それが原因で姉ちゃんを嫌いになれるはずがない。むしろ帰ってきてくれてホッとしているぐらいだ。
「前にも言ったけど、姉ちゃんが好きなんだよ。」
「落ち着いた？」
「う”ぅ〜……」
さっきの一言から１０分程度、号泣という表現も生ぬるいほど姉ちゃんは泣き続けた。
お陰でシャツが涙と鼻水でぐちょぐちょである。いくら美人でもちょっと遠慮したい。
「続き、する？」
「する……もっといっぱいする」
半分意地なのか、それとも手放したくないのか……座っている僕に抱きつく形で寄りかかってくる。秘部は……先程から多少時間が経っているためか乾いてしまっていた。
「んっ……ふぅ……ようくん……ちゅーもして？ね？」
先ほどの誘惑するような態度から一転してべたべたと甘えるような仕草を多用してくる。
何この人可愛すぎる……。
求められるままに口の中を貪り、互いに舌を絡め合う。
ぬらり、ぬらりと粘着質な音が耳にこそばゆい。そっと、彼女の胸に手を伸ばし、優しく触れる。
手を押し返すほどの弾力があるのにもかかわらず、指が沈み込むほどやわらかい。
手の中で形を変えるたび、敏感な乳首に指先が触れるたびに体が細かく震える。
流石に息が苦しくなり、貪られている唇を引き剥がす。
……離すではなく引き剥がすなのがポイント。
「やーもっとちゅーするぅ……」
「苦しいし色々限界だから一旦やめよう、ね？」
こういう状態での息の仕方がわからないからほとんど酸欠状態な上、下半身に触られずに焦らされ続けたためにガチガチである。何がとは言わない。
優しくベッドに彼女を横たえ、足を開かせて秘裂が見られるようにする。流石にこうしてまじまじと見るのは初めてだ。
……あ、さっき出したのが中から垂れてきた。
「よう君、流石にこれは恥ずかしいよ……」
「……うん、僕もなんか恥ずかしい」
それ以前に、もはや限界だ。立ち上ってくる甘酸っぱい香りだとか、姉ちゃんの息遣いだとか、ギンギンになって痛みすら発している下半身だとか。考える事すら億劫になってくる。
手で位置を合わせて、てらてらと照り返す秘部にモノを埋めていく。
「うく、んん……♥」
ぬるり、と。さしたる抵抗もなく奥まで入ってしまった。温かさとぬめりであっという間に果てそうになるけど、こらえる。この感覚がすぐ終わってしまうのはもったいない。
下腹部に力を入れて力みながら前後運動を始める。
「あ、あ……ようくん、ようくん！」
所在なさげに宙をさまよっていた手を取って指を絡ませると、この上なく嬉しそうに顔を綻ばせる。あまり、そう可愛らしい仕草をしないで欲しい。心臓がバクバク跳ね回って苦しくなる。
「すき、すきぃ……ようくん、だいすきぃ」
喘ぎ声に混ざって慕情が漏れる。腿あたりに風を受けると思ったら、羽がぱたぱたと嬉しそうに羽ばたいていた。全身で好意を表現しているんだ、この人は。
「姉ちゃん、好きだよ……大好き」
きょとん、と。しばらく理解が追いつかないといった体で目を見開く彼女。
そして、理解が追いついた途端猛烈な変化が現れた。
「……っ、〜〜〜〜〜〜っ♥」
全身をぞくぞくと震わせながら何度も軽い絶頂に達する彼女。
羽や足、尻尾が僕の腰を抑えこみ巻きつけられて自力では動かせないほどに押さえつけられる。
更に膣内がぐねぐねと別の生き物のように収縮・痙攣し、一滴残らず精液を絞り出そうと吸いついてくる。当然そんな動きに耐えられるはずがない。到底聞くに堪えないうめき声をあげながら彼女の膣内へと壊れた蛇口のように白濁を吐き出していく。
ひとしきり痙攣も射精も収まった頃には、目の前に半分涙を浮かべて顔を赤らめた姉ちゃんの顔があった。
半ば引き寄せられるように口づけを交わす二人。気だるくも心地よい疲労に身を委ねてベッドに寝転がる。
「疲れたぁ……セックスって思いの外体力消耗するんだね」
「ん〜……でも」
寝転がった僕に覆いかぶさるように乗っかる姉ちゃん。決して厚いとは言えない胸板の上で二つの丘が柔らかく潰れている。
「まだ、もっとしたいな……」
「あの、割と真面目に体力が持たないんだけど……？」
「そんな事言ってる割には、息子さんお元気みたいですけど〜？」
指で弄ぶように弄られるそれは、確かに固く反り返っていた。あれだけ出した後だというのに。
「あはは……冗談、だよね？」
「（にこぉ）」
最終的に開放されたのは母さんが夕飯に呼びに来てくれた時でした。
14/03/05 23:01更新 / テラー
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