連載小説
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シロナルート3「シロ姉と進む道」
朝起きて家の家事をする、今日はみんな家にいないらしい


シロ姉も大学に行っている


「…シロ姉おらへんのか、まぁしゃあないな…」


今思えば帰ってきてからずっとシロ姉がいた


たまにいないのは仕方がないはずなんだけど、それでも寂しい


「シロ姉…」


孤独とはこんなにも寂しいものだっただろうか、寒くて凍え死んでしまいそうだ


あぁ、シロ姉の暖かい抱擁が恋しい…前はこんなことはなかったのに、俺はどうしてしまったんだ?


「えぇい、長い別れじゃないやろうが何をメソメソしとんねん俺!何年も別れるならともかく大学から帰ってくるまでの辛抱やないけ!」


ガッと壁を殴る、ちょっとだけ気が紛れた


「さー、まだ夕飯とかの準備してないしな!早めにしてしまうかな!」


そうだ、皆がいない間に家事をするのが俺の役目だ


頑張って家事をやればシロ姉に撫でてもらえるし


「…いかんいかん、どうしてシロ姉に甘えること考えてしまうんだ…気合だ気合!」


気合を入れて家事をしようかとした時、普段は鳴らない家の電話が鳴った


もしかしてシロ姉か?


「はい、志賀ですが」


「あ、私…魔界立大学の保険医です、身内の方でいらっしゃいますね?」


魔界立大学…シロ姉の通ってる大学だ


「あ、はい…弟ですが」


「なんと、もしかしてタクマさんですか?」


え、なんで俺が知られてるんだ?


「は、はい俺がタクマですけど…」


「好都合です…今すぐこちらへ来れますか?シロナさんが講習中に倒れてしまって…」


えっ…


「あの、え?」


「ですから、シロナさんが倒れてしまって…一心不乱にタクマさんの名前を呼んでいるんです」


シロ姉が…倒れた…?


「大学の住所は…です、すぐにおいでください」


「わ、分かりました!すぐに行きます!」


俺はすぐに家を飛び出した、もうどうにかなりそうだった


しかし冷静さを失ってはいけない、徒歩で行くには場所が離れすぎている


「タクシー!」


「お客さん、どちら…」


「じゃあかしい!魔界立大学前じゃ!さっさと行かんといてこますぞコラァ!」


「ひいぃわかりましたぁ!?」


タクシーの運転手に万札を数枚投げつけ、タクシーから降りる


「シロ姉…あかん、肝心な居場所が分からんぞ」


「あら、あなたシロナさんの…」


門の近くで、前に駅前で出会ったサキュバスさんがいた


「あ、あんたはシロ姉の…!シロ姉が倒れたんや!医務室とか運ばれた場所分からんか!?」


「は、話は聞いてるから…案内するから落ち着いて?」


「う…す、すみません…」


「こっちよ、ついて来なさい」


サキュバスさんが校舎の方へ歩くのでそれについて行く


「はい、ここね…保健室では静かにね?」


「わ、分かっとるよ…」


「来てくれたんですね、シロナさんの容態なんですが…」


保険医の女性の横のベットでシロ姉が苦しそうに唸っていた


「たくま…ちゃん…たくま…ちゃん…」


「し、シロ姉…!」


「一種のノイローゼです、こんなことになるまで追い詰められている状態は魔物では珍しいですね…」


「よほどあなたの事を想ってたみたいよ?多分手とか握ればすぐに目覚めるんじゃないの?」


「そんな非医学的な、ノイローゼというのはそんなすぐに…」


保険医の女性はそう言ってるが気にせずに手を握る、シロ姉が目覚めるならなんだってやるさ


「たくまちゃん!?」


握った瞬間、シロ姉の身体がガバッと起き上がる


「シロ姉!良かった…!」


「あぁ…たくまちゃん、たくまちゃん!」


ガシッとお互いに抱き合う


「えぇ〜…そんな非医学的な…」


「相手は魔物娘なのよ?ノイローゼになるなんて男絡みしかあり得ないでしょ…」


「な、なるほど…」


「シロ姉、何があったんや…倒れるまでのノイローゼって…」


「たくまちゃんが側にいなくて寂しくて、恋しかったんですよ…そう思えば思うほど気持ちが強くなって…あぁ、たくまちゃん!」


ぎゅうぅぅぅぅと体全体を巻きつかせてくるシロ姉、俺より重症だったのか…


「大丈夫やシロ姉、ほら…ここにおるから」


「…とりあえず今日は早退した方がよろしいのでは?」


「はい…すみませんがそうさせてもらいます」


シロ姉は早退の手続きを済まして、タクシーで家に帰ることになった


「シロ姉、大丈夫?とりあえず横になった方がええで…」


「はい…たくまちゃんも一緒にいて下さい」


シロ姉の部屋に行こうとしたら、俺の部屋がいいというので布団を敷いてあげてシロ姉を寝かせる


「うん、じゃあ隣失礼するわ」


布団に入るとしゅるしゅると巻きついてくるシロ姉


「すみません…たくまちゃんに迷惑かけてしまって」


「迷惑だなんて思っとらんよ、それにいつも俺の方が迷惑かけてるし…寂しくて会いたくなったのは俺も一緒やから」


「たくまちゃん…」


「俺もシロ姉と少し離れてるだけなのにすごい寂しくて、シロ姉が恋しくて…」


ぎゅっとお互いに抱き合う、あぁ…シロ姉の柔らかい暖かさが身に染みていく


「こうしてまた甘えて迷惑かけて、このままじゃダメだって言うのは分かってるんやけど…シロ姉から離れたくなくて、目一杯甘えたくて…!」


「…たくまちゃん、お姉ちゃんはたくまちゃんのことが大好きです…出会った時からたくまちゃんを1人の男性として好きなんです」


「俺もシロ姉が好き…俺もシロ姉を1人の女性として!もう、シロ姉以外考えられないんや!」


俺の胸の本心、この気持ちに間違いなどない…俺はシロ姉を愛している


「たくまちゃん…」


「シロ姉…」


二人の距離が近づいていく、息がかかるまで顔が近くなる


「んっ…ちゅ…っ」


シロ姉の柔らかい唇が俺の唇に押し付けられる、柔らかくて暖かい…


「んんっ…シロ姉…」


「えへへ…たくまちゃん、もう離しませんから…たくまちゃんはもう、私のものです。たくまちゃんの面倒も一生見てあげますから…ずっとずーっと甘えてくださいね…」


「…シロ姉、嬉しいけど…俺も甘やかされてばっかりじゃわりに合わないやろ…っ!」


「んぅ…!?」


今度は俺からシロ姉へキスをする


「た、たくまちゃん…そんなことされたら、もう我慢出来なくなっちゃいますよ…っ?」


「ええよシロ姉、もう気持ちも伝えたから…」


「あ、あぁ…たくまちゃんっ…たくまちゃんっ!」


シロ姉の深紅の目がぼんやりと光り、妖しくも美しい魔物へ


「たくまちゃん…好き…大好きですっ!ずっと一緒です!ずっと、ずぅーっと…!」


シロ姉が身体を重ねてくる、応じるように俺もシロ姉に身体を重ねる


「シロ姉…大好きやで…ずっと一緒や」





姉と弟が結ばれたなんて普通なら許されないだろう、しかし血が繋がっていないこととシロ姉は魔物だったということで周りから何か言われることもなかった


最初シロ姉と付き合うことを他の姉達に伝えたら騒ぐやら呆れるやら怒るやらいろいろあったんだけど、最終的には祝ってくれた


シロ姉の大学でのことだけど、大学の時間は俺に魔術的な処理を施すことにより常に感覚がリンクさせることで、どうにかシロ姉は俺から離れて大学に行けるようになった


おかげでシロ姉での大学のこととか、私生活のこととか丸わかりなわけで大変だった


そして数年後、俺は昔のように研究者として働いていた


とは言っても昔みたいにその研究施設に箱詰めされているわけではなく、新しく魔界の研究をするために考案されたプロジェクトのリーダーに任命され魔界の研究施設で住み込みで働いている


最初は別世界に行くことになって驚いたが、昔の研究施設のように狭い部屋にすし詰め状態ではなく一人一部屋とかなり優遇されて快適な生活を送っている


そしてシロ姉なんだけど…


「はい、頼まれていた書類の整理ができましたよ♪」


「あ、あぁ…ありがとうシロナさん」


「ふふっ…タクマさん、研究に精を出すのはいいですけど少し休憩なさいませんか?」


「あぁ、そうやね…」


なんとシロ姉は俺の助手として研究施設で働いている


魔物と人間の将来に大きく関わる研究だから、と各所から優秀な研究者達が集まっていて、助手も様々な難関な試験を受けて選ばれている。


その中でまた厳選されて来たのがシロ姉なのだ、まぁシロ姉は頭いいし機転もよく効いて美しいし優しい…まぁ選ばれて当然なのだが


シロ姉は俺と片時も離れたくないからと、わざわざその為の資格まで取って試験や面接に勝ち抜いてきたのだ


リーダーの俺がシロ姉を連れて来たいとか言えば、何もしなくても一緒にいれたわけだがどうしてもシロ姉が


「たくまちゃんのお世話をするのも、お仕事のお手伝いをするのも、お疲れのところを癒してあげるのもお姉ちゃんでありお嫁さんである私の役目ですっ!」


と言って正々堂々と俺の助手の座を勝ち取った


よく働いてくれるし、気もよく聞くし、何よりシロ姉が一緒にいるだけで俺も研究がよく捗っている


まだ研究が忙しくて籍を入れられていないが、近々籍を入れようと思ってたりいろいろ考えている


「はい、コーヒーが入りましたよ、お砂糖とミルクは1個でよろしいですね♪」


「ありがとうシロ姉、助かるよ」


「いいんですよ、たくまちゃんは私が言わないと睡眠すら取りませんから…」


仕事中はプライベートをかんがえないためお互いにさん付けで呼んでいるが、休憩中や仕事が終わるといつもの呼び方になる


シロ姉ってずっと呼んでたし変えようと思っても変えられないのだ、よく仕事中にもシロ姉って呼ぶことあるし


「たくまちゃんのお陰で、魔物と人間の壁はだいぶ薄くなりましたね…今度から魔界への旅行ツアーが始まるらしいですよ」


「へぇー、まぁやっと魔界の魔力の影響の仕組みが分かったからなぁ…女性客は無いとして男性客には需要があるやろな」


「たくまちゃんは魔物にとっても、人間にとっても偉大な人ですね…流石は私の弟です」


「そんな偉大さとかいらんのやけどなぁ…俺はシロ姉の弟で、旦那ってだけで十分やもん」


「もぉ、そんな可愛いこと言われたら…お姉ちゃん我慢出来なくなっちゃいますよ?」


「…し、仕事終わってからな?」


シロ姉は時々仕事中でも俺と交わろうとしてくる、この前は確か研究を手伝ってくれるという魔物と打ち合わせをした時にヤキモチを焼いた時だったな…


白蛇の炎を流し込まれて3日ぐらいずっと交わって研究が遅れたことがあった


「…残念です」


「終わったら今日は一緒にご飯でも食べに行こう、あともう少しでひと段落つくからさ」


「は、はいっ!」


俺はこれからもシロ姉と一緒だ


沢山いろんなことをして…何か壁にぶつかっても俺はシロ姉と一緒にこの道を進んでいく


そして肩手間にこの世界をもっとよく出来ればいいと思う


「シロ姉、俺はシロ姉と一緒で本当に幸せやで」


「私もですよたくまちゃん、私たちの邪魔をする障害はお姉ちゃんがぜーんぶ退けます」


「シロ姉…」


「だから、もっと私に甘えてくださいね…旦那様っ♪」
15/03/23 02:50更新 / ミドリマメ
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■作者メッセージ
これでシロ姉ルートは終了になります、いかがだったでしょうか?


だいぶ甘々としてしまい白蛇特有のヤンデレ要素が皆無だったり、これだったら別に白蛇じゃなくても良かったんじゃないかとか色々あると思いますが自分は甘々な白蛇さんが好きなので…


シロ姉ルートだけで大分感想やアドバイスをいただけてありがたい限りです、次のお姉ちゃんからも感想やアドバイスをもらえたらありがたいです!

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