act.2 少年は少女と出会い
『あらあら〜?また誰かが死んだのかしら?』
「誰だ?あんた」
『あらまぁ!しかも私が見える子がいるし』
じいちゃんが墓土に埋められる場面を見届けた俺は、それでもじいちゃんのはかをじっと見つめていた。
じいちゃんは俺しか身内がいなかったが、俺もじいちゃんしか身内がいなかった。
俺はこれからどうやって生きていけばいいのだろうか?
そんな風に途方にくれていたとき、あいつに出会った。
明らかに人ではないその少女。
宙に浮いてるわ向こう側が透けて見えてるわで、最初見たときは驚いたが、そういえばゴーストっていう魔物がいたっけなぁと思い出し、すぐさま冷静になる。
『ふぅ〜ん……なるほどね、おじいさまが死んで途方にくれてる、と』
「ああ……って、何で分かるんだよ。俺は何も言ってないぞ」
『こう見えても、生前はちょっとは名の知れた魔道士でね。こう、魔法でちょちょいと』
人の心を読む魔法だってか。
そんなの聞いたことねぇぞ。
『さて、ここであなたに提案です。私を憑かせてみない?』
「はぁ?」
この幽霊は何を言っているんだ?
『別にふざけてるわけじゃないのよ?あなたのためを思っての提案よ。私があなたと一緒にいれば、少なくともあなたはそう簡単には死なないわ。襲ってくるやつらは私がぶっ飛ばしてあげるし、野生動物を魔法でしとめて、食糧確保にも使える。お買い得よ〜?』
新手の通販かよ。
「……メリットだけじゃないんだろ?」
『そうだけど、そんなに大きなデメリットじゃないわ。ちょこ〜〜〜〜〜っと精を分けてもらっちゃうだけだから』
なぜかちょこっとの部分を強調して言うこの幽霊少女。
まぁこの際それは置いておこう。
「何でそこまでする?俺とあんたは初対面なはずだ。見ず知らずの赤の他人にそこまでする理由は?」
『う〜ん……言っちゃえば一人が寂しいから、かな?かれこれ……旧魔王のさらに前の魔王がいた時代から私は一人だったし……』
『それに、あなたが私の好みだからかな。女の子の行動理由としては、上等でしょ?』
『ダーリン、起きて、朝よ』
「…………」
『ダーリン!もう、起きなさい!』
うるせぇな、もうちょっと寝かせろよ……
『……起きてくれないと……ダーリンの(検閲)を(検閲)した挙句(検閲だってば)してさらに恐ろしいことに(禁則事項です♪)しちゃうわよ!!オマケで(見せられないよ!)をしちゃってもうダーリンの(見せられないって!)は元気いっぱいで……!』
「朝っぱらから何大声でのたまってやがりますかお前さんは!!!?」
ええいこのエロ幽霊め!
『あ、おはよ〜ダーリン。いい朝ね?』
「ああ、まったくもっていい朝だよチクショー」
『と言うわけでお腹がすいたわ』
「何がと言うわけでだ阿呆」
脳内おピンク幽霊を放っておき、いそいそと着替える。
どうせ言っても覗いてくるだろうから、サリサに覗くなというのは諦めている。
というか俺に憑いてるから見るなって言うのが無理な話か。
『もう、ダーリンのいけずぅ……』
「誰がいけすだ。あとダーリン呼ぶな」
『いや、いけすじゃなくていけずなんだけど……まぁいいわ』
ほう、サリサがあっさり引き下がるとは珍しい。
『ところでダーリン、一体なんの夢見てたの?』
「あぁ?」
『なんか微妙に険しい顔してたし、かと思ったらなんか普通の顔に戻ったり』
「あぁ……」
そういうことね。
「別に。じいちゃんの葬式の日の夢をな」
『……ごめん、ダーリン。なんか嫌なこと言わせちゃって』
「気にすんな馬鹿。ったく、普段そういうこと気にしないくせにどうしてこういうときだけ気にするかねぇ」
俺の言葉にしゅん……となるサリサの頭を撫でるイメージをする。
ゴーストであるサリサに触ることは俺にはできない。
だからイメージで伝える。
すると、サリサは顔をパァッっとほころばせる。
……世話の焼ける奴だ。
「それに完全に嫌な夢ってわけでもねぇよ」
『へ?』
「サリサに会えたからな。お前さんがいなきゃ、俺はここまで生きていくなんてことできなかっただろうしな」
『ダ、ダーリン……』
そっぽを向きながら言い放つと、サリサは瞳をウルウルさせながらこっちを見つめてくる。
『もう!ダーリンてば大好き!!』
「うおぁ!?やめろ!お前のエロ妄想を加速させるな!朝っぱらからそっち方面に進めようとするんじゃねぇ!!」
……ほんとに世話の焼ける奴だ、いろんな意味でな。
「誰だ?あんた」
『あらまぁ!しかも私が見える子がいるし』
じいちゃんが墓土に埋められる場面を見届けた俺は、それでもじいちゃんのはかをじっと見つめていた。
じいちゃんは俺しか身内がいなかったが、俺もじいちゃんしか身内がいなかった。
俺はこれからどうやって生きていけばいいのだろうか?
そんな風に途方にくれていたとき、あいつに出会った。
明らかに人ではないその少女。
宙に浮いてるわ向こう側が透けて見えてるわで、最初見たときは驚いたが、そういえばゴーストっていう魔物がいたっけなぁと思い出し、すぐさま冷静になる。
『ふぅ〜ん……なるほどね、おじいさまが死んで途方にくれてる、と』
「ああ……って、何で分かるんだよ。俺は何も言ってないぞ」
『こう見えても、生前はちょっとは名の知れた魔道士でね。こう、魔法でちょちょいと』
人の心を読む魔法だってか。
そんなの聞いたことねぇぞ。
『さて、ここであなたに提案です。私を憑かせてみない?』
「はぁ?」
この幽霊は何を言っているんだ?
『別にふざけてるわけじゃないのよ?あなたのためを思っての提案よ。私があなたと一緒にいれば、少なくともあなたはそう簡単には死なないわ。襲ってくるやつらは私がぶっ飛ばしてあげるし、野生動物を魔法でしとめて、食糧確保にも使える。お買い得よ〜?』
新手の通販かよ。
「……メリットだけじゃないんだろ?」
『そうだけど、そんなに大きなデメリットじゃないわ。ちょこ〜〜〜〜〜っと精を分けてもらっちゃうだけだから』
なぜかちょこっとの部分を強調して言うこの幽霊少女。
まぁこの際それは置いておこう。
「何でそこまでする?俺とあんたは初対面なはずだ。見ず知らずの赤の他人にそこまでする理由は?」
『う〜ん……言っちゃえば一人が寂しいから、かな?かれこれ……旧魔王のさらに前の魔王がいた時代から私は一人だったし……』
『それに、あなたが私の好みだからかな。女の子の行動理由としては、上等でしょ?』
『ダーリン、起きて、朝よ』
「…………」
『ダーリン!もう、起きなさい!』
うるせぇな、もうちょっと寝かせろよ……
『……起きてくれないと……ダーリンの(検閲)を(検閲)した挙句(検閲だってば)してさらに恐ろしいことに(禁則事項です♪)しちゃうわよ!!オマケで(見せられないよ!)をしちゃってもうダーリンの(見せられないって!)は元気いっぱいで……!』
「朝っぱらから何大声でのたまってやがりますかお前さんは!!!?」
ええいこのエロ幽霊め!
『あ、おはよ〜ダーリン。いい朝ね?』
「ああ、まったくもっていい朝だよチクショー」
『と言うわけでお腹がすいたわ』
「何がと言うわけでだ阿呆」
脳内おピンク幽霊を放っておき、いそいそと着替える。
どうせ言っても覗いてくるだろうから、サリサに覗くなというのは諦めている。
というか俺に憑いてるから見るなって言うのが無理な話か。
『もう、ダーリンのいけずぅ……』
「誰がいけすだ。あとダーリン呼ぶな」
『いや、いけすじゃなくていけずなんだけど……まぁいいわ』
ほう、サリサがあっさり引き下がるとは珍しい。
『ところでダーリン、一体なんの夢見てたの?』
「あぁ?」
『なんか微妙に険しい顔してたし、かと思ったらなんか普通の顔に戻ったり』
「あぁ……」
そういうことね。
「別に。じいちゃんの葬式の日の夢をな」
『……ごめん、ダーリン。なんか嫌なこと言わせちゃって』
「気にすんな馬鹿。ったく、普段そういうこと気にしないくせにどうしてこういうときだけ気にするかねぇ」
俺の言葉にしゅん……となるサリサの頭を撫でるイメージをする。
ゴーストであるサリサに触ることは俺にはできない。
だからイメージで伝える。
すると、サリサは顔をパァッっとほころばせる。
……世話の焼ける奴だ。
「それに完全に嫌な夢ってわけでもねぇよ」
『へ?』
「サリサに会えたからな。お前さんがいなきゃ、俺はここまで生きていくなんてことできなかっただろうしな」
『ダ、ダーリン……』
そっぽを向きながら言い放つと、サリサは瞳をウルウルさせながらこっちを見つめてくる。
『もう!ダーリンてば大好き!!』
「うおぁ!?やめろ!お前のエロ妄想を加速させるな!朝っぱらからそっち方面に進めようとするんじゃねぇ!!」
……ほんとに世話の焼ける奴だ、いろんな意味でな。
11/03/16 18:56更新 / 日鞠朔莉
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