連載小説
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第七話〜ご褒美<おしおき>〜
『腕立て伏せは終わったか?それでは次は腹筋200回だ』
『了解です。中尉』

いつもの日課のトレーニングをする。姉さんは二人きりの時は姉さんって呼んでも怒らないけど、訓練とか皆と一緒の時にそう呼ぶととても怒る。

『手を抜くのはいかんが無理は良くない。無理だと思ったら迷わず報告しろ』
『了解』

こうしを一緒にしちゃいけないんだって。それに敬語をつかわないとだめだって。
難しくてたまに間違えるけど、姉さんはその都度優しく間違いを指摘してくれる。

『にじゅうっ!にじゅういちっ!にじゅうにっ!』

腹筋をするときに関わらず、筋肉を使う動作は声を出しながらのほうがいいって教えてくれたのも姉さんだった。

『さんじゅうろくっ!さんじゅうななっ!さんじゅうはちっ!』

ねえさんは最初、僕をうっとうしがっていたけれど、一緒にごはんを食べたりしているうちによく話してくれるようになってきた。

『ごじゅうろくっ!ごじゅうななっ!ごじゅうはちっ!』

もっと優しくなったのは、姉さんが僕の服を持ってきてくれて、それを着た時だった。
いろんなふりふりが付いていて、それを着た僕は女の子になったみたいだった。
姉さんが慌てて僕の部屋に入ってきて、その服を着ているのを見たとき、なぜか鼻血を出していた。その時から姉さんは僕と二人きりの時は凄くやさしくなった。

『はちじゅうろくっ!はちじゅうななっ!はちじゅうはちっ!』

言い忘れていたけど、僕が無理だって言っても姉さんはまだできるって言ってトレーニングを続けさせるんだ。だから最近は無理だって言わなくなったけど、倒れるまでやると姉さんは怒る。でも、なぜか怒っている姉さんの口はいつも笑っているのだ。
『ひゃくにじゅうさんっ!ひゃくにじゅうよんっ!ひゃくにじゅ……』

あ、お腹の感覚がなくなってきた……。バタリと倒れる僕。

『無理なら報告しろと言っただろう!ここが戦場であれば戦死しているぞ!』

姉さんが怒っているけれど、やっぱり口は笑っている。

『申し訳……ありません、中尉』
『貴様は休んでよし。食堂で朝食を取れ』
『了解』

僕がほとんど動かない腹筋をなんとか動かして立ち上がると、おやっさんが歩いてきて、僕の肩を叩いた。

『はっはっは!よく気に入られているなぁ坊主!あいつのあんな顔なんてそうそう見られるもんじゃねぇぞ!』
『痛いよおやっさん……。強くたたきすぎ……』

痛いんだけど、嫌じゃない。おやっさんって不思議な人だ

『こまけぇ事は気にすんな!さ、朝飯を食いに行こうぜ。と言っても合成缶詰とスープだけだがな』

おやっさんに肩を貸してもらい、食堂へ向かった。



〜冒険者ギルド 直営宿舎〜

「……。夢、か」

厳しいけど優しい姉さんと、豪快で人のいいおやっさんの夢。
でも、この二人は誰なのだろうか。自分の頭の中を探ってみてもどういう人なのか浮かんでこない。

「中尉と少佐……か」

もしかして、夢の中の少年は俺なのだろうか。だとすると、この夢は俺の過去の記憶?

「まだ何とも言えないよなぁ……」

俺はベッドを降りていつもの服に着替えると、鵺を担いでギルドのロビーへと降りて行った。
朝の日課のコーヒーを飲み終えると、受付で引き続き同じ依頼を受ける旨を告げ、昨日と同じ仕事場へ向かう。
ギルドを出る際、アニスちゃんが手を振って見送りをしてくれた。今日も一日が始まる……。
この時俺は気づいていなかったのだが、隠れるように丸耳と細長い尻尾が後を付けていた。

「セリフもらえなかった……シクシク」
と、これは受付嬢の言。



〜クエスト開始〜
―荷物運びを手伝って!2―
『昨日も受けてもらったと思うが、倉庫内の荷物はまだ片付いていないんだ。
可能であれば今日もお願いしたい。仕事の手順を覚えている昨日の人は歓迎するよ。

                                             リーエル商会

〜リーエル商会 倉庫前〜

「おはよう!それじゃ、今日も頑張ってくれよ。仕事の説明はしなくても大丈夫だよな?」
「おはようす。昨日今日で忘れるほど鳥頭じゃありませんよ」
「そうか。それじゃよろしく頼むよ」
「うぃーす」

そうして俺は倉庫内に積み上げられている箱の山に取り掛かった。相変わらずすごい量だが、昨日のように見上げるほどでは無くなっている。頑張れば今日一日で運び出せる量だろう。

しばらく荷物の運び出しをしていると、唐突に鵺から警戒音が。

「やれやれ……またか」

呆れたように頭を掻きながら荷馬車の方へと向かう。
そこで待っていたのは荷物と思わしき箱を抱えた昨日のラージマウスだった。

「まだ懲りていなかったのか?もう少しお仕置きが必要だな」

ラージマウスは背中を向けると脱兎の如く逃げ出した!鼠なのに脱兎とはこれいかに。
しかし……

「(今……表情がニヤけていた……?)」

その表情に浮かんでいたのは焦りではなく、罠にかかった獲物にほくそ笑む猟師のような表情だったような気がする。

『追跡しますか?』
「もちろん。サポート頼むぜ」
『了解』

今日はロバートが一緒ではないが……。

「ま、大丈夫だろ」

結果としてそれは間違いではなかったのだが……



「やっぱ速いな……うまく足止めができない」

足止めにゴム弾をばら蒔いているのだが、効果はあまり芳しくない。

『右脚部前方に着弾。足止め効果無し』

予想以上に素早い彼女に俺は悪戦苦闘していた。

「何かいい方法は……」
『150メートル前方左に幅1メートル程度の通路を確認。20メートル手前で右側壁へ威嚇射撃を行ってください』
「了解。何か策でも?」

そう言いながら右側壁へゴム弾を撃ち込む。狙い通り脇道へ。

『非殺傷兵器群アンカーバルーン展開。ターゲット前方50メートル前後の地点へ打ち込んでください。細かい弾道制御はこちらで行います』

砲身の先端が展開していき、中から大口径の銃身がせり出す。ウィンドウには大まかな弾道が表示され、発射角度の指示が出される。

「こいつで!」

発射された弾は放物線を描き、寸分の狂いもなくラージマウスの前方50メートル地点へ着弾する。

「!?」

彼女の驚愕の理由はすぐに分かった。着弾地点から巨大な黒色の風船が膨らんできたのだ。

「うわっ!ととと……」

ギリギリのところで停止したので、
「ホレ」
そのお尻を少し蹴ってやった。

「うわあああ!何これ!ねばついてる!とりもち!?」

蹴りの衝撃で彼女はバルーンに激突。強い粘着性があるのか、ベッタリとバルーンにくっついてしまった。

「便利なもんだな。しかしこれって後で邪魔にならないか?」
『水を掛ければ溶解され、2,3日で土に還ります。考案・開発したのは日本。あの国はエコ意識が強いですから』

うんちくを垂れるAIをよそに、取り落とした荷物を拾いあげるために近づく。

「ん?なんだこれ?」

拾い上げた荷物は異様に軽く、振ってみると中身からは何の音もしない。

「これ……今扱っている箱と規格が違うな……」

おまけに赤いラベルは手書きである。

「まさか……偽物?」

よく見ると所々煤けており、作られてから結構な月日が経っているようだ。

「昨日の廃材置き場に似たような箱があった気が……」
「そうだよ〜。その札は手作り!」

エヘンと無い胸を張るラージマウス。バルーンに張り付いたまま。

「要は……担がれたってことか?」
「こうすればまたオシオキしてくれるかな〜って」

要するに尻を叩かれたかったからコソ泥を偽装したらしい。

「お前なぁ……仕事中にそういう事はやめろよな……」
「仕事中じゃなければいいの?」
「仕事が終わったら考えてやらなくもない」

彼女は少し考えこむと納得がいったというように頷いた。

「それじゃあこのベタベタ剥がしてよ。仕事が早く終わるようにしてあげるから」
「俺としてはそこに張り付いていてくれたほうが静かでいいと思うんだけどな」

そう言うと彼女は急にジタバタと暴れ始めた。

「ちょ!本当だって!すぐに終わるように手伝ってあげるから!」
「しょうがないな……」

本当はこのまま放置して立ち去ってもよかったのだが、さすがにそれは寝覚めが悪い。
俺は表まで行ってバケツと水を借り、彼女ごとバルーンに水をぶっかけた。
バルーンは見る見るうちにグズグズに溶けていき、粘性を失っていく。

「うひゃ〜……これがほんとの濡れ鼠ってやつだね」
「冗談言っている暇があったらさっさと付いてこい。仕事、手伝ってくれるんだろ?」
「そうそう、あたし『達』がいれば積み下ろしぐらいあっという間だよ!」

あたし『達』?



〜リーエル商会 倉庫前〜

「ん?その子は昨日の……?」

戻ってきたところで親父さんが出迎えてくれる。

「今回はいたずらだってさ。荷物も偽物だった」
「そりゃまぁ……骨折り損だったね。でもなんで連れてきたんだい?」

当然の疑問である。

「なんでも早く終わるように手伝ってくれるとか……」

唐突に聞こえる甲高い音。発生源は彼女の口から。どうやら指笛を吹いているらしい。

「何しているんだ?」

その質問をして、数秒も経たないうちに疑問が氷解した。
そこかしこからわらわらとラージマウスが沸いて出てきたのだ。
バラバラと集まってきたラージマウスたちは、しばらくすると隣にいた彼女―おそらくリーダー格だったのだろう―の前にずらりと整列した。

「この中の赤い札が貼ってある箱を馬車の中に運べばいいのよね?」

親父さんにそう尋ねる彼女。

「あ、あぁ……」
「それじゃ、みんなよろしく!」
「「「「「アイアイサー!」」」」」

散り散りになるラージマウス達。倉庫の中になだれ込むと、次々と馬車の中に箱を積み上げていく。
親父さんあんぐり、俺呆然。倉庫の中からも微妙な空気が漂ってくる。


十数分後


「終わったよー!」

倉庫の中の積荷は全て馬車の中へ。予備の馬車はおろか、これはマズいと臨時に手配した馬車にすら積んであった。

「あ、ありがとうね……はは……」

親父さんはまだ理解が追いついていない様子。
しかし、だんだんと実感が湧いてきたのか急いで他の倉庫へと駆けていくと何人かの従業員と共にいくつかの箱を運んできた。

「君らのおかげで予想以上に早い出荷ができそうだ!これはお礼だよ。遠慮無く食べていって欲しい」

箱の中に入っていたのは……

「チーズだ!」

箱の中身がわかるやいなやラージマウス達は飛びついて我先にとチーズを受け取っていく。

「あ〜……親父さん、俺らの給料はどうなるんだ?」
「もちろん払うよ。元からそのつもりで用意したしね」

そう言うと親父さんは事務所へと入っていった。



後から小耳に挟んだ話だがあのチーズ、実は不良在庫だったらしい。
保存も効くし、いつかはどこかへ売ろうとしていたのだが、大きな商談をラージマウス達に助けられたお礼に特別ボーナスとして出すことにしたらしい。
さすが親父さん。商人だけに抜け目がない。これに味を占めたラージマウスがまた手伝いに来るだろう。
仕事も終わり、腹も膨れたラージマウス達はそれぞれ散り散りに街へ消えて行った。現れるのも一瞬ならば、消えるのもあっという間の連中である。

「ね?早く終わったでしょ?」
「あぁ、そうだな」

腕に抱きつき、足に尻尾を絡めてくる。暗におねだりをされているのだろう。

「それじゃごほうび……じゃなかった、お仕置きしてくれるよね?」
「しかしなぁ……」

あえてもったいぶる俺。

「え……何?」
「お前をお仕置きする理由が無くなってしまった」
「え”!そんなぁ……」

しょんぼりする彼女。求めている事が事だというのになぜかほっこりしてしまう。

「お仕置きはしてあげられないが、ご褒美としてやって欲しい事ならば叶えられる範囲でやってもいいぞ?」

途端に目を輝かせる。コロコロと表情が変わる様は見ていて飽きないものだ。
もう辛抱たまらないのか、俺の腕を引っ張って歩き出す。向かう先は、路地裏。



〜路地裏〜

何故かそこかしこから小さく艶っぽい嬌声が聞こえる。
目の前にウィンドウが開き、ダイアログが表示される。

『スリープモードに入ります。復帰の際はリブートコマンドを行って下さい』

こいつ……AIのクセに空気読みやがった……!なんて恐ろしい子!

「はやくはやくぅ♪」

自分から四つん這いになっているよこの子。

「君はもうちょっと自分がおかしいと自覚したほうがいいと思うぞ」

ハーフパンツをずり下ろしながら言う俺もどうかと思うが。

「ん……叩いてぇ♪」声が甘いこと甘いこと。
「はいよ……っと!」<バシーン!>「ふぁあん♪」

叩かれた柔尻が弾み、尻尾がくねる。

「もっとぉ……♪」

尻を叩かれて恍惚としている。変態か?いや、変態だ。

「お尻叩かれて感じている変態さんですか……っと!」<パァーン!>「ちがうぅ♪へんたいじゃ……♪」

「はい口答えしない」<ベチーン!>「はぁん♪」
…………

〜数分後〜

「(さすがに手が痛くなってきた……)」
「はひぃ……ひぃ……♪」

何度も尻を叩かれて彼女のお尻は真っ赤っか。ついでに俺の手も真っ赤になっていたりして。

「……ん?」

股の間から何かテラテラと光沢を放つ物が漏れ出している。
触れてみるとくちゅりと音が。

「ひゃん!そこぉ……触っちゃ……あふ♪」
「へぇ、尻を叩かれただけでこんなに感じたのか」

少し煽ってあげるくらいのほうがMの娘は喜んでくれる……とか聞いたことがある。どこでかというのは覚えていない。

「あう……あらし……こんなにえっちじゃ……ひぅ♪」

手も痛いので股の間をいじってあげることにする。彼女を抱え上げ、自分は壁に背をもたれさせて彼女を腰の上に座らせる。

「そんなこと言ってもなぁ……止まらないよ?これ」

起伏に乏しい胸を胸当ての上から摩り、クリトリスを軽く弄りながら耳元で囁いてあげる。

「あふ……んぅ……♪」

尻尾が腕に絡みつき、小さな手を俺の手の甲に添わせてくる。

「どこを弄られて何が出てくるか言ってごらん?」
「そんにゃ……はずかしぃ……やぁん♪」

首筋が朱に染まっている。しかし何かを期待しているようでもある。

「言えないならこのままやめちゃうか」

手を止めると、彼女はもどかしそうに手に力を込めてくる。

「やぁ……言うから……言うからやめないでぇ……」

目が羞恥と寂しさと興奮が綯い交ぜになって潤んでいる。どうしてこうも嗜虐心をそそるような仕草ばかりするのか。

「あ、あらしのクリちゃん♪クリちゃんいじられてえっちなおつゆが漏れちゃうのぉ♪」

自分で言って興奮しているのだろう。耳がせわしなくピクピクと動いている。

「はい、良く出来ました」

ご褒美にクリトリスをつまんでひねり上げてあげる。

「んにゃああああああ!♪らめぇ!♪そんにゃつまんじゃらめぇ!♪」

強烈な快感に手が震え、足がガクガク揺れて、尻尾がきつく腕に絡みつく。
耳の毛は総毛立ち、その快感の強さを物語っている。

その耳がだんだん可愛く思えてきて……
「はむ♪」
耳を甘噛みしてなめまわしてみる。

「にゃ!みみはらめぇ!はむはむしちゃらめぇ!♪」

さらに左手を胸当ての中へ滑りこませ、コリコリした乳首も扱いてあげる。大盤振る舞いだな、うむ。

「やぁあ!じぇんぶ♪じぇんぶきもひぃよぉ!♪」
もはや自分では快感の逃げ場をコントロールできないようで、手足がピンと突っ張ってしまっている。

「イク♪イッちゃ……〜〜〜〜〜〜〜っ!♪」

全身がガクガクと震える。が、手はしばらく止めず、イキっぱなしにする。

「〜〜〜〜っ!♪〜〜〜〜〜〜〜っ!♪」

あぁ……イイ……。とか思っている俺ももうダメかもしれん。



「はぁ……はぁ……」

長い絶頂からようやく降りてきたのか、彼女は息を整えている。

「ん……あれ?……あ……」

彼女の小さなお尻を持ち上げているのは当然のごとく俺の愚息な訳で……。

「……///」
「あー……なんかすまない」

恥ずかしそうにうつむく彼女。照れて頬を掻く俺。

「ね、シよ?」

上目遣いでそのセリフは反則だと思うんだ。
俺はズボンのチャックを下ろし、トランクスをずり下げて息子を露出させる。

「結構大きいね」

体の対比から言ったらそりゃ大きくも見えるだろう。
自分ではいたって普通サイズだと思うのだが。

「んしょ……挿れるよ?」

向かい合い腰を浮かせ、狙いを定めて腰を落としてくる。

「んっ!つぅ……」

結合部から僅かに赤いものが滲み出している。

「初めてだったのか?」
「うん……嬉しい?」

確かに得も言われぬ嬉しさは込み上げてくる。来るのだが……。

「初めてがこんな場所でよかったのか?もう少し落ち着いた場所でも……」
「場所なんか関係ないよ。あたしも嬉しいし、我慢できなかったし……」

はにかみ、上目遣いからの胸元におでこコツンという黄金コンボを決めてくる彼女。
しかし……。

「(俺ってば処女になんてことを……初っ端からスパンキングとかどこの鬼畜だ!?)」

猛烈な罪悪感。自己嫌悪で潰れそうになる。

「ふふ♪」

不意に胸元から聞こえてくるクスクス笑いに意識を引き戻される。

「もの凄い顔になってるよ?本当は優しいんだ、あなた」

慈悲にも似た微笑みを浮かべている腕の中の少女は、本当に先程の彼女なのだろうか?

「心配しなくてもいいよ?乱暴されて初めてを奪われるよりずっと良い。あたし今、とっても幸せだよ」

そして、本当に幸せそうに胸元に顔を埋めてくる。

「……っ!」

俺は、彼女の小さな躰を抱きしめた。それがせめてもの罪滅しになればと思いながら。



「落ち着いた?」
「……あぁ。すまない」

普通言うことが逆だろうが。何やっているんだ俺は。

「そろそろ動いていい?だんだん我慢がきかなくなってきたし……」
「大丈夫か?」
「もう殆ど痛くないんだよ?相性がいいのかな?」

そう言うと彼女はゆっくりと腰を揺すりだした。

「ん……はふ……なんかヘンな感じ」

不思議そうな表情を浮かべ、しかしその頬にはわずかながら朱が差している。

「ムズムズするんだけど嫌じゃないの。これが気持ちいいって事なのかな?」
「う……そうかもしれないな」

俺はというとウネウネとキツく襲いかかる膣壁からの快感に必死に耐えていた。
こんな時に我慢の利かない身体が恨めしい。

「はぁ……ん……だんだん良くなってきたかも。もう少し動かしていい?」
「あぁ、好きなように動いていいぞ。任せる」

本当なら突き上げたほうがいいのだろうが、そんなことをしたらうっかり暴発してしまいそうだ。

「もしかして……あなたも初めて?」
「初めてじゃない……と、思う。何分記憶が少ないもんで昔に何があったか覚えていないんだ」
「記憶喪失か何か?」
「そんな所だ。不便は感じていないがこういう時にしっかり答えられないのはちと困るな」
「ふぅん……それじゃお互い初めてって事でいいかな?そのほうが嬉しいな♪」

笑顔が眩しい……眩しすぎる……。

「それでいいと言うなら……いい」

照れ隠しにぶっきらぼうに答えてしまう奴がいた。というか、俺だった。

「ふふ♪うれしいな……」

微笑みながら腰を振り立てるその様は妖しくも、心を奪われるほど綺麗で……。

「ん……」
「んむ……ちゅ……」

思わずその唇を奪っていた。

「はむ……れる……んちゅ……」

口付けを交わしながらお互いに腰を振り立てる。
もう周りなど見えなかった。聞こえるのは口付けの音と下から聞こえる交わりの水音だけ。いつの間にか暴発に耐えなくても快感を受け入れられるようになっていた。

どのぐらいの時間が経っただろうか。十分程度だった気もするし、一時間も経っていたような気がする。

「ん……そろそろイきそうかも……♪」
「こっちも限界が近いかな……」

どちらからとも無く、スパートをかけ始める。

「はぁ……はぁ……いいよぉ♪気持ちいい♪」
「う……ぐぅ……」

熱い圧迫感が下腹部に集まり、絶頂が近いことを告げる。

「そろそろ出そうだ……引きぬく準備を……」
「ううん、出して……中にいっぱい……」

彼女が首に腕を回し、足を俺の腰の後ろに回して固定する。
尻尾を足に巻きつけるほどの念の入れようだ。

「ちょ……ヤバいって!さすがにこれはマズ……!」
「離さないよ……♪あなたの精子いっぱいちょうだい……♪」

振り立てる腰の動きがますます速くなり俺を追い立てる。

「うぁ……!もう、もうげんか、んぐ!」

唇が塞がれたのが発端となり、堰き止められていた我慢が一気に決壊した。
熱い衝撃が迸り、彼女の膣内を蹂躙していく。

「〜〜〜〜〜〜〜っ!♪♪♪」

彼女は子種を注ぎこまれながら絶頂しているようで、全身が強ばり、尻尾が当て所なくグネグネを動いている。

「っくはぁ……すご♪まだ出てる……♪」

あまりの快感と長時間の我慢が祟ったのか射精は留まることを知らない。

「あぐっ……も、もうこれ以上は……」

受け止めきれる快感はとっくに限界値を振りきっており、それでも尚彼女の膣内は子種を強請るようにウネウネと蠢き続ける。

「まだイきそ……♪ねぇ、もっとちょうだ……〜〜〜っ!♪」

二度目の絶頂が来たのか、さらに膣内の蠢きが激しくなる。

「う、あああああぁぁぁぁ!」

それに合わせるように俺もまた二回目の子種が搾り出された。

「あは……すごいよぉ♪きもちいい……♪」

二人が落ち着いたのはそれから十数分後だった。



今は繋がったままダラダラしている。中に出した云々は手遅れなのでもう諦めた。

「ん〜……そういえば」
「何だ?」

思い出したように彼女が声を上げる。

「あたし達ってまだ互いの名前も知らないよね?」
「……(滝汗)」

つまり何か?俺は名も知らずまだ男も知らない少女の尻をバシバシ叩いてイかせまくって初めて奪って思い切り中出ししたって事か?

「ぐぁ……死にてぇ!今すぐにでも舌噛んで死にてぇ……!」
「あはは……気にしてないから。あたしはニータって言うんだ。あなたは?」
「アルテアだ……。アルテア=ブレイナー……」
「アルテアね。アルって呼んでいい?」
「お好きに……はぁ……」

落ち込む俺。どこか嬉しそうなニータ。

「ん〜……ふふ♪ア〜ルッ♪」
「何だよ?」

ぐりぐりと額を押し付けながら甘えてくる。破壊力高いなコンチクショウ!

「呼んだだけ〜♪」

これが天然だとしたらエラいことだ……。ニータ、恐ろしい子!



「アルって冒険者ギルドでお仕事しているんだよね?」

着衣を直し、人心地着くとニータが訊いてきた。

「まぁな。まだ始めて一週間も経ってないけど」
「たまに遊びに行ってもいい?」

だからその上目遣いは反則だと言っている。

「断る理由は……無い。いつでも来ていい」
「やた♪」

嬉しそうに彼女が腰に抱きついてくる。ロリコンでは無いはずなのだが妙にドキドキするのは仕方がないと思って欲しい。

「それじゃ、また明日ね!」

跳ねるように立ち去りながら手を振って来る。

「おう、また明日」

答えるように俺も手を振るう。
鵺を拾いあげて、ふと思い返す。

「また明日……?なんだかんだで毎日来そうな気がするぞ……」

拾い上げた鵺をリブートさせる。ウィンドウが開き、ダイアログが表示される。

『先程はお楽しみでしたね?』
俺は無言でシステムをシャットダウンした。
12/02/21 20:45更新 / テラー
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■作者メッセージ
〜言い訳コーナー〜
「いよう。極限世界(略)第七話はどうだっただろうか?今回は初めてのまともなエロ描写だった訳だが、満足できただろうか?ちなみにテーマはライトSMからの甘口初体験交換だ」

「あのゴム弾は跳弾目的に作られた筈なんだが……なんで避けられるんだ?」
「鼠は得てして回避が高いものなのですよアルテア君」
「納得いかねぇ!理不尽だ!」

「アンカーバルーンの元ネタはMr.インクレディブルのベタつきボールだ。そいつに水溶性という要素を付加して日本が作るとどうなるかっていういつもの妄想だな」
『とりもち銃というのは実際にありそうですね。これは少しばかり都合のいい武器になっていますが』
「服だけ溶かす粘液よりはマシだろう」

「今回の登場キャラクターだ。と言っても前回出たロバートは出てこないんだけどな」

ニータ
倉庫作業のクエストで出会う。最初はいたずら道具の材料調達のために荷物を盗み出したがアルテアにあっさり捕まる。その際受けたお仕置きの尻叩きでMに覚醒。
翌日の倉庫作業でアルテアを手伝い、仲間を使ってあっという間に依頼を終わらせる。

「アルの初体験がアニスだと思った?残念だったね!あたしだよ!」
「お前は鼬じゃなく鼠だ」

「あたしこれじゃただの変態じゃないの・・・」
「変態ならまだいい。俺はそれに鬼畜野郎が付くんだぞ?」
『思うがままに書いた結果がこれですよ』

『エロの中身が薄いですね。童貞ではこれが限界ですか』
「うっすい知識絞っていろいろ読みあさったんだってさ。これでも」
「それで結果がライトSMとか知識偏りすぎじゃない?」
つ[ゴメンナサイ、マジでゴメンナサイ]

「今30話ぐらいまで出来ているんだけどさ」
「それが?」
「実はニータとの行為はコレ一回しか出てきてないんだ」
「酷い!やり捨て!?」
「言い方を考えろ言い方を。そのうちおまけで書くつもりでいるからそれまで待っとけ」
「今から縛られる練習しとかなくちゃ!」
「マゾ自重しろ」

「最後に一つ作者が言いたい事があるそうだ」
つ[掲示板に男主人公の見せ場を書きたいが為に連載始める人が増えたとありました。
  全 く そ の 通 りです。orz。
  自分が考えたキャラクターがこの世界を歩いたらどうなるのか〜という事を常日頃から考えているような俺ですからね……。
この先も主人公メインの話になってしまいます。それ故に気分を害される方も出てくると思います。
でも、折角始めた連載物。出来ることならば完結させたい……ということで炎上しない限りは続けさせて貰おうと思います。
もし炎上したら自分なりに構想を練り直して別の何か……まずは短編でも書いて見てもらおうかと思っています。それでも受け入れられなかったら完全に傍観者に回るつもりです。]

「今回はここまでだな。次はこの話のおまけなので明日投稿する予定だ。これでようやっと鵺がどういう武器かというのとAIの紹介ができるようになる。AIが壊れ始めるのもここからなので楽しみにしていて欲しい。それじゃあまた明日!ここまで読んでくれてありがとうな!」

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