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5月号-殲滅戦 |
魔物好きは少数派。
そんな時代もかつてはありました。 その頃は魔物は恐ろしい物であり、滅ぼすべき物として認識されていました。 これは当時、魔物討伐をしていた男たちの物語です。 >>775217026011126(いやーなやつは37564☆ ヤったもん勝ちの世の中ですから) 月明かりもまばらな森の中を男たちが走る。 手には武器を、身には防具を纏った屈強な男たちは、必死の形相で走っている。 背の低い草を掻き分け、邪魔な枝葉を切り落とし、一刻も早く森を抜け出そうとしている。 しかし、彼らの後方から追う者はその背を見ながら薄笑みを浮かべる。 「待ちなさい。逃がしはしないわよ」 幼さと女性らしさを合わせたような少女の声。 彼らを追っているのは年泡会少女たちだ。 しかし少女の声は聞こえるが、足音は聞こえない。 それもそのはず。 彼らを追っている少女たちは走っていない。 「ほら、一人つーかまえた!」 「うわぁああ!」 「畜生、化け物どもめ!」 仲間の一人が襲われた。 悲鳴を上げながら倒されていく彼に一瞥する余裕すらなく、男たちは毒づく。 彼らが少女たちを化け物と呼ぶが、これは比喩でもなんでもない。 「夜の私たちに勝てると思っているの?」 追撃者は人ではない。 ワーバットと呼ばれる魔物。 蝙蝠は鳥と獣の間の生き物として学者の間で議論されているが、このワーバットは人と蝙蝠の間の様な姿をしている。 頭からは大きな耳が生えていて、肘から先は腕の代わりに薄い皮膜の翼を広げている。 「あら、かくれんぼしている人がいるわよ」 「じゃあその人は食べちゃいなさい」 「はーい」 「ちっ、どこの馬鹿だ! ワーバット相手に隠れるのは無駄だと説明したはずだろうが!」 「説明しても意味は無いけどね」 「くそっ、ちくしょう! こんな仕事、引き受けるんじゃなかったぜ!」 リーダー格の男は人生最大の悪夢を呪いながら、昨夜の事を思い出していた。 事の発端は、酒場でエール種を飲んでいる時の事だった。 「魔物退治だぁ?」 フードを被った女性が彼に依頼を持ちかけてきた。 内容は、この街の近郊に住み着いた魔物の討伐。 驚く彼を尻目に、女性は話を続ける。 「あなた方の噂は有名です。数々の魔物を葬って来たあなた方だからこそ、この話を持ちかけるのです」 魔物の討伐自体はごくごくありふれた依頼内容だが、その話を依頼者本人が持ちかけてくるのは珍しい。 なぜなら魔物の討伐を生業とするような男たちは決まって粗野で乱暴、一つ間違えれば山賊盗賊の類と言ってしまってもいいような荒くれ者ばかりなのだ。 特に彼を中心に結成された総勢50名を越す討伐部隊は討伐した魔物の数だけ悪い噂が流れるほどだ。 現に彼の仲間たちは下卑た笑みを浮かべながら女性を取り囲み、他の客達は気の毒そうな顔をしながら距離をとり始めた。 「詳しい話を聞かせてもらおうか」 彼もまた部下同様に品のない笑みを浮かべて、女性の衣服に手をかけ始めた。 翌日、早速彼らは魔物を討伐するべく洞窟へ向かった。 道中にも魔物はおらず、洞窟の奥まで進んだがやはり魔物は現れなかった。 不審に思ったリーダー格が周囲を警戒するよう命じようとした時、それは始まった。 まず洞窟の奥に居た数名が突如として現れた穴に落ちた。 穴を掘る魔物と言えばジャイアントアント。 広い外ならいざ知らず、武器を振り回せない狭いアリ穴での戦闘では勝ち目がない。 歴戦の彼らは即座に判断し、穴に落ちた仲間を見捨てて撤退して行った。 「あはぁ、この人の、すっごく硬いよぉ」 「この人も逞しくって、ああ、私もイっちゃうぅううう!」 穴に落ちた男たちは最初、殺されるかと身構えた。 しかし性行為を求められた時には歓喜の声を上げた。 自ら進んで衣服を脱ぎ、ジャイアントアント達を犯し出した。 3回果てた後、他のジャイアントアントも集まってきた。 みな薬を盛られた娘のように表情を蕩けさせ、我先に衣服を脱いで近付いてくる。 この時、彼らに少しでも理性が残っていれば後の運命を悟ったのだろうが、残念な事に彼らは既に正気ではなかった。 ジャイアントアントが発するフェロモンは男性を魅了する成分が含まれていて、彼らはジャイアントアント以上に発情しているのだ。 もっとも、後からやってきたのは彼女達は男たちと同等以上の発情振りで、秘めたる場所から透明な液体を垂れ流しながら男たちに文字通り襲い掛かって行った。 彼女達はジャイアントアントに比べて脚の本数が2本多い、アントアラクネという魔物で、この日のためにわざわざ巣の中にやってきた。 ジャイアントアントのフェロモンはアントアラクネにも効いてしまう為、同じくフェロモンで発情している男たちと共に互いを貪るような饗宴を繰り広げる。 男達がハーレム気分に浸っていられたのはその時まで。 後続のジャイアントアント達が次から次へと壁に穴を空け、床に穴を空けて現れてくる光景を見たとき、彼らは脱出の絶望を理解して愕然とし、快楽の期待のあまりそのまま果てた。 洞窟を無事脱出した彼らを待ち受けていたのはゴブリンとワーウルフの群れだった。 「ち、どうやら嵌められたらしいな」 「いやいや。ハメるのはこれからだよ〜、うっふっふ〜」 舌打ちをするリーダー格と、楽しげに腕を組むゴブリン。 だが彼らは苛立ちを覚えながらも不安を抱く者はいない。 ゴブリンやワーウルフ程度、彼らは幾らでも殺してきた。 「せめてリザードマンぐらい用意しておけ」 「わー、ころされるー」 彼らが武器を抜くと、魔物たちは一斉に森へと逃げ出した。 「おい。あいつらの首が今回の戦利品だ」 「おうよ!」 「へっ、たまにゃガキの体を犯るってのもいいな」 「またか、このネクロフィリアめ」 「殺ったあとに犯るか、犯ってる間に殺るかの違いだろ?」 「大違いだ、変態め」 「あんだと?」 「馬鹿ども。ぐだぐだ言う暇があったらとっとと殺して帰るぞ。あの女への報復も忘れていないだろうな」 「へっ、わーったよ大将」 口々に笑みを浮かべながら森へと入り込んでいく。 多少手間取ったが楽な仕事だった。 そう思っていた。 だが、そうではなかった。 男がそのことに気づいた時、既に男の運命は終わっていた。 「なんだこれは、体が動かない!」 低レベルの魔物を狩るだけのスポーツだと高を括っていた彼は、予想外の事態に混乱してしまった。 何かが絡まって、張り付いて、身動きが取れない。 もがく内に気づく。 嵌められた。 「ご丁寧に、森の中まで罠を仕掛けられているとはな」 彼は獣の様に走って藪を抜けたワーウルフを追っていたが、上半身に粘着質の何かが張り付いて身動きが取れなくなった。 目を凝らしてみれば、白い網のような物が木枝に隠されていた。 粘着質のある網状に編みこまれた糸と言えばクモの巣だが、これはクモの巣にしてはあまりにも大きすぎる。 彼は魔物の中にクモ種の魔物がいる事を思い出す。 「ちくしょう、アラクネの巣かよ!」。 「その通りだよ」 声は彼の背後から聞こえた。 気づかぬ内に、首筋に息がかかる距離にまで魔物が近付いていた。 ふぅ、とアラクネが男の首筋に息を吹きかけられる。 男はぞくりと身震いをしたが、それが恐怖の為かそれとも姿も見えない彼女の妖艶さに当てられたためかは、彼自身にもわからなかった。 「顔を見せやがれ化け物め!」 「後でたっぷりと見せてあげようじゃないか。ほら、もがいてごらん? もしかすると糸が千切れて自由になれるかもしれないじゃないか」 「くそったれ!」 彼はアラクネという魔物を見たことはない。 クモと同じ様に複数の目を頭部に持つ異形の魔物だと想像している。 どうせ身動きが取れないなら、せめて顔だけでも拝んでやろうとするが、振り向こうにも体はまったく動かず、首さえ動かせない。 アラクネの糸は弾力性の高く少し体を動かすくらいなら可能なのだが、アラクネは彼の両肩に手を置いてその動きを制する。 「くそっ!!」 「やられた!」 どうやら他にも罠を仕掛けられていたらしい。 男は同じ様に掴まってしまった仲間の声に、救援の可能性を諦めた。 「大量だねぇ、ふふ」 「そうだな」 「今晩はとても楽しみな夜だ」 「そうか。だったら、一人で愉しみやがれ!」 救援が期待できないならば自分の力で対処する。 それが彼らのルールだ。 彼の足は糸が絡まっていないため、自由に動く。 まず彼は体を限界まで前に倒し、背後にいるアラクネの顔面目掛けて後頭部をたたきつける。 痛みに呻くアラクネが少しだけ距離をとる。 次に鉄鋲で補強したブーツの踵で勘を頼りにアラクネの腹を蹴り飛ばす。 柔らかい女性の感触がブーツ越しに伝わる。 「が、う、ぁぁぁ」 「トドメだ」 蹴りの勢いで若干後ろを振り向いた彼は、腹部の打撃で体をくの字に曲げるアラクネの姿が見えた。 蹴り足を戻し、その反動を利用し逆回転に体を回す。 クモの巣の弾力も利用して、アラクネの首を折ろうとして、男は違和感を感じた。 アラクネを蹴った方の足に何かが引っかかっている。 その何かが気になった物の、千載一遇のチャンスを逃してはならないと男は地面を蹴り両足を伸ばす。 「ちょっと調子に乗りすぎだよ、おっさん」 怒気を含んだ幼い少女の声。 不味い、そう直感したが足は止まらない。 アラクネへと伸ばした足に横合いから何本もの糸が絡みつく。 足はアラクネには届かず、羽虫の様に糸に絡まったまま、男は宙吊りにされてしまう。 「げほっ、げほっ」 「あーもう、おねえちゃんったらまた油断しちゃって」 「仕方、ないでしょ。私は、こういうのは向いていないんだよ」 「はいはい、怠け者の婚期遅れを姉に持つ私だけが苦労するってわけね」 「ちょっと、それはあんまりじゃないのかい」 「ふぅん? そーゆーこと、言うんだ」 言いたい放題の幼いアラクネに年上の方のアラクネが反論する。 しかし少女アラクネの声音が変わると、もう一人のアラクネが狼狽し始める。 どうやら二人は姉妹らしいが、力関係がどうなっているかは男にもよくわかった。 「本気かい!? 男はまだそこに、や、やめ!」 「だーめ。口答えするおねえちゃんは、こうだよ?」 「や、だめ、だめぇ!」 なにをしているのか男にはわからない。 確認しようにも男は全く身動きが取れない状態だ。 「ふふー。おねえちゃん、もう硬くなってるよ」 「だめ、そこ弄らないでぇ!」 「えー? だってこれはさ、準備なんだよ。いつまで経っても旦那さんが見つからないおねえちゃんの手伝いをしてるんだよ? それを拒むなんて、しないよね?」 「やぁあああ! だめ、だめ!」 「ふふー。もうくちゅくちゅって、ほら、聞こえる? そこのおっさんも聞こえるでしょ?」 「だめ、やぁ、聞かないでぇ!!」 男に対して強気だった姉アラクネは羞恥に声を荒らげるが、男の耳には確かに愛液をかき混ぜる音が聞こえる。 「ほーら、あのおっさん、おねえちゃんの音を聞いて、もうこんなにおっきくしてるよー」 「くぅっ!?」 男はモノを撫でられうめく。 衣服越しに少女の手が触れている。 魔物の手といえど姉妹レズシーンを聞かされて興奮していた彼は、素直に少女の手が与えてくれる快楽を受け入れる。 不意に、男の頬を濡れた指がなぞる。 唾液かと思ったが、その独特な匂いに気づいた。 「ふふー。おねえちゃんのえっちなお汁だよ。興奮する? ねぇ、興奮する?」 「やめてぇ! そんなことしないでぇ!」 ちろりとうなじを舐められる。 細い指先で胸を撫でられる。 それらあるかないかの刺激がなおのこと、男を興奮させる。 「さてと。準備はこれぐらいでいいね」 妹アラクネの声と共に男は地面へと落ちる。 「―――! ―――!」 「あらー、おっさんったら身もだえして。そんなに気持ちよかった?」 隆起したモノが地面に直撃した激痛で蠢く男を見下ろし、妹アラクネはおかしそうに笑いながら彼の背中を踏みつける。 尖った蜘蛛脚が背中にめり込む。 「さってと。おねえちゃん、こっちおいで。ほら、だいじょうぶだって。両手両足、ちゃーんと縛っているんだし」 年上の彼と姉アラクネを手玉に取る妹アラクネ。 幼い少女に言いようにされている屈辱感と背徳感がなおのこと男を興奮させ、地面に顔を擦りつけながら息を荒らげる。 「よいしょっと」 ごろんと男は仰向けに転がされる。 落ちた拍子に糸が目を覆い何も見えない。 何も出来ないまま、男は丸裸にされていく。 「ふふー、この人のオチンチン、ちょーっとおっきいかな」 「うそ、こんなのが入るのかい?」 「そう。あー、びびっちゃってるねー。よし、もうちょっと解さないと」 「ああ! そこ、だめ! 抓まないでぇ、うんんっ!」 「んん、ちゅ、ちゅう、ん、んん」 声が途切れる。 「ちゅ、ちゅう、ん、ちゅっ、ちゅ、ちゅ……ふふー。おねえちゃんったら本当にキスに弱いんだから」 「はぁ、はぁ……はぁ」 「ふふー。もうすっかり出来上がっちゃって。ほら、ずずっとイッちゃいなって」 「はぁ、はぁ」 言葉さえ発せられないほど発情した姉アラクネ。 早く入れて欲しいと、懇願する男。 「はぁああああああ!!」 「くぅぁあああああ!!」 入れると同時に二人は達してしまう。 二人が快楽の余韻に浸っていると、幼い少女が楽しそうにくすくすと笑う。 「ふふー、お二人さん。本番はこれからだよ?」 他の場所でも大差はなかった。 「くぅぅ! イク、イクぅううう!!」 押し倒した男の上に跨っているゴブリンが体を反らしながら達する。 ごぷりと結合部分から精液が溢れ出る。 「はふぅ、よかったぁ」 「ほら、次は私だよ」 腰砕けになっているゴブリンを下ろし、別のゴブリンがモノを挿入する。 太ももまで垂れるほど濡れていたゴブリンは、彼女の腕ほどの太さはあるソレを咥え込み腰を振り続ける。 大きすぎるモノは少女の花弁を限界以上に押し広げ、突き込まれるたびに少女の腹部が大きく盛り上がる。 しかしゴブリンは痛がる様子もなく、愛液を飛び散らせながら快楽に顔を蕩けさせる。 「私もイッちゃうううううう!!」 ビクビクと体を震わせ果てる。 同時に男も達し、幼い顔立ちの少女の中へ精液を流し込む。 「はぁ、はぁ」 「次、私だよね」 男の上から崩れ落ちるように離れた彼女の次は、髪の長いゴブリン。 彼女も興奮して愛液を垂らしているが、モノのサイズに気後れしているようだ。 「やらないなら次は私がとっちゃうよー」 「あ、やる、やるよぉ」 仲間に背中を押されながら男の上に立つが、改めて自分の花弁にあてがうと躊躇ってしまう。 同じ位の背丈の仲間が大丈夫なら自分も大丈夫のはず。 そう思うが、他のゴブリンたちと違い、この少女は男性と交わった経験がない。 「がんばれー!」 「最初大きいと後が楽だぞー!」 「というか。私も最初はおっきいのがよかった」 仲間の声援を受け大きく深呼吸し、少女が腰を下ろす。 「〜〜〜〜!!」 「がんばれ、もう少しだよ!」 「奥まで入れたら後はなんとでもなるから!」 みちりと肉が裂ける音が聞こえそうなほど少女の可愛らしい部分は無残に押し広げられ、赤い血を垂らしていく。 痛みに顔は青ざめ、目には大粒の涙を溜めて、体の震えは止まらない。 「〜〜〜〜〜っ!!」 しかし意を決して少女は勢い良く腰を落とす。 他のゴブリンたち同様、規格外のモノが入り込んだ少女の腹部は異様な形が盛り上がる。 「〜〜〜〜〜!?」 痛みに堪えていた少女が突如パニックに陥る。 目を白黒させて周囲に助けを求める。 「あー心配しなくっていいって。それが「射精」ってやつだからさ」 「あんだけ抜いたのに、こいつったら早漏だねー」 「いあいあ、私が調合した薬がそれだけ凄かったって事だよ」 パニックから立ち戻っていない少女に仲間が集まっていく。 未経験の連続から来るパニックから復帰した少女は、体を前に倒して男の首に手を回す。 「おお、もう2回戦?」 「そうこなくっちゃ!」 少女は男に抱きつきながらぎこちなく腰を動かす。 キスをしたいと思ったが体格が合わず、男の逞しい胸にキスの雨を降らせる。 「このまま旦那さんにしちゃいますって勢いだねぇ」 「それもいいんじゃない?」 祝いだ祭りだと酒を取り出すゴブリン達。 仲間の騒ぎにも気づかず、髪の長いゴブリンは2回目の射精を受けるべく懸命に腰を動かし続ける。 ちなみにゴブリンに犯されている男は一言も言葉を発しなかったが、それも無理はない。 何十回と射精した彼は快楽のあまり白目をむいて泡を吹いていた。 そして髪の長いゴブリンの少女は最後までそれに気づいていなかったという。 「ちくしょう!」 リーダー格はいち早く異変に気づいて仲間を集め町へと逃げる事にしたが、集まった時点で既に仲間の数は半数を切っていた。 さらに逃亡を開始してからは次々と仲間が減っていく。 最後尾がアルラウネ次々と掴まった。 蔦を切り落とそうとするとスライムとおおなめくじが降って来た。 倒せない事はないが魔物たちの統制が取れた連携に嫌な予感がしたリーダー格は、彼らを見捨てた。 オークの群れに出くわした。 オークを倒そうとすると背後からワーウルフの群れが襲ってきた。 両方撃退しようとするがワーウルフはすぐさま逃げ出し、オークも男たちを狙わずに片っ端から木をなぎ倒し、そのまま逃走した。 そして誰も帰ってこなかった。 ワーウルフの遠吠えが聞こえる。 男達は逃亡を再開した。 そうして次第に数を減らし、現在に至る。 「捕まえたよ、もう捕まえたよ」 「誰が捕まるか!」 くすくすと少女の笑い声が聞こえる。 ワーバットは遠くに離れているはずなのに、耳元で囁かれているように聞こえる。 だがリーダー格の男は無視する。 近付いてきたなら切り捨てる。 彼にはその自信があったし、それだけの実力もある。 そして何よりあと少しで森を抜ける事が出来る。 森さえ抜ければ後は自由に戦える。 いや、町にさえ入れば戦える。 いや、宿で休めば戦える。 男は自分の勝利を確信しながら森を抜けようとして、前方に誰かが立っていることに気づく。 「どけ! 邪魔だ!」 邪魔をするなら切り捨てる。 普段なら考えもしない事だが彼はいまとても急いでいた。 微動だにしないその人物に彼は笑いながら剣を引き抜く。 「邪魔なら切り捨てるというおつもりですか」 彼は聞き覚えのある声―――彼がこんな目に合うきっかけとなった女性の声―――に気づき、血走った目を見開く。 「貴様のせいで、俺の部隊は!」 人間を殺せばお尋ね者になる。 そんな単純な理屈さえ頭に浮かばなかった。 「困った人ですね」 甲高い金属音。 細い女の首を切り飛ばすはずの剣は、それよりも細い女性の腕によって止められていた。 いや、正確には袖から姿を現した鉛色の蛇。 生きているという証拠を示すように、ぎょろりと男を見た蛇は赤い舌を出す。 「まさかここまで逃げ延びるなんて。やはり早めに潰しておいて正解ね」 「きさま、魔術師か? 何の為にこんなことをしやがる!」 「魔術師? いいえ違うわ」 フードを下ろした彼女の顔は昨夜とは違い氷の様に冷たい。 怖気の走った男が後ずさりをする。 「私は魔物よ。貴方もこういう種族は見たことがあるでしょう」 変化は直ぐに訪れた。 彼女の背が伸びた。 いや、体が伸びた。 彼女を見上げながら彼は、ひっと悲鳴を漏らす。 巨大な蛇身が地面をのたうっている。 ラミア。 半身が人、半身が大蛇の魔物。 しかし彼の知っているラミアは人に化ける事は出来ない。 ならば話に聞くメドゥーサか。 しかしメドゥーサは髪の代わりに蛇を生やしている魔物だ。 いま目の前にいる魔物の髪は人と同じだ。 ならばこの魔物は何だ。 男の疑問に答えたのは、彼女だった。 「エキドナって、聞いたことある?」 「えき、どな…………!?」 聞きなれない単語に戸惑うのも僅かな間。 彼は思い出してはいけない名前を思い出した。 ミノタウルスが奥に居座っているダンジョンとは格の違う、勇者のパーティーですら安易に入れないダンジョンの奥深くに座すという強大な魔物。 ラミアよりも、メドゥーサよりも強大な力を持つラミア種の魔物、エキドナ。 ミノタウルス相手に苦戦している男が勝てる相手ではない。 「なぜ、なぜだ!?」 「質問はもういいわ。そこで大人しく倒れていなさい」 エキドナの指先から放たれた雷を受け、男は地面に倒れこむ。 「やっぱり姐さんは一味違うね!」 「後は任せたわよ」 「うん!」 先ほどとは打って変わって明るい声のワーバット。 ぴくりとも体が動かない彼はそのまま、意識を失った。 「くっ、はっ!」 男が気づいた時には洞窟の中に居た。 体は革ベルトで拘束されていて、彼を見下ろすワーバットの少女が立っていた。 身動きの取れない彼に抵抗する余地もなく、彼女の思うがままに甚振られている。 「つ、てめぇら」 「あはは、血が美味しい」 「私も飲む、飲む」 「ぐあああ!」 「ねぇ、ねぇ、血を吸われて気持ちいい? ほら、気持ちいい?」 「あははは、気持ちいいに決まってるよ。ほら、オチンチンびっくんびくんだよ、あはは」 「そうそう。二人とも、死なない程度に苛めて(あそんで)あげるのよ」 「はーい、あはは」 「はーいはーい」 ワーバットは3姉妹だった。 一人が性器を舐めている時は他二人が首筋や胸を責める。 時に首や胸などに牙を立てて血を啜る。 太ももをかまれた事もあれば、足の指を舐められた事もある。 噴出した精液は3人が揃って舐めとる。 愛情も何もない、ただの遊び道具としての運命。 それがかつて数多くの魔物を討伐してきた男の末路だった。 |
「ねぇ、ねぇ。誰があの人と結婚するの? 結婚」
「それは、どうしよう」 「あははー。3人の中で一番あの人が大好きな人にしたらどう?」 「うん、うん、それいい、いい!」 「でも、あの人の気持ちも大事に、したいけど」 「うん、うん、ソレも大事、大事!」 「あははー、でもさ、ちゃんと言ってくれるかなー、〜〜〜〜」 「どうしよう、いつもいじめちゃてるから、どうしよう」 「うん、どうしよう」 「あははは、はふぅ」 ----作者より 短編集第2弾。 思うが侭に書いてみたらこうなった。 アルラウネとかスライムとかワーウルフとかおおなめくじのえっちはどうしたかって言われても(’’ 見てみたいっていう要望があったら後日談形式で書くかも(。。 気分が乗っている時は色々かけるけど、えろいのが書けないという残念な作者(。。 ---なお冒頭の意味不明な数字のヒントは「携帯電話」です(’’ 10/08/16 13:57 るーじ |