連載小説
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後編

 二日目になると目覚めもスムーズだった。
時計を見ると針は午前七時を指している、布団から起きだしてそういえば、と思い出す。
(辰っつぁん泊ってるんだっけか……もう起きてるかな?)
辰が寝ている場所は拓馬の部屋のすぐ隣にある。
ふすまを開けると朝の清涼な空気と共にちゅんちゅんと雀の声が聞こえる。
廊下に顔を出して隣を見やるとふすまは開いていない、まだ寝ているのだろうか。
(……起こしてやろうかな)
昨晩の事を考えると少々顔を合わせるのが気まずいがいつまでもこそこそしている訳にもいかない。いっそ朝一番に挨拶でもしてまおうと考えたのだ。
念の為にふすまをとんとんと叩いてみるが返事はない、起き出してもういないのかまだ寝ているのか。
女性の寝起きを見てはいけないとかそういう気遣いは思い浮かばなかった、そういった意味ではやはり魅力を感じていてもまだ昔の友達感覚が抜けていなかったと言える。
「辰っつぁん?」
よって拓馬は声をかけながら無遠慮にふすまを開けた。
「えっ」
そしてぴたりと動きを止めた。部屋の中の光景に頭の理解が追い付かなかったからだ。
辰はまだ寝ていた。敷いてある布団は盛り上がっており、呼吸に合わせてゆっくり上下している。枕側には広がる黒髪が見える。
そこまではいい、問題は布団の足側だ。
本来足が治まっているべきその布団からはなにか長大なものがはみ出て畳の上にのたうっている。
表面は鮮やかな緑色の鱗らしきもので覆われており、背筋(?)にあたる部分にはふさふさとした獣毛のようなものが一列生え揃っている。
巨大な蛇の胴体とでも言えばいいだろうか。
(……何してんだろう辰っつぁん)
まず拓馬が考えたのはどうしてそんなものを履いて寝ているのだろう、と言う事だ。辰がお祭りかなにかに使う大きな着ぐるみを下半身に履いて寝ているのだと考えた。
「ん……」
しかしその考えも布団の中の辰が身じろぎをした瞬間に否定される。身じろぎに合わせてその蛇のような胴体がぞろり、と動いたのだ。
明らかに尾の先にまで神経の通った動き、生き物の動きだ。断じて作り物ではない。
「拓馬」
「ぅぉうっ!?お袋!?」
思考停止状態に追いやられている拓馬に突然背後から声が掛けられた、母だ。
「ばかたれっ、ちょお出とき!」
そう言うと有無を言わさず部屋から拓馬を押し出し、ぴしゃりとふすまを閉めてしまう。
(辰さ……!ちょ……!起き……!……!)
閉められたふすまの奥からなにやらどたどたと慌ただしい様子が伝わって来る、拓馬は廊下でただ呆然とふすまを見つめるしかない。
暫くの間の後、ふすまが開けられた。
えらく怒り顔の母とまだ寝ぼけ眼の辰が立っている。当然、辰には普通に足が生えている。
後の部屋の中を見てみても先程の蛇の胴体らしき物は見当たらない。脱いだ訳ではないようだ。
あんなに大きな物体がこの短時間に何処へ消えてしまったのか?
?マークで頭を一杯にしていると唐突にすぱーんと母に頭をはたかれた。母は怒る時には割と手が出る、この感覚もかなり久しぶりだ。
「あかんとよ拓馬ぁ、女の子の寝起きば遠慮もなしに覗きよってからにぃ、昔と違うば言うたんは拓馬やろお?」
「……ほうやほうや……デリカシーなかと……」
「……あ、ああ、ごめん」
腰に手を当てて怒る母とどうみてもまだ半眠り状態の辰に責められて拓馬は疑問を挟む間もなく謝る事になる。
「これからは気ぃつけんばいかんとよ?」
「……ほうやほうや……」
ゆび指して言われると平身低頭するしかない、辰の方はふらふらしながら母に合わせているだけのように見える、血圧は低いらしい。







拓馬は居間で座り込んで考えていた。両親は仕事に行き、辰からの遊びへの誘いも今日は断った。
昨日のように仕事の事について思い詰めている訳ではない、拓馬の頭を悩ませているのは辰の事だ。
あの後今朝の出来事を繰り返し思い出してみても結局あれが何だったのかが全くわからない、突き詰めて考えると自分の幻覚だか錯覚だったという結論が一番自然な気がする。
しかしそこで辰について考えているうちに色々な疑問が同時に沸いて来たのだ。
(……何も知らない、俺は辰っつぁんの事を何も)
昔から気心知れた仲のつもりだったが、改めて考えてみると辰が自分の家に泊まる事はあってもその逆はない。また、辰と遊ぶ時は場所を指定して落ち合うか辰が拓馬の家を訪れるかのどちらかだ。
つまり、辰の住んでいる家を拓馬は見た事がないし聞いた事もない。
会話の中でプライベートに突っ込んだ話題が出た記憶も無い、両親は誰なのか、何の仕事をしているのか。
いない事は無い筈だ、何しろ辰と知り合ったのは小学校だったのだから学費が何処からか出ているはずだ。
(そういえば……)
芋づる式に疑問が湧いて出る、ずっと昔からそうだったから気にならなかったが、今になってみて違和感を感じるのが両親含めた大人達の辰に対する敬称だ。
「辰さん」
そう呼ばれている、記憶にある限り小学生くらいの頃からそうだったのだ、余所の子供に対してさん付けというのは少々不自然ではないだろうか。
両親だけではなく、地元の人間ならば例外なく辰は敬称を付けて呼ばれる。
(そう、そうだ、様を付けられているのを聞いた事もある)
小学校に入学した頃に担任の教師が辰の事を様付けで呼んだ事があるのだ、ついうっかりという感じで。
一時期辰のあだ名が「タツサマ」になったのを覚えている。
拓馬はごくりと喉を鳴らした、全てを照らし合わせて考えてみると、辰はこの村において何か特別な存在ではないのかという気がしてくる。
それに何より今朝見たあの……。
(幻覚じゃない、何の前触れも無くあんなにはっきりと幻覚が見えたならまず俺が精神科にでもかかるべきだ)
それにあの時の母の態度も気に掛る、確かに急に起こしに行ったのはよくなかったかもしれないが、怒る事で何か誤魔化されたような感じもする。
拓馬はがりがりと頭を掻いた。
あれこれと考えたが、疑問の答えを出すのは簡単だ。聞けばいいのだ、辰にでも両親にでも。
何処に住んでいるのか?親はどうしているのか?どうして敬称を付けて呼ばれているのか?
拓馬は立ち上がった。
聞こう、それしかない。
案外全て自分の頭の中で事象を大きくしているだけかもしれない。
住所や親の事は本当にたまたま聞く機会が無かっただけで、敬称で呼ばれるのは愛称みたいなもので、今朝見た物は……。
(やっぱり寝ぼけてた、とか……)
拓馬は部屋着から着替えると表へ出た。







「辰っつぁん」
しばらく周辺を捜した後に海岸で辰の姿を見かけた拓馬は声を掛ける。
岩の上で海を眺めていたらしい辰は拓馬の方を振り返るが、すぐに海に視線を戻す。
「なんば用ね?」
(あれ?)
素っ気ない返答に違和感を感じる。
「いや、用っていうか……」
「別に無理して構ってくれんでもよかね……」
そう言って辰は足元の石を海に向かって蹴る。
(うわあ、拗ねてる、子供だ本当に)
どうやら遊びに行くのを断られたのを根に持っているらしい。とりあえず横に並んで立とうとするがすすっと微妙に距離を取られる。
(め、面倒臭え)
内心ぼやきながらもなんとか会話をしようとする。
「な、なぁ、辰っつぁん、聞きたいんだけどさ」
「……おぃ?」
「辰っつぁんは今何してるの」
「なにか?」
「いや、仕事とか……」
「専業主婦」
「……は?」
辰はぐぐっと腕を組んで伸びをして背筋をぽきぽきいわせる。
「んー……たくちゃんが出て行った後地元の漁師の人とお見合いばしてのう、もう結婚ばしとうとよ」
「…………あ…………ああ、そう」
拓馬は頭を殴られたような衝撃を受ける、確かに結婚していてもおかしい事はない、まだ若いとはいえこの地元では既に適齢期だ。
「よか人よ?会ってみん?」
「……い……いや……いいよ……」
ぐらぐらと地面が揺れるような錯覚を覚える、物凄いショックだ、そんなにショックを受けている自分にびっくりするくらいにショックだ。
ここに来て鮮やかに感じられていた全ての景色の色がたちまち褪せて行くような感覚だ。
「うそ」
「………は?」
「う・そ」
俯いていた拓馬の顔を覗き上げるようにして辰が悪戯気な目を光らせていた。
「…………おまっっ!」
「あはははははっ、なんねぇ、そげん驚いたと?ショックやったと?そげんおれが他の男のもんになるのが嫌かあ?」
「そ、そういう訳じゃ」
「この世の終わりかごたる表情ばしとったとね?あっはははははは!」
腹を抱えてけらけら笑う辰、拓馬はショックを受けた余韻でぐったりする。
「もーお、もし結婚ばしとったら他の男とうろついたりばせんとよ、おれはそげん軽薄な女やなか」
拓馬の肩をぴしゃぴしゃ叩きながら辰は笑う、方法はあれだがとりあえず機嫌は直ったらしいのを見て拓馬はほっとする。
「驚かすなよもう……いや、マジな話何してんの?実はニート?」
「失礼な事ばいいよるねえ、ちゃんと働いとうとよ」
「ふうん?」
「ま、普段は海女(あま)の真似事のような事ばしとるね」
確かに辰程泳ぎや潜水に長けていればうってつけかもしれない。
「へーえ、儲かるの?」
「ぜーんぜん、ま、本職ば違うけんね」
「えっ、本職って何?」
「……うーん」
辰は崖の上で足をぶらぶらさせながら悩み顔になる、危なっかしい。
「なーん説明すりゃええもんか……まぁ、巫女さんば言うたら近いかね」
「巫女さん……?見えねえ、大体巫女さんってのは黒髪の大和撫子が相場であって辰っつぁんのような海女さんがやれるような職業では」
「ええ崖やねえここ、飛び降り甲斐ばありそうやね」
「ごめんなさい」
迅速に謝罪をする。
「しかし巫女さんって……ここいらに神社とかあったっけ?」
「う……ん、神社とかやなかけん……」
辰は目線をうろうろと彷徨わせる。
「ひょっとして実家がそれ系?あ、そうそう、辰っつぁんってさ、どこに住んでんの?」
「どこって……ここばきまっとぉね」
「いや、地域じゃなくて住んでる家よ、昔っから行った事ないけどさ」
「あー……秘密、秘密やけん」
「何で?」
「何ででも」
「ふうん」
「もお、詮索ばっかばやめんね、こまい男ば嫌われよっとよ」
「じゃあさ、最後に聞いていい?」
「なんば?」
「辰っつぁんって人間?」
「……」
辰は顔を逸らす。
「なんばいいよんね……」
「向こうで辰っつぁんの事話した事があってさ……」
田舎で仲の良かった幼馴染の事を話題にしたのは会社の同僚と飲みに行った時だった。
その時に辰の潜水能力について「十分くらい息継ぎ無しで泳いでた」と言った所、同僚は苦笑いと共にこう言った。
「そりゃあ思い出補正だろ、素潜り十分とかフリーダイビングの世界記録とかそんなんだぞ」
こう言われたものだからそれなら自分の記憶違いなのだろう、と思っていた。
しかし昨日、辰と泳いだ時の事を思い返してみると「三回」だった。
何が三回かというと辰の息継ぎの回数がだ。
時計で確認したから正確に覚えているが最低でも二時間は泳いで遊んでいた。その二時間の間にした息継ぎの回数が三回。
最低でも四十分息が続かなければいけない計算になる。しかもじっと浮いている訳ではなく泳ぎ回りながらである。
明らかに人間の心肺機能の限界を超えている。
「あ、それとさ……今朝辰っつぁん起こしに行った時……」
「やめんね」
拓馬から顔を逸らしたまま辰が言う、固い声だ。
「それ以上言うと取り返しばつかんなるとよ」
辰はこちらに向き直る。
拓馬はあの時……辰が一緒に職場に行った時の事を思い出した。
上司は辰の顔を見て真っ青になっていた、その理由が分かった気がした。こちらを見た瞬間辰の目が人間とは思えない黄色みがかった光を放ったのだ。
その上瞳孔が縦に裂けた形状になったように見える。しかしそんな変化より何より身に纏う気配が一変していた。
檻を隔てずに猛獣と対峙すればこんな感覚だろうか、いや、猛獣と言うよりももっと大きく、偉大な物と向かい合ったような……。
拓馬はしかし目を逸らさなかった。その辰の目をじっと見返す。
「そんな風に目を光らせたって俺はびびらねえぞたっつぁん」
辰はその言葉に驚いた顔になるが、すぐに俯く。
その途端、ずい、と辰の身体が上に持ち上がる。
一瞬、辰が立ち上がったのかと思ったが違った。辰は体勢を変えていない。
下半身が見る見る変形していくのだ、CGか何かのように質量保存の法則を完全に無視した動きで。腰が伸びて行く、二本だった足が一つになり、ずいずいと伸びて行く。
とうとう着ていたジーンズがばりばりと音を立てて裂け、腰に纏わりつく布切れと化す。
気付いた時には巨大な蛇のような胴体が拓馬の前でとぐろを巻いていた。陽光に緑の鱗がきらきらと輝く。
「これでもかぁ?」
上空から辰の声が振って来る。何時の間にかその両腕は爬虫類を思わせる鱗を纏い。指も四本指になり、恐ろしく鋭そうな爪を生やしている。頭部の両脇からは一対の角まで生えている。
完全に人の姿を捨てた辰は威嚇するように瞳を爛々と輝かせる。
拓馬は辰から目を逸らさないまま立ち上がった。
「そんな風にデカくなったって俺はびびらねえぞたっつぁん」
辰も今度こそきょとん、とした表情になる。
「嘘ばいうたら……怖かろうよ?」
「嘘じゃねえよ、こわかねえよ」
「こげな……こげな化け物がごたる姿見て、怖がらん人間ばおらんと」
「たっつぁんは化け物じゃねえよ」
「……」
「びびってるのはたっつぁんの方じゃないのか」
「……」
「俺にその姿見せるのが怖かったんじゃないのか?なあ、」
「……」
「怖くねえよ、たっつぁん」
本当は怖くない事はない、当然だ、急に目の前に今までの常識を根底から覆すような存在が現れたのだ。正直、足が震えている。
しかし拓馬は怖がるそぶりを見せなかった、辰が自分よりももっともっと怖がっているのがわかったから。
だから、気を失いそうになりながらも「怖くない」と言い切った。
「……」
辰は長い事黙り込んでいた。黙って拓馬を見つめている。
ぽつ、ぽつ、ぽつ、
不意に、拓馬の肩に水滴が落ちて来た。雨だ。先程まで快晴だったはずの空がいつの間にか真っ黒な曇り空に変わっている。
ぽたっ
また、拓馬の頬に水滴が落ちる。今度は雨ではない、熱い水滴だった。
「う……うぇ……」
ぽつぽつぽつぽつ
「ふぅぅぅぇぇぇぇ……」
さぁぁぁぁ……
「ぇっ……ぇぅっ……ぅぐっ……」
ざぁぁぁぁぁぁ
「うええええええええ……えっえっえっ……うわああああああああああ」
ざぁぁぁああああああああ
空と辰が同時に泣き出した。
拓馬は辰に近付いて抱き締めてやろうと思った、が、目の前にあるのは蛇の胴体だ。
ちょっと戸惑ったが、その白い腹の部分をぽんぽんと叩いてやる。
と、突然辰の上半身が上から覆い被さって来た。鱗に覆われた手で抱き締めて来る、思ったより痛くはない。それより身体の前面に感じる柔らかさに気を取られる。
「うわああああああんあーーーーーーんあーーーーーん」
辰は完全に子供泣きだ、そう言えば泣いた所は初めて見る。
拓馬は背中に手を回してぽんぽんと叩いてやる。
二人は雨と涙でずぶ濡れになりながら抱き合った。







「ぐすん……ぐすん……」
どのくらいそうしていたのか、やがて辰が泣き止むと雨も合わせて上がって行った。
辰の背中越しに空を見上げてみると虹がかかっているのが見えた。
「ごめんよう」
辰が抱き付いたまま言う。
「何が」
「ずっとずっと騙しとったと……」
「騙されたなんて思ってないよ」
「うう……」
辰が抱擁を解いて顔を見せた。涙でくしゃくしゃだがそんな顔も綺麗に見えた。
「たくちゃん優しかぁ……ううー……」
「あーはいはい、泣くなってもう……また雨が降るだろ……」
何となくそんな気がした。
「ぐすん」
「なあ、教えてくれるか?」
「おぃ……?」
「たっつぁんの事」
「うん……」
ぽつりぽつりと話してくれた内容を纏めてみるとこうだ。
辰は代々この村を護って来た龍の一族だったという、その一族は村を護る代償に一代に一人、村から婿を取っていた。
本来は拓馬が龍の婿になる筈だった。だから幼い頃から辰と接するようにしてきたのだ。
「俺、普通に止められる事無く村出たんだけど……」
「……おれから頼んだと」
「俺と結婚するのは嫌だった?」
辰はぶんぶんと頭を振った。
「たくちゃんいっつも言うとったばい……こげん村ば大人になったらすぐ出ていったる、て」
言われてみれば確かに昔からこの村を出たい出たいと言い続けていた気がする、まあ、出た結果がああだった訳だが。
「おれはこの村ば離れられん、婿ばなったら村に住まんといかんばい……たくちゃんの事ば縛りとうなかったと……」
「それを抜きにしたら?」
「おい?」
「たっつぁんはどう思ってたの、俺との事」
「……本当は……」
辰はごつい指先をくるくると触れ合わせて顔を真っ赤にする。
「行かせとうなかったとよ……」
「そうか、わかった」
「おい?」
「もう行かないよ……いや、たっつぁんとの事だけでなしにさ、やっぱ俺はここが一番だよ、向こうはもうこーり懲りだ」
拓馬はぐぐっと背筋を伸ばす。
「ここのゆるーいリズムが合ってるんだな、うん、ついでにたっつぁんもいるし」
「おれはついでかよう?」
「ついでついで」
「うふふ、言いよったなあ」
ようやく辰に笑顔が戻ったのを見て拓馬は内心ほっとする。やはり辰には笑っていて欲しい。
「ま、どっちばしろもうこれからは我慢ばせん事に決めたけんねえ」
「我慢?」
辰はにこにこ笑ってこちらを見ている……いつも通りの笑顔なのだが、何故だか怖い。
「折角逃がしてやったとにぃ……のーこのこ戻って来よった婿ばもう逃さんとよ」
「……ああ、大丈夫だ、もう行かないよ、行かないから何か……その顔怖いからやめて、あと、包囲しないで」
気が付くと身体の回りを辰の太い蛇腹がぐるりと取り囲んでいる、輪を縮めれば巻き付ける状態だ。
「うへへへ……」
「怖いよこの龍……」
13/05/19 00:28更新 / 雑兵
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■作者メッセージ
やっぱり三部に収まらんなあ・・・エロは次の完結編ですはい。

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