第九記 -マンドラゴラ-
…どうぞ、と応えると、玄関戸が大きく開かれた。
「まいどーっ♪」
揉み手揉み手で部屋に入るポコさん。おにぎり握っているみたい。
椅子を引いて促し、コーヒーを出す。ハチミツミルクブレンド。
ふと、窓の方を見ると、来客が気になるのか、ももちゃんとドラちゃんが覗いていた。
「ええお家住んどりますなぁ〜。研究者サンのお家ってだけはありますわ」
どしん、と、家が僅かに揺れる程の大きな道具箱を降ろす。
中身は…武器や食料、薬瓶、おもちゃ、洗濯道具、服、他色々。
見える範囲でも、かなりの量と種類の商品があるのが分かる。
こんなスマートな身体なのに、どうやって持っているんだろう。
「さて、まずは〜…訪問販売についてやね」
ぴらり、と何かが書かれた紙を差し出される。
「今日はサービスですけど、次からは訪問の度にちょーっとだけお金を払ってもらいます〜」
「コースは、3日毎、1週間毎、2週間毎、1ヶ月毎とあるんですけど…」
「間隔が短いほど、その時に払うお金は安くなるんねんね」
「3日毎は、1ヶ月毎と比べて半額以下とすっごいお得!」
「で、どのコースにします?」
一読し…値段や、訪問日、訪問時間等を確認していく。
…そんなに買う予定もないし…額自体も気にならない値段。1ヶ月毎を選ぶ。
「はいはい。それじゃあ次回からは、毎月5日に来させて頂きます〜」
「あ、もし次回の都合が悪い時は、気軽に伝えてくれてかまへんですよ」
その時は料金もナシなんで、と言いながら、さらさらと書類を書き込んでいく。
私も忘れないように、手帳にメモ。
「…よしっ。さぁ、次は商売の話や!」
ずずいっ、と身を乗り出すポコさん。
「ポコ印は他の刑部にも無か商品もあると自負してます〜! 何がご入り用ですか!?」
前掛けからソロバンを取り出して、なんでも来いと言わんばかりのオーラ。
根っからの商売人なんだなぁ…と思って、笑ってしまう。
「おっ! お客さんの笑顔は100万G級やけど、あちきの笑顔は0Gで売りますさかい!」
にこーっ、と満面の笑みで返される。おちゃめさんだ。
「さぁさぁ、何がご入り用ですか!? そや、オススメ見てみますかっ?」
身を屈め、道具箱を漁り…とん、とん、とテーブルに商品が並べられていく。
「こちらは前お客さんにサービスであげた洗剤ですね。もう使いました?」
…洗剤だったんだ。飲まなくてよかった。
「バブルンワカメ配合で、強力な泡が汚れを落とす! 匂いもなかなかええですよ!」
「で、こっちはあの有名なGハンマーシリーズの新作、Gクラッシャー!」
「にっくき黒いアレを一瞬で潰し、魔力に変換するから、後始末も必要ありまへん!」
「前作と比べて打ち洩らしも少ない上、値段もほぼ同じ! こりゃ買うしかない!」
「それで、この隣のは光子力ランプいうて…」
ふと、あることを思い出し、説明を遮る。
「おや、何か心に来るものがありはったんですか?」
ちら、と窓の方を見る。まだ覗いている二人。
…ポコさんに、最近ドラちゃんの身体が小さくなってきていることを話した。
恐らく、土が合わないんじゃないかという、自分の考えも添えて。
前に、うーちゃんが教えてくれたことを覚えている。
我が家の周りには、魔除けの何かが埋められているということ。
「ははぁ〜…。あちきは単なる商人なんで、詳しい原因はさっぱりですけど…」
がさごそと、道具箱。
「こーゆーんは、ありますよ」
がばっ、と置かれる商品達。
「お客さん、マンドラゴラは全埋め? 腰下? 手足だけ?」
答える。手足だけ。
「じゃあ、こっちから全部はナシ」
ごそっ、と寄せられる非該当品。
「この『うぉーたー・わん!』はどないでしょう?」
「ウンディーネの湖の水に、ノームの魔力を混ぜたやつです。ちょい強すぎます?」
謳い文句が書いてある部分を指さしながら、渡してくれるポコさん。
…『あなたのアルラウネが愛Love根を張るでしょう! 股間に。キャッ★』…。
…首を振って、お返しする。
「それなら、こっちのはどないですか? 成長促進剤です」
…効能のところを読むと、しっかりとした説明が書かれており、
植物型の魔物の成長を助けるという旨がとても分かりやすい。
錠剤タイプで、イチゴ味も付いてるので飲みやすいともある。
頷いて、これを買うことを伝える。
「そですか! まいどっ! 80Gになります〜♪」
お財布から100G取り出し、渡す。
20Gのお釣り…と一緒に、何か白いものが詰まった瓶を、2つ、取り出すポコさん。
なんだろう。
「で、お釣りでこちらも買います? 1瓶10Gですけど」
こちら…と呼ばれる、謎の瓶。
中身は何なのか、尋ねる。
「へ? 何って、精液ですけど…。あっ、何産かですか?」
インキュバス産ですよ、と続く言葉。
…説明に、『錠剤を飲ませる際に、精液と一緒に飲むよう注意してください』とあった。
普通に読んでしまっていたけれど…うん、ポコさんから見る私は、確かにそう。
何も間違っていない反応だと思う。
………大丈夫です、とだけ、答えた。
「え…、でも、え? …じゃ、じゃあ、また必要な時に…」
不思議そうな顔をしながら、20Gを差し出し、瓶をしまうポコさん。
…買った方がいいとは、思う。そうすれば、こうなることもない。
でも、節約していかないと、また貧乏になったときに困る…。
………嘘。建前。
本当は、顔も知らない相手のあれを、ドラちゃんに飲んでほしくないだけだ。
ドラちゃんからすれば、たぶん、私のよりあっちのほうのが、全然良いんだと思う。
『精』とか…味とかの、面でも。商品になるくらいのものだから。
我が侭な考えで、ドラちゃんのためにならないほうを選んでいる。
…胸が、ちくんとした。
「それじゃ、また来月来ます〜! おおきに〜っ♪」
…飲み掛けのコーヒーに映る私は、少し、汚れている気がした。
……………
………
…
「ご主人様〜っ♪」
「ぁ…」
頭に抱きついてくるももちゃんと、こちらを見て微かに笑みを浮かべるドラちゃん。
耳の後ろをこちょこちょすると、ももちゃんは甘えた声で、また私を呼んだ。
ドラちゃんが、じっ…とこっちを見つめる。
「………」
…目の前に屈むと、ほんの少しだけ、ドラちゃんは身体を後ろへやった。
足は足首から完全に埋まっているから動かせないけれど、
手は普段埋めていない。ドラちゃん自身に任せてある。
手を埋めたい、出したいという時は、ももちゃんに頼むよう取り決めをしたのだ。
なので、こうしてある程度自由に動けるようになっている。
「………」
目を伏せるドラちゃん。慣れるまでもう少し掛かりそう。
常に一緒にいるももちゃんとは、もう大分打ち解けたみたいで、
たまに窓越しにふたりの話し声が聞こえてきたりする。うらやましいな。
「…!」
頭に触れると、びくっとなったけれど、そのまま撫でる。
わしゃわしゃと揺れる、頭の花。大きいけれど、やっぱり、小さくなってきている。
持ってきたジョウロの水を、足元辺りにかける。
「ドラちゃ〜ん、おいしい〜?」
私の頭におちちを乗せ、問いかけるももちゃん。少し重い。色々と。
「…♪」
答えはなかったけれど、お風呂に浸かった人みたいな顔になっていた。かわいい。
「…♪」
…水をかけ終わったら、薬を飲ませなきゃいけない。
そして今、やっぱり、後悔してきている。あれを買わなかったこと。
薬瓶に書かれた説明によると、特殊な保存をしていない限り、
出したばかりのものを与えないと、薬の効果が出にくくなるらしい。
それはあの時点で知っていたんだけれど…嫌っていう考えばかりにいって、忘れていた。
中身の入っていない、あの瓶だけを買えば済んだ話だったのに…。
「…♪ ………?」
…薬瓶を取り出し、ドラちゃんに見せる。
とまどうドラちゃんに、薬であることと、効能、それと…飲み方を説明する。
つぶらな瞳が、こちらに向けられる。
「お薬は嫌だけどぉ…、ドラちゃん、いいなぁ…」
私のほっぺを触わり、むにむにとこねるももちゃん。
…ももちゃんとはほぼ毎日なのに、まだ足りないのかな…。
困り事が、ひとつ増えた。
「………あの…」
か細い声。ドラちゃんの声。
「…ごしゅじんさま…」
…少し、びっくり。
初めて呼ばれたこともだけれど、その呼び方も。
ももちゃんのがうつったのだろうか。
「………」
…顔が赤い…。ドラちゃんも、やっぱり、恥ずかしいんだと思う。
「………」
と、ぽすん…と、私の身体に寄りかかるドラちゃん。
座ったままなので、前に突っ伏したような状態。
わっ、と声を上げるももちゃんと…私。
「……あ…ん…」
…私の、あそこの前で、小さな口がめいっぱい広がる。
触れた部分を通して伝わる…震え。目を閉じて、自分を誤魔化している。
「わぁぁ…♥」
ももちゃんが、溜め息にも似た声を出す。
…私も、口には出していないものの、胸の中はまさにそれだった。
身体の小さな…うーちゃんよりも幼く見えるドラちゃんが、
私の…男の子のを、おねだりして…顔を赤くしている…。
…う―ちゃん達の布教するものが、この一瞬で、ものすごく理解できた。
「…はっ……は…っ…」
口が開けっぱなしのせいで、苦しそうなドラちゃん。
それに気付いて、慌てて薬瓶をポケットにしまい、下着をずり下ろす。
ぽろん、と、顔を見せる、おおきくなった男の子のもの。
「っ!」
びくん、と、顎を引くドラちゃん。
頭の上から、大丈夫だよ〜、の声。
「………」
…おずおずと近付き、においを嗅ぐ。
…やっぱり、臭う、のかな。念入りに洗っていても…。
「………ぺろ…っ」
短い舌が、さきっぽを撫でる。
どきっ…としたけれど、身体が動かないように、我慢した。
動いたら、また恐がらせちゃうかもしれないから。
「ぺろ…、ぺちょ、ぺろっ……ぺろ……」
さきっぽの…同じ場所、出口のところを、何度も舌で撫ぜられる。
おまけに、すぐ慣れたのか…猫がミルクを飲むような勢いで舐めてくる。
「はふ…、ぺろ…、ぺちょ…ぺちょ……ぺろ…」
おつゆが出てくる…。半分は舐めとられて、もう半分は、垂れて土へ。
「ぺろっ…、ぺろ、ぺろ、ぺろ…、ぺちょぺちょ…」
…薄く目を開き、ドラちゃんがこちらを見る。
…恥ずかしい顔を見られている気がしたけれど…視線を、逸らせられなかった…。
「…ごしゅじんさま…」
私を呼ぶ声。
「……でます、か…?」
……もう少し、と答える。と、しゅん…としてしまうドラちゃん。
それを見て、ものすごく後悔した。
「ドラちゃん。ご主人様、きもちいいって〜♥」
すかさず入るフォロー。ドラちゃんの顔が上がる。
「ほらぁ…♥」
くちゅ…と、女の子の部分が開かれる。
それと同時に、垂れ落ちるもの…。びっくりして、咄嗟に両手で隠した。
「………」
それを、じっ…と見つめるドラちゃん。
………ふと、見つめ合う。
「…ごしゅじん、さま…♥」
―っ…!
…今までで、一番、いちばん、いっちばん、
かわいい…!という思いが…全身に響いた。
満面の…心から笑っている、ドラちゃん。
「……ぺろっ…、はふ、……ちゅ……ちゅぅぅ…っ♥」
舐める動作が…吸う動作に変わる。
…ずっと同じところを刺激され…感じ方が、少しずつ変わっていく…。
ひりひりした…じわじわした…痛みに似た、きもちよさ…。
……あの時…クノさんが針を刺した時の感じに…似ている。
「私も混ぜてぇ〜♥」
と、後ろから伸びた手が、今までほうったらかしになっていた部分に触れた。
ふに…とやわらかい、ももちゃんの指。身体が跳ねる。
ドラちゃんの邪魔にならないよう…、小さな動作、小さな刺激…。
「ちゅっ……はっ…♥ ごしゅじんさま…っ♥ んぅ……ぢゅるっ………ちゅぅ…♥♥」
「ご主人様…♥ きもちいいですかぁ…?♥」
上から…下から…こだまする、エッチな音と…エッチな声…。
…どんどん…あの感じが…こみあげてくる……。
「ぢゅるるるっ……んぐ、けほっ…、はふ、はふ…ぅ……ぢゅるっ…ぢゅぅぅぅっ♥♥♥」
「うわぁ…♥ ドラちゃん、すごぉい…♥」
………でる、って…うめいた…。
「っ! んっ……ぢゅっ、ぢゅるるっ、ちゅっ…ちゅぅぅぅぅぅ…っ…♥♥♥♥」
「ちゅぅぅ……っちゅ……ちゅ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅぅっ……ちゅ…♥♥♥♥」
「ちゅ……ちゅ……ちゅ……ちゅ……ちゅ……♥♥♥♥」
「うわぁぁ…♥ あはっ♥」
…おつゆ、まで……ぜんぶ、ぜんぶ…吸われていく…。
なくなっても…次のがあふれるたび、すぐに……。
「…あ♥ ご主人様……出す…♥」
「ちゅぅ…ぅぅぅぅぅっ♥♥♥♥♥」
ぜんぶ…―
「んぐぅっ!?♥♥♥♥♥ んぐっ……んぐ、んふ…ぅ…、ふ……っ…ふ…♥♥♥」
「ご主人様…かわいい…♥ 手の中で、ぶるぶる…ってしてますよぉ…♥」
「ふーっ……ん、ふっ………♥♥♥ …ちゅっ……んぐっ、ちゅっ……ちゅ…♥♥♥」
「耳までまっかっかぁ…♥ えへへ…♥」
………ちゅぷんっ、と、男の子のものから口が離れた。
しぼみつつあるそれを…ももちゃんの手が覆って、むにゅむにゅ刺激する。
…ぶるっ、てして……とろり、と、最後のしずくがこぼれた…。
「でたぁ…♥ …はむ……ちゅるっ、ごくっ…♥」
…けだるさが身体を重くする。ぼんやりとする世界…。
「…っ……っ」
…よろよろと…少しずつ、服を掴みながら…
互いの息が届く位置まで登り、顔を上げるドラちゃん。
…なんだろう…。口をすぼんで、苦しそう。
「…ふは…っ…♥」
………どろ、どろ。小さな口の中に…白い、どろどろ。
…少し涙目で…目の前で…吐息が届いて…こんな表情で……。
「んぐっ…?」
頬に両手を添え、顔を軽く持ち上げる。
「…んぅ…っ!?」
ちゅっ。
「んっ…♥ んっ♥ んぅぅ…♥」
ちゅっ。ちゅっ。ちゅっ。
「ん〜〜〜〜っ♥♥♥」
ちゅっ。ちゅっ。ちゅっ。ちゅーっ。
「…そういえば…ご主人様、お薬、いいんですかぁ…?」
はっ…と、我に返る。そうだ、薬。
というより、さっきのドラちゃんの行動って、薬待ちだったんじゃ…。
…どうしよう。勘違いにしても、すごい恥ずかしい返しをしてしまった。
……あぁ、違う、自分、思い出すのナシ。ナシだって! あぁ、もう、薬!
らん、ららららん、らん! かーえーるーのーうーたーがー! げこげこげーこっ!
「…♥ はふ…♥ はっ…♥」
………深呼吸し、落ち着いたと言い聞かせ、薬を取り出す。
蓋を開け、一粒。人差し指に乗せて…ドラちゃんの口に、ぽん、と入れた。
「ん……ごくっ、ごくっ……♥ はっ…♥ はぁ……ごくっ…♥」
何度か呼吸を挟みながら、口に溜めていたものと、薬を飲みこんでいくドラちゃん。
…錠剤一粒に対する量じゃないなぁ…と思った。自分のせいだけれど…。
「………♥」
…飲み終わったことを知らせるように、また口を開く。
唾液が糸を引いて……ぁ、嫌なこと思い出しそう。無心、無心。
頭を撫でて、お返事。
「…ぁ……」
と、何故か困ったような…何か、言い出しにくそうな顔をされる。
どうしたんだろう…。薬、イチゴ味じゃなかったのかな。
「ご主人様〜♪」
上を見る。
唇を尖らせ、ちょんちょん、と指でタッチ。
……げこげこげーこっ。げこげこげーこっ。
「………あ、あの…っ」
…頬に両手を添え、顔を軽く持ち上げる。
「!」
ちゅっ。
「…♥」
……………
………
…
「まいどーっ♪」
揉み手揉み手で部屋に入るポコさん。おにぎり握っているみたい。
椅子を引いて促し、コーヒーを出す。ハチミツミルクブレンド。
ふと、窓の方を見ると、来客が気になるのか、ももちゃんとドラちゃんが覗いていた。
「ええお家住んどりますなぁ〜。研究者サンのお家ってだけはありますわ」
どしん、と、家が僅かに揺れる程の大きな道具箱を降ろす。
中身は…武器や食料、薬瓶、おもちゃ、洗濯道具、服、他色々。
見える範囲でも、かなりの量と種類の商品があるのが分かる。
こんなスマートな身体なのに、どうやって持っているんだろう。
「さて、まずは〜…訪問販売についてやね」
ぴらり、と何かが書かれた紙を差し出される。
「今日はサービスですけど、次からは訪問の度にちょーっとだけお金を払ってもらいます〜」
「コースは、3日毎、1週間毎、2週間毎、1ヶ月毎とあるんですけど…」
「間隔が短いほど、その時に払うお金は安くなるんねんね」
「3日毎は、1ヶ月毎と比べて半額以下とすっごいお得!」
「で、どのコースにします?」
一読し…値段や、訪問日、訪問時間等を確認していく。
…そんなに買う予定もないし…額自体も気にならない値段。1ヶ月毎を選ぶ。
「はいはい。それじゃあ次回からは、毎月5日に来させて頂きます〜」
「あ、もし次回の都合が悪い時は、気軽に伝えてくれてかまへんですよ」
その時は料金もナシなんで、と言いながら、さらさらと書類を書き込んでいく。
私も忘れないように、手帳にメモ。
「…よしっ。さぁ、次は商売の話や!」
ずずいっ、と身を乗り出すポコさん。
「ポコ印は他の刑部にも無か商品もあると自負してます〜! 何がご入り用ですか!?」
前掛けからソロバンを取り出して、なんでも来いと言わんばかりのオーラ。
根っからの商売人なんだなぁ…と思って、笑ってしまう。
「おっ! お客さんの笑顔は100万G級やけど、あちきの笑顔は0Gで売りますさかい!」
にこーっ、と満面の笑みで返される。おちゃめさんだ。
「さぁさぁ、何がご入り用ですか!? そや、オススメ見てみますかっ?」
身を屈め、道具箱を漁り…とん、とん、とテーブルに商品が並べられていく。
「こちらは前お客さんにサービスであげた洗剤ですね。もう使いました?」
…洗剤だったんだ。飲まなくてよかった。
「バブルンワカメ配合で、強力な泡が汚れを落とす! 匂いもなかなかええですよ!」
「で、こっちはあの有名なGハンマーシリーズの新作、Gクラッシャー!」
「にっくき黒いアレを一瞬で潰し、魔力に変換するから、後始末も必要ありまへん!」
「前作と比べて打ち洩らしも少ない上、値段もほぼ同じ! こりゃ買うしかない!」
「それで、この隣のは光子力ランプいうて…」
ふと、あることを思い出し、説明を遮る。
「おや、何か心に来るものがありはったんですか?」
ちら、と窓の方を見る。まだ覗いている二人。
…ポコさんに、最近ドラちゃんの身体が小さくなってきていることを話した。
恐らく、土が合わないんじゃないかという、自分の考えも添えて。
前に、うーちゃんが教えてくれたことを覚えている。
我が家の周りには、魔除けの何かが埋められているということ。
「ははぁ〜…。あちきは単なる商人なんで、詳しい原因はさっぱりですけど…」
がさごそと、道具箱。
「こーゆーんは、ありますよ」
がばっ、と置かれる商品達。
「お客さん、マンドラゴラは全埋め? 腰下? 手足だけ?」
答える。手足だけ。
「じゃあ、こっちから全部はナシ」
ごそっ、と寄せられる非該当品。
「この『うぉーたー・わん!』はどないでしょう?」
「ウンディーネの湖の水に、ノームの魔力を混ぜたやつです。ちょい強すぎます?」
謳い文句が書いてある部分を指さしながら、渡してくれるポコさん。
…『あなたのアルラウネが愛Love根を張るでしょう! 股間に。キャッ★』…。
…首を振って、お返しする。
「それなら、こっちのはどないですか? 成長促進剤です」
…効能のところを読むと、しっかりとした説明が書かれており、
植物型の魔物の成長を助けるという旨がとても分かりやすい。
錠剤タイプで、イチゴ味も付いてるので飲みやすいともある。
頷いて、これを買うことを伝える。
「そですか! まいどっ! 80Gになります〜♪」
お財布から100G取り出し、渡す。
20Gのお釣り…と一緒に、何か白いものが詰まった瓶を、2つ、取り出すポコさん。
なんだろう。
「で、お釣りでこちらも買います? 1瓶10Gですけど」
こちら…と呼ばれる、謎の瓶。
中身は何なのか、尋ねる。
「へ? 何って、精液ですけど…。あっ、何産かですか?」
インキュバス産ですよ、と続く言葉。
…説明に、『錠剤を飲ませる際に、精液と一緒に飲むよう注意してください』とあった。
普通に読んでしまっていたけれど…うん、ポコさんから見る私は、確かにそう。
何も間違っていない反応だと思う。
………大丈夫です、とだけ、答えた。
「え…、でも、え? …じゃ、じゃあ、また必要な時に…」
不思議そうな顔をしながら、20Gを差し出し、瓶をしまうポコさん。
…買った方がいいとは、思う。そうすれば、こうなることもない。
でも、節約していかないと、また貧乏になったときに困る…。
………嘘。建前。
本当は、顔も知らない相手のあれを、ドラちゃんに飲んでほしくないだけだ。
ドラちゃんからすれば、たぶん、私のよりあっちのほうのが、全然良いんだと思う。
『精』とか…味とかの、面でも。商品になるくらいのものだから。
我が侭な考えで、ドラちゃんのためにならないほうを選んでいる。
…胸が、ちくんとした。
「それじゃ、また来月来ます〜! おおきに〜っ♪」
…飲み掛けのコーヒーに映る私は、少し、汚れている気がした。
……………
………
…
「ご主人様〜っ♪」
「ぁ…」
頭に抱きついてくるももちゃんと、こちらを見て微かに笑みを浮かべるドラちゃん。
耳の後ろをこちょこちょすると、ももちゃんは甘えた声で、また私を呼んだ。
ドラちゃんが、じっ…とこっちを見つめる。
「………」
…目の前に屈むと、ほんの少しだけ、ドラちゃんは身体を後ろへやった。
足は足首から完全に埋まっているから動かせないけれど、
手は普段埋めていない。ドラちゃん自身に任せてある。
手を埋めたい、出したいという時は、ももちゃんに頼むよう取り決めをしたのだ。
なので、こうしてある程度自由に動けるようになっている。
「………」
目を伏せるドラちゃん。慣れるまでもう少し掛かりそう。
常に一緒にいるももちゃんとは、もう大分打ち解けたみたいで、
たまに窓越しにふたりの話し声が聞こえてきたりする。うらやましいな。
「…!」
頭に触れると、びくっとなったけれど、そのまま撫でる。
わしゃわしゃと揺れる、頭の花。大きいけれど、やっぱり、小さくなってきている。
持ってきたジョウロの水を、足元辺りにかける。
「ドラちゃ〜ん、おいしい〜?」
私の頭におちちを乗せ、問いかけるももちゃん。少し重い。色々と。
「…♪」
答えはなかったけれど、お風呂に浸かった人みたいな顔になっていた。かわいい。
「…♪」
…水をかけ終わったら、薬を飲ませなきゃいけない。
そして今、やっぱり、後悔してきている。あれを買わなかったこと。
薬瓶に書かれた説明によると、特殊な保存をしていない限り、
出したばかりのものを与えないと、薬の効果が出にくくなるらしい。
それはあの時点で知っていたんだけれど…嫌っていう考えばかりにいって、忘れていた。
中身の入っていない、あの瓶だけを買えば済んだ話だったのに…。
「…♪ ………?」
…薬瓶を取り出し、ドラちゃんに見せる。
とまどうドラちゃんに、薬であることと、効能、それと…飲み方を説明する。
つぶらな瞳が、こちらに向けられる。
「お薬は嫌だけどぉ…、ドラちゃん、いいなぁ…」
私のほっぺを触わり、むにむにとこねるももちゃん。
…ももちゃんとはほぼ毎日なのに、まだ足りないのかな…。
困り事が、ひとつ増えた。
「………あの…」
か細い声。ドラちゃんの声。
「…ごしゅじんさま…」
…少し、びっくり。
初めて呼ばれたこともだけれど、その呼び方も。
ももちゃんのがうつったのだろうか。
「………」
…顔が赤い…。ドラちゃんも、やっぱり、恥ずかしいんだと思う。
「………」
と、ぽすん…と、私の身体に寄りかかるドラちゃん。
座ったままなので、前に突っ伏したような状態。
わっ、と声を上げるももちゃんと…私。
「……あ…ん…」
…私の、あそこの前で、小さな口がめいっぱい広がる。
触れた部分を通して伝わる…震え。目を閉じて、自分を誤魔化している。
「わぁぁ…♥」
ももちゃんが、溜め息にも似た声を出す。
…私も、口には出していないものの、胸の中はまさにそれだった。
身体の小さな…うーちゃんよりも幼く見えるドラちゃんが、
私の…男の子のを、おねだりして…顔を赤くしている…。
…う―ちゃん達の布教するものが、この一瞬で、ものすごく理解できた。
「…はっ……は…っ…」
口が開けっぱなしのせいで、苦しそうなドラちゃん。
それに気付いて、慌てて薬瓶をポケットにしまい、下着をずり下ろす。
ぽろん、と、顔を見せる、おおきくなった男の子のもの。
「っ!」
びくん、と、顎を引くドラちゃん。
頭の上から、大丈夫だよ〜、の声。
「………」
…おずおずと近付き、においを嗅ぐ。
…やっぱり、臭う、のかな。念入りに洗っていても…。
「………ぺろ…っ」
短い舌が、さきっぽを撫でる。
どきっ…としたけれど、身体が動かないように、我慢した。
動いたら、また恐がらせちゃうかもしれないから。
「ぺろ…、ぺちょ、ぺろっ……ぺろ……」
さきっぽの…同じ場所、出口のところを、何度も舌で撫ぜられる。
おまけに、すぐ慣れたのか…猫がミルクを飲むような勢いで舐めてくる。
「はふ…、ぺろ…、ぺちょ…ぺちょ……ぺろ…」
おつゆが出てくる…。半分は舐めとられて、もう半分は、垂れて土へ。
「ぺろっ…、ぺろ、ぺろ、ぺろ…、ぺちょぺちょ…」
…薄く目を開き、ドラちゃんがこちらを見る。
…恥ずかしい顔を見られている気がしたけれど…視線を、逸らせられなかった…。
「…ごしゅじんさま…」
私を呼ぶ声。
「……でます、か…?」
……もう少し、と答える。と、しゅん…としてしまうドラちゃん。
それを見て、ものすごく後悔した。
「ドラちゃん。ご主人様、きもちいいって〜♥」
すかさず入るフォロー。ドラちゃんの顔が上がる。
「ほらぁ…♥」
くちゅ…と、女の子の部分が開かれる。
それと同時に、垂れ落ちるもの…。びっくりして、咄嗟に両手で隠した。
「………」
それを、じっ…と見つめるドラちゃん。
………ふと、見つめ合う。
「…ごしゅじん、さま…♥」
―っ…!
…今までで、一番、いちばん、いっちばん、
かわいい…!という思いが…全身に響いた。
満面の…心から笑っている、ドラちゃん。
「……ぺろっ…、はふ、……ちゅ……ちゅぅぅ…っ♥」
舐める動作が…吸う動作に変わる。
…ずっと同じところを刺激され…感じ方が、少しずつ変わっていく…。
ひりひりした…じわじわした…痛みに似た、きもちよさ…。
……あの時…クノさんが針を刺した時の感じに…似ている。
「私も混ぜてぇ〜♥」
と、後ろから伸びた手が、今までほうったらかしになっていた部分に触れた。
ふに…とやわらかい、ももちゃんの指。身体が跳ねる。
ドラちゃんの邪魔にならないよう…、小さな動作、小さな刺激…。
「ちゅっ……はっ…♥ ごしゅじんさま…っ♥ んぅ……ぢゅるっ………ちゅぅ…♥♥」
「ご主人様…♥ きもちいいですかぁ…?♥」
上から…下から…こだまする、エッチな音と…エッチな声…。
…どんどん…あの感じが…こみあげてくる……。
「ぢゅるるるっ……んぐ、けほっ…、はふ、はふ…ぅ……ぢゅるっ…ぢゅぅぅぅっ♥♥♥」
「うわぁ…♥ ドラちゃん、すごぉい…♥」
………でる、って…うめいた…。
「っ! んっ……ぢゅっ、ぢゅるるっ、ちゅっ…ちゅぅぅぅぅぅ…っ…♥♥♥♥」
「ちゅぅぅ……っちゅ……ちゅ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅぅっ……ちゅ…♥♥♥♥」
「ちゅ……ちゅ……ちゅ……ちゅ……ちゅ……♥♥♥♥」
「うわぁぁ…♥ あはっ♥」
…おつゆ、まで……ぜんぶ、ぜんぶ…吸われていく…。
なくなっても…次のがあふれるたび、すぐに……。
「…あ♥ ご主人様……出す…♥」
「ちゅぅ…ぅぅぅぅぅっ♥♥♥♥♥」
ぜんぶ…―
「んぐぅっ!?♥♥♥♥♥ んぐっ……んぐ、んふ…ぅ…、ふ……っ…ふ…♥♥♥」
「ご主人様…かわいい…♥ 手の中で、ぶるぶる…ってしてますよぉ…♥」
「ふーっ……ん、ふっ………♥♥♥ …ちゅっ……んぐっ、ちゅっ……ちゅ…♥♥♥」
「耳までまっかっかぁ…♥ えへへ…♥」
………ちゅぷんっ、と、男の子のものから口が離れた。
しぼみつつあるそれを…ももちゃんの手が覆って、むにゅむにゅ刺激する。
…ぶるっ、てして……とろり、と、最後のしずくがこぼれた…。
「でたぁ…♥ …はむ……ちゅるっ、ごくっ…♥」
…けだるさが身体を重くする。ぼんやりとする世界…。
「…っ……っ」
…よろよろと…少しずつ、服を掴みながら…
互いの息が届く位置まで登り、顔を上げるドラちゃん。
…なんだろう…。口をすぼんで、苦しそう。
「…ふは…っ…♥」
………どろ、どろ。小さな口の中に…白い、どろどろ。
…少し涙目で…目の前で…吐息が届いて…こんな表情で……。
「んぐっ…?」
頬に両手を添え、顔を軽く持ち上げる。
「…んぅ…っ!?」
ちゅっ。
「んっ…♥ んっ♥ んぅぅ…♥」
ちゅっ。ちゅっ。ちゅっ。
「ん〜〜〜〜っ♥♥♥」
ちゅっ。ちゅっ。ちゅっ。ちゅーっ。
「…そういえば…ご主人様、お薬、いいんですかぁ…?」
はっ…と、我に返る。そうだ、薬。
というより、さっきのドラちゃんの行動って、薬待ちだったんじゃ…。
…どうしよう。勘違いにしても、すごい恥ずかしい返しをしてしまった。
……あぁ、違う、自分、思い出すのナシ。ナシだって! あぁ、もう、薬!
らん、ららららん、らん! かーえーるーのーうーたーがー! げこげこげーこっ!
「…♥ はふ…♥ はっ…♥」
………深呼吸し、落ち着いたと言い聞かせ、薬を取り出す。
蓋を開け、一粒。人差し指に乗せて…ドラちゃんの口に、ぽん、と入れた。
「ん……ごくっ、ごくっ……♥ はっ…♥ はぁ……ごくっ…♥」
何度か呼吸を挟みながら、口に溜めていたものと、薬を飲みこんでいくドラちゃん。
…錠剤一粒に対する量じゃないなぁ…と思った。自分のせいだけれど…。
「………♥」
…飲み終わったことを知らせるように、また口を開く。
唾液が糸を引いて……ぁ、嫌なこと思い出しそう。無心、無心。
頭を撫でて、お返事。
「…ぁ……」
と、何故か困ったような…何か、言い出しにくそうな顔をされる。
どうしたんだろう…。薬、イチゴ味じゃなかったのかな。
「ご主人様〜♪」
上を見る。
唇を尖らせ、ちょんちょん、と指でタッチ。
……げこげこげーこっ。げこげこげーこっ。
「………あ、あの…っ」
…頬に両手を添え、顔を軽く持ち上げる。
「!」
ちゅっ。
「…♥」
……………
………
…
12/03/09 00:10更新 / コジコジ
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