連載小説
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ガミガミ屋な牧場の女将の場合
「餌代にこれだけ、維持費にこれだけ……売上と比べて……ムキーっ! 」
女は髪を掻きむしり、ダンっと机を両手で殴った。
この女、ヨランダ・ヘイストンはとある小さな牧場の主の妻である。
牧場の会計を担当しているのだが、赤字になっているらしい。
キリキリとヒステリックな悲鳴を上げている。
ひっつめ髪のためにむき出しになった額、とてもグラマーとは程遠い痩せ気味で高身長な身体、普段からつり上がっていてさらに怒りでつり上がった眉が余計に彼女のヒステリー気味な性格と今の調子を際立てている。
イライラと彼女は指でタタタン、タタタンとテーブルを叩く。
「あ〜もうっ! いっそのこと鶏卵を取り扱うのはやめて、役立たずな鶏はさくっと鶏肉として出してしまおうかしら……!」
「今戻ったぞ〜」
合理的かもしれないが物騒なことをヨランダがつぶやいているその時、のんきな、だがどこか怯えていて情けない調子の男の声が響いた。
ヨランダがいるリビングのドアを開けて声の主が入ってくる。
この男がチャック・ヘイストン、この牧場の主だ。
片手にパンや野菜が入った篭を抱え、もう一方の手に大きな真鍮製の牛乳タンクを抱えている。
「飼料は小屋の方に置いてきたよ……よっこいしょ……」
「あんたっ!!」
荷物を置いた夫にヨランダが詰め寄る。
「なんなのっ、その馬鹿でかい牛乳は!? うちは二人暮らしなんだからこんなにあったって仕方がないじゃないのっ!」
会計を見て赤字だったこともあり、機嫌が悪かったヨランダはキンキンと叫ぶ。
両手で耳を軽く塞いで顔をしかめながらも、ボソボソとチャックは答える。
「いや、でも余ったものはバターにでもすれば……」
「それに、野菜の他にこんな凝ったロウソクを買って! アロマキャンドルとかは高いって知っているでしょう!?」
篭を軽く漁り、中で嗅いだことのない香りを発していたローズピンク色のロウソクを取り出してヨランダは叫ぶ。
香るロウソク、それも見かけない物ということは舶来品だったり手に入りにくい貴重品だったりして、決まって高いはずだ。
牧場経営がうまくいっていないところにこんな高いものを買ってきた夫に妻のヨランダは激昂した。
「一体いくらしたのっ!?」
「いや、このミルクとハーブと他一部の野菜を合わせて、銀貨3枚だった」
銀貨3枚……この国ではおよそ、パン一日分だ。
チャックはかなりいい買い物をしたと言える。
高いと思っていたから怒鳴りつけていたのに値段を聞かされ、ヨランダは口を噤んだ。
だがその表情は相変わらず不機嫌だ。
妻が黙ったのを見て、チャックは話を変えた。
「それはともかく、夕食にしよう。お腹がペコペコだよ」
「……ふん!」
ヨランダは鼻を鳴らし、夫が帰ってくる前に作っておいたスープを温め直しはじめた。
その間にチャックはテーブルの会計帳を片付け、買ってきたパンを2つ並べる。
さらに、買ってきたロウソクに火を灯した。
甘い香りがリビングに漂う。
「……いい香りだね」
スープを運んできたヨランダがポツリとつぶやく。
そう言われてチャックの顔が嬉しそうに輝いた。
「これを売っていた商人は、イライラしたときとかにこのロウソクは良いって言っていたんだ」
「なにさ、それをわざわざ買ったってことは、あたしがいつもイライラしてるって言いたいのっ!?」
どんとスープをテーブルに乱暴に置いてヨランダは目を向く。
そんなことはないと震え気味な声でチャックは弁解するが、本音は裏腹なのは明確だ。
ふん、とヨランダが鼻を鳴らし、食事にしようと示す。
軽くお祈りをして、パンと水っぽいキャベツのスープの食事が始まる。
食事中は二人共言葉を発しない。
夫婦仲はあまりよろしくないのだ。


ヨランダはとある村の貧しい家庭の三女として生まれ、幼いころは苦労した。
年頃になって彼女は結婚することになったのであるが、その男が今の夫、チャックである。
牧場主と結婚できると言うことで貧乏から脱することができると喜んだ彼女だったが、現実はそう甘くはなかった。
チャックは上の兄二人が流行病で亡くなったからその牧場を継いだ三男……そして継いだ牧場も経営が地を這っているような状況だ。
貧しい幼少時代、結婚への希望からの失望、働き者だが愚鈍な夫……
これらが今のガミガミ屋な彼女を作り上げたのだった。
夫のチャックも三男という二人の兄に押さえつけられていたからか気は強くなく、今の妻にも尻に敷かれている状態である。
そして二人のあいだには子どももいない……
二人の関係はギスギスしたものであった。


「ごちそうさま」
ロウソクの甘い香りが漂う中、パンとスープの食事はあっと言う間に終わってしまった。
チャックが立ち上がる。
「せっかくだからこのミルクをデザートにでも飲もう」
「そうだね」
夫の提案に珍しく素直に、静かな声でヨランダは答える。
そのことにおやと思いつつも、チャックはカップを2つ取り出し、牛乳を注いでいった。
無言で、注がれた牛乳をヨランダは受け取り、一口飲んだ。
「んっ……!?」
ヨランダの目が見開かれる。
「何これっ!? 美味しいじゃないのっ! ん、んぐ……!」
叫ぶやいなや、あっという間に牛乳を飲み干し、ヨランダは夫に空になったカップを突きつけた。
もう一杯くれと言う仕草だ。
今まで見たことのないヨランダの様子にやや驚きながらも、チャックはもう一杯ミルクを注ぎ、妻に渡した。
妻が待ちきれないように受け取ったところで、自分も一口飲んでみる。
なるほど、彼女が夢中になるのも分かる味だった。
甘くてまろやかで、濃厚で……これまで飲んだどの牛乳よりも美味しかった。
ごくんと一息に、チャックも牛乳を飲み干す。
その余韻を味わっていると……ぐいっとカップが目の前に突きつけられた。
二杯目を飲み干したヨランダが、さらにおかわりを求めていた。
「ま、まだ飲むのかい?」
「いいじゃないの……こんなおいしいの、飲まないと損じゃない……」
酔っ払っているような、だがそれとは全く違う、これまで聞いたことのないような声でヨランダはおかわりを要求していた。
無言でチャックは三杯目の牛乳を注いでヨランダに渡す。
その牛乳もあっという間に彼女は飲み干した。
ことんと彼女がカップを置く。
満足したのかと思いきや……
「こんなカップでちまちま飲んでられないよ……」
ぽつりといい、彼女は食器棚に近づいた。
そこから、小樽のビールジョッキを引っ張り出す。
ギョッとチャックは驚く。
ジョッキでミルクを飲むつもりだ。
ミルクは2ガロン(約7.5リットル)も買ってきたためなくなる心配はあまりしていないが、あんまり濃い牛乳を飲み過ぎると腹を下す。
「ヨランダ、いくらなんでもそれは……」
「だーいじょうぶ、だいじょうぶ。これおいしいからいくらでも飲めちゃうよ」
そう言ってヨランダはタンクにジョッキを突っ込んで牛乳を汲んだ。
汲むなりそれを口に運び、ごくごくと音を立てて飲み干していく。
服に牛乳が溢れるが、それはもう一方の手で軽く服を押さえてカバーする。
「んぷぁあ、んふぅ……」
相当な量があったはずのジョッキのミルクもあっという間に飲み干し、ヨランダは息を付く。
その吐息がどこか色っぽい。
ふにゃふにゃと彼女はタンクの横に座り込み、身をよじる。
「おいしい……このミルク、おいしいよぅ……それに身体が……ん、んぐ……」
独り言をつぶやいている間に彼女はまたジョッキに牛乳を汲み、音を立てて飲んでいく。
胸に当てている手に牛乳が溢れるが、それも意に介せずに飲み続ける。
その様子をチャックは手に空のカップを持ったまま呆然と見つめた。
「んぷあぁ……あ、あ、ああああ……」
ジョッキで二杯目のミルクを飲み干したところで、ようやくヨランダの動きが止まった。
ごとりとジョッキを床に置き、荒い息遣いをしている。
頬は軽く上気しており、眉が少し寄っており、熱っぽくて苦しげに見えた。
慌ててチャックは妻に駆け寄る。
「大丈夫かヨランダ!? なんかおかしいぞ……!?」
「だいじょうぶぅ……だいじょうぶだけど、なんか身体が火照って……む……えぇ……」
夢うつつのような声でヨランダは応え、そして突然、上半身の服を脱ぎだした。
突然の妻の行動に仰天するチャックだったが、その目がさらに驚きに見開かれる。
「胸がむずむずするのぉ……」
言葉とともに外気に晒されたヨランダの胸は、チャックの記憶にあるものよりふたまわりも大きくなっていた。
ヨランダ自身もそれを見て、にへらと嬉しそうに笑う。
「あはは……あたし、胸がある……ぺたんこだったのに、大きくなっているぅ……このミルクのお陰かなぁ?」
三度、ジョッキがミルクタンクに突っ込まれて汲みだされる。
そのまま彼女はごくりごくりと音を立てて苦もなく飲み下した。
ヨランダが一口飲むごとに、まるで飲んだミルクが直接胸に溜まっているかのように、彼女の乳房がむくりむくりと大きく膨らんでいく。
チャックはその様子を口をぽかんと開けながら見守ることしかできない。
やがて彼女の胸は、チャックの手にとても収まりきれないほど、大きなものへと成長した。
「ん、んぐ……ふあああ……ん、んんっ……」
三杯目も飲み干したヨランダの顔が、とろけた物を残しつつも少し苦しげに歪んだ。
その表情で彼女は夫に訴え掛ける。
「チャックぅ……助けてぇ……おっぱいがぁ……」
「うへぇ!? お、お、おっぱいが、がぁ……!?」
妻の異常にややパニックに陥りながら、チャックは聞き返した。
そんなチャックとは対照的に、のんびりとした声でヨランダは続ける。
「おっぱいがはって、いたいのぉ……ねぇ、しぼってぇ……」
「お、おっぱいをしぼってって……あ、ああ、分かった……」
パニックに陥っている状態のチャックにできたのは、妻の頼みを聞くことだけだった。
桶を納屋から大急ぎで持ってきて床に置く。
置かれた桶に覆いかぶさるようにしてヨランダは四つん這いになり、チャックは後ろ抱きかかえるようにして恐る恐るといった感じで胸に手を伸ばした。
むにゅりとチャックの手がヨランダの胸に触れる。
「……!」
妻の胸は少し前まで、まったく成長していないかのような物だった。
そしてチャックは浮気などしたことがなく、ほかの女の胸に触れたことなどない。
初めて触れる豊満な乳房の感触にチャックは、パニックに陥り気味だと言うのに、感動すらしていた。
「ねえ、はやくぅ……」
ヨランダが焦れて身体をゆする。
その様子にチャックは我に返った。
牛の乳搾りの経験はチャックにはあるが、人間の胸を搾乳などしたことがない。
どうするべきか迷っていたが、がしりと両胸をそれぞれの手で欲望のおもむくまま、鷲掴みにする。
そして人差し指と中指で乳首を強く挟み、そして手全体でヨランダの胸を圧迫した。
「あぁぁん!」
これまで発したことのないような嬌声をヨランダはあげて背を反らせた。
それと同時にぱたたと桶に何か液体がこぼれたような音がする。
ヨランダの乳首から母乳がほとばしっていた。
チャックがもう一度手に力を込めると、またヨランダの乳首から母乳が吹き出す。
「ふあああっ! 出てるぅ……!あたしの胸からおっぱい出てるぅ……!」
快感に打ち震えながら嬉しそうな声でヨランダが言う。
チャックも驚いていた。
子を生んだことは愚か、孕んだことすらないヨランダの胸から母乳が出ているのだ。
あまりにも非現実的な状態であるのだ。
だがもはやチャックは開き直っていた。
もう一度、またもう一度と手に力を込め、ヨランダの胸を揉みしだき、母乳を搾り出す。
その度にヨランダは乳房から母乳を噴出し、よがり声を上げた。
あっという間に桶に真っ白な液体が溜まっていき、底が見えなくなる。
搾りたてのミルク独特の匂い、ロウソクのアロマの香りに混じって部屋に立ち込める。
「もっとぉ、もっと〜♪ ふあっ、うっ、あぁん!」
「ど、どこまで出るんだ?」
桶の量からしてもう相当量が出ているはずだ。
おそらくジョッキ1杯分は……
それでもヨランダは搾乳を要求し、母乳の噴出も止まる気配がない。
この上搾るのか……少し迷っていると、ヨランダがチャックの方を振り向いた。
彼女の顔はチャックがこれまで見たことがないくらい、淫らな表情を浮かべてとろけている。
そんな彼女がねだる。
「ねぇ……もっとぉ、胸だけじゃなくて〜……」
そう言って彼女は尻を振った。
ワンピースのロングスカートに包まれている脚は、内股になってこすり合わせている。
ヨランダが何を言わんとしているかを察して、驚きにチャックの目が見開かれた。
「んひゃうぅ……早くぅ……」
我慢できないといった感じでヨランダは片腕を伸ばし、スカートと下着を一緒にぐいぐいと下ろそうとする。
片手でやろうとしたため少し時間はかかったが、ついに彼女の下半身が露になった。
彼女のそこはおもらしでもしたのではないかと思うほどぐちょぐちょに濡れている。
部屋にミルクの匂いと甘いアロマの香りに加えて、発情した女の匂いが混じった。
目の前の妻の淫靡な姿に加えてその匂いで、チャックは頭が甘くとろけるのではないかと錯覚し、くらくらとする。
それと同時に、彼の性器もまた反応していた。
ズボンの中でこれまでにないくらい、男根がいきり立っており、牡の匂いを漂わせている。
その匂いはほんのわずかなものなのだが、妻は感じ取ったらしい。
とろけている顔が嬉しそうににへらと崩れて笑みを浮かべる。
「ねぇ、ちょうだぁい……チャックのミルク、私の中にちょうだい……」
「……!」
ヨランダがこれまでに発したことのない淫語に、チャックの理性が灼き切れた。
一度妻の胸から手を離し、母乳まみれの手をもどかしく思いながらも動かしてズボンと下着を脱ぎ捨てる。
衣服の圧迫から解放された肉棒が、ぶるんと上を向いて現れた。
チャックの弱気な性格とは裏腹に自己主張をしている牡の象徴を見てヨランダが目を輝かせる。
「はああぁ……チャックのぉ……早くぅ、早くあたしの中に挿れてぇ……」
夫婦の営みには淡白だったはずのヨランダが、腰をチャックの方に押し付けながら要求する。
言われるまでもない。
チャックはヨランダの腰を両手でしっかりつかみ、自分の分身をずぶずぶと妻の秘裂に沈めていく。
「ふわあああっ! チャックぅ! チャックのが入ってるぅ……!」
こうなる前は、挿入時は苦しげな声しか上げていなかったヨランダが、今は嬉々とした嬌声を上げながらチャックを受け入れている。
一方のチャックは、まだ半分も挿入していないというのに、ぶるぶると体を震わせて息を詰めていた。
妻の膣内の感覚を彼は覚えている。
だが今感じている感覚はだいぶ異なっていた。
ぬるぬると粘液がまとわりつき、舌がしゃぶってくるかのようにひだが絡みつき、獣肉はほぐれていながらもきゅうきゅうと優しく締め付けてくる……
ご無沙汰だったことがあるのかもしれないが、彼の記憶にあるものより妻の膣内は数倍も心地いいものだった。
「あああ……!」
がくりと彼の状態が前のめりに倒れそうになった。
手が慌てて何かを支えにしようとつかれる。
その手がついた先は彼女の肩甲骨のあたり……少し手をずらせば、また胸を掴める位置だった。
「ああっ、またぁ? またおっぱい搾ってくれるのぉ?」
舌を突き出して喘いでいたヨランダが嬉しそうな声を上げる。
たまたま手をついただけだったのだが、そう言われると無意識に体が動いた。
チャックの手が動き、再び胸に回される。
また、それと同時にチャックのペニスがさらにヨランダのヴァギナに差し込まれ、ついに二人は奥で繋がった。
「ふわあああ……奥ぅ、奥を突かれているのぉ……こんなに気持ちいいの、初めてなのぉ……」
うっとりとしたようにヨランダはつぶやく。
チャックの方は相変わらず声を出せない。
襲いかかる快感に耐えるように、ぎゅっと胸を掴む手に力を込める。
ぷしゃっ!
ヨランダの乳房からまた母乳が噴き出し、桶に注がれていく。
「あっ! あああ、いい! 挿れられておっぱい絞られるの、イイ……!」
快感に弾かれたかのように、四つん這いになっているヨランダが、無意識のうちに自ら腰を動かしてチャックを刺激する。
たまらないのはチャックだ。
ただでさえ妻の膣内の感触に射精をこらえるのがやっとだったのに、ヨランダに動かれ、彼女の柔肉で肉棒を扱き抜かれ、耐えられるはずがなかった。
「うわ、うわあああ……!」
挿入して一分も経たずして、チャックが絶頂した。
彼の肉棒から白濁液が放たれ、ヨランダの体がそれを受け止める。
「ああああっ! 来てるぅ! チャックのせーえき、あたしの中に出されてるぅ……」
満面の笑みを浮かべながら、ヨランダは嬉々とした声を上げる。
子を成すために何度も夫の精を受けたことのある彼女だが、ここまで喜んだことはない。
……これまででも十分普段と異なる異常事態だった。
だが、ここまではあくまで前兆、ここからが本番……
「ふわあああっ! なにこれぇ……気持ちいいの、止まらないぃいい! あ、あ、ああああ!」
二人共動いていないというのに、ヨランダがまるで激しく突かれているかのように悶え、体を震わせ、嬌声を上げる。
ヨランダの声に射精で脱力していたチャックがハッとして妻を見る。
そのチャックが見ている前で、妻の体に胸以外でさらなる著しい変化が現れた。
「んんんんんん〜〜っ!」
何かをこらえるかのような声をヨランダが上げた。
耳がぴくぴくと震え、次の瞬間、ひらべったくて白い毛に覆われた獣の耳になる。
尾底骨からにゅるりと、先端が筆のようにふさふさした細長い尻尾が伸びた。
胸が急激に大きくなるだけでも驚きの事態だったが、このような人間ならざるものが妻の体に出来てチャックは仰天する。
そして、極めつけの変化が妻の身に起きた。
「あああああああっ!」
長い悲鳴のような嬌声と共に、ヨランダの左右の側頭部からずるりと何かが飛び出る。
角だ。
薄黄色で弧を描き、尖った先端を内側へと向けている。
角と言い、耳や尾と言い、彼女に新たに出来た人ならざる部分は、まるで牛……
そう、チャックの妻、ヨランダは牛の魔物、ホルスタウロスになったのだ。
「なんてことだ……」
「ん〜? 何が『なんてことだ』なの〜?」
妻の決定的な変化に呆然とつぶやくチャックに対し、ヨランダは事態の大きさをまるで分かっていない情欲にとろけた顔をして振り向く。
いや、分かっていないというより、変化した本人にとってはどうでもいいことなのだろう。
そんなことより彼女にはもっと大事なことがある。
「ねーねー、もっとぉ……もっとしてよぉ〜♪ もっとおっぱい搾ってぇ、もっとチャックのミルクちょうだぁい」
そう言ってヨランダは再び、自分から腰を緩やかに動かした。
ぐちゅぐちゅと二人の結合部が卑猥な水音を立てる。
チャックのモノは未だに萎えていなかった。
妻の中にずっと収まっていたと言うこともあるが……
「ああ、ヨランダ……可愛いよ……」
思わずチャックはつぶやく。
妻が魔物化したことは、確かに驚きはした。
だがそれ以上に、普段からガミガミと叫んでいたトゲトゲしかった妻がとろけて淫らに自分を求めていること、そしてその身体が女性らしくなっていることに、魅力を感じていた。
その想いが彼の剛直を保ち、そして身体を突き動かす。
粘着音に肉と肉がぶつかり合う音が加わる。
「あぁん! チャックの方からも腰を動かしているぅ!」
「ああ、気持ちよくて……ヨランダが可愛くて、腰が勝手に動くよ……」
背後から獣の体勢でヨランダを犯しながら、チャックは妻に囁いた。
そして腰を動かしながら腕を伸ばし、また妻の胸を鷲掴みにする。
力を込めると、乳首から母乳が、人間の時以上に勢い良く噴き出た。
立ち上る匂いも変化前より濃いもので、二人が飲んでいたミルクに近い。
「ふわああっ! もっと! もっと強くぅ!」
「どっちだっ!? 胸か!? 腰か!?」
「んんっ! 両方っ! 両方ともぉ……!」
彼女の要求どおりチャックは、胸を揉む力をさらに強くし、打ち付ける腰もさらに激しいものにする。
夫から与えられる快感にヨランダは身体を仰け反らせて喜んだ。
だが快感によがっているのはヨランダだけではない。
腰を激しく動かしているチャックも、肉棒を妻の柔肉に扱き抜かれて、快楽に身体をよじる。
チャックとヨランダの身体がぶつかりあって結合部が擦れる度に、二人同時に興奮が高まり、そして終わりが見えてきた。
「だめだ、ヨランダ! 俺、もう……!」
腰を動かすのを止めずにチャックは限界が近いことを訴える。
舌を突き出して涎を垂らしただらしなくも淫靡な表情でヨランダは振り返った。
「はいいっ、そのままあたしの中に出してぇ……! チャックのミルクぅ、どぴゅどぴゅってぇ……ああん、あたしも……あたしも……!」
そしてびくびくと彼女は身体を震わせる。
生まれて初めての絶頂を、魔物化した身体で、ヨランダは味わっていた。
ヨランダの膣が、それこそ乳搾りのように、ぐねぐねと段階的にチャックの突起を締め付ける。
その搾るような動きに刺激され、チャックの肉棒から白濁液が放たれた。
「ふわああん! 出てるぅ! チャックのミルクが……あ、あ、あああ……」
がくがくと震えながらヨランダが恍惚とした表情でつぶやく。
一方のチャックは脱力してヨランダを離して後ろに尻餅をついていた。
改めて妻の様子を見やる。
快楽に打ち震える彼女の頭からはニョキリと牛の角が生えていて耳も牛の物となっており、腰からは牛の尾が伸びていて、太腿から下は黒ぶちの白い毛皮に覆われている。
乳牛の如く大きくなった胸からは乳汁がたらたらと漏れ、そして膣からは先程放ったチャックの精液がだらだらと溢れていた。



「やはりこれが原因だったんだな……」
大量に飲んだためにいくらか減ってしまった、タンクの中のミルクを見てチャックはつぶやく。
おそらく、このミルクはホルスタウロスミルク、それも反魔物領では呪いの品と指定されている特濃ホルスタウロスミルクだ。
普通のホルスタウロスミルクは、魔物の魔力の含有量が少なく、人間が飲んでも魔物化などすることなく、滋養や精力増強の作用を持つ。
だが、ホルスタウロスが夫に飲ませるためにたっぷり魔力を込めたミルクが、この特濃ホルスタウロスミルクである。
その濃厚でまろやかな甘さは飲んだ者の思考までも甘ったるくとろかすのみならず、女性が飲んだ場合は魔物化を引き起こし、ホルスタウロスへと変えるのだ。
二人が飲んで、ヨランダがこのようになったのも、このミルクが特濃ホルスタウロスミルクだったからだろう。
「そうだ、甘いと言えば……」
一人つぶやいてチャックは立ち上がり、テーブルの上でまだ明かりを灯し、甘い香りを放っているロウソクを手にとった。
よく見てみると、下の部分に【メルティ・ラヴ】と記されている。
メルティ・ラヴについてはチャックも薄々ではあるが、聞いたことがあった。
なんでも魔界全土に生息しているハーブの一種であり、これを魔物はお香として加工して男との交わりを盛り上げるらしい。
魔界のハーブは何種類かあるらしいが、このメルティ・ラヴは名前のとおり、甘くとろける官能的な匂いを放ち、交わりにふさわしい桃色の雰囲気を創りだす。
このロウソクはそのメルティ・ラヴを練りこんだアロマ・キャンドルだったのだろう。
だから、普段ガミガミしていたヨランダも、やや落ち着いた気分で食後のホルスタウロスミルクを飲み、交わりの最中も特濃ホルスタウロスミルクの相乗効果もあって、甘くとろけた淫らな姿を見せたのだ。
「ねーねー、そんなことよりぃ……」
ロウソクを観察していたチャックをくいくいと引っ張ってヨランダが気を引こうと声を上げた。
その顔は淫らにとろけきり、乳首からは母乳を垂らして体幹を白く染め、そして内股は彼女の愛液と先程チャックが放った精液が伝って垂れている。
魔物に生まれ変わった妻の淫らな姿を見てチャックの男がまた反応した。
「ああ、もういっかい、しようか……その前に精力をつけるためにもういっぱい……」
カップを取り上げてチャックは買ってきたホルスタウロスミルクを飲もうとしたが、ヨランダはそれをやんわりと制した。
「ダメェ、そんなほかの女のミルクはぁ……飲むならぁ、あたしのおっぱいから飲んでぇ〜」
そう言ってヨランダはチャックを引き倒し、彼にまたがって分身を深々と己が身で銜え込んだ。
チャックの上半身を引き起こすと、ちょうど彼の目の前にヨランダの乳房がある形になる。
腰をゆるやかに揺すりながらヨランダはその乳房を吸うようにねだった。
「ほらほらぁ、チャックの口でぇ、あたしのおっぱいちゅっちゅと搾ってぇ〜」
「あ、ああ……ん、んちゅう……」
「ふあっ!? あ、ああん!」
夫に乳首を吸い立てられ、ヨランダが声を上げる。
反射的に彼女の腰使いも激しい物となった。
夫にもたらされる快感と精液によってヨランダは母乳を分泌し、その母乳によってチャックは力と精力を得て、その精をまたヨランダに捧げる……
永久ループとも言える淫らな輪に飛び込んだ二人の長い夜は始まったばかりだった。





冴えない牧場主だったチャックと、その妻でガミガミ屋だったヨランダ……
ヨランダはこうして魔物として生まれ変わり、そしてチャックも変わった。
その変化のきっかけとなったのは、やはり特濃ホルスタウロスミルクとメルティ・ラヴだっただろう。
それも二つ同時に使ったことによる結果だ。
ガミガミ屋すらとろとろにとろけさせた、特濃ホルスタウロスミルクとメルティ・ラヴの組み合わせによって修復された二人は今、もう一度牧場をやり直してその経営も軌道にのり、子どもにも恵まれ、幸せに暮らしている。
12/11/15 19:50更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)
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■作者メッセージ
さて、更新させていただきました、魔界の特産物を複数使うSS、『多品併用』。
二番手にはホルスタウロス化として牧場のおかみさんを登場させました。
おっぱいがむくむく膨らんでいくのっていいですよね♪
しかもおっぱいを大きくするだけではなく、飲んだ人の性格をのんびり、甘くする特濃ホルスタウロスミルク。
さらにメルティ・ラヴを使ってさらに甘口に!
このコンボをスイート・コンボと名付けようwwwwww

さて、あらすじで触れられていた割には今までちらっとしか出てこなかった謎の商人。
次回はついに姿だけを表します!
もっとも、回想シーンのみですが……
そして次回はどのような人が犠牲(?)になってどのようなコンボが炸裂するのか?
どうぞお楽しみに。

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