act19・うろこ日和〜ごごのじゅぎょう〜
(画面の前のお友達も一緒に歌ってみよう)
『セラエノ魔乳 チョウキョーニュー』
5(ふぁいぶ)…
4(ふぉー)…
3(すりー)…
2(つー)…
1(わん)…
0(ぜろ)…
白いスイカを知っているか?
やわいスイカを知っているか?
戦え、今がその時だ
揺れる胸に理性が焼き切れる
爆乳!ぷるるん♪ナンバーワン!
ホルスタウロス、ナンバーワン!
爆乳!ぷるるん♪ナンバーワン!
ホルスタウロス、ナンバーワン!
バッチコーイ
バッチコーイ
セラエノ魔乳チョウキョーキュー
「は〜い、なぜなにアスク先生の時間ですよ〜♪」
保健体育の時間。
授業の終わり15分前になると、ホルスタウロスのアスクは子供番組に出てくるお姉さんのような格好に着替えて、『機動戦艦ナデ○コ』のアレをパクったコーナーを始めるのである。
「おねぃすわぁーん、今日のテーマぅわ何なのじゃー?」
某教育テレビのキャラクター『にゃんちゅ○』のコスプレをしたバフォメットのイチゴが、アスクのアシスタントを担当している。
お昼休みにたっぷりとお説教を喰らったせいなのか、心なしか衰弱しているが問題はない。
「おねぃすわぁん、前回も楽しい実験じゃったけど、今回は何をするのじゃ?」
ちなみに前回の実験とは、『ノンケが堕ちるまでどれくらい?』という恐ろしい実験。
他にも『カラーコーンを少年にどこまで捻じ込めるのか?』とか、『寸止めプレイを続けると童貞少年って本当に気が狂っちゃうの?』などという基本的に鬼畜な実験しかしていないのだが、アスクのほえ〜んとした呑気オーラとイチゴのある意味で女と自分を捨てたキャラ作りのおかげで、鬼畜実験であることを誰もが忘れており、このコーナーは生徒たちに絶大な人気を博している。
悪(あく)イぜ、こいつら。
「今日の実験は、ホルスタウロスのお乳を薄めずに原液で飲んだらどうなるの〜?です。」
「……ワシ、飲みたくない。」
「私もイチゴちゃんのこと、好みじゃないから飲ませたくないよ〜?最近、町でホルスタウロス印の『疲れをぶっ飛ばす神のドリンク』がよく売れているんだけど、実はアレって、ホルスタウロスから絞ったミルクを薄めて、さらに薄めて、豪雷人参エキスやスッポンの性的なエキスを混ぜて売られているんだよ〜。でも、世の中これだけホルスタウロスがいるのに、直接オッパイに吸い付いて愛飲する人って意外に少ないじゃない?だから、ここでどうなるのか実験してみようと思うの〜♪」
ホルスタウロスのミルクは滋養強壮に良いとされる。
わかりやすい例を挙げると、ロウガやサクラのように魔物娘に絞られる立場にある男は必ずと言って良い程、ホルスタウロスのミルクにはお世話になるのである。
だが、もしも精力的にも問題なく、健康な人間にホルスタウロスのミルクを原液で飲ませたらどうなるのか。
それは案外、知られていなかったりする。
「という訳で、カモ〜ン!今日の実験どうぶtじゃなくて、いけにじゃなくて、協力してくれる生徒く〜ん!お姉さんのオッパイがタダで吸えちゃうなんて幸運な男の子は、セラエノ学園初等科2組、出席番号13番ですよ〜♪」
「焼きたてホカホカのパンの店がご実家!普段からアスクの妹、アモンに片思い中で、あやつのオッパイに視線は釘付け!揉みたい、吸いたい、危険地帯!とっても早熟なネロ君11歳じゃー!11歳と言えば、娼館の旦那も襲われた歳。ここで男を魅せて、第二のジャックに成り得るのぁー!?」
クラス中から歓声が上がる。
誇らしげにアスクたちの下へと歩む少年の背中を羨望と嫉妬の声が後押しする。
ちなみに女子からは、
「さいてー!!」
「結局男って胸しか見てないのよ!」
「死ね、男子!」
「アモン、近寄っちゃ駄目!近寄られただけで妊娠しちゃうよ!!」
という非難の声が少年の背中に突き刺さる。
そしてネロ少年の思い人であるアモンの方は、
「私のこと、そんな目で見ていたんだ…。超軽蔑ぅ…。」
と、ホルスタウロスには珍しい汚いものを見るかのような軽蔑の眼差しをしていた。
少年は夢を得た。
夢を、誰もが夢見て届かなかった理想郷へと辿り着いた。
しかし、愛は失われたのである。
少年は一つ学んだ。
何かを得ようと思えば、大きな代償が必要なのだと。
この物語ってガーベラが主人公じゃなかった?とお思いの方々。
ガーベラはと言うと…。
「……………………………………じゅる……ぐぅ♪」
涎垂らして爆睡していましたとさ。
夢の中で美化120%されたウェールズ=ドライグと、都合良く成長してナイスバディになったガーベラが、お花畑や遊園地でデートしていましたとさ。
ちなみに起こすと、金色の戦士、超リザードマンに変身して、寝惚けたまま報復行動に移るので起こさないことを、作者としては推奨する。
――――――――――――――――――
「う〜〜〜〜〜ん♪よく寝たぁ〜。」
一日の最後の授業、6時間目。
さっきの時間は、途中から眠っていたから気分リフレッシュ♪
これで元気に授業も乗り切れるってものだよ。
最後の授業って体育だもんね。
と、いう訳で装着!
体操服、アーンド、スパッツぅ!!
ブルマじゃないの?って声が聞こえてきそうだけど、ブルマって私の趣味じゃないの。
「寝過ぎだよ。でもそんなに眠っちゃうって、アルバイトってそんなに大変なの?」
何かよくわからないけど、疲れたような表情のアモン。
どっちかというとアモンの方が大変そう。
「アルバイトは大変じゃないよ。やさしくて、良い人で、私が大好きな人だし…。眠たいのは深夜ラジオ聞いてるからなんだよ。ほら、最近教頭先生の前番組で始まった。」
「あ、私も聞いてる♪キラキラ☆星でしょ?」
「うん。あれと教頭先生の番組聞いてたら夜中の二時だからね。ところでみんな疲れた顔しているけど、どうしたの?」
「ああ…、ガーベラ、寝ていたもんね。」
アモンの話によると、ネロ君はアスク先生の胸にしがみ付くようにして、まるで赤ちゃんに戻ったみたいに夢中で吸い付いていたらしい。
………やっぱり、夢中になるんだ。
私もせめてアモンくらいあったら、ドライグさんも喜ぶのかなぁ。
(な、なんてすごく大きな胸なんだ。すまない、ガーベラ。俺は、自らの誓いを捨てよう。お前のために…、俺はマザコンであることをやめよう!ロリ巨乳がこんなにも素晴らしいとは思ってもみなかった。ガーベラ、幸せな家庭を築こう。)
えへへ♪
……はっ!?
今、ちょっとだけ夢を見ちゃった。
えっと、アスク先生のオッパイを夢中で吸っていたネロ君は、最初は脇目も振らず夢中になっていたみたいだけど、途中から様子がおかしくなったらしいんだよね。
段々と勢いがなくなって、アスク先生のミルクを飲むのをやめてしまったと思ったら、突然、ちょっとぶっ飛んだ目になって立ち上がって、叫んだんだ。
「わ………、忘れてた!
リバプールに行かなくちゃ!!
ジミ=ヘンドリックスが呼んでいる!!
コリント星人を倒してくれと!!!
ま、待ってろ…、ピ、ピ、ピカード館長ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーっ!!!」
「って叫んで、そのまま走ってどこか行っちゃったんだよ。」
そう言えば、お姉ちゃんが言っていたような気がする。
ホルスタウロス印のドリンクを子供が飲んだらいけないって。
とりあえず、ネロ君がいなくなっても誰も心配していないから大丈夫だよね、きっと。
むしろ女子なんか、ネロ君の評価が大暴落している。
本当に、ネロ君に何があったんだろう?
「…全員、整列。」
あれ?
見たことのない先生だ。
誰だろう。
真っ黒なジャージでサングラスをかけた男の先生なんて見たことがないよ。
左手に黒い手袋…。
もしかして。ぬ〜べ〜?
「俺は臨時で雇われた熱血抜刀体育教師。決してぬ〜べ〜などという身体に鬼を住まわす程のお人よしではない。事情があって名を明かせぬが、匿名希望とでも呼んでくれ。」
……どこかで会ったような気がするけど、きっと初対面だよね。
「先生、匿名希望じゃ呼びにくいですよ〜。」
アモンが手を挙げて、臨時の先生に質問する。
ごもっともです。
「そうだな…。確かに臨時で、しかも教師ですらない俺をお前たちに先生と呼ばせる訳にはいかぬな。ふむ、では俺のことはこう呼んでくれ。
謎のヤングガイ、仮面のウェールズと。」
か、仮面のウェールズ…!?
何てカッコいい名前なんだろう。
私の彼氏と同じ名前だし♪
きっとどこかの貴公子なんだろうね。
この時、ガーベラを除く全員の心が一つになった。
仮面じゃねえし!
それサングラス!
ネーミングセンスの欠片もないよ!
つーか確信犯かよ!
――――――――――――――――――
「6時間目のドッジボール、楽しかったね♪」
教室の机で心地良い疲れから、う〜んと身体を伸ばすガーベラ。
友達のアモンや他のクラスメイトは謎のナイスガイに対するツッコミ疲れていた。
結局、謎のナイスガイは正体を現すことなく、授業の終わりと共にどこかへ去って行った。
ガーベラは、その正体に最後まで気が付くことはなく…。
「それにしても、あの仮面のウェールズって誰だったんだろう。私の彼氏みたいにカッコいいってのはわかったんだけど、あの仮面の下の素顔って…。」
「ガーベラ……。きっとあなたの人生って面白おかしく暮らせるよ。」
「え、何で?」
アモンの呆れ気味に呟いた言葉の意味がわからず、聞き返すガーベラ。
アモンはその理由を喉下まで出掛かっていたのだが、あわや口から出る寸前に飲み込んだ。
大人だな〜、とアモンは自分で自分を褒めていた。
「それよりさ、今日もアルバイト?」
「うん、そうだよ。今日も天使様のお話し相手したり、一緒にルゥさんのお店のお姉さんたちとお喋りしたりするんだよ♪みんな飴玉くれたり、遊んでくれたりして、本当にやさしい人たちばかりだよ。」
「そういえば、一番上のお姉ちゃんが今日は出勤日だったよ。」
「ほんと!?アサギさん、今日来るんだ♪」
アモン、アスクの姉、アサギはルゥの娼館『テンダー』において、地位を欲しがらない性格からbVをキープし続けているという、ある意味で凄腕の娼婦である。
「アサギお姉ちゃんに会ったら、伝えておいて。今夜はアスクお姉ちゃんの給料日だから、豪勢にビフテキだよって。それだけ伝えたら、今夜は早く帰って来てくれるはずだから。」
「私が言うのも何だけど、アモンたちがビフテキって……。何だかシュールだよね?」
ホルスタウロスの姉妹がビフテキを食べる姿を想像して、ガーベラは共食いという言葉を思い浮かべてしまったが、そこを敢えてシュールという言葉で濁したのは彼女の成長の証ではないだろうか。
「それより、イチゴ先生。遅くない?もう帰りのホームルームの時間なのに。」
「そうだよね〜、そろそろ来ても良いはず……。」
『ぴんぽんぱんぽ〜ん。』
「あ、ルナ先生の放送だ。」
『えまーじぇんしー、えまーじぇんしー!!全校生徒、及び全教師に告ぐ!イチゴ先生が逃亡しました!すでにアスティア先生と綾乃先生がゲームショップとゲームセンター、そしてカジノを見回っていますが、未だ発見出来ません。もしも学園内で見付けた場合、即刻先生方に知らせるようにしてください。イチゴ先生はすでにサクラ君を撃破。学園長室の金庫を破り、金を持って逃げてます!とりあえず先生方に捕まえてもらいます。生死は問いません!!』
この時、イチゴには野望があった。
しかし、金がなかった。
彼女は新作エロゲを5本買うだけではなく、副業のために使用するパソコンをグレードアップすること、風呂桶を札束で満たして成金気分を味わいたいということ、そして飲み屋のお姉ちゃんたちにセクハラがしたいという野望を抱いていた。
しかし、繰り返して言うが金がなかった。
だから金庫破りをやってしまったのである。
学園長室で居眠りしているロウガを後ろから殴り倒し、偶然現場を見てしまったサクラを一撃で倒し、唐草模様の風呂敷で顔を隠し、金を詰め込めるだけ詰め込んで逃亡したのである。
まさに外道。
ちなみにイチゴがいなくなると同時に宗近も姿を消したので、同罪と見なして学園教師陣は追いかけ続けているのであった。
『そういう訳なので学生諸君は勝手に帰ってください。(ぶち)』
随分と勝手な学園の体制。
普通ならば、ここで何か騒動が起きるのであるが、そんなことはセラエノ学園では日常茶飯事。
生徒たちも慣れたもので、いそいそと帰り支度を始めていた。
「帰ろっか、アモン。」
「そうだね。お姉ちゃんたち絶対に今夜は酔って帰るから商店街に寄らなきゃ。今日、薬局がセールやってるからウコンいっぱい買っておくよ。」
「あ、私もお菓子買っとかなきゃ♪」
ガーベラとアモンはこうして岐路に着く。
一人は日夜頑張っている姉たちのために。
そしてもう一人はこの後、会いに行く人たちのためにお菓子を買いに行く。
緑の尻尾が楽しそうにリボンを揺らして、教室を出て行くのであった。
『セラエノ魔乳 チョウキョーニュー』
5(ふぁいぶ)…
4(ふぉー)…
3(すりー)…
2(つー)…
1(わん)…
0(ぜろ)…
白いスイカを知っているか?
やわいスイカを知っているか?
戦え、今がその時だ
揺れる胸に理性が焼き切れる
爆乳!ぷるるん♪ナンバーワン!
ホルスタウロス、ナンバーワン!
爆乳!ぷるるん♪ナンバーワン!
ホルスタウロス、ナンバーワン!
バッチコーイ
バッチコーイ
セラエノ魔乳チョウキョーキュー
「は〜い、なぜなにアスク先生の時間ですよ〜♪」
保健体育の時間。
授業の終わり15分前になると、ホルスタウロスのアスクは子供番組に出てくるお姉さんのような格好に着替えて、『機動戦艦ナデ○コ』のアレをパクったコーナーを始めるのである。
「おねぃすわぁーん、今日のテーマぅわ何なのじゃー?」
某教育テレビのキャラクター『にゃんちゅ○』のコスプレをしたバフォメットのイチゴが、アスクのアシスタントを担当している。
お昼休みにたっぷりとお説教を喰らったせいなのか、心なしか衰弱しているが問題はない。
「おねぃすわぁん、前回も楽しい実験じゃったけど、今回は何をするのじゃ?」
ちなみに前回の実験とは、『ノンケが堕ちるまでどれくらい?』という恐ろしい実験。
他にも『カラーコーンを少年にどこまで捻じ込めるのか?』とか、『寸止めプレイを続けると童貞少年って本当に気が狂っちゃうの?』などという基本的に鬼畜な実験しかしていないのだが、アスクのほえ〜んとした呑気オーラとイチゴのある意味で女と自分を捨てたキャラ作りのおかげで、鬼畜実験であることを誰もが忘れており、このコーナーは生徒たちに絶大な人気を博している。
悪(あく)イぜ、こいつら。
「今日の実験は、ホルスタウロスのお乳を薄めずに原液で飲んだらどうなるの〜?です。」
「……ワシ、飲みたくない。」
「私もイチゴちゃんのこと、好みじゃないから飲ませたくないよ〜?最近、町でホルスタウロス印の『疲れをぶっ飛ばす神のドリンク』がよく売れているんだけど、実はアレって、ホルスタウロスから絞ったミルクを薄めて、さらに薄めて、豪雷人参エキスやスッポンの性的なエキスを混ぜて売られているんだよ〜。でも、世の中これだけホルスタウロスがいるのに、直接オッパイに吸い付いて愛飲する人って意外に少ないじゃない?だから、ここでどうなるのか実験してみようと思うの〜♪」
ホルスタウロスのミルクは滋養強壮に良いとされる。
わかりやすい例を挙げると、ロウガやサクラのように魔物娘に絞られる立場にある男は必ずと言って良い程、ホルスタウロスのミルクにはお世話になるのである。
だが、もしも精力的にも問題なく、健康な人間にホルスタウロスのミルクを原液で飲ませたらどうなるのか。
それは案外、知られていなかったりする。
「という訳で、カモ〜ン!今日の実験どうぶtじゃなくて、いけにじゃなくて、協力してくれる生徒く〜ん!お姉さんのオッパイがタダで吸えちゃうなんて幸運な男の子は、セラエノ学園初等科2組、出席番号13番ですよ〜♪」
「焼きたてホカホカのパンの店がご実家!普段からアスクの妹、アモンに片思い中で、あやつのオッパイに視線は釘付け!揉みたい、吸いたい、危険地帯!とっても早熟なネロ君11歳じゃー!11歳と言えば、娼館の旦那も襲われた歳。ここで男を魅せて、第二のジャックに成り得るのぁー!?」
クラス中から歓声が上がる。
誇らしげにアスクたちの下へと歩む少年の背中を羨望と嫉妬の声が後押しする。
ちなみに女子からは、
「さいてー!!」
「結局男って胸しか見てないのよ!」
「死ね、男子!」
「アモン、近寄っちゃ駄目!近寄られただけで妊娠しちゃうよ!!」
という非難の声が少年の背中に突き刺さる。
そしてネロ少年の思い人であるアモンの方は、
「私のこと、そんな目で見ていたんだ…。超軽蔑ぅ…。」
と、ホルスタウロスには珍しい汚いものを見るかのような軽蔑の眼差しをしていた。
少年は夢を得た。
夢を、誰もが夢見て届かなかった理想郷へと辿り着いた。
しかし、愛は失われたのである。
少年は一つ学んだ。
何かを得ようと思えば、大きな代償が必要なのだと。
この物語ってガーベラが主人公じゃなかった?とお思いの方々。
ガーベラはと言うと…。
「……………………………………じゅる……ぐぅ♪」
涎垂らして爆睡していましたとさ。
夢の中で美化120%されたウェールズ=ドライグと、都合良く成長してナイスバディになったガーベラが、お花畑や遊園地でデートしていましたとさ。
ちなみに起こすと、金色の戦士、超リザードマンに変身して、寝惚けたまま報復行動に移るので起こさないことを、作者としては推奨する。
――――――――――――――――――
「う〜〜〜〜〜ん♪よく寝たぁ〜。」
一日の最後の授業、6時間目。
さっきの時間は、途中から眠っていたから気分リフレッシュ♪
これで元気に授業も乗り切れるってものだよ。
最後の授業って体育だもんね。
と、いう訳で装着!
体操服、アーンド、スパッツぅ!!
ブルマじゃないの?って声が聞こえてきそうだけど、ブルマって私の趣味じゃないの。
「寝過ぎだよ。でもそんなに眠っちゃうって、アルバイトってそんなに大変なの?」
何かよくわからないけど、疲れたような表情のアモン。
どっちかというとアモンの方が大変そう。
「アルバイトは大変じゃないよ。やさしくて、良い人で、私が大好きな人だし…。眠たいのは深夜ラジオ聞いてるからなんだよ。ほら、最近教頭先生の前番組で始まった。」
「あ、私も聞いてる♪キラキラ☆星でしょ?」
「うん。あれと教頭先生の番組聞いてたら夜中の二時だからね。ところでみんな疲れた顔しているけど、どうしたの?」
「ああ…、ガーベラ、寝ていたもんね。」
アモンの話によると、ネロ君はアスク先生の胸にしがみ付くようにして、まるで赤ちゃんに戻ったみたいに夢中で吸い付いていたらしい。
………やっぱり、夢中になるんだ。
私もせめてアモンくらいあったら、ドライグさんも喜ぶのかなぁ。
(な、なんてすごく大きな胸なんだ。すまない、ガーベラ。俺は、自らの誓いを捨てよう。お前のために…、俺はマザコンであることをやめよう!ロリ巨乳がこんなにも素晴らしいとは思ってもみなかった。ガーベラ、幸せな家庭を築こう。)
えへへ♪
……はっ!?
今、ちょっとだけ夢を見ちゃった。
えっと、アスク先生のオッパイを夢中で吸っていたネロ君は、最初は脇目も振らず夢中になっていたみたいだけど、途中から様子がおかしくなったらしいんだよね。
段々と勢いがなくなって、アスク先生のミルクを飲むのをやめてしまったと思ったら、突然、ちょっとぶっ飛んだ目になって立ち上がって、叫んだんだ。
「わ………、忘れてた!
リバプールに行かなくちゃ!!
ジミ=ヘンドリックスが呼んでいる!!
コリント星人を倒してくれと!!!
ま、待ってろ…、ピ、ピ、ピカード館長ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーっ!!!」
「って叫んで、そのまま走ってどこか行っちゃったんだよ。」
そう言えば、お姉ちゃんが言っていたような気がする。
ホルスタウロス印のドリンクを子供が飲んだらいけないって。
とりあえず、ネロ君がいなくなっても誰も心配していないから大丈夫だよね、きっと。
むしろ女子なんか、ネロ君の評価が大暴落している。
本当に、ネロ君に何があったんだろう?
「…全員、整列。」
あれ?
見たことのない先生だ。
誰だろう。
真っ黒なジャージでサングラスをかけた男の先生なんて見たことがないよ。
左手に黒い手袋…。
もしかして。ぬ〜べ〜?
「俺は臨時で雇われた熱血抜刀体育教師。決してぬ〜べ〜などという身体に鬼を住まわす程のお人よしではない。事情があって名を明かせぬが、匿名希望とでも呼んでくれ。」
……どこかで会ったような気がするけど、きっと初対面だよね。
「先生、匿名希望じゃ呼びにくいですよ〜。」
アモンが手を挙げて、臨時の先生に質問する。
ごもっともです。
「そうだな…。確かに臨時で、しかも教師ですらない俺をお前たちに先生と呼ばせる訳にはいかぬな。ふむ、では俺のことはこう呼んでくれ。
謎のヤングガイ、仮面のウェールズと。」
か、仮面のウェールズ…!?
何てカッコいい名前なんだろう。
私の彼氏と同じ名前だし♪
きっとどこかの貴公子なんだろうね。
この時、ガーベラを除く全員の心が一つになった。
仮面じゃねえし!
それサングラス!
ネーミングセンスの欠片もないよ!
つーか確信犯かよ!
――――――――――――――――――
「6時間目のドッジボール、楽しかったね♪」
教室の机で心地良い疲れから、う〜んと身体を伸ばすガーベラ。
友達のアモンや他のクラスメイトは謎のナイスガイに対するツッコミ疲れていた。
結局、謎のナイスガイは正体を現すことなく、授業の終わりと共にどこかへ去って行った。
ガーベラは、その正体に最後まで気が付くことはなく…。
「それにしても、あの仮面のウェールズって誰だったんだろう。私の彼氏みたいにカッコいいってのはわかったんだけど、あの仮面の下の素顔って…。」
「ガーベラ……。きっとあなたの人生って面白おかしく暮らせるよ。」
「え、何で?」
アモンの呆れ気味に呟いた言葉の意味がわからず、聞き返すガーベラ。
アモンはその理由を喉下まで出掛かっていたのだが、あわや口から出る寸前に飲み込んだ。
大人だな〜、とアモンは自分で自分を褒めていた。
「それよりさ、今日もアルバイト?」
「うん、そうだよ。今日も天使様のお話し相手したり、一緒にルゥさんのお店のお姉さんたちとお喋りしたりするんだよ♪みんな飴玉くれたり、遊んでくれたりして、本当にやさしい人たちばかりだよ。」
「そういえば、一番上のお姉ちゃんが今日は出勤日だったよ。」
「ほんと!?アサギさん、今日来るんだ♪」
アモン、アスクの姉、アサギはルゥの娼館『テンダー』において、地位を欲しがらない性格からbVをキープし続けているという、ある意味で凄腕の娼婦である。
「アサギお姉ちゃんに会ったら、伝えておいて。今夜はアスクお姉ちゃんの給料日だから、豪勢にビフテキだよって。それだけ伝えたら、今夜は早く帰って来てくれるはずだから。」
「私が言うのも何だけど、アモンたちがビフテキって……。何だかシュールだよね?」
ホルスタウロスの姉妹がビフテキを食べる姿を想像して、ガーベラは共食いという言葉を思い浮かべてしまったが、そこを敢えてシュールという言葉で濁したのは彼女の成長の証ではないだろうか。
「それより、イチゴ先生。遅くない?もう帰りのホームルームの時間なのに。」
「そうだよね〜、そろそろ来ても良いはず……。」
『ぴんぽんぱんぽ〜ん。』
「あ、ルナ先生の放送だ。」
『えまーじぇんしー、えまーじぇんしー!!全校生徒、及び全教師に告ぐ!イチゴ先生が逃亡しました!すでにアスティア先生と綾乃先生がゲームショップとゲームセンター、そしてカジノを見回っていますが、未だ発見出来ません。もしも学園内で見付けた場合、即刻先生方に知らせるようにしてください。イチゴ先生はすでにサクラ君を撃破。学園長室の金庫を破り、金を持って逃げてます!とりあえず先生方に捕まえてもらいます。生死は問いません!!』
この時、イチゴには野望があった。
しかし、金がなかった。
彼女は新作エロゲを5本買うだけではなく、副業のために使用するパソコンをグレードアップすること、風呂桶を札束で満たして成金気分を味わいたいということ、そして飲み屋のお姉ちゃんたちにセクハラがしたいという野望を抱いていた。
しかし、繰り返して言うが金がなかった。
だから金庫破りをやってしまったのである。
学園長室で居眠りしているロウガを後ろから殴り倒し、偶然現場を見てしまったサクラを一撃で倒し、唐草模様の風呂敷で顔を隠し、金を詰め込めるだけ詰め込んで逃亡したのである。
まさに外道。
ちなみにイチゴがいなくなると同時に宗近も姿を消したので、同罪と見なして学園教師陣は追いかけ続けているのであった。
『そういう訳なので学生諸君は勝手に帰ってください。(ぶち)』
随分と勝手な学園の体制。
普通ならば、ここで何か騒動が起きるのであるが、そんなことはセラエノ学園では日常茶飯事。
生徒たちも慣れたもので、いそいそと帰り支度を始めていた。
「帰ろっか、アモン。」
「そうだね。お姉ちゃんたち絶対に今夜は酔って帰るから商店街に寄らなきゃ。今日、薬局がセールやってるからウコンいっぱい買っておくよ。」
「あ、私もお菓子買っとかなきゃ♪」
ガーベラとアモンはこうして岐路に着く。
一人は日夜頑張っている姉たちのために。
そしてもう一人はこの後、会いに行く人たちのためにお菓子を買いに行く。
緑の尻尾が楽しそうにリボンを揺らして、教室を出て行くのであった。
11/03/19 01:39更新 / 宿利京祐
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