連載小説
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完結編
 「坊や〜よい子だねんねしな♪」
「……」
「い〜まも昔もかわりなく〜♪」
「……」
「ふ〜んふーんふーんふーんふーんふーんふーんふふふふふ〜ん」
「そっからわからんかい……」
「いやあ、嬉しいよ辰っつぁん、長年の夢が叶った」
「絶対嘘ばい」
拓馬は風を一身に受けながら上機嫌だ。そんな拓馬を見て辰も「重か」などと愚痴りつつも満更でない様子だ。
眼下に広がるのは拓馬の家、いつも二人が行く海岸、そこから道路で繋がる「ツギ屋」から商店街まで全てが一望できる。
そう、拓馬は辰の背にしがみついて空を飛んでいるのだった。
相当な高度なので本来なら生身で上がると気圧やら空気やら色々大変なのだろうが、そこは辰の魔力だか術だかの都合のいい力で快適に保つ事ができるらしい。
辰の正体を知った後、空を飛べるのだと知った時に真っ先に思い浮かんだ事がこれだった。
人一人を支えて飛ぶ事が出来るかどうかだけが懸念だったが、辰は拓馬一人の重さを屁とも思わず飛んでいる様子だ。
「着水しようぜ着水!」
「またかぁ?」
「いいからいいからレッツゴーだほれ」
「ほいほい」
「着水」をするのはもう五回目なのだが、拓馬の子供のように輝く目を見て辰は苦笑を浮かべてすっと頭を下げる。
風を受ける凧のように空を泳いでいた辰の身体が海に向けて急角度を描く、重力が失せ、全身の血が浮き上がる。風がびりびりと肌を撫で、髪の毛が逆立つ。
「うひょおおおおおおおタマヒュン!」
「喋ると舌ば噛むぞぉ!」
勢いを保ったまま辰は海面に一気に突っ込んだ。
大きな水柱が上がり、二人は空の世界から水の世界に突入する、白い泡を抜けると魚の群れが一斉に道を開ける。視界の下を珊瑚礁が走り抜ける。
空を飛ぶなら飛行機で出来る、水中を行くなら潜水服で出来る、しかし何の器材も身に付けずに空中散歩から潜水にダイレクトに移行するなんて経験は出来るものではないだろう。
「いよぉーーーーーはっはっはっはぁーーーーー!」
拓馬は歓声を上げる、何回やっても飽きない。ちなみに水中でも喋れる事に気付いたのは三回目の着水の時だ、どういう原理なんだかは全然わからないが。
そうしてひとしきり海中を疾走した後、また水面に見える太陽に向けて頭を上げる。
海面を突き破り、水しぶきを纏ってまた空に昇る。
「いやあ、癖になる」
「おれはそろそろ疲れてきたばい」
「じゃあ、降りるか、ありがとうよ辰っつぁん」
「まあ、これくらいお安い御用ばい」
そう言って、辰は速度を緩めて高度を下げて行く。
「くまの子みていたかくれんぼ♪お尻を出した子いっとうしょう♪」
「それ、龍ば関係なかと」
「セットで思い出すんだよ」







「おう」
「ん」
拓馬は辰からの手酌を受ける。
家に帰った二人はちゃぶ台を挟んで杯を交わしていた。
ちゃぶ台の上には焼いた魚や茹でてあく抜きをした山菜、網で焼いたサザエやはまぐりなどが並べられている。
殆どは二人が手で採ったり獲ったりしたものだ。
きゅうっと猪口を傾けて辰はうまそうに目を細める、拓馬もならって傾けるとしつこくない米の甘味と同時にさらりとした熱さが喉を滑り降りた。
うまい。
あの出来事から一週が経過した。
辰の正体を知った拓馬はその日のうちに両親にその事を報告し、この村に留まる旨を伝えた。
それはつまり、辰の正体を知った上で結婚を前提としたお付き合いをするという事だ。
両親含めた村の人々は特に驚くでもなくその報告を受け入れた。両親曰く時間の問題だろうと思っていたそうだ。
しかしそんな風に二人の関係が変化した後も付き合い方が変わったかと言うとそうでもなく、やはり二人は昔から変わらない友達のような関係でありつづけていた。
変わった事といえば、同棲を始めた事だ。
報告を聞いた村の人々は二人の為に一軒の空き家を用意してくれたのだ。
拓馬はそこまでしてもらっては、と遠慮しようとしたが龍神様の伴侶が決まったらそういう風にする決まりらしい。
よって今二人が酒盛りをしている家は二人だけが住む家だ。
龍神の住む家といっても少しばかり敷地が大きい以外は他の家とそう大きな違いがある訳ではなく、昔ながらの日本家屋だ。
「うまかぁ」
「いい酒だなぁ、何てやつ?」
「特に銘はなか、この村で作られとうもんばい」
確かに酒の入った瓶には何のラベルも貼られていない。
「特産品にしようぜこれ、売れるぞ」
「そげんやがらさんに作れんとね、それに本当にいいもんば……へへ、秘密ばしときたいとね」
「意地汚ねぇ神様だなおい」
辰は素知らぬ顔で空になった猪口をまた透明な液体で満たすと口を付ける。
「なあ」
「おい?」
「ここは広いんだからもっとくつろいだらどうよ」
「……ん」
辰はかちゃ、と履いているズボンのベルトを外す。
「ばっ、待て、急に脱ぐなって」
拓馬が慌てて後ろを向くと、ごそごそと衣ずれの音がした後にぞろぞろぞろと何か畳の上を大きな物が這うような音がした。
「ふうい」
拓馬が向き直ると辰は長い龍の胴体を畳の上にのたくらせていた。
「やっぱり落ち着くとね」
そう言って自分の胴体に肘をついてまたくい、と杯を傾ける。
そうして酒を飲んでいる所を見るとやはり神様、という感じがする。お供え物に手を付ける行儀の悪い神だが。
「……なあ、辰っつぁん」
「おい」
「俺はその……辰っつぁんと結婚するんだよな?」
そう言うとほのかに色付いていた頬をより赤めながら辰はこりこりと鼻頭を掻いた。
「ん……たくちゃんそう言うてくれたとね……」
「お、おう」
「心変わりばしたと……?」
「いやいやいやそんなこたぁない」
その目に微かに不安の色を浮かべた辰に慌てて言う。未だに自分の容姿に対するコンプレックスが抜けきらない辰は時折こうして弱気になる。
「結婚はするよ、間違いなく……だけどその、その時に結局俺って……」
「?」
「仕事は何をしたらいいんだ?」
「仕事?」
「ここに来て随分遊んで暮さしてもらってるんだが、そろそろ再就職考えんといかんと思ってさ、結婚するんだし、でもここは離れられないだろ?」
辰はくすくすと笑う。
「たくちゃんは真面目やねえ」
「んなこたぁねえよ」
「ふふ……まあ、神主やね」
「神主?」
「おれは神さんやけん、その婿ば神主になると」
「……具体的に何する仕事なんだ神主って」
「神主の仕事ば神さんの世話に決まっとぉとよ」
「辰っつぁんの世話って……」
「へへ、頑張ってもらうとよ……ほれ、冷めてまうど?」
何となく仕事内容はうやむやにしたまま二人は料理に手を付け、杯を進めた。







「んへへへぇ……」
「辰っつぁん、飲みすぎじゃね?」
「んな事なかよ」
そうは言っているがその顔は随分赤らんでおり、終始へらへらとした笑顔だ。龍の尾もゆらゆらと揺れている。
「ったく……酔っぱらい龍め、明日に響いても知らねえぞ」
「んへへ、龍だけに「うわばみ」ばい、こんくらい酔っとるうちに入らんと、たくちゃんこそ酔っとらんと?」
「……回ってるよ、俺は顔に出ないらしいけど」
事実、徐々に頭の回転が鈍って来ているのがわかる。
「……つまみ無くなっちまったな、何か他に……」
「よか」
立ち上がろうとした拓馬を辰は四本指の龍の手で制する、そしてその手でちょいちょいと手招きをする。
「こっち来んね」
「……何だよ」
「ええから」
拓馬は若干怪しい足取りで辰の元に歩み寄る。
「ほれ、ほれ、近う寄れ」
「お前は悪代官か……」
言いながらもさらに近付くとその拓馬の周囲をずるりと胴体が囲む。逃げ場が無い。
辰はぐい、と杯を空にするとそれをちゃぶ台に置き、大きなその手で拓馬の肩を掴んで力強く引き寄せた。
「んむ」
「ふむぅ」
何の予告も前触れも無く唇を奪った、拓馬も抵抗するでもなく無防備にされるがままになる。
酒の味がする。それに混じって何か米とはまた違う甘みを感じる、辰の味だろうか。
「んんふ、んふぅ」
辰は目を閉じない、目で笑っている。拓馬はむっつりとした目でそれを受ける。
「ぷは」
「……何だいきなり……」
「たくちゃんの仕事ば神への奉仕ばい、たんと奉仕してもらうけんね……」
「……そう言う意味なんかい」
「そういう意味ばい、文句あっとか?」
「無い、無いんだが……その……」
「うん?」
拓馬は視線を下に持って行く、辰の胴体、人間部分と龍の部分の丁度境目のあたりを見る。
「どうやってやったらいいんだ……?地味にずっと悩んでたんだが……」
何しろ身体の構造がよくわからないので性的な事象をいかに遂行するべきか、という事をずっと拓馬は悩んでいたのだった。
「あは、見とかんばい……」
辰は笑うと、そっと人間でいう股間部分に当たる箇所に手をやる。
くちゃ
なだらかな蛇腹の部分と引き締まった人間の腹部の境目から手をどけるとそこには一筋の割れ目があった、それはどう見ても……。
「おおおう」
思わず変な声を上げてしまう拓馬に辰は真っ赤になってすぐにその部分を隠してしまう。
「ちょ、待って、よく見して」
「あほお」
覗き込もうとする拓馬の頭をぱしんと叩くと辰は腰を引いて隠してしまう。
「そうか、する方法は人間と変わらないんだな……安心した、うわっ!?」
そう言った拓馬の身体が突然龍の胴体に巻き付かれる。
いつも飛ぶときにしがみつかせてもらっているがこれほど全身で密着されたのは初めてだ。
太く、逞しい胴体は温かく、腹の部分は人肌のような感触がする。全身に感じる締め付けがゆるゆると蠕動するのが心地いい。
「そっちばっか見んばずるか、たくちゃんも見せえ」
「ちょっ」
辰は自由を奪った上で胴体をずらして股間部分だけを露出させ、そこに手をかけた。
「抵抗できない状態でとか卑怯だぞ!?」
「よかよか」
「よかねぇよ!?」
拓馬はじたばた抵抗するが胴体はびくともしない。
「ほうれ御開帳……ほおぉぉぉ……」
ずるりと陰茎を露出させると辰は溜息をついた。
「よか御神体ばい」
「馬鹿!」
真っ赤になって拓馬は言う、それに構わず辰はその手を陰茎に伸ばしていく。
「お、おいっ、デリケートな部分なんだぞ!?手荒にすんなよ!?」
辰の手は龍の手、見るからに強靭そうな爬虫類の手だ。自分の大事な部分にそんな手が伸びて来るのを見て拓馬は恐怖を覚えざるを得ない。
「ふふ、大丈夫ばい、おれらは男を傷付ける事ばせん」
そう言ってそっと手の平で陰茎に触れる。
「っお……」
柔らかい、そのごつごつした外観とは裏腹に龍の手は温かく、柔らかな感触を伝えて来た。
「へへぇ、熱かぁ……」
辰はうっとりとした表情になり、にぎにぎと手で感触を確かめる。
「い、言っとくけどあんまり無茶するとすぐ暴発するからな……?経験ねぇから俺……」
告白するのは恥ずかしいが、変に見栄を張っても仕方ないと思った拓馬は正直に言う。
「……ほほぉ」
辰は笑った。それは嘲笑ではなく純粋な歓喜の笑み。
その笑みを浮かべたまま辰は龍の手の平で亀頭をすりすりと撫でてやる。
「偉か偉か、悪い虫ば寄せ付けんかったとね♪」
「っ……!」
子供の頭を撫でるような調子だが、される側の拓馬はたまったものではない。
酔いで多少は感度が鈍っているとはいえ、限界まで反り返ったものを好きな相手に弄られるという初めての感覚。
必死で歯を食い縛って辰の手から逃れようと腰を引く。蛇腹でその動きを感じた辰は慌てて手を引く。
「あぶっ……!っぶないっだろ……!童貞の敏感さ舐めんな!」
「すまんすまん」
言いながら辰は手の平についた先走りを長い舌でペロリと舐め取った。
「おいっそんなもん……」
「ぐふふぅ、たくちゃんの味ぃ……」
ふにゃふにゃとだらしなく相好を崩す辰、顔が明らかに酒の酔いとは別の赤味を帯びる。
「……っエロい顔すんじゃねえよ、そんだけで出そうになるだろが」
「ちとは我慢ばしぃ、何も無いとこに出したらもったいなか」
言いながらもちょっかいをかけたくてうずうずした様子をしている。
「と、とりあえず一回解放してくれよ、これじゃ俺から何もできないじゃん」
「うー?この感触ば良かとにぃ……」
言いながらまた龍腹をうねうねと蠕動させる、確かに全身で辰を感じる事のできるこれは魅力的だが、それよりも拓馬はもっとしたい事がある。
「……ふふ、そんな目で見られたらしょうがなかと、嫁ばなるんに乳くらい好きなだけ揉ましたらんとねえ」
「な、何でわかった」
「ずっと見とったとね、再会したときからずっとばい」
そう、再会した時からずっとずっと気になっていたのはその豊かに育った乳房。
季節もあるが辰は基本薄着かつ無防備なので必然的に目を引く、引きまくる。
極力意識していないように振る舞っていたがそんな事はお見通しだったらしい。
ふと胴体の拘束が緩み、拓馬の両手が自由になる。
「ふふふ」
辰はにんまり笑うと胸の下に腕をまわしてぐっと谷間を強調して見せる。シャツの下の見事な量感が強調される。
グラビアなんかでよく見る構図だが、グラビアと違うのはそれを触って楽しむ事が許されている所だ。
拓馬はそっとその魅惑の膨らみに手を伸ばし……。
すぷっ
「ほょっ?」
人差し指を谷間に突っ込んだ。予想外の刺激に辰は変な声を上げる。
「あ、いや、前々から指突っ込んでみたいなあと思っててだな……」
「……なんねぇそれ」
呆れ顔になりながらもさせるがままにする辰。
「……」
拓馬はごくりと喉を鳴らすと両手を乳房の下に回し、持ち上げてみる。
「ううん……」
辰は悩ましい声を上げる。
「おぉ……」
拓馬は感嘆の声を上げる。
興奮と同時に奇妙な感慨を覚える、昔はどんなに薄着でも目立たなかった「胸板」が、今やこうして手に収まりきらない程に育っているという事実。
その事実を確かめるようにゆるゆると揺すって見せると辰はぴくんぴくんと反応する。
合わせて龍腹もぎゅぎゅっと反応し、改めてこの龍の胴体は辰の一部なのだなあと感じさせられる。
「……」
シャツをめくり上げて生で見たい、と思ったのだがそこで「脱がせていい?」と聞くべきなのか黙って脱がせるべきなのかを悩んで拓馬の動きが一瞬止まる。
「……んふふ」
それを察知したかのように辰はシャツの裾を掴んで持ち上げる。
「んしょっ……と」
元々サイズが小さめなのでちょっと手こずる。裾にぐぐっと乳房が持ち上げられ、ぼろろん、とまろび出る。
(ふぉぉぉぉぉ)
拓馬は声にならない声を上げる。
白い、健康的に色付く他の部分とは対照的に雪のように胸回りだけが白い。その白い雪原に全体のサイズにしては小さめなピンク色の乳首が鎮座している。
「うへへ……ちょいかっこ悪か……」
「いいや、いい、これはいいぞ、すごく、また、こう、全部脱いでないのがいい」
興奮のあまり真顔で早口に解説する拓馬、シャツを脱ぎ切らずに胸を露出させただけの形になっているのが情欲をそそる。
「あははは、たくちゃん興奮しすぎばい、あっ、ちょぃ……」
笑われるのも構わずにその小麦色の肌の中で白く強調されている膨らみにふにゅりと触れる。
夢のような感触がする、沈むような弾き返すような柔らかさと弾力、いつまでも触っていたくなる。
「ほぉぅ……」
辰が溜息をつく、とろん、と目尻を下げる。
「えっ、き、気持ちいいのか?」
「よか……」
拓馬は俄然嬉しくなる、自分の手で恋人を気持ち良くさせるというのは何か、男の自尊心を満たすような感覚がある。
「んん……たくちゃぁん……口ぃ……」
今まで聞いた事がないくらいに甘えた口調で辰は龍の手を拓馬の後頭部に回す。キスして欲しいらしい。
ぐい、と頭が引き寄せられて唇が接触する、しかし乳房は揉ませるままだ。
落ち着いて味わってみるとどうやら舌も少し人間と違うらしい、具体的に言うと長い、かなり長い。
その長い舌がしゅるしゅると蛇のように拓馬の舌を愛撫する。気持ち良すぎて顎が震える。
負けじとむにゅむにゅと乳房を変形させてやると鼻にかかった声が上がる、テクニックもなにもない、ただ好き放題に触っているだけなのだが感じてくれいるらしい。
「んふふぅん……んんっーーーー!」
と、手の平に固い感触を感じると同時にそれまでと質の違う声が辰から上がった。乳首だ。
拓馬は親指をそのグミのような感触の乳首に添え、ぐりぐりと乳房の奥に押し込むようにしてやる。
「ん、ん、んんふぅ、んむぅ」
びくんびくんと身体を震わせながら辰が涙目になる、楽しい。
ぎゅうっと大きな手が自分の肩に少し痛い位に食い込む感触すら辰が自分を求めてくれている証明のように感じられて嬉しい。
「ぷぁっ、た、たくちゃん、たくちゃん、もうよかね?よかね?」
耐えかねたように辰が口を離して訴えかける。
何が?と一瞬思うが、この状況で何といったらナニしかない事にすぐ気付く。
「いい、けど、だっ……や、やっぱまずいかも」
「何がぁ?」
「いれたらもうすぐ出る、我慢無理」
「いれてぇ、いれてぇ、出してぇ」
涙目で訴える辰に拓馬も理性を放棄した。
長い事執着していた乳房からようやく手を離し、辰の腰に手を回す。
合わせて辰の大きな手も拓馬の肩から腰に移動する。
「辰っつぁん」
「おい?」
「ずっと一緒にいような」
「おい」
さらりと言った拓馬に辰も笑ってさらりと答える。
不意にその顔に昔の、小学生の頃の少年のようにやんちゃだった辰の面影がダブる。
あの辰と、これからセックスするのだ。
つやつやとした鱗を手の平に感じながらしっかりと固定し、腰を突き出していく。
その腰を方向がずれないように辰の手が誘導する。
めちめちと肉を割り開く感覚、入って行く、繋がって行く。
目を大きく見開いて息を漏らす辰。歯を食いしばる拓馬。
「無、理」
ぶじゅっっ
呻くような拓馬の声と同時に白濁が迸り出た、まだ挿入の半ばだった。
それでも進んで行く、どくんどくんと射精しながらも奥に突き進んでいく。
「ふぐぎぎぎぎ」
「お、お、おぉ、お」
辰は口をぱくぱくさせて喘いでいる、拓馬は雄の本能に任せてひたすらに前進する。
辿り着くいた、ぴったりと二人の臀部が組み合わさる。
「はぁっ……はっ……はっ……で、できた、ぞ」
とくんとくんと射精を持続させながらも自分が辰の中にいる事を実感する。
(き、気持ちいい、良すぎる、死ぬ)
初めて感じる女の膣は別の生き物のように蠕動して絡み付いて来た、まるで辰の龍腹のようだ。お陰で全く萎える事ができない。
「た、辰っつぁん……辰っつぁん?」
「……」
自分の感覚でいっぱいいっぱいだった拓馬がふと気付いて辰に声をかけたが返事が無い。
見てみると辰はぼんやりとした顔をしていた、口は半開きになり、視線はどこか遠くを彷徨っている。
その視線がゆっくりと拓馬に焦点を合わせて行く。
「ふは、はぅ、たく、ちゃん?」
「え、い、イッたの?」
辰は碌に口もきけない様子でただこくこくと頷く。拓馬の全身がえもいわれぬ感動に包まれる。
「童貞の俺にイかされるとか……辰っつぁんって敏感?」
「うふぅん、知らん……わからぁん……」
辰はまだ夢見心地の様子だ、拓馬はこれ幸いとばかりにまた乳房に手を伸ばし、その白い膨らみを存分に変形させる。
むにゅ、もにゅ、むにむに……
(うーん飽きない)
「はぅぅん……」
辰の方もうっとりとした様子だ。
それに気をよくした拓馬は乳房以外にも色々とちょっかいを出し始める。
腕に触れてみる。肩や上腕部分までは普通の人間と変わらない、しかし前腕部分から先はいかにも爬虫類らしい鱗におおわれている。
しかし握られた時に知ったが、手の平にあたる部分は意外なほどに柔らかく、むしろ人肌に近い感触を与えてくれるのだ。
立派な角にもそっと触れてみる、見た目通りに固い、頭突きをされたら痛そうだ、などと妙な事を考える。
引き締まった腹部を撫で下ろし、臀部に触れてみる。
柔らかな人のそれとは違ってここも鱗に覆われているが、この鱗も中々手触りがいい、つやつやしていて触っていると指が綺麗になりそうな気がする。
かり
「ん?」
と、滑らかな鱗の感触を楽しんでいた拓馬の指先に引っ掛かるものがあった。
びくん、と辰の身体が反応する。
どうやら鱗が一枚だけ流れと逆に生えているらしい、気になってかりかりとその鱗を指で引っ掻く。
「なんだろこれ……あっ!?ああっ!?うぉぉあ!?」
拓馬は悲鳴をあげた、いままで緩慢な刺激を与えていた辰の膣が急激に蠢き始めたからだ。
しかも生半可な刺激ではない、うねり、からみ、引き摺りこむ、想像だにした事のない快楽が陰茎を襲う。
「た、辰っつぁん!?」
「くふ、くふふふ」
気が付けば辰が正気を取り戻している様子だった。いや、正気ではない。
ぎらぎらと目を輝かせ、ぴちゃりと長い舌で唇を舐めるその表情は凄絶な妖艶さと迫力を醸している。
「やって、くれた、の、覚悟はよかね?」
「な、何をやったって?何の覚悟?ちょっと落ち着……!」
最後まで言わせてもらえなかった、肉に貪りつくような勢いで辰が唇を奪って来たからだ。
ぱちゅっ!
同時に部屋に響き渡るほど大きな水音が二人の繋がっている下半身から鳴り響いた。
腰が打ち付けられる音だ。
その強靭なバネを生かして腰を突きだし、合わせて胴体で拓馬の腰を引き寄せて勢いよく腰を打ち付けたのだ。
気の狂いそうな摩擦と同時に亀頭の先端に勢いよく子宮口がぶつかる。
たんったんったんったんったんったんったんっ
そのままリズミカルに腰を打ち合わせ始める、愛液と精液の入り混じった粘液がぴちゃぴちゃと二人の下腹部と畳に飛び散る。
「―――――!!―――――――!!!」
口が自由ならば拓馬は女のような嬌声を吐き散らしていただろう、しかしその声すら辰に吸い尽くされる。
なす術も無い射精、二度目とは思えない量の白濁を辰の中に大量に送り込む、辰の子宮が大喜びでそれを啜る。
それでも止まらない、同じリズムに飽きさせないように辰の腰がのの字を描くような動きに変わった。
先程と違った角度から膣壁がぞりぞりと陰茎に擦り当てられ、新たな快楽を生み出す。
射精を強要されているにも関わらず感じるのは苦痛も倦怠感もない快楽、純度100%の快楽のみだ。
快楽に溺れてしまう。
「――――――っっ!ぷはァっ!うぁっああぅっ!た、辰っつぁん!!や、やめ、て!」
ようやく口を解放された拓馬が訴える。
「やめん」
その乳房を縦横無尽にぶるんぶるんと振り乱しながら辰は笑みを浮かべたまま言う、完全に理性の消え去った目をしている。
「ほ、ほんと!と、とけ、溶け、る!、ちんぽ溶ける!溶けるってぇ!?」
「溶かす♪」
にちゃりと長い舌で唇を舐め、肉食獣の表情で辰が言う。
言葉通り、陰茎が溶けて辰の身体に吸収されるような感覚と共に射精に導かれる。
拓馬はまた嬌声を上げさせられる、辰の腰は止まらない。







ヴーッヴーッヴーッ
パカッ
「もしもしぃ?……あー、どうもお、お世話様、うん……うん……ああ、元気にやっとぉとよ、……うん……ははっそげんこつなかと、たくちゃんしっかりやってくれとぉとよ、うん……うん……そげんね、また、挨拶にも……うん……はい、はあい、どうもお」
パタン
「はぶんっぢゅるっぢゅろろろろろろろちゅぶっ」
通信を切った瞬間辰は携帯を放り投げ、乳房の谷間から顔を覗かせている亀頭にはしたない音を立ててむしゃぶりついた。
「うぐぅっぅ」
拓馬がくぐもった声を上げる、今、辰と拓馬は人間で言うならばシックスナインの形に絡み合っていた。
拓馬の陰茎をその豊かな白い谷間に捕え、下半身では拓馬の上半身をぐるぐる巻きに拘束している。拓馬に成す術はない。
「かっは……う……だ、誰、から?」
「んちゅっ、たくちゃんのご両親からとね、心配いらんと報告ばしといたね」
「え、SOSぅ……」
拓馬は蚊の鳴くような声を上げる。
晩酌から性交が始まったのは既に昨日の夜の話、今はその次の日の昼間だ。あの時からずっとぶっ通しだ。
激しい絡み合いの中で途切れ途切れに聞き出した情報によると、どうやら自分は辰の「逆鱗」に触れてしまったらしい。
そこに触れると三日三晩は性欲が止まらなくなるとの事だ。つまり今でまだ半分くらいしか経過していない。
不思議な事に体力や精力は無尽蔵に溢れ出てくるので苦しい事はない、しかしそれ以上に快楽が激し過ぎる。
一回射精するたびに辰と自分の身体がどんどん馴染んで行くのがわかるのだ、それに乗じて快楽が減退するどころか天井知らずに跳ね上がって行く。
完全に中毒状態だ。このような快楽を教え込まれてはもはや完全に辰に依存させられてしまう。
より鋭敏さを増した拓馬の陰茎を辰は容赦なくぬちゅぬちゅとパイズリ責めにし、亀頭を舐め回す。
「れろ、観念ばするとね……逆鱗に触った罰ばい、もっともっと搾ってやるけんね……♪」
「おぐぉぉ……」
辰の口に最初から全く変わらない量の白濁をぶちまけながら拓馬は思った。自分は大変な人と結婚してしまった。
しかし同時にこうも思った。
(数ヶ月に一回くらいならまた逆鱗に触れるのも悪くないかも……)
「おひぃぃ……」
「ごくっごくっごくっごくっ……」
13/08/19 00:11更新 / 雑兵
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■作者メッセージ
大変お待たせしました・・・ああ、次はイェンダだ・・・。

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