第三章〜砂漠の国に住まう女王、正体はネロ!?―後編〜
パンパカパ〜ン♪♪♪
『セイちゃんと理科(作者)のオマケコーナー』
理科「いぇーーい!!いぃーやっほぅーーー!!!」パフパフッ♪
セイ「・・・・・・・・・・・・・おい、コレは一体何なのじゃ・・・?」
理科「え?見ての通りですZE★『セイちゃんと(ry』ですよ〜(笑」
セイ「・・・もう一度聞くぞ・・・『コレ』はなんじゃ?(怒」
理科「もう、セイちゃんは怖いなぁ・・・せっかくの出番の機会なのに〜・・・これは、作者の希望と欲望と青春と汗と涙と甘酸っぱい思い出を詰め込んだ・・・オマケコーナーなのSA★」
セイ「・・・で?」
理科「んで、これから出番が限りなく無いと思われるセイちゃんに、俺のツッコミ役をしてもらおうと」
セイ「・・・それだけか?」
理科「それだけ」
セイ「・・・帰る」 理科「ちょっと!!始まって数分だよ!!読者からしたら一分も経ってないかもしてないよ!?」 セイ「黙れ!こんなアホみたいな企画さっさと打ち切らんか!!労力と時間の無駄じゃろうが!!!」 理科「待って〜、帰らないで〜〜〜」
作者、神と奮闘中・・・・・・・・・・・・
理科「・・・と、とりあえず今回は・・・っぁは・・・セイちゃんに・・・ぜぃ・・・前編のあらすじを・・・・・・ハァハァ・・・してもらおうと思いまッすゑぇ」
セイ「・・・せめて息を整えてからしゃべらんか、阿呆。」
理科「おk、把握。」 スーハースーハー・・・クンカクンカ
セイ「・・・ちゃっちゃと終わらすぞ」
前回のあらすじ
翔一とロルは砂漠の町「ミシュアン」についた。翔一はここでこの世界の雰囲気のおおよそを理解した。そして、ようやく開始したネロ探し。その矢先、翔一に蒼い宝石の付いたネックレスを渡し、姿を暗ました謎の少女・・・
「非・日常な日々の数々」『導入編』もいよいよ佳境、翔一たちの運命やいかに
セイ「こんなもんでよいのか?」
理科「さぁ、それを決めるのは読者だもん」
セイ「ってか『導入編』って何なのじゃ!?まだ先があるのかえ!?」
理科「・・・多分。」
セイ「・・・・」
理科「んじゃ、このオマケコーナーも『今回は』そろそろ終わらそう。」
セイ「待て!このコーナーって次回もやるのかえ!?」
理科「読者次第〜」
セイ「おい!うやむやにするな!!こっちも事情がa」 理科「それじゃ ノシ」
※翔一視点
俺の今の顔は、きっと狐につままれた感じの顔なのだろう・・・
そんな考えをしながら、俺は店の前に立っている。
あの少女は一体何者なんだろう。なんで俺の事を的確に「この世界の人じゃない」と言ったのだろうか・・・
それに、このネックレス・・・肌身離さずって言ってたけど・・・
・・・・・・考えてもしょうがないか。とりあえずロルと合流しよう。
このあたりで待っているように言っておいたけど・・・見当たらないなぁ・・・
この町は人の数のわりには流れは激しくないから、人ごみに紛れてどこかに行ったとは考えにくい・・・
「うーん。どこに行ったのだろう・・・。」
ロルの格好は、このような日差しの強い国ではいたって普通の格好・・・つまり、周りの人たちは皆ロルのような格好をしている。
そんな中から、一人の少女を探すのだ・・・中々見つからなくて当然だ。
でも、まぁ、ロルは人の言う事を無視するほど性格の悪い子じゃない。昨日今日でしかの関係ではあるが、ロルの素直なところはしっかりとわかっている。(・・・すこしだけ性的な行為に積極的ではあるが///)
なにはともあれ、このあたりを探していたらきっと見つかるだろう。
近くの露店から飲み物を買っておく。きっとロルもこの暑さと町の熱気のせいで、かなりきてるだろうし・・・
「しっかし・・・俺が女の子を待つなんてなぁ・・・。」
厳密には待たせてた立場だったのだが、どちらにしても、前の世界ではありえない事だった。
前の世界では女の顔を見て会話する事すらできなかった俺が、今、ここで超が付くほどの可愛い少女を待っているのだから世の中わからない。それどころか、童貞すらも無くなっているんだぜ?もう、「翔一、きみのチェリー(童貞)をくれないか?」という台詞も聞かなくてすむのだ。
・・・しかし・・・・・・ロルは魔物なんだよなぁ・・・・・・
正直、今でも信じがたい。普通に話すし、普通に可愛いし、襲われ?はしたが、殺されるようなことは無かった。俺の意思も(一応)尊重しているのだろう。夜這いをされることもなかった。(普通は俺がする方だが・・・)
もちろん。この世界の魔物全部が全部ロルみたいに俺の意見を聞いてくれるわけではないだろう。
現実問題、人間の男がさらわれてしまったり、人間の彼女が居ようが、容赦なしに襲ってくることもあるそうだ。・・・そういった本能に近い部分が、魔物であると認識させるのであろう。
身体能力的には、成人男子よりは強いそうだし。・・・この機会に、俺もじいちゃんに教わってた古武術をもう一度復習しておこう。じゃないといつ犯されても文句は言えない。自分の身は自分で守れるくらいにはしておきたい。
「・・・さて、そろそろロルを見つけないと・・・・・・」
ひとまず俺はロルを探すことにした
※ロル視点
・・・・・・どうしよう・・・・・・
翔一に待ってろって言われたのに、あの場所から離れちゃった・・・
早く戻らないと・・・翔一に迷惑かけたくない。唯でさえ翔一にはお世話になりっぱなしなのに・・・
・・・でも翔一、「あっち」の方はお世話してくれないなぁ・・・
夕べもしていいって言ったのに・・・結局何もしてくれなかったし・・・
・・・私ってそんなに魅力ないかなぁ・・・
・・・そりゃ、おっぱいも普通だし、他の魔物みたいに歌とか魔法とかで誘うことは出来ないけど・・・それでも、自分の容姿・・・自信がある方なのに・・・
「じしん・・・なくなっちゃう・・な・・。」
・・・でも、翔一を無理やり犯っちゃうのは気が引ける。
翔一とは、魔物の本能としてエッチしたいんじゃなく、お互いの気持ちを尊重しあった上でのエッチにしたい。
でも、魔物の本能以前に、生物の本能としても悶々としている。
翔一ってば、こういった所で行動力が無いんだから・・・
・・・昨日の事を思い出してみる・・・
「しょういちの・・・おっきかったなぁ・・・///」
おっきくて、あったかくて・・・ちょっと可愛かった・・・
「////////」
・・・でも、あれはこっちが無理やり犯っちゃった感じだった・・・。だから、次は翔一からお誘いがくるように、翔一から私を求めてくれるように・・・
「しょういちだって、おとこのこ・・・だし・・・。きっと・・わたしのことを・・・もとめて・・・くれる・・・・・・かなぁ・・・・。」
ちょっと自身がないけど・・・・・・でも、きっと、いつか振り向かせて見せる・・・。
私だって、女の子だもん。
私だって、翔一の事が好きだもん。
ネロって人が、どれだけ翔一に想われていても・・・・・・私が翔一を想う気持ちだって、負けていないつもりだ。
「まけない・・・ぞ・・!」
私、ロル=マシュティはこの時決意しました。
【次のエッチは、翔一が誘ってくれるその日まで・・・】
いつになるかわからない。
今日誘ってくれるかもしれないし、一生誘ってこないかもしれない・・・
それでも、私は翔一からのお誘いを待ち続けよう・・・
・・・こういった悶々とした気持ちも・・・『恋』の醍醐味なんだと思う。
「・・・・・・はやくもどらなきゃ・・・・しょういち・・・まってるかなぁ・・・。」
男の人と待ち合わせだなんて・・・・・・
「なんか・・・こいびとどうし・・・みたい・・・///」
・・・そんな想いを胸に、私は歩き出した・・・
翔一視点
戻ってきて約30分。俺の手には二つのカラの容器。結局、ロルの為に買った分のジュースも飲んでしまった。
なかなか見つからない。さすがに心配になってくる。ロルのことだから大丈夫だとは思うが、女の子の一人歩きは関心できない。
こんな昼間にいきなり誰かに襲われることは無いだろうが、前の世界の常識がこの世界で通するとは考えないほうがいいだろう。
「あぁ・・・ロルは大丈夫だろうか・・・こんなんだったら一緒に店に入っときゃよかった(オロオロ」
同じ場所をうろうろする。下手に離れたら行き違いになりそうなので、別れた場所を中心に探す。
「こんな街中じゃ大声で呼ぶわけにもいかんし・・・なにかいい方法な無いもんだろうか・・・」
「・・・しょういち?」
「ハワォッ!!」
いきなり後ろから声をかけられ、変な反応をしてしまったが・・・。
その声の主は、俺が今さっきまで探していた少女そのものだ・・・。
「・・・ロル・・・か・・・びっくりしたなぁ・・・。耳が大きくなるところだったぞ?」
「しょういち、びっくりすると・・・みみがおおきく・・・なるの?」
「いや・・・まぁ」
さすがに前の世界のネタは通じんか・・・
「で、どこ行ってたんだ?」
「ご、ごめん・・・なさい・・・」
「全く・・・」
俺は手を上にかざし、ロルの頭に乗せる。
「心配・・したぞ・・・。」
「・・・しょういち・・・///」
グワシッ!!
そして思いっきり掴み!左右に振り回す!!
「わわっ!しょういち!!あたま!!まわさないで!!」
「コレは勝手にフラフラした罰だ!」
俺はそのまま軽くお仕置きをする。別に虐めて喜ぶ趣味は無いが(逆はあるかもだが)少しは反省してもらわないと。
「しょういち、ごめん!だからゆるして〜(泣」
パッ!
「よし、お仕置き完了。」
「う〜〜」
もちろん。虐めて喜ぶ趣味の無い俺は、この後ちゃんとロルにご褒美もあげるつもりだ・・・これが俗に言う「飴と鞭」というものだろうか。
「ロル。ちょっと頭だして。」
「えぇ!おしおきは・・・おわったんじゃ・・・」
「お仕置きじゃないって、ほら・・・」
「え、ちょ!?」
戸惑うロルを引き寄せ、頭のローブをめくる。そして、ロルの頭の後ろに手を回す。
格好としては俺がロルに抱きついてる感じだ。
「しょ!しょーいち!?どうしたの!?」
「ちょっと待ってろ・・・う、結構難しいな・・・」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
ここを、こうして・・・
「よし、できた。」
「・・・しょういち・・・コレ・・・」
ロルの首に下がっているものは、さっき買ったチョーカーだ。
普通にプレゼントしてもいいんだけど、こっちの方がご褒美っぽい。
「うん、似合ってるな。我ながらいい買い物をしたもんだ。」
「しょういち、コレいくらしたの?たかかったんじゃ・・・。」
「いやぁ、そんな高いもんじゃなかったって。とりあえずこれから一緒にいるんだからな。俺からのプレゼントだ。」
「・・・・・・・・。」
俺と首元の十字架を交互に見合っている。まだ自分が何をしてもらったのか良く理解できていないのだろうか。しだいにロルの顔が曇り始める。
「・・・嫌・・・だったか?」
「・・・・・・ううん・・・」
首を横に振るが、どんどん顔を下に向ける。そして・・・
ポタッ
「・・・うっ・・・ぐずっ・・・うぇ・・・・・・・」
「ゑ!!?」
泣き始めた。
「ご、ごめん!泣くほど嫌だったか!?十字架になにか嫌な思い出でもあったのか!?」
「・・・うっ・・・・・く・・・ちが・・・・・・」
頭を横に振るが、涙の理由がわからない。
町の真ん中だと周りの視線が痛い。でも、理由もわからないうちに連れ回すわけにも行かず、この場で慰める形になる。
「と、とりあえず落ち着こう。な?」
「う・・・・・うん・・・・ヒッ・・・ク・・・」
すーーーーーーはーーーーー
お互い深呼吸をする。
そして一息ついて、一分ほど気を落ち着かせる。
よし、落ち着いた
ロルも大分落ち着き始めた。そろそろ理由を聞いてみるか。
「で、どうしたんだ?嫌だったなら正直に言ってもいいんだぞ?」
「ううん、ちがうの・・・わたし・・・その・・・・・・・いままでこういうのなかったから・・・その・・・・・・・・」
「・・・・・うれしくて・・・・・」
嬉しくて・・・それで・・・泣いたのだと言う。
・・・プレゼントを貰い、それが嬉しいと言うのだとしたら、あげた俺としては喜ばしい限りだ。
でも、嬉しくて泣く。
プレゼントを貰って泣く。
それほどまで・・・そんなになるほどまで、人からの愛情をもらえなかったというのだろうか・・・
これが・・・人と魔物とのの違いなのだろうか・・・
きっと・・・彼女は相当辛い思いをしてきたに違いない。
魔物だから・・・人じゃないから・・・
たったそれだけの事で、辛い思いをしてきたに違いない。
「・・・しょういち。」
「・・・あ、あぁ、なんだ?」
「・・・ありがとう。ずっと・・・ずっと・・たいせつに・・・するね・・・」
・・・笑顔。
・・・この表情に・・・この言葉に・・・・・・人と一体どれだけの違いがあるのだろうか・・・
いや、人とは違う。
人間なんかより・・・ずっと・・・綺麗じゃないか・・・
「しょういち?」
「ぁ、 なんだ?」
ロル声をかけられ、我に戻る。
「ごめんね、いきなり・・・ないっちゃったりして・・・・」
「いや、気にするな。それよりもネロ手がかりを探そうか。」
「うん。」
・・・それでも、俺には関係ないな。
魔物だとか、魔物じゃないとか・・・
人間だとか、人間じゃないとか・・・
ロルはロルだ。
俺は俺だ。
それで十分だ。
うじうじ悩むのは俺には合わない。みみっちぃ事にこだわる前にネロの手がかりを探そう。
ふと、目の前にいるロルをみる。
・・・そして・・・
ポンッ
「?・・・しょういち?このて・・・」
「いや、ちょっと・・・な・・」
「?」
・・・・・・よし、これでいい。いつものように振舞えそうだ。
「じゃ、ちゃっちゃと手がかり見つけるか。」
「うん。」
※
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
うん。よくわかった。
普段人探しなんかしないもんな・・・知らなかったや・・・
探偵事務所の方々申し訳ない。人探し程度で金取ってんじゃねぇ!とかいってすんません。
よーーーーーくわかりました。
人探すのって、すっごいしんどい。
オマケに今日一日かけて、ネロらしい人物の情報は・・・ゼロ。
それなりに覚悟してはいたんだが、まさかゼロだとは思いもしなかった。
「本当に・・・前途多難だな・・・。」
「だ・・・だいじょうぶだよ!・・みつかるとおもうよ・・・・・たぶん・・・。」
とりあえず今日はまたあの宿屋に泊まろう。明日も手がかりが無い様だったら、この町にいても仕方が無いだろう。
「ロルは、この町から離れることになっても大丈夫だよな?」
「うん。もともと・・・たびのみだから・・・」
「そうか・・・」
「・・・なぁ、ロルはなんで旅をしていたんだ?」
「え?」
なんとなく聞いてみる。今は俺の人探しに付き合う形になっているが、旅をしていたのなら何か目的があったのだろう。
「・・・わたしも・・・ひとさがし・・・かな・・・」
「人探しって、見つかったのか?」
「・・・うん。みつかった・・よ・・・///」
「へぇ、ロルは見つけれたのか〜。」
「・・・・・どんかん(ボソッ」
「ん?何か言ったか?」
「ううん、なんでも・・ないよ///」
「・・・そう・・か。じゃ、宿屋に行くか。早く行かなきゃまた同じ部屋になっちゃうしな。」
「う、うん・・・(それはそれでいいんだけど・・・///)」
――――――――――――――――――――
「すいません。また二人部屋は満室なんですよ〜♪」 ヘラヘラ
「なにーーーー!!!」
「よし!」 グッ!
宿のカウンターに、三者三様の反応が木霊する。
・・・いや、実際に木霊してんのは俺の叫びだけだが・・・(ロルの反応には突っこまないでおこう)
それはともかく、またもや事件発生の予感が・・・
この店主の顔、もしかしてまた・・・
「いや〜、すいませんね〜。さっきの人たちで二人部屋は埋っちゃたんですよ〜。あ、でも」
!!まさか!!こいつまた!!!!
「一人部屋なら(以下ry まぁ、お若い(以下ry 多少y(以下ry」2828
やっぱりかよ!この野朗!!ガッディム!!!またロルと一晩同じベットですごさにゃならんのか!!
待て、待つんだ翔一。冷静に考えろ・・・CooLになれ・・・
ここは何とかして二人部屋か・・いや、もしくは金はかかるが一人部屋二つ用意してもらって・・・
「あの、なんとかして一人b」
「かまいません!!」
ちょっと!ロルさん?!!なにをおっしゃってるのですか!!?空気をお読みなさい!!!
「はい、かしこまりました。・・・はい、どうぞ」
そう言って、部屋の鍵を渡される。
どうやら逃げ場は無いようだ。
ってか何!この四面楚歌!俺以外みんな敵?!俺の感性がおかしいみたいじゃないか!!
「今夜の食事まで、時間はありますが・・・そちらも手配しておきますか?」
「・・・・はい。たのんます・・・・・・。」
「〜〜♪」
ロルはすこぶる嬉しそうだ。・・・まぁ、なんというか・・・男としちゃあすごい嬉チュエーションなんだが・・・。
意気地なしの俺にとっちゃ・・結構な拷問だぞ?これ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・くそ!!こうなりゃ自棄だ!せめて飯だけは食って食って食いまくってやる!!!
――――――――――――――――――
「店長!!ラーメンセット4つ!!チャーシュー多めで!!」
「・・・とりあえず、言いたいことはたくさんあるけど・・今日のメニューはもう決まってるよ?」
俺のボケに対し、いたって普通に会話する奥さん。・・・中々出来る・・・
「ま、ウチの亭主の言葉は気にしないでおくれよ。あの人、若い人見るとすぐにあっちの話にするからさ。」
「しってんなら何とかしてください!」
「あっはっは!あんたいいツッコミするねぇ。面白い男だよっ!」
バンッ!!!
「いってぇ!!」
またもや俺の背中を叩き、「あっはっは」と大笑いしながら厨房に戻っていった。・・・あれ?デジャブ?
「しょういち・・・なんだか・・・きょうのあさみたいだね・・・」
「皆まで言うな。」
この人たちの行動パターンはすこぶる単純なのだろう。まぁ、それだからこんなに接しやすいのだろうが・・・
こうしてテーブルで待つこと約十分。俺たちのテーブルの上には朝とは方向性がちょっと違う料理が並べられた。
「朝よりもボリュームが少ないな・・・。」
「でも、おいしそうだね・・・」
それは確かだが、自棄食いをしようとしていた俺には少し残念な気もする。
見た感じどれも美味そうだが、「こってり濃厚」好きな俺にとっては朝のメニューの方が気に入っている。今目の前にあるのは「さっぱりヘルシー」な感じの料理だ。
まずは一口、
「あむ・・・・・・・・ウマイ・・・」
もう一口、
「あん・・・・・・・・やっぱウメェ・・・」
さらに一口、
「もぐ・・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・これは・・・・・・・
「味の宝石箱やーーーーーーーーーー!!!」テーレッテー♪
どこぞのグルメレポーターみたいな反応をしてしまう。
暗黒街のモヒカンども達を爆発させる効果音付きだ!
「・・・しょういち・・・はずかしい・・よ・・」
「あぁ、すまんすまん。」
あまりに俺がはしゃぐもんだから、他の客の視線がこっちに集まってきている。・・・改めて冷静になってみるとすごく恥ずかしい。
「しっかし、ここの飯はほんとにいい味出してるな。毎日食っても飽きそうにねぇや。」
「・・・・・・・・・」
「この魚みたいなのもうめぇな・・・。おぉ!これはなんだ!」
「・・・・・・・・・」
「うみゃい、うみゃい。・・・って、ロルどうした?早く食わねぇと俺が食っちまうぞ?」
「・・・・・・しょういち・・・あのひとたち・・」
「んぁ?」
ロルの視線の先にいるのは二人組の男達。特に注目する感じではないが・・・
「あいつらがどうかしたのか?」
「・・・あのひとたち・・くろかみで・・・あかいめのじょせいについて・・はなしてた・・・」
「なに!!」
黒髪で、真紅の瞳。
それがネロであるとは限らないが、情報として聞いておく必要はありそうだ。
「よし、ちょっと聞いてくる。」
「・・・でよぉ!そしたらそいつら結局その場所行って、生き残った奴ぁいねぇんだとよ!」
「マジかよ!そりゃ災難だな、そいつらも。」
「全くだ!魔物に手ぇ出すからそうなんだよ・・・ん?」
どうやら俺にようやく気づいたようだ。
「なんだ兄ちゃん、俺らになんか用か?」
「ちょっとお聞きしたいがあるんですが。黒髪の、真紅の瞳の女について教えてくれませんか?」
「黒髪・・・って、さっきの話のことか?」
「はい、しっている事だけでかまわないので。」
「いや、俺も噂だけなんだがな、この町から東に向かったところにある遺跡に黒髪の女が住んでいるって話なんだ。」
「・・・どんな女なんですか?」
「よくはしらねぇよ。ただ、その遺跡に行った奴らのほとんどは帰ってこねぇそうだ。かろうじて帰ってきた奴も居たそうだが、行った奴らはみんな死んじまってるって話だ。」
「・・・・・・・・・」
「帰ってきた奴の一人が、『漆黒の髪と燃えるような赤い瞳の女だった』って言ってたそうだ。オマケに魔物って噂もあるらしいぜ。」
「まさか、兄ちゃん、あの遺跡に行くつもりか?」
「・・・まさか、気になったんで聞いてみただけですよ。」
「そうか、まぁ最近は物騒になったもんだよな・・・」
「そうですね・・・ありがとうございます。食事中に失礼しました。」
・・・漆黒の髪と、燃えるような赤い瞳・・・か・・・
「しょういち、どう・・・だった?」
「・・・今の情報だけじゃ、ネロとは断定できない・・・が、行ってみる価値はありそうだ。」
「・・・ねぇ、しょういち・・・」
「ん、なんだ?」
「・・・しょういちは・・・ねろってこのこと・・・どうして・・さがしてる・の?」
・・・そういやいってなかった。
「うーん、なんていったらいいかなぁ・・・」
「しょういちは・・そのこのこと・・・どうおもってるの・・・」
「うーん・・・。正直言うとわからない。」
「・・・わからない?」
「俺は、ただネロに会いたい。そんで、一言お礼を言いたい・・・それだけなんだよ、実際」
「・・・なんで・・・おれいをいいたいの?」
「そう・・だな・・・・・・目標をくれたから・・・かな」
「もく・・・ひょう?」
・・・そうだな。これが俺の探している理由だな・・・
「・・・俺は、つい最近まで何の目標もなくて、ただダラダラ生きているだけだったんだ。」
「・・・・」
「だけど、今は『ネロを探してお礼を言う』っていう目標がある。そんな目標をくれたお礼を言うために探している。ってのが俺のネロを探す理由かな。」
「・・・しょういちは・・・ねろってひとにあったあと・・・どうするの?」
・・・・・・そういや考えていなかった。
ずっとネロに会うことだけ考えていたけど、ネロにあった後どうすんのか考えていなかった。
「・・・とりあえず、見つけてから考える。」
「ふふ、しょういち・・・らしいね。」
それは褒め言葉ととってもいいのだろうか・・・
なにはともあれ、とりあえずその遺跡とやらに行って見ないと・・・
「とにかく今は腹ごしらえだ!!・・・って、あるぇーー(・3・)?」
「・・・・・・///」
机の上には、すでに『何者か』に食べられた後の、空の食器が並んでいた。
―――――――――――――
・・・・・・・・忘れてた・・・・・・・
「そういや、今日も一緒に寝るんだよな・・・・・・」
「うんっ♪」
いい笑顔だな!コンチクショウ!!
「早いところ寝るか・・・今日は疲れたよ」
「うん。でも・・・よるは・・長いから・・・ね」
「・・・・・・・・」
ダメだ・・・・早くなんとかしないと・・・・・体がいつか壊れる・・・・
そう思いながらも、疲れのおかげか俺もロルも泥のように寝てしまった。
※
「東の遺跡って・・・ここ・・・だよなぁ・・・」
「・・・・・・たぶん・・」
昨日の情報を元に、俺とロルは遺跡『らしき』建物の前で佇んでいた。
なぜ、『らしき』を付けたのかと言うと・・・
【童の遺跡!入る者は入り口の規約書に従い入ること】
という看板が出ているからだ。
看板はピンクの照明で囲われ、まるで風俗店のような感じを醸し出している。しかし、岩の入り口にこの看板はいかがなものか・・・
「なんか、一気に入る気うせたんだが・・・」
「・・・でも、ここにはいったひとたち・・・みんな、しんだんだよね・・・」
「・・・・・・」
そうだった。
いくら見た目が軽そうな感じでも、人を殺すほどの事が起きるのだ。この先一体どんな罠が待ち受けているか・・・死なないで出てこれる保障はどこにも無い。
「・・・ねぇ、しょういち・・」
「ん?なんだ?」
「・・・ぜったい・・・むちゃだけは・・しない・・で」
「・・・・・・」
上目遣いでこちらを見ながら言って来るロル。
・・・まったく、俺も好かれたもんだ・・・
「・・・当たり前だ。こんな所で死んでいられるか。・・・それよりも」
ポンッ
「ロル、無茶だけは・・・絶対にするなよ。」
「わ、わかった///」
「・・・よし、行くぞ!!」
※
「二名様!あ、ごあんな〜〜〜いvv」
「「・・・・・・・・・・・・・」」
・・・どうしよう。俺は・・・俺達はどんな反応をしたらいいのだろう・・・
俺達を連れて洞窟の奥へと連れて行く少女は、黒い髪を垂らし体に色々な装飾品を纏っている。茶色い瞳は明かりのある場所に行けば真っ赤な色へと変わるだろう。つまるところ、この少女が昨日の話の人物だろう。
見た目は人間の少女だが、手足は獣の用になっている。つまり、この子も魔物だ。
「ロル、この魔物はなんて言うんだ?」
「・・・あぬびす・・・だとおもう・・・」
目の前の少女が、(なぜか)嬉しそうに俺達をこの先へと連れて行っているので、とりあえず目的地に着くまでにこの魔物について知っておこう。
「えーと・・・・・・あった。」
アヌビス。ウルフ種の獣人型。主に砂漠地帯の遺跡に住む。ふむふむ・・・
性格・・・真面目、頑固・・?
真面目で・・・頑固?
「ふんふんふ〜ん♪今日はご馳走にせんとのう〜〜♪」
・・・どっちかってーと暢気とか単純とか、そんな感じだけどなぁ・・・
〈なぁ、こいつ本当にアヌビスなのか?書いてる事と大分違うぞ?〉
〈しらないよぉ、わたしもはじめてあうんだもん〉
「 ? なんじゃ?そちら何を話ておるのじゃ?」
「い、いえ!ところで俺達どこに行ってるんですか?」
「ん?何を言っておるのじゃ。童『たち』『夫婦』の『新居』に決まっておろうが」
・・・『たち』?『夫婦』?『新居』?
「あの〜、夫婦って・・・誰と誰?」
「もちろん。童と、そちじゃろ?」
そう言って指す彼女の指の向きは・・・彼女と俺。もちろん俺は結婚などしていないし、これからする予定も無い。
彼女との面識も・・・彼女がネロでない限りは無い。が、まだ彼女がネロでないともいえない。
「・・・あの〜、俺達って・・・『初対面』ですよね?」
「もちろんじゃ。童に会ってからもう一度此処に着たものはおらぬ。」
「・・・ちなみにお名前は?」
「なにを言っておるのじゃ。入り口の規約書に書いておったろうが・・・」
「規約・・・書?」
「これじゃ。」
そう言って彼女が出した紙には、大きく「規約」と書かれ幾つかの条約が並んでいた。
「なになに・・・・一つ、この中に入る男は童、『シャム』と生涯を共にすることを誓う。・・・・一つ、すでに既婚している者で嫁が邪魔でこれぬ者は嫁をマミーにしてから此処にくる事。一つ、もし他の魔物の嫁がいる場合は、この中に入ることを禁ずる。一つ、上の項目に順守できぬのに入った者は『死』を持って償うべし。・・・・・・・」
「まさか、自分の嫁をマミーにしてから来るとは・・・殊勝な奴じゃの」
「そんな・・・しょういちのおよめさんなんて・・・ポッ///」
あ〜、そっか〜〜。これが俗に言う『勘違い』って奴か。
「あー、質問していいかな?」
「もちろん、夫の頼みならスリーサイズまでなら答えるぞ」
「・・・お前は最近。誰かに会いたいと心から思ったことはあるか?」
「? 夫に会いたいとは思っておったが・・・」
「じゃあ、『ネロ』って言葉に覚えはないか?」
「『ネロ』・・・聞いたことの無い言葉じゃの・・・」
「そうか」
「この質問に何の意味があるのじゃ?」
「別に・・・じゃ、帰るかロル」
「え、・・・うんわかった」
「じゃあな。シャム」
「おお、またの」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ってまたぬかーーーー!!!」
「ちっ!」
このまますんなり返してくれると思ったのに・・・
「そなたは、童の婿として此処に来たのではないのか!?」
「あー、すまんな。お互い色々と勘違いしていたみたいだ。夫は他の奴に当たってくれ」
そう言って笑ってごまかす。彼女には悪いがあまり無駄な時間を過ごしたくない。ここはさっさと帰るのがベストだろう。
「・・・待て。」
「待てと言って待つ奴はいねぇ!ロル走るぞ!」
「しょ・・・しょうい・・ち・・ま・・・って」
走り出そうとロルの手を握るが、当のロルはペタリと腰を下ろし、ただその場で座っている。
「ロル!?どうしたんだよ。早く行くぞ!」
「・・・しょ・・・い・・・ち・・・・・・だめ・・・うご・・・・け・・・・」
いや、動こうとしてないんじゃない。動こうとしても動けないみたいだ。
「お前!ロルに何をした!」
「言ったはずじゃ。『待て』と。」
シャムは不適な笑みを浮かべてこっちを見ている。どうやったか分からないが、ロルが動けないのはこいつのせいだろう。
「なぜ此処に来たのかは知らぬが、相方がマミーであったのは好都合じゃのう・・・。さて、翔一とやら、おぬしに選択権をやろう」
「選択権?」
なんだか嫌な予感がする。
「その娘を捨て、童の夫となるか、もしくはその娘もろとも死ぬかじゃ。」
なんだよその理不尽な選択は!
「いやぁ、俺なんて格好の悪い男よりももっといい人があなたにはいますよ。」
「つまり、そなたは童と結婚せんと?」
「そうです。」
「つまり死ぬと」
「なんでそうなるんだよ!」
本当に理不尽な奴だな!
しかし、ロルはさっきから体が動かないみたいだし・・・目の前のこいつをどうにかしないと此処から出れそうにないな・・・
「どうしても見逃してくれない?」
「どうしても見逃してやらん。」
それなら
ガッ
「逃げる!」
俺の出した選択は、ロルを担いで逃げる!
「・・・逃げれると思うとるのか?」
なんか言ってるみたいだがもうあいつのところから大分離れた。ひとまず安心できた。
そう思った、瞬間。
「がぁっ!!」
思いっきり顔面からぶっ倒れる。受身も糞もなく倒れたせいで鼻を思いっきり打ってしまった。
なんでそうなったかというと・・・
「ロ・・・ロル!何してんだよ・・・かっ」
「・・・・・・。」
俺の味方であるはずのロルが力いっぱい俺の首を絞めてきたからだ。
「・・・・・・。」
しかも現在進行形で。
ギリギリと彼女は力を込めていく。じょじょに呼吸が苦しくなってくる。
「・・・かはぁっ・・・・・・ろ・・・ろぅ・・・・・・っぁ・・・・・・・・・」
「・・・ぅ・・・ぃち・・・・・」
気が付けば、俺の意識は黒い色で塗りつぶされていた・・・・・・
―――――――――――――――――――――
・・・・・・ふむ・・・我は今、『主』の首に垂れ下がっているのか・・・・・・
・・・・・・さて、問題は今の主が死ぬ前に・・・我の意志を伝える事が出来るかどううか・・・・・・
――――――――――――――――――――――
※翔一視点
・・・まだ頭がぼんやりする・・・
俺の記憶が正しければ、俺はロルに首を絞められて気を失った。
そのまま死んだかどうかは知らないが、目の前にいるあの獣耳の女が死んでいない限りここは天国でも地獄でもないだろう。
つまり・・・生きている。
俺が今いる場所は・・・多分遺跡の最深部だろう。祭壇のような場所の上に俺が拘束されている状態となっている。
目の前には、シャムと名乗った魔物と・・・ロルがいる。
「ようやく起きたようじゃのぉ。気分はどうじゃ?」
「・・・最悪・・・。」
この状況で気分がいいと言えるなら、俺はそいつのことを変人と言おう。意識がない状態で腕を拘束されてたせいか、肩が外れそうですごく痛い。オマケに首を絞められたためか、呼吸が苦しい。なにより今の俺はいつ殺されてもおかしくない。なぜ生かされているのかは知らないが、少なくともこいつの気まぐれで生きている事だけは確かだ。
「・・・おぬし、此処になにをしにきた。」
「・・・は?」
「・・・・・・此処に来て、何をするつもりじゃったのかと聞いておる。」
「・・・いや、ただ単にあんたが俺達の探してる奴に似ていただけだ。あんたが『ネロ』でないのなら別にもう用事はないよ。」
「・・・・・・この遺跡の噂をしっておったのじゃな?」
「まぁな、なんでも此処から出て生き残ってる人間はいないそうじゃねぇか。」
「そこまで知っておって、何故此処にきたのじゃ!?」
「な、なんでって・・・」
「貴様の探しておる人物は、命を張ってでも探すに値する人物なのかや!?」
突然彼女は語気を荒げてこちらに掴みかかった。彼女の今の顔に最初に出会ったときの陽気な雰囲気は見受けられない。
「・・・命を張るに値するかだって?そんなわけねぇだろうが。何時だって自分の命が大切だと思ってるよ。」
「ではなぜ此処に来た!?死ぬかもしれん洞窟に何故来たのじゃ?」
「・・・簡単だ、命を張ってるつもりなんてさらさらねぇんだよ。」
「・・・・・・・・・。」
ゴッ
「がぁっ!」
俺の腹に鋭い痛みが走る。なにが起きたのか分からないほどの早さで彼女は俺に蹴りを入れていたのだ。
「・・・・・・わかっておるのか?童の意思一つでおぬしの命なぞいつでも潰すことが出来るのじゃぞ?」
ガッ ゴッ
「っあ!」
容赦の無い蹴りが次々と入れられる。彼女の蹴りの威力も強いが、蹴る場所も的確に人間の痛いとこを付いてくる。
「おぬしがどれほど疎の者を思っていようと!伝わらなければ!!意味は無いのじゃぞ!!」
「ぐぅっ!ぅあっ!」
「はぁはぁ、・・・・・・最後の質問じゃ。・・・おぬしは、童と結婚するつもりはないのじゃな?」
「・・・あぁ」
「・・・そうか」
彼女が一瞬、とても悲しそうな顔をする。その意味を求めようとした瞬間。俺の胸に違和感があることに気づく。
「・・ぁ・・が・・・・・・・・」
「・・・無駄な時間を過ごしたのぅ」
違和感の正体は、彼女の腰にあった短剣だった。その短剣が、俺の体を貫いていたのだ。
刺された場所を中心に、体の熱が無くなっていく・・・手足の感覚もじょじょに麻痺してくる。
俺はこの感覚を知っている。
紛れも無い・・・・・・死の感覚・・・・・・
――――――――――――――――――――――
・・・暗い・・・
真っ暗だ・・・・・・
ここが・・死の世界なのか・・・・・・
『死ぬには・・・まだ早いんじゃあないか?主よ』
・・・だれだ?
『誰でもない。我は【商品】だ』
・・・商品?
『ようやく、主の意識とつなげることが出来た。あとは、主しだいだ。』
俺・・・しだい・・・
『このままじゃ、主の体は朽ちてしまう。そうなる前に、我を使え。』
・・・お前は、何者なんだ?
『その質問は正しくない。我は何者と言う言葉に当てはまらない。【商品】と言っただろう。・・・しかし、我は主の【魂】を憑代として存在する。誰かと聞かれれば、我は主そのものであると答えよう。』
誰でも構わない。俺はまだ生きる事が出来るんだな。
『肯定だ。我はそのための商品だ。』
教えろ、どうやって使えばいいんだ?
『簡単だ。主の胸に垂れ下がっている宝玉を壊せ。そうすれば、我は主と正式に契約を結ぶ事となる。』
簡単にいうな。俺は今動く事が出来るように見えるか?
『無理ではない。だから早くしろ。でないと主の体は、本当に動かなくなる。』
―――――――――――――――――――――
「・・ぅあ・・・」
今のは・・・夢だったのだろうか・・・
胸に短剣は刺さったままだ。頭もハッキリとしない。が、まだ俺は生きているみたいだ。ただ呼吸も苦しい・・・どちらかの肺に穴が開いたのだろう。出血もかなり酷い・・・時間はあまりなさそうだ・・・
胸に刺さった短剣のすぐ横に、昨日渡されたネックレスの宝石がある。
(・・・これを壊せと言っていたが・・・どうしろってんだよ・・・)
胸からの出血でタダでさえ力が入らないのに、手足は拘束されている。道具もない。口で噛み砕こうにも、胸までたれているものを口でくわえるのは無理がある。
(どうしようもねぇじゃねぇか・・・)
可能性があるなら、ロルの意識が戻り、何とかこのことを伝え、俺の口まで運んでくれるという事ぐらいだ。ただそのロルが見当たらない。さっきまでシャムの隣にいたんだが・・・
(まさか・・・)
あまり考えたくはないが、シャムは殺すと決めたらきっと実行する。・・・俺のときのように・・・
(くそ、早く何とかしねぇと・・・意識もやばい・・・)
一刻を争う事態なのに、俺はなにもする事が出来ない。
(・・・・・・・・・早くしねぇと・・・・・・本格的に頭がくらくらしてきやがった・・)
すでに意識はほとんど消えかかってる。何十日も寝ていなかったのかと錯覚するほど睡魔がやってくる。
(・・・・・・だめだ・・・・・・意識・・・が・・・・・・)
――まぁ、こんなところだねぇ。――
(・・・・・・目の前に・・・誰かいるのか・・・)
――「実験台」って言い方は酷いかもしれないけど、そろそろ商品を使わなきゃまずそうだねぇ――
目が霞んで、ほとんど意識が無い俺の口に、誰かが丸いものを入れた・・・
――あとは、「これ」に任せるよ。――
俺は、本能的にこの球体を噛み砕いた。
『・・・契約は完了した。主よ、どうやら間に合ったようだな。』
・・・なんだ・・・体が・・・あったかい・・・
いや、あったかいどころじゃない。ありえないくらい熱くなってきている・・・
目を開けてみると・・・剣の刺さっている場所が燃えている・・・・・・
ただ、燃えているといっても服などに移ることは無い。なにより、この炎は熱くない。熱いのは俺の体の中だ。
「・・・どうなってんだ・・・あれ?・・・」
声を出して初めて分かった。俺、元気になってる。
『主よ、体の治癒はほぼ終了した。』
「!?だれだ?どこにいるんだ!?」
『・・・何を言っている。主の体についているではないか・・・』
「・・・もしかして・・・この【火】が声の正体か?」
『肯定だ。我は商品番号0039【魂の焔】である。正式な契約を終え、現在に至る』
「・・・・・・ファンタジーだ・・・・・・」
『どうした?』
「いや、そんな事より俺の手足の拘束を解けるか?」
『可能だ。我は主の意思次第で如何様なことでも出来る。拘束が解きたければ主の意思で我を動かし手足の鎖を溶かすことが出来るだろう。』
「・・・お前の意思では動かせないの?」
『肯定だ。我の意思で出来る事は、治癒と会話。それと思考ぐらいだ。』
「そ、そうか。」
言われた通りに動かしてみる。確かに炎は俺の意思で自由に動かせる。
『熱量、範囲、形状、移動速度などはすべて主しだいだ。主の意思で我はどんなことでも出来るだろう。』
「すげぇ、スタ○ドみてぇ」
とりあえず手足の拘束を焼き切る。すでに体に不調は見当たらない。治癒の方もかなりすごいらしい・・・
「そうだ、早くロルを探しにいかねぇと!」
※
「・・・ここが、童と夫の寝室じゃ。」
彼女、シャムの見せている部屋は・・・皇室なのだろう。洞窟の中とは思えないほどの装飾品で飾られた部屋だった。
「・・・童も、昔は若かったのじゃろう。あんな男の言葉を鵜呑みにして・・・信じたが為に苦しい思いをせねばならんかったのじゃから・・・」
「・・・・・・。」
一人、昔話を語るシャムに対し、聞き手は意思のないロルだけだった。
「・・・ここに居れば、帰ってくるといったのじゃ。じゃから待った。彼の為に十年も此処で待ったのじゃ。その間、幾人もの賊が此処にきた。それらからずっと此処を守り続けた。」
「・・・・・・・。」
ロルには反応がない。意思が無いから当然だが、この状態で話をしても、彼女の話は全くの無意味なものとなってしまう。操っている彼女はそのことを承知で話をしている。
「・・・彼が此処から出て十年目。あまりに賊が来るものじゃから不思議に思うてのぅ。賊の一人に此処の情報がどこから流れてきてるものか聞いたのじゃ。」
「・・・・・・。」
「久々に聞いた名前じゃったわい。此処に金になる宝が大量にあると噂を流し、その情報料で食っている男がいると。童の元夫の名前じゃった。」
「・・・・・・。」
「十年間。思いを寄せて待っていた相手が、童を裏切り、賊に売っておったと気付いた時・・・童は思ったのじゃ。支配せねば、愛は手に入らぬと・・・。」
「・・・・・・。」
「所詮は童たちも魔物じゃ。愛なぞありゃせんかも知れぬがな・・・・・・それでも、童はいまだに夫を欲しておる。前と違うのは支配できなんだら殺すという事だけじゃ。」
「・・・・・・。」
「・・・長々と話をしてしもうたのぅ。安心せい、すぐに相方の場所へと送ってやる。」
(所詮、こやつもあの男に利用されていただけじゃろう。魔物と人間の関係なんぞ・・・そんなものじゃ。)
せめて楽に殺そうと、ロルの頭に手を置いた瞬間、
「どっせーーーーーーーーい!!!!」
「きゃん!」
突然の衝撃に吹っ飛ばされたシャムは、壁に思いっきり頭をぶつけてしまう。いくら魔物でも頭を強打したためか足がふらついている。
「・・・いつつ・・・誰じゃ!いきなり横から不意打ちなぞ卑怯じゃ・・・ぞ・・・」
「卑怯?そいつぁ悪かったな。俺の仲間が危なかったもんでな。」
シャムは自分を吹き飛ばした奴の顔を見て、一気に青ざめる。
「・・・なぜ・・・じゃ・・・。なぜ・・生きておる・・・。」
「生きてちゃ悪ぃかよ。」
「なぜ生きておるのじゃ!確実に致命傷だったはずじゃ!!」
「致命傷じゃなくて即死にするべきだったな。心臓をつかれてりゃあ今頃俺もご臨終してたろうが。今の俺にはクレイジー・ダイ●モンドも真っ青の回復能力があるのSA☆」
シャムは全く理解が追いついていない風だった。なぜ目の前の男が生きているのか。そしてなにより、【この男が此処に来る理由】が思いつかなかった。
「・・・おぬし、せっかく命を取り留めたのに・・・なぜまた童の前に来たのじゃ?」
「ちょいと忘れもんがあってね。ここで寝ている俺の仲間を連れ戻しに来たのさ。」
一番聞きたくない言葉だったのか、シャムは顔を引きつらせる。仲間のためだとか、自分以外の人の為に自身を危険にさらすこの男が、シャムの中の何かに触れてしまった。
「・・・いいじゃろう。おぬしの意思がどれほどのものか試させてもらうぞ!」
※翔一視点
「・・・いいじゃろう。おぬしの意思がどれほどのものか試させてもらうぞ!」
・・・そう言ってシャムは何かぶつぶつと呪文のようなものを唱え始めた。なんだかやばそうな空気・・・
「このまま逃げたらいけねぇのかな?」
『得策とは言えないな。この娘の意識は一度あの者に操られてしまってる。へたをするとこの娘の意識はずっと戻らなくなる。』
「・・・どうすりゃいいんだよ。」
『あの者の杖を破壊すればいい。あの杖に魔力が集中している・・・おそらくあの杖を触媒として魔力を調節しているのだろう。結論、あの杖を壊せば・・・【多分】その娘の意識は取り戻せるはずだ。』
「・・・多分って・・・結構適当だな。」
とにかく、どうしようもない今、この【火】の言う通りにするのがベストだろう。
「・・・ところで、あの杖を壊しても意識が戻らなかったらどうするんだ?」
『・・・・・・・・・・・・・・・』
どうしようもないわけだ。
「とにかく、あいつの杖をぶっ壊す!」
そういって、シャムの方へ駆け出した・・・が、あるものに行く手を阻まれてしまう。
「・・・またお得意の精神操作ってか・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
俺の行く手を阻んだ人物は・・・ロルだった。
その手には俺の胸を貫いたものと同じ短剣が握られていた。
「・・・しかたねぇ。とにかくあの剣をどうにかするぞ。」
『御意』
「・・・・・・・・・・・・・。」
ロルが一気にこちらとの距離を縮める。魔物だけあって瞬発力は俺のそれより上だろう。
「・・・・・・・・・・・・・。」
シュッ
「うおっ!」
ロルの狙った場所は俺の心臓部分。さっきと違い一気に殺しにかかっている。
「おい、お前の炎ってどのくらいの治癒力なんだ!?」
『死んでいなければほとんど直せる。が、心臓を貫かれた場合は死ぬ前に直す自信はない。』
「ああそうかい」
そんな会話の間でも、ロルの攻撃は止まらない。腕などで何とか庇ってはいるが、このままでは体力的にロルより劣る俺が殺られる。
「くそぉ、だったらその剣を溶かしてやる!」
俺の手から放たれた炎は、剣の刀身部分を覆い尽くす。鉄を溶かすほどの熱量をもった炎で包まれた刀身は、見る見るうちにその大きさを縮めていく。
「っしゃ!これで俺の勝ちだ!」
「いや、負けじゃ。」
不意に後ろから声がする。
とっさに身をよじる。が、背中に鋭い痛みが走る。
「がああああああ!」
「・・・なかなかの反応速度じゃのう。じゃが、これでチェックメイトじゃ。」
シャムの短剣は、俺の背中から上に突き上げるようにして刺されている。俺の動きを止めるために刺したのだろう。目の前のロルが新しい短剣を手にしている。
「・・・馬鹿な男じゃ。さっさと逃げていれば死なずに済んだのに・・・」
「・・・・・・馬鹿は・・おめぇの方だ。」
「・・・なんじゃと?」
「・・・いい手だったが、一歩俺の方が仕掛けるのが早かったようだな。」
目の前のロルの動きが静止する。手の短剣を落とし、その場に倒れる。そして、俺は背中のシャムを体で突き飛ばす。背中の剣がより深く刺さったが、何とか直るだろう。・・・・ただ
「いっっっっっっっっっってぇえええええええええええええ!!!」
痛みだけはどうしようも無かった。
「・・・なぜじゃ・・・なぜあの娘の動きが止まったのじゃ・・・」
「いつ〜〜〜〜〜・・・・・・少々賭けみたいになったがな。アンタの腰につけているその杖・・・よ〜〜〜くみてみな。」
彼女の腰につけてある杖は、上半分が溶けて無くなっていた。
「・・・これは・・・」
「アンタが俺の背中を刺しに来る事はなんとなく気付いてた。だから常にアンタの行動に注意してその杖に標準を定めてた。で、アンタが絶対的勝利を確信し、油断させるために背中を刺さしたんだ。」
「しかし!それでもしもその娘の動きの方が早かったらどうするつもりじゃった!そもそも、杖を壊したところで娘の洗脳が解けんかったらどうするのじゃ!?」
「だから言っただろう。賭けだって・・・ま、その賭けは結局俺の勝ちだがな。」
唖然とするシャム。俺のあまりのかっこよさと知的さに恐れをなしたのだろう。ふふふ、俺ってばめちゃカッコイイ!!
「・・・一つ聞かせて貰えるかのぅ」
「ん?なんだ?」
「・・・その娘・・・いや、童も含めて・・・なぜ直接焼かなかったのじゃ?」
「・・・・・・・・・」
「それほどの火力じゃ。燃やそうと思えば一瞬で消し炭に出来たのではないのか?」
「・・・・・・」
「・・・なぜ、おぬしはそんなにも童たちに対して甘いのじゃ?童たちは魔物じゃぞ?」
「悪かったな、甘くて。俺はそういうのあんまり好きじゃねぇんだよ。」
「童は・・・おぬしを殺そうとしたのじゃぞ?」
「殺しにきたら殺さなきゃいけないなんてルールは無い。第一、俺にお前らを殺す勇気なんざ一ミクロンもありゃしねぇよ。」
「じゃ、じゃが!」
ぷっちん・・・・・・
俺の中で何かが切れた。
「うがあああああああ!!!!!!!!!!!」
「ひぃっ!」 ビクッ
「うだうだうっせええええええええええ!そんなに殺そうとした罰がほしいのかああああああ!!だったらくれてやる!!」
俺はすばやくシャムの後ろを取る。
「ひゃ!」
すかさずシャムの長い髪をたくし上げ。
・・・そして
バチンッ!!!!!!!
シャムの背中に俺の強烈な平手が当る。部屋の中に平手の音が反響する・・・
たっぷり三秒間の間を置き・・・そして、
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ったあああああああああああああああああい!」
彼女の絶叫で部屋が埋め尽くされた。
「これぞ俺の町内に代々伝わる洗礼の儀・・・【紅葉の儀】」
「ただの平手打ちじゃろうがああああ!!」
背中に大きな手形を作ったシャムが半泣きで声を荒げる。どうやら怒って声を大きくしているのではなく、声を出さなければ痛みに耐えれないのだろう。
「・・・・っぁ・・・・・うぐぅ・・・・・・。」
「・・・どうだ、これでスッキリしただろ?」
「・・・・・・へ?」
「これでお互いの恨みっこは終了。もう仲直り。どぅーゆーあんだすたん?」
「・・・・・・・」 コクッ
「よし、これにて一件落着!」
『・・・あの娘のことはいいのか?』
・・・忘れてた。
「シャム、ロルの意識を戻してくれ。」
「いやじゃ!」
「・・・おい。」
こいつ・・・全く反省してねぇ・・・
「・・・ったく・・いい加減に・・・むぁ!」
『・・・見せ付けてくれるな・・・』
「・・・・・・んっ・・・」
「んむぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「・・・・・・ぷはぁ!」
「お!おまっ!」
「ふふふっ初めての接吻は美味かったかのぅ?これはこちらからの仕返しじゃ。・・・翔一・・・じゃったかの。おぬしの名前覚えたからの。一生忘れてやらんからの!次会った時はいろいろと覚悟しておるんじゃぞ!!」
そういい残して、シャムは俺の唇を奪って逃げていった。
「・・・ロルは元に戻したのか?」
『・・・心拍数、呼吸などは正常だ。洗脳が解けているのなら数時間ほどで目を覚ますはずだ。』
「・・・お前、なんでも分かるんだな・・・」
※
・・・あれだけ固執していた遺跡なのに、今となってはもうどうでもよくなってしまったのぅ。
今思えば、童は過去にしがみつき過ぎていたのかもしれぬのぉ。
悟った風にして、結局昔のことが吹っ切れずにいただけなのかもしれぬのぉ。
・・・そんな童を・・・童の鎖を・・・翔一は断ち切ってくれたのかのぉ・・・
「・・・不思議な奴じゃった・・・。翔一・・・確かに覚えたからの・・・」
今回は接吻までしかできんかったからの・・・次は翔一と契りを交わして・・・
「・・・初めては痛いらしいが・・・大丈夫かの?」
・・・本当に不思議じゃ。あれだけ童の神経を逆撫でしていきおった無礼者なのに・・・あやつの事が頭から離れなくなってしもうた・・・
「・・・もう一度・・・もう一度だけ・・・【恋】をしてみようかのぉ・・・」
※
・・・・・・・・・なんだろう・・・すごく心地いい・・・
「・・・ん・・・。」
「お?起きたか。」
「・・・へっ?・・・・・・しょ!しょういち!」
「おはよう。」
どこにいるのかと思ったら、私は翔一の背中に背負われている。いわゆる「おんぶ」の形になっていた。
「しょ、しょうち!!だいじょうぶ!もうだいじょうぶだからおろして!」
「無理すんな。もう少しで町だから。」
「で、でもぉ・・・」
「こういった時は甘えろ。じゃねぇと甘える機会なんかこれからどれだけあるかわかんねぇからな。甘えれる時に目一杯甘えとけ。」
・・・・・・甘える・・・か・・・。
今までそんなこと考えた事なかったな・・・・・・
・・・なんで、翔一はこんなに私に優しいんだろう・・・・・・・・・
「・・・ねぇ、しょういち。」
「・・・ん?」
「しょういちは、わたしのこと・・・きもちわるくない・・・の?」
「・・・はぁ?」
「・・・だ、だって・・・わたしは、まもの・・だよ?」
「・・・はぁ・・・なんで【お前ら】はそうやって魔物とか魔物じゃないとかにこだわるんだ?かんけーねぇだろ。」
「かんけい・・・ない?」
「そ。魔物とかそんなん以前に、ロルはロルだろ?」
「・・・・・・。」
「この世界の常識がどんなのかわかんねぇけど、俺にはその【魔物だから】って考え方は俺には通用しねぇよ。」
「・・・しょう・・・いち。」
「だから、これからはそんな事いうなよ。世界中の奴らがお前の存在を否定しても、俺はずっとお前の・・・ロルっていう女の子を否定したりしねぇよ。」
「・・・・・・しょういち・・・。」
・・・私は、世界一の幸せ者だ・・・
この広い世界で・・・この人に出会えた事を・・・心から嬉しく思う・・・
この人を・・・好きになれて・・・本当に・・・・・・
「・・・しょういち・・・・・・。」
「なんだ?」
「・・・・・・もうひとつ・・・あまえていいか・・・な?」
「俺が出来ることならな。」
「・・・・・・またおなじふとんで・・・ねて・・・ほしいな。」
「却下」
「ええええ!?なんで!!」
「昨日も一昨日も一緒に寝たでしょうが!」
「きょうもいっしょがいいの!!」
「だめ!」
「う〜〜〜〜。しょういちのうそつき〜〜〜〜。」
「出来る事ならって言っただろうが。」
「いっしょにねてくれたっていいじゃない・・・ひていしないっていったのに・・・」
「否定してないから寝れないのですよ。」
「でも・・・・・・・・・・・・・・・・・」「しかしだn・・・・・・・・・・・・」
※
言い争いは町まで続きいた。結局のところ、宿の部屋は一人部屋しかなく、この夜もロルと同じ布団で夜を越すこととなった。
「・・・そろそろ他の町にいかねぇとな。」
「つぎは・・・どこにいく・・・の?」
「そうだな・・・此処から一番近い町はどこなんだ?」
「さばくをぬけたところに・・・ちいさなまちがあったはず・・・」
「そうか、じゃあ明日この町を出るか・・・」
「うん」
こうして、俺達の長い旅がようやく始まる。
10/12/19 23:12更新 / 理科総合A(改訂版)
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