シルクルート1「ねぇちゃんと一緒」
歓迎会の朝、起きるのは俺が一番遅かったらしくシルクねぇちゃん以外は出払っていた
とはいえ時計を見るとまだ9時前だったので、そこまで寝坊したわけじゃないが
「おはよー、ねぇちゃん」
「…ん、おはよう」
眠い目をこすりながらねぇちゃんに挨拶をしに行く、俺も家事を手伝わなきゃいけない
「…寝癖、ついてるよ」
「あぁ、そんなん気にせんとも…」
「…ダメ」
ちょいちょいと手ぐしで寝癖を直してもらってしまった
「…ん、かっこよくなったね」
「あ、ありがとう…」
ねぇちゃんの言うことにドキッとする、真顔で言うから冗談なのかマジなのか分からないので困る
「…まだ眠い?…眠いなら寝てて大丈夫だからね」
「いやいや、大丈夫やで」
「…ん、いい子なの」
撫でられてしまった
「…はい、朝ごはん」
「おぉ、朝ごはん作ってくれてたんか」
美味しそうなサンドイッチを渡された、昨日の料理を見る限り期待できる
「…ただの材料切って挟んだだけだから、そんな期待しないで」
「いやいや、ねぇちゃんの作ったもんやからな」
どうやら顔に出てしまっていたらしい、ねぇちゃんが恥ずかしそうに頭の触覚をピクピクさせる
昔から顔には出ないが行動にはよく出る人だ
「…もう、早く食べちゃうの」
「はーい…うん、やっぱり美味しいなぁ」
隠し味か何かあるのかサンドイッチとは思えない味わい深さだ
「ねぇちゃんは今日大学休み?」
「…ん、休講だって」
「確か…魔界史専攻やったっけ?ねぇちゃんの所は」
魔界史…文字通り魔界の歴史や魔界、魔物について詳しく学ぶ科目だ、かく言う俺も研究施設にいる時にある程度やったっけなぁ
「…最近は人間の生徒が増えたって、教授が言ってたの」
「まぁ、魔物関係の研究職に就くなら学んどいて損ないしなぁ」
ねぇちゃんは将来そういう職に就くつもりだろうか
「そういえばねぇちゃん、俺これから暇だし家事とか手伝うことない?」
「…もう今できる家事は全部やっちゃったから、特にない」
「ぐぬぬ…」
「…家事は気にしなくていい、お姉ちゃんがいるんだから」
撫でられてしまった、いやいやねぇちゃんに甘やかされている場合じゃない
「いやそういうわけにはいかんって、俺もねぇちゃんの力になりたいんや!」
「…たくま、えらいえらい♪」
また撫でられてしまった
「い、いやだからな?えらいとかじゃなくて…」
「…じゃあ、今から夕飯の買い物あるから…一緒に行こ?」
「おぉ、荷物持ちくらいは出来るし任せといてな!」
「…ふふっ、そんなに気張らなくていい」
ねぇちゃんが小さなポーチを持ってくる、財布とかが入ってるらしい
「じゃあ行こ?」
「あぁ!」
外に出るといい天気だった、絶好の外出日和だと言えるだろう
「んー、ええ天気やな」
「…お布団干すのにちょうどいいの」
確かにベランダに布団が干してあった、流石だなぁ
「買い物って駅近くでするの?」
「…でもいいけど少し遠いから、夕飯の買い物くらいなら近くの商店街に行こ」
そういえば近くに商店街があったような気がする、小さい頃によく行ったと思うが残念ながら大して覚えていない
「商店街か…」
「…たくま、商店街覚えてない?」
「何分昔やからなぁ、少しだけ覚えているような気も…」
「…じゃあ商店街までの道は?」
「えーと、確かに家から出て…右、いや左やったかな?」
「…たくま、迷子になっちゃう」
ぎゅっと片手を握られる
「ね、ねぇちゃん?」
「…迷子にならないように、手ぇ握っててあげる」
いや、今この歳で迷子だなんて…
「そんな、この歳で迷子になんてならんよ」
「…でもたくま、道間違えてた。…商店街は家からまっすぐだよ?」
「な、なんと…」
うーん、全然覚えてなかったようだ
「…お姉ちゃんの手、離したらダメだよ?」
「…はいはい」
まぁ、ねぇちゃんと手を繋ぐなんて久しぶりだから…
「あれ、ねぇちゃん…手小さくなった?」
「…たくまが大きいの」
そうか、10年も経てば手の大きさも変わるよなぁ…昔はねぇちゃんの方が背も手の大きさも大きかったんだけど
「…たくまが大きくなって、ちょっぴり寂しい」
「ねぇちゃんってマンティスやけど、結構感情出やすいよね」
「…マンティスは顔に出ないだけ、結構正直なの」
「その手の鎌って使ったことあるん?」
「…庭の手入れに便利」
マンティスらしいのか、らしくないのか分からない使い方だ
「その鎌で獲物とか取るイメージなんやけどなぁ」
「…このご時世、獲物なんていないもの」
そりゃそうか、食料は買えるし…都市で使う必要が無いんだもんなぁ
「…ん、商店街着いたよ」
「おぉ…なんとなく覚えてるような気がするで!」
少しだけ覚えている、昔にねぇちゃんと二人で商店街に遊びに行ったことがあった
で、ねぇちゃんからはぐれて迷子になって…しばらくしたらねぇちゃんが見つけてくれた
それから2人のときはいつも迷子にならないようにっていつも手を繋いでくれていた…懐かしい子供時代の記憶だ
(今も昔も変わらないんやなぁ…)
「…たくま、こっちだよ」
「ん、あぁ…」
最初に寄るのは八百屋さんのようだ
「いらっしゃい!…おや、志賀さんのところのシルクちゃんじゃないか!横のは彼氏か!?」
気さくなおじさんがねぇちゃんに話しかけ始めた
「…おじさん、たくまだよ」
「おぉ、志賀さんのところの坊ちゃんだったか!」
「…ん、昨日帰ってきたの」
「それはめでたい!よーし、これ持って行きな!」
八百屋のおっさんが野菜の詰まった袋をねぇちゃんに渡す
「…ありがと」
「いいってことよ!」
他にも商店街の店を回っていたら色々話しかけられては色々もらっていた、ねぇちゃんはどうやら商店街で人気者らしい
「いっぱい貰ったなぁ…」
「…家計が助かるの」
俺らの家は大人数だから向こうからしたらお得意様なんだろう、それにしてもサービス精神旺盛だ
まぁねぇちゃんはすごく美人だし、俺も店側だったらサービスをするだろう
「てかねぇちゃん、荷物持ちのために俺を連れたんやないの?荷物をねぇちゃんが持ってちゃ意味ないやろ」
「…たくまには重いと思う」
確かに人間は魔物に比べて身体能力が低いというのは周知の事実だが、それでも年頃の男の俺が荷物を全部ねぇちゃんに持たせるというのは…
「…それに、荷物持ちだけじゃないの」
「え?」
「…私が、たくまとお出かけしたかったの。」
この人はなんでこうドキッとするようなことを普通に言うのか…チェリーな俺には厳しいものがある
「だ、だったら尚更俺が荷物持つで…こういうのは男の役目やから」
「…でも」
「お願いお姉ちゃん!」
「っ!…し、しょうがない子なの」
そういって頭を撫でながら荷物を渡してくれるねぇちゃん、これ使えるな…
「…重いから気をつけて」
「確かに重いかも知れないけど、これくらいなら大したことないで」
「…頼もしくなった」
ねぇちゃんと二人で歩きながら帰路につく、買い物は終わったみたいだ
「…そういえば最近、ひったくりが増えてるらしい」
「へぇ、物騒やなぁ」
「…心配しないで、私が守ってあげる」
「いや、そんな大袈裟な…」
「…私の側から、離れちゃダメだよ」
荷物を持っている方と反対の腕にギュッと腕を組まれる
大きめの胸の柔らかい感触が腕に伝わる
(うわぁぁぁ柔らかいぃぃぃぃ)
「…たくま、どうしたの?」
「い、いやなんでもないで…さっさと帰ろうか?」
「…うん」
胸の感触を感じながら歩くのも束の間、後ろからの悲鳴にそんな考えはかき消された
「ひったくりよー!」
「げっ、マジで出るんかいな!」
まさかこんな白昼堂々とひったくりをするやつがいるとは…
バイクでバッグをひったくってこちらに走ってきている
「マズい、警察警察!」
「…ふっ!」
俺が携帯を出そうとするより早く、飛び出したねぇちゃんの鎌がひったくりのバイクを切り刻む
(うぉっ、ねぇちゃんが鎌使ってるところ初めて見た…!)
バイクだけを切り刻み、あくまでひったくり犯には傷一つつけていない
あれがマンティス本来の姿なのか…
「く、くそっ!」
バイクから落ちたひったくり犯がねぇちゃんから逃げるようにこちら側に逃げてくる
「オラどきやがれぇ!」
「おぉっ!?」
あっちも捕まらないように必死なのかすごい形相で走ってくる、バイクから落ちたというのに元気だ
「…させない!」
ひったくり犯がこっちに来るより早く、ねぇちゃんの鎌がひったくり犯を抑えつける
「ぐぇっ!」
「…たくま、無事!?」
「ね、ねぇちゃん助かったわ…だけどこいつどうするの?」
「…よかった、警察に連絡して」
…
警察にひったくり犯を突き出して、ひったくりされた人から礼を言われてやっと帰ることができた
「やっと帰れるなぁ、ねぇちゃん」
「…ん」
さっきからねぇちゃんに元気がないようで、返事も上の空だし触覚も下がり気味だ
でも手はしっかりと、というより今までより強く握られている
「ねぇちゃん?どないしたん、さっきからぼーっとして」
「…なんでもない」
「そうか…」
「…ん」
結局ねぇちゃんは何も話してくれないまま、家に帰ってきてしまった
絶対何かあったはずなんだけどなぁ…
とはいえ時計を見るとまだ9時前だったので、そこまで寝坊したわけじゃないが
「おはよー、ねぇちゃん」
「…ん、おはよう」
眠い目をこすりながらねぇちゃんに挨拶をしに行く、俺も家事を手伝わなきゃいけない
「…寝癖、ついてるよ」
「あぁ、そんなん気にせんとも…」
「…ダメ」
ちょいちょいと手ぐしで寝癖を直してもらってしまった
「…ん、かっこよくなったね」
「あ、ありがとう…」
ねぇちゃんの言うことにドキッとする、真顔で言うから冗談なのかマジなのか分からないので困る
「…まだ眠い?…眠いなら寝てて大丈夫だからね」
「いやいや、大丈夫やで」
「…ん、いい子なの」
撫でられてしまった
「…はい、朝ごはん」
「おぉ、朝ごはん作ってくれてたんか」
美味しそうなサンドイッチを渡された、昨日の料理を見る限り期待できる
「…ただの材料切って挟んだだけだから、そんな期待しないで」
「いやいや、ねぇちゃんの作ったもんやからな」
どうやら顔に出てしまっていたらしい、ねぇちゃんが恥ずかしそうに頭の触覚をピクピクさせる
昔から顔には出ないが行動にはよく出る人だ
「…もう、早く食べちゃうの」
「はーい…うん、やっぱり美味しいなぁ」
隠し味か何かあるのかサンドイッチとは思えない味わい深さだ
「ねぇちゃんは今日大学休み?」
「…ん、休講だって」
「確か…魔界史専攻やったっけ?ねぇちゃんの所は」
魔界史…文字通り魔界の歴史や魔界、魔物について詳しく学ぶ科目だ、かく言う俺も研究施設にいる時にある程度やったっけなぁ
「…最近は人間の生徒が増えたって、教授が言ってたの」
「まぁ、魔物関係の研究職に就くなら学んどいて損ないしなぁ」
ねぇちゃんは将来そういう職に就くつもりだろうか
「そういえばねぇちゃん、俺これから暇だし家事とか手伝うことない?」
「…もう今できる家事は全部やっちゃったから、特にない」
「ぐぬぬ…」
「…家事は気にしなくていい、お姉ちゃんがいるんだから」
撫でられてしまった、いやいやねぇちゃんに甘やかされている場合じゃない
「いやそういうわけにはいかんって、俺もねぇちゃんの力になりたいんや!」
「…たくま、えらいえらい♪」
また撫でられてしまった
「い、いやだからな?えらいとかじゃなくて…」
「…じゃあ、今から夕飯の買い物あるから…一緒に行こ?」
「おぉ、荷物持ちくらいは出来るし任せといてな!」
「…ふふっ、そんなに気張らなくていい」
ねぇちゃんが小さなポーチを持ってくる、財布とかが入ってるらしい
「じゃあ行こ?」
「あぁ!」
外に出るといい天気だった、絶好の外出日和だと言えるだろう
「んー、ええ天気やな」
「…お布団干すのにちょうどいいの」
確かにベランダに布団が干してあった、流石だなぁ
「買い物って駅近くでするの?」
「…でもいいけど少し遠いから、夕飯の買い物くらいなら近くの商店街に行こ」
そういえば近くに商店街があったような気がする、小さい頃によく行ったと思うが残念ながら大して覚えていない
「商店街か…」
「…たくま、商店街覚えてない?」
「何分昔やからなぁ、少しだけ覚えているような気も…」
「…じゃあ商店街までの道は?」
「えーと、確かに家から出て…右、いや左やったかな?」
「…たくま、迷子になっちゃう」
ぎゅっと片手を握られる
「ね、ねぇちゃん?」
「…迷子にならないように、手ぇ握っててあげる」
いや、今この歳で迷子だなんて…
「そんな、この歳で迷子になんてならんよ」
「…でもたくま、道間違えてた。…商店街は家からまっすぐだよ?」
「な、なんと…」
うーん、全然覚えてなかったようだ
「…お姉ちゃんの手、離したらダメだよ?」
「…はいはい」
まぁ、ねぇちゃんと手を繋ぐなんて久しぶりだから…
「あれ、ねぇちゃん…手小さくなった?」
「…たくまが大きいの」
そうか、10年も経てば手の大きさも変わるよなぁ…昔はねぇちゃんの方が背も手の大きさも大きかったんだけど
「…たくまが大きくなって、ちょっぴり寂しい」
「ねぇちゃんってマンティスやけど、結構感情出やすいよね」
「…マンティスは顔に出ないだけ、結構正直なの」
「その手の鎌って使ったことあるん?」
「…庭の手入れに便利」
マンティスらしいのか、らしくないのか分からない使い方だ
「その鎌で獲物とか取るイメージなんやけどなぁ」
「…このご時世、獲物なんていないもの」
そりゃそうか、食料は買えるし…都市で使う必要が無いんだもんなぁ
「…ん、商店街着いたよ」
「おぉ…なんとなく覚えてるような気がするで!」
少しだけ覚えている、昔にねぇちゃんと二人で商店街に遊びに行ったことがあった
で、ねぇちゃんからはぐれて迷子になって…しばらくしたらねぇちゃんが見つけてくれた
それから2人のときはいつも迷子にならないようにっていつも手を繋いでくれていた…懐かしい子供時代の記憶だ
(今も昔も変わらないんやなぁ…)
「…たくま、こっちだよ」
「ん、あぁ…」
最初に寄るのは八百屋さんのようだ
「いらっしゃい!…おや、志賀さんのところのシルクちゃんじゃないか!横のは彼氏か!?」
気さくなおじさんがねぇちゃんに話しかけ始めた
「…おじさん、たくまだよ」
「おぉ、志賀さんのところの坊ちゃんだったか!」
「…ん、昨日帰ってきたの」
「それはめでたい!よーし、これ持って行きな!」
八百屋のおっさんが野菜の詰まった袋をねぇちゃんに渡す
「…ありがと」
「いいってことよ!」
他にも商店街の店を回っていたら色々話しかけられては色々もらっていた、ねぇちゃんはどうやら商店街で人気者らしい
「いっぱい貰ったなぁ…」
「…家計が助かるの」
俺らの家は大人数だから向こうからしたらお得意様なんだろう、それにしてもサービス精神旺盛だ
まぁねぇちゃんはすごく美人だし、俺も店側だったらサービスをするだろう
「てかねぇちゃん、荷物持ちのために俺を連れたんやないの?荷物をねぇちゃんが持ってちゃ意味ないやろ」
「…たくまには重いと思う」
確かに人間は魔物に比べて身体能力が低いというのは周知の事実だが、それでも年頃の男の俺が荷物を全部ねぇちゃんに持たせるというのは…
「…それに、荷物持ちだけじゃないの」
「え?」
「…私が、たくまとお出かけしたかったの。」
この人はなんでこうドキッとするようなことを普通に言うのか…チェリーな俺には厳しいものがある
「だ、だったら尚更俺が荷物持つで…こういうのは男の役目やから」
「…でも」
「お願いお姉ちゃん!」
「っ!…し、しょうがない子なの」
そういって頭を撫でながら荷物を渡してくれるねぇちゃん、これ使えるな…
「…重いから気をつけて」
「確かに重いかも知れないけど、これくらいなら大したことないで」
「…頼もしくなった」
ねぇちゃんと二人で歩きながら帰路につく、買い物は終わったみたいだ
「…そういえば最近、ひったくりが増えてるらしい」
「へぇ、物騒やなぁ」
「…心配しないで、私が守ってあげる」
「いや、そんな大袈裟な…」
「…私の側から、離れちゃダメだよ」
荷物を持っている方と反対の腕にギュッと腕を組まれる
大きめの胸の柔らかい感触が腕に伝わる
(うわぁぁぁ柔らかいぃぃぃぃ)
「…たくま、どうしたの?」
「い、いやなんでもないで…さっさと帰ろうか?」
「…うん」
胸の感触を感じながら歩くのも束の間、後ろからの悲鳴にそんな考えはかき消された
「ひったくりよー!」
「げっ、マジで出るんかいな!」
まさかこんな白昼堂々とひったくりをするやつがいるとは…
バイクでバッグをひったくってこちらに走ってきている
「マズい、警察警察!」
「…ふっ!」
俺が携帯を出そうとするより早く、飛び出したねぇちゃんの鎌がひったくりのバイクを切り刻む
(うぉっ、ねぇちゃんが鎌使ってるところ初めて見た…!)
バイクだけを切り刻み、あくまでひったくり犯には傷一つつけていない
あれがマンティス本来の姿なのか…
「く、くそっ!」
バイクから落ちたひったくり犯がねぇちゃんから逃げるようにこちら側に逃げてくる
「オラどきやがれぇ!」
「おぉっ!?」
あっちも捕まらないように必死なのかすごい形相で走ってくる、バイクから落ちたというのに元気だ
「…させない!」
ひったくり犯がこっちに来るより早く、ねぇちゃんの鎌がひったくり犯を抑えつける
「ぐぇっ!」
「…たくま、無事!?」
「ね、ねぇちゃん助かったわ…だけどこいつどうするの?」
「…よかった、警察に連絡して」
…
警察にひったくり犯を突き出して、ひったくりされた人から礼を言われてやっと帰ることができた
「やっと帰れるなぁ、ねぇちゃん」
「…ん」
さっきからねぇちゃんに元気がないようで、返事も上の空だし触覚も下がり気味だ
でも手はしっかりと、というより今までより強く握られている
「ねぇちゃん?どないしたん、さっきからぼーっとして」
「…なんでもない」
「そうか…」
「…ん」
結局ねぇちゃんは何も話してくれないまま、家に帰ってきてしまった
絶対何かあったはずなんだけどなぁ…
15/03/28 00:58更新 / ミドリマメ
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