連載小説
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拘束、地獄、脱出そして淫魔
フリアさんと過ごした三日間からしばらくは実験なども無く、再び鎖に繋がれながら散歩したりたくさんの本を読む日々に戻りました。
レインさんのご好意でフリアさんの体に異常が無いことやきちんとした部屋に入れられたことを教えてもらいました。
あの騎士さんとはなんだかんだで仲良しになっているらしいです。

そして、そこから数ヶ月が過ぎたある日。
最近レインさんと合わないなとか研究員の人達が慌ただしくしてるなと思っていた。
実際は、とんでもないことになっていた。


「研究チームが・・・解体?」

「ええ、2ヶ月後に」

一番初めの時は革鎧で全身を包んでいた人、今では白衣のみで私と話してくれるようになっていたし、料理とかサバイバル関係の面白い本をいくつも教えてもらった。
なぜ解体なんてことになったのか聞こうとした時、研究員さんから口を開いてくれた。

「所長とレインさんが研究費関係で不祥事を起こしたとして別の国に飛ばされたんだ、いきなりね。もちろんあの人達はそんな事をする人じゃないし数カ月前にこの国にやってきた他の国の大臣とか司祭が関係してると思う。」

「そんな・・・」

「そして公式な事は数日後になるだろうけど、君を処分しろ、と書かれるだろう」

「!?」

思わず後ずさる私の肩を掴む。
その手は恐らく悔しさで、震えていた。

「だがそんなことはさせない!その書類が届いて確認したと同時に君にはこの国から逃げてもらう!ある程度の金と荷物は用意してある...最悪人間の世界がダメなら魔物達の所に行くといい...」

「えっ...」

「魔物がなぜ私達を連れ去ったかこの前分かった、連れ去られてもう戻ってこないと思われた者から手紙が来たんだ。見たこともない衣服を来た魔物...というより女性が持ってきた。」

その手紙には、今の魔物達は人を殺すのではなく人間の男性を夫として迎え入れ・・・というか攫い、女性には自分たちと同じ幸福を与えようとして魔物にする。
ということが書かれていたらしい。

「もちろん今まで君に協力してもらったことや襲われた村の検証でなんとなくわかっていた事、それが実際に向こうへ行った人間がすべて証言してくれた・・・だけどっ!」

怒りに任せて壁を殴り続ける。
その拳から血が流れだしたのが見えて急いで止める。

「燃やされたんだ、国王に届く前に・・・こんな物はまやかしだ、なんてあのぽんぽこタヌキ大臣のやつが言い捨ててね。・・・だから君はお父さんとお母さんを探しに行くといい、私達は私達でがんばるよ」

なんて言えばいいのかわからなくなり思わず俯いてしまう。

「フリアも魔物化する傾向は無い、あと1ヶ月ほどで約束通り自由だろう。それとレインさんからの伝言と合わせて私達一同の言葉だ」

フリアさん、本当に良かった・・・
レインさんの!?そう思い顔を上げ、一言一句逃さないようにする。
だけど、ただ一言だけだった。

『ごめんなさい、あなたを助けられなくて』

静かに頬を何かが伝った。
それが涙とわかったのは崩れ落ちて地面を見つめたからで。
私の方が言いたかった、ありがとうございましたと。
言いたかった、ごめんなさいと。

壊れたダムのようにあふれだす涙とわんわんと続く泣き声は暫く止まらなかった。
抱きしめてくれた研究員さんの温かさが、苦しかった。






そして予想通りの文面で来た書類を見た瞬間、合図で私は裏道から走り出す。
当分の間の食料とこの国の地図やサバイバルグッズ。
後ろは振り返らない、今振り返る分は昨日までで済ませてある。
この道を抜ければ、半分魔物の身体能力になっている私だから飛び越せる崖がある。
何度も運動所でテストを行った、右足で踏み飛べば余裕で超すことが出来る。

「っ、見えた!」

もう少し、そう思って僅かに口角が上がった瞬間。
腹部に何かが叩きこまれた。
痛みはそこまで無いが激しい嘔吐感に襲われる。

「かはっ...おえっ、ごほっ...ごふっ」

「いや〜ここまで上手くいくとはねぇ」

誰・・・?女の声...?

「研究員さんたちもご苦労なこって、自分たちが踊らされてるとも知らずにこんな金蔓を渡してくれるなんてねぇ」

逃げないとと思い体を動かそうとしたが、何か粉のようなものを振りかけられ、遠のいていく意識。
私の顔をのぞき込んだ相手はピエロの仮面を付けていた。

「さぁ〜て、たんまり儲けさせてもらいますよぉ狼ちゃん♪」






頭がズキズキする。
ぴちゃんと雫が水たまりに落ちる音、肌に触れる全く動きのない冷えた空気。
両腕を上に引き上げられるこの感覚、目を開けてるのに真っ暗な事で私はまた鎖で繋がれていることを思い知らされる。
カツッカツッという足音が近づいてくる、そして私の目の前で止まる。

「おや、起きたようだね狼ちゃん・・・わるいけど、ここの場所を見られたくないから目隠しさせてもらったよ」

私を殴った人と同じ声、暴れようとしてもじゃらじゃらと鎖で固定されていて体力の無駄だと思いおとなしくする。

「・・・誰なんですか」

相手はケタケタと道化師のような苛立つ言い方で話を進める

「だれだっていいさ、そうだねぇ・・・あえて言うなら君のご主人様かな。その体のことは知ってるよ〜報告書でしっかりと」

「・・・」

身代金とかではない、私の体が目的なのだろう。

「この国の貴族婦人達は旦那様が仕事で居なかったり騎士で遠征しててさぞ寂しがってるんだよぉ・・・んで、不倫するわけにもいかないから玩具で治めたりしてるんだけどどれもこれも値段が高くてねぇ、なかなか手を伸ばしてくれないのさ」

そのまま私が口をはさむ隙すら与えず話し続ける。

「そこに半分魔物ってだけでも話題性があるのにおちんちんまで付いちゃってる君が現れたのさ!で、なんだけど・・・そんな風にやっておいてアレだけどやはり商売というのは信頼関係が無いとダメだと思うんだ。」

ホントよくこんな風にしておいてそんな台詞言えるな・・・とあの人の口調真似して心のなかで毒づく

「だから、3つだ。3つだけ君の意見を聞き入れよう、ただし無理な願いを言ってこっちが跳ね返してもそれは1つになりますのでご注意あれ」

口の達者なピエロさんなことで。
しかしチャンスだ、ピエロさんがどんな考え方の持ち主なのか知るいい機会。
とりあえず逃してもらうというのは間違いなくアウト、試しに聞く事にしてはリスクが高過ぎる。
そうなると・・・。

「衣食住をしっかりと。これで3つになるなら食だけで構いません」

「そうだねぇ、食だけならいいかな。働きに応じて良い物食べさせてあげるよ」

「次は私の身体の保証をする事、刃物で切ったり骨を折ったり」

「あったりまえさ!大事な金蔓が傷ついてただの蔓になったら困るからねぇ!」

「最期は....しょ...」

「ん〜?」

「処女だけは・・・奪わないでください」

「・・・いいでしょう、処女のまま調教というのもなかなかな商品価値ですからね、お仕事は明日からです。おやすみなさい」



そう言うと釣り上げられていた鎖が緩み、ある程度自由に動けるようになったので数歩進み檻の柵にぶつかったのを確認した。
先ほどの女は離れていったようで足音が遠ざかっていく。
などと思っていたら両腕がものすごい勢いで先程まで居た場所に引き寄せられ、背中から壁にたたきつけられた。
右肩はともかく生身の左肩がものすごく痛い。

「ちなみにその腕の鎖は私が自由に動かせますし外れない限りは私の血で所有者なのは揺るぎないので、脱走などは・・・・おや、すみません目を隠していたのでそこまで動きまわらないと思っていました。なにぶん、あなたの私の命令で外せない目隠しと鎖は私も初めて使う道具なもので」

早歩きで戻ってきたピエロはうめき声をあげる私を見て少し困惑した声で言ってくる。

「お前、ぜってーいつか蹴り飛ばす・・・・そして道具を使う時は自分の視界内でやれ・・・」

「私自身ではなく商売人として肝に銘じさせてもらいます、ついでに口調が変わってますよ?それが素ですか?」

「私が愛した人の真似・・・よ」

「ワイルドな女性が処女のまま調教される・・・うら若き乙女なのもいいですがどちらがいいか・・・あなたにお任せします」

この人が一体どんな考えをしているのか私にはまだわからなかった、その不安要素が恐い。






ひんやりとした檻と違ってこの場は熱気で溢れている。
その熱気は火ではない、集まっている人の熱気を全裸の肌は感じ取る。
声の反響からして普通の部屋位の大きさに声の種類からして10人以上が集まっている。
そしてその人達は私の体を舐めまわすように見てきているのが目隠しされていても分かる。
両腕の鎖は恐らく左右の壁に伸びていて、首も動かせないように鎖が張り詰められている。
両足の鎖も音からして床とつながっていると思われる。
多分、十字架に貼り付けされたような格好になってるだろう。


部屋にいる人物達は口々に魔物になったら生えるのかしら、襲ってきたりしないのかしらだのあーだこーだと好きなように会話している。
男の人の声は一切聞こえない、全て女性だ。

「さぁ、貴婦人の皆様・・・初めて見る半魔物の少女に疑心暗鬼になるのはわかりますが大丈夫!この狼ちゃんは国の研究所でどのような行為が危険なのか調べつくされておりますので注意事項を守って遊んでいただければ安全でございます」

女達がざわざわとしている。

「まず、体には自由に触っていいです。鋭い爪は丸く切り揃えていますので引っかかれる危険性はありませんし鋼鉄が芯になっている猿轡を咬ませていますので噛み付かれる心配もありません・・・両手両足の鎖は私の意のままに調節できるため万が一の場合も安心でございます」

ただ、とピエロは付け加える。

「狼ちゃんとの契約でして・・・女性器、つまりおまんこには触れられないよう特殊な張物をしております、なので胸やペニス、アナルでお楽しみ頂くことをご了承くださいませ。皆様の手で魔物の娘を処女のまま全身を開発していくと思ってもらえれば楽しめるかと・・・」

ピエロが言い終えた瞬間、場の空気が変わった。
ふぅん、なるほど、それじゃぁなんてつぶやきが聞こえてくる。

「では、質問事項がありましたら私に・・・私が静止した場合、手をお止めくださることを約束していただければご自由に、狂乱の宴をお楽しみくださいませ...マダム達」

次の瞬間、私の周りをぞろぞろと囲っていくのがわかる。
お尻をいきなり細い指で鷲掴みにされびっくりして腰を前に突き出すと今度はおちんちんをさらりと撫でられ思わず引っ込める。
おほほとかケラケラと私の反応で周りが楽しんでいる。

「ねぇ、ピエロさんこの子射精はするの?」

「射精はしますが精子の入っていないドロドロとした透明の体液です。データによると3日間に渡って中出しされた女は妊娠も魔物化もしていないということですのでご自由に、お使いください」

「まぁ、3日も!?見た目通りケダモノなのね」

「私我慢できないわ・・・半年ぶりのセックスですもの」

「それでは私は胸を・・・」

「この子の反応が良かったらこの玩具、買わせてもらうわね」

「ありがとうございますマダム、その子でしたら狼ちゃんも絶叫するほど喜んでくださるでしょう」

何...なんなのこの人達!?
怖い。されることはわかっていても心が拒絶する。

両耳に舌を当てられる、胸を揉まれ、先端をどっちも吸い付かれる。
おちんちんの先に熱く柔らかい物に包まれていき、お尻の穴に冷たい何かを押し付けられ、ゆっくりとねじ込まれていく。
右手の肉球をくすぐられる、頬を、首元を舐められる。
数えきれない指が私の体を這いまわる。
拒絶して体を捻ればより強い刺激が逃げた先で待っていて、また逃げれば更に強い嫌な快楽が待っている。

そして次の瞬間、体内に深くねじ込まれた異物に私は絶叫し、周りは笑う。
こうして私の地獄の6年間は始まった。







ぴちゃんぴちゃんと牢屋の中の地下水に屋根からの水滴が落ちて波紋を広げる。
通気口から来る湿った空気で今日は雨かなと予想する。
檻の外をネズミが2匹通りすがった。一度噛み付かれそうになったから蹴り飛ばしたら私に構わなくなった。
脱走しようという意思がなければ鎖はかなりの長さで伸びて、私の動きを邪魔しない事がわかったので今日も運動する。
この鎖さえ無ければ今すぐでも檻を蹴破って逃げたいところなんだけどね、本当に忌々しい。
一度蹴破った事があったが、この鎖が私を簀巻きにしてそのままお仕置きのお仕事へと直行になった...あれ以来身体が檻を蹴ることを躊躇してしまう。

股を広げ、両足を一直線に伸ばして開脚運動をしたら、逆立ちしてその場で手を使って回転、1回転、2回転、3回転、4回転、5回転・・・そこで壁に足がぶつかり止まってしまう。
何年先か分からないがここを出たら足技の本を読まないと、昔読んだ本の名前だとカポェイラだったかしら。
ちなみに壁にぶつけた足は全く痛くない、ここにこさせられてから4年経った頃左足も獣になったのだ。
今では左腕と胴体と顔くらいしか毛が覆われていないところはない、コレで尻尾が生えたら唖然とするが。
あと22才になった体で変わったことといえば背ががっつり伸びて胸や尻もずいぶんデカくなったことだろうか?

結局あの日から一度も目隠しを取る機会はなく、アイツに本を読んでもらおうとしたら無駄に演技っぽく読むものだからムカついて止めさせたことがあった。
そんなこんなで仕事の時以外はこうして逆立ちしたり出来る範囲での運動が暇つぶしとなり運動能力も閉所でしか無いがある程度把握している。
試しに壁、天井、壁と連続三角跳びして地面に着地できた時は思わず笑ってしまった。

ドアの外からアイツの足音が聞こえてくる。
気にせず逆立ちを維持し続ける。

「また逆立ちですか、他にすることは無いのですか?」

「私を自由にしてくれたら走り回ったり気に食わないピエロの首を蹴り飛ばせるんだけどなぁ」

「ほほほ、ご冗談はその辺でお昼です。昨日の夜から犯され続けてお腹が空いたでしょう?」

「あのマダム・・・・というか使ってるアナルバイブをどうにかしてよ!なんで棘々ついてるのさ、お陰でおしり痛いわよ。あと尿道攻めなんて痛いだけじゃない、あんなもの部屋に置かないでよ」

「いやいや、あの棘々でお尻を穿られたり尿道をズポズポされると興奮するという人がいるんですよ」

「とんだマゾねその女と男は」

「媚薬を飲ませて発情させたあなたですよ」

「・・・・・・・・・アンタを蹴り飛ばす回数が2万4千飛んで3回になったわ」

「おやおや、今ので40回追加は酷すぎませんか?覚えていなくて墓穴を掘ったあなたの過失では?」

「うっさい、死ね、さっさとご飯よこせアホピエロ」

「その前に...どうぞ」

「・・・・コッ、右手は小指と親指、左手は・・・第二関節までしか曲げないとかセコい真似するんじゃないわよ」

「おやおや、クリック音のキレは今日も冴えていますね・・・私も芸として覚えたいところです。口から出したの反響具合で周囲の状態を把握するというその技術。その芸で結構稼げましたからねぇ」

「アンタも6年間ずっと目隠しで過ごせば?本気で目が見えなくなると体が必死こいて修得するよ」

「ご勘弁を、色の無い世界では宝石の美しさを知ることが出来ないではありませんか・・・お昼を渡しますよ」

カラカラと金属プレートの上に載せられたパンやサラダを鷲掴みで食べ、ポタージュスープをやけどしないようにコップを持って飲み込む。
今日も今日とて飯だけは美味いが、パンに違和感があった。

「この前と小麦の配合が違うわね、小麦関係でニュースあった?」

「本当に舌と鼻は利きますね、なんでもこの前の竜巻で貿易用通路に木が倒れてしまってふさがったせいで貿易が滞ってしまったとか」

「ふーん」

「さて、次の予約まで4時間あるのでしっかり休んでいてくださいよ」

「はいはい、1年前みたいなことはもうやらないわよ」

一度寝ぼけた顔で客の相手をしたらドSのマダムに接客態度がなっていないと言われ、尻穴を空気でふくらませるゴムボールで拡張されながらその場に居た全員に半日近くスパンキングされるという散々な目に遭わされた。
アレだけはもう勘弁願いたい。

ごろりと牢屋の隅に置かれたふかふかな布団に寝転ぶ。
疲れない程度に肉球を枕にして休もうとしたがふとあの人の事を思い出してしまう。
・・・もう、待っていないよね。
約束の時間から5年以上経ってるし。
誰かいい男の人を見つけて結婚してるかな?そうしたらもう子供とか居るのかな・・・?
あの人の子供か...撫でてあげたいけど私じゃ怖がられちゃうかな。
いかんいかん、思い出したらまた泣いてしまう、あのピエロにだけは泣いてる所を見られたくない。

布団を体に巻きつけて目を閉じて何も考えずに暗闇と布団の温かさに身を委ねて居るとすぅと意識は闇の中へ落ちていった。

ドゴォォォン!!!!

「〜〜〜〜ッ!?」

突然の爆音と振動に飛び跳ねるが巻きつけていた布団のせいで身動きが取れず、ゴロゴロと転がって布団から体を開放する。
壁を殴って振動と耳で察知するとこの建物ではなく、もっと大きな物が遠くで壊れたっぽいと感じた。
丁度その時バカピエロが私の前まで走ってきた。

「一体何があった!?」

「商売は潮時です、あなたを開放する時が来ました」

はぁ?と突然の事に口をあんぐり開けていると。

「何変な顔しているんですか。魔物が大群でこの国を攻めて来たんですよ、私まで毛むくじゃらの獣になりたくないですからね、秘密通路でさっさとおさらばです」

「イマイチ状況が・・・え、私・・・自由?」

私の背後でパチンと鎖が弾ける音がして、右手と左手が強引に引き寄せられる。
クリック音を出すと壁とつながっていた鎖が今は手錠のような感じで止められたのが分かる。

「はぁ・・・さっき話していた貿易の道、あれは魔物たちが人間の逃げ道を塞いでる最中だったんです。扉の側にあなたを捕まえた時の装備とこの6年間のお給料を入れておいたバッグがあります。あなたからみて右手に真っ直ぐ行った突き当りの壁、そこの一番右下のタイルを押せば一本道でこの国の外の洞窟につながってる道が出てきます。あなたの反響音探査なら出られるはずです」

息継ぎ以外何も千切れさせずに一気に言いたいことを言ったピエロはそのまま立ち去ろうとして、立ち止まった。

「勘違いしないでください、私はあなたという商品の働きに対して逃がす、金を渡す、持ち物を返すという給料を与えたのとあなたを連れて逃げるよりここで逃したほうが私の生存率が高いという計算の結果です。あなたという魔物にどこぞの女みたいに情が写ったりはしていませんのであしからず、それでは運が良ければまた別の国で」

「・・・行ってしまった、というか目隠しとこの鎖外してから行きなさいよ」

とりあえず地上が騒がしいので私も逃げることにした。
慣れていない通路だとクリック音でもまるで靄がかかったように見えづらかったが言われた通りの場所にリュックがあって軽く確認した結果あの時の荷物がそのまま入っていた。
がさりと手にあたった物を確認すると触れたことのないような紙幣の束が片手でやっとつかめるほどの厚さでビビった。

後は言われたとおりに動いたら隠し通路が出てきて丁寧に金を掛けられて作られたと触れただけで分かる通路を転ばないように慎重に進んだ。
体感時間で30分ほど経った頃、ざわざわと木の葉が風になびいてこすれ合う懐かしい音が聞こえてきた。

「外・・・なの?」

近くに立っている柱に左手を触れる。
ゴワゴワしていて、ピリッとした痛みが左手に来たので触って確認すると小さな破片が刺さっていた。
それを右手で抜いてちょっと考える。

「木だ・・・本物の木だ」

一歩踏み出す、固く、ザリザリとした冷たい感触が足裏の肉球に伝わる。

「土・・・」

目一杯、肺から全ての空気を吐き出して、一歩横にずれてからパンパンに膨れるまで吸い込む。
いろんな臭いがごちゃまぜになった空気。
外から取り込むんじゃなくて、新鮮な空気
頬を撫でる心地よい抵抗。

「風だ・・・」

どさっと荷物を置いて地面に寝転ぶ。
体全てで自然を味わう。

「本当に私、自由になったんだ・・・」

てっきり涙を流すと思っていたが嬉し涙より安心してゆっくりすることを体は選んでくれたようだ。

「あら?あららら?魔界が出来る所を見学に行くところだったけど・・・面白いもの見つけちゃった♪」

「っ!?誰!?」

直ぐ様飛び起きて構える。
あのピエロやっぱり私で遊んでいたか!?

「ワーウルフかと思えば尻尾はないし左手は人間だし、おまけに精が残っている・・・つついてしまえば傾いて戻らなくなる天秤みたいね」

私は何度も口からクリック音を出し、相手を探そうとする。
だが声が聞こえた方向に音を投げても返ってくるのは木々の影だけ。
咄嗟に両手の手錠を頭上でかち合わせて、その音を聞く。

「さっきから何をしてるの?」

背筋が一気に震え上がった。
一切の音を立てずこの女は私の背後に立ち、余裕綽々と声をかけてきた。
その声は心が湧き立つ程に、蕩けそうな程甘く感じた。
怖くなり思わず背後を蹴る、が空振る。

「私はサキュバス、通りすがりに見つけた人と獣の境目に立つものに愛を教える者よ♪」

「あっ、あっ...ふぅぁぁぁぁぁぁぁ♪」

手錠の鎖が空に向かって突き上げられ剥がすことが出来ない。
そのまま私の脇腹をなめらかな細い指が撫で上げる。
それだけで全身がぞくぞくと快楽に震え、絶頂してしまいそうになる。
怖い・・・本当にサキュバス、魔物なんだこの女は!
逃げ出さないと何をされるかわからない!

「あぁら、逃げちゃダメよ?ちゃんと気持ちよく・・・あら?」

腰に手を当てられ空いた手で身体のラインを上からなぞるように触れられ、いつの間にか股間に手が来ていた。

「やだ♪とってもいいものがあるじゃない♪ほーらおちんぽおっきくなぁれ♪おっきくなぁれ♪」

「くひぃぃぃぃぃん♪♪♪やぁ♪やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ♪」

途中までしか勃起していなかった筈なのに数回にぎにぎと触れられただけであの人とした時よりも興奮してしまいバキバキに勃起してしまう。
やめて!あの人との思い出をかき消さないで!

「ん〜半分人間でコレなんだからさっさと魔力入れてあげて見てみようかしら♪」

顔が近くに来て頭を撫でれれそうになるが首を動かして逃げる。
あの人以外に無闇矢鱈と撫でられてたまるか。

「やぁ...らめてぇ....」

「ま、いいわ...それじゃあ、いただきまぁす♪ぱくり♪」

左手の指をサキュバスに咥えられたと気づいた瞬間、体が爆ぜたように感じた。
左手が窯の中に突っ込んだかのように熱くなりゾワゾワと形が変わっていくのが分かる。
まるで左腕が女性器になってそこを責められてるような錯覚。

「きひぃぃぃ♪うでぇ...うでぇぇぇぇぇぇ♪」

その猫なで声が私の喉から発せられていると気づくのには暫くかかった。
私、こんな声♪だせるんだっ♪

「ん〜、もうちょっと入れなきゃダメかしら?じゃ、全力で行くわね♪」

今までの事が手加減だったと言いたいの?
無理....コレ以上されたら死んじゃう!

「ひっ...あ....ああああ.....」

左目が熱い、ドロドロに溶かされていく、目隠しが煩わしい、今すぐ取って左目を引っかきたい。
全身が液体になったみたいに、股間から全身に熱が伝わっていく。
そして背中が溶かした蝋を掛けられるように熱く、一点に集まっていく。
体から何かが飛び出しそうな感覚に恐怖と期待が練り合わさる。
更に胸も熱くなり、内側から揉まれるような感覚に意識が飛びそうになる

「でりゅ、なにか背中からでちゃうぅぅぅぅぅぅ♪おっぱいもあちゅいぃぃぃぃぃぃ♪」

ずるんと私のおしりよりいくらか上で生えたそれは外気に触れるだけで私を感じさせる。
勝手にバタバタと動くそれはふさふさしているのが脇腹に当たった時に気づいた。
更にぜぇぜぇと上半身を少し倒した時に左右のおっぱいが触れ合うのがわかった、大きくなったのだろうか・・・。
一つ一つが今までで最大級の快楽で、なんとか息を整えようとするが休ませようとしてくれない。

「ぷはっ、あらあら漸くワーウルフになってきたわね・・・それじゃあ・・・かぷっ」

「あ゛ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

おちんちんに歯を立てられ、痛みとかそういう物をすっぽかして快楽だけが雪崩れ込む。
他の所には一切流れてこない快楽、おちんちんただ一点に流し込まれる。

「むふっ、ほおひくなっへひた♪ほおひくなっへひた♪はひたいの?はひて、はひてっ♪」

「イグゥゥゥゥゥゥゥ!おちんちん爆発しちゃうゥゥゥ!!!!!♪」

「んぐ...んぐ、んぐ...んぐっ・・・・ん〜〜〜〜〜〜♪ぷはぁ、なにこれぇ♪精の味しないけどやけどしそうな位あっつくてドロドロぉ♪」

「もう...やらぁ...」

呂律が回らない、24時間ぶっ通しでアナルとおちんちんを責められ続けた時を数回繰り返し、一瞬に纏めたと言いたい快楽。

「なにいってるの?こんなにおちんぽバッキバキにさせちゃって・・・目隠ししてるからわからないかもしれないけどぉ、あなたのおちんちん倍くらいにおっきくなったわよ♪」

「えっ・・・」

「ほらっ、両手でしごけるわよ♪しこしこ♪」

「いぎぃぃぃん♪うそ、うそぉぉぉぉぉぉぉぉ♪」

確かに両手で握られている感覚があり、左右の手を上下別々の向きに扱かれている。
そのまま、また射精してしまう・・・扱かれる度に幾らでも吹き出してあの人に一度出だした回数を余裕で超えてしまう。
それが傍から見てどんな光景なのか想像しただけで、涙が止まらなくなる。

「ちょ、ちょっとなんで泣くのよ!こんなに気持ちよくなれたのに...ほら、邪魔だから手錠と目隠し外してあげるから」

サキュバスが指をぱちんと鳴らした途端、両手が自由になり、はらりと目隠しが取れる。
だけどそんなことはどうでもいい。

「こんな...こんなに大きくなったら愛してもらえない....」

「え?大丈夫よ〜、魔物娘になったらどんな姿をしていたって男の人に愛してもらえるのよ?なんならMな男性紹介してあげるから♪」

ばつんっ

と、私の中で何かがはじけ飛んでちぎれた気がした。
さっきまでの快楽の余韻が消し飛ぶ。

目は開けない。慣れてない視界より確実だから。
コッ 周りの状態を確認する。
思い出すのはあのアホピエロの言葉『ちなみにその腕の鎖は私が自由に動かせますし外れない限りは私の血で所有者なのは〜』
掴む、鎖を。
引き寄せる、枷の部分を。
腕の毛が生えていない所を噛み切り、枷に垂らす。

「ちょっと!?なにしてるの!?」

耳障りな声は無視する。
触れられないうちに枷のくぼみに手首を押し付け叫ぶ。

「私が新しい主だ、言うこと聞けこの鎖野郎!!!!!」

次の瞬間鎖は高速で動き、頭上にある太い枝を迂回してサキュバスの両腕それぞれに巻きつき腕を広げさせ拘束して立膝の状態に跪かせる
じたばたと暴れるが鎖は切れない。

「何なのよコレ!離しなさいよ、私は縛られるんじゃなくて縛るほうが好きなの!」

落ちていた目隠しを改めて目に当てて付ける。
長年付けていたからかしっくり来る。
思いっきり飛んで鎖を引き寄せる勢いでサキュバスの背後に立ち、両足首それぞれ折る気で踏みつける。
だが、全く手応えがないし痛がる様子もない・・・こんなに細いのにどれだけ頑丈なんだ魔物娘は。
私は魔物娘の足を踏んだまま肉棒の先端をサキュバスの尻穴に押し付ける。

「...まぁいいわ、しっかり絞りとってねとねと責めちゃうんだから」

だが私は亀頭を入り口に当てたまま自分で扱いてオナニーを始めた。
私がオナニーしていると気づいたサキュバスは頬を膨らませ講義する。
しかしそんなことはお構いなしに扱いて、発射する。
アナルにどくどくと注ぎ、入口付近にどぴゅっ♪とぶっかける。

「あぁん♪入り口もおしりもあっつぅぃ♪」

自分の体液を潤滑剤にして一気に根本までねじ込む。
ここからこいつの弱い所を探して気絶するまで犯してやろうと思ったが、考えが甘かった。
挿入した瞬間、私はイッてしまった。

「ぐぅうっ♪なっ、なにこれぇ...♪」

本当に私が入れたのはアナルかと疑いたくなり、確認するが確かにアナルだキュウキュウと入り口は締め付けて居るのは人間と変わらないが、その締め付けと中が問題だ。
まるで極上の膣の様に腸や肛門の筋肉が扱いてくるのだ、それも強すぎず弱すぎずキモチイイと思える絶妙な力加減で。
口で出した時よりも長く吐き出し続けてしまう。

「あらら、一回出してからなら長くやれると思った?残念ね、そんな付け焼き刃魔物娘には通用しないわよ?さぁ、鎖を解いたらもっとも〜っと気持よくしてあげる」

足がガクガク震える、立っているのが辛いほどキモチイイ。
このまま後ろに倒れて拘束をとけばもっと気持ちよく・・・・ダメだ。
私はサキュバスの背中に覆いかぶさるようにして、ちんこが抜けないようにピストンを始める。
腰をふる度に恐ろしいほどの快楽を叩きこまれ壊れた蛇口のようにどぷどぷどぷっと吐き出し続ける。

「んっ...ふぅん♪出し続けながら腰を振る、ってまるでワンちゃんみたい・・・ってワンちゃんだったか♪」

サキュバスの言葉には耳を一切貸さず腰を振り続ける。
どこだ、何処がこいつの弱点だ!?

「もう、諦めてくれないと私のお腹が膨らんじゃ..ぁん♪」

!?どこだ!?
さっき突いた所をもう数回突くが、違う!
ふと目に入ったのは、先端がハートを裏返したような形の尻尾・・・そういえばさっき私の乳首に触れて・・・あの位置にあるのは。

「こいつっ!!!コレが弱点か!」

弱点を見つけた私は覆いかぶさるのを止めて右手で尻尾の先端を私の体の中央に引っ張り、先端を口で咥えてフェラチオっぽいことをして、尻尾の中程は右腕で締め付けてのパイズリ、左手は根本を掴んで扱き上げる、とたんにサキュバスの反応が変わる。

「あひぃぃぃぃぃ!しっぽらめぇぇぇぇぇぇ♪わたひ、よわいのぉぉぉぉぉぉぉ♪イッ、クゥゥゥ♪」

だがこんだけヨガりながらも尻穴は恐ろしい程名器だししゃぶってるはずの私が逆に尻尾で嬲られていると錯覚してしまうのはサキュバスの恐ろしいところだと思った。
そのまま数回尻尾で絶頂させ、尻穴もとにかく強く奥を突いて一気に引き抜くのが一番感じると気づいた私は四つん這いになっているサキュバスを立ち上がらせてからサキュバスをM字開脚の格好で持ち上げて、そのまま落とすことにした。
何度も何度も喘いではビクビクと絶頂するサキュバスを見ても私は止める気にならなかった。

こいつは・・・こいつはっ!

「私が人間だったら、男を好きになっても愛されないって言いたいのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

魔物娘ならどんな体でも愛してもらえる!?じゃぁ人間でどんな体だったら男に愛してもらえる!?
人間でちんこが生えた身体じゃ愛してもらえないって言うのか!?
・・・ふざけるな、ふざけるなふざけるなぁああ!

「イケ、イッてしまえ!お前のケツ穴をガバガバにしてやる!!!」

「アヒィィ♪もうどりょどりょはいりゃにゃいぃ♪」

「お前の弱点を全部飲み込んでやるよ!」

「にゃぁぁぁぁぁぁ♪しっぽあにゃるにたべられちゃうぅぅ♪らめぇぇぇぇっ♪」

そコイツの尻尾を私のアナルで全て飲み込んでよがらせたり、またアナルを犯し続け、気づけば夜が明けていた。
6年間、軽く1000人以上に玩具で陵辱されつづけたアナルは、サキュバスの尻尾には勝てることがわかった・・・だからなんだと言われそうだが。

サキュバスの半分白目を向いて腹部が妊婦のように膨れ上がった姿を見て、ザマーミロと心のなかで罵るがそこで私の意識は途切れた。






目が覚めた時にはサキュバスはもう居なくて、手には紙が握らされていた。
洞窟の中に入り、目隠しをずらして細めで字を読み取る。

『擬似妊娠プレイ楽しかったわ♪素敵な魔物娘ライフを♪ あなたを魔物にしたサキュバスより♪』

思わず顔を手で覆い、外の木を背にしてもたれかかって崩れ落ちる。

「・・・あれだけやってもプレイなのかよ、魔物娘って...なんなの」

一応再起不能というかアナルにトラウマ植えつけるぞ、って気でやったんだけどな・・・。

私は立ち上がり、荷物をネトネトにしたくないので引きずって近くの川で体液を洗い落とし、服を着替えた。
荷物の中のブラは全くサイズが合わなくなっていた、このもみ具合とボリュームからするとHカップは余裕だろう。
仕方なく昔本で読んだ晒という方法で胸を隠す・・・なるほど、ある程度なら布が支えになって動きやすい。
ジパングという国の人はよく考えるものだ。
そしてズボンを履こうとしてまた顔手を当てる。

・・・ちんこが通常状態で以前の勃起サイズ並になっていた。
ふにょんふにょんだが、これはヒドイ。
着る服が一気に無くなった。
魔物娘に出会う度にちんこをぷらぷらさせていたら私の体力が持たない。
仕方なくナイフで胸とかサイズの合わなくなった服を引き裂き、股に巻きつけて、骨盤の位置で端を結んでそれで良しとする。
とりあえずこれで隠れてくれたか?

さぁ、どうしようか。
とりあえず考えついたのはフリアさんに会おうと思い、急いで街に向かう。
魔物娘ライフ・・・とあのサキュバスは書いていた。
ということは。






「やっぱり・・・」

私が居た城の城下町はすでに巨大な歓楽街となっていた。
屋根の上に立っていても360度から聞こえてくる喘ぎ声と水音。
男と女の合唱

とりあえず阿鼻叫喚の中、役所に行って調べたがフリアさんはすでにこの街から去っていた。
2年前にこの国を出て行ってしまったらしく、そこから先は調べることが出来なかった・・・窓口も盛り場になってたから。
他にもお世話になった研究員に皆さんの所へ行ってみたら物の見事に皆さん魔物娘化していて、

「しゅごいでしゅぅ♪こんなにきもちいいにゃらもっと早く魔物娘たちとあうべきでしたぁ♪」

「これからは、魔物娘がどんなに素晴らしいか私達がこの国の歴史に刻んでいこうと思います♪」

「が、頑張ってください・・・」

とりあえず、この国に私が腰を落ち着けるところはもうなさそうだったので旅立つことにした。
目隠しと枷はこのままにしようと思う。
今更お日様を見た所でまぶしすぎて当分は見れなさそうだし、枷の鎖も6m位なら伸ばして、先端をくいくいと動かせること、枷を打ち付けあうとキィィンと周囲全てを聞き渡せるいい音がなることもわかったから。

「さて、どうしようかな」

この分だとまずお父さんとお母さん探すのが早いかな、そうしたらフリアさんを探しながら・・・フリアさんが言ってた私を愛してくれる男の人でも探してみようと思う。
この体が言っている。
『人間と違って長いんだ、少しくらいゆっくり行ったって大丈夫だよ』
そんな風に私に言い聞かせるように。

しかし・・・両親が魔物になってることを考えると、再開した時に愛し合っている現場に出くわさないか心配に思えていた・・・。











〜数年後〜


「・・・なにこれ」

とある草原、目の前に不思議な物体が転がっていた。
寝息をたてぷーすかいってるそれは長めの楕円に見えて。
思わず目隠しをほんの少しずらし、それを見る。
ぶち模様の黒系の色をしたそれは昔図鑑で読んだアザラシそのものだった・・・いや、これはおそらく魔物娘か、人間っぽい顔あるし。

「しかし、アザラシって氷の海に居るんだろ・・・それの魔物娘がなんでこんな草っ原に・・・」

近くに潮の香りはしない、川は音が聞こえるがそれでも海から来てるものじゃない。

触れてみるとそれはゴワゴワしていながらもふにふにと柔らかく、だき枕にしたら最高だなぁと思わせるものだった。

「...ねぇそこのおっぱいが大きいワーウルフさん」

「きゃぁぁ!?び、びっくりしたぁ・・・」

寝ていたと思われるそれがいきなり声をかけてきてビビってしまった。

「私と一緒にお昼寝する?毛皮の中あったかいんだよ〜」

「いや、入れないだろ、私の大きさじゃ」

「びろーんって伸びるから大丈夫!」

ジジジジジとチャックが開く音がして、毛皮に入る入口を作ってくれたことが分かる。
入っていないのに見るからにぽかぽかとした感覚を教えてくれるそれは確かに顔だけ出して草の香りと頬を撫でる風邪を楽しむのには適した衣服に思えた。
...ちょっと、だけなら。

「失礼するわね...」

「どうぞ〜」

ジジジと自動で閉まるチャック。
この子の言うとおり毛皮はかなり伸びるようで私が入っても身体をある程度自由に動かすことが出来た。
魔物娘と向かい合うような形で密着しているがその気恥ずかしさよりも毛皮に包まれている暖かい心地よさが上回っていた。
不意におちんちんが魔物娘の身体に触れる。
しまったと思い腰を引くが特に何もしてこない。

「ワーウルフさんは私の顔見えてるの?」

「音の反響で形は分かるんだ、目は見えるんだが何年も暗い所に居てね陽の光を浴びるのは好きだが明るい世界が苦手なんだ、私はニミュ」

「音で分かるってすごいね!私はセルキーのティナ!・・・ねぇ、毛皮の中なら目隠し取れる?」

「よ、よろしく...まぁ大丈夫だと思うけど...」

この薄暗さなら目が焼けることもなさそうだ、久しぶりの視界を楽しむ事にする。
目隠しを取ると金色の髪をした美少女が目の前に居た。
瑞々しい唇と無垢な少女のようにキラキラとした瞳に思わず喉を鳴らしてしまう。
ティナに手袋を付けた手で股間を撫でられ、次に顔をぺたぺたと触られる。
お返しに少し触れてみるがなんというか・・・・人間?
触れた場所はどこも獣に関する部位がなかった。

「・・・みつけた」

他の魔物娘達みたいに面白がって犯されることを覚悟したが、ティナの言った言葉は全く違った。
真っ直ぐ私の目を見つめてくる、本当に久しぶりのことなのでドキドキしてしまう。

「ねぇ、一緒に来ない?私達暖かい所目指して旅してるの」

「え?」

言ってる意味がわからずぽかんと、口を開けっ放しにしてしまう。
一緒に来ない?私達?
そして近づいてくる足音、それを聞いたティナが毛皮のチャックを開き勢い良く顔を出す。

「ねぇ!このワーウルフさんと恋人になってよスコッド!」

「お前なぁ、他のカップルの愛しあいを手伝う次は俺と他の魔物娘が愛し合ってるのを手伝いたいのか?というかそのワーウルフ誰だよ!どっから拾ってきた!」

「失礼な!拾ってきたんじゃなくてお昼寝してたら側に居たの!」

この魔物娘、自分に恋人がいるのに恋人と私をくっつけようとしたのか!?
思わず片目だけ、目隠しをずらして魔物娘の方ではない声の主の顔を見る。
まぶしすぎてほとんど開けれないけれど、しっかりと見えた。
見える限りの予想でしか無いが、私と同じか僅かに背が低く(そもそも私が178cmあるのだが)しっかりと鍛えられている肉体とつんつんした黒髪に目元を隠す緑のバンダナ。
状況が飲み込めず動けない私をスコッドと呼ばれた男がぽんぽんと、頭を撫でる。

「わりぃな、コイツ俺の恋人なんだけど結構変わっててな。今の話は聞き流してくれ」

「あ、あぁ・・・」

「ちょっと、変わってるって何よー!」


頭を撫でられても嫌悪感は微塵たりとも感じられなかった。
その日から私は彼女らと共に歩むことになる。
これが歪な私を受け入れてくれる人々との出会いだった。










一本の糸が螺旋並びの糸に交わり、三つ編みの糸となりました。



>どこかへ続く。
15/04/22 06:28更新 / ホシニク
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■作者メッセージ
魔物娘図鑑を読んで、なんでハーピーとかはホットパンツ履いてるのに、ワーウルフは布切れだけに鎖と枷をつけてるんだろうか。
なんて思い、実はこういうことなのでは?という感じで書いてみました。

前編の感じ方と魔物娘になってからの感じ方の違いを感じ取ってもらえればそこはかとなく嬉しいです。
何処まで喘いでくれるんですかねぇ、魔物娘って。
精進あるのみです。


【魔法の枷と鎖】
元々は魔界のSM道具で、所有者が念じることで鎖の長さを自由に調整出来、枷から近ければちょうちょ結び位は結べる程度に操れる。
一応、鎖の連結を解いて腕を自由にすることも出来る。


【ニミュの目】
数年間目隠しされていたため光に過剰反応するようになってしまい、目隠しを外せるようになったがあえて付けたままにしている。
リハビリすれば普通に見えるようになるが、文字は日陰で見れば見えるし色もそこまで重要視していないので全方向の様子を知ることが出来る今を選んでいる。
欠点は高速で動いたり、ニミュが出す音に当たらずに音を発しないで動かれたら見失ったり居ることに気づけ無い事。

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