それは、サプライズとともにやってきた。
・・・1年前。
僕には港湾関連の仕事をしている友人、HN「すかいい〜ぐる」こと舟石 洋介(ふないし ようすけ)がいる。
その洋介が、仕事中に大けがをしてしまったのだ。
基本的に乗り物全般が大好きでありクルマバカであるということもあり、僕と電話し始めれば2時間は話してしまう。そんな、僕としても話の合う貴重な存在だっただけにちゃんと復活できるか心配だった。
何せ骨折だけで・・・いや、生きていることさえ不思議な状況だったのだから。
そんな洋介も半年後には自ら運転できるレベルにまでは回復した。
そして今となっては、職場は違うモノの同じ仕事に復帰できる日も近いとのことだ。
本当に、奇跡である。
・・・とまぁ、そんなわけでアイツとは暇があれば長電話をしたり連んだりしていた。
そんな最中のクラブイベントで、こんな事を言いだした。
「俺もそろそろ、婚活しなくちゃなぁ・・・」
「嫁さんかぁ・・・自分はそれ以前に、女から嫌われるからなぁ・・・。」
しかし、僕はその時気が付かなかったのだ。
その時点で既に、僕が狙われていたことにーーーー。
・・・
数年前、大都市圏を中心に魔物娘と呼ばれる、これまで確認されていなかった生物群がこの国に現れた。
そして今や、四国地方の片田舎でも魔物娘は決して珍しくない存在になった。
デパートやショッピングモールにいるインフォメーションのお姉さんが実はサキュバスだったなんてのは序の口だ。ディーラーのピットには一人や二人必ずドワーフがいるし、オーガ系はガテン系から引っ張りだこ。自分がよくお世話になる解体屋にもいつの間にやらサイクロプスがいたお陰で、今では単眼にも慣れてしまった。
そして、このアニソンクラブイベントも例外ではなかった。
今や松山市では月平均2回はコスプレイベントが行われ、2ヶ月に1度はアニクライベントが行われるようになった。そんな二次元領域に、魔物娘達は一気に侵攻してきたのだ。正直、いくら何でもこんな片田舎に侵攻するのはだいぶ先だと思っていたのだが。
そう言えば以前こんぴらさん近辺で行われたイベントもやたら狐っ娘が多かった気がするが、今考えればあれもどこまでがコスプレだったんだろうと思う。
そして、そんなことを考えていると・・・
だいぶアルコールが入った「すかいい〜ぐる」が、気が付くと女と楽しそうに話している。
アイツは仕事柄内航船の船乗りとも交流があるが故、魔物娘に会う機会が多い為に慣れっこなのだ。
「よぉ、未来の船長! なかなか楽しそうに話してんじゃねーか〜♪」
「はじめまして〜♪ 私、唐笠おばけの羽山 枝守(はねやま えもり)です〜。あなたがお話のお方ですね。」
「まったく、お前って奴はこんな可愛い奴捕まえやがってうりうりー。」
「まだそんな関係じゃねーよ。それよりもぜろさん、枝守さんが友人をお前に紹介したいそうだ。おいおい、そう怪訝そうな顔せずに俺のこと信じろよ。うちの会社の事務員なんだから。」
そう言うと、僕達三人の元に青い肌のナイスバディなお姉様がやってきた。
「それじゃ・・・ほら。」
その彼女を見たとき、僕は目をまん丸くしてしまった。
その衣装が、とんでもなく僕の持ちキャラと似ているのだ。
「はじめまして。私、デーモンのソニカ・フェムエース(Sonica Famaith)っていいます。今回はあなたの「ユミ・Lantuous・オクヤマ」さんの衣装を作らせて頂きました。
事前の許可を得るのを忘れておりましたことと、それから未完成であることを・・・ここにお詫び申し上げます。」
・・・そう言われた瞬間、僕はそのコスに身を包んだソニカ・フェムエースと名乗る魔物娘に見とれていた・・・
だってあまりにもエロいのだ。思わずヤりたいと思ってしまうには十分なほどに。
元来青肌キャラには抵抗があるほうではあったのだが、それがもはやどうでも良くなってしまうほどに。
「イイっ!! イイよソニカさんっ!!まさかこんな事になるなんて、すっごく感激ですっ!!」
あまりの感激に、遂に言ってしまった一言。そして次の瞬間。
「嬉しい—-っ!! あなたにここまで喜んで貰えて、苦労して作った甲斐がありました—-っ!!」
そう叫びながら、彼女が僕をハグしてきた。
その結果、その大柄のナイスバディと密着させられてしまう。
そして、そうなった瞬間・・・僕の血液は、頭と股間に集中してしまったのだった。
「・・・ふふっ。私で勃たせてくれてるのね。すっごく嬉しいわ。」
そう、彼女は僕の耳元で囁いた。
================================
・・・そして、夜2時半。
熱く盛り上がったイベントが終了し、会場は静けさを取り戻した。
いつもなら、この後は洋介とその連れとでラーメン店やコンビニなんかでダベってたりするのがお決まりだ。
しかし、この日は違っていた。
「おいおい、せっかくソニカさんがいるんだから何も男三人でダベる必要なんか無いだろ。」
「そうだぞー。せっかくだから二人で・・・だな。」
そう言うと、枝守さんを含む3人は僕とソニカさんから逃げるかのように早々と退散してしまったのであった。
・・・
僕は、クルマを止めてあったパーキングメーターに向かっていた。
このパーキングメーターは偶然にもイベント開始時刻頃から翌朝まで、無料駐車場として開放されるのである。
・・・結構「ハコ」から距離はあるはずなのだが、ソニカさんは最後まで僕に付いてきた。
「・・・一体どこまで付いてくるおつもりなんです?」
「・・・はわっ、ごめんなさい!!! じつは、もっともっと私の姿を見て欲しくて、その、私の家にお招きしたいなと思ってて、でもなかなか声を掛けられなくて・・・。」
WHAT THE FxxK!?
彼女ほどの美女が、僕を家に招きたい!?
普通なら、これは警戒するところだろう。
しかし、今回は違う。何せ、彼女は洋介にとっては同僚で何度も顔を合わせている。
つまり彼女を受け入れないと言うことは、アイツを信用しないと言うことなのだ。
一抹の不安は残るモノの、洋介への信頼がそれを上回ったのだ。
「わかりました、行きましょう。」
そう言って、僕はナビ側のドアを開いて彼女を迎え入れたのだ。
・・・
・・・しかし、しかしだ・・・。
「何と言うか、この車にあなたを乗せてしまうことに多少の申し訳なさを感じてしまいますね・・・」
なにせ、まず16年落ち15万kmの軽だということだ。
しかもこのH42Vミニカって奴は、新規格車のくせにエアコン付きの新車で60万円を切るグレードすらあったのだ。
そしてそのグレードこそが、今自分が乗っているそれなのである。
・・・え、購入価格? 車検残存期間分を差し引いた車両本体の価値はガチ勢のミニ四駆より安いな、間違いなく。買った時には11万kmだったし。
・・・今や軽自動車には、それこそカローラやアリオンといった2〜3クラス上の車種より豪華なものは普通にある。
それだけに、語弊を恐れずに言えば軽ボンネットバンなんて言うのはカネの持ってる奴はそうそう乗らないのである。
ではなぜバンを指名買いしたのかというと、ズバリ税金が半額だからである。
僕は元来、友達が少ない方だ。だから、リアシートの必要性はとにかく低い。
だから「使いもしないモノに高い税金を払う必要はない」と言う結論に至ったのだ。
当然、バン故の、廉価グレード故の代償もある。内装もそれ相応なのだ。
おまけに痛車。それもDIYなのでアラも目立つ。
それに・・・
「そんなこと、気にしないでいいわよ。私は、『あなたの横に座れる』のが嬉しいんだから。」
・・・そこらのデパートの受付嬢なんか比べものにならない、セクシーかつ品のあるスマイルを見せられては、それ以上は何も言えなかった。
「家に着いたら、早速交わりましょうね。」
「・・・え!?」
「ふふっ。真に受けちゃって。」
僕には港湾関連の仕事をしている友人、HN「すかいい〜ぐる」こと舟石 洋介(ふないし ようすけ)がいる。
その洋介が、仕事中に大けがをしてしまったのだ。
基本的に乗り物全般が大好きでありクルマバカであるということもあり、僕と電話し始めれば2時間は話してしまう。そんな、僕としても話の合う貴重な存在だっただけにちゃんと復活できるか心配だった。
何せ骨折だけで・・・いや、生きていることさえ不思議な状況だったのだから。
そんな洋介も半年後には自ら運転できるレベルにまでは回復した。
そして今となっては、職場は違うモノの同じ仕事に復帰できる日も近いとのことだ。
本当に、奇跡である。
・・・とまぁ、そんなわけでアイツとは暇があれば長電話をしたり連んだりしていた。
そんな最中のクラブイベントで、こんな事を言いだした。
「俺もそろそろ、婚活しなくちゃなぁ・・・」
「嫁さんかぁ・・・自分はそれ以前に、女から嫌われるからなぁ・・・。」
しかし、僕はその時気が付かなかったのだ。
その時点で既に、僕が狙われていたことにーーーー。
・・・
数年前、大都市圏を中心に魔物娘と呼ばれる、これまで確認されていなかった生物群がこの国に現れた。
そして今や、四国地方の片田舎でも魔物娘は決して珍しくない存在になった。
デパートやショッピングモールにいるインフォメーションのお姉さんが実はサキュバスだったなんてのは序の口だ。ディーラーのピットには一人や二人必ずドワーフがいるし、オーガ系はガテン系から引っ張りだこ。自分がよくお世話になる解体屋にもいつの間にやらサイクロプスがいたお陰で、今では単眼にも慣れてしまった。
そして、このアニソンクラブイベントも例外ではなかった。
今や松山市では月平均2回はコスプレイベントが行われ、2ヶ月に1度はアニクライベントが行われるようになった。そんな二次元領域に、魔物娘達は一気に侵攻してきたのだ。正直、いくら何でもこんな片田舎に侵攻するのはだいぶ先だと思っていたのだが。
そう言えば以前こんぴらさん近辺で行われたイベントもやたら狐っ娘が多かった気がするが、今考えればあれもどこまでがコスプレだったんだろうと思う。
そして、そんなことを考えていると・・・
だいぶアルコールが入った「すかいい〜ぐる」が、気が付くと女と楽しそうに話している。
アイツは仕事柄内航船の船乗りとも交流があるが故、魔物娘に会う機会が多い為に慣れっこなのだ。
「よぉ、未来の船長! なかなか楽しそうに話してんじゃねーか〜♪」
「はじめまして〜♪ 私、唐笠おばけの羽山 枝守(はねやま えもり)です〜。あなたがお話のお方ですね。」
「まったく、お前って奴はこんな可愛い奴捕まえやがってうりうりー。」
「まだそんな関係じゃねーよ。それよりもぜろさん、枝守さんが友人をお前に紹介したいそうだ。おいおい、そう怪訝そうな顔せずに俺のこと信じろよ。うちの会社の事務員なんだから。」
そう言うと、僕達三人の元に青い肌のナイスバディなお姉様がやってきた。
「それじゃ・・・ほら。」
その彼女を見たとき、僕は目をまん丸くしてしまった。
その衣装が、とんでもなく僕の持ちキャラと似ているのだ。
「はじめまして。私、デーモンのソニカ・フェムエース(Sonica Famaith)っていいます。今回はあなたの「ユミ・Lantuous・オクヤマ」さんの衣装を作らせて頂きました。
事前の許可を得るのを忘れておりましたことと、それから未完成であることを・・・ここにお詫び申し上げます。」
・・・そう言われた瞬間、僕はそのコスに身を包んだソニカ・フェムエースと名乗る魔物娘に見とれていた・・・
だってあまりにもエロいのだ。思わずヤりたいと思ってしまうには十分なほどに。
元来青肌キャラには抵抗があるほうではあったのだが、それがもはやどうでも良くなってしまうほどに。
「イイっ!! イイよソニカさんっ!!まさかこんな事になるなんて、すっごく感激ですっ!!」
あまりの感激に、遂に言ってしまった一言。そして次の瞬間。
「嬉しい—-っ!! あなたにここまで喜んで貰えて、苦労して作った甲斐がありました—-っ!!」
そう叫びながら、彼女が僕をハグしてきた。
その結果、その大柄のナイスバディと密着させられてしまう。
そして、そうなった瞬間・・・僕の血液は、頭と股間に集中してしまったのだった。
「・・・ふふっ。私で勃たせてくれてるのね。すっごく嬉しいわ。」
そう、彼女は僕の耳元で囁いた。
================================
・・・そして、夜2時半。
熱く盛り上がったイベントが終了し、会場は静けさを取り戻した。
いつもなら、この後は洋介とその連れとでラーメン店やコンビニなんかでダベってたりするのがお決まりだ。
しかし、この日は違っていた。
「おいおい、せっかくソニカさんがいるんだから何も男三人でダベる必要なんか無いだろ。」
「そうだぞー。せっかくだから二人で・・・だな。」
そう言うと、枝守さんを含む3人は僕とソニカさんから逃げるかのように早々と退散してしまったのであった。
・・・
僕は、クルマを止めてあったパーキングメーターに向かっていた。
このパーキングメーターは偶然にもイベント開始時刻頃から翌朝まで、無料駐車場として開放されるのである。
・・・結構「ハコ」から距離はあるはずなのだが、ソニカさんは最後まで僕に付いてきた。
「・・・一体どこまで付いてくるおつもりなんです?」
「・・・はわっ、ごめんなさい!!! じつは、もっともっと私の姿を見て欲しくて、その、私の家にお招きしたいなと思ってて、でもなかなか声を掛けられなくて・・・。」
WHAT THE FxxK!?
彼女ほどの美女が、僕を家に招きたい!?
普通なら、これは警戒するところだろう。
しかし、今回は違う。何せ、彼女は洋介にとっては同僚で何度も顔を合わせている。
つまり彼女を受け入れないと言うことは、アイツを信用しないと言うことなのだ。
一抹の不安は残るモノの、洋介への信頼がそれを上回ったのだ。
「わかりました、行きましょう。」
そう言って、僕はナビ側のドアを開いて彼女を迎え入れたのだ。
・・・
・・・しかし、しかしだ・・・。
「何と言うか、この車にあなたを乗せてしまうことに多少の申し訳なさを感じてしまいますね・・・」
なにせ、まず16年落ち15万kmの軽だということだ。
しかもこのH42Vミニカって奴は、新規格車のくせにエアコン付きの新車で60万円を切るグレードすらあったのだ。
そしてそのグレードこそが、今自分が乗っているそれなのである。
・・・え、購入価格? 車検残存期間分を差し引いた車両本体の価値はガチ勢のミニ四駆より安いな、間違いなく。買った時には11万kmだったし。
・・・今や軽自動車には、それこそカローラやアリオンといった2〜3クラス上の車種より豪華なものは普通にある。
それだけに、語弊を恐れずに言えば軽ボンネットバンなんて言うのはカネの持ってる奴はそうそう乗らないのである。
ではなぜバンを指名買いしたのかというと、ズバリ税金が半額だからである。
僕は元来、友達が少ない方だ。だから、リアシートの必要性はとにかく低い。
だから「使いもしないモノに高い税金を払う必要はない」と言う結論に至ったのだ。
当然、バン故の、廉価グレード故の代償もある。内装もそれ相応なのだ。
おまけに痛車。それもDIYなのでアラも目立つ。
それに・・・
「そんなこと、気にしないでいいわよ。私は、『あなたの横に座れる』のが嬉しいんだから。」
・・・そこらのデパートの受付嬢なんか比べものにならない、セクシーかつ品のあるスマイルを見せられては、それ以上は何も言えなかった。
「家に着いたら、早速交わりましょうね。」
「・・・え!?」
「ふふっ。真に受けちゃって。」
15/09/26 01:24更新 / ぜろトラ!
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