本音はわかってるんですよ?
・・・気が付くと、僕は車内で眠っていた。
外は雨。まるで自分の心境そのものだ。
時間は6時前、あたりは既に真っ暗だ。
そんなとき、仕事を終えた洋介から電話が掛かってきた。
「今日、うちの会社に来たらしいな・・・え、社長にアイツとの結婚を勧められたって?」
「うん、そうなんだ。事実だから反論はできなかったけど、『お前のスペックじゃ不採用』ってキッパリ言われたよ・・・正直、今メッチャ凹んでる。」
「まぁ、そう言うなって。あの社長は悪い奴じゃないんだからさ。現場を見聞きしていないからハッキリとは言えないが、むしろお前のためを思って言ってるんだ。そうだ、今からメシ行かねー?」
「おぉ、そうだな。今グラン(※)の屋上駐車場だわ。」
「そりゃまーわかりやすいところに。」
(※ここでは愛媛県を本拠地とするスーパーの大型店舗のこと。)
しばらくすると、やたらとヘッドランプの光が黄色いパジェロミニがやってきた。
HIDやLEDの純白や青白い光が流行る世の中にあって、使用が禁止された車両すらある(※)イエローハロゲンバルブ装着車は滅多に見かけない。あれは間違いなく洋介だ。
そして洋介も、同じくイエローバルブを装着する僕のミニカを見つけるのに苦労はしなかったようだ。
(※2006年以降製造された車両のヘッドランプが黄色いのは違法改造となるようです。)
さすがに雨の中屋上で降りるバカはそうそういないので下の階に停めなおしたのだが、洋介の方は他に二人乗っていた。一人目は以前会った・・・確か枝守さんって言ってたかな。そしてもう一人はフェム姉ちゃんだ。
その後、洋介の薦める店に行こうと言うことになった。
だが、その時・・・
「ふふっ、何かあっても私の保険が効くから大丈夫よ。」
なんと、フェム姉ちゃんが座ったのは運転席だったのだ。
・・・
なんというか、異常にエロい。
もちろん普通に運転しているだけなのだが、その仕草の一つ一つがエロい。
普段僕が座っているところに、今はフェム姉ちゃんのエロいケツが乗っかっている。
シートベルトはと言うとその大きな胸の谷間に挟まっている。
シフトノブの扱い一つとっても、まるで手コキでもしているかのようなエロさがあった。
冗談じゃないよ、全く。
そう言えば自分にとってはあまりにも当たり前すぎることなので最初は気が付かなかったのだが、あまりにも自然にMT車を乗りこなしている。
そのことを言っても、フェム姉ちゃんはこう答えるだけだった。
「あーくんとの距離を縮められたなら、"ほんのちょっと"頑張ってMT免許を取ってよかったと思ってますよ。運転に慣れてるのは、うちの会社ではMTのエルフやキャンターの構内移動が日常茶飯事だからですけどね。」
「はは、偶然にもそんな子が来てくれるなんてね。」
「それに、もしAT限定だったとしてもあーくんをお婿さんにするためなら限定解除なんて朝飯前です♪」
そう言われ、僕はボンッ、と音が聞こえそうなくらいに真っ赤になっていた。
この流れはまずい。確実に仕留める気だ。
「あ、そうそう。今日のお店は・・・」
「今日は私達のおすすめの焼肉店ですよ。あ、あーくんの払いについては私に任せてね。」
「え、それは・・・やっぱり店を・・・」
変えてくれ。流石にこれ以上フェム姉ちゃんに甘えるのは・・・
そう言おうとした途端、フェム姉ちゃんは僕の口に人差し指を当ててきた。
「あーくん。あなたは、『私があーくんの一生に責任を持つから、私とずっと一緒にいる』って言う契約下にいるのよ。この契約条件には、私があーくんを養い、甘えさせることも含まれているの。そこまでしてでも、私はあーくんを手元においておきたいわけ。だから、私に思いっきり甘えてね。」
・・・僕には、もう返す言葉はなかった。
そして、店についたときだった。
「やっほ〜、みんなお揃いで〜♪」
なんと、昼に見たあの刑部狸が先客としていたのだった。
その後は流れで5人での席になったのだが、社長はサテュロスの店員さんにとんでもないことを言いだした。
「それじゃいつものコースを5人前、それからあの二人にいつものあのボトルを。」
どうやら彼女はここの常連らしい・・・完全に顔パスだ。
しばらくして、5人分の肉と・・・
「ちょ、ちょっと社長さん!? これワインじゃないですか!?」
「そうよ〜。君達二人に、どうしても飲んでほしくてね。あ、代行はウチの奢りで呼んでおくから安心して。」
「はい、こちらは普段飲酒の習慣がない方でも飲めるようにアルコール分は低めになっております。とっても飲みやすいと好評ですよ。」
代行まで呼ぶとなれば、よっぽどこれを飲ませたいのだろう。
仕方ないので、フェム姉ちゃんと二人で飲むことにした。
・・・
ワインのボトルが半分ほど空になり、肉もだいぶなくなってきた頃。
酔っ払いと言うほどではないが、なんだか自分でもわかるくらいふわふわした感覚がある。そしてそれは、フェム姉ちゃんも同じだったようだ。
「はーい、あーくん。あーん。」
こんなやり取りも、もはや当たり前であるかのようにするようになっていた。
そして・・・まるで「おいしい?」とでも言うかのようなナチュラルさで、とんでもないことを言い出した。
「フェムエースの名において、私のかわいいあーくんに命じます。
『私は、あーくんに一生の安寧と快楽を約束します。だから、いまここで堕落して、これからずーっと私に甘えて暮らしなさい。』」
いつものように優しく・・・いや、いつも以上に甘く話すフェム姉ちゃん。
だけど、そうでありながら僕に拒否権を与えないような気迫があった。
そして、それはフェム姉ちゃんだけではなかった。
洋介も、枝守さんも、そして社長も僕が拒否することを許さなさそうだったのだ。
それでも、いつもの僕だったら戸惑っただろう。
しかし、今の僕はそうではなかった。
「ねぇ、お姉ちゃん・・・ぎゅーって、して?」
「あぁっ、もうっ!! かわいいっ!! もうぜーったい離さないからねっ!!」
「うんっ!! 僕、おねーちゃんにずーっと甘えてたいっ!!」
「うんっ、私のお婿さんはそれで良しっ! これからずーっと私に甘えてねっ!
私がお仕事頑張れるのは、あーくんが甘えてくれるからなんだからっ!!」
そして社長も、こう言い出した。
「よーっし!!また一組カップル成立ぅっ! ささっ、飲んで食べて! めでたいんだからさっ!
結局、僕は狸と悪魔の手の上で踊っていたということらしい。
まぁ、この狸と悪魔なら僕を悪いようにはしないだろう。
そんな、根拠もない安心感が僕を包んでいたのだった。
外は雨。まるで自分の心境そのものだ。
時間は6時前、あたりは既に真っ暗だ。
そんなとき、仕事を終えた洋介から電話が掛かってきた。
「今日、うちの会社に来たらしいな・・・え、社長にアイツとの結婚を勧められたって?」
「うん、そうなんだ。事実だから反論はできなかったけど、『お前のスペックじゃ不採用』ってキッパリ言われたよ・・・正直、今メッチャ凹んでる。」
「まぁ、そう言うなって。あの社長は悪い奴じゃないんだからさ。現場を見聞きしていないからハッキリとは言えないが、むしろお前のためを思って言ってるんだ。そうだ、今からメシ行かねー?」
「おぉ、そうだな。今グラン(※)の屋上駐車場だわ。」
「そりゃまーわかりやすいところに。」
(※ここでは愛媛県を本拠地とするスーパーの大型店舗のこと。)
しばらくすると、やたらとヘッドランプの光が黄色いパジェロミニがやってきた。
HIDやLEDの純白や青白い光が流行る世の中にあって、使用が禁止された車両すらある(※)イエローハロゲンバルブ装着車は滅多に見かけない。あれは間違いなく洋介だ。
そして洋介も、同じくイエローバルブを装着する僕のミニカを見つけるのに苦労はしなかったようだ。
(※2006年以降製造された車両のヘッドランプが黄色いのは違法改造となるようです。)
さすがに雨の中屋上で降りるバカはそうそういないので下の階に停めなおしたのだが、洋介の方は他に二人乗っていた。一人目は以前会った・・・確か枝守さんって言ってたかな。そしてもう一人はフェム姉ちゃんだ。
その後、洋介の薦める店に行こうと言うことになった。
だが、その時・・・
「ふふっ、何かあっても私の保険が効くから大丈夫よ。」
なんと、フェム姉ちゃんが座ったのは運転席だったのだ。
・・・
なんというか、異常にエロい。
もちろん普通に運転しているだけなのだが、その仕草の一つ一つがエロい。
普段僕が座っているところに、今はフェム姉ちゃんのエロいケツが乗っかっている。
シートベルトはと言うとその大きな胸の谷間に挟まっている。
シフトノブの扱い一つとっても、まるで手コキでもしているかのようなエロさがあった。
冗談じゃないよ、全く。
そう言えば自分にとってはあまりにも当たり前すぎることなので最初は気が付かなかったのだが、あまりにも自然にMT車を乗りこなしている。
そのことを言っても、フェム姉ちゃんはこう答えるだけだった。
「あーくんとの距離を縮められたなら、"ほんのちょっと"頑張ってMT免許を取ってよかったと思ってますよ。運転に慣れてるのは、うちの会社ではMTのエルフやキャンターの構内移動が日常茶飯事だからですけどね。」
「はは、偶然にもそんな子が来てくれるなんてね。」
「それに、もしAT限定だったとしてもあーくんをお婿さんにするためなら限定解除なんて朝飯前です♪」
そう言われ、僕はボンッ、と音が聞こえそうなくらいに真っ赤になっていた。
この流れはまずい。確実に仕留める気だ。
「あ、そうそう。今日のお店は・・・」
「今日は私達のおすすめの焼肉店ですよ。あ、あーくんの払いについては私に任せてね。」
「え、それは・・・やっぱり店を・・・」
変えてくれ。流石にこれ以上フェム姉ちゃんに甘えるのは・・・
そう言おうとした途端、フェム姉ちゃんは僕の口に人差し指を当ててきた。
「あーくん。あなたは、『私があーくんの一生に責任を持つから、私とずっと一緒にいる』って言う契約下にいるのよ。この契約条件には、私があーくんを養い、甘えさせることも含まれているの。そこまでしてでも、私はあーくんを手元においておきたいわけ。だから、私に思いっきり甘えてね。」
・・・僕には、もう返す言葉はなかった。
そして、店についたときだった。
「やっほ〜、みんなお揃いで〜♪」
なんと、昼に見たあの刑部狸が先客としていたのだった。
その後は流れで5人での席になったのだが、社長はサテュロスの店員さんにとんでもないことを言いだした。
「それじゃいつものコースを5人前、それからあの二人にいつものあのボトルを。」
どうやら彼女はここの常連らしい・・・完全に顔パスだ。
しばらくして、5人分の肉と・・・
「ちょ、ちょっと社長さん!? これワインじゃないですか!?」
「そうよ〜。君達二人に、どうしても飲んでほしくてね。あ、代行はウチの奢りで呼んでおくから安心して。」
「はい、こちらは普段飲酒の習慣がない方でも飲めるようにアルコール分は低めになっております。とっても飲みやすいと好評ですよ。」
代行まで呼ぶとなれば、よっぽどこれを飲ませたいのだろう。
仕方ないので、フェム姉ちゃんと二人で飲むことにした。
・・・
ワインのボトルが半分ほど空になり、肉もだいぶなくなってきた頃。
酔っ払いと言うほどではないが、なんだか自分でもわかるくらいふわふわした感覚がある。そしてそれは、フェム姉ちゃんも同じだったようだ。
「はーい、あーくん。あーん。」
こんなやり取りも、もはや当たり前であるかのようにするようになっていた。
そして・・・まるで「おいしい?」とでも言うかのようなナチュラルさで、とんでもないことを言い出した。
「フェムエースの名において、私のかわいいあーくんに命じます。
『私は、あーくんに一生の安寧と快楽を約束します。だから、いまここで堕落して、これからずーっと私に甘えて暮らしなさい。』」
いつものように優しく・・・いや、いつも以上に甘く話すフェム姉ちゃん。
だけど、そうでありながら僕に拒否権を与えないような気迫があった。
そして、それはフェム姉ちゃんだけではなかった。
洋介も、枝守さんも、そして社長も僕が拒否することを許さなさそうだったのだ。
それでも、いつもの僕だったら戸惑っただろう。
しかし、今の僕はそうではなかった。
「ねぇ、お姉ちゃん・・・ぎゅーって、して?」
「あぁっ、もうっ!! かわいいっ!! もうぜーったい離さないからねっ!!」
「うんっ!! 僕、おねーちゃんにずーっと甘えてたいっ!!」
「うんっ、私のお婿さんはそれで良しっ! これからずーっと私に甘えてねっ!
私がお仕事頑張れるのは、あーくんが甘えてくれるからなんだからっ!!」
そして社長も、こう言い出した。
「よーっし!!また一組カップル成立ぅっ! ささっ、飲んで食べて! めでたいんだからさっ!
結局、僕は狸と悪魔の手の上で踊っていたということらしい。
まぁ、この狸と悪魔なら僕を悪いようにはしないだろう。
そんな、根拠もない安心感が僕を包んでいたのだった。
16/12/03 21:04更新 / ぜろトラ!
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