act22・絶叫!パワフル草野球2011 @
ここは学園都市セラエノの端に存在する空き地だったところ。
元々、辺境で名を馳せたある女性実業家(?)、仮にNと呼称するが、Nが北方文化を、辺境の人々に広めようと大規模な古代宗教博物館を建造すべく準備をしていた場所であった。
しかしつい最近、宗教博物館建造のスポンサーの一つである企業F(仮名)とV教会(仮名)が、急成長し急激に株価の上がった彼女の会社の乗っ取りを画策したために、元々あまり仲の良くなかった両者に修復不能な亀裂が生じたために、土地だけ確保されたものの、計画は完全に白紙に戻されてしまった。
だが、その空き地になってしまった場所を放っておく程、この町の住人はお人好しではない!
未だ土地の権利はNのものということを承知の上で、彼らはドワーフたちを金と鉱石で引き込み、祭りの準備という名目の下、Nに無許可で空き地を完全に改造してしまった。
そして出来上がったもの。
それは野球場。
学園都市セラエノの実力者の一人Rの趣味により、平和台球場を完全再現。
Nがその事実を知ったのは完成セレモニーの招待状が彼女の下へ届いた時であったという。
(プライバシー保護のため音声を変えております)
『余の与り知らぬところで、余の土地が侵略されただと!?』
当然、先の事件と合わせて怒り心頭であったNであったが、文句を言ってやろうと乗り込んだ完成セレモニーで、思わず感嘆の声を上げてしまった。
(プライバシーの保護のため以下略)
『な、何と言う造形だ。新築であるはずなのに、傷や錆びまで所々再現し、古く歴史ある球場の面影を如何なく残すとは…!えぇい、辺境の職人は化け物か!?』
完成セレモニーは滞りなく終了し、
この日のメインイベントは幕を上げる。
『ロウガの息子、命名記念!名前はお前の実力で勝ち取れCUP』
…………この町の住人は、ネーミングセンスの欠片もないらしい。
(画面の前のお友達も歌ってみよう)
『魔神の星』
ぴしゅん!
カキィーン
たったったったったったった…
ずざぁー
アウトー
わーわーわーわー!!
(あの有名なオープニングテーマ)
意外なことだけど
うさぎ跳びは効果ない
行くが女のど根性
真っ黒に萌える
ダークマター
魔神の星を掴むまで
白濁精液、魔力の源
今回は野球だ
どんとゆけ
――――――――――――――――――
天気は晴れ。
雲一つない快晴の空の下、ロウガの息子命名争奪CUPは行われた。
チーム・ゲーマルク
チーム・紅牙
チーム・雷紅狼
チーム・ユーリ
チーム・志雄
チーム・リア友に丸投げする
以上の6チームが命名権を賭けてスポーツマンシップに則って熱戦を繰り広げた。
一部には反則染みた行為が出たものの、死傷者は出ることなく穏やかに試合は学園都市セラエノが運営するセラエノ平和台球場にて熱気と興奮の中で行われ、数々の名勝負がこの日繰り広げられたのであったが、そこは敢えて割愛。
まずはBクラスになり、惜しくもプレイオフに出られなかった3チームを紹介しよう。
6位/リア友に丸投げする
所詮人数合わせのために参加させたチームだったためか、ブッチギリの最下位の座に納まった。
首位とのゲーム差が50って一体何だったんだ!?
では、次の順位の発表です。
5位/チーム・紅牙
首位から5位までのゲーム差が僅か4.5という大混戦の中、3位と1.5ゲーム差で惜しくも5位になりました。
しかし、首位打者と最優秀防御率投手を輩出するなど大健闘。
順位は低迷したものの、充実したチーム力を見せ付けた結果に終わりました。
次の順位です。
4位/チーム・ユーリ
3位に0.5ゲーム差及ばず惜しくもBクラス転落。
シーズン中盤から怪我人続出で主力メンバーを欠いた状態が長期化したのが最大の敗因か。
打撃は低迷してしまったものの、シーズンを通してチーム防御率1位を維持し続けたのはまさしく賞賛に値するものでしょう。
…………え?
そういえばさっきから、シーズンだのゲーム差だの何のことだって?
…………気にしないでください。
…気にしたら、負けです。
色んな意味で。
3位/チーム・ゲーマルク
チーム本塁打数第一位の球団であったが、悲しいことに防御率が伴わず、プレイオフでもその弱点を露呈し、2位のチーム・雷紅狼に逆転負けを喫してしまいました。
名前の示す通りに力強い球団でしたが、粘りがもう少し欲しかったシーズンでした。
しかし、チーム平均本塁打数が36本というのはまさに脅威であり、他チームに与えた恐怖を考えれば、まさにその存在感を如何なく見せ付けたシーズンであったと言えるでしょう。
それではお待たせいたしました。
決勝戦最終試合。
チーム・志雄vsチーム・雷紅狼の模様をお楽しみください。
皆様、こんばんは。
本日はセラエノ平和台球場より、名付けCUP決勝戦の模様を実況、宿利京祐でお送りいたします。
先攻はチーム志雄。
後攻はチーム雷紅狼です。
スターティングメンバーは以上の通りです。
1番・ウェールズ=ドライグ(ショート)
2番・ローゴールト(ファースト)
3番・ヴァル=フレイヤ(ライト)
4番・クック=ケインズ(サード)
5番・ファラ=アロンダイト(指名打者)
6番・ハインケル=ゼファー(セカンド)
7番・ヒロ=ハイル(キャッチャー)
8番・フレック=P=ニザール(レフト)
9番・リオン=ファウスト(センター)
投手・コーネリア=マストーラ
チーム・志雄はまさにスーパーゲスト大戦の様相を呈しております。
安定した戦力で今シーズン、1位突破。
特に注目は1番バッターのウェールズです。
野球は苦手だと語っておりましたが、今シーズンの先頭打者本塁打数14本はまさに驚異的。
最近、フラット様の本編にて身長が明記された、204cmの大巨人クック=ケインズのパワーも今シーズンは目を見張るものがありました。
堂々の54本で本塁打ランキング1位を獲得。
尚、クック選手には本塁打王獲得の記念品として、セラエノ産最高級白米『ひとねじり』1年分が贈られます。
おめでとうございました。
ではこの回のゲスト解説者、クレイネル=アイルレットさん。
本日はよろしくお願い致します。
クレイネル
「はい、よろしくお願いします。しかし、何で私が呼ばれたのか今一つ理解し難いので、納得出来ない回答をいただいた場合は即可愛い蟲たちの餌になっていただきますね。」
さすが『魔物狂いのクック』における最凶最悪の悪役ですね。
人気が高いのも頷けます。
本日お呼びしたのは、もちろんクック選手が出場するということでお呼びした次第です。
クレイネル
「……まぁ、良いでしょう。しかしスターティングメンバーを見る限り、何も注目はクックばかりではありませんね。ウェールズ=ドライグ、フレック=P=ニザールなど私たち中東教会の危険人物リストに載るような方々が、まだベンチにいることを考えるとこの試合、非常にチーム志雄が有利だと思われますね。まぁ、クックに関してはあの大きな形(なり)ですからね。力もありますが、非常に穴も大きい。そのことを考えるとあまり脅威とは言い難い。彼の苦手な内角を相手ピッチャーがどれだけ攻められるか。それがこの試合序盤の鍵になるでしょうね。」
なるほど。
ありがとうございます。
確かに手元の資料によればクック選手の三振の数はリーグトップでしたね。
それにしても、資料もなしによく覚えていましたね?
クレイネル
「そ、それは…、私のライバルキャラですし、本編でも弱体化した彼と戦って勝っても面白みが欠けますし、出来ることなら弱点の一つでも克服してもらいた……って私はこんなキャラではなかったはずですが?」
……後で色々と怒られそうだ。
それでは対しますチーム雷紅狼のスターティングメンバーの発表です。
1番・サイガ(センター)
2番・アスティア(ファースト)
3番・サクラ(セカンド)
4番・ダオラ(指名打者)
5番・マイア(レフト)
6番・ロウガ=サワキ(サード)
7番・イチゴ(キャッチャー)
8番・アルフォンス(ライト)
9番・宗近(ショート)
投手・ネフェルティータ
チーム雷紅狼はいつものメンバーを揃えてきたという感じですね。
1番の俊足を誇るサイガが塁に出ると、その後の2番から本当に恐ろしい打線が始まります。
2番のアスティアは、バントしない2番打者として今シーズン本塁打を量産。
堂々の45本を打ち、チームトップの本塁打を叩き出しました。
調整が遅れてしまったために、今シーズン序盤を2軍で過ごした4番打者のダオラも、シーズン中盤からスターティングメンバーに返り咲き、鬱憤を晴らすように打ちまくり本塁打37本、打率2割9分と、堂々とした成績を残しました。
クレイネルさんはどの選手に注目をしていますか?
クレイネル
「私が要注意として見ているのは、6番のマイア。そして9番の宗近ですね。6番のマイアは母親譲りの力のバッティングを見せるかと思えば、意外なことに巧みな技術でヒット狙いのバッティングもこなしますからね。もしもランナーが貯まっていたりすると、これ程嫌なバッターはいないのではないかと思います。そして9番の宗近。彼女はハッキリ言ってしまえば、訳がわからないですね。裏の4番とも言える実力を持ちながら何故こんな下位打線にいるのか…。」
沢木監督との不仲説がありますね、確か。
投手のネフェルティータ選手は今シーズンの登板経験は一切ありません。
一体どれ程の投球を見せてくれるのか、非常に楽しみですね。
おっと、それではお待たせいたしました。
まもなく試合開始です。
―――――――――――――――――――――――
「プレイボール!」
さぁ、主審の合図と共に試合開始です。
先攻はチーム志雄。
1番バッターのウェールズ=ドライグ選手、左打席に入ります。
居合い斬りのような独特の低く構えるフォーム。
この構えから先頭打者ホームランを叩き出したのです。
対するピッチャー、ネフェルティータ。
キャッチャー、イチゴとのサインの交換をしています。
一体ウェールズ選手に対し、どんな初球を投げるのか…?
ネフェルティータ
(……無理ですよー!本当に私、野球なんてやったこともないんですよー。何でこんな大事なポジションにいるのかもわからないのに、変化球投げろなんて無茶なこと言わないでくださいよー!!)
イチゴ
(ええい、つべこべ言うでない!ワシだって何でキャッチャーなんかやっておるのか、わからんのじゃからな!!本当じゃったら、休日をエロゲ三昧でオ○○○しまくって有意義に過ごしておったはずじゃのに…。応援席に姉上がおるし、そうなると必然的にベンチには姉上の旦那が控えておる…。嗚呼、めんどくさいのじゃ…。もう何でも良いから適当に投げるのじゃ!!)
ウェールズ
「………………。」
ネフェルティータ、長いサイン交換を終えて頷きました。
ピッチャー、大きく振り被って……。
第一球、投げました!
ふわん…
イチゴ
「何じゃ!そのひょろひょろ球は!?」
ネフェルティータ
「私に期待しないでくださいって言ったじゃないですかぁーっ!!!」
カキィィーーーーンッ…
イチゴ・ネフェルティータ
「「………………………ああ!!」」
打ったぁー!
これは大きい!
文句なしだ!
この当たりは文句なしでしょう!
ライト線ポール際を……、巻いたぁー!!
先制、先頭打者ホームラン!
何という開幕でしょう。
ウェールズ=ドライグ、恐怖の先頭打者本塁打伝説はまだ終わってはいなかったぁー!!
クレイネルさん、目の覚めるような一発でしたね。
クレイネル
「ネフェルティータ投手のスローボールに完全にタイミングを狂わされていたのですが、身体が実に良く反応しましたね。グッと我慢した分、力を貯められて身体が早く開くのを防げたようですね。素晴らしい打撃、見事としか言い様のない打球でした。チーム志雄らしい試合展開になりそうですね。」
そうですね、クレイネルさん。
ウェールズ選手、ゆっくりとダイヤモンドを一周します。
おっと、珍しい。
ウェールズ選手が三塁を回る時に、少しだけ笑顔になって手を振りました!
放送席から見え辛いのですが、一体誰に手を振ったのでしょうか…。
ウェールズ選手、本塁ベースを踏み、ホームイン。
1対0。
まずはチーム志雄の先制で試合が動きました。
ウェールズ
「…まったく、ガーベラめ。あの程度の球を打ったところで喜ぶ程ではないというのに、あれ程までにはしゃぐとはな…。まだまだ子供、というところだろうな。だが、悪い気はせぬ。」
ウェールズ選手、チームメイトの手洗い歓迎を受けてベンチへ帰ります。
おっと、早くもチーム雷紅狼はキャッチャーがピッチャーの下へ駆け寄りました。
………あ、こけた。
やはりキャッチャーのプロテクターがイチゴ選手には重いのでしょうか?
サイズも合っていないようですし…。
ネフェルティータ
「やっぱり無理なんですよー。私なんて学生時代も体育だけは1だったんですよ!そんな私がピッチャーなんて務まる訳ないじゃないですか。ルール上だったら一人相手にしたら交代しても良いんですよね?だったら誰か他の人を出してくださいよ…。」
イチゴ
「ワシだって体育は2じゃ!だがオヌシの交代はないぞ。控えはそこそこの数を用意しておるが、ピッチャーはオヌシ一人じゃ!うちの学園長は馬鹿じゃが、勝算のない喧嘩はあまりやらぬぞ。オヌシに勝算ありと読んだから、最終回まで一人で投げさせるつもりらしいのじゃ。」
ネフェルティータ
「だからそれが無理だって言っているじゃないですかー!!」
イチゴ
「本当はもっと後の回に使わせる秘策じゃッたのじゃが…、そうも言っておられぬ状況じゃな。アヌビス、思い出すのじゃ。オヌシは何じゃ!」
ネフェルティータ
「え……?えっと…、アヌビス種でセラエノ学園教頭…?」
イチゴ
「それだけではないじゃろう。オヌシはサクリストの魔の手から学園と町を守る正義の魔法わんわん。魔女っ娘わんわん☆ねふぇるてぃーた、なのじゃ!思い出すのじゃ、オヌシの能力はどうやって確立するのかを!!」
ネフェルティータ
「………!?それって……、まさか…!!!」
イチゴ
「その通りじゃ。このままでは一方的に試合が終わってしまう。今のままじゃったら初回コールドなんてチート展開が待っておるのじゃ。さぁ、アヌビス。思い出したのなら変身するのじゃ!オヌシの能力を『風雲!セラエノ学園 act2』の学園長の説明を読み直して思い出すのじゃー!!」
ネフェルティータ
「コーチ…、じゃなくてイチゴ先生!私、やります!!」
イチゴ
「その意気じゃ。さぁ、今こそ変身の時なのじゃ、次回こそ。」
ネフェルティータ
「ここで続くんですか!?」
元々、辺境で名を馳せたある女性実業家(?)、仮にNと呼称するが、Nが北方文化を、辺境の人々に広めようと大規模な古代宗教博物館を建造すべく準備をしていた場所であった。
しかしつい最近、宗教博物館建造のスポンサーの一つである企業F(仮名)とV教会(仮名)が、急成長し急激に株価の上がった彼女の会社の乗っ取りを画策したために、元々あまり仲の良くなかった両者に修復不能な亀裂が生じたために、土地だけ確保されたものの、計画は完全に白紙に戻されてしまった。
だが、その空き地になってしまった場所を放っておく程、この町の住人はお人好しではない!
未だ土地の権利はNのものということを承知の上で、彼らはドワーフたちを金と鉱石で引き込み、祭りの準備という名目の下、Nに無許可で空き地を完全に改造してしまった。
そして出来上がったもの。
それは野球場。
学園都市セラエノの実力者の一人Rの趣味により、平和台球場を完全再現。
Nがその事実を知ったのは完成セレモニーの招待状が彼女の下へ届いた時であったという。
(プライバシー保護のため音声を変えております)
『余の与り知らぬところで、余の土地が侵略されただと!?』
当然、先の事件と合わせて怒り心頭であったNであったが、文句を言ってやろうと乗り込んだ完成セレモニーで、思わず感嘆の声を上げてしまった。
(プライバシーの保護のため以下略)
『な、何と言う造形だ。新築であるはずなのに、傷や錆びまで所々再現し、古く歴史ある球場の面影を如何なく残すとは…!えぇい、辺境の職人は化け物か!?』
完成セレモニーは滞りなく終了し、
この日のメインイベントは幕を上げる。
『ロウガの息子、命名記念!名前はお前の実力で勝ち取れCUP』
…………この町の住人は、ネーミングセンスの欠片もないらしい。
(画面の前のお友達も歌ってみよう)
『魔神の星』
ぴしゅん!
カキィーン
たったったったったったった…
ずざぁー
アウトー
わーわーわーわー!!
(あの有名なオープニングテーマ)
意外なことだけど
うさぎ跳びは効果ない
行くが女のど根性
真っ黒に萌える
ダークマター
魔神の星を掴むまで
白濁精液、魔力の源
今回は野球だ
どんとゆけ
――――――――――――――――――
天気は晴れ。
雲一つない快晴の空の下、ロウガの息子命名争奪CUPは行われた。
チーム・ゲーマルク
チーム・紅牙
チーム・雷紅狼
チーム・ユーリ
チーム・志雄
チーム・リア友に丸投げする
以上の6チームが命名権を賭けてスポーツマンシップに則って熱戦を繰り広げた。
一部には反則染みた行為が出たものの、死傷者は出ることなく穏やかに試合は学園都市セラエノが運営するセラエノ平和台球場にて熱気と興奮の中で行われ、数々の名勝負がこの日繰り広げられたのであったが、そこは敢えて割愛。
まずはBクラスになり、惜しくもプレイオフに出られなかった3チームを紹介しよう。
6位/リア友に丸投げする
所詮人数合わせのために参加させたチームだったためか、ブッチギリの最下位の座に納まった。
首位とのゲーム差が50って一体何だったんだ!?
では、次の順位の発表です。
5位/チーム・紅牙
首位から5位までのゲーム差が僅か4.5という大混戦の中、3位と1.5ゲーム差で惜しくも5位になりました。
しかし、首位打者と最優秀防御率投手を輩出するなど大健闘。
順位は低迷したものの、充実したチーム力を見せ付けた結果に終わりました。
次の順位です。
4位/チーム・ユーリ
3位に0.5ゲーム差及ばず惜しくもBクラス転落。
シーズン中盤から怪我人続出で主力メンバーを欠いた状態が長期化したのが最大の敗因か。
打撃は低迷してしまったものの、シーズンを通してチーム防御率1位を維持し続けたのはまさしく賞賛に値するものでしょう。
…………え?
そういえばさっきから、シーズンだのゲーム差だの何のことだって?
…………気にしないでください。
…気にしたら、負けです。
色んな意味で。
3位/チーム・ゲーマルク
チーム本塁打数第一位の球団であったが、悲しいことに防御率が伴わず、プレイオフでもその弱点を露呈し、2位のチーム・雷紅狼に逆転負けを喫してしまいました。
名前の示す通りに力強い球団でしたが、粘りがもう少し欲しかったシーズンでした。
しかし、チーム平均本塁打数が36本というのはまさに脅威であり、他チームに与えた恐怖を考えれば、まさにその存在感を如何なく見せ付けたシーズンであったと言えるでしょう。
それではお待たせいたしました。
決勝戦最終試合。
チーム・志雄vsチーム・雷紅狼の模様をお楽しみください。
皆様、こんばんは。
本日はセラエノ平和台球場より、名付けCUP決勝戦の模様を実況、宿利京祐でお送りいたします。
先攻はチーム志雄。
後攻はチーム雷紅狼です。
スターティングメンバーは以上の通りです。
1番・ウェールズ=ドライグ(ショート)
2番・ローゴールト(ファースト)
3番・ヴァル=フレイヤ(ライト)
4番・クック=ケインズ(サード)
5番・ファラ=アロンダイト(指名打者)
6番・ハインケル=ゼファー(セカンド)
7番・ヒロ=ハイル(キャッチャー)
8番・フレック=P=ニザール(レフト)
9番・リオン=ファウスト(センター)
投手・コーネリア=マストーラ
チーム・志雄はまさにスーパーゲスト大戦の様相を呈しております。
安定した戦力で今シーズン、1位突破。
特に注目は1番バッターのウェールズです。
野球は苦手だと語っておりましたが、今シーズンの先頭打者本塁打数14本はまさに驚異的。
最近、フラット様の本編にて身長が明記された、204cmの大巨人クック=ケインズのパワーも今シーズンは目を見張るものがありました。
堂々の54本で本塁打ランキング1位を獲得。
尚、クック選手には本塁打王獲得の記念品として、セラエノ産最高級白米『ひとねじり』1年分が贈られます。
おめでとうございました。
ではこの回のゲスト解説者、クレイネル=アイルレットさん。
本日はよろしくお願い致します。
クレイネル
「はい、よろしくお願いします。しかし、何で私が呼ばれたのか今一つ理解し難いので、納得出来ない回答をいただいた場合は即可愛い蟲たちの餌になっていただきますね。」
さすが『魔物狂いのクック』における最凶最悪の悪役ですね。
人気が高いのも頷けます。
本日お呼びしたのは、もちろんクック選手が出場するということでお呼びした次第です。
クレイネル
「……まぁ、良いでしょう。しかしスターティングメンバーを見る限り、何も注目はクックばかりではありませんね。ウェールズ=ドライグ、フレック=P=ニザールなど私たち中東教会の危険人物リストに載るような方々が、まだベンチにいることを考えるとこの試合、非常にチーム志雄が有利だと思われますね。まぁ、クックに関してはあの大きな形(なり)ですからね。力もありますが、非常に穴も大きい。そのことを考えるとあまり脅威とは言い難い。彼の苦手な内角を相手ピッチャーがどれだけ攻められるか。それがこの試合序盤の鍵になるでしょうね。」
なるほど。
ありがとうございます。
確かに手元の資料によればクック選手の三振の数はリーグトップでしたね。
それにしても、資料もなしによく覚えていましたね?
クレイネル
「そ、それは…、私のライバルキャラですし、本編でも弱体化した彼と戦って勝っても面白みが欠けますし、出来ることなら弱点の一つでも克服してもらいた……って私はこんなキャラではなかったはずですが?」
……後で色々と怒られそうだ。
それでは対しますチーム雷紅狼のスターティングメンバーの発表です。
1番・サイガ(センター)
2番・アスティア(ファースト)
3番・サクラ(セカンド)
4番・ダオラ(指名打者)
5番・マイア(レフト)
6番・ロウガ=サワキ(サード)
7番・イチゴ(キャッチャー)
8番・アルフォンス(ライト)
9番・宗近(ショート)
投手・ネフェルティータ
チーム雷紅狼はいつものメンバーを揃えてきたという感じですね。
1番の俊足を誇るサイガが塁に出ると、その後の2番から本当に恐ろしい打線が始まります。
2番のアスティアは、バントしない2番打者として今シーズン本塁打を量産。
堂々の45本を打ち、チームトップの本塁打を叩き出しました。
調整が遅れてしまったために、今シーズン序盤を2軍で過ごした4番打者のダオラも、シーズン中盤からスターティングメンバーに返り咲き、鬱憤を晴らすように打ちまくり本塁打37本、打率2割9分と、堂々とした成績を残しました。
クレイネルさんはどの選手に注目をしていますか?
クレイネル
「私が要注意として見ているのは、6番のマイア。そして9番の宗近ですね。6番のマイアは母親譲りの力のバッティングを見せるかと思えば、意外なことに巧みな技術でヒット狙いのバッティングもこなしますからね。もしもランナーが貯まっていたりすると、これ程嫌なバッターはいないのではないかと思います。そして9番の宗近。彼女はハッキリ言ってしまえば、訳がわからないですね。裏の4番とも言える実力を持ちながら何故こんな下位打線にいるのか…。」
沢木監督との不仲説がありますね、確か。
投手のネフェルティータ選手は今シーズンの登板経験は一切ありません。
一体どれ程の投球を見せてくれるのか、非常に楽しみですね。
おっと、それではお待たせいたしました。
まもなく試合開始です。
―――――――――――――――――――――――
「プレイボール!」
さぁ、主審の合図と共に試合開始です。
先攻はチーム志雄。
1番バッターのウェールズ=ドライグ選手、左打席に入ります。
居合い斬りのような独特の低く構えるフォーム。
この構えから先頭打者ホームランを叩き出したのです。
対するピッチャー、ネフェルティータ。
キャッチャー、イチゴとのサインの交換をしています。
一体ウェールズ選手に対し、どんな初球を投げるのか…?
ネフェルティータ
(……無理ですよー!本当に私、野球なんてやったこともないんですよー。何でこんな大事なポジションにいるのかもわからないのに、変化球投げろなんて無茶なこと言わないでくださいよー!!)
イチゴ
(ええい、つべこべ言うでない!ワシだって何でキャッチャーなんかやっておるのか、わからんのじゃからな!!本当じゃったら、休日をエロゲ三昧でオ○○○しまくって有意義に過ごしておったはずじゃのに…。応援席に姉上がおるし、そうなると必然的にベンチには姉上の旦那が控えておる…。嗚呼、めんどくさいのじゃ…。もう何でも良いから適当に投げるのじゃ!!)
ウェールズ
「………………。」
ネフェルティータ、長いサイン交換を終えて頷きました。
ピッチャー、大きく振り被って……。
第一球、投げました!
ふわん…
イチゴ
「何じゃ!そのひょろひょろ球は!?」
ネフェルティータ
「私に期待しないでくださいって言ったじゃないですかぁーっ!!!」
カキィィーーーーンッ…
イチゴ・ネフェルティータ
「「………………………ああ!!」」
打ったぁー!
これは大きい!
文句なしだ!
この当たりは文句なしでしょう!
ライト線ポール際を……、巻いたぁー!!
先制、先頭打者ホームラン!
何という開幕でしょう。
ウェールズ=ドライグ、恐怖の先頭打者本塁打伝説はまだ終わってはいなかったぁー!!
クレイネルさん、目の覚めるような一発でしたね。
クレイネル
「ネフェルティータ投手のスローボールに完全にタイミングを狂わされていたのですが、身体が実に良く反応しましたね。グッと我慢した分、力を貯められて身体が早く開くのを防げたようですね。素晴らしい打撃、見事としか言い様のない打球でした。チーム志雄らしい試合展開になりそうですね。」
そうですね、クレイネルさん。
ウェールズ選手、ゆっくりとダイヤモンドを一周します。
おっと、珍しい。
ウェールズ選手が三塁を回る時に、少しだけ笑顔になって手を振りました!
放送席から見え辛いのですが、一体誰に手を振ったのでしょうか…。
ウェールズ選手、本塁ベースを踏み、ホームイン。
1対0。
まずはチーム志雄の先制で試合が動きました。
ウェールズ
「…まったく、ガーベラめ。あの程度の球を打ったところで喜ぶ程ではないというのに、あれ程までにはしゃぐとはな…。まだまだ子供、というところだろうな。だが、悪い気はせぬ。」
ウェールズ選手、チームメイトの手洗い歓迎を受けてベンチへ帰ります。
おっと、早くもチーム雷紅狼はキャッチャーがピッチャーの下へ駆け寄りました。
………あ、こけた。
やはりキャッチャーのプロテクターがイチゴ選手には重いのでしょうか?
サイズも合っていないようですし…。
ネフェルティータ
「やっぱり無理なんですよー。私なんて学生時代も体育だけは1だったんですよ!そんな私がピッチャーなんて務まる訳ないじゃないですか。ルール上だったら一人相手にしたら交代しても良いんですよね?だったら誰か他の人を出してくださいよ…。」
イチゴ
「ワシだって体育は2じゃ!だがオヌシの交代はないぞ。控えはそこそこの数を用意しておるが、ピッチャーはオヌシ一人じゃ!うちの学園長は馬鹿じゃが、勝算のない喧嘩はあまりやらぬぞ。オヌシに勝算ありと読んだから、最終回まで一人で投げさせるつもりらしいのじゃ。」
ネフェルティータ
「だからそれが無理だって言っているじゃないですかー!!」
イチゴ
「本当はもっと後の回に使わせる秘策じゃッたのじゃが…、そうも言っておられぬ状況じゃな。アヌビス、思い出すのじゃ。オヌシは何じゃ!」
ネフェルティータ
「え……?えっと…、アヌビス種でセラエノ学園教頭…?」
イチゴ
「それだけではないじゃろう。オヌシはサクリストの魔の手から学園と町を守る正義の魔法わんわん。魔女っ娘わんわん☆ねふぇるてぃーた、なのじゃ!思い出すのじゃ、オヌシの能力はどうやって確立するのかを!!」
ネフェルティータ
「………!?それって……、まさか…!!!」
イチゴ
「その通りじゃ。このままでは一方的に試合が終わってしまう。今のままじゃったら初回コールドなんてチート展開が待っておるのじゃ。さぁ、アヌビス。思い出したのなら変身するのじゃ!オヌシの能力を『風雲!セラエノ学園 act2』の学園長の説明を読み直して思い出すのじゃー!!」
ネフェルティータ
「コーチ…、じゃなくてイチゴ先生!私、やります!!」
イチゴ
「その意気じゃ。さぁ、今こそ変身の時なのじゃ、次回こそ。」
ネフェルティータ
「ここで続くんですか!?」
11/04/01 00:05更新 / 宿利京祐
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