第一章〜いざゆかん!平行世界!!〜
翔一視点
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・ん?
(ここは、どこだろう?)
目を覚ましたところは、何も無い真っ白な世界だった。
視界に入る限りでは、今のところ何も見当たらない。
「夢でも見てんのかなぁ・・・・・・まさか!ここはあの有名な「精●と時●部屋」というやつでは!そして現実世界では今の俺では倒せない敵がいてここで修行していたんだな?そうだな?」
誰もいない場所で大声で叫ぶ。・・・・・・かなりこたえるものがある。
(ううう、誰もいないのかな・・・。しかし本当に真っ白だな・・・そういえば人は周りの色が無くなると、他の色を見みたくなって手首や首を引っかきだして血を出そうするって聞いた事があるような・・・・・・)
背筋に悪寒が走る。無いだろうと思いつつもこの空間にずっと一人ぼっちだと思うと否定できない。
あたりを見回しても何もない。歩いてみたけど景色が変わってるのかがわからないので、しっかり歩けてるのかさえ自覚ができない。
無音・無臭、生き物の気配の全く感じられない世界・・・・・・
(なんでこんな世界に俺がいるんだ?そもそも、俺はこの世界に来る前なにをしてたんだっけ?)
思い出そうと唸ってみるが・・・思い出せない。
頭の中をぐしゃぐしゃにかき混ぜられたみたいだ。記憶が曖昧でよく思い出す事ができない。
とりあえず俺は、今、自分がわかっていることを整理していく事にした。
「えーと、俺の名前は霧島翔一、ごく平凡な学生身分で・・・好物は肉と魚・・・で、誕生日は11月1日・・・後は・・・・・・」
頭になにか引っかかっている感覚に陥る。もっと何か、重大なことを思い出さないといけない気がする。
「うーん、うーん」
「うんうんなにを唸っておるのじゃ?便でも詰まったのか?」
・・・あれ?なにか聞こえたような・・・とうとう幻聴まで聞こえ始めた
「早いところこの現状を打破せねば、取り返しの付かないことになりそうだ・・・」
「ほぅ?我を無視するか・・・。いい度胸だな死人のくせに。」
・・・・しにん?・・・・・・
しにんって言うと、あれか?視認か!そうか、俺は視認ができないだけでいつもの世界にいるんだな!なんだそういうことか
「・・・・・・お前、アホの子だろう・・・」
突如投げかれられたアホ宣言、どうやら俺はアホの子らしい。
「みとめおった・・・なんと自他ともに認めるアホじゃったとは」
「俺がアホかどうかはいい、ここはどこなんだ?」
「いきなり強気だのう。まぁ早いとこお前にも理解してもらわんと我も困るからのぅ。」
さっきからこの幻聴は何かとえらそうだ。まったく幻聴のくせしやがって。
「・・・いっとくが、我は貴様の思考がわかるのだぞ?あまり変なことを考えるでないぞ。このまま地獄に叩き込まれとうなかったらな。」
?地獄?なんで俺のような善良市民が地獄に?とゆうか地獄に送るってどんな電波思考なんだよ(笑)あぁ、幻聴じゃなくてこれは俺に敵対意識をもつやつ等からの電波ジャックだったのか!
「こやつだめじゃの・・・・・・早く何とかせんとな・・・」
「まぁ、なんでもいいから早くこの現状を説明してくれ」
思考を読んでくれるのなら、無理にしゃべらなくてもいいのかもしれないが声を出さないとどこか不安になってくる。自慢じゃないが俺は小心者なんだ。
「・・・・・・じゃあ説明するぞ・・・。現状を最もわかりやすく言えば、お前は死んだんじゃ。」
「・・・・・・・・・へ?」
・・・死んだ?俺が?いつ?どこで?
「覚えてないのか?・・・お前は猫を助けようとして車に轢かれたのじゃ。」
映像をみるか?と聞いてきたが、正直理解できない。死んだのならなぜ俺はここで生きている?しゃべっているし、手足に感覚もある。息だってしているし、自分が死んだなんて思えない・・・・・・。
でも、確かに覚えてる。
俺は、あの黒猫・・・ネロを助けようと道路に飛び出したんだ・・・
確かに味わった・・・・・・死の感覚・・・・・・
思い出すだけで背筋に寒気が走るほどの恐怖・・・
「どうやら思い出したようじゃな・・・」
「・・・じゃあここはどこなんだ?俺が生きていないのなら、なぜ、今ここで意思をもって行動しているんだ?」
俺の問いに彼女?は少し考えをまとめて言った。
「どうも説明しづらいのじゃがなぁ・・・お前、平行世界をしっておるか?」
「?平行世界っていうと・・・あのパラレルワールドってやつ?」
きいたことぐらいはある。自分のほかにもう一人の自分がいたりする世界のことだったと思う。
「まぁ、大方のことはしっているじゃろうが、簡単に言えばあらゆる確率によってうまれるもうひとつの世界といったところじゃな。」
「あらゆる確率?なんか難しいな」
「わかりやすく例えると、たとえば貴様が宝くじを見つけたとする。ある可能性では、それを拾い、宝くじが当たってたかを確認し、ほかの可能性ではその宝くじを無視して普通にすごす。このときに二つの平行世界ができた、といった感じじゃな。」
・・・なんだかわかったようなわからないような・・・
「つまり、平行世界とは確率で分かれていった世界すべてであり、枝分かれをするように増え、あらゆる世界が存在しているのじゃ。」
「・・・で、その平行世界がどんな関係があるんだ?」
「ここはその平行世界を管理するためにできた、いわば管理所のような空間なんじゃ。・・・・・・本来、貴様が死のうがどうなろうがこちらには関係の無いことじゃが・・・ある現象が起こってのぅ。」
「ある現象?」
わざわざ死んだ人をここに呼ぶぐらいだ、よっぽどのことなのだろう。
「普通、お前たちは平行世界に干渉する事はできん。しかし、平行世界のほうは少なからず貴様らの世界に干渉してくる。貴様のであった猫はその干渉した者の貴様の世界での姿なのじゃ。」
「・・・つまり、平行世界にいるネロがこっちの世界に来てたのか?」
理解したように俺が言う。
「そうではない、貴様の言うネロとやらの意識が少し触れただけで、実際には貴様の世界にいたわけじゃないのじゃ。」
だめだ、もうそろそろ話を理解できない。
もうそろそろ話しを進めてもらわないと・・・
「と、とりあえず、どんな現象が起こったかだけを教えてくれないか?」
「ふむ、ならば言おうか。きさまが起こした現象とは、貴様と平行世界の向こうにいる者の願いが一致したんじゃ・・・。」
?ますます意味がわからなくなってきたぞ?平行世界の人間と俺の願いが一致した?
「それだけ?」
「それだけとはなんじゃ。そうそう起こる現象ではないのじゃよ。まぁ、それが貴様がここに呼ばれた理由じゃ。」
ふーむ・・・平行世界って結構奥が深いんだなぁ・・・
(俺の願い・・・っていうと・・・ネロに会うこと・・・だよなぁ。)
「なんじゃ、気づいておるなら説明は不要じゃな。」
「だから当然のように俺の思考と会話すんなよ!びっくりするだろ!!」
「ふん、みみっちぃ男じゃの・・・まぁよい、では早速貴様にはある選択をしてもらう。」
「選択?」
なぜだか嫌な予感がした。冷静に考えれば俺は死んでいるんだ。当然選択というのは・・・
「察しがよいのぅ、では言おう。まずはおぬしがこのまま死を選ぶこと。もう一つはおぬしと願いの一致した者の居る世界に行って、新しい人生を歩む事。この二つじゃな。」
「ちょっと待てって、なんで考えが一致しただけでそいつの世界に行くことになんだよ!もう少し説明してくれ!!」
「・・・察しのよいやつかと思ったが、どうやら勘違いじゃったみたいだのぅ。」
なぜか哀れまれる。悪かったな察しが悪くて・・・これでも頭は切れるほうなんだぞ!!・・・・・・・多分
「・・・・・・おぬしと考えが一致するってことは、平行世界のほうの者もある人物に会いたいと思っておるからじゃ。・・・ここまで言えばわかるかの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・もしかして・・・・・・・・。」
「貴様の言うネロとかいうやつが、貴様に会いたいと願ったんじゃよ。」
・・・どうしよう。もう一つの世界にも行ってみたいけど、俺の住んできた世界とどれだけギャップがあるだろうか・・・
それに・・・・もう一度・・・・ネロに会っておきたい。
「うーん、ううーーん。」
「変な悩み方だのぅ。男ならさっさときめんか!!」
「うーん・・・・・・なぁ、一つ聞いてもいいか?」
「世界の成り立ちは教えれんぞ、これでも平行世界のバランスを崩さんために、がんばっとるんじゃからな。」
うぅ、やはり読まれてる・・・だったら
「・・・?ほぅ。」
「察しがいいな、今までなんで思わなかったのかも不思議だけど。」
俺が聞きたい事、それはこいつの正体が何者なのかということだ。
とっさに変えただけで、こいつにもばれてるだろうが一応気になったからな。
「ふぅむ、なんと言えばいいかのぅ。大雑把に言えば『神』と言うのが貴様にはしっくりくるかの。」
「なんつー中二病だよ、自分のこと神なんて真顔で言えるやつ初めてだよ。」
まぁ、真顔かどうかはこいつの姿が見えないからわからんが・・・
「神といっても色々とおるのじゃ、詳しくゆうても貴様のミニマム脳みそにはちぃとばかし難しいしの。」
ケラケラと笑う声に色々とムカついたが、こいつが人外なのはわかった。
「他の世界にはこんなのがわんさかいるのかよ・・・」
「まぁ、その質問には答えれんが、そんなとこじゃの。・・・で、答えはどうなったのじゃ?」
ようやく本題に入った、しかし今の俺にはこんな質問は愚問でしかない。俺の考えはただ一つだ。
「・・・・・・いいのか?その世界に行っても身寄りも頼れるものもおらんのじゃぞ?」
「馬鹿いえ、自分の力で生き抜く、男のロマンじゃねぇか!!」
「ふふっ、お前はホントに面白いやつじゃのぅ。」
「それに、頼れるやつならいるさ。ネロがいるってんなら意地でも見つけてたよってやるさ。」
「そうか、ならとめる必要もないかの。」
不意に俺の体が透け始める。
「おお!透ける透ける!!おぅ!なんだこれ、指がねぇのに感覚はあるぞ!!おもしれぇ!!」
「今、その世界に転送している。・・・まぁ、体に気おつけていってこい。」
「・・・悪い、もう一つ聞いて言いか」
「?なんじゃ。」
「お前、名前なんて言うんだ?お前お前って言うのも嫌だからな・・・」
「・・・・・・我に固定名は存在しないのだがな・・・・・・好きに呼べばいい・・・」
・・・なんか、悪い事聞いちまったなぁ。
・・・よしそれなら
「これからお前の名前は『セイ』だ。」
「・・・なんだその名前は・・・」
「声しか聞こえないからな。声って漢字を読み替えたんだ。」
「変わったやつよのぅ。名前なぞつけんでも我は困らんとゆうのに…」
「まぁ、声っていうのはもう一つ理由があってな」
「?」
「お前の声って、すげぇ綺麗だなぁって思ったから。」
「・・・・・・//////////////////////////////////////////////」
「変だったか?嫌だったら別に呼ばないけど・・・」
「・・・いや、使わしてもらおう。今日から我はセイと名乗ろう。///」
なんか変に声が上ずってたきがするけど
・・・まぁ、気に入ってくれたみたいならいいか・・・
「・・・・・セイ・・・・か…全く、変わったやつだのぅ」
セイ視点
転送の約3分の2が終わった。もうすぐこの小僧ともお別れと思うと寂しく思える。
・・・全く、情とは恐ろしいものよのぅ。たったの数時間の間にこの小僧を愛しく思えるのだからな・・・
これまで何千年とこの空間でいろんな世界を見てきたが、平行世界越しにお互いの気持ちが通じることを成しえたのはこやつらが始めてだのぅ。
…まったく、ここまで自分の気持ちに素直になれるなんて、こやつらが羨ましいわい。
「・・・のぅ、我も一つ聞いてよいか?」
「ZZzz・・・・・・」
「・・・こやつ、このまま転送先を地獄に変更してやろうか・・・」
まったく、肝が据わっておるのか、やはりアホの子なのやら・・
「・・・まぁ、十中八九後者じゃろうがな。」
思わず笑ってしまう。こんな気持ちはいつ振りだろう。
・・・いや、きっと初めての気持ちなのだろう。
初めての自分以外の存在
初めての会話と談笑
初めての自分に付けられた名前
こやつに出会って、初めてする事だらけじゃった。
その中でも、一番心打たれたのは、
言葉にできないこの気持ち
初めての・・・恋・・・
翔一視点
・・・・・・・・・・・・あれ?
「お?気が付いたようじゃな。」
「俺・・・寝てたのか?」
「ああ、それはもうぐっすりと。」
どうやら俺は寝てたみたいだ。
夢は見てなかったと思うが・・・そもそも死んでるのに寝る事ができるんだな。
体はもうほとんど消えている。あともう少しでこの空間ともお別れなんだな。
・・・・・・寂しくなんか無いからな!本当だぞ!
「しかし、ちょっと緊張するな・・・新しい世界かぁ・・・」
「ちょっとは落ち着かんか!子供か、おぬしは」
「男はいつまでも子供なんだぜ!」
「…全く、世話の焼けるやつじゃのぅ」
「・・・のぅ。」
「あ?なんだセイ。」
「我も一つ聞いてよいかのぅ。・・・その・・・おぬしの名前はなんとゆうのじゃ?」
「?俺の心を読めばわかるんじゃないのか?」
「いや、・・・その・・・おぬしの口で言ってほしいのじゃ///」
おかしなやつだな、なんかまた声が上ずってたがどうしたんだろう。
「まぁ、いいか。俺の名前は霧島翔一だ。」
「・・・霧島・・・翔一だな。」
むぅ、改めて自分の名前を言われるのはなにかこそばゆいものを感じる。
「それじゃ、お別れじゃ。」
「あぁ、じゃあな、 セイ 」
「じゃあの、 翔一 」
俺の体が消え、また俺の意思もうっすらと消えていく・・・
―――ありがとう―――
消えゆく意識の中、そんな言葉を聞いたきがした
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・ん?
(ここは、どこだろう?)
目を覚ましたところは、何も無い真っ白な世界だった。
視界に入る限りでは、今のところ何も見当たらない。
「夢でも見てんのかなぁ・・・・・・まさか!ここはあの有名な「精●と時●部屋」というやつでは!そして現実世界では今の俺では倒せない敵がいてここで修行していたんだな?そうだな?」
誰もいない場所で大声で叫ぶ。・・・・・・かなりこたえるものがある。
(ううう、誰もいないのかな・・・。しかし本当に真っ白だな・・・そういえば人は周りの色が無くなると、他の色を見みたくなって手首や首を引っかきだして血を出そうするって聞いた事があるような・・・・・・)
背筋に悪寒が走る。無いだろうと思いつつもこの空間にずっと一人ぼっちだと思うと否定できない。
あたりを見回しても何もない。歩いてみたけど景色が変わってるのかがわからないので、しっかり歩けてるのかさえ自覚ができない。
無音・無臭、生き物の気配の全く感じられない世界・・・・・・
(なんでこんな世界に俺がいるんだ?そもそも、俺はこの世界に来る前なにをしてたんだっけ?)
思い出そうと唸ってみるが・・・思い出せない。
頭の中をぐしゃぐしゃにかき混ぜられたみたいだ。記憶が曖昧でよく思い出す事ができない。
とりあえず俺は、今、自分がわかっていることを整理していく事にした。
「えーと、俺の名前は霧島翔一、ごく平凡な学生身分で・・・好物は肉と魚・・・で、誕生日は11月1日・・・後は・・・・・・」
頭になにか引っかかっている感覚に陥る。もっと何か、重大なことを思い出さないといけない気がする。
「うーん、うーん」
「うんうんなにを唸っておるのじゃ?便でも詰まったのか?」
・・・あれ?なにか聞こえたような・・・とうとう幻聴まで聞こえ始めた
「早いところこの現状を打破せねば、取り返しの付かないことになりそうだ・・・」
「ほぅ?我を無視するか・・・。いい度胸だな死人のくせに。」
・・・・しにん?・・・・・・
しにんって言うと、あれか?視認か!そうか、俺は視認ができないだけでいつもの世界にいるんだな!なんだそういうことか
「・・・・・・お前、アホの子だろう・・・」
突如投げかれられたアホ宣言、どうやら俺はアホの子らしい。
「みとめおった・・・なんと自他ともに認めるアホじゃったとは」
「俺がアホかどうかはいい、ここはどこなんだ?」
「いきなり強気だのう。まぁ早いとこお前にも理解してもらわんと我も困るからのぅ。」
さっきからこの幻聴は何かとえらそうだ。まったく幻聴のくせしやがって。
「・・・いっとくが、我は貴様の思考がわかるのだぞ?あまり変なことを考えるでないぞ。このまま地獄に叩き込まれとうなかったらな。」
?地獄?なんで俺のような善良市民が地獄に?とゆうか地獄に送るってどんな電波思考なんだよ(笑)あぁ、幻聴じゃなくてこれは俺に敵対意識をもつやつ等からの電波ジャックだったのか!
「こやつだめじゃの・・・・・・早く何とかせんとな・・・」
「まぁ、なんでもいいから早くこの現状を説明してくれ」
思考を読んでくれるのなら、無理にしゃべらなくてもいいのかもしれないが声を出さないとどこか不安になってくる。自慢じゃないが俺は小心者なんだ。
「・・・・・・じゃあ説明するぞ・・・。現状を最もわかりやすく言えば、お前は死んだんじゃ。」
「・・・・・・・・・へ?」
・・・死んだ?俺が?いつ?どこで?
「覚えてないのか?・・・お前は猫を助けようとして車に轢かれたのじゃ。」
映像をみるか?と聞いてきたが、正直理解できない。死んだのならなぜ俺はここで生きている?しゃべっているし、手足に感覚もある。息だってしているし、自分が死んだなんて思えない・・・・・・。
でも、確かに覚えてる。
俺は、あの黒猫・・・ネロを助けようと道路に飛び出したんだ・・・
確かに味わった・・・・・・死の感覚・・・・・・
思い出すだけで背筋に寒気が走るほどの恐怖・・・
「どうやら思い出したようじゃな・・・」
「・・・じゃあここはどこなんだ?俺が生きていないのなら、なぜ、今ここで意思をもって行動しているんだ?」
俺の問いに彼女?は少し考えをまとめて言った。
「どうも説明しづらいのじゃがなぁ・・・お前、平行世界をしっておるか?」
「?平行世界っていうと・・・あのパラレルワールドってやつ?」
きいたことぐらいはある。自分のほかにもう一人の自分がいたりする世界のことだったと思う。
「まぁ、大方のことはしっているじゃろうが、簡単に言えばあらゆる確率によってうまれるもうひとつの世界といったところじゃな。」
「あらゆる確率?なんか難しいな」
「わかりやすく例えると、たとえば貴様が宝くじを見つけたとする。ある可能性では、それを拾い、宝くじが当たってたかを確認し、ほかの可能性ではその宝くじを無視して普通にすごす。このときに二つの平行世界ができた、といった感じじゃな。」
・・・なんだかわかったようなわからないような・・・
「つまり、平行世界とは確率で分かれていった世界すべてであり、枝分かれをするように増え、あらゆる世界が存在しているのじゃ。」
「・・・で、その平行世界がどんな関係があるんだ?」
「ここはその平行世界を管理するためにできた、いわば管理所のような空間なんじゃ。・・・・・・本来、貴様が死のうがどうなろうがこちらには関係の無いことじゃが・・・ある現象が起こってのぅ。」
「ある現象?」
わざわざ死んだ人をここに呼ぶぐらいだ、よっぽどのことなのだろう。
「普通、お前たちは平行世界に干渉する事はできん。しかし、平行世界のほうは少なからず貴様らの世界に干渉してくる。貴様のであった猫はその干渉した者の貴様の世界での姿なのじゃ。」
「・・・つまり、平行世界にいるネロがこっちの世界に来てたのか?」
理解したように俺が言う。
「そうではない、貴様の言うネロとやらの意識が少し触れただけで、実際には貴様の世界にいたわけじゃないのじゃ。」
だめだ、もうそろそろ話を理解できない。
もうそろそろ話しを進めてもらわないと・・・
「と、とりあえず、どんな現象が起こったかだけを教えてくれないか?」
「ふむ、ならば言おうか。きさまが起こした現象とは、貴様と平行世界の向こうにいる者の願いが一致したんじゃ・・・。」
?ますます意味がわからなくなってきたぞ?平行世界の人間と俺の願いが一致した?
「それだけ?」
「それだけとはなんじゃ。そうそう起こる現象ではないのじゃよ。まぁ、それが貴様がここに呼ばれた理由じゃ。」
ふーむ・・・平行世界って結構奥が深いんだなぁ・・・
(俺の願い・・・っていうと・・・ネロに会うこと・・・だよなぁ。)
「なんじゃ、気づいておるなら説明は不要じゃな。」
「だから当然のように俺の思考と会話すんなよ!びっくりするだろ!!」
「ふん、みみっちぃ男じゃの・・・まぁよい、では早速貴様にはある選択をしてもらう。」
「選択?」
なぜだか嫌な予感がした。冷静に考えれば俺は死んでいるんだ。当然選択というのは・・・
「察しがよいのぅ、では言おう。まずはおぬしがこのまま死を選ぶこと。もう一つはおぬしと願いの一致した者の居る世界に行って、新しい人生を歩む事。この二つじゃな。」
「ちょっと待てって、なんで考えが一致しただけでそいつの世界に行くことになんだよ!もう少し説明してくれ!!」
「・・・察しのよいやつかと思ったが、どうやら勘違いじゃったみたいだのぅ。」
なぜか哀れまれる。悪かったな察しが悪くて・・・これでも頭は切れるほうなんだぞ!!・・・・・・・多分
「・・・・・・おぬしと考えが一致するってことは、平行世界のほうの者もある人物に会いたいと思っておるからじゃ。・・・ここまで言えばわかるかの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・もしかして・・・・・・・・。」
「貴様の言うネロとかいうやつが、貴様に会いたいと願ったんじゃよ。」
・・・どうしよう。もう一つの世界にも行ってみたいけど、俺の住んできた世界とどれだけギャップがあるだろうか・・・
それに・・・・もう一度・・・・ネロに会っておきたい。
「うーん、ううーーん。」
「変な悩み方だのぅ。男ならさっさときめんか!!」
「うーん・・・・・・なぁ、一つ聞いてもいいか?」
「世界の成り立ちは教えれんぞ、これでも平行世界のバランスを崩さんために、がんばっとるんじゃからな。」
うぅ、やはり読まれてる・・・だったら
「・・・?ほぅ。」
「察しがいいな、今までなんで思わなかったのかも不思議だけど。」
俺が聞きたい事、それはこいつの正体が何者なのかということだ。
とっさに変えただけで、こいつにもばれてるだろうが一応気になったからな。
「ふぅむ、なんと言えばいいかのぅ。大雑把に言えば『神』と言うのが貴様にはしっくりくるかの。」
「なんつー中二病だよ、自分のこと神なんて真顔で言えるやつ初めてだよ。」
まぁ、真顔かどうかはこいつの姿が見えないからわからんが・・・
「神といっても色々とおるのじゃ、詳しくゆうても貴様のミニマム脳みそにはちぃとばかし難しいしの。」
ケラケラと笑う声に色々とムカついたが、こいつが人外なのはわかった。
「他の世界にはこんなのがわんさかいるのかよ・・・」
「まぁ、その質問には答えれんが、そんなとこじゃの。・・・で、答えはどうなったのじゃ?」
ようやく本題に入った、しかし今の俺にはこんな質問は愚問でしかない。俺の考えはただ一つだ。
「・・・・・・いいのか?その世界に行っても身寄りも頼れるものもおらんのじゃぞ?」
「馬鹿いえ、自分の力で生き抜く、男のロマンじゃねぇか!!」
「ふふっ、お前はホントに面白いやつじゃのぅ。」
「それに、頼れるやつならいるさ。ネロがいるってんなら意地でも見つけてたよってやるさ。」
「そうか、ならとめる必要もないかの。」
不意に俺の体が透け始める。
「おお!透ける透ける!!おぅ!なんだこれ、指がねぇのに感覚はあるぞ!!おもしれぇ!!」
「今、その世界に転送している。・・・まぁ、体に気おつけていってこい。」
「・・・悪い、もう一つ聞いて言いか」
「?なんじゃ。」
「お前、名前なんて言うんだ?お前お前って言うのも嫌だからな・・・」
「・・・・・・我に固定名は存在しないのだがな・・・・・・好きに呼べばいい・・・」
・・・なんか、悪い事聞いちまったなぁ。
・・・よしそれなら
「これからお前の名前は『セイ』だ。」
「・・・なんだその名前は・・・」
「声しか聞こえないからな。声って漢字を読み替えたんだ。」
「変わったやつよのぅ。名前なぞつけんでも我は困らんとゆうのに…」
「まぁ、声っていうのはもう一つ理由があってな」
「?」
「お前の声って、すげぇ綺麗だなぁって思ったから。」
「・・・・・・//////////////////////////////////////////////」
「変だったか?嫌だったら別に呼ばないけど・・・」
「・・・いや、使わしてもらおう。今日から我はセイと名乗ろう。///」
なんか変に声が上ずってたきがするけど
・・・まぁ、気に入ってくれたみたいならいいか・・・
「・・・・・セイ・・・・か…全く、変わったやつだのぅ」
セイ視点
転送の約3分の2が終わった。もうすぐこの小僧ともお別れと思うと寂しく思える。
・・・全く、情とは恐ろしいものよのぅ。たったの数時間の間にこの小僧を愛しく思えるのだからな・・・
これまで何千年とこの空間でいろんな世界を見てきたが、平行世界越しにお互いの気持ちが通じることを成しえたのはこやつらが始めてだのぅ。
…まったく、ここまで自分の気持ちに素直になれるなんて、こやつらが羨ましいわい。
「・・・のぅ、我も一つ聞いてよいか?」
「ZZzz・・・・・・」
「・・・こやつ、このまま転送先を地獄に変更してやろうか・・・」
まったく、肝が据わっておるのか、やはりアホの子なのやら・・
「・・・まぁ、十中八九後者じゃろうがな。」
思わず笑ってしまう。こんな気持ちはいつ振りだろう。
・・・いや、きっと初めての気持ちなのだろう。
初めての自分以外の存在
初めての会話と談笑
初めての自分に付けられた名前
こやつに出会って、初めてする事だらけじゃった。
その中でも、一番心打たれたのは、
言葉にできないこの気持ち
初めての・・・恋・・・
翔一視点
・・・・・・・・・・・・あれ?
「お?気が付いたようじゃな。」
「俺・・・寝てたのか?」
「ああ、それはもうぐっすりと。」
どうやら俺は寝てたみたいだ。
夢は見てなかったと思うが・・・そもそも死んでるのに寝る事ができるんだな。
体はもうほとんど消えている。あともう少しでこの空間ともお別れなんだな。
・・・・・・寂しくなんか無いからな!本当だぞ!
「しかし、ちょっと緊張するな・・・新しい世界かぁ・・・」
「ちょっとは落ち着かんか!子供か、おぬしは」
「男はいつまでも子供なんだぜ!」
「…全く、世話の焼けるやつじゃのぅ」
「・・・のぅ。」
「あ?なんだセイ。」
「我も一つ聞いてよいかのぅ。・・・その・・・おぬしの名前はなんとゆうのじゃ?」
「?俺の心を読めばわかるんじゃないのか?」
「いや、・・・その・・・おぬしの口で言ってほしいのじゃ///」
おかしなやつだな、なんかまた声が上ずってたがどうしたんだろう。
「まぁ、いいか。俺の名前は霧島翔一だ。」
「・・・霧島・・・翔一だな。」
むぅ、改めて自分の名前を言われるのはなにかこそばゆいものを感じる。
「それじゃ、お別れじゃ。」
「あぁ、じゃあな、 セイ 」
「じゃあの、 翔一 」
俺の体が消え、また俺の意思もうっすらと消えていく・・・
―――ありがとう―――
消えゆく意識の中、そんな言葉を聞いたきがした
10/04/06 13:56更新 / 理科総合A(改訂版)
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