連載小説
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中間テストがピンチです
「い〜や〜だ〜」
「ダメだ、赤点になったらどうするんだ」
「私の特訓に付き合って貰ったお返しです」

2人に引きずられて学園から帰宅する3人

「さぁ、今日はみっちり勉強しような。フィロップさんに連絡はしてあるから」
「いつの間に連絡先を?」
「フィロップさんに学園で困ったことがあったらいつでも連絡してくださいって電話番号を渡された」

いつの間に…

「さぁ、家に着いたし早く入って勉強するぞ」
「うぅ…」

2人の監視に連れられてリビングに着く

「まずは今日返された小テストを見せてもらおうか」
「うぅ…はい、怒らないでくださいね」

俺は5つの髪を取り出してアルバスに手渡す。その紙をまじまじと見つめるアルバス、その顔色はどんどん険しくなる。

「………」
「あの〜怒ってないですよね…」

ここはアルバス宅。放課後勉強会をしている所だ。

「あぁ…怒っては無いな」
「じゃあ」
「怒りも覚えられない位だ…」

テストを机の上に放り出し項垂れるアルバス。そのテストは中学生の範囲の復習なのでそうそう悪い点を取る事は無いはずなのだが…

「なんで中学の範囲のテストで15点が取れるんだ?」
「それはぁ〜。中学の頃色々ありまして…」
「中学の時もピアノだけ弾いてたのか?」
「そっ、そんなわけないよ。ただちょっといじめられて引きこもってただけだよ」

(うっわ、結構デカめの地雷踏んだかも…)
「そうか…それじゃあちょっとずつ追いつこうか」
「いいの?俺ピアノしか弾けない人間だよ?」
「あぁ、お前は大事なライバルだからな。退学なんてなったら張り合いが無いしな」
「アルバス君…ありがとう」

中間テストまで残り2週間ちょっと、その間でテスト範囲をできる限り詰め込むこととなりました。

「二次関数の基本はy=a(x-p)² qだ、とにかく大事な事だけ覚えて問題にそれらを入れる応用をすればいい」
「ここはbe動詞の疑問文だから?」
「Are we?」
「そうだ、あってる」

テストの日ギリギリまで詰め込み勉強をする拓斗、果たしてテストはどうなるのでしょう。

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中間テスト当日

「大丈夫そうか?」
「取り合えず…」

この2週間で詰め込めるだけ詰め込んだ、後は放出するのみ。

「そうか、後はもう頑張るしかないな。そうそう、今日の放課後良いか?」
「うん、大丈夫だよ」
「今日テストお疲れ会に誘われてよ、そいつが拓斗も一緒にどうだって言ってたんだ。一緒に来るか?」
「行ってみようかな」
「わかった」

その後、2人で復習をしていると遂にテストの時間になる。

1時間目 国語総合

「何とかわかるな…」

2時間目 数学1

「確かここは…」

3時間目 英語基礎

「リスニングは行けた……」

4時間目 現代社会

「1番解けてる、やったよアルバス君」

5時間目 科学基礎

「えっと、確かここは…これだよな…」

ちなみに音楽科のテストは1年時は基礎5教科だけである。ただし音楽の実技試験がある。
勿論拓斗もアルバスも実技試験は楽々パスしました。

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放課後

「テストお疲れ様、どうだった?」
「アルバス君のおかげで何とか赤点は回避できそうだよ」
「俺が頑張って教えたからな、当たり前だ。おっ、着いたぞ」

そこは結構高そうなカフェだ。

「律のお気に入りの店だそうだ。多分もう律は居るだろうし入ろうぜ」

カフェの中に入る。中はシックな造りで落ち着いた雰囲気を醸し出している。BGMの「くるみ割り人形」〜花のワルツもいい感じにカフェの空気に調和している。

「あっ、おーい。こっちだよアルバスくーん」
「おっ、いたいた」

声の方に向かうとそこには教室で見たことある顔。確か…えっと…誰だったっけ?

「こいつは律、クラスで5人しかいない男子生徒だ」
「僕は愛染律、専攻はトロンボーンだよ。これからよろしくね!」
「うん、よろしく」

愛染律…よしちゃんと覚えたぞ。それにしてもあのクラス男子5人しかいないのか…

「さぁさぁ、今日は僕が呼んだんだから僕の奢りだよ」
「いいの?」
「うん、大丈夫」

メニューを見てみる

ダージリン 1200円
コーヒー  1500円

月替わりケーキ 2500円

俺はメニューを見るのを止める、まだ紅茶とコーヒー、ケーキしか見てないのだがこの値段。庶民暮らし歴15年の俺にこの値段は気が引ける。

「り、律君。ちょっと値段が高すぎない?」
「そう?割とリーズナブルなお店にしたんだけどなぁ…」

あぁ…律君絶対お金持ちだ…

「律、こいつは多分こういう所初めてだからさ。律が決めてやった方がいいんじゃねぇか?」
「そっか、僕が決めていい?」
「うん、初めましてなのにごめんね」
「気にしないで気にしないで」

そう言うと律君は店員を呼び注文を始める。アルバス君は紅茶とケーキを注文するようだ。
暫く律君と話している内に注文の品が届く。

俺の前にはサクランボのタルトと紅茶が置かれる。

「さぁ、遠慮せず食べよう。ん〜おいしい」
「ここは生クリームが上手いんだよな」
「えっと、いただきます」

僕も恐る恐るケーキを口に運ぶ。うわまって今まで食べたどのケーキより美味しいかもしれない。

「どう?」
「美味しいよ、ありがとう律君」
「気にしないで」

その後俺たちは音楽の事や自分たちの事などを話していた。

「そろそろいい時間だし帰んなきゃね」
「そうだな…ってなんか鞄がモゾモゾしてるぞ」

皆で律君の鞄を見ると確かに中でモゾモゾと動く物体があるようだ

「あー、また僕の私物に変わってたんでしょ」

何の躊躇もなく鞄のジッパーを開ける律。その中にはスライム?が入っておりどんどん巨大化、人の形になっていく。

「申し訳ありません律様。もう少しでお夕飯の準備ができるのでお呼びしようかと思いまして」
「スマホで連絡してくれればいいじゃん。学園敷地内ならWi-Fi飛んでるからね?」
「ですが…やはり直接律様が見たくて…」

この人は恐らく律君のメイドさんだろう。しかしこの子も見覚えがあるな…

「エリンデさんは本当に律一筋なんだな」
「はい、私にはとって律様は神にも等しいですからね」
「ねぇ、アルバス君。この人と知り合い?」
「エリンデさんも1−6のクラスメイトだぞ」

ほっぺあたりに冷や汗が垂れる。明日生徒名簿のコピーを貰ってみんなの名前を覚えよう

「それではもう一度自己紹介を、私はエリンデ・ロス・ハーシーと申します。律様の従者にして1−6でユーフォニアムを専攻しております」
「さっき本当にすみませんエリンデさん。音街拓斗です」
「拓斗様のご噂はかねがねお聞きしています。どうか律様と仲良くしてください」

礼儀正しいメイドさんだなぁ、メイドさんって言ってもフィロップさんとはタイプが全く違う。こうゆう人もいるんだなぁ…

「それでは私はこれで」
「うん、今から帰るから」

エリンデさんが転送魔法で帰った後俺たちも帰ることになった。

バスの中でも音楽の話で花を咲かせる。

「それじゃあ、また明日」
「おう、じゃあな」
「うん、またね〜」

2人を見送った後玄関のドアを開ける

「ただいまー」
「おかえりなさい、拓斗様」

食堂の方からフィロップさんの声が聞こえてくる。

「うわ〜いい匂い、今日は何の料理ですか?」
「カレーですよ。ささ、手を洗ってきたらお夕飯にしましょうか」
「はーい」

手を洗いお夕飯。うん、いつ食べてもカレーは美味しい。

「今日のテストはどうでした?ここ最近ずっと頑張って勉強しているようですが」
「赤点は回避できたと思う…」
「まっ、まぁ頑張ることが大切ですから(汗)」

次はもっと点が取れるように頑張んなきゃな…

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「テスト返すわよ〜」

テストから1週間、遂にこの時が来る。

「はい、アリアちゃん」
「はい、アルバス君」

次々とテストが入った封筒を渡される。遂に俺の番が来る

「はい拓斗君」

席に着き恐る恐る中を確認する。

国語 45点
数学 54点
英語 34点
化基 48点
現社 67点

「赤点ラインは全部30点未満ね〜」

よしっ、よしっ。全部赤点回避達成。しかも現社は70点近く取れた。早速アルバス君に報告しなきゃ

「アルバス君、やったよ。全部赤点回避できたよ」
「よかったじゃないかタクト」
「うん!」

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さてテストも終わり6月に入る、衣替えで夏服制服になり魔物娘の生徒の露出度が上がる。正直目に毒だ…

「ん〜、ここは日本とは違って梅雨があんまりないのが嬉しいなぁ」
「そうだねぇ、日本だとこの時期じめじめしすぎてるもんね」
「いつかタクトと律の故郷の日本にも行ってみてぇな」

からりとした晴天の日。教室で3人固まって話をしている。

「いいねぇ、いつか行こっか」
「さんせー」

暫く駄弁っていると先生が入ってくる

「はーい皆席について〜 学祭の出し物決めるよ決めるよ〜」

次回、学園祭準備編に続く
22/12/02 12:20更新 / photon
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■作者メッセージ
どうも、photonです。今回の中間テスト編はどうでしたか?

拓斗君は今の所ピアノを弾くだけのマシーンなのでそのマシーンがアルバスや律、これから仲間になる残り2人の男子。そしてフィロップと関わりどう変わっていくか。楽しみにしていてください。

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