宮本あやめの場合=50×2
丁寧に掃除がされた和室に一つの布団が敷かれている。
それは数日前に買った新品で、ワーシップの毛がたっぷりと使用され、確かな腕を持つジョロウグモが仕立てた実に触り心地も使い心地も良いものだ。だが、その布団は大の大人が数人は入るかと言うほど大きい。それは本来ラミア族のように体のでかい魔物娘向けに作られた布団なのだ。
「よし、これでいいかな。」
閨の準備を終えた宮本勲は、腰を叩きつつ一息ついた。妻からは「オヤジ臭いからやめろ」と言われるが、つい無意識のうちにしてしまう行動の一つだった。
「お、準備はもうできてるかい?」
妻のあきれた顔を思い浮かべ苦笑していると、背後の襖が開き噂の妻、宮本あやめが寝室に入ってきた。
「うん、今終わったところ。そっちも?」
「ああ、今夜も…頼むよ。」
その妻が手にしているのは無色透明の液体が入ったガラスのコップだった。
コップに入っている液体がただの液体でないことを勲はよく理解していた。それはここ最近、あやめが気に入っている分身薬なのだ。
「はは、お手柔らかにね。」
勲はそれを受け取りつつ、なんの迷いもなく一気に呑み込んでいく。
ドクン
「おお、きたきた。」
臓腑に沁み渡っていくような不思議な感覚と共に、腹の底で鈍い脈動を感じる。それはこの分身薬の効果が現れた証であり、分身の合図だった。
ドクン、ドクン…ドクッ
そして一際大きい鼓動が響いたその瞬間、
「やあ…。」
『おまたせ。』
分身前よりニ回り以上齢を重ねた勲が二人、その場に立っていた。
「じゃあ、今晩も…俺をしっかり可愛がってくれよな♡」
分身した夫達をどこか恍惚とした目で見つめながら、あやめはゆっくりとした口調で勲を誘いつつ、その身を大きな布団の中へ埋めていく。
「勿論だよ」
『我が愛しの』
愛する妻の提案を受けた夫にとって答えは一つ。
「『奥様♡』」
これから先訪れる甘い夜に早くも男根を固くさせつつ、勲たちは妻が待つ布団へと潜り込んでいった。
ちゅ、ちゅぷ…ぺちゅ、ちゅぅ…
布団の中は熱気で満ちている。
三人は全身を潜り込ませても猶かなりの余裕がある布団を頭からかぶり性行為を開始した。あやめが全身から発する甘いメスの匂いと、若い男にはない円熟をむかえた勲の濃厚なオスの匂いが溶け合っていき、布団越しにほのかに届く間接照明の光も合わさりより官能的で欲望を駆り立てるムードを醸し出している。そしてそれを加速させていくかのように二人の夫と妻は身を絡ませていく。
「ふふ、あやめのここもうトロトロだ。」
「…〜ッ勲だってこんなに固くおったててるだろ!!んちゅ、ちゅぷ、ちゅぷぅ…」
一方の勲とあやめは横たわった状態で向かい合い、シックスナインの要領でお互いの性器を愛撫している。あやめはねっとりと濃い先走り汁を吐き出すイチモツを夢中で頬張り、勲は愛液をとめどなく吐き出すヴァギナや興奮によりパンパンに膨らみ存在を主張するクリトリス、そして充血により赤く染まった淫猥な陰唇を丹念に舐めていく。
『それに、乳首がこれでもかってくらい固く充血してる。気持ちよくなってくれているんだね〜。』
「…っちゅぷ、いちいち言う、な…恥ずかしい……」
もう一方の勲は、あやめの背後から抱きつき手薄になっている背中や首筋、胸に愛撫を施していく。
一人では到底できない、全身になされる愛撫によってあやめの乳首は完全に勃起している。勲はあやめの反応を見つつ、時には痛みを感じるほど強く、時には触れるか触れないかといったきわめて弱い力で乳房を堪能していく。
「ん〜でもそうやって恥ずかしいのが」
『淫乱なあやめは、好きなんでしょ?』
「くっ…二人がかりで、ずるいぞっ!!ちょ、調子にのるなあ。」
「ふふ…自分でこうなるのを望んだのに。正直じゃないわんちゃんには」
『分かるまでオシオキ、をしなきゃね♪』
体は完全に蕩け切っているのに、未だに素直にならない妻へのお仕置きを二人の勲が同時に執行する。一人はクリトリスを口に含み犬歯であまがみをし、もう一人は乳首を潰すような強い力でつまみあげ、豊かな乳房をぶるんぶるんと左右に揺らしていく。
「ああ、強いっ痛いっ…くぅ♡」
するとたまらず悲鳴のような嬌声があやめの喉奥からあがり、体がびくびくと痙攣する。
「さあ、言ってごらん」
『あやめは淫乱なわんちゃんですって。』
「あぅ…俺は」
『それじゃ、ダメ』
「……っ!!」
「わ・た・し、だよ。あやめ」
「わ、わたしは……い…淫乱な、わんちゃ…んです…」
淫猥な台詞を口にした途端にあやめの顔は恥辱で真っ赤に染まり、熱病に侵されたと勘違いするほど体が熱くなり、瞳に涙が溢れとろんと目尻を下げてしまう。
(やっぱり、勲に…逆らえねぇ…♡)
夫二人にねっとりとした愛撫で責め立てられ、布団の中に籠った熱気や臭気にあてられながらあやめは心の中で一つの想いに縛られてしまう。
普段のあやめは、愛する夫を組み伏せ、無理矢理夫を犯すことを信条としている。勿論、夫をオスとして認めているし、時々ではあるが甘える様な時もあった。だが、勲が温厚な性格であることもあり、夜の生活はあやめがリードする事が殆どだ。
「おらおら、出せ♡出せよ、金玉にたっぷりと貯めたザーメンを。俺の子袋に吐き出しちまえよ♡」
「やめ、やめて…強いよ、あやめ!!」
「うるさい、御託はいいからは早くいっちまえ♡」
「いやぁ…!!!」
「くぅ、この背徳感…たまんねえ♡さあて、次はお前を犯してやるからな〜♪」
だからバフォメットからこの分身薬を譲ってもらった当初のあやめは、年若い勲を数人作り出し順番に犯し尽くしていくようなセックスを楽しむことが多かった。甲高い声で泣き叫ぶ若い夫を犯す行為は、今までにないほどあやめの心を背徳や満足感、支配欲で刺激し、大いに昂ぶらせた。
だが、ここ最近は年若い分身は殆ど作り出さず、齢を重ねた夫達を相手にすることの方が多い。それはひとえに若い勲にはないあるものから齎される喜びをあやめが覚えてしまったからに違いなかった。
「よく言えたね、淫乱なわんちゃん♪」
『じゃあ、もっと可愛がってあげなくちゃ♪』
あやめの態度に満足したのか、二人の夫はさらに苛烈にあやめを責め立て始めた。だが、その愛撫はどれも的確にあやめのツボをおさえたもので、あやめの体は容赦なく絶頂へと追い込まれていく。
分身薬で分身した中年の勲は、まさに人が変わった様な存在だった。
彼らはむんむんと香り立つようなオスのフェロモンを身にまとい、奥底に眠っていた嗜虐やサディスムを前面にしてあやめの肢体を貪るように愛してくれる。それに身を任せ、メスとしての喜びをこの身に刻む行為にあやめはどっぷりと嵌まっていた。そして、中年の彼らとのセックスをより楽しむためにこの布団を買ったのだった。
そう、ある喜びを何倍にも楽しむために。
『ほら、いっちゃえ!!』
「みっともなく、いけ♡」
「かっはぁ…だめ……もうっ!!!」
目の前の勲はじゅるじゅるとはしたない音をたてて女性器に吸いつき、膣だけではなくアナルに指を突き入れ腸壁と膣を裏側からぐりぐりと刺激する。同時に背後の勲は唾液をたっぷりとなすりつけながらあやめの首筋をねっとりと舐め、手にした二つの豊乳にいきり立つ乳首に爪を突きたてつねり上げる。
「ぎぃぃ…もう、ダメッ!!……イク、いっちゃ…うっ♡!!!」
その鮮烈で容赦の無い刺激は簡単にあやめの神経を貫く。
目の前でびくびくと脈打つペニスを咥えるのさえ困難な程、あやめは腹筋や太腿をぶるぶると痙攣を起したように震わせ快楽の波にのまれていった。
ぷしゃ…っぷ、ぷしゃぁぁぁ……
「あらまあ」
『これは…』
そんな刹那、あやめの心に強烈な羞恥心が巻き起こる。
「見るなぁ…お、願いだか、ら…見ないでぇ!!!」
なんと、あまりの刺激に潮だけではなく、尿まで漏らしてしまったのだ。布団の中に独特の据えた匂いが一気に充満し、決壊した尿道から流れ出る卑猥な水音が木霊する。
『オシオキをしているのに嬉ションをするなんて…』
「なんてはしたないわんちゃんなんだろうね、あやめは?」
そしてその羞恥心をさらに煽るように二人の旦那による言葉攻めが続く。
「あぅ…わた、しは…悪くない、お前たち…が……」
「そういうんだったら」
『おしっこを止めてみて、わんちゃん?』
夫は徐にあやめの下腹部に手を置くと、膀胱がある辺りを一切の手加減なく力を込めて押し込んだ。
「あ、あぁ…そこ、ダメ…やめろぉ♡!!」
すると大量の尿があやめの股から押し出され、夫の体を濡らしていく。
「ああ、こんなにだしちゃって…」
『僕の体がびちゃびちゃじゃないか。』
自分でやったことなのに、いかにもあやめが悪いというような口ぶりで二人の夫はにやにやと笑いながら、次の行動を始めていた。
「『さあ、飼い主におイタをする悪いワンちゃんが反省するよう、もっとオシオキしてあげなくちゃ、ね?』」
そう言って悪魔の様に微笑む夫に、あやめは期待に身を震わせ、ただただ黙っていることしかできなかった。
「じゃあ、オシオキの続きをしようか。」
目の前にいる夫がくるりと体勢を変える。
「まずは僕から、だね!!!」
「はう…入ってきた♡」
そしてぴたりとペニスを膣口にあてがい一気に膣奥まで挿入してきた。
「お、きぃ…我慢できない♡」
あやめの痴態を目にし、ぱんぱんに膨らんだ夫の剛直にもっとも繊細な膣をえぐられる。それだけで達してしまいそうになるが、気持ちを奮い立たせて意識を保つ。
「ああ、あやめの中は本当にきつくていいね、最高だ。」
「…褒めたって、なにも…でないんだから、なぁ♡」
「本当に、素直じゃないなあ。じゃあ動くよ〜」
「うぅ♡ぶっとくて、気持ちいい♡」
ぢゅく…ぢゅちゅう…ずぷ、ずぷ…
夫がゆっくりと腰を動かし、あやめの膣に蠢くひだの一つ一つを丁寧に嘗めしていく。
「凄い…こすり上げる度にひだがぎゅっと締まって、あやめのいやらしいおまんこが僕のペニスを放してくれないね。」
「だって…お前の、ちんぽが♡気持ち、いいんだから…仕方ないだろ♡」
「そう言ってもらえると男冥利に尽きるね。もっとサービスしちゃおうかな。」
そういうと夫はストロークを長く使った腰使いを始め、さらにめちゃくちゃにあやめの柔肉を犯し始める。
(…そういえば、もう一人は一体何を…?)
固い亀頭で子宮口を小突かれながら、ふとあやめはもう一人の勲が何もしてこない事が気になった。さっきまであんなに上機嫌に自分を責め立てていたのに。
「ふふ、もう一人の僕が気になる。」
そんなあやめの様子を察したのか、目の前の夫はぐいっと顎を掴んで自分の方に向けながら問いかけてくる。
「ああ…♡気になるな…一体、何をしようとしている…?」
『勿論、あやめを喜ばせること、だよ♪』
するとそれまでじっとしていた背後の勲が突然あやめに抱きつき、勃起したペニスを太腿になすりつけてきた。
「だから、何を…ってひゃう!?」
そして夫は太腿から舐めるように撫で上げ、アナルへと指をのばした。そして躊躇いなく指を差し込み、パン生地をこねまわすようにアナルを弄ぶ。
『答えは簡単だよ。もう一本追加してあげるだけさ。』
「あぁ…そっちは…くぅ…♡」
『嫌いじゃ、ないでしょ?』
「ぅう…」
『さあ、今から…入れてあげるよ!!』
夫が明るい声でそう告げ、ペニスをゆっくりと菊門に近付けていく。あやめはこれから肛門を犯されることへの期待や恐怖に近い感情に震えていた次の瞬間、強烈な異物感をアナルで感じる―――
はずだった。
しかしアナルへの刺激はなく、全く別の―――今まで経験した事の無い違和感があやめに降り注いだ。
「がっ…ぐぁ…お前、何を…して!!??」
ミチィ…ミチ、ミチ…
体の奥底で何かが無理矢理広げられていく音がする。
『何って…あやめの好きな僕のおちんちんを入れただけさ。』
「君の膣に、ね♪」
強烈で鋭い刺激が背中を駆け上がっていく。
あやめは震える腕を何とかのばし、自身のヴァギナを恐る恐る触れてみた。するとそこには間違いなく夫のペニスが、愛する二人の夫のペニスが突き刺さっていた。そう、二人の夫は同時にあやめのヴァギナにペニスを挿入したのだ。
「お前ぇ…なんてことを…」
弱々しく声を上げるのが精一杯だった。
それは体験した事の無い圧迫感。まるで中世の処刑のように体に太い杭を打たれているようだ。しかもその圧迫感と共に体を梳かすような抗えない興奮と愉悦がこみあげてくる。
「ふふ、どこに入れるなんて一言も言ってないだろ?」
「がぁ…ふぅ、ひゅぅ…ぅう…」
「さあ、もうすぐ」
『子宮口に到達だ!!』
あまりの出来事に呼吸さえままならないような状態のあやめを後目に、二人目の夫は力強く腰を推し進めていく。
「あぁ…お、く…まで………」
ついに二本目のペニスがあやめの最奥まで侵入し、ヴァギナに二本の剛直が突きたてられた。
『あぁ…あやめのおまんこ、めちゃくちゃきつくて最高だ♡』
「あんまりにも気持ちよくて、くせになりそう♡」
息も絶え絶えにあえぐあやめとは対照的に、二人の夫は苛烈な挿入によって異常に引き締められた性器の感触を心の底から楽しんでいるようだった。そして夫達はいやらしい笑顔を浮かべながらオシオキを続ける。
ずるっ…ぬぷ、ぬぷぅ…
奥深くまで挿入された剛直がゆっくりと動き始める。
「お♡おっ♡う、ひぃ♡」
ずりずりと固い肉棒が交互に子宮を突く度に、あやめの口からは言葉にならない叫びがほとばしる。
「はは、凄いや。ひだが絡みついてくる。」
『これは僕たちも長くはもたないな〜』
「はひぃ♡…ふぅ、お♡…がぁぅ♡」
「『じゃあ、ラストスパートといこうか♪』」
そんな明るい声が既に快感でかすんだ頭に響く。
それを合図にして、二人の夫は遠慮なく腰の振りを激しくしていく。一つ一つのひだを限界まで引き延ばされ刺激されることで、あやめの下半身に今までないほどの熱が集まっていく。その熱が最高潮になった瞬間―――
「くぅ…絞り、取られる!!」
『射、精が…止まらない!』
どぷり、どぷっ…びゅるぅびゅる…ドビュルルルルル!!
「か、はぁ♡!!あ、つ…おぉ♡」
二つの剛直が最奥で弾け、一度に受けた事の無い大量の精液が子宮に送り込まれていく。
その勢いはとどまることを知らず次から次へと吐き出され、あっという間にあやめの子宮を満たしていった。子宮につながる輸卵管すらはっきりと形が分かるのではないかというほど、決壊したダムの様に吐き出される勲の精子は奥の奥にまで押し込まれていく。
「も…ムリ…ダメ…だ…♡」
永遠に続くとも錯覚してしまうほど長い射精をその身に受けるあやめの視界が滲んでいく。
(ああ、やっぱり…勲は、最高のオスだ…)
そしてついに愛しい夫達の姿も見えなくなり、ゆっくりと意識と思考が闇の中へと溶けていったのだった。
……………
…………
………
初めての二本挿しから数日後
「それにしても。」
「あん?」
勲はある疑問をあやめにぶつけてみた。
「最近、あの分身薬を使うと必ず年長に変化するのはなんでなの?」
「ああ、そのことか…」
「やっぱり僕たちのリードが気に入った…」
「いや、違う。それは…ない。」
するとあやめは勲の発言を完全に否定しつつ目を細め、にやにやと笑いながら近づいてきた。
「知りたいか?」
「……うん。」
「俺が何故、年寄りの勲にこだわるのか…それはな」
そこまでいうとあやめは勢いよく床に勲を押し倒し、首筋に顔を埋め深呼吸する。
「すん、すん…その理由はな、お前の体臭だよ。」
「体臭!?」
「ああ、年齢を重ねたお前の体臭はな…たまらねえんだよ♡」
顔をあげ、うっとりと微笑む妻と目が合う。
「……それって」
「ああ。お前の加齢臭に魅了されちまって、さ。」
「かっ…」
そんな喜ぶべきかどうか悩む複雑な単語と事実にリアクションが取れない。
「まるでお前のオスの全てを濃縮したような…お前の事以外考えられなくなって、決して逆らえない絶対的な存在だと思わせる様なあの匂い…。あんなの嗅いだら、もうやめられねえよ♡」
そこで記憶が蘇る。確かに、三人でまぐわった布団の中は汗をかくほど熱く、鼻をつくほど濃い匂いがこもっていた。
「それをあの大きな布団の中にこもらせると…まるで全身の髪の毛一本ですらお前に包まれているような気分になってしあわせなのさ。」
「でも、なんだが加齢臭がいいと言われても…複雑だなあ。」
「いいじゃねえかよ。」
「え?」
「これから先、どんどんお前は俺を夢中にさせる体になっていくってことじゃねえか。」
そう言いながらあやめは押し倒した勲に馬乗りになって、真っ直ぐな瞳で見下ろしてくる。その眼は現在の勲を見ているような、年を経た勲を見ているような目だった。
「お前があの薬の様に老けるのにはどれくらい時間がかかるのか分からない。インキュバスだからな。」
あやめはすっと目を細め勲に囁きかける。
「その間にきっと子供が生まれたり、孫が生まれたりするんだろうな。」
「……。」
「そうなる未来を楽しみに、俺はお前をずぅっと愛する事が出来る…それはとっても幸せだろ?」
そう言って晴れやかに笑い、軽いキスを勲の頬に落とす。そして懇願するような目を向けながらあやめは質問する。
「勿論、それに付き合ってくれるよな?」
勲は答えを口にしなかった。
ただ、そっと手をのばして…愛しい妻を抱きしめたのだった。
今はそれだけで、二人の気持ちは通じ合えるような気がした。
それは数日前に買った新品で、ワーシップの毛がたっぷりと使用され、確かな腕を持つジョロウグモが仕立てた実に触り心地も使い心地も良いものだ。だが、その布団は大の大人が数人は入るかと言うほど大きい。それは本来ラミア族のように体のでかい魔物娘向けに作られた布団なのだ。
「よし、これでいいかな。」
閨の準備を終えた宮本勲は、腰を叩きつつ一息ついた。妻からは「オヤジ臭いからやめろ」と言われるが、つい無意識のうちにしてしまう行動の一つだった。
「お、準備はもうできてるかい?」
妻のあきれた顔を思い浮かべ苦笑していると、背後の襖が開き噂の妻、宮本あやめが寝室に入ってきた。
「うん、今終わったところ。そっちも?」
「ああ、今夜も…頼むよ。」
その妻が手にしているのは無色透明の液体が入ったガラスのコップだった。
コップに入っている液体がただの液体でないことを勲はよく理解していた。それはここ最近、あやめが気に入っている分身薬なのだ。
「はは、お手柔らかにね。」
勲はそれを受け取りつつ、なんの迷いもなく一気に呑み込んでいく。
ドクン
「おお、きたきた。」
臓腑に沁み渡っていくような不思議な感覚と共に、腹の底で鈍い脈動を感じる。それはこの分身薬の効果が現れた証であり、分身の合図だった。
ドクン、ドクン…ドクッ
そして一際大きい鼓動が響いたその瞬間、
「やあ…。」
『おまたせ。』
分身前よりニ回り以上齢を重ねた勲が二人、その場に立っていた。
「じゃあ、今晩も…俺をしっかり可愛がってくれよな♡」
分身した夫達をどこか恍惚とした目で見つめながら、あやめはゆっくりとした口調で勲を誘いつつ、その身を大きな布団の中へ埋めていく。
「勿論だよ」
『我が愛しの』
愛する妻の提案を受けた夫にとって答えは一つ。
「『奥様♡』」
これから先訪れる甘い夜に早くも男根を固くさせつつ、勲たちは妻が待つ布団へと潜り込んでいった。
ちゅ、ちゅぷ…ぺちゅ、ちゅぅ…
布団の中は熱気で満ちている。
三人は全身を潜り込ませても猶かなりの余裕がある布団を頭からかぶり性行為を開始した。あやめが全身から発する甘いメスの匂いと、若い男にはない円熟をむかえた勲の濃厚なオスの匂いが溶け合っていき、布団越しにほのかに届く間接照明の光も合わさりより官能的で欲望を駆り立てるムードを醸し出している。そしてそれを加速させていくかのように二人の夫と妻は身を絡ませていく。
「ふふ、あやめのここもうトロトロだ。」
「…〜ッ勲だってこんなに固くおったててるだろ!!んちゅ、ちゅぷ、ちゅぷぅ…」
一方の勲とあやめは横たわった状態で向かい合い、シックスナインの要領でお互いの性器を愛撫している。あやめはねっとりと濃い先走り汁を吐き出すイチモツを夢中で頬張り、勲は愛液をとめどなく吐き出すヴァギナや興奮によりパンパンに膨らみ存在を主張するクリトリス、そして充血により赤く染まった淫猥な陰唇を丹念に舐めていく。
『それに、乳首がこれでもかってくらい固く充血してる。気持ちよくなってくれているんだね〜。』
「…っちゅぷ、いちいち言う、な…恥ずかしい……」
もう一方の勲は、あやめの背後から抱きつき手薄になっている背中や首筋、胸に愛撫を施していく。
一人では到底できない、全身になされる愛撫によってあやめの乳首は完全に勃起している。勲はあやめの反応を見つつ、時には痛みを感じるほど強く、時には触れるか触れないかといったきわめて弱い力で乳房を堪能していく。
「ん〜でもそうやって恥ずかしいのが」
『淫乱なあやめは、好きなんでしょ?』
「くっ…二人がかりで、ずるいぞっ!!ちょ、調子にのるなあ。」
「ふふ…自分でこうなるのを望んだのに。正直じゃないわんちゃんには」
『分かるまでオシオキ、をしなきゃね♪』
体は完全に蕩け切っているのに、未だに素直にならない妻へのお仕置きを二人の勲が同時に執行する。一人はクリトリスを口に含み犬歯であまがみをし、もう一人は乳首を潰すような強い力でつまみあげ、豊かな乳房をぶるんぶるんと左右に揺らしていく。
「ああ、強いっ痛いっ…くぅ♡」
するとたまらず悲鳴のような嬌声があやめの喉奥からあがり、体がびくびくと痙攣する。
「さあ、言ってごらん」
『あやめは淫乱なわんちゃんですって。』
「あぅ…俺は」
『それじゃ、ダメ』
「……っ!!」
「わ・た・し、だよ。あやめ」
「わ、わたしは……い…淫乱な、わんちゃ…んです…」
淫猥な台詞を口にした途端にあやめの顔は恥辱で真っ赤に染まり、熱病に侵されたと勘違いするほど体が熱くなり、瞳に涙が溢れとろんと目尻を下げてしまう。
(やっぱり、勲に…逆らえねぇ…♡)
夫二人にねっとりとした愛撫で責め立てられ、布団の中に籠った熱気や臭気にあてられながらあやめは心の中で一つの想いに縛られてしまう。
普段のあやめは、愛する夫を組み伏せ、無理矢理夫を犯すことを信条としている。勿論、夫をオスとして認めているし、時々ではあるが甘える様な時もあった。だが、勲が温厚な性格であることもあり、夜の生活はあやめがリードする事が殆どだ。
「おらおら、出せ♡出せよ、金玉にたっぷりと貯めたザーメンを。俺の子袋に吐き出しちまえよ♡」
「やめ、やめて…強いよ、あやめ!!」
「うるさい、御託はいいからは早くいっちまえ♡」
「いやぁ…!!!」
「くぅ、この背徳感…たまんねえ♡さあて、次はお前を犯してやるからな〜♪」
だからバフォメットからこの分身薬を譲ってもらった当初のあやめは、年若い勲を数人作り出し順番に犯し尽くしていくようなセックスを楽しむことが多かった。甲高い声で泣き叫ぶ若い夫を犯す行為は、今までにないほどあやめの心を背徳や満足感、支配欲で刺激し、大いに昂ぶらせた。
だが、ここ最近は年若い分身は殆ど作り出さず、齢を重ねた夫達を相手にすることの方が多い。それはひとえに若い勲にはないあるものから齎される喜びをあやめが覚えてしまったからに違いなかった。
「よく言えたね、淫乱なわんちゃん♪」
『じゃあ、もっと可愛がってあげなくちゃ♪』
あやめの態度に満足したのか、二人の夫はさらに苛烈にあやめを責め立て始めた。だが、その愛撫はどれも的確にあやめのツボをおさえたもので、あやめの体は容赦なく絶頂へと追い込まれていく。
分身薬で分身した中年の勲は、まさに人が変わった様な存在だった。
彼らはむんむんと香り立つようなオスのフェロモンを身にまとい、奥底に眠っていた嗜虐やサディスムを前面にしてあやめの肢体を貪るように愛してくれる。それに身を任せ、メスとしての喜びをこの身に刻む行為にあやめはどっぷりと嵌まっていた。そして、中年の彼らとのセックスをより楽しむためにこの布団を買ったのだった。
そう、ある喜びを何倍にも楽しむために。
『ほら、いっちゃえ!!』
「みっともなく、いけ♡」
「かっはぁ…だめ……もうっ!!!」
目の前の勲はじゅるじゅるとはしたない音をたてて女性器に吸いつき、膣だけではなくアナルに指を突き入れ腸壁と膣を裏側からぐりぐりと刺激する。同時に背後の勲は唾液をたっぷりとなすりつけながらあやめの首筋をねっとりと舐め、手にした二つの豊乳にいきり立つ乳首に爪を突きたてつねり上げる。
「ぎぃぃ…もう、ダメッ!!……イク、いっちゃ…うっ♡!!!」
その鮮烈で容赦の無い刺激は簡単にあやめの神経を貫く。
目の前でびくびくと脈打つペニスを咥えるのさえ困難な程、あやめは腹筋や太腿をぶるぶると痙攣を起したように震わせ快楽の波にのまれていった。
ぷしゃ…っぷ、ぷしゃぁぁぁ……
「あらまあ」
『これは…』
そんな刹那、あやめの心に強烈な羞恥心が巻き起こる。
「見るなぁ…お、願いだか、ら…見ないでぇ!!!」
なんと、あまりの刺激に潮だけではなく、尿まで漏らしてしまったのだ。布団の中に独特の据えた匂いが一気に充満し、決壊した尿道から流れ出る卑猥な水音が木霊する。
『オシオキをしているのに嬉ションをするなんて…』
「なんてはしたないわんちゃんなんだろうね、あやめは?」
そしてその羞恥心をさらに煽るように二人の旦那による言葉攻めが続く。
「あぅ…わた、しは…悪くない、お前たち…が……」
「そういうんだったら」
『おしっこを止めてみて、わんちゃん?』
夫は徐にあやめの下腹部に手を置くと、膀胱がある辺りを一切の手加減なく力を込めて押し込んだ。
「あ、あぁ…そこ、ダメ…やめろぉ♡!!」
すると大量の尿があやめの股から押し出され、夫の体を濡らしていく。
「ああ、こんなにだしちゃって…」
『僕の体がびちゃびちゃじゃないか。』
自分でやったことなのに、いかにもあやめが悪いというような口ぶりで二人の夫はにやにやと笑いながら、次の行動を始めていた。
「『さあ、飼い主におイタをする悪いワンちゃんが反省するよう、もっとオシオキしてあげなくちゃ、ね?』」
そう言って悪魔の様に微笑む夫に、あやめは期待に身を震わせ、ただただ黙っていることしかできなかった。
「じゃあ、オシオキの続きをしようか。」
目の前にいる夫がくるりと体勢を変える。
「まずは僕から、だね!!!」
「はう…入ってきた♡」
そしてぴたりとペニスを膣口にあてがい一気に膣奥まで挿入してきた。
「お、きぃ…我慢できない♡」
あやめの痴態を目にし、ぱんぱんに膨らんだ夫の剛直にもっとも繊細な膣をえぐられる。それだけで達してしまいそうになるが、気持ちを奮い立たせて意識を保つ。
「ああ、あやめの中は本当にきつくていいね、最高だ。」
「…褒めたって、なにも…でないんだから、なぁ♡」
「本当に、素直じゃないなあ。じゃあ動くよ〜」
「うぅ♡ぶっとくて、気持ちいい♡」
ぢゅく…ぢゅちゅう…ずぷ、ずぷ…
夫がゆっくりと腰を動かし、あやめの膣に蠢くひだの一つ一つを丁寧に嘗めしていく。
「凄い…こすり上げる度にひだがぎゅっと締まって、あやめのいやらしいおまんこが僕のペニスを放してくれないね。」
「だって…お前の、ちんぽが♡気持ち、いいんだから…仕方ないだろ♡」
「そう言ってもらえると男冥利に尽きるね。もっとサービスしちゃおうかな。」
そういうと夫はストロークを長く使った腰使いを始め、さらにめちゃくちゃにあやめの柔肉を犯し始める。
(…そういえば、もう一人は一体何を…?)
固い亀頭で子宮口を小突かれながら、ふとあやめはもう一人の勲が何もしてこない事が気になった。さっきまであんなに上機嫌に自分を責め立てていたのに。
「ふふ、もう一人の僕が気になる。」
そんなあやめの様子を察したのか、目の前の夫はぐいっと顎を掴んで自分の方に向けながら問いかけてくる。
「ああ…♡気になるな…一体、何をしようとしている…?」
『勿論、あやめを喜ばせること、だよ♪』
するとそれまでじっとしていた背後の勲が突然あやめに抱きつき、勃起したペニスを太腿になすりつけてきた。
「だから、何を…ってひゃう!?」
そして夫は太腿から舐めるように撫で上げ、アナルへと指をのばした。そして躊躇いなく指を差し込み、パン生地をこねまわすようにアナルを弄ぶ。
『答えは簡単だよ。もう一本追加してあげるだけさ。』
「あぁ…そっちは…くぅ…♡」
『嫌いじゃ、ないでしょ?』
「ぅう…」
『さあ、今から…入れてあげるよ!!』
夫が明るい声でそう告げ、ペニスをゆっくりと菊門に近付けていく。あやめはこれから肛門を犯されることへの期待や恐怖に近い感情に震えていた次の瞬間、強烈な異物感をアナルで感じる―――
はずだった。
しかしアナルへの刺激はなく、全く別の―――今まで経験した事の無い違和感があやめに降り注いだ。
「がっ…ぐぁ…お前、何を…して!!??」
ミチィ…ミチ、ミチ…
体の奥底で何かが無理矢理広げられていく音がする。
『何って…あやめの好きな僕のおちんちんを入れただけさ。』
「君の膣に、ね♪」
強烈で鋭い刺激が背中を駆け上がっていく。
あやめは震える腕を何とかのばし、自身のヴァギナを恐る恐る触れてみた。するとそこには間違いなく夫のペニスが、愛する二人の夫のペニスが突き刺さっていた。そう、二人の夫は同時にあやめのヴァギナにペニスを挿入したのだ。
「お前ぇ…なんてことを…」
弱々しく声を上げるのが精一杯だった。
それは体験した事の無い圧迫感。まるで中世の処刑のように体に太い杭を打たれているようだ。しかもその圧迫感と共に体を梳かすような抗えない興奮と愉悦がこみあげてくる。
「ふふ、どこに入れるなんて一言も言ってないだろ?」
「がぁ…ふぅ、ひゅぅ…ぅう…」
「さあ、もうすぐ」
『子宮口に到達だ!!』
あまりの出来事に呼吸さえままならないような状態のあやめを後目に、二人目の夫は力強く腰を推し進めていく。
「あぁ…お、く…まで………」
ついに二本目のペニスがあやめの最奥まで侵入し、ヴァギナに二本の剛直が突きたてられた。
『あぁ…あやめのおまんこ、めちゃくちゃきつくて最高だ♡』
「あんまりにも気持ちよくて、くせになりそう♡」
息も絶え絶えにあえぐあやめとは対照的に、二人の夫は苛烈な挿入によって異常に引き締められた性器の感触を心の底から楽しんでいるようだった。そして夫達はいやらしい笑顔を浮かべながらオシオキを続ける。
ずるっ…ぬぷ、ぬぷぅ…
奥深くまで挿入された剛直がゆっくりと動き始める。
「お♡おっ♡う、ひぃ♡」
ずりずりと固い肉棒が交互に子宮を突く度に、あやめの口からは言葉にならない叫びがほとばしる。
「はは、凄いや。ひだが絡みついてくる。」
『これは僕たちも長くはもたないな〜』
「はひぃ♡…ふぅ、お♡…がぁぅ♡」
「『じゃあ、ラストスパートといこうか♪』」
そんな明るい声が既に快感でかすんだ頭に響く。
それを合図にして、二人の夫は遠慮なく腰の振りを激しくしていく。一つ一つのひだを限界まで引き延ばされ刺激されることで、あやめの下半身に今までないほどの熱が集まっていく。その熱が最高潮になった瞬間―――
「くぅ…絞り、取られる!!」
『射、精が…止まらない!』
どぷり、どぷっ…びゅるぅびゅる…ドビュルルルルル!!
「か、はぁ♡!!あ、つ…おぉ♡」
二つの剛直が最奥で弾け、一度に受けた事の無い大量の精液が子宮に送り込まれていく。
その勢いはとどまることを知らず次から次へと吐き出され、あっという間にあやめの子宮を満たしていった。子宮につながる輸卵管すらはっきりと形が分かるのではないかというほど、決壊したダムの様に吐き出される勲の精子は奥の奥にまで押し込まれていく。
「も…ムリ…ダメ…だ…♡」
永遠に続くとも錯覚してしまうほど長い射精をその身に受けるあやめの視界が滲んでいく。
(ああ、やっぱり…勲は、最高のオスだ…)
そしてついに愛しい夫達の姿も見えなくなり、ゆっくりと意識と思考が闇の中へと溶けていったのだった。
……………
…………
………
初めての二本挿しから数日後
「それにしても。」
「あん?」
勲はある疑問をあやめにぶつけてみた。
「最近、あの分身薬を使うと必ず年長に変化するのはなんでなの?」
「ああ、そのことか…」
「やっぱり僕たちのリードが気に入った…」
「いや、違う。それは…ない。」
するとあやめは勲の発言を完全に否定しつつ目を細め、にやにやと笑いながら近づいてきた。
「知りたいか?」
「……うん。」
「俺が何故、年寄りの勲にこだわるのか…それはな」
そこまでいうとあやめは勢いよく床に勲を押し倒し、首筋に顔を埋め深呼吸する。
「すん、すん…その理由はな、お前の体臭だよ。」
「体臭!?」
「ああ、年齢を重ねたお前の体臭はな…たまらねえんだよ♡」
顔をあげ、うっとりと微笑む妻と目が合う。
「……それって」
「ああ。お前の加齢臭に魅了されちまって、さ。」
「かっ…」
そんな喜ぶべきかどうか悩む複雑な単語と事実にリアクションが取れない。
「まるでお前のオスの全てを濃縮したような…お前の事以外考えられなくなって、決して逆らえない絶対的な存在だと思わせる様なあの匂い…。あんなの嗅いだら、もうやめられねえよ♡」
そこで記憶が蘇る。確かに、三人でまぐわった布団の中は汗をかくほど熱く、鼻をつくほど濃い匂いがこもっていた。
「それをあの大きな布団の中にこもらせると…まるで全身の髪の毛一本ですらお前に包まれているような気分になってしあわせなのさ。」
「でも、なんだが加齢臭がいいと言われても…複雑だなあ。」
「いいじゃねえかよ。」
「え?」
「これから先、どんどんお前は俺を夢中にさせる体になっていくってことじゃねえか。」
そう言いながらあやめは押し倒した勲に馬乗りになって、真っ直ぐな瞳で見下ろしてくる。その眼は現在の勲を見ているような、年を経た勲を見ているような目だった。
「お前があの薬の様に老けるのにはどれくらい時間がかかるのか分からない。インキュバスだからな。」
あやめはすっと目を細め勲に囁きかける。
「その間にきっと子供が生まれたり、孫が生まれたりするんだろうな。」
「……。」
「そうなる未来を楽しみに、俺はお前をずぅっと愛する事が出来る…それはとっても幸せだろ?」
そう言って晴れやかに笑い、軽いキスを勲の頬に落とす。そして懇願するような目を向けながらあやめは質問する。
「勿論、それに付き合ってくれるよな?」
勲は答えを口にしなかった。
ただ、そっと手をのばして…愛しい妻を抱きしめたのだった。
今はそれだけで、二人の気持ちは通じ合えるような気がした。
13/12/13 21:27更新 / 松崎 ノス
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