斬鉄剣と誕生日
―――ターゲットの親であるマンティスの場合―――
「……と、言うわけで、アイツに何贈ればいいかぜひともアドバイスをいただきたいんですが。」
「ふむ」
まずターゲットの親に聞け!
と言うわけで、リィナさんにお伺いを立ててみる。
「そういわれても、私も分からん。私が言うのもなんだが、あの子は物欲乏しいからな」
「あ〜、そういやそうっすね」
何しろ、つい最近まで何にも興味持たなかった奴だし。
今でこそ、人目を気にせず俺に愛を語ってきたり、二人っきりになると俺を求めてきたりとしているが、
アイツは昔はそれはそれは無感動なお方だったからなぁ……
「ふむ、しかし、考え付かないわけじゃない」
「マジっすか!?して、何を贈れば……」
すっ、とこちらを指差してくるリィナさん。
俺の後ろ?……何もなし、ってことは
「俺っすか?」
「他に誰がいる?我ら魔物にとって、愛するものとの交わりは何事にも勝る喜びだぞ?」
いや、まー、それはそうでしょうよ。
「でもそれ、毎日ヤッってるんですよねぇ……」
「ほう、毎日とな?孫はいつだ?」
「まだですっ!!」
結果
いい案は思いつきませんでした。
あと孫は経済的自立するまで待ってください。
―――自称斬鉄剣の友人のカラステングの場合―――
「ふ〜ん、プレゼント、ねぇ……」
「そういうこった。お前さん、この学園の情報通だろ?何かあいつが喜びそうなこと知らないかな〜と思ってたり」
「そう言われてもな〜……」
俺と今話してるのはカラステングの黒羽という、まぁクラスメイトだ。
生まれはジパングだが、なにやら親の都合やら恋人の都合やら云々で、大陸に移住してきたそうな。
新聞委員に所属している彼女は学園の情報通。
生徒同士の交友関係はもちろん、教員しか知らない情報、挙句の果てには学園長がもみ消し、職員には緘口令をしいたはずの汚職についての情報を知ってたりする。
職員からはいろんな意味で恐れられてる生徒だ。
ちなみにその汚職をしでかした職員は田舎にすっこんだようだ。南無。
閑話休題
とにかく、こいつはクゥの自称友人だ。
クゥは興味が無いみたいだが、いつもクゥにまとわりついてなにやらやっている。
だからクゥについて、俺が知らない何かを知ってるかと思ったんだが……
「残念だけど、クゥちゃんが喜びそうな物って言われてもわっかんないんだよねぇ。普段から何見ても表情一つどころか眉根すらぴくりとも動かさないし」
「そっか……」
「ごめんね。……まったく、情報通と呼ばれている私がつかめないとは……情報通の名が泣くってもんよ」
うーむ、やはり黒羽にも分からないか……
「うーん……そういや、前にクゥちゃんの目の前に猫が飛び出してきたんだけどね、じっと見つめて動かなかったの」
「ほう……って、それってマンティスの本能じゃね?」
猫を獲物と見たんだろう。
「あ〜、やっぱり?でも、そうなると……やっぱあれかな……」
「あれ?なんだよ、あれって」
「ん」
そういうと、黒羽はこちらをすっっと指差してきた。
あるぇ〜?この展開、前にも見たぞ?
「もしかして、俺?」
「Yes! That's right!クゥちゃん、最近カル君見てるとなんか雰囲気やわらかくなるわけよ。表情動かさないけど。自分にリボンでも巻いて『俺がプレゼント』やったら?」
「……おいおい、普通それは女がやるもんだろ」
と言いつつ、俺の頭はその場面を想像してしまった。
俺がリボンで飾り付けられて……
「うげぇーーーーーー!!」
「うわっ!きたなっ!?」
やばい、それは実にやばい。
想像したらリバースしちまった。
結果
自分がプレゼントを男がやると精神的ブラクラ
「ところでブラクラって何だ?」
「いや、私に聞くな。自分で言ったんでしょ」
「いや、なんか天が俺にブラクラって言っとけって……」
「はいはい、メメタァ」
―――自称俺の妹のアリスの場合―――
「……というわけで、何がいいかいろいろ聞いて回ってるんだけど、いい案がいまいちでなくて……」
「ふ〜ん……」
ジト〜ッ
あれ?なんで俺はこんなにジト目で見られなきゃだめなわけ?
「もう、お兄ちゃんの鈍感さん」
「おいおい、いきなりなんだよ」
この子は俺の自称妹であるシュリ。
大体俺の腰より少し上ぐらいの身長。
エプロンドレスとか言う服装。
その服の腰あたりからでてる翼。
そしてドレスのスカートから覗く尻尾。
彼女はアリスという種類の魔物で、結構珍しいそうだ。
出会いはまた今度においといて、とにかくその出会いのときの出来事のせいで俺のことを「お兄ちゃん」と慕うようになった。
俺は一人っ子だから、妹がいたらシュリみたいな妹がいいなーと思ってたりする。
で、今の状況は、何故かシュリにジト目で睨まれてるところ。
……なんでさ。
「そのクゥエルさん?に直接聞けばいいと思うよ?」
「いや、それじゃあサプライズじゃないだろ」
「どうしてそこにこだわるのかなぁ?お兄ちゃんは」
いや、そっちのほうがよくないか?感覚的に。
「お兄ちゃん、よく考えてみて?もしサプライズで選んだものがそのクゥエルさんがほしいと思ってなかったとするよ?」
「ふむふむ」
「で、お兄ちゃんからそれをもらいました。……いらないけど、せっかくもらったプレゼント、いりませんってつき返せないし、かといってどう扱えばいいかにも困っちゃう」
「ほうほう」
「つまり、下手に贈ったら迷惑かけちゃうかもってこと」
「な、なんだってーーーーーー!?」
そ、そういえば……それもそうだ!
そのことをまったく考慮してなかった……
「サプライズなんて考えないで、直接聞いてから贈ったほうがいいよ?」
「そう……だな、そうだよな……ありがとな、シュリ」
そういって、シュリの頭をなでなで。
「はぅっ、ふみゅぅ……」
いつものことだが、シュリはこうやって頭を撫でると何故か不思議な鳴き声(?)を発する。
まぁ、可愛いからよし。
「よし、そうとなれば、クゥのところに急ぐかっ!」
「あっ……」
俺が頭から手を離すと、なにやらシュリが言いかけたが、俺はそのままクゥの元へと走っていった。
結果
やっぱりサプライズはやめました。
「……ふぇぇぇ、敵に塩どころか虜の果実おくっちゃった気分だよ〜……」
それと、なにやら不穏な発言。
―――ターゲットである恋人のマンティスの場合―――
「……と、言うわけでクゥに何贈ればいいか分からなくて聞きに来たんだが……」
「…………」
ガバッ
「うおぁ!?何だ!?」
「……いや、嬉しくて」
そういってぎゅっと俺を抱きしめてくるクゥ。
そして、それを抱き返す俺。
「で、お前さんは何がほしい?」
「そうだな……いろいろあるな」
「俺の財布がもつ範囲でなら、何だって買ってやるよ」
こう見えても、そこそこ金は持ってるんでな。
「そうだな……まずはアクセサリーがほしい。もちろんカルが選んでくれ」
「アクセサリーな、了解。まずってことは、他にも?」
「ああ……カルが欲しい」
「……やっぱり?」
「ああ、欲しいな」
シュリ以外に言われた「俺がプレゼント」が、まさかマジで欲しがられるとはな……
「……おっけーおっけー、了解だ。んじゃ、行くぞ」
「行く?」
こてんと小首をかしげるクゥ。
それと同時に触覚も少し揺れる。
畜生、可愛いじゃねぇか。
「おいおい、俺にアクセサリー選んで欲しいんじゃないのかよ?店に行かなきゃアクセサリーは買えんぞ?」
「あ、ああ……そうか、そうだな」
俺が差し出した手を握り、俺の隣に並ぶクゥ。
「よし、行こう。心配するな、そんなに高い物は買わせないさ」
「いや、別にいいんだけどさ。こんなこともあろーかと、金は結構持ってきた」
「ふふ、カルらしいな」
こうして、俺とクゥは二人並んでアクセサリー店へ向かった。
結果
無事にプレゼントを渡せました。
「……と、言うわけで、アイツに何贈ればいいかぜひともアドバイスをいただきたいんですが。」
「ふむ」
まずターゲットの親に聞け!
と言うわけで、リィナさんにお伺いを立ててみる。
「そういわれても、私も分からん。私が言うのもなんだが、あの子は物欲乏しいからな」
「あ〜、そういやそうっすね」
何しろ、つい最近まで何にも興味持たなかった奴だし。
今でこそ、人目を気にせず俺に愛を語ってきたり、二人っきりになると俺を求めてきたりとしているが、
アイツは昔はそれはそれは無感動なお方だったからなぁ……
「ふむ、しかし、考え付かないわけじゃない」
「マジっすか!?して、何を贈れば……」
すっ、とこちらを指差してくるリィナさん。
俺の後ろ?……何もなし、ってことは
「俺っすか?」
「他に誰がいる?我ら魔物にとって、愛するものとの交わりは何事にも勝る喜びだぞ?」
いや、まー、それはそうでしょうよ。
「でもそれ、毎日ヤッってるんですよねぇ……」
「ほう、毎日とな?孫はいつだ?」
「まだですっ!!」
結果
いい案は思いつきませんでした。
あと孫は経済的自立するまで待ってください。
―――自称斬鉄剣の友人のカラステングの場合―――
「ふ〜ん、プレゼント、ねぇ……」
「そういうこった。お前さん、この学園の情報通だろ?何かあいつが喜びそうなこと知らないかな〜と思ってたり」
「そう言われてもな〜……」
俺と今話してるのはカラステングの黒羽という、まぁクラスメイトだ。
生まれはジパングだが、なにやら親の都合やら恋人の都合やら云々で、大陸に移住してきたそうな。
新聞委員に所属している彼女は学園の情報通。
生徒同士の交友関係はもちろん、教員しか知らない情報、挙句の果てには学園長がもみ消し、職員には緘口令をしいたはずの汚職についての情報を知ってたりする。
職員からはいろんな意味で恐れられてる生徒だ。
ちなみにその汚職をしでかした職員は田舎にすっこんだようだ。南無。
閑話休題
とにかく、こいつはクゥの自称友人だ。
クゥは興味が無いみたいだが、いつもクゥにまとわりついてなにやらやっている。
だからクゥについて、俺が知らない何かを知ってるかと思ったんだが……
「残念だけど、クゥちゃんが喜びそうな物って言われてもわっかんないんだよねぇ。普段から何見ても表情一つどころか眉根すらぴくりとも動かさないし」
「そっか……」
「ごめんね。……まったく、情報通と呼ばれている私がつかめないとは……情報通の名が泣くってもんよ」
うーむ、やはり黒羽にも分からないか……
「うーん……そういや、前にクゥちゃんの目の前に猫が飛び出してきたんだけどね、じっと見つめて動かなかったの」
「ほう……って、それってマンティスの本能じゃね?」
猫を獲物と見たんだろう。
「あ〜、やっぱり?でも、そうなると……やっぱあれかな……」
「あれ?なんだよ、あれって」
「ん」
そういうと、黒羽はこちらをすっっと指差してきた。
あるぇ〜?この展開、前にも見たぞ?
「もしかして、俺?」
「Yes! That's right!クゥちゃん、最近カル君見てるとなんか雰囲気やわらかくなるわけよ。表情動かさないけど。自分にリボンでも巻いて『俺がプレゼント』やったら?」
「……おいおい、普通それは女がやるもんだろ」
と言いつつ、俺の頭はその場面を想像してしまった。
俺がリボンで飾り付けられて……
「うげぇーーーーーー!!」
「うわっ!きたなっ!?」
やばい、それは実にやばい。
想像したらリバースしちまった。
結果
自分がプレゼントを男がやると精神的ブラクラ
「ところでブラクラって何だ?」
「いや、私に聞くな。自分で言ったんでしょ」
「いや、なんか天が俺にブラクラって言っとけって……」
「はいはい、メメタァ」
―――自称俺の妹のアリスの場合―――
「……というわけで、何がいいかいろいろ聞いて回ってるんだけど、いい案がいまいちでなくて……」
「ふ〜ん……」
ジト〜ッ
あれ?なんで俺はこんなにジト目で見られなきゃだめなわけ?
「もう、お兄ちゃんの鈍感さん」
「おいおい、いきなりなんだよ」
この子は俺の自称妹であるシュリ。
大体俺の腰より少し上ぐらいの身長。
エプロンドレスとか言う服装。
その服の腰あたりからでてる翼。
そしてドレスのスカートから覗く尻尾。
彼女はアリスという種類の魔物で、結構珍しいそうだ。
出会いはまた今度においといて、とにかくその出会いのときの出来事のせいで俺のことを「お兄ちゃん」と慕うようになった。
俺は一人っ子だから、妹がいたらシュリみたいな妹がいいなーと思ってたりする。
で、今の状況は、何故かシュリにジト目で睨まれてるところ。
……なんでさ。
「そのクゥエルさん?に直接聞けばいいと思うよ?」
「いや、それじゃあサプライズじゃないだろ」
「どうしてそこにこだわるのかなぁ?お兄ちゃんは」
いや、そっちのほうがよくないか?感覚的に。
「お兄ちゃん、よく考えてみて?もしサプライズで選んだものがそのクゥエルさんがほしいと思ってなかったとするよ?」
「ふむふむ」
「で、お兄ちゃんからそれをもらいました。……いらないけど、せっかくもらったプレゼント、いりませんってつき返せないし、かといってどう扱えばいいかにも困っちゃう」
「ほうほう」
「つまり、下手に贈ったら迷惑かけちゃうかもってこと」
「な、なんだってーーーーーー!?」
そ、そういえば……それもそうだ!
そのことをまったく考慮してなかった……
「サプライズなんて考えないで、直接聞いてから贈ったほうがいいよ?」
「そう……だな、そうだよな……ありがとな、シュリ」
そういって、シュリの頭をなでなで。
「はぅっ、ふみゅぅ……」
いつものことだが、シュリはこうやって頭を撫でると何故か不思議な鳴き声(?)を発する。
まぁ、可愛いからよし。
「よし、そうとなれば、クゥのところに急ぐかっ!」
「あっ……」
俺が頭から手を離すと、なにやらシュリが言いかけたが、俺はそのままクゥの元へと走っていった。
結果
やっぱりサプライズはやめました。
「……ふぇぇぇ、敵に塩どころか虜の果実おくっちゃった気分だよ〜……」
それと、なにやら不穏な発言。
―――ターゲットである恋人のマンティスの場合―――
「……と、言うわけでクゥに何贈ればいいか分からなくて聞きに来たんだが……」
「…………」
ガバッ
「うおぁ!?何だ!?」
「……いや、嬉しくて」
そういってぎゅっと俺を抱きしめてくるクゥ。
そして、それを抱き返す俺。
「で、お前さんは何がほしい?」
「そうだな……いろいろあるな」
「俺の財布がもつ範囲でなら、何だって買ってやるよ」
こう見えても、そこそこ金は持ってるんでな。
「そうだな……まずはアクセサリーがほしい。もちろんカルが選んでくれ」
「アクセサリーな、了解。まずってことは、他にも?」
「ああ……カルが欲しい」
「……やっぱり?」
「ああ、欲しいな」
シュリ以外に言われた「俺がプレゼント」が、まさかマジで欲しがられるとはな……
「……おっけーおっけー、了解だ。んじゃ、行くぞ」
「行く?」
こてんと小首をかしげるクゥ。
それと同時に触覚も少し揺れる。
畜生、可愛いじゃねぇか。
「おいおい、俺にアクセサリー選んで欲しいんじゃないのかよ?店に行かなきゃアクセサリーは買えんぞ?」
「あ、ああ……そうか、そうだな」
俺が差し出した手を握り、俺の隣に並ぶクゥ。
「よし、行こう。心配するな、そんなに高い物は買わせないさ」
「いや、別にいいんだけどさ。こんなこともあろーかと、金は結構持ってきた」
「ふふ、カルらしいな」
こうして、俺とクゥは二人並んでアクセサリー店へ向かった。
結果
無事にプレゼントを渡せました。
11/03/06 17:27更新 / 日鞠朔莉