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第九話・DAYBREAK'S BELL
何年連れ添っても、わからないものがある。


見張り櫓の上にロウガがいる。
酒と肴を持ち上がり、見張り櫓に登っていながら、これでもかと言わんばかりにまったく見張りの職務を果たしていないあいつは、ただ真夜中の月明かりに照らされた色鮮やかな黒い世界を、松明の灯かりの中でいつも見せる悪意を含んだ笑いを浮かべていた。
「楽しそうだな、ロウガ。」
ザァと風が木々を揺らす。
黒い世界が呻き声を上げているような錯覚を覚える。
「おう、アスティアか。お前も飲むか?」
「…そうだね、いただこうか。」
櫓に登った私の姿を見付け、ロウガはお気に入りの朱塗りの杯を掲げる。
鎧にしてもそうだが、本当に彼は朱色が好きなんだろうと思う。
「………良い酒だね。セラエノの酒じゃなさそうだが?」
「クックック、ガルドの贈呈品よ。」
ガルドというのは商人ギルド『砂漠の兄弟社』に所属する、望めば屈強で強靭な傭兵から、モフモフした可愛い兎さんまで迅速に用意出来るというやり手の商人で、フルネームをヘンリー=ガルドという男のことである。
自称戦争商人であり、本人の言を借りれば反魔物国家であろうと親魔物国家であろうと、金さえ積めば味方する最低で卑しい男なのだが、そう自称する割りには熱血漢であり、今一つ非情になり切れないという、今時珍しく『人間らしい』魅力のある人物だというのが私の印象だった。
「………早馬が来た。あの子が夜明けと共に千の兵を引き連れて帰還する。」
あの子、というのはアドライグのこと。
未来から迷い込んだという娘なのだが、どこか無気力や諦めを感じさせる危うい娘である。
頭も悪くはなさそうだし(むしろ優秀そうだ)、身体的な基本能力も悪くはなさそうだから、ちゃんと自分の使命や生きる意義を見出せたなら、今後の育ち方次第で大きく花開きそうな予感もするのだが………それは、私やロウガの役目ではないような気もする。
「……千か。」
「少なかったかな?」
「……いや、多すぎる。それではフウム残党と兵力が同じになってしまう。」
同じになってしまうと何か問題でもあるのか、と訊ねると、ロウガは笑って言った。
「大問題だ。せっかく半分くらいの兵力で相手してやろうと思ったのに、ハンデがなくなってしまっては戦にならないじゃないか。これでは戦争ではなく、一方的な凌辱にしかならない。」
楽しそうに笑うロウガを見ていて、ふと気が付いた。

右腕が、動いている。

「ロウガ、動くのか!?」
私の驚きに彼は『ああ』と短く答えた。
「俺自身、この右腕がどうやって動くのかよくはわからないが、最近わかったのはお前を抱く時、反魔の連中が繰り返す非道に怒りを覚える時。後最近じゃ若い時を思い出して、戦に胸躍る時に動くようになったな。」
私を抱く時と反魔への怒りが、その同列に位置することは何だか居心地悪いのだが、思い返してみれば私を抱く時、ロウガの目には私が幼い頃に受けた拷問の醜い傷が映るのだ。
この醜い傷が私たちを繋ぐ糸なのだが、この傷を想う度に彼は怒りを覚えるのだろう。
私だけではない。
この傷こそが、この世界に散らばっている膿の象徴だ。
「………ありがとう、ロウガ。私を救ってくれて。」
「俺は何もしていない。」
「………………じゃあ、そういうことにしておくよ。」
わからないものだ。
私の生殺与奪の権利はロウガにある。
あの頃、復讐心を胸に破滅へと突き進んでいた私を、多大な代償を払って打ち負かし、遠い異国(それどころか異世界ではあったが)から来た彼のために、我々リザードマンの掟を伝えてからもう20年近くの時が経っているのだというのに、ロウガはその間一度もその権利を行使したことはない。
小さな頼み事はしてくることがあるが、彼は基本的に私の望みを叶えることしかしない。
夫婦になったのも、幸せな家庭を築いたのも、すべて私の願い。
「………アスティア、アドライグの連れた兵は近隣に伏せて待機するように伝令を飛ばせ。」
「……何をする気だ?」
「クックック、知れたこと……連中をからかい尽くすまでよ。ついでだ、アドライグにそのまま千の兵を預けておく。ルオゥム皇帝の義娘、と聞いているからな。いずれは人の上に立たねばならんのだから、その予行練習として存分に慌てふためくが良い……クックックックック…。」
心底楽しそうに邪悪な笑いを浮かべながら、ロウガは煙草に火を点ける。
未来で『魔王』とか何とか呼ばれているのだから、少しは悪意のある行動は控えて、そう呼ばれる未来を回避して欲しいものなのだが、この悪人然とした仕草や思考回路もロウガらしさなのだと諦めている私がいる。

嗚呼、憎らしいことに、つくづく私はこいつに惚れている。

「それにここでの戦いで、勝利なんざ必要ない。」
時々ロウガはとんでもないことを口走るが、さすがにこれには驚いた。
そもそも『勝利』を必要としない戦争がどこにある。
「ここで勝ってもあまり意味がない。ムルアケ街道は一応要塞化しておいたが、所詮は龍雅のいる本軍への補給基地に過ぎないしな。まぁ、勝利と呼べる結末に達しようとするならば、精々ここでフウム残党の遊び相手を長々としてやるくらいかな。」
「……それは、連合軍本隊に合流させないようにか?」
「いや、残党軍として維持出来なくしてやるってことさ。」
そう言って、ロウガはニヤリと笑った。
ああ、そういうことか。
ここで長々と防ぎつつ、時間を掛けてフウム残党軍を痛め付けて、兵糧や軍資金、武器に至るまでを無意味に消費させて解体することが、ロウガの言う勝利と呼べる結末なのだな。
「解体した後に本隊に合流されたら一緒じゃないのか。」
「クックック、合流されたら一大事だな。」
この戦争で紅龍雅の軍略の冴えを報告書で読んだ時は、それこそ軍略絵巻に登場するような、痛快な神の軍略をまざまざと見せ付けられているような、そんな清々しさを感じたものだが、ロウガに見る策略はそれとは真逆のものを感じる。
アドライグではないが、『人間の皮を被った悪魔』という評価はあながち間違いではないらしい。
「……俺たちが手を下す必要はない。フウムの残党軍も、あちら側の連合軍本隊もこの土地で何をやった。宣戦布告もなく、その兆候すらなく、ただ他人の庭に押し入って、賊か輩(やから)かイナゴの如く、問答無用で殺し、奪い、犯し、食い散らかした。軍を維持出来なくなれば、当然やつらはその報いを受ける。」
「…………………落武者狩りか。」
人間同士の醜い争いになるのだろう。
兵士同士の争いではなく、フウム残党軍や連合軍への恨みを持った帝国民が、軍として維持出来なくなった彼らに襲い掛かるのは目に見えている。
ロウガのことだ。
落武者狩りに報奨金を出したり、武器を民衆に横流しするといった手段まで打つだろう。
「……まったく、本当に悪い男だ。」
「クックック、何せ未来の『魔王』だからのう。まぁ、他にも色々手を打ってある。」
何を企んでいる、と苦笑いを浮かべて問い詰めて見たが、今は内緒だとロウガは答えた。
どうせ、ろくでもないことを企んでいるのだろうというのはわかる。
それに『魔王』と名乗ったり、そう呼ばれるのも満更ではないらしく、最近は朱塗りの鎧に金箔や色鮮やかな羽根飾りを付け加えたりする『魔改造』、それに一見してあれがロウガだとわかるような、芝居小屋で見るような『魔王らしい』彼好みの派手な衣装を好んで着用するようになったことを考えると、彼はそう言った意味では『魔王』と呼ばれる未来を回避する気が、これっぽっちも、欠片程にも、まったくないのである。

この変わり者め。

そう思うのではあるが、私には彼の奇行を止めることは出来ない。
そんなロウガも含めて私は惚れている。
「………さて、夜明けと共に命令を出すとするか。」
「……ロウガ、本当に楽しそうな顔をするね。」
学園長の机にいた時よりも、本当に楽しそうな顔をする。
まるで新しい玩具を手に入れた子供のように生き生きとしている。
心なしか少し若返った。
そんな印象も受けた。
「…………こんな俺は嫌いか?」
戦争を楽しんでいる自分は嫌いか、と問われる。
私は無言で首を横に振る。
「逆に惚れ直した。」
そう言って、そっとロウガの膝の上に、私はまるで猫のようにしおらしく頬を寄せた。
どこかでそんなロウガの姿こそ、彼本来の姿なんだと感じていた。
戦争を楽しんでいるこの姿が、やけに懐かしく思えるのである。

まるで どこか遠いところで体験したような

そんな曖昧で 夢の中の出来事のような記憶が 言っている。

これで 良いのだと。

やっと彼は 彼に舞い戻って来たのだと

私自身も触れることの出来ない 私が囁いていた。


―――――――――――――――――――――――


フウム王国義勇軍(残党軍)記録書記官 レイドリック=フィッシャーが記す。


3月18日昼過ぎ、ムルアケ街道に布陣していた我々の下に信じられない出来事が起こった。
各地に散らばって同志たちも続々と集結し、神敵の陣を前にしてまだまだ本陣への道程は長いな、と冗談と武者震い交じりの溜息を吐いていたのだが、それはまるで神の気紛れの如くやって来た。

一人の老いた男が蜥蜴女(リザードマンの蔑称)を伴い、我が軍に現れた。

腰が曲がり、枯れ枝のように痩せ細った老人は杖がなければ歩くことも出来ない様子で、蜥蜴女に手を引かれなければ真っ直ぐに歩けないところを見ると、もう目もよく見えてはいないようだった。
「こちらの責任者にお会いしたい。」
か細い声で老人は言う。
名を名乗れ、と衛兵が命ずると、老人はやはり消え入りそうな声で答えた。

「セラエノ軍総帥ロウガ=サワキで御座います。」

にわかに陣中が慌しくなった。
かの神敵がまるで無造作に現れたのだから無理もない。
敵陣が十里先にあるというのは物見の報告から知れ渡っていたので、神敵の軍勢が突如現れたとしても不思議ではないのであるが、神敵がただ妻である蜥蜴女一人だけを伴って現れたのだから、この時の衛兵はもちろん、我が軍に沸き上がった動揺は計り知れなかった。
宣戦布告であるならば、この動揺はすぐに収まったであろう。

「降伏を希望したく、参上致しました次第で御座います。」

まったく予期していなかった結末である。
我々は義勇軍ではあったものの、本国においてジャン王子に敗れたために初動が遅れてしまい、帝国軍を圧倒的優位に攻めている(事実は数々の失態を隠すためにフィリップ王の流布した情報)という連合軍本隊に合流するには、取り繕うことが出来ない程、明らかに遅すぎた参戦であった。
ましてや常勝軍として快進撃を続けている連合軍本隊に合流するには、帝国の村々を焼き払ったり、反逆者(帝国領民)討伐などの軍功程度ではあまりに微々たるものであり、神敵の軍勢を撃破、もしくは突破するくらいの軍功を立てねば、例え合流出来たとしても手ぶらでは逆に処罰されるやもしれない、と我々は考えていた。
それが向こうから降伏してきたのだから、目を白黒させざるを得ない。
義勇軍司令官・シャルル=クルーレ伯爵が現れると、神敵と蜥蜴女は跪いた。
信じられない光景だった。
私がまだ十代だった頃にはすでに教会の敵、神敵として忌み嫌われていた男が我々の目の前で許しを請うような憐れな姿で跪いているのだから。
「司令官シャルルである。何故降伏しに参った。」
解せぬ、とシャルル伯爵は顔をしかめる。
神敵はやはり『ごもっとも』と消え入りそうな声で答えた。
「私も名前だけが一人歩きし、神敵としてあなた方と敵対して参りました。しかし実際の私はご覧の通りで御座います。もはや食事として食すパンにさえ重さを感じ、歩くことも見ることもままならず、かつての如く武勇を示すことしら叶いませぬ。」
憐れな老人、それが私の印象であった。
さらに咳き込むたびに隣の蜥蜴女が、心配そうに背中を擦る姿に哀れみを覚えた。
「やはり私も最期は神の御意思に召されるようで、陣中は疫病が流行り、兵たちは我先にと逃散し、兵糧も害虫に食い荒らされて、もはや軍としては死に体で御座います。さすればせめて前途ある者たちに御慈悲を賜りたく、こうしてあなた方様に降伏を願い出た訳で御座います。」

しばらくして、シャルル伯爵は降伏を受諾した。
降伏条件としては、神敵ロウガは斬首に処すこと。
さらにムルアケ街道は明け渡し、セラエノ軍は捕虜として従軍することなどを盛り込んだ条件を提示すると、神敵は何の反論もなく、すべて無条件で受け入れると約束した。
ただし共に苦楽を生きた仲間たちと最後の別れがしたい、と神敵が申し出たため、シャルル伯爵もその憐れな老人に同情し、処刑の僅かな延期を許した。
神敵は夜に僅かな従者を連れて、再びここを訪れると約束する。
我々は勝利したのだ。
あまりに実感のわかない勝利だが、これに勝る功はないだろう。
それにしても、神敵の連れた蜥蜴女。
魔物にしておくにはあまりにもったいないくらいに美しかった。
そう……特にたわわに実った胸とか実に好みで、人間でないのが非情に惜しい。


―――――――――――――――――――――――


今日もまた夕陽が沈んでいく。
ムルアケ街道も例外ではなく、真っ赤に染まった世界は何度見ても美しい。
兵たちが集う広場。
俺は壇上に登り、どっかりと胡坐を掻くと一人一人赤く染まった顔を黙って眺めていた。
懐かしいなぁ。
誰も彼もが良い顔をしている。
丸蝶党のあいつらもこんな風に汚くて、やけに力強くて、狡賢そうな顔してて、ムカつくぐらい嫉妬してしまうような良い顔をしていやがった。
「大将、その痣はどうした!」
整列した傭兵の一人が、俺の顔を指差して爆笑しながら声を上げた。
……こいつもムカつくなぁ。
わかってて聞いているんだから殴り飛ばしたくなる。
「アスティアにやられたんだよ、クソったれ!」
「嫁さんの替え玉に巨乳美人使ったのがバレたんだろ!」
仕方ねぇだろうが。
俺の替え玉は用意出来たけど、アスティアの替え玉は見付からなかったんだから。
アスティアとほぼ同サイズのマイアでも一緒に連れて来てりゃ、ちょっと化粧で細工でもすればアスティア役にドンピシャだったんだが、残念なことに今ムルアケに従軍しているリザードマンでアスティアと同年代の娘さんは……まぁ、アスティアよりもサイズが桁違いに大きい。

何がっていうか胸の大きさがな。

こうなることがわかっていたから、アスティアには替え玉を使ってフウムの連中を油断させるって悪戯を黙っていたのに、アスティアがリザードマン部隊の点呼をした時にあっさりバレたもんだから始末が悪い。
おかげで右目の回りに丸い痣が出来てしまった。
将来『魔王』と呼ばれるのは満更ではないが、その魔王の嫁さんの方が俺よりも圧倒的に強いというのは、何とも情けないような、それでいて妙に納得してしまうような、そんな微妙な気分にさせてくれる痛みだ。
「んで、フウムの陣中の様子はどうだった。」
この話題を蒸し返すともう一撃喰らいそうだったから、俺は偵察に出た者に話を振ってみたのだが、そいつもそいつで俺の顔を見ながら笑っているので思いっ切りブン殴ってやりたくなるのを大人だからグッと堪える。
「あいつら正真正銘の馬鹿ですぜ。大将と奥方さんの替え玉をまったくちっともこれっぽっちも疑わずに、真偽を確認する尾行すら付けてなかったッスから。俺らだったら旨い話にゃ棘がある、ってのが身に染みてるッスから一応疑って掛かるってぇもんでさぁ。」
ドッと兵たちから笑いが起こる。
なるほど、気持ちはわからんでもないな。
「笑ってやるな。御老人の演技があまりに迫真だっただけのこと、それに連中が疑う余裕もない程疲労が溜まっているということだ。お前らも気を付けておけ。そうでないと、本当にこの首持って行かれるぞ。」
ちげえねぇ、という笑い声。
その笑い声を縫って、杖に縋り付いた老人が覚束ない足取りで俺の目の前にやって来た。
俺の替え玉の役目を担ってくれた老人である。
よく見えない白く濁った目が、懸命に俺を見ている。
「やぁ、御老人。役目大儀であった。」
皺だらけの顔がニッと歪む。
「…………狼王よ、約束を果たせ。」
「その呼び名はやめろ。俺は『王』になるのは気に喰わん。」
「……やはりヌシは『王』よ。それも飛び切り邪悪な狼の王。我との約束を果たされよ。必要とあれば我が白髪首も落とすが良い。抵抗虚しく村を焼かれ、一族郎党皆殺しにされて尚無様に落ち延びた我が恨みを晴らし給え。」
「その点だけは安心して良い。誰に喧嘩を売ったのか連中には嫌と言う程教え込んでやるよ。騎士らしい最期、滅びの美学……そんなものも遂げさせやしない。恥辱と絶望に落として散々に嬲ってやろう。」
その言葉を聞いて老人は、まるで祈るように手を合わせて俺に感謝していた。
感謝なんて必要ないというのに。
老人との約束は、云わば行き掛けの駄賃のようなもの。
俺は、俺のしたいようにしか出来ないのだから。
「………………………さて。」
気合を入れて立ち上がる。
ただそれだけで今の今まで笑っていた兵たちの顔が引き締まる。
俺に期待したって何も出ないというのにな。
「兵士諸君。」


兵士諸君。
この一説から始まるロウガの演説こそが、後にロウガを『魔王』たらしめる。


「兵士諸君、この世界に飽き飽きしておらんか。
 神だ魔物だと、この世界にはたった二つの音曲しか溢れておらん。
 我らは神の下僕か。
 それとも魔王が眷属か。
 そもそも、それ自体がくだらんというものよ。
 我らは誰のものでもなく、空を流るる雲の如く自由である。
 だというのにお前らの身の上はどうだ。
 自由はなく、神か魔王かに組せねば、生きることすらままならぬ不自由さ。
 それで満足か?
 それで悔いなく死ねるのか?
 ………………クックック、そうだ。その顔だ。
 死ねないよな。
 満足なぞ出来んだろうな。
 ならば奪い取れ。
 思想を、生きる場所を、自由を。何もかもを奪い取ってやれ。
 たった二つの音曲に俺たちの雑音を雑ぜてやれ。
 神の下僕としての人間、魔王の眷属たる人間に用はない。
 この地上は熱を持たぬ木偶人形のものではない。
 人よ、魔物よ、我に従う兵どもよ。
 この戦はそういう戦ぞ。鎖を引き千切る戦ぞ。
 神の木偶人形に価値はなく、また魔王の眷属たる人形にも価値はない。
 失った『ヒト』の価値を取り戻せ、とは言わん。
 
 価値を奪った木偶人形どもから、お前たちの『熱』を奪い返せ!」



13/02/16 13:09更新 / 宿利京祐
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■作者メッセージ
お久し振りです。
徐々に更新間隔が短くなってきているような気がしている宿利です。
段々と暖かくなってきていますねぇ………杉滅べ。
花粉症の季節到来間近というよりもうシーズン?
クシャミ鼻水目の痒み、想像するだけで嫌になります。

さて今回はロウガの本性が解き放たれました。
本人はこれで『ごく普通』の人間のつもりなので性質が悪い。
何となくロウガが人間至上主義者のような物言いをしておりますが、
追記しておきますと、彼自身『人間』と『魔物娘』に関しては
実は明確な区別が付いていない、ということを付け加えておくます(汗)。
本編では何度か口にしておりますが、
ロウガ自身魔物娘に対しても『人(ヒト)』という単語を当てていたりするので
姿形ではなく本質で『生きている』者をヒトとして扱っている……などと
苦し紛れに言い訳してみたりしなかったり…。

それでは最後になりましたが
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
また次回、別作品などでお会いしましょう(^^)ノシ

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