読切小説
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市立公園の多目的トイレにて。
朝の白みを帯びた陽光が辺りの緑を朗らかに照らす。
朝露で仄かに濡れた木々を横目に、一人の男が走っていた。

男は白のジャージ姿に、足には年季の入ったランニングシューズを履いている。
首からタオルを下げた他に持ち物は何もなく、いかにも走り慣れている様子を感じさせた。

男が早朝にランニングを始めてから数週間ほど経つ。
ストレスと運動不足を解消するために始めた習慣だが、始めてみるとこれが案外心地よい。
朝のひやりとした空気を吸いながら走るのがすっかりクセになり、今では意識せずとも毎朝続けるライフワークとなりつつあった。

最後の百メートル、男は幾分かペースを上げる。
道の右側に置かれた小さなベンチの前までたどり着くと男はゆっくりと勢いを落とし、
やがて足を止めると、それから荒い息を整えるように運動後のストレッチを行う。
身体の熱が少し冷めると、ベンチに腰掛けて男はスポーツドリンクを口に含んだ。

塩と水分を補給してやると、身体は大喜びで男の全身へ拡散させてゆく。
男はしばらくその清々しい疲労感を楽しんでいたが、
ふと、左手から一人の女性が同じように走って来るのを目にした。

人っ気の少ない朝早くのことである。
毎朝走っていれば、すれ違う人の顔もそれなりに覚えるようになってくる。
重たい腹を抱えて走る男性、犬の散歩をする老婆、部活の朝練習の一団など多種多様だ。

しかし男が目にしたその女性は、その中でも一際目を引く容姿をしていた。
まず目に映るのが青色の髪。嘘臭いほどに艶やかに光る長髪をひとつに結び、息に合わせて上下にひくひくと揺らしている。頭には彼女が魔性である事を象徴する羊のような角があり、ふわりとした髪の中にありそこだけが硬質さをもってにび色くに光っていた。

絶えず交わされる二本の足は小鹿のように細く長い。傷の一つ毛の一つなくすらりと伸びた両足を隠すものはなく、下半身にはお尻を覆える程度のショートパンツのみを着用している。それにしたって食い込みが激しく、足の付け根のあたりまで肌をさらしておりいかにも艶めかしい。

そして上半身には、誰もが目を奪われる豊満なバストが彼女の呼吸に合わせて上下する。小さく柔らかい唇は薄く開かれ、規則正しく行われる荒い吐息が漏れ出ている。丈の短いランニングシャツは彼女の全身を覆い隠すに至らず、主に胸部が大きすぎるせいで丈を縮め必然的におへそが見えてしまっていた。

名も知らぬこの女性は、サキュバスという魔物娘である。
近年日本に現れた好色な魔物であり、気に入った男を見つけては籠絡し性を食らうという。

男はベンチに座り彼女の上下する胸を眺めながら、図鑑で読んだ一節をぼんやり思い返す。
言われてみれば、なるほど男好きのする身体をしている。
そんな事を思いながら彼女の胸をじろじろと眺めていると、不意に、彼女がこちらを振り向いた。

気付かれていたのだろうか。男は急にばつが悪くなり、思わず慌てて目を伏せる。
しかし彼女は不快に思う事も無く、むしろどこか嬉しそうに目を細めて笑った。

意味深長な笑みだった。
相手がサキュバスな事もあいまって、男の脳裏に都合のいい妄想がぐるりと駆け回る。
すると彼女は追い打ちをかけるように指を口元に寄せ、水気を帯びてこちらへ飛ばす。

Chu、という小さな水音は、朝の静寂の中で男の耳によく届く。
いよいよ男の頭は混迷極まり、どう返したものか惑ううちに、
既に彼女は目の前から走り去ってしまっていた。

返そうと思った不慣れな投げキッスは、遠くなった彼女の背中に虚しく消える。
男はしばし所在なさげに手をうろうろと彷徨わせていたが、
やがてベンチの上でひとつ決心をした。

そうだ、最後のストレッチがまだだったな。

男は言い訳じみた事を思い、後ろの芝に寝転がってストレッチを始める。
それは明日に疲労を残さないため、念入りに、時間を掛けて行われた。
彼女がまた一周して戻ってくるまでの時間、彼はひたすらにストレッチを行っていた。



我ながら涙が出るほどの浅ましさだな、と思いながら男はベンチに腰掛ける。
まだ若いとはいえもう成人式を終えた身、
投げキッス一つで女に振り回されるのも正直どうかという思いがないわけではない。

ただ、そんな見栄や矜持がどうでもよくなってしまうほどの魅力が彼女にはあったのだ。
流石は魔性と言うべきか。

まあ、もとより相手にされるとまでは思っていない。
駄目でもともと、話のタネにはなるだろう。
そんな後ろ向きな期待を抱きながら、
男は念入りにやりすぎて荒くなった呼吸を整えつつベンチに腰かけていた。

程なくして彼女はやってきた。
待ちぼうけというオチにならなかった事に、とりあえず男は安堵の息を吐く。

後は彼女がこちらを向けば、こちらから投げキッスでも飛ばして様子を見よう。
そんな事を考えつつも、やはり男は彼女の胸が揺れる様から目を離せない。
下腹部にこみ上げる熱をどうにか抑えつつ近づいてくるのを待っていると、
男の姿を目にした彼女は、まったく予想外の行動に出た。

走るペースを落とし、男のベンチの前でゆるやかに足を止める。
両手をひざに付き荒い息を少し整え、
顔にかかる長髪を掻き上げ身体を起こすと、こちらへ向かって微笑みかけた。

「こんにちは〜」

思いのほか柔らかい声をしていた。
顔立ちは凛として整っているのだが、そのギャップさえも妙な色香を感じてしまう。

まさか声を掛けられるとは思わなかった男はすっかり面食らってしまっていたが、
慌てつつもどうにかこんにちは、と挨拶を返す。

「お疲れ様です。よく走られてますよね、ここ」

彼女は言いつつ男の隣に座り、顔を覗き込むように話しかける。
身体の距離がいかにも親しげで、男はシャツの間から覗く谷間への視線を必死で抑えた。

「私も最近始めたばっかりなんですよー。まあ、私魔物なんで本当は必要ないんですけど。
 朝走るのって気持ちいいんですよね。身体があったまって、元気になる感じがして」

見れば、彼女の身体には玉のような汗がそこかしこに滲んでいる。
白いシャツはあちこちが透け、肌がほとんど露わになっている。
彼女は熱を逃がすように、シャツの胸元を引いてぱたぱたと仰いだ。

「……ふぅ、熱い。ほら、もうすっかり汗かいちゃいましたよ」

胸元が引かれるごとに、彼女の豊かなバストが半身をあらわにする。
じわりと水気を帯び朝日を弾いててらてらと光る姿がなんとも淫卑で、
男は思わず目を向けようとして慌てて逸らす。

流石にそこまで突っ走れるほど若くはない。
男は不自然な方を向きながら煩悩にまみれた脳髄をかき分け、走るのは好きですか、と彼女へ当たり障りのない質問をした。

「はい、好きですよ。
 ずっと走ってると頭の中が空っぽになるみたいで気持ちいいし、何より……ふふっ」

彼女は言葉を切り、弓なりに目を細めて笑う。
それから含みを持たせるように、唇をすぼめて囁くように続けた。

「男の人のエッチな視線が、とってもキモチイイんですよぉ♥」

その言葉と同時に、男の背筋に電流のような刺激が走る。
彼女は蛇のように細腕を回し、
ベンチについていた男の片腕を取ると躊躇うことなく胸の谷間に抱き込んだ。
つきたてのお餅を押し当てたような感触と、
じっとりと汗ばんだ少し粘着質な感覚が男の腕に伝わる。
しかし彼女はなんでもないように切れ長の目で男を見つめ、
ベンチの上を男の方へ一歩移動した。

「こーやってノーブラで走ってるとぉ、
 エッチな男の人がおっぱいをジロジロ見てくるんですぅ……」

顔を寄せれば唇が触れあう位置。
彼女は男の耳に唇を当て、蜂蜜のような甘い声で囁く。

「そうすると、私の身体も火照っちゃって……
 キモチイイ事したいよーって、おまんこがキュンキュン疼いちゃってぇ……
 ……ほら、触ってみて……ふふ、コッチは汗じゃないですよ……?」

細腕は興奮で震える男の手を取り、
何故かひどく湿り気を帯びたショートパンツへと当てる。
濡れた感触とともに熱が伝わる。秘部に手を乗せた彼女はひくんと身体を震わせ、快楽を残さず享受するようにゆっくり目を閉じた。

「ねぇ、お兄さん……すっごくエッチな目で私の事見てましたよね……?
 あれのせいで、私もう我慢出来なくなっちゃったんですよぉ……
 ランニングの時はしないって、ずっと決心してたのにぃ……」

彼女はむしろ楽しげに、男の汗臭い身体にしなだれかかる。
胸板に顔を埋め息をすぅーっと吸い込むと、上気した顔を向けて男の顔を覗き込んだ。

「……責任、とってくれませんかぁ?」

最早男に言うべき事は何もなかった。
将来の事も、単位の事も、男が人知れず抱える諸問題も、今はどうでもいい。
男は下腹部の迸りを隠す事なくさらけ出し、そのまま彼女を抱き寄せようとした。

「あっ、駄目、だめ、ダメですよぉ、ここじゃダメ……」

しかし彼女は確かな力をもって男の抱擁を拒む。
走り終えたときよりも乱れた呼吸で立ち上がると、
内腿をもじもじと擦り合わせながら男に手を差し伸べた。

「そういうのも素敵ですけどぉ、きっとここじゃ最後まで出来ないと思うんですぅ……
 ちょっと我慢して、私達がいっぱいキモチよくなれる場所に……行きましょ……♥」

男は彼女の正論にどうにもやりきれないものを感じながら、
タオルとドリンクを持って彼女の手を取る。
彼女は指の一つ一つを愛撫するように絡ませると、内股気味によろよろと歩き出した。

「すぐそこですから……おちんちん、ガマンしてくださいね」

そう言って、彼女は男の頬にキスをする。
我慢しろというのなら我慢できなくなるような行動はやめてほしい。男は心からそう思った。



彼女に手を引かれ歩くこと、僅か三十秒。
たどり着いたのはあろうことか、公園の中に設置された公衆トイレだった。

「……ふふっ、驚かれました〜?」

彼女は悪戯っぽく笑うと、ラブホテルに入る恋人のように腕に身を寄せる。
それから男子トイレでもなく女子トイレでもない中央の扉に立つと、緑色のボタンを押して自動ドアを開いた。

「本当はイケナイ事ですけど……ごめんなさい、失礼しま〜す……」

見えない誰かにぺこりと一礼し、中に入ると赤のボタンを押してドアを閉める。
あまり使われてないのか整備が行き届いているのか、そのトイレの中はシミ一つなく綺麗に整っていた。

広さは二平方メートルと言ったところだろうか。存外に広く、寝泊まりできそうなほどスペースに余裕がある。中の設備はトイレ用の洋式便座、両側に手すり、洗面台に鏡、引き出すタイプのベビーベッドなど。
何より鉄扉は頼もしく密閉されている。内側からボタンを押さない限り決して開かず、まず誰も近づく事はない。

その密室は、一般的には多目的トイレと呼ばれていた。
一面の白い壁やベビーベッド、清潔感溢れる一つ一つの設備は二人の劣情を戒めるように存在しており、またそれが男にはかえって背徳感を感じさせ、より一層気分を盛り上げた。
彼女の方もそれは同じらしい。口をもじもじと波打たせていたがすぐに我慢が出来なくなったようで、手を取ったまま男の胸に飛びついた。

「すぅ〜〜〜っ、はぁ〜〜〜っ♥
 ああ……汗臭さと生々しい精のニオイが混じり合ってすっごくいやらしい……。
 タマタマもガッチガチに緊張しちゃってますね……もう、お兄さんってば頼もしいんだからぁ♥」

両胸をぐりぐりと押し当てるように密着し、そのまま片手は遠慮なく男の陰嚢に伸びる。
ジャージ越しに睾丸を揉まれ男のペニスは痛いくらいに起立し、服の上からでもその形が手に取るように分かった。

「わ、おっきい……♥
 それじゃ、ぬぎぬぎさせてあげま〜す。……ん、しょっと」

目にハートを浮かべる勢いで彼女は愛おしそうに陰茎を見つめると、待ちきれないようにたどたどしくジャージに手を掛ける。長い間「おあずけ」を食っていたペニスがぶるんと震え、パンツごと降ろされた空間に屹立して現れた。

彼女は目を輝かせてその様に見入ったが、興奮と緊張で足がガクガクと震えている男の様を見てくすりと笑う。

「ふふ……お兄さんってば余裕なさすぎぃ……♥
 まずはおまんこの前に、おクチで一度スッキリしましょーか。
 おトイレに座って下さいな。暴れん坊のオチンチン、いい子いい子してあげますからね〜♥」

上目遣いにこちらを見る彼女に従い、男は洋式便座に腰掛ける。
下半身を露出させて便座に座る様はいかにも変質者のようで、男の更なる興奮をあおった。

彼女は便座の前にしゃがみこむと、ペニスに視線を合わせて舌舐めずりをする。
細く長い両指で包み込むように優しく握ると、静かに上下に揺すり始めた。

「は〜い、いい子いい子、いい子いい子……クサくて大きなエロちんぽ、とっても素敵……」

子供に聞かせるように言いながら、彼女は筒状にした手を上下にさすっていく。
既に男のペニスは臨界状態までたぎっており、たったそれだけの刺激で亀頭から先走りをにじませつつあった。

「いつでも出していいですからね〜。
 あー……んっ。ちゅ、んちゅ……れろぉ、くちゅ、ちゅぶぶっ……」

そう言うと、彼女は先走りを舐め取るように竿の先端に舌を這わせる。
その刺激もさることながら、内腿から股にかけて伝わるはちきれんばかりのバストの感触がたまらなく脳髄をしびれさせる。濡れたランニングシャツのざらりとした刺激が不思議な興奮を与え、既に耐え切れないほどの快楽が走っていた。

「ん……ちゅぷ……ぐぽっ、くちゅくちゅ……
 ……んぐっ、んぶっ、んん〜〜〜〜〜っ♥♥♥ ……ぷはぁっ」

自分でも情けないほどの短時間で男は達した。
腰に鉛でも吊るしたような衝撃が走り、根こそぎ発してしまったような虚脱感が現れる。
彼女は口いっぱいに精液を含み味わうように口の中で転がすと、喉を鳴らして嚥下した。

「ああ……すっごくオシッコくさいザーメン……♥
 おトイレ行ってなかったんですね……口から溢れちゃうかと思いましたぁ♥」

うっとりと目を細め、至福の笑みで彼女は男を見上げる。
男は殆ど自分の小便みたいなものを飲ませてしまった事に思わず謝る。
しかし彼女は気にした風も無く、むしろ嬉しそうに男へじゃれついた。

「いいんですよぉ。最初のお射精お疲れ様です♥
 私はゆっくり待ちますから、一回落ち着くまでまったりしてて下さいね♥」

彼女は男の膝の上に身体を預け、胸を押し当てるように強く男を抱き締める。
その身体は汗でひどくべたついており、湯気が立ちそうなほど熱気に満ちていた。

「はぁい、おっぱいどうぞ。
 おっきいと谷間が蒸れちゃってむずむずしちゃうんですよ〜」

そう言ってにこやかに笑いかけながら、彼女はシャツをめくり上げ両手で胸を持ち上げる。
常から遠目に見ていたが、近くで見るとやはり大きい。
バレーボール大の双丘はこれもまた汗ばんでおり、水蜜桃のような瑞々しさも含んでいる。

朝のランニングで幾度となく目にした巨乳が、今、こうして目の前にある。
ひどく現実味のない光景に男は何処か夢心地になりながら、彼女の乳房に舌を這わせた。

「はぅぅっ……ん、んん……
 私のおっぱい、美味しいですかぁ……? ずーっとエッチな目で見てましたよねぇ……。
 ほらほら、もっと好きにしていいんですよぉ……」

右乳を舐られつつ、左の乳首を自らいじりひくひくと身体を痙攣させる。
男が快感にわななく彼女を見上げると、不意にこちらを見る彼女と視線が交錯した。

「ちゅ……ん、れりゅぅ……ちゅっ、ちゅ……」

どちらが言うでもなく男は乳から舌を離し、彼女の唇に舌を這わせる。
彼女は迎えるように舌を出し、互いの口内を吟味し合うようなキスを交わした。

「はぁっ、はぁっ……ん……ぢゅるるるる……ぷはっ。
 もっとぉ……んぁっ、ちゅ……ああん、おっぱいも……はぁん♥」

マッサージのように胸を揉み解しながら、舌同士で熱く舐り合う。
次第に彼女の方が余裕がなくなり、じれったそうに男の股間に手を伸ばし撫で始めた。
手に当たる硬く頼もしい感触に、思わず彼女は喜色を浮かべる。

「……ふふ、準備おーけーですねぇ。
 はぁぁぁ……やっと……やっと食べさせてもらえるんだぁ……。
 ガッチガチの発情ちんぽから出る濃厚せーし、
 とろとろまんこでゴックンさせてもらえるんだぁ……♥」

秘部に手を添えて淫らな水音を立てながら、彼女は恍惚としつつも足をどける。
それから汗ばんだショートパンツを脱ぎ捨て、てらてらと光る秘部を露わにした。

「はぁい、これがおまんこですよ〜♥
 今からここで、お兄さんのちんぽをいっぱい絞ってあげますからね〜」

そう言って便座の両脇の手すりを掴むと、ふくよかな尻を男へ指し向ける。

「さぁ……♥
 どぉぞ、私のおまんこでちんぽ好きなだけシゴいて下さいな……♥」

秘部からは絶えず透明な液体が垂れ流されている。
彼女はなおも熱に浮かされたようにふりふりと尻を動かし、雄の劣情を誘う。
もはや矢も盾もたまらず、男は彼女の尻を両手で掴むといきりたったペニスを突き出した。

瞬間、ペニスがぬるい液体に包み込まれ滑り込む。
柔らかい布のような感触のものを突き破り、ひだ状の筒を抜け、更に奥へ。

「おっ、おおおお〜〜〜〜〜っっっ♥♥♥
 うぁっ、き、来たっ……!! ちんぽ来たぁ!!」

嬌声を上げ快楽に耽溺する彼女を横目に、男は苦もなくペニスを奥まで一気に突き立てる。
竿の根元までずぷりと女陰に差し込むと、彼女は身体を大きく反り返らせ絶叫した。

「うああああっ……お、奥、ずぷぅって……。
 やっ、そんなっ、やだ、魔力が……止まんない……あ、あ、あああああ!!」

瞬間、まるで傘を開いたような音と共に、彼女の白い背中から一対の翼が出現する。
折り畳まれていたものを開くように勢いよく羽ばたかせ、部屋を横断するように広がった。
同時に、尻の少し上の所に細く長い尻尾が生える。
スペード型のそれはしなやかに垂れさがり、先端が僅かに男の足に触れた。

彼女は慌てて後ろを見て、それから快楽とばつの悪さが混じったような顔を見せる。

「……あは、で、出ちゃいました……
 邪魔っけだから普段は隠してるんですけど、魔力が満ちちゃって……」

そう言いながらぱたぱたと翼をはためかせつつ、照れ笑いで場を誤魔化す。
魔物娘についての知識が深いわけでもない男にとって翼や尻尾は珍しく、
男は思わず垂れた尻尾を握り、こりこりと指で弄った。

「ひゃう♥ あ……し、尻尾は敏感なんですぅ。
 普段見せない所だから……だからその、あんまりイジワルしないでくれると……」

口元に手を寄せ、しどろもどろになりながら彼女は言う。

「そ、それより……ね? もっとおまんこシましょ?
 いっぱい扱いて、もっと私を満たして下さいな♥」

待ちきれないという風に尻を動かし、入れっぱなしのペニスに横の刺激を与える彼女。
男はそう言われてひとまず尻尾から手を離し、再び尻に手を掛けるとピストンを開始した。

「ん〜〜〜っ……あっ、あっ、あっ、あっ……
 んむ、とっても気持ちいい……初めはゆっくりなんて、やっぱり優しいんだぁ……」

水音が鳴る程度の静かなセックスに、彼女は気持ちよさそうに目を細める。
互いの相性を確かめ合うような大人しいセックスは今まで処女だった彼女にとって優しく響き、一突きごとに味を濃くする精の味を噛みしめるように楽しんだ。

そうして少しずつ情欲の炎を高めていると、次第に今のスピードでは物足りなくなる。
男は彼女の身体に後ろからのしかかると、両手で胸を揉みながらピストンの速度を上げた。

「あはっ、おっぱい……あん、あん、あうっ、んん……
 すごい、これ好き、セックスしながらのパイ揉み……んんっ」

水音のテンポが増し、彼女は深い所をを出入りする男のペニスを全身で味わう。
胸全体を背後から撫で回されている感触も非常にいい。
彼女は自分の女陰が少しずつ精液を求め、膣口をきゅうと締め始めているのを感じていた。

羽をはためかせリビドーの高まりを感じると、やがて彼女はオーガズムの到来を予感する。
遠い地平の彼方からそれは足音を立ててやってくる。まだ少し遠いが、姿は見えた。
彼女は顔をあげて男の方を振り向き、舌を出して懇願する。

「ねぇ、もっとぉ……もっと激しくしてください……♥」

男はその要望に応えるように更に深く彼女を抱き込むと、女陰へ一気に男根を叩きつける。
肌同士が触れ合う破裂音のような音が響き、同時に彼女の頭で白い何かが弾けた。

「あぐ……っ!! うあ、すごっ……やっ、あっあっあっあっあっ!
 ダメぇ、急にこんなの……すごすぎぃ!!」

連続した破裂音が部屋中に響く。
ペニスは先程よりも怒張し、彼女の一番奥の部屋まで届きつつある。
大事な鍵をこじ開けられているような被征服感を味わいながら彼女はただ快感にわななく。

不意に、頭を掴まれる感触。
彼女は更に強引に振り向かされ、その口に舌をねじ込まれた。

「んぶぅ! ……ちゅ、れろ……んっ、んん……
 うあ、これもダメぇ……おまんこ突かれながらのベロチュー癖になるぅ♥
 ああん、おっぱいも触るの……やぁん、ダメですってばぁ……あんっ!」

地平から来るオーガズムは急激に速度を増して彼女に迫る。
男のピストンは尚も速度と激しさを増し、いよいよ限界へと近づいていた。

汗と汁にまみれた発情香が充満し、むせっかえるような熱気に満ちる。
そして、顔中を涎まみれにしながら彼女がいよいよ絶頂を迎えようとした時だった。

「……ひゃあぁぁ!! うわ、だ、ダメ、尻尾はホントにダメなのぉ!」

慌てて見れば、男はいつのまにか尻尾を再び手に取っている。
ピストンの速度は落とさないまま、男は胸を揉みしだきつつ、空いた手で尻尾を弄った。

スペードのような形をした先端を指で挟み、こりこりと摩る。
それだけで彼女は悶絶したように鼻の下を伸ばし、膣が更なる快楽を求め急激に収縮した。
あまつさえ、男の精子を逃さぬためにと子宮孔すらも開き出す。
鼻水と涎を垂れ流しながら彼女は襲い来る快楽の波に溺れ、言葉にならない声を出した。

「うあ、これ……いいっ、すごいっ、しゅご、しゅごひぃっ♥
 しっぽもまんこもおっぱいもぜんぶきもちいいっ♥
 わ、わらひさきゅばしゅなのにぃっ♥ おとこのひとにイかされてまんこイくうっ♥ 
 あっ、あ、あ、あ……うあ、あああああああっっっ♥♥♥♥♥」

丸太をぶつけて門を開くかのように、男は最後に一番の勢いで腰を叩きつける。
一つの生き物のように彼女の身体に密着し、尻尾を壊れてしまいそうなほどに握り込む。

こじ開けられた子宮孔は彼女の中で男のペニスをぴったりと咥え込み、
勢いよく発せられた男の射精をただの一滴も零さず子宮へと注ぎ込む。

「あーっ、あーっ、あああああ……。
 精子、出てる……お腹の中で……びゅ、びゅーって……」

男と繋がったまま、彼女は疲労感に満ちた至福の笑みを浮かべる。
そして振り向いて男の顔を寄せると、舌を使わない、おしまいの口づけを交わし笑った。



ショートパンツを拾い上げると、彼女は精液の垂れた秘部に蓋をするようにぐいと穿いた。
先ほどよりもずっと過激になった食い込みは、それ自体が栓になっているかのようだった。

「……うふふ、気持ちよかったぁ。お兄さんってば、尻尾はダメって言ってたのにもー」

ちっとも罪悪感を感じない口調で責めつつ、彼女は手早く辺りを掃除して男の手を握る。

「ありがとうございました、っと。……えへへ、それじゃ行きましょうか」

ああ、と返事をしそうになり、思い直して男は彼女に尋ねる。
どこか行くところがあるのかと。
すると彼女は目を丸くし、それから心外だというように口をとがらせた。

「まさか、たった一回で満足したなんて……言いませんよね?
 私、今度は横になってゆったり出来る場所がいいなぁ……なんて♥」

夢見るように言う彼女を見て、男は驚きと期待の入り混じったような表情を浮かべる。
そしてこれから始まる今日という一日を思い、股間をまたも熱くした。

「……誰もいませんよね? じゃ、開けますよ〜」

彼女は人の気配を探ると、大きな赤いボタンを押し鉄扉を開く。
時刻はまだ朝早く、人通りもまばらな中。
二人はベッドとシャワーのある部屋を求め、公園をいちゃいちゃと立ち去ったのだった。
14/03/24 15:22更新 / はなかる

■作者メッセージ
よい子は真似しないでね。

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